特許第6454509号(P6454509)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454509
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】無線通信システム及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20190107BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20190107BHJP
   H04W 88/10 20090101ALI20190107BHJP
【FI】
   H04W24/02
   H04W88/06
   H04W88/10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-207181(P2014-207181)
(22)【出願日】2014年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-76875(P2016-76875A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】藤原 桂司
【審査官】 古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/036487(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/051790(WO,A1)
【文献】 特開2008−148134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号フォーマットが異なる第1のバージョンと第2のバージョンを切り替えて動作する基地局と、
前記第1のバージョンと前記第2のバージョンを切り替えて動作する無線端末と、
を備え、
前記基地局は、前記第1のバージョンと前記第2のバージョンの内、一方のバージョンを示すバージョン情報を記憶する記憶部と、統制局と前記第2のバージョンの信号フォーマットで通信を行う通信部と、前記第2のバージョンの信号フォーマットを前記第1のバージョンの信号フォーマットへ変換する変換部とを有し、
前記記憶部に記憶されたバージョン情報が、前記第1のバージョンである場合、前記通信部によって前記統制部から受信した前記第2のバージョンの信号フォーマットを前記変換部によって前記第1のバージョンの信号フォーマットへ変換し、前記第1のバージョンを指定した通信情報を前記無線端末へ送信し、
前記記憶部に記憶されたバージョン情報が、前記第2のバージョンである場合、前記第2のバージョンを指定した通信情報を前記無線端末へ送信し、
前記無線端末は、前記通信情報に基づいて動作するバージョンを切り替えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局は前記通信情報として報知情報に前記第1のバージョンと前記第2のバージョンの内、一方のバージョンを付加して送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記無線端末は他の無線端末と直接通信を行う直接通信モードに切り替え可能であり、
前記無線端末は、前記通信情報に基づいて動作するバージョンを記憶する記憶部を備え、前記直接通信モードによる発呼時には、前記記憶部に記憶されている前記バージョンで直接通信を開始することを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線通信システムにおいて、
前記無線端末は他の無線端末と直接通信を行う直接通信モードに切り替え可能であり、
直接通信の呼出信号を受信すると、当該呼出信号のID情報に基づいて、前記第1のバージョンで直接通信を行うか、前記第2のバージョンで直接通信を行うかを決定することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線通信システムにおいて、
前記通信情報は、前記第1のバージョンの信号フォーマットと前記第2のバージョンの信号フォーマットで桁数が異なるシステムコードを含むものであり、
前記無線端末は、前記通信情報のシステムコードの桁数から、当該通信情報で指定されたバージョンを判定し、当該バージョンに切り替えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
信号フォーマットが異なる第1のバージョンと第2のバージョンを切り替えて動作する基地局と、
前記第1のバージョンと前記第2のバージョンを切り替えて動作する無線端末を有する無線通信システムの無線通信方法であって、
前記基地局が前記第1のバージョンと前記第2のバージョンの内、一方のバージョンを示すバージョン情報を記憶しており、
前記第1のバージョンバージョン情報を記憶している場合、前記第2のバージョンの信号フォーマットを前記第1の信号フォーマットへ変換し、前記第1のバージョンを指定した通信情報を送信し、
前記第2のバージョンバージョン情報を記憶している場合、前記第2のバージョンを指定した通信情報を前記無線端末へ送信し、
前記無線端末が前記通信情報に基づいて動作するバージョンを切り替えることを特徴とする無線通信システムの無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム及び無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル無線通信システムでは、例えば当初通信規格(ARIB STD-T79 Ver.1)から現在の通信規格(ARIB STD-T79 Ver.2.2以降)へ更新する場合は、無線回線上の規格(伝送データフォーマット等)が異なるため、統制局設備、基地局、移動局(無線端末)のすべてを更新する必要がある。
【0003】
このようなデジタル移動通信システムの先行技術文献としては、下記特許文献1等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−186578号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ARIB STD−T79、「都道府県・市町村デジタル移動通信システム」、社団法人電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は、既存の通信システムを、伝送方式、信号フォーマットが異なる別の方式のシステムに更新する場合には、新旧方式の相違により2つの方式のシステムは互いに通信ができないため、新しい方式に対応した統制局設備、基地局、無線端末のすべてを一括で更新しなければならなかった。一括更新の場合は、特に多くの基地局や無線端末を保有している無線通信システムにおいては、非常に高い更新コストが一時期に集中して必要になってしまう欠点があった。
本発明は、既存の無線通信システムを新たな方式の無線通信システムに更新する際、システム内の装置を一括更新することなく、運用停止する期間を最小限にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無線通信システムは、信号フォーマットが異なる第1の方式と第2の方式を切り替えて動作する基地局と、前記第1の方式と前記第2の方式を切り替えて動作する無線端末と、を備え、前記基地局が前記第1の方式と前記第2の方式を指定する通信情報を送信し、前記無線端末は、前記通信情報に基づいて動作する方式を切り替えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の無線通信システムは、上述の無線通信システムであって、前記基地局は、前記第1の方式と前記第2の方式かの方式種別を記憶する記憶部と、統制局と前記第2の方式に基づく通信を行う通信部とを有し、前記記憶部に記憶された方式種別が第1の方式である場合に、前記第2の方式と前記第1の方式を変換する変換部とを備えていることが望ましい。
【0009】
また、本発明の無線通信システムは、上述の無線通信システムであって、前記基地局は前記通信情報として報知情報に前記第1の方式と前記第2の方式を指定する通信情報を付加して送信することとしても良い。
【0010】
また、本発明の無線通信システムは、上述の無線通信システムであって、前記無線端末は他の無線端末と直接通信を行う直接通信モードに切り替え可能であり、前記無線端末は、前記通報情報に基づいて動作する方式を記憶する記憶部を備え、前記直接通信モードによる発呼時には、前記記憶部に記憶されている前記方式で直接通信を開始することとしても良い。
【0011】
また、本発明の無線通信システムは、上述の無線通信システムであって、前記無線端末は他の無線端末と直接通信を行う直接通信モードに切り替え可能であり、直接通信の呼出信号を受信すると、当該呼出信号のID情報に基づいて、前記第1の方式で直接通信を行うか、前記第2の方式で直接通信を行うかを決定することとしても良い。
【0012】
また、本発明の無線通信方法は、信号フォーマットが異なる第1の方式と第2の方式を切り替えて動作する基地局と、前記第1の方式と前記第2の方式を切り替えて動作する無線端末を有する無線通信システムの無線通信方法であって、前記基地局が前記第1の方式と前記第2の方式を指定する通信情報を送信し、前記無線端末が前記通信情報に基づいて動作する方式を切り替えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既存の無線通信システムを新たな方式の無線通信システムに更新する際、システム内の装置を一括更新することなく、運用停止する期間を最小限にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例である無線通信システムの構成例である。
図2】本発明の一実施例に係る基地局を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の一実施例に係る移動局を説明するためのブロック図である。
図4】通信規格のVersion(版)による主な相違を説明するための図である。図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例である無線通信システムの構成例である。
図1において、統制局設備100に基地局101−1と基地局101−2が接続されている。
無線端末である移動局200−1〜200−2が基地局101−1に位置登録され、移動局200−4、200−6が基地局101−2に位置登録されている。
応援局300は、災害時等に他の無線通信システムに属していたものを本無線通信システムに編入されているものである。
【0016】
次に、本発明の一実施例である無線通信システムの動作について図1を用いて説明する。
なお、無線通信システムは、第1の方式であるARIB STD-T79 Ver.1(以下、 バージョン1と称する)で動作しているものとする。
【0017】
図1は、基地局101−1に位置登録される移動局200−3や基地局101−2に位置登録される移動局200−5を増設する場合であり、今後、システム全体を第2の方式である現在の通信規格ARIB STD-T79 Ver.2.2以降(以下、バージョン2と称する)へ移行する。
このため、移動局200−3、200−5は、基地局101−1、101−2からの無線回線信号内の規格バージョン(版)情報を受信し、受信した規格バージョン(版)に適用するよう、そのバージョンの無線回線信号手順で運用する切替機能を有する。
【0018】
統制局設備100と基地局101−1,101−2は、更新前の設備であるため基地局101−1、101−2の無線回線通信手順は当初通信規格バージョン1である。そのため、移動局200−3、200−5は基地局101−1、101−2の無線信号(報知信号や回線接続時の呼出信号などバージョンを特定するための情報;以下、通信情報という)を受信し、その無線信号に基づいて当初通信規格バージョン1で動作し、相互の通信を実施する。
また、基地局101−1,101−2を介さない直接通信に切り替えたときも、当初の通信規格バージョン1で通信するため、運用への支障はない。つまり、移動局200−3、200−5は基地局101から受信したバージョン情報に基づいて自身が動作するバージョンを決定し、決定したバージョンで基地局との通信だけでなく他移動局200との直接通信を実施する。
【0019】
次に、統制局設備100、基地局101−1、基地局101−2を現在の通信規格バージョン2の統制局設備110、基地局130−1、130−2に更新したときの動作について説明する。
なお、統制局設備110、基地局130−1、130−2は、統制局設備100、基地局101−1、101−2の稼働中に設置でき、新たな基地局130−1、130−2を以下の構成とすることでシステムの停止期間を最小限とすることができる。
ここで、統制局110と基地局130−1との間、及び、統制局110と基地局130−2との間の通信手順は、現在の通信規格バージョン2に準拠した通信手順とする。
基地局130−1および基地局130−2の傘下の移動局200は、更新前(バージョン1)の移動局200(図1中破線で示す移動局)もあるため、基地局130−1と基地局130−2は、すべての移動局200がバージョン2に対応したものに更新されるまでは、無線回線手順、信号フォーマットを当初の通信規格バージョン1に変換する設定とする。これにより、統制局設備110と基地局130−1,130−2を更新しても、基地局130と移動局200との間は当初の通信規格バージョン1で通信するため、移動局200をバージョン2のものに更新できていなくても運用への支障はない。
【0020】
次に、移動局200−1,移動局200−2をバージョン2に対応した移動局200−3と同じ移動局に更新すると、基地局130−1の移動局200との無線回線手順、信号フォーマットを現在の通信規格バージョン2へ変更する。これにより、基地局130−1から送信される通信情報はバージョン2に変更され、基地局130−1傘下の移動局200の動作は通信情報に基づいて現在の通信規格バージョン2へ変更となるため、以降はバージョン2の応援局300を基地局130−1傘下において受け入れ可能となる。
移動局200−4〜200−6をバージョン2に対応した移動局に更新した後は、基地局130−2を現在の通信規格バージョン2へ切替え、システム全体が現在の通信規格バージョン2へ移行することができる。
このように、本実施例では、無線通信システムの装置をすべて一括更新する必要がなく、システムの休止期間も最小限にシステム更新を実現できる。つまり、旧バージョン1の設備を稼働中に新バージョン2の統制局設備100と基地局101を設置し、基地局101にバージョン変換機能を持たせることで、統制局設備110と基地局130から切り替えても、古いバージョン1の移動局200をそのまま使用し続けることができ、システム運用を停止する必要がなくなる。その後、移動局200を新バージョン2に更新し、すべての移動局200が新バージョン2になったら基地局130のバージョン切り替え機能を停止することで、すべての装置を新バージョン2で運用でき、システム運用停止期間は最小限で更新が完了する。
なお、本実施例では最初にバージョン2の移動局200−3、200−5を追加したが、移動局200の更新は、統制局設備110、基地局130の更新後に順次または一括して実施してもよい。
【0021】
(基地局の動作説明)
次に、基地局の構成及び動作について図2を用いて説明する。
図2は本発明の一実施例に係る基地局を説明するためのブロック図である。
基地局130(基地局130−1〜130−2を代表する場合は基地局130と称する)は、統制局設備110と現在の通信規格であるバージョン2で通信を行う。
【0022】
基地局130は、通信部(インターフェース)138、制御部131、バージョン1変換部132、メモリ部133、送信用無線機134、受信用無線機135、アンテナ136,137で構成されている。
通信部138は、統制局設備110と通信を行うためのインターフェースである。
メモリ部133は、移動局200の位置登録と移動局200との通信の通信規格のバージョン(版)情報が記憶されている。なお、バージョン情報の切り替えは、ユーザの手動であってもよいし、統制局設備110から設定変更してもよい。
バージョン1変換部132は、統制局設備110との間のバージョン2の信号フォーマットをバージョン1の信号フォーマットに変換する機能を有している。
【0023】
基地局130は、統制局設備110から信号フォーマットバージョン2で送信されてきた通信情報を通信部138で受信し、制御部131に伝送する。
制御部131は、統制局設備110間の通信手順を変換し、バージョン1準拠の無線回線信号手順で運用する設定と、バージョン2準拠の無線回線信号手順で運用する設定を切替える。つまり、制御部131は、通信先の移動局200がバージョン1で動作しておりメモリ部133にバージョン1で稼働する設定が保存されている場合(移動局200更新前)には、バージョン2で送信されてきた情報を、バージョン1の信号フォーマットにバージョン1変換部132で変換すると共にバージョン1の無線回線手順とする。
信号フォーマットのバージョン2からバージョン1への変換は、例えば、個別番号8桁からシステムコード(都道府県コード2桁+市町村コード3桁)該当部分を削除し、個別番号3桁へ変更する。
また、制御部131は、メモリ部133に設定されているバージョンに基づいた信号フォーマットの報知情報を周期的に送信する。ここで、制御部131は、報知情報に含まれるシステムコードの一部、例えば業務コードにバージョン1かバージョン2かを示すバージョン情報を付加する。
送信用無線機134は、制御部131から伝送されてきた信号フォーマットに基づいて通信先の移動局200に送信する。
受信用無線機135は、通信先の移動局200から送信されてくる通信情報を受信する。
【0024】
(移動局の動作説明)
次に、移動局の動作について図3を用いて説明する。
図3は本発明の一実施例に係る移動局を説明するためのブロック図である。
移動局200は、無線部210、制御部220、メモリ部230、スピーカ241、マイク242、表示部243、操作部244で構成されている。
【0025】
制御部220は、バージョン(Ver.)1制御部221、バージョン(Ver.)2制御部222、バージョン(Ver.)判定部223で構成されている。
バージョン1制御部221、バージョン2制御部222は、バージョンに対応した無線回線手順、信号フォーマットで運用するよう移動局200全体を制御するものであり、制御部220は、これらバージョン1制御部221とバージョン2制御部222を切り替えて運用する。
【0026】
バージョン判定部223は、無線部210がアンテナ201を介して基地局130から受信した受信信号(通信情報)からバージョンを判定し、判定したバージョンに応じてバージョン1制御部221またはバージョン2制御部222のいずれか一方を動作させる。具体的には、バージョン判定部223は、通信情報としての報知情報に含まれるバージョン情報を確認し、現在のバージョンを判定する。バージョン情報(コード)は数ビットの情報で構成され、バージョン判定部223もバージョン情報を予め把握しており、受信した報知情報の所定位置のバージョン情報に基づいて現在のモードを判定する。また、バージョン判定部223は、通信情報に含まれる個別番号やシステムコードの桁数に基づいてどちらのバージョンかを判定する。なお、バージョン判定部223が判定した現在のバージョンの情報は、メモリ230に設定され、他移動局200との直接通信時も設定されたバージョンで動作する。
【0027】
(信号フォーマットの相違点)
次に、信号フォーマットの主な相違点について図4を用いて説明する。
図4はバージョン2(ここではバージョン2.2)以降の通信規格であり、バージョンによる主な相違を説明するための図である。
図4において、(A)が網番号情報であり、(B)がシステムコード情報要素であり、(C)が短縮システムコード情報要素である。
バージョン2は、個別番号3桁にシステムコード5桁(都道府県コード2桁+市町村コード3桁)を付与して個別番号が8桁となっている。
バージョン1は個別番号のみの3桁である。
【0028】
したがって、移動局200のバージョン判定部223は、受信した基地局130からの発信信号(通信情報)におけるシステムコードの桁数が個別番号を含めて8桁である場合にはバージョン2と判定し、3桁である場合にはバージョン1と判定する。
【0029】
次に、移動局200の直接通信時の動作について説明する。
移動局200は上述したように基地局101、130との通信の他、他の移動局200と直接通信を行う直接通信モードにて動作する。
制御部220は、ユーザによる操作部244の操作により、自身が直接通信で他の移動局200に発呼を行う場合には、メモリ部230に設定された現在のバージョン情報に基づいて、そのバージョンの通信手順、信号フォーマットで直接通信を開始する。
【0030】
一方、制御部220は、無線部210が他の移動局200から直接通信の呼出を受けた場合には、受信した呼出信号の呼出番号が上記の通りシステムコード含めて8桁である場合にはバージョン2と判定し、3桁である場合にはバージョン1と判定し、それぞれ判定したバージョンで以降の直接通信を実施する。
これにより、新たに更新した移動局200−3や200−5は、更新前の移動局200−1などとバージョン1で直接通信を行うことができる。さらに、基地局130−1はバージョン2、基地局130−2はバージョン1で運用中でも、それぞれの基地局130傘下の移動局200同士がバージョン1で直接通信することも可能となる。
【0031】
本発明の実施形態である無線通信システムは、信号フォーマットが異なるバージョン1(第1の方式)とバージョン2(第2の方式)を切り替えて動作する基地局130と、バージョン1,2を切り替えて動作する移動局200をシステム更新時に追加することにより、基地局130がバージョン情報を指定する通信情報を送信し、移動局200がこの通信情報に基づいて動作することにより、すべての設備を一括で更新することなく、移動局200から、あるいは、統制局設備110と基地局130から順次更新することができる。しかも、当初または旧通信規格であるバージョン1から現在の通信規格バージョン2へ更新時、運用をとめる期間を最小限にし、更新前の移動局200と更新後の移動局200が通信できる状態を確保できる。
【0032】
基地局130は、バージョン情報をメモリ部133に記憶し、バージョン1の場合には、統制局設備110とのバージョン2に基づく通信を、バージョン1に変換するバージョン1変換部132を備えている。したがって、移動局200がバージョン1のままでも、運用を停止することなく、統制局設備110と基地局130だけを更新することができる。
さらに、基地局130−1がバージョン2に切り替わり、基地局130−2がバージョン1の状態であっても、例えば移動局200−4と移動局200−3は異なるバージョンで稼働しているが基地局130−2のバージョン変換機能により、これら移動局200−4と移動局200−3とは通信を行うことができる。
【0033】
また、基地局130は通信情報として報知情報にバージョン情報を付加して送信するので、当該基地局130傘下の移動局200は確実に当該基地局130のバージョンで運用することができる。
なお、移動局200は、他の移動局200と直接通信を行う直接通信モードに切り替え可能であり、バージョン情報に基づいて動作する方式を記憶するメモリ部230を備え、直接通信モードによる発呼時には、制御部220はメモリ部230に記憶されているバージョンで直接通信を開始する。したがって、当該基地局130内において全移動局200が共通して同じバージョンで確実に直接通信を行うことができる。
【0034】
さらに、移動局200は直接通信の呼出信号を受信すると、制御部220が、当該呼出信号のID情報に基づいて、例えば桁数に基づいてバージョン1で直接通信を行うか、バージョン2で直接通信を行うかを決定する。したがって、移動局200は自身が設定しているバージョンとは異なるバージョンで稼働している移動局200からの直接通信の呼出に対しても応答することができ、バージョンが異なる基地局130傘下の移動局200とも直接通信を確実に行うことができる。
【0035】
以上の通り、本発明の一実施形態としての無線通信システムによれば、当初の通信規格で構築し運用しているシステムの更新時、予算や期間を考慮し、移動局200から更新しても、統制局設備110と基地局130から更新しても、基地局130と移動局200間は当初の通信規格での運用が可能であるため、運用をとめず設備の更新ができる。全ての設備を更新した後は、基地局130の設定切替により、システム全体を現在の通信規格の運用に更新できる。つまり、基地局130の切り替えに応じて、移動局200は報知信号により、現在の通信規格へ切替となり、システム全体が現在の通信規格で運用することが可能となる。これにより、現財の通信規格で運用されている近隣システムの応援局300との応援通信も可能となる。
【0036】
また、基地局130を介さない直接通信に関しても、基地局130からの通信情報により、移動局200は自動切り替えするため、更新期間中は、当初または現在の通信規格での直接通信、全ての設備更新後は現在の通信規格での直接通信が可能となる。
【0037】
さらに、複数の基地局130を有するシステムにおいては、基地局130毎に通信規格の切替が可能であるため、システム内基地局エリアの地域ごとに更新を進め、エリア内移動局200更新完了により、その基地局130だけ現在の通信規格へ切替ることができ、同一システム内での段階的な更新も可能となる。
【0038】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された無線通信システムに限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、第1の方式がARIB STD-T79 Ver.1であり、第2の方式がARIB STD-T79 Ver.2である場合を例にあげて説明した。しかし、本発明の方式は当然これに限定されるものではなく、少なくとも信号フォーマットが異なる通信方式であればよい。
さらに、上述した実施形態では、無線端末が移動局である場合を例にあげたが、無線端末は当然、固定端末であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
100,110:統制局設備、138:通信部、101,101−1,101−2,130,130−1〜130−2:基地局、131:制御部、132:バージョン1変換部、133:メモリ部、134:送信用無線機、135:受信用無線機、136,137,201:アンテナ、200,200−1〜200−6:移動局、210:無線部、220:制御部、221:バージョン1動作制御部、222:バージョン2動作制御部、223:Ver判定部、230:メモリ部、241:スピーカ、242:マイク、243:表示部、244:操作部、300:応援局。
図1
図2
図3
図4