(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454531
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】分散供給装置とそれを搭載した組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
G01G19/387 C
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-250887(P2014-250887)
(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-114375(P2016-114375A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 文雄
【審査官】
細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−064734(JP,U)
【文献】
特開2010−243362(JP,A)
【文献】
実開平06−065342(JP,U)
【文献】
特開平05−319549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置中央に配置されて、周縁へと物品を分散させる円錐形状の分散フィーダと、その周囲に放射状に配列されて、前記分散フィーダから供給される前記物品をさらに周縁へと搬送する複数の放射フィーダとを備えた分散供給装置であって、底面の直径が前記分散フィーダの直径よりも小さく、かつ、前記物品を斜面に滞留させない頂角に設定された円錐体を前記分散フィーダの頭頂部に移動自在に被せて、前記分散フィーダの振動によって前記円錐体を前記分散フィーダの頭頂部を中心として旋回させるようにしたことを特徴とする分散供給装置。
【請求項2】
前記頭頂部には、突起が設けられ、その上に被せられた前記円錐体は、前記突起を内側に抱いた状態で該突起を中心として傾斜状態で旋回するものである請求項1に記載の分散供給装置。
【請求項3】
前記円錐体の底面の直径は、前記突起を内側に抱いた状態で前記分散フィーダからはみ出さない範囲に設定されている請求項2に記載の分散供給装置。
【請求項4】
前記円錐体の頂角は、前記分散フィーダ上で傾斜状態となった円錐体の上側斜面に物品が滞留しない角度に設定されている請求項1乃至3の何れかに記載の分散供給装置。
【請求項5】
前記円錐体は、前記分散フィーダ上に堆積した物品に押し負けない程度の質量である請求項1乃至4の何れかに記載の分散供給装置。
【請求項6】
前記円錐体は、ポリウレタンシートで形成されたものである請求項1乃至5の何れかに記載の分散供給装置。
【請求項7】
前記物品は、前記分散フィーダの頭頂部に向けて上方から供給される請求項1乃至6の何れかに記載の分散供給装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の分散供給装置を上段に配置し、下段にその分散供給装置を取り囲むように複数のホッパを配列して、前記分散供給装置から各ホッパへ物品を個別に供給するようにしたことを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項9】
請求項8の組合せ計量装置において、前記各放射フィーダは、電磁バイブレータと、その上に取り付けられる扇状のトラフとを備え、前記各トラフは、振動によって前記物品を搬送する搬送面と、該搬送面の両サイドに形成された側壁とを備え、それらの側壁は、隣のトラフの隣接する側の側壁と上下に非接触で重なって、各トラフがそれぞれの側壁を介して非接触な連鎖状態とされ、さらに前記各トラフの先端部には、前記ホッパの供給口の内側に臨む下り傾斜板が設けられ、前記各トラフの両サイドの側壁は、隣接する各ホッパ間の上方まで延長し、それらの延長部には、前記ホッパの供給口の内側に臨む下り傾斜板がそれぞれ設けられている組合せ計量装置。
【請求項10】
前記ホッパの供給口の内側には、前記傾斜板から落下してくる物品をホッパ内に案内する漏斗状の囲いが着脱可能に取り付けられている請求項9に記載の組合せ計量装置。
【請求項11】
前記各囲いは、隣接の囲いと互いの側面で接してリング状に連なるとともに、各側面の上縁は、上下にオーバーラップして稜線を形成し、その稜線と、その上方に位置する前記延長部とは、互いに周方向に所定角度ずれている請求項10に記載の組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を分散させながら複数のホッパに物品を個別に供給する分散供給装置とそれを搭載した組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパーマーケット等では、サラダ用のカット野菜やキャベツの千切り等を袋詰めにした商品が販売されているが、こうした商品は、内容量を一定にするために、組合せ計量装置で一定量に計量されている。
【0003】
組合せ計量装置は、周知のように、装置中央上部に供給された物品を分散供給装置で複数の経路に分散させた後、各経路の計量ホッパで物品の質量を計量し、得られた各質量を組合せて所定質量となる物品の組合せを選択し、選択された物品を該当する計量ホッパから排出収集することによって所定質量の物品を得るようにしたものである。
【0004】
ところで、袋詰めにされたカット野菜、特にキャベツの千切りやもやし等のように、長くて絡み易い物品になると、通常の組合せ計量装置に使用される分散供給装置では分散しないことがある。そのため、この種の物品に対しては、下記特許文献に記載の装置を使用して分散させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開5−256691号公報
【特許文献2】特開2014−139552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、これらの特許文献に記載の分散供給装置を使用しても、大小二段重ねになった円錐形状の分散フィーダの頭頂部にキャベツの千切りやもやし等が乗ってしまうと、分散フィーダの振動強度を最強にしても、頭頂部に乗った物品は、振動を吸収して簡単には解れず、それに起因して、分散フィーダの周囲に配置された各放射フィーダへの物品の供給量に粗密が生じ、それによって組合せ不成立となる確率が高くなる問題があった。
【0007】
本発明は、こうした振動を吸収し易い物品であっても、それを確実に分散供給することのできる新たな分散供給装置と、それを搭載した組合せ計量装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る分散供給装置は、装置中央に配置されて、周縁へと物品を分散させる円錐形状の分散フィーダと、その周囲に放射状に配列されて、分散フィーダから供給された前記物品をさらに周縁へと搬送する複数の放射フィーダとを備えた分散供給装置であって、底辺の直径が前記分散フィーダの直径よりも小さく、かつ、前記物品を斜面に滞留させない頂角に設定された円錐体を前記分散フィーダに移動自在に被せて、前記分散フィーダの振動によって前記円錐体を分散フィーダの頭頂部を中心として旋回させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
この円錐体は、耐摩耗性、衝撃吸収性にも優れた、例えば、ポリウレタンシートのような柔軟な素材、例えば、バンコラン(登録商標)等を使用して、分散フィーダの直径よりも小径の急峻な円錐形状に形成したもので、内部は空洞になっている。これをなだらかな円錐形状の分散フィーダの頭頂部に移動自在に被せておく。この頭頂部には、突起が設けられ、その上に被せられた中空状の円錐体は、その突起を内側に抱いた状態で、その頭頂部を乗り越えずに、その突起を中心として傾斜状態で旋回する。そのため、円錐体の直径は、その突起を内側に抱いた状態、すなわち、円錐体の内側縁部がその突起に引っ掛かった状態で分散フィーダからはみ出さない範囲に設定されている。また、円錐体の質量は、分散フィーダに堆積した物品に押し負けない程度であるのが好ましい。さらに円錐体の頂角は、傾斜状態の円錐体の斜面に物品を滞留させない角度、例えば、鋭角であるのが好ましい。
【0010】
一方、円錐形状の分散フィーダは、上下方向の螺旋状往復運動を繰り返して、そこに供給された物品を周縁の放射フィーダへと分散させる。そのため、頭頂部に被せられた円錐体は、分散フィーダの振動によって頭頂部の回りを旋回する。その際、円錐体は、分散フィーダの斜面に沿って傾斜姿勢のまま旋回する。そこに物品が上方から供給されると、物品は急斜面となった円錐体に当たってバラケながら分散フィーダ上に堆積する。しかし、円錐体は、分散フィーダの振動によって旋回するため、分散フィーダ上に堆積した物品は旋回する円錐体に押されて下流側の放射フィーダへと漸次排出されていく。そのため、絡み易く、振動を吸収するようなカット野菜、例えば、キャベツの千切り等のような物品であっても、それらは、分散フィーダの振動と、それによって旋回する円錐体とによって、強制的に周囲の放射フィーダへと送り出されていく。したがって、分散フィーダ上には、物品は滞留しなくなる。なお、物品は、分散フィーダの頭頂部に向けて上方から供給されるから、供給された物品は、円錐体の側面に当たってバラケルようになっている。
【0011】
本発明に係る組合せ計量装置は、前記分散供給装置を上段に配置し、下段にその分散供給装置を取り囲むように複数のホッパを配列して、前記分散供給装置から各ホッパへ物品を個別に供給するようにしたことを特徴とする。
【0012】
各放射フィーダは、個別に振動する電磁バイブレータと、その上に取り付けられた扇状のトラフとを備える。また、各トラフは、物品を搬送する搬送面と、その両サイドに形成された側壁とを備える。そして、それらの側壁は、隣のトラフの隣接する側壁と上下に非接触に重なり、それを各トラフで繰り返すことによって、各トラフが各々の側壁を介して非接触な連鎖状態となっている。これにより、平面視でドーナツ状の一連の放射フィーダが受け皿となって、中央の分散フィーダから送り出される物品を受け取り、これを下流の各ホッパへと搬送していく。
【0013】
また、各トラフの先端部には、ホッパの供給口の内側に臨む下り傾斜板が設けられ、そのトラフの両サイドにある側壁は、隣接する各ホッパ間の上方まで延長し、その延長部には、ホッパの供給口に臨む下り傾斜板が設けられている。これにより、物品がトラフの先端部に到達したり、そこを通り越して側壁の延長部まで到達したりしても、物品は、ホッパの供給口に向けて排出される。そのため、キャベツの千切りように、長く絡まった物品であっても、それが落下するときには、傾斜板にガイドされて確実にホッパ内に落下していく。
【0014】
また、各ホッパの供給口の内側には、前記傾斜板から落下してくる物品をホッパ内に案内する漏斗状の囲いが着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。この囲いは、平面視が台形の漏斗状に形成され、しかも、それぞれの囲いは、隣接の囲いと互いの側面で接してリング状に連なっている。そして、各側面の上縁は、上下にオーバーラップして稜線を形成し、その稜線と、その上方に位置する各放射トラフの延長部とは、互いに周方向に所定角度ずれて、物品が延長部の先端部から落下してきても、稜線上には落下せずに、直下のホッパ内に落下するようになっている。これにより、分散供給装置から送られてきた物品は、漏斗状の囲いにも引っ掛からずに確実にホッパ内に供給される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、急峻な円錐体を分散フィーダの頭頂部に移動自在に被せて、それを分散フィーダの振動によって分散フィーダ上を旋回させるようにしたから、振動を吸収する絡み易い物品であっても、それを旋回する円錐体が周囲へ強制的に押し出して、分散フィーダ上に物品を滞留させない効果がある。しかも、円錐体は、分散フィーダ上に被せただけのものであるから、その洗浄も極めて容易である。
【0016】
また、本発明に係る組合せ計量装置によれば、分散フィーダ上に物品を滞留させないから、その周囲に配置された各放射フィーダへの供給量も平均化され、それにより、組合せ不成立の確率を減少させて、装置の稼働率を向上させることができる。また、物品を滞留させないから、特に生鮮食品に好適な組合せ計量装置とすることができる。
【0017】
また、各放射トラフの先端部と両サイドの側壁の延長部には、物品をホッパ内に案内する傾斜板を設け、さらに各ホッパの供給口には、ホッパへ投入される物品をホッパ内へ案内する漏斗状の囲いを設けたから、繊維状の絡み易い物品であっても、それをホッパの上縁に付着させずに確実にホッパ内に供給する効果がある。
【0018】
加えて、下段の各囲いと、上段の各延長部とを互いに周方向に所定角度ずらしたから、物品が延長部の先端部から落下してきても、隣接する囲いの境界部分上には落下せずに、直下のホッパ内に落下する。したがって、分散供給装置から送られてきた物品は、漏斗状の囲いにも引っ掛からずにホッパ内に供給される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る組合せ計量装置の概略の外観斜視図。
【
図3】本発明に係る分散供給装置の一実施形態の部分外観構成図。
【
図5】上記実施形態の分散フィーダと囲いの平面配置を示す部分平面図。
【
図6】
図5の分散フィーダと囲いを側面から見た部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係る組合せ計量装置の一実施形態と、そこに搭載される分散供給装置の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0021】
図1、
図2において、組合せ計量装置Wは、上段に配置される分散供給装置1と、その下段に配置される駆動部Dと、駆動部Dの周囲に等間隔に配列される複数のホッパHと、各ホッパHから排出される物品を収集する集合シュートCと、駆動部Dを支持する4本の支持脚Lと、支持脚Lを支持する本体Bとを備えている。
【0022】
分散供給装置1は、
図2、
図3に示すように、中央の分散フィーダ2と、その周囲に放射状に配列される複数の放射フィーダ3と、分散フィーダ2に移動自在に被せられる円錐体4とを備える。また、分散フィーダ2は、エンボス加工が施されたステンレス製の円錐形状の分散テーブル20と、その分散テーブル20を上下方向に螺旋状往復運動させる電磁バイブレータ21とで構成されている。また、各放射フィーダ3は、同じくエンボス加工が施されたステンレス製の扇状のトラフ30と、該トラフ30を放射方向に個別に振動させて、トラフ30上の物品をホッパH側へ搬送する電磁バイブレータ31とで構成されている。なお、分散テーブル20を上下方向に螺旋状往復運動させる機構や、トラフ30を放射方向に振動させてトラフ30上の物品を搬送する機構は、周知な構成であるから、図では、それらを省略している。また、各電磁バイブレータ21、31は、防水カバー5で覆われて密封され、分散フィーダ2は、荷重検出器23に支持されて、分散フィーダ2上に供給された物品の質量を検出するようになっている。
【0023】
円錐体4は、
図4に示すように、ポリウレタンシート等の柔軟な素材、例えば、バンコラン(登録商標)を円錐形状に丸めて内部を空洞にしたもので、頂角は鋭角に形成され、底辺の直径は、分散テーブル20の直径よりも小径に形成されている。これを分散テーブル20の頭頂部に被せると、円錐体4は、分散テーブル20の振動によって、
図3に示すように、頭頂部の突起、すなわち、ボルト22の頭部を中心として分散テーブル20上を矢印方向Fに旋回する。そのため、分散テーブル20上に堆積した物品は、円錐体4の底部に押されて周縁の放射フィーダ3へと排出されていく。
【0024】
各ホッパHの内側に配置された駆動部Dには、各ホッパHを支持する支持機構が取り付けられ、その内部には、各ホッパHのゲートを開閉させる図示しないモータと、下段の計量ホッパWHに投入された物品の質量を検出する荷重検出器と、検出された荷重信号をデジタル量に変換する信号処理回路とが収納されている。また、各ホッパHは、何れもエンボス加工が施されたステンレス板で構成され、上段のホッパHは、物品を一時的に保持するプールホッパPHとされ、下段のホッパHは、物品の質量を検出する計量ホッパWHとされている。そして、これらのホッパHは、各放射フィーダ3の先端部下方に等間隔に配置されている。これらのホッパHや駆動部Dは、何れも周知な構成であるから、図では、ホッパHの支持機構やゲートGの開閉機構、駆動部Dの内部構造等は、省略している。
【0025】
集合シュートCは、エンボス加工が施されたステンレス製の4つの分割シュートを集合させて漏斗状に形成したもので、各分割シュートは、4本の支持脚Lの間に上下方向に着脱可能に取り付けられている。そして、下段の計量ホッパWHから排出された物品を各分割シュートから下端部の漏斗状シュートC1に集合させ、そこから図示しない包装機に向けて物品を排出するようになっている。また、本体B内には、図示しない電源ユニットが格納されている。
【0026】
図3において、分散フィーダ2の一部をなす分散テーブル20は、なだらかな円錐形状に形成され、その頭頂部には貫通孔が形成され、そこにボルト22が下方の図示しない電磁バイブレータ21の可動部に捻じ込まれている。このボルト22の頭が分散テール20から飛び出ていることにより、円錐体4は、そのボルト22の頭部(突起)を内側に抱いた状態でその突起を中心として傾斜状態で旋回する。
なお、
図3では、中央の分散テーブル2と、手前側の放射フィーダ3と、それに対応させたプールホッパPHと、後述の囲い35を示しているが、これらは
図5に示すように、分散フィーダ2の回りに等間隔に配置される。
【0027】
図3、
図5において、各放射フィーダ3のトラフ30は、物品を搬送する下り傾斜の平坦な搬送面32と、向かって右側に山形状の側壁33aと、向かって左側に隣の側壁33aの下方に潜り込む垂直な側壁33bとを備えている。そして、向かって右側の側壁33aは、それより右側に位置するトラフ30の左側壁33bの上に非接触状態で重なり、同じく向かって左側の側壁33bは、それより左側に位置するトラフ30の右側壁33aの下に非接触状態で重なっている。こうして、各トラフ30は、それぞれの側壁33a,33bを隣のトラフ30の各側壁33b、33aと上下にオーバーラップして非接触状態でドーナツ状に連なっている。これにより、各放射トラフ30は、一連のドーナツ状の受け皿となり、分散フィーダ2から排出された物品を漏らさず受け取ってプールホッパPHへと個別に搬送するようになっている。
【0028】
各トラフ30の搬送面32の先端部は、プールホッパPHの供給口に臨み、両サイドの側壁33a、33bは、各プールホッパPH間の上方まで延びている。また、搬送面32の先端部には、プールホッパPHの内側に臨む下り傾斜板34が設けられ、両サイドの側壁33a、33bの延長部には、同じくプールホッパPHの供給口に臨む下り傾斜板34a、34bがそれぞれ設けられている。これにより、物品がトラフ30の先端部に到達すると、傾斜板34を滑走してプールホッパPHの供給口に排出される。また側壁33a、33bに沿って搬送されてきた物品が延長部に乗り上げても、それぞれの傾斜板34a、34bを介してプールホッパPHの供給口に排出される。
【0029】
さらに、プールホッパPHの供給口の内側には、
図3、
図5、
図6に示すように、漏斗状の囲い35が着脱可能に取り付けられている。この囲い35は、手前側のホームベース状のプレート35aと、その両サイドに連なる、内側に傾斜した、向かって右側の傾斜プレート35bと左側の傾斜プレート35cと、背面側のプレート35dとで構成されている。さらに、左右の傾斜プレート35b、35cの上縁と、背面側プレート35dの上縁は、上方に位置する傾斜板34、34a、34bの下側に位置している。そして、手前側のプレート35aには、漏斗状の囲い35をプールホッパPHの上縁に引っ掛けるフック36が取り付けられ、この囲い35を持ち上げれば、プールホッパPHから外れるようになっている。なお、
図6に示すように、背面側のプレート35dには、ストッパ37が設けられて、反対側のフック36と協働して、囲い35をプールホッパPHの供給口の上縁に保持するようになっている。また、背面側のプレート35dの上縁は、トラフ32先端部の傾斜板34の下まで伸びている。
【0030】
また、各囲い35の左右の傾斜プレート35b、35cの上縁は、隣の囲い35の左右の傾斜プレート35c、35bの上縁と上下に折り重なってリング状に連なっている。すなわち、
図5において、向かって右から2番目の囲い35の傾斜プレート35b、35cの各上縁38は、両隣の囲い35のそれぞれの傾斜プレート35b、35cの上縁の上に折り重なっている。同様に、右から4番目の囲い35の傾斜プレート35b、35cの各上縁38も、両隣の囲い35のそれぞれの傾斜プレート35b、35cの上縁の上に折り重なっている。こうして、一つ置きの囲い35の両傾斜プレート35b、35cの上縁が両隣の囲い35の傾斜プレート35b、35cの上に重なることにより、プールホッパPH間に物品が零れ落ちないようになっている。
【0031】
また、上に折り重なった傾斜プレート35b、35cの上縁38は、山形に折り曲げられて稜線を形成している。この稜線38(上縁)は、上方に位置する各側壁33a、33bの延長部に対して、周方向に所定角度ずれた位置にそれぞれ配置されている。これにより、例え側壁33aの延長部の先端から物品が落下しても、稜線38上には落下せずに、直下の傾斜プレート35b上に落下するようになっている。また、延長部と連なる傾斜板34bの先端部には、上向きの折り返し部39が形成されているから、物品が延長部から傾斜板34bへ搬送されてきても、折り返し部39が物品の稜線38(上縁)への落下を阻止する。こうして、側壁33aの延長部と稜線38との位相のずれにより、物品が放射フィーダ3の何れに搬送されてきても、プールホッパPH内に確実に投入されるようになっている。
【0032】
なお、
図6において、分散フィーダ2の右側には、
図5で示す放射フィーダ3の左側側壁33bの左側面を示し、左側には、
図5の放射フィーダ3の右側側壁33aの右側面を示す。そして、この図から判るように、右側の側壁33bは、トラフ32と平行な下り傾斜に形成され、それと上下に重なる左側の側壁33aは、特に先端部において、延長部が略水平に形成されている。これにより、例え上下の側壁33a、33b間に物品が挟まっても、それが先端部に搬送されれば、上下に重なる側壁33a、33bの間隔が次第に広がって、物品の挟み込みが解消されるようになっている。
【0033】
運転に際しては、
図2の検出器23が分散フィーダ2上の物品の質量を検出し、その検出量が所定値以下であると、分散フィーダ2の上方に配置された図示しないベルトコンベヤを駆動させる。すると、ベルトコンベヤから物品が分散フィーダ2上に供給され、その供給量が所定値に達すると、ベルトコンベヤが停止制御される。こうして、ベルトコンベヤは、間歇的に駆動されて、分散フィーダ2上に物品が供給されていく。
【0034】
一方、ベルトコンベヤから排出される物品は、分散フィーダ2の頭頂部に向けて排出されるから、ベルトコンベヤから排出された物品は、円錐体4に当たってバラケながら分散フィーダ2上に堆積する。そして、組合せ計量装置Wのサイクル動作に基づいて、分散フィーダ2が振動すると、円錐体4はその振動によって分散フィーダ2上を旋回するから、分散フィーダ2上に堆積した物品は、円錐体4に押されて周囲の放射フィーダ3へと排出されていく。
【0035】
放射フィーダ3は、対応するホッパHが空になると、所定の振幅でもって所定時間駆動され、それによって放射フィーダ2上の物品は、ホッパH側へ順次搬送されていく。そして、物品が放射フィーダ3の先端部に到達するとプールホッパPHに排出される。
【0036】
こうして、プールホッパPHと計量ホッパWHに物品が順次供給され、組合せが成立して計量ホッパWHから物品が排出されると、空になった計量ホッパWHには、上段のプールホッパPHから物品が供給され、空になったプールホッパPHには、それに対応する上段の放射フィーダ3から物品が供給される。
こうしたサイクル動作を繰り返しながら、一定サイクルで組合せ計量動作を繰り返して目標質量の物品を集合シュートCへ排出していく。
【0037】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、他の実施形態も採用可能である。例えば、この実施形態では、円錐体4をポリウレタンシートで形成したが、これに代えて、硬質の樹脂で円錐体4を形成しても良い。この場合も、円錐体4内を空洞にして物品に押し負けない程度の軽さにしておく。また、計量ホッパWHから排出された物品が集合シュートCの内面に付着するのを防止するために、集合シュートCの上縁にエアー吹き付け機構を設けて、滑落する物品の背後からエアーを吹き付けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明によれば、キャベツの千切りのように、振動を吸収して搬送し難い物品であっても、それを確実に分散して下流側へ搬送することができるので、カット野菜等の袋詰め商品を製造する加工食品分野において広く利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 分散供給装置
2 分散フィーダ
3 放射フィーダ
4 円錐体
22 突起(ボルトの頭部)
30 トラフ
31 電磁バイブレータ
32 搬送面
33a 側壁
33b 側壁
W 組合せ計量装置
H ホッパ
34 下り傾斜板
34a 下り傾斜板
34b 下り傾斜板
35 囲い
35b 傾斜プレート(側面)
35c 傾斜プレート(側面)
38 上縁(稜線)