(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部が液流路となっている筒状形状を有するプラスチック製パイプからなり、該パイプの一方側端部から該液流路に液が導入され、他方側端部の液流路から液が吐出されると共に、該パイプの他方側端部近傍の筒状壁には、内部の液流路に連通する空気導入孔が設けられており、
前記パイプは、前記一方側端部を含む小径部と、前記他方側端部を含む大径部とを有しており、該小径部と大径部とは、該パイプの軸方向に延びており且つ該パイプの周方向に間隔をおいて設けられている複数のリブによって一体に連なっており、該大径部と小径部との間に前記空気導入孔が形成されていることを特徴とする霧吹きノズル。
前記パイプは、縦方向軸線に沿って二分割された一対のピースから形成されており、該一対のピースの内の一方のピースの外面には、先端が鍵形形状の雄型係止片が形成されており、他方のピースの外面には、リング形状の雌型係止片が形成されており、該一対のピースを旋回して閉じたとき、前記雄型係止片と雌型係止片とが係合し、該一対のピースにより前記パイプが形成される請求項1〜3の何れかに記載の霧吹きノズル。
前記キャップ本体の頂板部には、容器内部に通じる連通孔と共に液溜め部が形成されており、前記霧吹きノズルの液が導入される側の一方側端部は、前記液溜め部に対面している請求項6に記載の霧吹きキャップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、極めてシンプルな構造を有しており、製造コストが安価であるばかりか、キャップにも容易に取り付けることができる霧吹きノズル及び該ノズルが取り付けられており、少ない物品数で内容液の霧吹きが可能な霧吹きキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、内部が液流路となっている筒状形状を有するプラスチック製パイプからなり、該パイプの一方側端部から該液流路に液が導入され、他方側端部の液流路から液が吐出されると共に、該パイプの他方側端部近傍の筒状壁には、内部の液流路に連通する空気導入孔が設けられていることを特徴とする霧吹きノズルが提供される。
【0008】
本発明の霧吹きノズルにおいては、
(1)前記パイプは、前記一方側端部を含む小径部と、前記他方側端部を含む大径部とを有しており、該小径部と大径部とは、該パイプの軸方向に延びており且つ該パイプの周方向に間隔をおいて設けられている複数のリブによって一体に連なっており、該大径部と小径部との間に前記空気導入孔が形成されていること、
(2)前記パイプは、縦方向軸線に沿って二分割された一対のピースから形成されており、該一対のピースは、ヒンジ連結されていると共に、該一対のピースのそれぞれに、前記液流路に対応する溝が設けられており、該一対のピースを閉じたとき、該溝が合わさって前記液流路が形成されること、
(3)前記一対のピースの内の一方のピースの外面には、先端が鍵形形状の雄型係止片が形成されており、他方のピースの外面には、リング形状の雌型係止片が形成されており、該一対のピースを旋回して閉じたとき、前記雄型係止片と雌型係止片とが係合し、該一対のピースにより前記パイプが形成されること、
(4)前記一対のピースの少なくとも一方のピースに形成されている溝の両側部には、漏れ防止用のリブが設けられていること、
(5)プラスチック製容器の口部に装着されるキャップに取り付けられて使用に供されること、
が好ましい。
【0009】
また、本発明によれば、プラスチック製容器の口部に装着されるキャップ本体と、該キャップ本体に取り付けられた上記の霧吹きノズルと、該霧吹きノズルが取り付けられたキャップ本体を覆い得るように開閉自在に設けられた上蓋とからなり、
前記キャップ本体は、容器口部に係合固定される筒状側壁と、該筒状側壁の上端部を閉じるように設けられている頂板部とを含み、
前記頂板部は、容器内部に通じる連通孔と、該連通孔を覆うように立ち上がっている膨出部とを含んでおり、
前記膨出部の上端部には、前記霧吹きノズルから吐出される液の方向を規定するための案内筒が形成されていると共に、
前記霧吹きノズルは、液が吐出される他方側端部を前記案内筒に嵌合保持することにより、前記キャップ本体に取り付けられていること、
を特徴とする霧吹きキャップが提供される。
【0010】
かかる霧吹きキャップにおいては、
(1)前記キャップ本体の頂板部には、容器内部に通じる連通孔と共に液溜め部が形成されており、前記霧吹きノズルの液が導入される側の一方側端部は、前記液溜め部に対面していること、
(2)前記上蓋は、キャップ本体にヒンジ連結されていること、
が好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の霧吹きノズルは、ストローとして機能するプラスチック製パイプの他方側端部(液が液流路から吐出される側)の近傍の壁に、空気導入孔が導入されているに過ぎないという極めてシンプルな構造を有している。この霧吹きノズルでは、上記パイプの一方側端部(液が液流路に導入される側)を液中に位置せしめ、空気導入孔から空気を供給してパイプの他方側端部から吐出すると、パイプ内の液流路が減圧状態となり、この結果、液がパイプの一方側端部から液流路を通って他方側端部から霧吹き状に排出される。
このような霧吹きノズルは、極めて安価であるばかりか、キャップへの取り付けも至って容易である。
【0012】
また、本発明の霧吹きノズルでは、前記パイプを、前記一方側端部(液導入側)を含む小径部と、前記他方側端部(液排出側)を含む大径部とから形成し、該小径部と大径部とを、該パイプの軸方向に延びており且つ該パイプの周方向に間隔をおいて設けられている複数のリブによって一体に連なっており、該大径部と小径部との間に前記空気導入孔が形成されているという構造とすることが望ましい。このような構造では、大径部を利用して空気が漏れないように、このノズルをキャップに取り付けて安定に保持することができ、しかも、上記リブ間の空隙が空気導入孔に連なる空気路として機能することとなり、例えば、容器の胴部をスクイズすることにより、速やかに、内容液を霧状に吐出することができる。
【0013】
さらに、前記パイプを、縦方向軸線に沿って二分割された一対のピースから形成し、このような一対のピースがヒンジ連結された構造とすることにより、このパイプをプラスチックにより容易に成形することができる。即ち、この態様では、該一対のピースのそれぞれに、前記液流路に対応する溝が設けられており、該一対のピースを閉じたとき、該溝が合わさって前記液流路が形成される。
【0014】
上記のようにパイプをヒンジ連結された一対のピースから形成したとき、一対のピースの内の一方のピースの外面に、先端が鍵形形状の雄型係止片を形成し、さらに、他方のピースの外面に、リング形状の雌型係止片を形成することが望ましい。これにより、これらの一対のピースを旋回して閉じてパイプを形成したとき、前記雄型係止片と雌型係止片とが係合し、パイプ形状が安定に保持される。
さらに、上記のようにパイプを一対のピースから形成したとき、一対のピースの少なくとも一方のピースに形成されている溝の両側部に、漏れ防止用のリブを設けることが好ましい。このようなリブを設けることにより、パイプの合わせ目からの液漏れを確実に防止することができる。
【0015】
上記の霧吹きノズルは、シンプルな形態を有しているため、キャップへの取り付けが極めて容易であり、この霧吹きノズルが装着された霧吹きキャップは、プラスチック製容器の口部に装着されて使用されることとなる。
即ち、上記の霧吹きキャップでは、霧吹きノズルの一方側端部がプラスチック製容器に収容されている内容液中に浸漬され、この状態で、該容器の胴部を押圧してスクイズすると、容器及びキャップ内の空気が圧縮され(即ち、容器の胴部がピストンとしての機能を示す)、霧吹きノズルに形成された空気導入孔に流れ込み、霧吹きノズルの他方側端部から大気圧状態の外部に吐出される。これと共に、霧吹きノズルの液流路には、内容液が吸引されて流れ込み、他方側端部から外部に吐出されるが、上記のように圧縮された空気が内容液と共に大気圧下の外部に吐出されることとなるため、この内容液は、小滴となって霧吹き状に吐出される。
【0016】
このような霧吹きキャップは、基本的に、プラスチック製容器の口部に装着されるキャップ本体と、霧吹きノズルと、霧吹きノズルが装着される上蓋との僅か3物品から構成されるが、一般的に上蓋は、キャップ本体にヒンジ連結され、上蓋とキャップ本体とは一体に成形されるため、実質的には、この霧吹きキャップは、僅か2物品で形成され、霧吹きのためのポンプ部材やピストン部材或いは弁部材も必要なく、従って、極めて安価である。
従って、本発明の霧吹きキャップは、低価格であることが要求される食品類、例えば調味液や飲料、食用油などが収容された容器のキャップとして、特に適している。
【0017】
また、本発明の霧吹きキャップでは、キャップ本体の頂板部に、容器内部に通じる連通孔と共に液溜め部を形成し、霧吹きノズルの液が導入される側の一方側端部を、該液溜め部に対面するように配置することが好適である。
即ち、この態様では、内容液の取り出し(霧吹き)に先立って、一旦、容器を傾倒乃至倒立させ、内容液を液溜め部に導入しておく。このようにすると、霧吹きノズルの一方側端部は、液溜め部に導入された内容液に浸漬した状態となるため、次いで、容器胴部を押圧(スクイズ)すると、液溜め部に導入された内容液が霧吹きノズルを通って、霧吹き状に吐出されることとなる。
かかる説明から理解されるように、この態様では、霧吹きノズル(パイプ)の一方側端部が容器の底部まで延びているように設定する必要がなく、霧吹きノズルを長さの短いものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<霧吹きノズル>
本発明の霧吹きノズルの基本的な形態を示す
図1の斜視図を参照して、全体として1で示す霧吹きノズルは、プラスチック製のパイプから形成されており、このパイプ内の中空空間は液流路3となっており、その一方側端部3aから液体が導入され、他方側端部3bから液体が吐出されるようなっている。
このような霧吹きノズル1において、液体が吐出される他方側端部3bの近傍には、パイプ壁が切断されて液流路3に通じる空気導入孔5が形成されており、このような形態が、本発明の霧吹きノズル1の基本的な形態である。
【0020】
また、
図1に示されているように、霧吹きノズル1を形成しているパイプは、空気が漏れないようなキャップへの嵌合固定を容易に行うことができ、キャップの形態や液の吐出方向に合わせて、他方側端部3bの方向を自在に変更できるように、次の手段が採用されている。
【0021】
即ち、
図1と共に、
図2及び
図3を参照して、この霧吹きノズル1(パイプ)は、液体が導入される一方側端部3aを含む小径部1aと、液体が吐出される他方側端部3bを含む大径部1bとから形成されており、小径部1aと大径部1bとは、パイプの軸方向に延びており且つ該パイプの周方向に間隔をおいて設けられており且つ空気導入孔5を跨ぐように延びている複数のリブ7によって一体に連結されている。即ち、リブ7は、それぞれ空気導入孔5を跨ぐように形成されている。
尚、図の例では4本のリブ7が形成されている。
【0022】
かかる構造において、大径部1bは、この霧吹きノズル1を後述するキャップに空気が漏洩しないように安定に保持するために形成されるものであり、従って、小径部1aの上端部分(他方側端部)に、非常に短い長さで形成されている。さらに、小径部1aと大径部1bとを連結しているリブ7は、大径部1bの外面と面一となるように形成されており、これにより、この霧吹きノズル1を後述するキャップに、ガタツキなく、安定に保持し得るようになっている。
【0023】
また、複数のリブ7の間の空隙は、このノズル1を後述するキャップの案内筒53に取り付けたとき、空気導入孔5への空気路として機能するものであるため、
図1〜3から理解されるように、複数のリブ7の間では、小径部1aの外面は若干凹んだ凹面9となっており、空気導入孔5への空気の導入及び液流路3を通しては吐出側の端部3bからの空気の吐出を層流状態で行い得るようになっている。
【0024】
さらに、
図1から明らかなように、小径部1aは屈曲している。これにより、液の吐出側先端となる他方側端部3bの指向方向や位置を調節することができ、後述するキャップの形態に合わせてこのノズル1を容易に取り付けることができるようになっている。ここで、小径部1aには、中間部分に2本の折り曲げ線11,11が形成されているが、折り曲げ線を一方向に屈曲自在に形成してもよい。また、小径部1aの中間部分に折り曲げ線を設けずに、霧吹きノズル1を真っ直ぐに形成することも可能である。
尚、上記リブ7間の空隙が空気導入孔5に連なる空気路として機能することとなり、例えば、容器の胴部をスクイズすることにより、速やかに、内容液を霧状に吐出することができる。
【0025】
本発明の霧吹きノズル1は、上述した
図1〜3に示す基本的構造を有しているが、成形性などの観点から、
図4〜
図8に示されている形態を有していることが好適である。
【0026】
即ち、この好適態様の霧吹きノズル1も、前述した基本的構造を有しているが、特に重要な点は、このノズル1は、縦方向軸線Xに沿って二分割された一対のピース13,13(以下、ノズルピースと呼ぶことがある)から形成されており、このノズルピース13,13は、ヒンジバンド15によって開閉可能にヒンジ連結されていることである。
【0027】
このような形態の霧吹きノズル1では、前述した液流路3、小径部1a,大径部1b、リブ7、などは、何れも2分割され、それぞれのノズルピース13,13に形成されており、ノズルピース13,13を旋回して閉じることにより、前述した基本構造を有する
図4に示す形態のものが形成されるようになっている。例えば、ノズルピース13,13には、それぞれ、液流路3に対応する溝3x,3xや空気導入孔5に対応する切欠き5x,5xが形成されており、ノズルピース13,13を閉じたとき、溝3x,3xが合わさって液流路3及び空気導入孔5が形成される。さらに、各ノズルピース13の先端の外面側には、リブ7に相当する突起も形成されている。
即ち、かかる霧吹きノズルは、
図6〜
図8に示されているように開いた状態で成形されるため、成形金型などをシンプルな構造とすることができ、至って容易に成形することができる。
【0028】
また、
図4〜
図8の霧吹きノズル1では、小径部1aは、折り曲げ線11,11により、一方方向に屈曲した状態で成形されている。このように2段で折り曲がっている形態では、この霧吹きノズル1の幅wを大きくせずに大径部1bを含む上端部分の傾斜角を調整することができ、この霧吹きノズル1が装着されるキャップをコンパクトにすることができるという利点がある。
【0029】
さらに、上述した
図4〜
図8の霧吹きノズル1では、
図9の展開平面図に示されているように、ノズルピース13,13が閉じられた状態を安定に保持するために、一方のノズルピース13には、先端が鍵形形状の雄型係止片17が形成されており、他方のノズルピース13の外面には、リング形状の雌型係止片19が形成されていることが好適である。即ち、これらノズルピース13,13を旋回して閉じたとき、雄型係止片17と雌型係止片19とが係合し、これらが閉じられて霧吹きノズル1を形成している状態が安定に保持される。
【0030】
また、
図10及び
図11には、本発明の霧吹きノズル1の好適な形態の他の例が示されている。
図10及び
図11に示されているように、この霧吹きノズル1も、
図4〜
図8の霧吹きノズル1と同様、ヒンジバンド15により開閉可能に連結された一対のノズルピース13,13から形成されており、これらノズルピース13,13のそれぞれに、液流路3に対応する溝3x、3x、空気導入孔5に対応する切欠き5x,5x及びリブ7に相当する突起が設けられている。即ち、ノズルピース13,13を閉じることにより、
図1に示す基本構造の液流路3を備えたパイプ形状が形成される。
【0031】
かかる形態の霧吹きノズル1の最も大きな特徴は、特に
図11(a)に示されているように、ノズルピース13,13の一方において、溝3xの両側端部に漏れ防止用リブ20が設けられている点にある。即ち、このような漏れ防止用リブ20を設けることにより、ノズルピース13,13を閉じたときの合わせ面21(
図10参照)からの液漏れ(流路3を通る液体の漏れ)を有効に防止することができる。勿論、ノズルピース13,13の何れについても、溝3xの両側端部に、漏れ防止用リブ20を設けることもできる。
【0032】
また、この態様では、
図11に示されているように、閉じられたノズルピース13,13が容易に開かないように、ヒンジバンド15が比較的厚肉に形成されており、この中央部に切欠き23を設けて中央部分を選択的に薄肉としている。このような形態では、ヒンジバンド15が厚肉となっているため、閉じられた状態をしっかりと保持することができる。また、この態様では、ヒンジバンド15(中央部分)を支点としての旋回によりノズルピース13,13を閉じたとき、ヒンジバンド15の変形や歪を緩和するために、一方のノズルピース13の外面に、肉抜き部25を設けることが望ましい(
図11(b)参照)。
【0033】
さらに、この
図10及び
図11に示されている霧吹きノズル1のように、先端が鍵形形状の雄型係止片17を並列して複数形成し(図では、2個の雄型係止片17が設けられている)、複数の雄型係止片17と係合するように、リング形状の雌型係止片19を設けることもできる。これにより、ノズルピース13,13を閉じたときの状態をがっちりと保持することができ、偶発的にノズルピース13,13が開いてしまうという不都合を有効に回避することができる。この場合、開かれたノズルピース13、13の閉じる作業を容易に行い得るようにするために、例えば、摘まみ片27,29を、それぞれ、一対ずつ設けることもできる。
【0034】
<霧吹きキャップ>
上述した霧吹きノズル1は、これをキャップに取り付け、容器内容物を霧吹き状態で吐出し得る霧吹きキャップとして使用される。
【0035】
このような霧吹きキャップの構造を示す
図12及び
図13を参照して、この霧吹きキャップは、全体として30で示されており、プラスチック製の容器の口部80に装着され且つ前述した霧吹きノズル1が取り付けられているキャップ本体31と、ヒンジバンド33によりヒンジ連結されている上蓋35とからなっている。
尚、この例では、
図4の形態の霧吹きキャップ1がキャップ本体31に取り付けられている。また、
図12では、便宜上、ヒンジバンド15は省略されている。
【0036】
キャップ本体31は、筒状側壁37と、この筒状側壁37の上端を閉じるように形成されている頂板部39とから形成されている。
【0037】
筒状側壁37の内面の下端部には、全周にわたってアンダーカット41が形成されており、このアンダーカット41が容器口部80の外面に形成されている顎部81と係合するようになっている。尚、このアンダーカット41の下方部分には、適当な間隔で切欠き41aが形成されており(
図13参照)、これにより、アンダーカット41が容易に顎部81を乗り越えて該顎部81と係合し得るようになっている。
また、筒状側壁37の内面の上方部分には、第1補助小突起43が形成されており、頂板部39の周縁部分の下面には、筒状側壁37とは間隔をおいて且つ第1補助小突起43と対面するように下方に延びているインナーリング45が設けられており、このインナーリング45と筒状側壁37との間には、第2補助小突起47が設けられている。
【0038】
即ち、
図12から理解されるように、筒状側壁37とインナーリング45との間の空間に容器口部80の上方部分が嵌め込まれ、アンダーカット41と容器口部80の顎部81との係合に加え、第1補助小突起43及び第2補助小突起47が容器口部80の上方部分にしっかりと当接することにより、キャップ本体31は、ガタツキや空気の漏れがないように容器口部80に装着されることとなる。
【0039】
一方、頂板部39の周縁部分の上面には、後述する上蓋3を閉じたとき、この上蓋3を安定に保持するための係合突起49が設けられており、さらに頂板部39の中央部分には、上方に膨らんだ膨出部51が形成されており、膨出部51には、このキャップ本体31が装着された容器の内部と通じる案内筒53が傾斜して設けられている。この案内筒53は、霧吹きノズル1を嵌合保持し且つ霧吹きノズル1から霧吹き状の吐出される内容液の吐出方向を規定するものであり、
図12に示されているように、案内筒53の内部には、霧吹きノズル1の先端部分に形成されている大径部1bが嵌め込まれ、さらに、この大径部1bから外面が面一となるように延びているリブ7が案内筒53の内面にぴったりと密着しており、これにより、霧吹きノズル1は、キャップ本体31にしっかりと安定に取り付けられる。
また、膨出部51の内部は、内容液を霧吹き状に吐出するために必要な空気を収容する空気室として機能するが、この点については、後述する。
【0040】
図12及び
図13と共に、
図14を参照して、案内筒53の先端部分外面には、案内筒53の先端部よりも大面積の平板形状のシール蓋55がヒンジバンド57によりヒンジ連結されており、このシール蓋55には、これを旋回して案内筒53の先端を閉じたとき、案内筒53の内面と密着するシールリング59が設けられている。
即ち、このシール蓋55は、案内筒53よりも大きい平板形状を有しているため、その開け閉めは手で容易に行うことができ、また、シール蓋55を閉じると、案内筒53は、しっかりとシールされ、これにより、容器内の密封性が保たれる。
【0041】
頂板部39の周縁部分の下面には、前述したインナーリング45よりも内方側から下方に延びている背の低い保持リング61が設けられており、この保持リング61の下端には、内方側に突出した突部61aが形成されており、頂板部39の内面と容器内空間とを仕切る仕切り部材63が、突部61aに係止して着脱自在に保持されている。
【0042】
上記の仕切り部材63は、
図15及び
図16に示されているように、下方に凹んだ液溜め部65と、液溜め部65に並列して配置されている連通孔67が形成されており、この連通孔67を介して、容器内空間と頂板部39に形成されている膨出部51内空間とが連通している。
また、
図12から明らかなとおり、案内筒53内に大径部1bが保持されている霧吹きノズル1の小径部1aの下端は、この仕切り部材63の液溜め部65に対面するように配置されている。
【0043】
上記のような構造のキャップ本体31に対して、上蓋35は、天板部69と、天板部69の周縁から延びているスカート部71とから形成されており、スカート部71の下端(上蓋35が開放された状態の
図12、13では上端)と筒状側壁37の上端とがヒンジバンド33によりヒンジ連結されており、これにより、上蓋35は、開閉自在に旋回可能となっており、上蓋35を閉じたときには、キャップ本体1の頂板部39が上蓋35で完全に覆われるようになっている。
【0044】
上蓋35のスカート部71の下端外面には、ヒンジバンド33が連結されている部分とは反対側となる位置にタブ73が設けられており、タブ73を持って上蓋35を容易に旋回し得るようになっている。
また、スカート部71の下端内面には、周状突起75が形成されており、上蓋35を閉じたとき、キャップ本体31の頂板部上面に設けられている係合突起49が、この周状突起75と係合することにより、上蓋35が閉じた状態にしっかりと保持されることとなる。
【0045】
さらに、天板69からスカート部71の内面にかけて、前述したシール蓋55を規制する規制板77が設けられている。即ち、上蓋35を閉じると、その旋回に伴って規制版77がシール蓋55を押圧して、開いているシール蓋55を閉じ、そのまま、シール蓋55を閉じた状態に保持する。これにより、上蓋35が閉じられている状態において、シール蓋55が偶発的に開いてしまうという不都合を有効に防止することができ、安定したシール性を確保することができる。
【0046】
上述した構造の霧吹きキャップ30は、
図13に示す状態でキャップ本体31と、ヒンジバンド33で連結された上蓋35とを一体に成形し、この状態で、別途成形された霧吹きノズル1(大径部1b)を
図12に示される位置関係となるようにキャップ本体1の案内筒53に嵌合固定し、さらに、別途成形された仕切り部材63を装着することにより製造される。このようにして得られた霧吹きキャップ30は、上蓋35を閉じた状態での打栓により、内容液が収容された容器の口部80に装着される。
【0047】
このようにして容器口部80に装着された霧吹きキャップ30を用いての内容液の霧吹きは、次のようにして行われる。
先ず、上蓋35が閉じられた状態で、容器を倒立させ、次いで、正立状態に戻す。これにより、
図17に示されているように(
図17でも、ヒンジバンド15は省略されている)、容器内容液100は、仕切り部材63の連通孔67を通って液溜め部65内に収容され、霧吹きノズル1の小径部1aの下端(液流路3の導入側端部3a)は、少量の内容液100中に浸漬した状態となる。
【0048】
この状態で、シール蓋55を開け、適宜、容器を傾倒させた後、容器の胴部を押圧して凹ます(スクイズする)と、膨出部51の内部は、容器内のヘッドスペースの部分と共に、十分な空気が存在しているため、容器胴部の圧縮に伴う圧力によって加圧され、
図17の矢線Yのように、霧吹きノズル1の空気導入孔5に流れ込み、液流路3の吐出端部3bから排出される。これにより、霧吹きノズル1の液流路3内の空気も排出され、減圧状態となり、液溜め部65内の内容液100は、
図17の矢線Zに示すように、液流路3内を流れ、吐出端部3bから空気と共に吐出される。このとき、吐出端部から排出される空気は、圧縮された状態から大気圧状態に解放されるため膨張し、この結果、吐出端部3bから排出される内容液100は、霧状となって吐出されることとなる。
【0049】
上記のようにして霧吹き状に内容液100を吐出後、容器胴部の押圧を停止すると、胴部の形状復帰により、容器胴部内が減圧状態となり、外部の空気は、液流路3内、膨出部51内及び容器内部に逆流し、再び、霧吹きに十分な量の空気が確保されることとなる。
従って、液溜め部65内に容器内容液100が残存しており、霧吹きノズル1の下端が容器内容液100内に浸漬している場合には、再び、容器胴部を押圧することにより、容器内容液100を霧吹き状に吐出することができる。また、液溜め部65内の内容液100中に霧吹きノズル1の下端が浸漬していない状態となったときには、再び、シール蓋55を閉じ、容器の倒立及び成立状態への復帰を行った後、容器胴部を押圧することにより、容器内容液100の霧吹きを行うことができる。
【0050】
このように、霧吹きノズル1を備えた本発明の霧吹きキャップ30は、格別のポンプ機構やトリガなどの装置を装着することなく、単に容器の胴部を押圧するという操作のみで内容液を霧吹き状態で吐出することができるため、極めて安価であり、コストダウンが要求される食品用、例えば醤油、ドレッシング、ソース類等の調味液などの霧吹きのために特に好適に適用することができる。
【0051】
また、上述した本発明の霧吹きキャップ30において、例えば液溜め部65や連通孔67を備えた仕切り部材63を使用せず、霧吹きノズル1の下端(液流路3の導入側端部)を容器内の内容液中に直接浸漬するようにして霧吹き操作を行うことも可能である。
しかしながら、この場合には、容器の底部まで霧吹きノズル1の下端が延びていることが必要なり、霧吹きノズル1が著しく長いものとなってしまい、容器口部への霧吹きキャップ30の装着作業等が著しく面倒となってしまうなどの不都合を生じてしまう。従って、前述した構造の仕切り部材63を使用し、容器内の内容液を一旦、液溜め部65内に移した後に、内容液の霧吹き操作を行うことが最適である。また、液溜め部65に内容液を溜めやすくするために、シール蓋55側に液溜め部65を配置し、ヒンジバンド33側に連通孔67を配置するのが好ましい。
【0052】
尚、本発明において、霧吹きノズル1や霧吹きキャップを構成する各部材、並びに、この霧吹きキャップが装着される容器の材質は、射出成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形等の成形が可能な種々の熱可塑性樹脂であってよいが、一般的には、包装分野で広く使用されているポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂或いはポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂が好適である。これらの樹脂は、例えば、押圧により胴部が容易に圧縮変形されるスクイズボトルなどの成形にも広く利用されている。