(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記チェックコード表示手段は、主電源が投入されたときから確認期間が終了するまで上記チェックコードの表示を継続し、上記確認期間が終了した後、上記チェックコードの表示を終了することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
上記チェックコード生成手段は、巡回冗長検査による符号化の方法を用いて上記登録設定データを符号化することにより、上記チェックコードを生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の監視システム。
監視エリアを指定するエリア設定情報及びエリア監視のための動作条件を指定する動作設定情報からなる設定データを生成する設定データ作成装置から上記設定データを取得する設定データ取得手段と、
取得された上記設定データを登録設定データとして保持する登録設定記憶手段と、
上記登録設定データに基づいて、上記動作設定情報に対応する動作条件で、上記エリア設定情報に対応する監視エリア内の侵入物を検知し、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成する侵入検知手段と、
上記登録設定データを符号化することによりチェックコードを生成するチェックコード生成手段と、
上記チェックコードを表示するチェックコード表示手段とを備え、
上記登録設定記憶手段は、上記設定データ作成装置から新たな設定データが取得された場合に、当該設定データによって上記登録設定データを更新し、
上記チェックコード生成手段は、更新後の登録設定データに基づいて、新たなチェックコードを生成することを特徴とするエリア監視センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視エリアを指定するエリア設定情報やエリア監視センサの動作条件を指定する動作設定情報は、パーソナルコンピュータなどの端末装置を用いて作成される。例えば、エリア監視センサを中心とする直交座標を用いて頂点の位置や中心からの距離を指定することにより、任意の形状及びサイズの2次元領域が監視エリアとして指定される。また、侵入検知の分解能、応答時間など、各種設定のパラメータ値が動作条件として指定される。端末装置は、ユーザ操作に基づいて、エリア設定情報及び動作設定情報からなる設定データを生成し、エリア監視センサへ送信する。エリア監視センサは、端末装置から受信した設定データを登録設定データとして記憶する。侵入検知は、この登録設定データに基づいて行われる。
【0005】
従来のエリア監視センサでは、端末装置を接続し、登録設定データを端末装置に表示させることにより、監視エリアや動作条件を確認することができる。つまり、従来のエリア監視センサでは、端末装置を接続しなければ、登録設定データの内容を確認することができなかった。このため、監視エリア又は動作条件が変更されていたとしても、気づき難いという問題があった。例えば、どこをどの様にして監視するのかを規定する設定データが変更されたことにユーザが気づかないまま、運転を開始すれば、ユーザの安全性が担保されない虞がある。
【0006】
そこで、エリア監視センサにおいて、登録設定データとして記憶された設定データを表示させることが考えられる。しかしながら、2次元領域からなる監視エリアと様々な動作条件とを規定する設定データを表示したとしても、設定データが変更されたか否かが判り辛いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、監視エリア又はエリア監視のための動作条件が変更されたか否かを容易に識別することができる監視システムを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、監視エリア又はエリア監視のための動作条件が変更されたか否かを容易に識別することができるエリア監視センサを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、監視エリア又はエリア監視のための動作条件が変更されたか否かをエリア監視センサにおいて容易に識別することができる設定データ作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明による監視システムは、ユーザ操作に基づいて、監視エリアを指定するエリア設定情報及びエリア監視のための動作条件を指定する動作設定情報からなる設定データを生成する設定データ生成手段と、上記設定データを登録設定データとして保持する登録設定記憶手段と、上記登録設定データに基づいて、監視エリア内の侵入物を検知し、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成する侵入検知手段と、上記登録設定データに基づいて、チェックコードを生成するチェックコード生成手段と、上記チェックコードを表示するチェックコード表示手段とを備え、上記登録設定記憶手段が、新たな設定データが生成された場合に、当該設定データによって上記登録設定データを更新し、上記チェックコード生成手段が、更新後の登録設定データに基づいて、新たなチェックコードを生成するように構成される。
【0011】
この様な構成によれば、登録設定データが更新されれば、チェックコードも更新されるため、チェックコードを見れば、監視エリア又はエリア監視のための動作条件が変更されたか否かを識別することができる。特に、チェックコードは、登録設定データを符号化することによって生成されるため、登録設定データとして記憶された設定データを表示する場合に比べ、監視エリア又は動作条件が変更されたか否かを容易に識別することができる。
【0012】
第2の本発明による監視システムは、上記構成に加え、上記チェックコード表示手段が、主電源が投入されたときから確認期間が終了するまで上記チェックコードの表示を継続し、上記確認期間が終了した後、上記チェックコードの表示を終了するように構成される。
【0013】
この様な構成によれば、ユーザは、主電源を投入した後に、何ら確認のための操作を行わなくても、エリア設定情報及び動作設定情報からなる設定データが変更されたか否かを確認することができる。また、確認期間が終了した後、チェックコードの表示は自動的に終了されるので、表示部がチェックコードの表示に占有されるのを抑制することができる。
【0014】
第3の本発明による監視システムは、上記構成に加え、上記チェックコード表示手段が、ユーザ操作に基づいて、上記チェックコードを表示するように構成される。この様な構成によれば、ユーザは、何らかの操作を行うごとに、設定データにおける変更の有無を容易に確認することができる。
【0015】
第4の本発明による監視システムは、上記構成に加え、上記チェックコード生成手段は、巡回冗長検査による符号化の方法を用いて上記登録設定データを符号化することにより、上記チェックコードを生成するように構成される。この様な構成によれば、チェックサムやパリティチェックによる符号化の方法を用いて登録設定データを符号化する場合に比べ、設定データが変更されたにもかかわらずチェックコードが一致し、設定データが変更されていないと誤って識別することを抑制することができる。
【0016】
第5の本発明によるエリア監視センサは、監視エリアを指定するエリア設定情報及びエリア監視のための動作条件を指定する動作設定情報からなる設定データを生成する設定データ作成装置から上記設定データを取得する設定データ取得手段と、取得された上記設定データを登録設定データとして保持する登録設定記憶手段と、上記登録設定データに基づいて、監視エリア内の侵入物を検知し、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成する侵入検知手段と、上記登録設定データに基づいて、チェックコードを生成するチェックコード生成手段と、上記チェックコードを表示するチェックコード表示手段とを備え、上記登録設定記憶手段が、上記設定データ作成装置から新たな設定データが取得された場合に、当該設定データによって上記登録設定データを更新し、上記チェックコード生成手段が、更新後の登録設定データに基づいて、新たなチェックコードを生成するように構成される。
【0017】
この様な構成によれば、設定データ作成装置から新たな設定データが取得されれば、当該設定データによって登録設定データが更新され、チェックコードも更新されるため、チェックコードを見れば、監視エリア又はエリア監視のための動作条件が変更されたか否かを識別することができる。特に、チェックコードは、設定データを符号化することによって生成されるため、登録設定データとして記憶された設定データを表示する場合に比べ、監視エリア又は動作条件が変更されたか否かを容易に識別することができる。
【0018】
第6の本発明による設定データ作成装置は、ユーザ操作に基づいて、監視エリアを指定するエリア設定情報及びエリア監視のための動作条件を指定する動作設定情報からなる設定データを生成する設定データ生成手段と、上記設定データに基づいて、チェックコードを生成するチェックコード生成手段と、上記設定データ及び上記チェックコードをエリア監視センサへ送信する送信手段とを備え、上記チェックコード生成手段が、新たな設定データが生成された場合に、当該設定データに基づいて、新たなチェックコードを生成し、上記送信手段が、新たな設定データが生成されるごとに、当該設定データに関連づけてチェックコードをエリア監視センサへ送信するように構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、監視エリア又はエリア監視のための動作条件が変更されたか否かを容易に識別することができる監視システム及びエリア監視センサを提供することができる。また、本発明によれば、監視エリア又はエリア監視のための動作条件が変更されたか否かをエリア監視センサにおいて容易に識別することができる設定データ作成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、本発明が前提とする監視システムの概略構成について、
図1及び
図2を用いて以下に説明する。
【0022】
実施の形態1.
<生産システム>
図1は、本発明の実施の形態1によるエリア監視センサ10が設置された生産システムの一構成例を示した斜視図である。この生産システムは、防護柵A2で仕切られた領域内に搬送装置や作業ロボットA1が配置され、作業ロボットA1の作業エリアなど、機械設備周辺のエリアが監視エリア2として設定され、監視エリア2内の侵入物がエリア監視センサ10によって検知される。
【0023】
エリア監視センサ10は、光走査型のセーフティセンサであり、検出光を走査させることによって監視エリア2を監視し、機械設備の制御盤を操作するオペレータA3などの侵入物を検知して、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成する。監視エリア2は、エリア監視センサ10が設置される設置面内の領域、例えば、水平な床面内の領域により構成される。侵入物の検知は、対象物によって反射された検出光を受光して対象物までの距離を求め、対象物までの距離と検出光の走査角とから対象物の2次元位置を特定することによって行われる。
【0024】
停止信号は、監視エリア2の周辺で稼働する作業ロボットA1を停止させる制御信号として用いられる。例えば、エリア監視センサ10は、OSSD(Output Signal Switching Device)を有し、監視エリア2内に侵入物が存在していない状態では、OSSDがオン状態になり、動作許可信号が出力される。一方、監視エリア2内に侵入物が存在している状態では、OSSDがオフ状態になり、動作不許可信号が停止信号として出力される。
【0025】
<エリア監視センサ10>
図2は、
図1のエリア監視センサ10の構成例を示した図であり、インターフェース部110をセンサ本体120から分離させることができる分離型のセーフティセンサが示されている。図中の(a)には、エリア監視センサ10を前方から見た場合が示され、(b)には、インターフェース部110が示されている。
【0026】
このエリア監視センサ10は、各種情報を表示し、ユーザ操作を受け付けるインターフェース部110と、検出光を生成し、水平なスキャン面3に沿って検出光を走査させるセンサ本体120とにより構成される。インターフェース部110は、センサ本体120の上面に配置されている。
【0027】
検出光には、例えば、波長が赤外領域のレーザー光が用いられる。検出光は、一定周期で繰返し走査される。センサ本体120には、監視エリア2を撮影するためのカメラ121及び122と、動作状態を表示するためのインジケータ123及び124とが配設されている。また、センサ本体120のスキャナ部125には、走査用のミラーを保護するための保護カバー126が取り付けられている。検出光は、上記ミラーの回転軸を中心として周方向に走査される。スキャン面3は、上記回転軸と直交する。
【0028】
カメラ121及び122と、インジケータ123及び124とは、スキャナ部125よりも上側に配置されている。つまり、カメラ121及び122は、スキャン面3よりも上記回転軸方向の上側に配置される。この様に構成することにより、スキャン面3とカメラ121及び122の撮影方向との間に回転軸方向の視差が生じるため、スキャン面3を俯瞰するカメラ画像を得ることができる。
【0029】
カメラ121及び122は、いずれも水平方向に向けて配置され、互いに向きを異ならせた撮像装置であり、水平面内においてインジケータ123及び124を挟んでセンサ本体120の左側及び右側にそれぞれ配置されている。ここでは、カメラ121を左側カメラと呼び、カメラ122を右側カメラと呼ぶ。インジケータ123は、侵入物の検出の有無を表示する表示灯である。例えば、インジケータ123には、OSSDの出力状態などが表示される。インジケータ124は、各種のエラー状態を表示する表示灯である。
【0030】
インターフェース部110には、画面表示部111、ケーブル接続口112、操作部113及びインジケータ部114が配設されている。画面表示部111は、侵入物の検知結果、監視状況、カメラ121又は122により撮影されたカメラ画像、入力情報などを画面表示する表示装置である。例えば、画面表示部111には、カラー表示可能なLCD(液晶ディスプレイ)が用いられる。
【0031】
ケーブル接続口112は、外部機器に接続し、通信を行うための入出力端子部であり、通信ケーブルが着脱可能に接続される。操作部113は、画面切替、メニュー項目の選択などに用いる2以上の操作ボタンにより構成される。インジケータ部114は、動作状態を表示するための2以上の表示灯により構成され、OSSDの出力状態などが表示される。インターフェース部110は、センサ本体120と通信を行い、センサ本体120から離間した位置にあっても、侵入物の検知結果や監視状況を確認することができる。
【0032】
次に、本発明による監視システムの特徴部分の構成について、
図3〜
図7を用いて以下に説明する。
【0033】
<監視システム1>
図3は、
図2のエリア監視センサ10を含む監視システム1の構成例を示したシステム図である。この監視システム1は、監視エリア2内の侵入物を検知して停止信号を生成するエリア監視センサ10と、設定データを生成する設定データ作成装置20とにより構成される。エリア監視センサ10と設定データ作成装置20とは、通信ケーブル4を介して接続される。
【0034】
設定データ作成装置20は、パーソナルコンピュータなどの端末装置であり、画面表示部21、キーボード22及びマウス23を備え、エリア監視センサ用のアプリケーションプログラムがインストールされている。設定データは、監視エリア2を指定するエリア設定情報と、エリア監視センサ10の動作条件を指定する動作設定情報とにより構成される。
【0035】
例えば、監視エリア2は、2以上の頂点の2次元位置をそれぞれ指定することによって特定される。また、動作条件には、侵入検知の分解能及び応答時間と、OSSDの出力形態、EDM(外部デバイスモニター)機能の有効又は無効などがある。設定データ作成装置20は、ユーザ操作に基づいて設定データを生成し、エリア監視センサ10へ送信する。生成された設定データは、設定データ記憶部24内に保持される。
【0036】
エリア監視センサ10は、設定データ作成装置20から受信した設定データを登録設定データとして登録設定記憶部130内に保持する。このエリア監視センサ10では、登録設定データを符号化することによってチェックコードを生成し、画面表示部111に表示する動作が行われる。登録設定データの符号化には、予め定められた誤り検出符号化の方法が用いられる。また、登録設定データが更新されれば、チェックコードも更新される。このため、チェックコードを見れば、監視エリア2又は動作条件が変更されたか否かを識別することができる。
【0037】
特に、チェックコードは、登録設定データを符号化することによって生成されるため、登録設定データとして記憶された設定データを表示する場合に比べ、監視エリア又は動作条件が変更されたか否かを容易に識別することができる。
【0038】
例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)による符号化の方法が登録設定データの符号化に用いられる。CRCは、誤り検出符号化処理の一つであり、任意の長さのデータ列を入力とし、予め指定された桁数の整数値又は実数値を出力する。また、CRCは、出力値から元のデータ列を復元することができない不可逆変換である。具体的には、入力値を予め指定された除数により除算した際の余りがCRC値として出力される。
【0039】
CRCによる符号化の方法は、チェックサムやパリティチェックによる符号化の方法よりも検出精度が高く、異なる入力値を同一の出力値に対応づける事象が生じ難い。このため、登録設定データの符号化にCRCを用いることにより、チェックサム又はパリティチェックを用いる場合に比べ、設定データが変更されたにもかかわらずチェックコードが一致し、設定データが変更されていないと誤って識別することを抑制することができる。
【0040】
また、CRCによる符号化の方法は、入力値の変更に対する出力値の変化の規則性を読み解くことが困難であるため、故意に異なる設定で同一のコードとなるように設定することが困難である。このため、例えば、安全スキャナや安全ライトカーテンのような安全光電スイッチの設定を管理する上で好適である。
【0041】
ここでは、エリア設定情報が頂点の2次元位置をそれぞれ示す4つの設定データD11〜D14からなり、動作設定情報が、分解能、応答時間及びOSSD出力形態と、EDM機能の有効又は無効とをそれぞれ示す4つの設定データD2〜D5からなるものとする。チェックコードは、これらの設定データD11〜D14及びD2〜D5からなるデータ列に基づいて作成される。
【0042】
この例では、16進数を用いて表された4桁の整数値「548A」からなるチェックコードが作成され、エリア監視センサ10の画面表示部111と、当該エリア監視センサ10に接続された設定データ作成装置20の画面表示部21とに表示されている。エリア監視センサ10に接続されていない設定データ作成装置20には、上記チェックコードとは異なるチェックコード「F123」が表示されている。この様に設定データの内容が異なれば、異なるチェックコードが得られる。
【0043】
ユーザは、設定データを作成し、或いは、編集した際に、チェックコードを記憶し、或いは、用紙に書き写しておくことにより、その後、設定データの内容が変更されたか否かをチェックコードによって識別することができる。具体的には、チェックコードが一致していれば、設定データの内容に変化はないと判断することができる。一方、チェックコードが一致していない場合には、設定データの内容が変更されたと判断することができる。
【0044】
例えば、監視エリア2を規定する頂点の位置データが20ビットに量子化されている場合、組み合わせの数が2
20通りであることから、頂点の位置データをそのまま表示しても位置データが変更されたか否かを識別するのは容易ではない。これに対し、頂点の位置データを符号化することにより、16進数で表される2桁の整数値を対応づけ、これをチェックコードとして表示すれば、組み合わせの数は2
8通りに過ぎないことから、変更の有無を容易に識別することができる。
【0045】
特に、CRCの場合、ビット数の削減などによる単純なデータ圧縮とは異なり、位置データにおける僅かな変化であっても、チェックコードは大きく異なる。このため、設定データが変更されたか否かが判り易い。
【0046】
<監視エリア2>
図4は、
図2のエリア監視センサ10の動作の一例を模式的に示した説明図であり、カメラ122の撮影方向5及び検出光の走査範囲6と対象物Bとの位置関係が示されている。エリア監視センサ10は、水平な床面などに設置される。監視エリア2は、水平面上に座標軸を定めることによって指定される。
【0047】
例えば、エリア監視センサ10を中心とし、エリア監視センサ10の前後方向をY軸、Y軸と直交する左右方向をX軸とする直交座標が定められ、監視エリア2は、座標軸ごとの座標成分を用いて指定される。この例では、エリア監視センサ10を頂点の一つとする五角形状の領域が監視エリア2として指定されている。
【0048】
検出光は、エリア監視センサ10を中心とする径方向の外側に向けて出射され、水平面に沿って周方向に走査される。エリア監視センサ10では、角度180°を超える走査範囲6を監視することができる。
【0049】
対象物Bは、機械設備や建屋の壁である。対象物Bによって反射された検出光を受光することにより、エリア監視センサ10から対象物Bまでの距離が求められる。例えば、対象物Bまでの距離は、検出光のTOF(Time Of Flight:飛行時間)を計測することによって求められる。
【0050】
カメラ122は、エリア監視センサ10の上方から見て、Y軸よりも右側の領域に撮影方向5が向けられている。カメラ122により撮影されたカメラ画像を画面表示部111に表示することにより、監視エリア2と対象物Bとの位置関係を確認することができる。なお、カメラ121は、エリア監視センサ10の上方から見て、Y軸よりも左側の領域に撮影方向5が向けられている。
【0051】
<カメラ画像31>
図5は、
図2のエリア監視センサ10の動作の一例を示した図であり、モニター画面30に表示されるカメラ画像31が示されている。この図には、右側カメラ(カメラ122)により撮影されたカメラ画像31が示されている。モニター画面30は、ライブ映像を表示する監視画面であり、画面表示部111に表示される。
【0052】
このモニター画面30には、カメラ画像31又は後述するスキャナ画像のいずれか一つが表示される。カメラ画像31は、右側カメラにより生成されたカメラ画像を縮小することによって得られる表示画像であり、カラーの動画像からなる。スキャナ画像は、スキャン面3における対象物Bの位置を示す測距線により構成される線画像である。
【0053】
また、モニター画面30には、チェックコードの表示欄35が設けられ、また、カメラ画像31の表示欄よりも下側に切替ボタン32、履歴ボタン33及びメニューボタン34が表示されている。表示欄35には、登録設定データに基づいて生成されたチェックコードが表示される。
【0054】
チェックコードは、エリア監視センサ10の運転中、常時表示される。すなわち、少なくとも検出光を走査させながら監視エリア2を監視している状態では、チェックコードが画面表示部111の表示が継続される。例えば、ユーザの電源投入操作によって主電源がオン状態に移行したときから、主電源がオフ状態へ移行するまでの間、チェックコードの表示が継続される。
【0055】
或いは、検出光を走査させながら監視エリア2を監視する運転モードと、設定データを設定するための設定モードとの間で動作モードが切替可能である場合に、運転モード中は、チェックコードの表示が継続され、ユーザの切替操作によって動作モードが設定モードに切り替えられれば、チェックコードの表示が終了される。この様に構成することにより、ユーザは、何ら確認のための操作を行わなくても、エリア設定情報及び動作設定情報からなる設定データが変更されたか否かを確認することができる。なお、チェックコードを表示するのか、或いは、非表示とするのかは、ユーザが任意に指定することができる。
【0056】
切替ボタン32、履歴ボタン33及びメニューボタン34は、いずれも動作状態に応じて異なる各種機能が割り当てられる操作アイコンであり、操作部113の操作ボタンにそれぞれ対応づけられている。切替ボタン32には、カメラ画像31及びスキャナ画像間で表示対象を変更する機能が割り当てられ、操作部113の操作ボタンを操作することによって該当する機能を実行させることができる。
【0057】
履歴ボタン33には、検知履歴として記憶されたカメラ画像を表示する機能が割り当てられ、操作部113の操作ボタンを操作することによって該当する機能を実行させることができる。すなわち、検知履歴を選択すれば、OSSDがオフ状態に移行する際に取得されたカメラ画像、侵入物の位置、検知時刻などを検知履歴として表示することができる。メニューボタン34には、メニュー画面を表示する機能が割り当てられ、操作部113の操作ボタンを操作することによって該当する機能を実行させることができる。
【0058】
このカメラ画像31には、スキャン面3における対象物Bの位置を示す測距線7と、監視エリア2を示す枠線8とが重畳されている。測距線7は、スキャン面3の境界線を示す図形である。この測距線7は、対象物Bまでの距離と検出光の走査角とに基づいて、対象物Bの3次元空間内における位置を特定し、その3次元位置とカメラ121又は122の画角との位置関係に基づいて、対象物Bのカメラ画像31における2次元位置を特定することにより、表示される。
【0059】
例えば、測距線7は、多数のドットにより構成され、対象物Bまでの距離に応じて、ドットの大きさ及び配列ピッチが異なる。この例では、距離が遠いほど、ドットを小さくし、かつ、配列ピッチを拡げている。この様に構成することにより、カメラ画像31を表示した際に、スキャン面3上の測距線7について遠近感を得易くすることができる。
【0060】
枠線8は、スキャン面3における監視エリア2の位置を示す図形である。枠線8は、監視エリア2の3次元空間内における位置を特定し、その3次元位置とカメラ121又は122の画角との位置関係に基づいて、監視エリア2のカメラ画像31における2次元位置を特定することにより、表示される。
【0061】
この様な枠線8を測距線7とともにカメラ画像31上に表示することにより、監視エリア2と測距線7との位置関係を確認することができるので、所望のエリアが監視エリア2として適切に設定されているか否かを容易に識別することができる。
【0062】
<スキャナ画像40>
図6は、
図2のエリア監視センサ10の動作の一例を示した図であり、モニター画面30に表示されるスキャナ画像40が示されている。スキャナ画像40は、スキャン面3における対象物Bの位置を示す測距線45により構成される表示画像であり、対象物Bまでの距離と検出光の走査角とに基づいて生成される。また、スキャナ画像40は、検出光の走査周期に同期して更新される動画像からなる。
【0063】
このスキャナ画像40には、エリア監視センサ10を中心とする座標軸41及び42と、非走査領域43及び監視領域44とが重畳されている。座標軸41は、エリア監視センサ10の左右方向に延びるX軸である。座標軸42は、エリア監視センサ10の前後方向に延びるY軸である。座標軸41及び42には、1000mmごとの距離目盛が付加されている。非走査領域43は、走査可能な範囲外であることを示す。監視領域44は、監視エリア2に対応し、領域内の侵入物が検知される。
【0064】
この様なスキャナ画像40を表示することにより、スキャン面3における対象物Bの位置が測距線45によって示されるので、エリア監視センサ10が正しく設置されているか否かの設置状況を容易に確認することができる。
【0065】
このモニター画面30にもチェックコードの表示欄35が表示され、設定データが変更されたか否かを確認することができる。また、監視領域44の4つの頂点C1〜C4がスキャナ画像40上に表示されている。監視エリア2は、頂点C1〜C4の座標成分をそれぞれ指定することにより、特定される。
【0066】
<センサ本体120>
図7は、
図2のセンサ本体120内の機能構成の一例を示したブロック図である。このセンサ本体120は、登録設定記憶部130、投光制御部131、投光部132、走査部133、ロータリーエンコーダ134、受光部141、距離算出部142、侵入検知部143、スキャナ画像生成部144、カメラ画像記憶部151、画像縮小部152、検知履歴生成部153、検知履歴記憶部154、チェックコード生成部161及び設定データ取得部162により構成される。
【0067】
設定データ取得部162は、設定データ作成装置20との通信を行い、設定データ作成装置20から設定データを取得する。登録設定記憶部130は、取得されたエリア設定情報及び動作設定情報からなる設定データを登録設定データとして保持し、設定データ作成装置20から新たな設定データが取得された場合に、当該設定データによって登録設定データを更新する。
【0068】
投光部132は、検出光を生成し、走査部133に向けて出射する光源装置である。走査部133は、回転軸を中心とし、回転軸と交差するスキャン面3に沿って検出光を周方向に走査させるスキャナであり、投光部132から入射される検出光を対象物Bに向けて反射するミラー(図示せず)やミラーを回転させる駆動部により構成される。
【0069】
受光部141は、対象物Bによって反射された検出光を受光し、検出信号を生成する。ロータリーエンコーダ134は、走査部133のミラーの回転角を検出し、回転パルス信号を生成する回転検出装置である。投光制御部131は、ロータリーエンコーダ134の回転パルス信号に基づいて、投光部132を制御し、検出光の投光タイミングを調整する。例えば、ミラーが360°/1000だけ回転するごとに、検出光が出射される。
【0070】
距離算出部142は、受光部141からの検出信号に基づいて、対象物Bまでの距離を求め、その計測結果を侵入検知部143及びスキャナ画像生成部144へ出力する。具体的には、検出信号をロータリーエンコーダ134の回転パルス信号と比較し、検出光を投光したときから受光されるまでの遅延時間を特定することにより、対象物Bまでの距離が算出される。投受光の遅延時間は、検出光が出射されるごとに計測される。
【0071】
侵入検知部143は、登録設定データ、対象物Bまでの距離及び検出光の走査角に基づいて、監視エリア2内の侵入物を検知し、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成する。検出光の走査角は、ロータリーエンコーダ134の回転パルス信号に基づいて、特定される。また、対象物Bが監視エリア2内に存在するか否かは、対象物Bまでの距離と検出光の走査角とから対象物Bの2次元位置を特定することによって判別される。停止信号は、インターフェース部110を介して外部機器へ出力される。
【0072】
スキャナ画像生成部144は、対象物Bまでの距離及び検出光の走査角に基づいて、スキャン面3における対象物Bの位置を示す測距線45により構成されるスキャナ画像40を生成する。また、スキャナ画像生成部144は、検出光の走査周期に同期して、スキャナ画像40を更新する。スキャナ画像40は、インターフェース部110の画面表示部111へ出力される。
【0073】
カメラ121及び122は、監視エリア2を撮影し、静止画像又は動画像からなるカメラ画像を生成する。カメラ画像記憶部151は、カメラ121及び122により生成されたカメラ画像を順次に記憶するとともに、撮影時刻の古いカメラ画像が定期的に消去される記憶装置である。例えば、カメラ画像記憶部151は、リングバッファにより構成され、記憶領域がカメラ画像で満たされれば、撮影時刻が古いカメラ画像から順に新たに撮影されたカメラ画像によって上書きされる。
【0074】
検知履歴生成部153は、監視エリア2内の侵入物が検知された際に撮影されたカメラ画像をカメラ画像記憶部151から読み出し、当該カメラ画像と侵入検知部143による検知情報とに基づいて、検知履歴を生成する。検知履歴記憶部154には、監視エリア2内の侵入物が検知された時刻を挟んで撮影された一定の時間長の動画像からなるカメラ画像と、侵入物の位置を示す位置情報とが検知履歴として記憶される。
【0075】
画像縮小部152は、カメラ画像記憶部151又は検知履歴記憶部154から読み出したカメラ画像を縮小することにより、表示用のカメラ画像を生成する。表示用のカメラ画像は、インターフェース部110の画面表示部111へ出力される。この表示用のカメラ画像には、スキャン面3における対象物Bの位置を示す測距線7と、監視エリア2を示す枠線8とが表示される。また、表示用のカメラ画像の表示倍率は、カメラ画像記憶部151又は検知履歴記憶部154から読み出したカメラ画像を縮小して表示用のカメラ画像を作成する際の縮小率を調整することにより、変更することができる。
【0076】
検知履歴として記憶されたカメラ画像から得られる表示用のカメラ画像には、侵入物の位置が図形又はシンボルによって表示される。例えば、侵入物の位置が測距線7によって表示される。この様に構成することにより、監視エリア2内に侵入した侵入物をカメラ画像によって容易に確認することができる。
【0077】
チェックコード生成部161は、登録設定記憶部130内に保持された登録設定データに基づいて、チェックコードを生成し、インターフェース部110の画面表示部111へ出力する。画面表示部111は、チェックコードをモニター画面30内に表示する。チェックコード生成部161は、設定データ作成装置20から取得した設定データによって登録設定データが更新されれば、更新後の登録設定データに基づいて、新たなチェックコードを生成する。
【0078】
本実施の形態によれば、チェックコードを見れば、監視エリア2又はエリア監視のための動作条件が変更されたか否かを識別することができる。特に、チェックコードは、登録設定データを符号化することによって生成されるため、登録設定データとして記憶された設定データを表示する場合に比べ、情報量が少ないことから、監視エリア2又は動作条件が変更されたか否かを容易に識別することができる。
【0079】
実施の形態2.
実施の形態1では、エリア監視センサ10においてチェックコードが生成される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、設定データ作成装置20が生成したチェックコードを設定データに関連づけてエリア監視センサ10へ送信する場合について説明する。
【0080】
<設定データ作成装置20>
図8は、本発明の実施の形態2による設定データ作成装置20の構成例を示したブロック図である。この設定データ作成装置20は、設定データ記憶部24、操作部25、設定データ生成部26、チェックコード生成部27及び通信部28により構成される。
【0081】
操作部25は、キーボード22又はマウス23の操作に基づいて、操作信号を生成し、設定データ生成部26へ出力する。設定データ生成部26は、ユーザ操作に基づいて、設定データを生成し、設定データ記憶部24内に格納する。チェックコード生成部27は、設定データ記憶部24内の設定データに基づいて、チェックコードを生成し、設定データ記憶部24内に格納する。
【0082】
チェックコードは、予め定められた誤り検出符号化の方法を用いて設定データを符号化することによって作成される。設定データ記憶部24には、チェックコードが設定データに対応づけて保持される。
【0083】
通信部28は、エリア監視センサ10との通信を行い、設定データとともにチェックコードをエリア監視センサ10へ送信する。チェックコード生成部27は、新たな設定データが生成された場合に、当該設定データに基づいて、新たなチェックコードを生成する。通信部28は、新たな設定データが生成されるごとに、当該設定データに関連づけてチェックコードをエリア監視センサ10へ送信する。
【0084】
エリア監視センサ10では、設定データ作成装置20から受信した設定データ及びチェックコードが登録設定データとして登録設定記憶部130に記憶される。また、インターフェース部110の画面表示部111は、登録設定記憶部130に登録設定データとして保持されたチェックコードを表示する。また、登録設定記憶部130は、設定データ作成装置20から新たな設定データ及びチェックコードを受信した場合に、当該設定データ及びチェックコードによって登録設定データを更新する。
【0085】
本実施の形態によれば、設定データ作成装置20から新たな設定データ及びチェックコードを受信すれば、登録設定データとして記憶されたチェックコードが更新されるため、チェックコードを見れば、監視エリア2又はエリア監視のための動作条件が変更されたか否かを識別することができる。特に、チェックコードは、設定データを符号化することによって生成されるため、登録設定データとして記憶された設定データを表示する場合に比べ、監視エリア2又は動作条件が変更されたか否かを容易に識別することができる。また、エリア監視センサ10ではチェックコード生成手段が不要であるため、エリア監視センサ10の構成を簡素化することができる。
【0086】
なお、実施の形態1では、エリア監視センサ10の運転中、チェックコードが常時表示される場合の例について説明したが、本発明は、チェックコードの表示形態をこれに限定するものではない。例えば、エリア監視センサ10は、主電源が投入されたときから、予め定められた確認期間が終了するまで、チェックコードの表示を継続し、確認期間が終了した後、チェックコードの表示を終了するような構成であっても良い。確認期間は、主電源がオン状態に移行してから、一定時間が経過するまでの期間である。或いは、確認期間は、主電源がオン状態に移行してから、ユーザ操作が検知されるまでの期間である。
【0087】
この様に構成することにより、ユーザは、主電源を投入した後に、何ら確認のための操作を行わなくても、エリア設定情報及び動作設定情報からなる設定データが変更されたか否かを確認することができる。また、確認期間が終了した後、チェックコードの表示は自動的に終了されるので、画面表示部111がチェックコードの表示に占有され、カメラ画像31又はスキャナ画像40の見づらい状態が継続するのを防止することができる。
【0088】
或いは、エリア監視センサ10は、ユーザ操作に基づいて、チェックコードを表示するような構成であっても良い。ユーザがエリア監視センサ10を操作している場合、画面表示部111を注視している可能性が高い。このため、ユーザ操作をトリガーとしてチェックコードを表示することにより、監視エリア2又は動作条件が変更されたことをユーザに気づかせ易い。
【0089】
また、実施の形態1では、CRCによる符号化の方法を用いてチェックコードが作成される場合の例について説明したが、本発明は、チェックコードを得るための符号化の方法をこれに限定するものではない。例えば、チェックサム又はパリティチェックによる符号化の方法を用いてチェックコードを生成するような構成であっても良い。
【0090】
チェックサムは、誤り検出符号化処理の一つであり、データ列を構成するビット値を加算した際の加算値をチェックコードとする。パリティチェックは、誤り検出符号化処理の一つであり、データ列を構成するビット値のうち、予め指定されたビット値の数が偶数であるのか、或いは、奇数であるのかを示す偶奇情報をチェックコードとする。また、ハッシュ(hash)関数を用いて登録設定データを符号化することにより、チェックコードを生成するような構成であっても良い。ハッシュ関数は、予め指定されたキー(key)を用いてデータ列を符号化してハッシュ値を得る暗号化処理である。
【0091】
また、実施の形態1及び2では、エリア監視センサ10がビットマップを表示可能な画面表示部111を有する場合の例について説明したが、本発明は、エリア監視センサ10の構成をこれに限定するものではない。例えば、エリア監視センサ10は、1桁の7セグメント式ディスプレイを有し、このディスプレイにチェックコードを1桁ずつ順次に表示するような構成であっても良い。また、エリア監視センサ10は、複数桁の7セグメント式ディスプレイを有し、このディスプレイにチェックコードを表示するような構成であっても良い。
【0092】
また、実施の形態1及び2では、エリア監視センサ10が光走査型のセーフティセンサである場合の例について説明したが、本発明は、エリア監視センサ10の構成をこれに限定するものではない。例えば、複数の発光素子が直線状に配置された投光器と、複数の受光素子が直線状に配置された受光器とを備え、投光器及び受光器を互いに対向させて配置し、投光器及び受光器によって挟まれた領域を監視するエリア監視センサにも本発明は適用することができる。