(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454503
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20190107BHJP
G01N 21/90 20060101ALI20190107BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N21/90 D
G06T1/00 300
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-187404(P2014-187404)
(22)【出願日】2014年9月16日
(65)【公開番号】特開2016-61581(P2016-61581A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】杉本 一幸
(72)【発明者】
【氏名】神利 奈津子
【審査官】
佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−322344(JP,A)
【文献】
特開2002−195816(JP,A)
【文献】
特開2010−038629(JP,A)
【文献】
特開2012−242289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958、23/00−23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の内容物が収納された物品に電磁波を照射し、該物品を透過した電磁波に基づいて前記物品の透過画像を作成し、該透過画像に基づいて前記内容物の検査を行う検査装置であって、
前記透過画像から前記内容物の重なりのある部分と内容物の領域全体とを抽出する抽出部と、
前記重なりのある部分と内容物の領域全体のそれぞれの形状に基づき前記内容物の形状異常を判断する判断部と、
を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記内容物の重なった枚数に応じた濃淡しきい値にて前記重なりのある部分を抽出することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記重なりのある部分の輪郭線とその包絡線との近似性を調べることにより前記内容物の形状異常を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記内容物の領域全体の輪郭線とその包絡線との近似性を調べることにより前記内容物の形状異常を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記判断部は、前記内容物全体の重心から、前記内容物の領域全体の輪郭線上における各輪郭点までの放射方向に伸びる各距離と、前記重心から、前記重なりのある部分の輪郭線上における各輪郭点までの放射方向に伸びる各距離との差に基づいて前記内容物の形状異常を判断することを特徴とする請求項1から4の何れか一項にに記載の検査装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記重なりのある部分又は前記内容物の領域全体の図形の対称性に基づき前記内容物の形状異常を判断することを特徴とする請求項1から5の何れか一項にに記載の検査装置。
【請求項7】
前記電磁波とはX線である請求項1から6の何れか一項にに記載の検査装置。
【請求項8】
前記電磁波とは近赤外線である請求項1から6の何れか一項にに記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の内容物が収納された物品に対し電磁波を照射して、各内容物の割れ欠け検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁波、例えば、X線を用いた検査装置は、容器内に収納された物品への異物混入検査や物品の割れ欠け検査に広く使用されている。また、容器内に収納された物品の個数検査が行われることもある。例えば、下記特許文献1では、クッキー等を検査対象とし、検査対象物品が占める領域内の画素の積算数を求め、その積算数から物品の周囲長の合計を得て、その合計値から物品の割れ欠け検査をするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−310946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、物品が複数枚の内容物からなり、それらの内容物が袋内で固定されていない物品であれば、
図17に示すように、各内容物の重なりのある部分が変化するため、X線透過画像上の内容物全体の面積や周囲長の特徴が不定になる。そのため、上記特許文献1に記載された検査装置では、内容物が複数枚からなり、それらの相対位置が固定されていない物品に対しては、欠品検査や割れ欠け検査ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、検査対象物品が複数枚数の内容物からなり、それらの内容物の相対位置が固定されていない場合であっても、各内容物の検査をすることのできる新たな検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検査装置は、複数枚の内容物が収納された物品に電磁波を照射し、該物品を透過した電磁波に基づいて前記物品の透過画像を作成し、該透過画像に基づいて前記内容物の検査を行う検査装置であって、前記透過画像から前記内容物の重なりのある部分と
内容物の領域全体とを抽出する抽出部と、前記重なりのある部分と
内容物の領域全体のそれぞれの形状に基づき前記内容物の形状異常を判断する判断部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、内容物の重なりのある部分は、検査毎に異なるけれども、内容物の形状に特徴がある場合、例えば、各内容物が同じ形状であるとか、周縁に凹みがない形状である等の特徴がある場合には、例えば、内容物の重なりのある部分(重なりのない部分)の輪郭線とその包絡線との近似性を調べることによって、或いは、重なりのない部分の輪郭線と、重なりのある部分の輪郭線との間の距離が一定の割合で変化するか否かを調べることによって、或いは、重なりのある部分(重なりのない部分)の図形に対称性があるか否か等を調べることによって内容物に形状異常があるか否かを判断することができる。
本発明は、こうした観点から、内容物の重なりのない部分と、重なりのある部分毎に検査を行うことにより、複数枚数の内容物がずれた状態で重なりあっていても、各内容物の欠品検査や割れ欠け検査、さらには、異物混入検査等も行うのである。
【0008】
前記抽出部は、内容物の重なる枚数に応じた濃淡しきい値にて前記重なりのある部分を抽出する。これにより、内容物が3枚以上重なった場合でも、内容物の重なり枚数毎に検査を行うことで、各内容物の形状異常の検査が可能になる。
【0009】
前記判断部は、内容物の重なりのある部分の輪郭線とその包絡線との近似性を調べることによって内容物の形状異常を判断する。これにより、重なりのある部分が検査毎に変化する場合であっても、内容物の割れ欠け等の検査が可能になる。
【0010】
前記判断部は、
内容物の領域全体であっても、その輪郭線とその包絡線との近似性を調べることによって内容物の形状異常を判断する。このように、抽出された部分の輪郭線とその包絡線を用いることにより、重なりのある部分と
内容物の領域全体の形状にばらつきがある場合でも、内容物の割れ欠け等の検査を行うことができる。
【0011】
また、前記判断部は、内容物全体の重心から、
内容物の領域全体の輪郭線上における各輪郭点までの放射方向に伸びる各距離と、前記重心から、重なりのある部分の輪郭線上における各輪郭点までの放射方向に伸びる各距離との差が漸次変化するか否かによって、内容物の形状異常を判断する。これにより、わずかな割れ欠けでも検出することが可能になり、検査精度が向上する。
【0012】
前記判断部は、重なりのある部分(
内容物の領域全体)の図形の対称性に基づき内容物の形状異常を判断する。これにより、画像処理の負荷が低減され、処理速度が向上する。
【0013】
ここで用いる電磁波は、X線である。これにより、アルミ蒸着フィルムで包装された物品など、肉眼では内容物の形状を確認できない場合でも、内容物の割れ欠けや、欠品の検査が可能になる。
【0014】
前記電磁波は、近赤外線であってもよい。近赤外線を用いることで、X線の場合に必要とされるシールドボックスが不要となり、設置スペースを削減することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検査対象物品が複数枚数の内容物からなり、それらの相対位置が固定されていない場合であっても、各内容物の割れと欠けを検査することのできる新たな検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の検査装置をX線検査装置とした場合の一実施形態の概略構成図。
【
図3】上記一実施形態で撮像したX線透過画像の一例を示す図。
【
図4】
図3のX線透過画像を重なりのない部分のしきい値により二値化した画像。
【
図5】
図3のX線透過画像を重なりのある部分のしきい値により二値化した画像。
【
図6】欠けのある内容物のX線透過画像の一例を示す図。
【
図7】
図6のX線透過画像を重なりのない部分のしきい値により二値化した画像。
【
図10】
図6のX線透過画像を重なりのある部分のしきい値により二値化した画像。
【
図11】欠けのある内容物のX線透過画像の一例を示す図。
【
図13】
図11の重心から重なりのある部分の輪郭線までの距離を測定する図。
【
図14】
図11の重なりのある部分の縦方向の中心線を示す図。
【
図16】
図11の重なりのある部分の横方向の中心線を示す図。
【
図17】複数の内容物が重なり合う状態の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る検査装置をX線検査装置で実施した場合の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、X線検査装置の一実施形態の概略構成図を示す。この図において、X線検査装置1の入口側には、搬入コンベア10が接続され、出口側には、搬出コンベア20が接続されている。そして、上流から搬送されてきた物品Bは、搬入コンベア10を介してX線検査装置1に搬入され、そこで物品Bの収納個数の検査や、異物混入検査、欠品検査、割れ欠け検査等が行われて、搬出コンベア20へ送り出される。送り出された物品Bは、下流の振分装置30(
図2参照)を介して梱包ラインへ搬送される。また、X線検査装置1の検査結果は、振分装置30に送信されて、不良品は、ライン外へ、正常品は、そのまま梱包ラインへと搬送される。
【0018】
X線検査装置1は、X線を遮蔽するシールドボックス2と、シールボックス2の出入口間に架け渡された搬送コンベア3と、搬送される物品BにX線を照射するX線照射手段4と、照射されたX線を検出するラインセンサ5と、操作画面を操作して運転条件や検査基準の設定、さらには、検査に必要な種々の設定項目を入力するタッチパネル6と、これらを制御する後述の制御手段7と、シールドボックス2を含む装置全体を支持する支持脚8とを備えている。
【0019】
搬送コンベア3は、シールドボックス2の入口と出口との間に架け渡されたベルトコンベアで構成され、設定速度でもって物品Bを搬送するように構成されている。また、その入口と出口には、X線の漏洩を防止する図示しない遮蔽暖簾が設けられている。
【0020】
X線照射手段4は、シールドボックス2内に格納された図示しないX線管と、X線管から照射されるX線を物品Bの搬送方向Fと直行する方向に扇状に広げる図示しないコリメータとで構成されている。そして、ラインセンサ5に向けて照射されたX線は、物品Bと搬送コンベア3のベルトとを透過してラインセンサ5に入力される。
【0021】
ラインセンサ5は、物品Bの搬送方向Fと直行する方向に直線状に配列された複数のフォトダイオードと、その上に重ねられた複数のシンチレータとで構成され、物品Bを透過したX線は、各シンチレータで光に変換され、その光が各フォトダイオードで電気信号に変換されて、X線透過信号として出力される。こうして出力されたX線透過信号は、図示しないA/D変換器でデジタル量に変換されて、後述の制御手段7に順次入力される。
【0022】
タッチパネル6は、フルドット表示の液晶ディスプレイで構成され、そこに表示される設定画面を操作することにより、X線検査装置1の起動・停止、必要な運転条件や検査基準の設定、推定質量を最適化するための操作等ができるようになっている。また、運転開始前の初期画面では、搬送コンベア3の速度やX線照射手段4のX線強度等が設定可能であり、運転開始後の画面では、例えば、X線透過画像を処理するときの検出感度や、質量推定機能を働かせるためのX線出力や暗部強調の設定、さらには、検査対象物品の濃淡レベルと推定質量との対応関係を最適化させるための操作や、物品1個の実質量とその平面サイズとが設定できるようになっている。
【0023】
図2は、X線検査装置1の構成ブロック図を示す。この図において、制御手段7は、コンピューターで構成され、搬送コンベア3、X線照射手段4、ラインセンサ5、タッチパネル6と接続されてこれらを制御するとともに、振分装置30とも接続されて、その検査結果を振分装置30に送信するようになっている。
【0024】
制御手段7は、CPU11と、ROM12とRAM13を搭載し、また、大容量のCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))14と記憶メディア挿入用のドライブ15を備えている。そして、それらは、アドレスバスやデータバスを介して相互に接続されている。
【0025】
ROM12には、異物混入検査、欠品検査、割れ欠け検査等の標準的な検査プログラムが格納され、CF14には、複数種類の内容物毎に異なった基準にて検査する各種プログラムが格納されている。また、このCF14には、内容物毎の位置情報や特徴情報も記憶されている。
【0026】
CPU11は、CF14から画像処理プログラムを読み出して実行することにより、ラインセンサ5から出力されたX線透過信号をRAM13上に展開して、検査のための二次元のX線透過画像を形成する。そして、CPU11はROM12から各種検査プログラムを読み出して実行することにより、異物混入検査、欠品検査、割れ欠け検査等を実行する。
【0027】
抽出部11aと判断部11bは、CPU11が各種プログラムを実行することによって実現される機能を示している。ここでは、抽出部11aと判断部11bが行う処理について詳述する。
【0028】
抽出部11aは、
図3で示すX線透過画像から内容物の重なりのある部分を特定する。まず、X線透過画像をしきい値T1により二値化することで、
図4のような内容物の領域全体の画像を形成する。続いて内容物の枚数に応じた濃淡しきい値T2により
図3を二値化することで、
図5のような内容物が重なり合う部分の画像を形成することができる。
なお、
図3で示すH1は、線分Aにおける内容物の濃淡の階調を示したものであり、重なりのある箇所が暗くなることを表している。階調が階段状になっているが、最も上の段が、内容物がないコンベヤベルト面の階調であり、2段目が内容物の重なりのない箇所の階調であり、最も下の段が重なりのある箇所の階調である。
【0029】
続いて判断部11bは、抽出部11aで特定された内容物全体の二値化された画像(
図4)と、枚数に応じた濃淡しきい値から二値化された画像(
図5)を使い、以下の複数の処理方法により、割れ・欠け検査を実行する。なお、以下の処理方法は単独で用いてもよいし、それらを組み合わせて実行してもよい。
【0030】
(処理方法1)
図6は、欠けのある内容物の一例を示す。まず、この画像を、内容物の領域全体を求めるしきい値T1により、二値化する。この二値化された画像にラベリング処理を施すことにより、内容物の領域全体のR1を特定することができる(
図7)。
【0031】
続いて領域R1の包絡線が描く図形E1を作成する(
図8)。包絡線が描く図形とは、領域R1全体を包含し、かつ、外周が凸の線(当該線に囲まれる領域中の任意の2点を結ぶ線分が、常に当該領域に含まれることになるような線)のみで表される図形のうち、面積が最小となる図形である。言い換えると、ある領域の包絡線が描く図形とは、断面がその領域と同じ形状となる物体の、その断面に沿ってかけた輪ゴムのような線により囲まれた図形のことを言う。
【0032】
続いて、
図9は、
図8の包絡線が描く図形E1から、
図7の領域R1を差し引くことで凹み領域D1を求めたものである。凹み領域D1とは、
図8の包絡線が描く図形から、
図7の二値化された内容物の領域を差し引いた領域のことを言う。したがって、包絡線が描く図形E1から、包絡線が描く図形E1と同じ形状を有する製品領域R1を差し引くことにより導き出された領域D1が凹み領域になる。内容物に欠けがなければ凹み領域は発生しない。よって、この凹み領域D1の面積が、ある一定のしきい値より大きい場合、不良品と判断することができる。
【0033】
続いて、
図10は、
図6の画像から、内容物の重なった枚数に応じた濃淡しきい値で二値化し、内容物が重なった部分の画像を抽出したものである。この内容物が重なった部分の領域R2に対して、前記と同様の包絡線が描く図形を求めることにより、重なりあう部分の欠けている箇所の面積を求め、その面積がある一定のしきい値より大きい場合、不良品と判断することができる。
【0034】
(処理方法2)
図11は、内容物に欠けがある別の一例である。
図11の画像に対し、内容物全体を求めるしきい値で二値化を行い、
図12のような画像を形成する。この二値化された画像にラベリング処理を施して内容物全体が写り込んだ領域R3を特定し、その領域R3の重心C1を求める。
続いて下記に示すように、重心C1から領域R3の輪郭線上における各輪郭点P1,P2,P3・・までの放射方向に伸びる距離T1、T2,T3・・を求める。
T1=|P1−C1|
T2=|P2−C1|
T3=|P3−C1|
・
・
・
Tn=|Pn−C1|
また、
図13は、
図11の画像から、内容物の重なった枚数に応じた濃淡しきい値により二値化して、内容物が重なり合った部分の画像を抽出したものである。
図13の画像にラベリング処理を施して、内容物が重なった領域R4を特定する。続いて、下記に示すように、前記処理で求めた内容物全体の重心C1から領域R4の輪郭線上における各輪郭点H1、H2、H3・・・までの放射方向に伸びる距離を求める。
S1=|H1−C1|
S2=|H2−C1|
S3=|H3−C1|
・
・
・
Sn=|Hn−C1|
次に、重心C1から内容物全体の各輪郭点P(1−n)までの距離T(1−n)と、同じ重心C1から重なり合った部分の各輪郭点H(1−n)までの距離S(1−n)を減算することにより、重なり合った部分の各輪郭点H(1−n)から内容物全体の各輪郭点P(1−n)までの距離U(1−n)を求める。
この距離U(1−n)は、正量品においては、徐々に長くなって、徐々に短くなる特徴がある。よって、U(1−n)の各距離がそうした特徴を示さない場合は、不良品と判断することができる。
また、重心C1から重なった部分の各輪郭点H1、H2、H3・・までの距離S(1−n)は、正量品においては、徐々に短くなって徐々に長くなり、その間に変曲点がある。重なった部分の対角線の最も長いものを垂直にすると、0度、90度、180度、270度のあたりに変曲点が存在する。よってこの変曲点の位置が、ある一定以上異なっていると不良品と判断できる。
【0035】
(処理方法3)
図14は、
図11の画像に対し、重なった枚数に応じた濃淡しきい値により重なりのある部分を二値化した画像である。
図14の画像にラベリング処理を施して、内容物の重なり合った領域R4を特定する。
続いて、領域R4の画像の中心線を求める。この中心線を基準にして画像の左右対象性を求める。正量品においては、対称性が非常に高い特徴があるため、対称性が一定以上異なっていると不良品と判断できる。
【0036】
対称性の求め方をさらに説明すると、
図14で示すように、内容物の長さが最も長い位置にある中心線L1を求める。
図15は、この中心線L1を基準にして、領域R4を、二つに分けた図形D2と図形D3を作成し、図形D2を水平方向に反転した図形D4を作成する。続いて、図形D3と図形D4と排他的論理和処理を施すと、図形D3と図形D4の差異である図形D5を求めることができる。R4の対称性が高いと、この図形D5は存在しない。一方、R4の対称性が低いと図形D5は大きくなる。よって、この図形D5の面積が、ある一定のしきい値より大きければ欠けが存在するとして、不良品を検出することができる。
【0037】
また、
図16で示すように、内容物の横方向の長さが最も長い位置にある中心線L2を基準にして上下の対称性を求める。前記と同じように、正量品においては、対称性が非常に高い特徴がある。したがって、前記と同じように、対象性の差異で出来る図形の面積が、ある一定のしきい値より大きければ欠けが存在するとして、不良品を検出することができる。
【0038】
<変形例>
上記一実施形態では、電磁波としてX線を用いたが、X線照射手段とラインセンサに代えて、近赤外線光源とラインカメラを用いることが可能である。この場合、近赤外線光源は近赤外線(波長が700〜2500ナノメートル程度の光線)を発光するLED(Light Emitting Diode)から構成され、連続する2台の搬送コンベアの間隙の下方に設置される。また、近赤外線を検出するラインカメラは、搬送コンベアの間隙の上方で近赤外線光源に対向する位置に設置される。なお、近赤外線を用いる場合、シールドボックスは不要となるため、設置スペースを少なくすることができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その他の形態も採用可能である。例えば、以上の実施形態では、各内容物の相対位置が固定されたものであっても良い。また、欠品検査だけでなく、異物混入検査も行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 検査装置(X線検査装置)
4 X線照射手段
5 ラインセンサ
6 タッチパネル
7 制御手段
11a 抽出部
11b 判断部
B 物品
P1〜P3 輪郭点
T1〜T3 距離
H1〜H3 輪郭点
S1〜S3 距離