【実施例】
【0059】
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。
【0060】
<3.1 第1の実施例>
第1の実施例では、熱硬化性接着シートを作製し、これを反りが発生したパターン付ウエハに貼り合わせ、積層体の硬化後の反り量について評価した。また、熱硬化性接着シートの硬化速度、密着信頼性、アライメントマーク認識性、及びダイシングテープの貼り付け性について評価した。
【0061】
[熱硬化性接着シートの作製]
下記成分を配合し、樹脂組成物を調製した。これを、剥離処理されたPET(Polyethylene terephthalate)にバーコーターを用いて塗布し、80℃のオーブンで3分間乾燥させ、厚み20μmの熱硬化性接着シートを作製した(カバー剥離PET(25μm)/熱硬化性接着シート(20μm)/ベース剥離PET(50μm))。
FX293:フルオレン型フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製)
YP−50:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製)
SG−80H:アクリル系エラストマー(ナガセケムテックス(株)製)
RKB−5515B:ブタジエン系エラストマー(レジナス化成(株)製)
DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業(株)、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)=166)
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)=152)
M−315:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートとイソシアヌル酸 エチレンオキサイド変性トリアクリレートの混合物(イソシアヌル酸エチレンオキサイド 変性ジアクリレートの含有率が3%〜13%)(東亞合成(株)製、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)=144)
A−DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業(株)、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)=96)
UV−1700B:ウレタンアクリレート(日本合成化学(株)、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)=222)
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート(新中村化学工業(株)、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)=144)
CEL−2021P:脂環式エポキシ樹脂((株)ダイセル)
JER1031S:特殊多官能エポキシ樹脂(三菱化学(株))
パーロイルL:ジラウロイルパーオキサイド(日油(株)製、1分間半減期温度:116.4℃)
パーオクタO:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、1分間半減期温度:116.4℃)
パーヘキサV:n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート(日油(株)製、1分間半減期温度:116.4℃)
TD−2131:フェノールノボラック(DIC(株))
U−CAT5002:DBU系テトラフェニルボレート塩(サンアプロ(株))
アエロジルR202:シリカ(日本アエロジル(株))
#20:カーボンブラック
KBM−5103:アクリル系シランカップリング剤(信越シリコーン(株))
KBM−403:エポキシ系シランカップリング剤(信越シリコーン(株))
【0062】
[積層体の作製]
厚み20μmの熱硬化性接着シートをパターン付ウエハ上にプレス機にて貼り合わせ、130℃、1hの条件でキュアして積層体を得た。
【0063】
パターン付ウエハは、厚み200μmの8インチのものを使用した。また、パターン付ウエハの平均反り量(サンプル数:10)は、4mmであった。なお、パターン付ウエハの反り量は、平面ステージ(X,Y軸)にパターン付ウエハを置いたときの反り(Z軸)の最大値とした。
【0064】
[積層体の反り量の評価]
パターン付ウエハの反り量の測定と同様に、積層体の反り量は、平面ステージ(X,Y軸)に積層体を置いたときの反り(Z軸)の最大値とした。積層体の反り量が1.0mm未満のものを「◎」、積層体の反り量が1.0mm以上1.5mm未満のものを「○」、積層体の反り量が1.5mm以上2.5mm未満のものを「△」、積層体の反り量が2.5mm以上のものを「×」と評価した。
【0065】
[熱硬化性接着シートの硬化速度の評価]
フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−4100、日本分光社製)を用いて、130℃、1hの条件でキュアした厚み20μmの熱硬化性接着シートのサンプルを透過法にて測定した。未硬化の熱硬化性接着シートのアクリルモノマー(不飽和基)の測定強度と、完全硬化後の熱硬化性接着シートのアクリルモノマー(不飽和基)の測定強度との比から、熱硬化性接着シートのサンプルの反応率を算出した。熱硬化性接着シートの反応率が80%以上のものを「◎」、熱硬化性接着シートの反応率が50%以上80%未満のものを「○」、熱硬化性接着シートの反応率が50%未満のものを「×」と評価した。
【0066】
[熱硬化性接着シートの密着信頼性の評価]
130℃、1hの条件でキュアした厚み20μmの熱硬化性接着シートの初期の接着強度と、温度85℃、湿度85%、1000hの信頼性試験後の熱硬化性接着シートの接着強度とを測定した。接着強度は、JIS K 6854に準拠して剥離速度50mm/minで90度剥離試験を行い、引き剥がすのに要した力を剥離強度として測定した。信頼性試験後の接着強度が初期の接着強度の90%以上のものを「◎」、信頼性試験後の接着強度が初期の接着強度の80%以上90%未満のものを「○」、信頼性試験後の接着強度が初期の接着強度の80%未満のものを「×」と評価した。
【0067】
[熱硬化性接着シートのアライメントマーク認識性の評価]
130℃、1hの条件でキュアした厚み20μmの熱硬化性接着シートについて、赤外線(波長:1μm)の透過率を測定した。IR透過率が50%以上のものを「◎」、IR透過率が30%以上50%未満のものを「○」、IR透過率が30%未満のものを「×」と評価した。
【0068】
[ダイシングテープの貼り付け性の評価]
130℃、1hの条件でキュアして得られた積層体の熱硬化性接着層側にダイシングテープをラミネートした。ダイシングテープを目視し、気泡が確認できない場合を「○」と評価し、気泡が確認できた場合を「×」と評価した。
【0069】
[実施例1]
フルオレン型フェノキシ樹脂(FX293)を5質量部、アクリル系エラストマー(SG−80H)を20質量部、3官能アクリレート(M−315)を50質量部、有機過酸化物(パーロイルL)を5質量部、シリカ(アエロジルR202)を100質量部、アクリル系カップリング剤(KBM−5103)を2質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製し、熱硬化性接着シートを作製した。
【0070】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎、ダイシングテープの貼り付け性の評価は○であった。
【0071】
[実施例2]
3官能アクリレート(M−315)に代えて、2官能アクリレート(A−DCP)を50質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が152、平均架橋密度が6.6E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0072】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0073】
[実施例3]
3官能アクリレート(M−315)に代えて、2官能メタクリレート(DCP)を50質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が166、平均架橋密度が6.0E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0074】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0075】
[実施例4]
3官能アクリレート(M−315)に代えて、多官能メタクリレート(A−DPH)を50質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が96、平均架橋密度が1.0E−02である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0076】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は○、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0077】
[実施例5]
3官能アクリレート(M−315)に代えて、多官能ウレタンアクリレート(UV−1700B)を50質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が222、平均架橋密度が4.5E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0078】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は○、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0079】
[実施例6]
3官能アクリレート(M−315)に代えて、多官能メタクリレート(A−DPH)を20質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が96、平均架橋密度が1.0E−02である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0080】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は○であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は○、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0081】
[実施例7]
3官能アクリレート(M−315)に代えて、多官能メタクリレート(A−DPH)を70質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が96、平均架橋密度が1.0E−02である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0082】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は○、密着信頼性の評価は○、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
[実施例8]
3官能アクリレート(M−315)を30質量部、2官能メタクリレート(DCP)を18質量部、単官能アクリレート(4−HBA)を2質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が125、平均架橋密度が6.7E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0083】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0084】
[実施例9]
フルオレン型フェノキシ樹脂(FX293)を3質量部、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(YP−50)を2質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0085】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は○であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は○、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0086】
[実施例10]
フルオレン型フェノキシ樹脂(FX293)を配合せずに、アクリル系エラストマー(SG−80H)を25質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0087】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は○であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0088】
[実施例11]
アクリル系エラストマー(SG−80H)を15質量部、ブタジエン系エラストマー(RKB−5515B)を5質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0089】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は○、アライメントマーク認識性の評価は○であった。
【0090】
[実施例12]
アクリル系エラストマー(SG−80H)に代えて、ブタジエン系エラストマー(RKB−5515B)を20質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0091】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は○であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は○、アライメントマーク認識性の評価は×であった。
【0092】
[実施例13]
シリカ(アエロジルR202)を150質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0093】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は○、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0094】
[実施例14]
シリカ(アエロジルR202)を50質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0095】
表1に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は○であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0096】
[実施例15]
実施例1の配合にカーボンブラック(#20)を1質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0097】
表2に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は○であった。
【0098】
[実施例16]
パーロイルLに代えて、パーオクタOを5質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0099】
表2に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0100】
[実施例17]
パーロイルLを4質量部、パーヘキサVを1質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0101】
表2に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は◎であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は△、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0102】
[比較例1]
3官能アクリレート(M−315)、パーロイルL、及びアクリル系シランカップリング剤(KBM−5103)に代えて、脂環式エポキシ樹脂(CEL−2021P)を50質量部、フェノールノボラック(TD−2131)を5質量部、DBU系テトラフェニルボレート塩(U−CAT5002)を5質量部、エポキシ系シランカップリング剤(KBM−403)を2質量部配合し、樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0103】
表2に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は△であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は×、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は○であった。
【0104】
[比較例2]
3官能アクリレート(M−315)、パーロイルL、及びアクリル系シランカップリング剤(KBM−5103)に代えて、特殊多官能エポキシ樹脂(JER1031S)を50質量部、フェノールノボラック(TD−2131)を5質量部、DBU系テトラフェニルボレート塩(U−CAT5002)を5質量部、エポキシ系シランカップリング剤(KBM−403)を2質量部配合し、樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0105】
表2に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は△であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は×、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は○、ダイシングテープの貼り付け性の評価は×であった。
【0106】
[比較例3]
3官能アクリレート(M−315)に代えて、単官能アクリレート(4−HBA)を50質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が6.9E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0107】
表2に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は×であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は○、アライメントマーク認識性の評価は◎、ダイシングテープの貼り付け性の評価は×であった。
【0108】
[比較例4]
3官能アクリレート(M−315)を47.5質量部、単官能アクリレート(4−HBA)を2.5質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が102、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0109】
表2に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は△であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は◎、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0110】
[比較例5]
パーロイルLに代えて、パーヘキサVを5質量部配合し、(メタ)アクリル当量(分子量/官能基数)の加成平均値が144、平均架橋密度が7.1E−03である樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性接着シートを作製した。
【0111】
表2に示すように、熱硬化性接着シートをパターン付ウエハに貼り合わせ、硬化させた積層体の反り量の評価は△であった。また、熱硬化性接着シートの硬化速度の評価は×、密着信頼性の評価は◎、アライメントマーク認識性の評価は◎であった。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
比較例1、2のようにエポキシ系の熱硬化性バインダーを用いた場合、高い硬化速度が得られず、ウエハの反りと逆方向の応力が小さく、ウエハの反り量を大きく低減させることができなかった。また、比較例3のように単管能(メタ)アクリレートを配合した場合も、ウエハの反りと逆方向の応力が小さく、ウエハの反り量を大きく低減させることができなかった。また、比較例4のように多官能(メタ)アクリレートが全(メタ)アクリレート中95wt%を超えて含まれていない場合も、ウエハの反りと逆方向の応力が小さく、ウエハの反り量を大きく低減させることができなかった。また、比較例5のように1分間半減期温度が130℃を超える有機過酸化物を配合した場合も、ウエハの反りと逆方向の応力が小さく、ウエハの反り量を大きく低減させることができなかった。
【0115】
一方、実施例1〜17のようにエラストマーを含むポリマーと、多官能(メタ)アクリレートを全(メタ)アクリレート中95wt%を超えて含む(メタ)アクリレートと、1分間半減期温度が130℃以下である有機過酸化物とを配合した場合、大きい硬化速度が得られ、ウエハの反りと逆方向の応力が大きく、ウエハの反り量を大きく低減させることができた。
【0116】
また、多官能(メタ)アクリレート以外の成分が同一である、実施例1〜実施例5を対比すると分かるように、(メタ)アクリル当量の加成平均値が100〜200g/eqの範囲であることにより、反り量、硬化速度、密着性、及びアライメントマーク視認性の評価の全てが良好となった。
【0117】
また、成分が同一であり、多官能(メタ)アクリレートの配合量が異なる、実施例4、実施例6及び実施例7を対比すると分かるように、多官能(メタ)アクリレートの配合量が30質量部以上であることにより、積層体の反り量の評価が良好となった。