(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された食品加工用台車では、蒸し庫内に食品加工用台車を設置した後、食品加工用台車の蒸気供給パイプを蒸し庫内の蒸気配管に接続するのが手間であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、特に、手間なく被加熱対象を均一に加熱処理できる蒸し庫および加熱処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
請求項1記載の蒸し庫によれば、次の効果を奏する。ケースが載置されるラックは、直方体状に形成される枠体内が区画壁によって鉛直方向に並ぶ複数の収納空間に区画されている。ケースは各収納空間において支持部材によって区画壁とケースの底壁との間に枠体の側面側が開放された隙間が形成された状態で支持される。かかるラックが設置される筐体内には、内部に蒸気の流路が形成され、その途中に蒸気を噴射する噴射口が穿設されるスパージ管が延設される。スパージ管は、筐体内に設置されるラックに対し、噴射口を隙間が開放される開放面に向けた状態で延設される。よって、スパージ管に蒸気が供給されると、スパージ管の噴射口から噴射される蒸気は、開放面を介して隙間に導入され、その隙間からケースの底壁に穿設されている多数の貫通孔を介してケース内に導入される。よって、ラックの中央付近にも蒸気が噴射され、ケース内に収納される被加熱対象が蒸気によって均一に加熱処理される。このように、請求項1記載の蒸し庫によれば、筐体内には、噴射口を隙間の開放面に向けた状態でスパージ管が延設されているので、従来のように、ラック側の蒸気供給パイプに蒸し庫側の蒸気配管を接続する必要がない。従って、手間無く、被加熱対象を均一に加熱処理できるという効果がある。
【0009】
また、筐体内には筐体を貫通して内部に蒸気の流路が形成されるメイン管が延設される。スパージ管は噴射口を開放面に向けた状態で固定部材によって固定される。スパージ管は、メイン管から供給される蒸気を噴射口から噴射させ、メイン管と固定部材とに対して着脱可能に連結される。そのため、スパージ管をメイン管と固定部材とから取り外した状態で、スパージ管の噴射口に詰まった埃や塵を取り除くスパージ管のメンテナンス作業を行える。従って、かかるメンテナンス作業を簡単にできるという効果がある。また、スパージ管をメイン管と固定部材とに連結する場合、スパージ管を固定部材によって噴射口を開放面に向けた状態で固定できるという効果がある。
【0010】
また、メイン管には、スパージ管の一端側が挿脱可能に挿嵌される連結管が備えられている。また、筐体の内面からは、スパージ管の一端側とは反対の他端側と対向する位置にブラケットが延設され、そのブラケットには
第1挿嵌孔
および第2挿嵌孔が穿設される。スパージ管は、一端側が連結管と挿嵌され、他端側は封止部材から
スパージ管の延設方向に突設される
第1突起
および第2突起がブラケットに穿設される
第1挿嵌孔
および第2挿嵌孔の各々と挿嵌される。よって、他端側においてスパージ管が回転するのが規制され、スパージ管の噴射口を開放面に向けた状態で固定できるという効果がある。
【0011】
また、第1突
起は、
第1挿嵌孔に挿脱可能に挿嵌される
。第1突起よりも封止部材からの突出量が大きい第2突起は、筐体の内面から延設されるブラケットの端部から連続して穿設される第2挿嵌孔に挿脱可能に挿嵌される。よって、スパージ管を装着する場合には、第2突起を第2挿嵌孔に挿嵌させつつ一端側を
連結管に挿嵌させる。一端側が
連結管に挿嵌されたら、スパージ管をブラケット側に押して
、第1突起
を第1挿嵌
孔に挿嵌させる。尚、スパージ管を取り外す場合には、スパージ管を
連結管側に押して
、第1突起
を第1挿嵌
孔から引き抜き、一端側を
連結管から引き抜きつつ、第2突起を第2挿嵌孔から引く抜く。よって、簡単にスパージ管をメイン管と固定部材とから着脱できるという効果がある。
【0012】
請求項
2記載の蒸し庫によれば、請求項
1記載の蒸し庫が奏する効果に加え、次の効果を奏する。ラックは筐体の第1側壁に開口される搬入口から筐体内に搬入される。ラックは、搬入口から第1側壁と対向する筐体の第2側壁に向かって筐体の床面に延設されるガイドに沿って、その移動が規制部材によって規制されるまで移動される。よって、ラックを筐体内の所定位置に設置できる。従って、そのラックが設置される所定位置に合わせてスパージ管の噴射口を開放面に向けた状態でスパージ管を設置することができるという効果がある。
【0013】
請求項
3記載の加熱処理装置によれば、次の効果を奏する。
支持部材は、区画壁から立設され区画壁の対向する縁部間に並列に延設され、その上にケースの底壁が載置される複数のリブによって構成される。よって、隣設されるリブと、区画壁と、ケースの底壁とによって囲まれ、両端が開放された隙間が形成される。従って、隙間が開放される開放面から隙間に向けて蒸気を噴射した場合、蒸気は、隣設されるリブによって側方に拡散するのが抑制される。その結果、かかる蒸気を効率的にケースの底壁に穿設される貫通孔を介してケース内に導入できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、ラック台車10と蒸し庫50とを示す斜視図である。ラック台車10は、複数のケース2(
図2参照)が載置されるラック30を台車20に載せて運搬するものである。ケース2には被加熱対象(例えばジャガイモ)が収納されている。台車20に載せられたラック30は、蒸し庫50の搬入口55まで運搬され、搬入口55から蒸し庫50内に搬入される。
【0016】
蒸し庫50は、縦長の箱状に形成され、その内部に蒸気を噴射することで、ラック30に載置されたケース2内の被加熱対象を加熱処理するものである。尚、蒸し庫50と、その蒸し庫50に設置されるラック30とによって加熱処理装置が構成される。また、被加熱対象としてはジャガイモ等の食品に限らず、例えば、容器など殺菌を目的として加熱処理されるものであっても良い。
【0017】
ラック台車10は、台車20と、その台車20に載せられるラック30とによって構成される。台車20は、ラック30が載せられる台部21と、台部21の底面に取着される車輪22と、台部21の上面から延びるハンドル23とによって構成される。
【0018】
また、台部21の上面には、台部21の長手方向に複数のローラ(図示せず)が並べられたガイドが並列に設けられている。このローラの上に、ラック30の底枠31の長手方向に架設されている2本のレール40,40(
図2参照)が載せられる。即ち、ラック30は、台部21の上面にローラによって長手方向に移動可能な状態で載せられている。
【0019】
ラック30は、台車20のハンドル23を操作して、台部21の先端が蒸し庫50の搬入口55の下方に当接する位置まで運搬される。そうすると、ラック30は台部21から蒸し庫50内に向けて押し出され、蒸し庫50内に搬入される。尚、蒸し庫50の床面にも、ローラ54bが回転可能に軸支されたガイド54が設けられており、かかるガイド54に沿ってラック30は蒸し庫50内の所定位置に設置される。
【0020】
次に、ラック30について、
図1,2を参照して説明する。
図2(a)は
図1の矢印A方向視におけるラック30の正面図、
図2(b)は
図1の矢印B方向視におけるラック30の側面図である。尚、
図2(a)では、挿入途中の1つのケース2、
図2(b)では、6つのケース2が
図1に対して追加して図示されている。
【0021】
ラック30は、ステンレス製であり、被加熱対象を収納した複数のケース2を載置させ、蒸し庫50内の所定位置に設置されるものである。尚、ケース2は、ステンレス製であり、多数の貫通孔3が穿設されており、この貫通孔3を介して蒸気がケース2内に導入されると共に、貫通孔3を介してケース2内の水滴がケース2の外に排出される。尚、図示されていないが、ケース2の底壁4にも貫通孔3が穿設されている。
【0022】
ラック30は、略長方形の底枠31と、その底枠31の4つの角から立設する縦フレーム32と、その縦フレーム32の先端部に連結され底枠32と対向する略長方形の天枠33とによって、略直方体の枠体が形成されている。
【0023】
底枠31の下方には、長手方向に2本のレール40,40が連結されている。このレール40,40は、上述した通り、台車20の上面に設けられるローラや、蒸し庫50の床面に設けられるローラ54a上に載せられる。尚、ラック30には、ラック30の短手方向における一方の側面側にハンドル41が取り付けられており、そのハンドル41を握ってラック30を長手方向に押し易いようになっている。
【0024】
また、ラック30には、底枠31のうち長手方向に延びる一対のフレームを2等分する位置から縦フレーム32と平行に天枠33まで延びる2本の補強縦フレーム34aと(特に、
図1参照)、その2本の補強縦フレーム34aの上端同士を連結する補強横フレーム34bとが設けられている。かかる2本の補強縦フレーム34aと、補強横フレーム34bとによって枠体が補強されている。
【0025】
また、ラック30の枠体内は、補強縦フレーム34aを境に、長手方向に2つの空間に形式的に区切られ、更に、その2つの空間の各々の内部が高さ方向に6枚の排水板35によって6個の収納空間に区画されている。即ち、ラック30の枠体内は、合計12枚の排水板35によって合計12個の収納空間に区画されており、その収納空間の各々にケース2が載せられるようになっている。
【0026】
各収納空間に載せられるケース2は、ラック30の長手方向の側面のうち一方の側面側(
図2(a)の右側)から他方の側面側(
図2(a)の左側)に向けて挿入される(
図2(a)の矢印S方向参照)。
図1,
図2(b)に示すように、他方の側面側には、縦フレー32と補強縦フレーム34aとの間に、それらと平行に底枠31から天枠33まで延設されるストッパフレーム36が連結されており、各収納空間に載せられるケース2は、ラック30の一方の側面側から他方の側面側に向けてケース2を挿入しても(
図2(a)の矢印S方向参照)、ストッパフレーム36によってケース2が他方の側面側から落下しないようになっている。
【0027】
ここで、
図3を参照して、排水板35について詳細に説明する。
図3(a)は排水板35の斜視図、
図3(b)は
図3(a)に示すIIIb−IIIb断面線における排水板35の断面図である。尚、
図3(a)に示す矢印S方向は、ケース2をラック30に載せる場合のケース2の挿入方向を示している。また、
図3(b)では、排水板3上に載置されたケース2を二点鎖で図示している。
【0028】
排水板35は、ステンレス製であり、各収納空間においてケース2を支持すると共に、ケース2の貫通孔3から滴る水滴を側方に排水させるものである。排水板35は、主に、ベース37と、ベース37の長手方向(矢印S方向)の両縁部から立設される一対のフランジ38と、一対のフランジ38の間であってベース37から立設される3本のリブ39とによって構成されている。かかるベース37と、一対のフランジ38と、3本のリブ39とは、一枚の板材を折り曲げ加工して形成されている。
【0029】
ベース37は、特に、ケース2の貫通孔3から滴る水滴を側方(矢印S方向)に排水させるものである。ベース37は、フランジ38とリブ39との間に長手方向(矢印S方向)に帯状に形成される第1ベース壁37aと、3本のリブ39の間に長手方向(矢印S方向)に帯状に形成される第2ベース壁37bとによって構成される。
【0030】
排水板35は、ベース37が矢印S方向に下降傾斜(例えば1度)するようにラック30に溶接される。これにより、リブ39の上にケース2を載せた場合に、ケース2の貫通孔3からベース37の上に滴り落ちる水滴を矢印S方向に流下させることができる。よって、かかる水滴がベース37上に滞留したり、下方に載置されるケース2内に滴り落ちるのを防止できる。
【0031】
フランジ38は、第1ベース壁37aの長手方向(矢印S方向)の両縁部から立設される立壁38aと、その立壁38aの上端から水平方向外方に延設される水平壁38bと、水平壁38bの略中央部から下方に垂設される垂壁38cとによって構成される。
【0032】
立壁38aは、第1ベース壁37aの両縁部から立設されているので、リブ39の上にケース2を載せた場合、立壁38aと、その立壁38aに隣設されるリブ39との間であって、ケース2の底壁4と第1ベース壁37aとの間に形成される隙間から蒸気が側方に逃げるのを抑制できる。
【0033】
また、フランジ38とベース37との長手方向(矢印S方向)の両端部には、側方壁43が溶接されている。また、水平壁38bの両端には、内側に切り欠かれた切り欠部38b1が設けられている。その切り欠部38b1と、側方壁43の端部43aと、垂壁38cの一端38c1とが、縦フレーム32、または、補強縦フレーム34aと接合され溶接される。これにより、排水板35をラック30(縦フレーム32、または、補強縦フレーム34a)に強固に固定できる。
【0034】
リブ39は、ベース37とケース2の底壁4との間に隙間を形成しつつケース2を支持するものである。リブ39は、一対のフランジ38の間であってベース37の長手方向(矢印S方向)にベース37の対向する縁部間に亘って並列に3本延設されている。尚、リブ39の数は3本に限定されず、2本以上であれば良い。
【0035】
よって、
図3(b)に示すように、ケース2をリブ39の上に載置させた場合には、フランジ38の立壁38aと、そのフランジ38と隣設されるリブ39と、第1ベース壁37aと、ケース2の底壁4とによって囲まれ、ベース37の長手方向(矢印S方向)の両端が開放された隙間S1と、隣設されるリブ39と、第2ベース壁37bと、ケース2の底壁4とによって囲まれ、ベース37の長手方向(矢印S方向)の両端が開放された隙間S2とが形成される。従って、隙間S1,S2が開放される開放面(矢印S方向の両端面)から、隙間S1,S2に向けて蒸気を噴射した場合、蒸気は、フランジ38の立壁38aやリブ39によって、側方に拡散するのが抑制され、かかる蒸気を効率的にケース2の底壁4に穿設される貫通孔3からケース2内に導入させることができる。
【0036】
また、リブ39は、ベース37から互いに接近する方向に傾斜して立設される一対の傾斜壁39aと、その一対の傾斜壁39aの先端部同士が連結され線状に延設される頂部39bとを有する山型に形成されている。
【0037】
このように、リブ39の頂部39bはベース37の長手方向(矢印S方向)に線状に延設されているので、ケース2の底壁4をリブ39の頂部39bの上に載せても、頂部39bによってケース2の貫通孔3が塞がれる割合を極力少なくでき効率的に蒸気をケース2の貫通孔3からケース2内に導入できる。また、ケース2を矢印S方向からリブ39の頂部39bに沿ってスライドさせて収納する場合、ケース2の底壁4とリブ39の頂部39bとの間に発生する摩擦抵抗を極力少なくできるので、円滑にケース2を収納空間に押し込むことができる。
【0038】
更に、一対の傾斜壁39aは、ベース37から互いに接近する方向に傾斜して立設される。即ち、ベース37と傾斜壁39aとの立ち上がり部分は仰角に交差するので、傾斜壁39に沿って円滑に(効率的に)、蒸気をケース2の貫通孔3を介してケース2内に導入できる。
【0039】
また、
図3(a)に示すように、一対の傾斜壁39aの端面(矢印S方向の上流側(ケース2を挿入する側)の端面)は、ガイド部44によって塞がれている。ガイド部44は、側方壁43の上端からリブ39の頂部39bの端部に向かってベース37に対して鋭角に延設され、側方壁43の上端と、一対の傾斜壁39aの端部とに溶接されている。そのため、矢印S方向の上流側からケース2を収納空間に載置させる場合に、かかるガイド部44にケース2の底壁4を載せてケース2を押し込むことで、円滑にケース2を収納空間に押し込むことができる。
【0040】
更に、
図3(b)に示すように、ベース37と、一対のフランジ38と、3本のリブ39とは、一枚の板材を折り曲げて形成されている。即ち、リブ39の下方は開放された状態になっているので、リブ39の下面(裏面)を簡単に清掃できる。
【0041】
次に、
図1,
図4を参照して蒸し庫50について説明する。
図4(a)は蒸し庫50の鉛直方向の断面図であり、
図4(b)は蒸し庫50の水平方向の断面図である。蒸し庫50は、主に、奥行き方向に縦長の箱状に形成される筐体51と、その筐体51の天壁51fを貫通して筐体51内に鉛直方向に延設されるメイン管70と、メイン管70から分岐する複数のスパージ管80と、スパージ管80の他端側を固定する固定部材90とによって構成されている。
【0042】
筐体51は、ラック30を内包する空間を形成するものであり、底壁51aと、底壁51aの縁部から立設される4枚の前壁51b,後壁51c,左壁51d,右壁51eと、それらの上端を塞ぐ天壁51fとによって構成される。筐体を構成する各壁材は、外板と内板との二重壁構造となっており、外板と内板の間には断熱材であるグラスウールが詰め込まれて、蒸し庫50内部の熱が逃げないようになっている。
【0043】
底壁51aは、筐体51内の床面を形成する。床面は、後壁51cから前壁51bに向かって下降傾斜しており、前壁51b側の中央部に底壁51aを貫通して排水口52が形成されている。この排水口52には、図示しないドレン配管が接続され、このドレン配管から床面に落ちる熱湯(水)を外部に排出できるようになっている。
【0044】
また、床面には、搬入口55から後壁51に向けて一対のL字鋼54a,54aが平行に延設され、一対のL字鋼54a,54aの間に複数のローラ54bが回転自在に軸支されたガイド54,54が並列に設けられている。
【0045】
また、ガイド54,54の一端側(搬入口55の反対側)には、バンパ54cがガイド54,54間に架設されている。バンパ54cは、ローラ54b上を搬入口55から後壁51に向けて移動するラック30のレール40,40(
図2参照)に当接して、搬入口55から後壁51に向けてのラック30の移動を規制するものである。搬入口55から搬入され、筐体51内をガイド54,54に沿って移動するラック30は、その移動がバンパ54cによって規制される。つまり、ラック30を筐体51内の所定位置(ラック30がバンパ54cに当接した位置)に設置できるようになっている。
【0046】
前壁51bには、ラック30を搬入する搬入口55が開口され、その搬入口55を開閉する扉56が設けられている。扉56は、把手56aを手前に引くことにより公知のロック機構が外れて、蝶番機構によって開閉可能に構成されている。
【0047】
後壁51cには、その下方に排気口57が開口されている。排気口57には、排気ダクト58が連結されている。排気ダクト58は、断面が略コ字形に形成され両端が外側に折り曲げられ、その折り曲げられた部分がリベットで後壁51cの外面に固定され、後壁51cの外面に沿って上方に延び、その一端が開放されている。これにより、筐体51内の蒸気を排気口57、排気ダクト58を介して、外部に排気できる。
【0048】
右壁51eの外面には、制御ボックス59が取り付けられている。制御ボックス59には、蒸気の供給/排気を制御するマイクロプロセッサが搭載されている。制御ボックス59の前面には、例えば、蒸気温度や、蒸し時間などを設定及び表示する操作パネルや、電源が入っているか否かを示す電源パイロットランプや、蒸気の供給開始を行わせるスタートスイッチ、蒸気の供給を途中で終了させるストップスイッチ等が設けられている。
【0049】
天壁51fには、送風機60が取り付けられている。送風機60は、蒸す作業が終わった後の滞留蒸気を外部に強制的に排気するためのものである。送風機60から吸い込まれた外気は、ステンレス製の送風ダクト61を介して筐体51内に吹き出される。送風ダクト61の吹き出し口には、その吹き出し口を開閉可能な蓋部材62が取り付けられている。蓋部材62は、送風機60から外気が吹き出される場合には、その圧力によって吹き出し口を開放し、送風機60が停止している場合には、自重によって吹き出し口を塞ぎ、吹き出し口から蒸気が外部に漏れるのが防止されている。
【0050】
メイン管70は、内部に蒸気の流路が形成され、一端が図示しないボイラと接続されており、ボイラから所定温度、所定圧力に調整された蒸気を、スパージ管80へ供給するものである。メイン管70は、天壁51fを貫通して、筐体51内の左壁51dと後壁51cとの角部と、右壁51eと後壁51cとの角部とに鉛直方向に延設されている。
【0051】
かかる鉛直方向に延設される各メイン管70の途中には、互いに所定間隔を空けて6個の分岐管71が水平方向に突設されている。分岐管71は、メイン管70内を鉛直方向に供給される蒸気を、水平方向に分岐させるものである。各分岐管71には、スパージ管80の一端が挿嵌される。
【0052】
各分岐管71は、ラック30が筐体51内の所定位置(ラック30がバンパ54cに当接した位置)に設置される場合に、そのラック30に載せられたケース2の底壁4と、ベース37との間に形成される隙間S1,S2(
図3(b)参照)の中央と一致する高さになるように突設されている。そのため、分岐管71にスパージ管80の一端側を挿嵌させると、スパージ管80を隙間S1,S2と対向させた位置に延設させることができる。
【0053】
ここで、
図5を参照して、スパージ管80と、固定部材90とについて説明する。
図5(a)は、
図4に示すVa−Va断面線におけるスパージ管80の断面図である。
図5(b)は、装着途中のスパージ管80を示す斜視図である。
【0054】
スパージ管80は、内部に蒸気の流路が形成され、その途中に蒸気を噴射する複数の噴射口81が直線状に穿設されている。スパージ管80は、ラック30が筐体51内の所定位置(ラック30がバンパ54cに当接した位置)に設置される場合に、噴射口81がラック30に載せられたケース2の底壁4と、ベース37との間に形成される隙間S1,S2(
図3(b)参照)に向く状態で固定されている。そのため、メイン管70、分岐管71を介して供給される蒸気は、噴射口81から隙間S1,S2に向けて噴射される。
【0055】
分岐管71に挿嵌されるスパージ管80の一端側には、ゴム製のOリング82が装着されている。スパージ管80の一端側を分岐管71に挿嵌した場合に、Oリング82の弾性によって分岐管71から蒸気が洩れるのが防止されている。
【0056】
また、一端側とは反対の他端側は、封止部材83によって封止され、その封止部材83からは、第1突起84と、その第1突起84よりも封止部材85からの突出量が大きい第2突起85とが突設されている。第2突起85は、スパージ管80の中心軸を中心に突設され、噴射口81は、第1突起84の中心から第2突起85の中心を通ってスパージ管80の外周面と交差する位置に直線状に穿設されている。
【0057】
固定部材90は、スパージ管80の噴射口81を隙間S1,S2に向けた状態でスパージ管80を固定するものである。固定部材90は、ブラケット91と、そのブラケット91に穿設される第1挿嵌孔92と、第2挿嵌孔93とによって構成されている。
【0058】
ブラケット91は、第1,第2挿嵌孔92,93を穿設するための部材である。ブラケット91は、
図4に示すように、L字鋼によって構成され、左壁51dの内面と右壁51eの内面とにそれぞれ1本ずつ固定されると共に、6本のスパージ管80の他端側と対向する位置に延設されている。即ち、各ブラケット91は、6本のスパージ管80について共通に設けられているので、部品点数を削減できると共に、ブラケット91の取り付け作業の軽減できる。
【0059】
第1挿嵌孔92は、スパージ管80の第1突起84が挿嵌される孔である。第2挿嵌孔93は、スパージ管80の第2突起85が挿嵌される孔であり、ブラケット90の端部
から連続して穿設されている。第1挿嵌孔92は、第2挿嵌孔93よりも筐体51の内面側に位置し、両者は水平方向に並んで穿設されている。
【0060】
このように、スパージ管80と固定部材90とが構成されているので、
図5(b)に示すように、スパージ管80を分岐
管71(メイン管70)と固定部材90とに装着する場合には、第2突起85を第2挿嵌孔93に挿嵌させつつ一端側を分岐管71に挿嵌させる。一端側が分岐管71に挿嵌されたら、スパージ管80をブラケット91側に押して、第1突起84を第1挿嵌孔92に挿嵌させる。
【0061】
スパージ管80を取り外す場合には、スパージ管80を分岐管71側に押して、第1突起84を第1挿嵌孔92から引き抜き、一端側を分岐管71から引き抜きつつ、第2突起85を第2挿嵌孔93から引き抜けば良い。よって、簡単にスパージ管80をメイン分岐管71と固定部材90とから着脱できる。また、封止部材83と、ブラケット91とが接合する面は互いに平坦に形成されているので、両者を突き合わせることでスパージ管80の噴射口81の奥行き方向の位置を所定位置に設定できる。
【0062】
また、スパージ管80をメイン分岐管71と固定部材90とから着脱できるので、スパージ管80をメイン管70(分岐管71)と固定部材90とから取り外した状態で、スパージ管80の噴射口81に詰まった埃や塵を取り除くスパージ管80のメンテナンス作業を行える。従って、スパージ管80のメンテナンス作業を容易にできる。また、スパージ管80をメイン管70と固定部材90とに装着する場合、スパージ管80は固定部材90によって噴射口81が隙間S1,S2に向けた状態で固定されるので、被加熱対象を均一に加熱処理可能な位置に向けて蒸気を噴射できる。
【0063】
図6(a)は、ラック30が蒸し庫50内の所定位置に設置されている状態における蒸し庫50の鉛直方向の断面図である。
図6(b)は、
図6(a)のVIb−VIb断面線における要部拡大断面図である。
【0064】
ラック30は、蒸し庫50内において所定位置に設置される。即ち、ラック30はレール40,40がガイド54,54に沿って移動し、レール40,40が規制部材54c(
図4参照)に当接した位置に設置される。また、
図6(b)に示すように、ラック30に載置されるケース2と排水板35との間には、隙間S1,S2が形成されている。即ち、立壁38aと、その立壁38aと隣設されるリブ39と、ベース37と、ケース2の底壁4とによって囲まれ、スパージ管80と対向する両端が開放された隙間S1と、隣設されるリブ39と、ベース37と、ケース2の底壁4とによって囲まれ、スパージ管80と対向する両端が開放された隙間S2とが形成されている。
【0065】
一方、蒸し庫50内には、この所定位置に設置されるラック30に対し、噴射口81を隙間S1,S2が開放される開放面に向けた状態でスパージ管80が延設されている。よって、メイン管70を介してスパージ管80に蒸気が供給されると、スパージ管80の噴射口81から噴射される蒸気は、開放面を介して隙間S1,S2に導入され、その隙間S1,S2からケース2の底壁4に穿設されている多数の貫通孔3を介してケース2内に導入される。よって、ラック30の中央付近にも蒸気が噴射され、ケース2内に収納される被加熱対象が蒸気によって均一に加熱処理される。
【0066】
このように、本実施形態によれば、噴射口81を隙間S1,S2の開放面に向けた状態でスパージ管80が筐体51内に延設されるので、従来のように、ラック側の蒸気供給パイプに蒸し庫側の蒸気配管を接続する必要がない。従って、手間なく、被加熱対象を均一に加熱処理できる。また、スパージ管80は、隙間S1,S2の両端に形成される両方の開放面の各々に向けて蒸気を噴射するので、一方だけから蒸気を噴射させるよりも均一に被加熱対象を加熱処理できる。
【0067】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0068】
本実施形態では、ベース37からリブ39を立設させ、そのリブ39でケース2を支持させることでケース2の底壁4とベース37との間に隙間を形成する場合について説明したがこれに限定されない。例えば、排水板35を平坦な板状として、それを傾斜させた状態で取り付け、その上方に短手方向に並ぶ縦フレーム32間、補強縦フレーム34a間にL字鋼を架設し、そのL字鋼によってケース4の底縁を支持するようにしても良い。
【0069】
また、本実施形態では、蒸し庫50に備えられるスパージ管80の噴射口81からケース2の底壁4とベース37との隙間に蒸気を噴射させる場合について説明したが、これに限定されない。スパージ管80の噴射口81をケース2の底壁4とベース37との間の隙間に向けてスパージ管80をラック30に架設し、そのスパージ管80を蒸し庫50に設けられるメイン管70と接続可能に構成しても良い。
【0070】
本実施形態では、1つのブラケット91に対して、6本のスパージ管80を固定する場合について説明したが、これに限定されない。スパージ管80を個別に、または、複数本ずつ固定しても良い。また、スパージ管80を固定する方法としては、例えば、一端側が分岐管71に挿嵌されるスパージ管80の途中、または、他端側を筐体51の内面に固定されたクランプで着脱可能に把持するように構成しても良い。
【0071】
本実施形態では、スパージ管80をラック30を挟んだ両側に延設する場合について説明したが、これに限定されない。いずれか一方であっても良いし、例えば、隙間が全周に開放されているような場合には、2本のメイン管70の間に、更に、スパージ管80を延設するようにしても良い。
【0072】
本実施形態では、リブ90を山型に形成する場合について説明したがこれに限定されない。リブ90の断面形状は、方形、台形等であっても良い。
【0073】
本実施形態では、台車20に載せられたラック30だけを蒸し庫50内に設置する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ラック30を載せたラック台車10を、そのまま蒸し庫50内に設置しても良い。また、車輪が直接ラック30に取り付けられているものを、蒸し庫50内に設置しても良い。