(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記微小球は、鉄分を含む酸化物の含有量が、XPS表面分析によって測定したとき、前記組成物の全重量に基づき、約0.5重量パーセントである、請求項1に記載の回路サブアセンブリ。
前記重合体母材材料は、1、2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエーテルイミド、フッ素重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロへキシレンテレフタレート、又は前述事項の少なくとも1つを含む組み合わせを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回路サブアセンブリ。
【背景技術】
【0002】
回路材料は、本明細書で使用されるとき、回路及びマルチレイヤ回路の製造の際に使用される物品であり、回路サブアセンブリ、結合層、樹脂被覆導電層、非被覆誘電層、及びカバーフィルムからなる。回路積層板は、導電層、たとえば銅が誘電層にしっかりと取り付けられた回路サブアセンブリのタイプである。ダブルクラッド回路積層板は、誘電層の各側にある、2つの導電層を有する。たとえばエッチングによる積層板の導電層のパターン形成によって、回路が設けられる。マルチレイヤ回路は、複数の導電層からなり、その少なくとも1つは、導電性配線パターンを含む。通常、マルチレイヤ回路は、結合層を使用して1つ又は複数の回路を一緒に重ね合わせることによって、その後エッチングされる樹脂被覆導電層を用いて追加層を作り上げることによって、又はその後で添加剤金属化される非被覆誘電層を加えて追加層を作り上げることによって、形成される。マルチレイヤ回路を形成した後、導電層の間に有用な電気経路を生成するために、公知の穴形成及びメッキ技術を使用することができる。
【0003】
誘電層は、誘電性の、及び物理的な性質が鉱物性又はセラミックの微粒子フィラーの使用によって制御される重合体の誘電性合成材料からなることができる。特に低誘電性定数が所望の場合、中空のガラス又はセラミックの微小球を使用することができる。たとえば、中空の空気が充填されたガラス微小球を炭化水素母材中に含む、ストリップラインボード材料のための合成物が記載されている(特許文献1参照)。融解された組成物を垂直ダブルベルトプレス装置の開口中に直接押し出すことによって作られる、中空ガラス微小球が充填された重合体合成物が開示されている(特許文献2参照)。誘電性定数が3.2より小さく、様々な製造業者製の中空微小球を使用して作られる、充填剤入りのプリプレグ材料が開示されている(特許文献3参照)。マイクロ電子デバイス用の無はんだコネクタ中のインピーダンスを制御するための、中空微小球が充填されたエラストマー層の使用が開示されている(特許文献4参照)。中空ガラス微小球を含む回路ボードのためのボンディング層が開示されている(特許文献5参照)。
【0004】
これらの前の特許に従って、たとえば、回路製品中に合成微小球を使用することのそれほど費用のかからない代替として、セノスフェアとして知られる自然発生の中空微小球を、そのセノスフェアがいくつかの組成の要件を満たす限り、使用することが開示されている(特許文献6参照)。選択されたセノスフェアは、低D
k及び他の所望の電気的性質を都合良くもたらし、さらに機械的性質の保持に必要なフィラー容量を維持することが発見された。しかし、商業生産に従うと、得られる量が無制限であると保証できない恐れがあるという懸念が生じた。ロット毎のベースでさえ、自然に提供される生成物の変わりやすい性質に加えて、この供給制約のために、セノスフェアの使用に対する合成物の代替策の調査が促進されてきた。具体的な要求は、回路サブアセンブリ中の散逸率が低いことを要求する高周波数用途に必要な電気的性質を備えるフィラーを得ることである。
【0005】
中空ガラス・微小球は、合成材料中で様々に使用するために製造されてきた。たとえば、中空微小球は、潜水艇の船体のためのシンタクチックフォームの構成要素として使用されてきた。また、かかる微小球は、薬剤又は水素ガスの貯蔵及び/又はゆっくりとした放出のために使用されてきた。通常、微小球は、直径が10〜300マイクロメータであって、ときにはマイクロバルーン又はガラスバブルと呼ばれる。
【0006】
中空ガラス微小球は、超音波スプレイ熱分解を含む、様々な工程によって作ることができる。形成される微小球の所望の性質は、いくつかの使用のために、ナトリウムの少なくともいくらかを除去することに関与することができる表面処理によって向上させることができる。たとえば、いくつかの理由の中でも特に、表面が清浄な微小球を生成すると、様々な重合体によって微小球の湿潤性を高めることができる。また、微小球のナトリウムを減少させると、ガラス微小球が化学的に敏感な樹脂と混合される用途にとって望ましいことになることができる。最後に、微小球の表面処理は、所望なら、結合反応のためのボンディングを向上させることができる。
【0007】
たとえば、シリカ含有量を増加させる脱アルカリ化剤とガラス微小球を接触させることによって耐熱性を高め、それによってナトリウム含有量を減少させるための、ガラス微小球の生成及び回収後のガラス微小球の処理が開示されている(特許文献7参照)。生成後、微小球のアルカリ性酸化物含有量は、通常10%より少ない。この場合、脱アルカリ化の目的は、アルカリ性酸化物含有量を4%以下の状態にすることである。
【0008】
たとえば、誘電性定数が低く(2.0より小さい)、散逸率が低く(0.008より小さい)、200℃より高い温度で有用な、全微小球材料の生成が開示されている(非特許文献1参照)。具体的には、ホウケイ酸ナトリウムガラス微小球(マイクロバブル)は、高温安定性(1090℃)を高めるために、酸浸出してナトリウムを除去した。特に、様々な密度のEccosphere(登録商標)の微小球は、様々な期間、H
2SO
4又はHClの様々な濃度で酸浸出した。微小球の酸浸出に続いて、著者らは、わずかにより低い誘電性定数及び同等の損失正接値が得られることを発見した。すなわち、著者らは、損失正接が、浸出可能なナトリウムすべてを除去したのにもかかわらず、低下しないことを発見した。
【0009】
上記事項を考慮すると、本技術分野において低誘電性定数の、散逸率が向上された(より低い)低損失回路材料に対する必要性が依然としてある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
微粒子フィラーとして誘電性合成材料中にいくらかの合成ホウケイ酸塩微小球を使用すると、散逸率が向上された回路サブアセンブリの製造が可能になることが、発明者等によって思いがけず発見された。かかる回路サブアセンブリは、高周波数用途に特に都合がよい。具体的には、ホウケイ酸塩微小球は、10GHzで0.006より小さい損失正接を示すことができる。ここで開示する誘電性合成材料に基づく回路及びマルチレイヤ回路は、合成ガラスの中空微小球からなる、先行技術による他の回路材料よりも優れた性質を示すことができる。
【0020】
ホウケイ酸塩微小球は、平均直径が300マイクロメータより小さい、たとえば15〜200ミクロン、より具体的には20〜100ミクロンである中空球体である。中空微小球の密度は、0.1g/cm
3(0.1g/cc)以上の範囲、具体的には0.2g/c
m
3(0.2g/cc)〜0.6g/cm
3(0.6g/cc)、より具体的には、0.3g/cm
3(0.3g/cc)〜0.5g/cm
3(0.5g/cc)の範囲であることができる。
【0021】
中空微小球は、多くの商業的供給源から、たとえば以前はエマーソンアンドカミング社(Emerson and Cuming, Inc.)であったトレルボルグオフショア社(Trelleborg Offshore)(ボストン)、W.R.グレースアンドカンパニー(W.R.Grace and Company)(マサチューセッツ州カントン)及びスリーエム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)から入手することができる。かかる中空微小球は、マイクロバルーン、ガラスバブル、マイクロバブルなどと呼ばれ、様々なグレードで売られており、たとえば、そのグレードは、密度、サイズ、コーティング及び/又は表面処理によって変わることができる。
【0022】
たとえば、微小球は、ガラスの表面上に存在する水酸基と反応することができる結合剤を用いる処理によって、外側表面を化学的に変性させることができる。一実施形態では、結合剤は、シラン又はエポキシである、具体的には、ガラス微小球の外側表面上に存在する水酸基と反応することができる基を一方の末端に有し、極性が低い重合体母材中で微小球の分散性に役に立つことになる有機基を他方の末端に有するオルガノシランである。二官能性シラン結合は、ビニル、水酸基及びアミノ基、たとえば3−アミノ−プロピルトリエトキシシランから選択される基の化合物を有することができる。また、シランコーティングは、吸水を最小にすることができる。
【0023】
ホウケイ酸塩微小球は、アルカリホウケイ酸塩ガラスから作ることができる。アルカリホウケイ酸塩の例示的な酸化物組成物は、76.6重量%のSiO
2、21.3重量%のNa
2O、1.9重量%のB
2O
3及び0.2重量%の他の構成要素を含むことができる。例示的なソーダ石灰ホウケイ酸塩は、80.7重量%のSiO
2、6.9重量%のNa
2O、10.3重量%のCaO、2.1重量%のB
2O
3及び1.9%の不純物を含むことができる。それゆえ、組成物(ほとんどSiO
2であって、少なくとも1パーセントのB
2O
3を含む)は、出発原料に依存して、ある程度変えることができる。ホウケイ酸塩微小球の例示的なXPS分析は、酸洗浄によるナトリウムの除去後、98.7重量%のSiO
2、0.1重量%のNa
2O及び1.2重量%のB
2O
3を示すのに対して、同じ又は同様の微小球の例示的なXPS分析は、アルカリ洗浄によるナトリウムの除去後、87.5重量%のSiO
2、3.4重量%のNa
2O、3.6重量%のMgO及び3.3重量%のB
2O
3、1.2重量%のBaO、0.7重量%のCaO及び0.4重量%のFe
2O
3である。したがって、0.50重量%より少ない鉄含有量は、表面XPS分析を介して測定したとき、過度の困難がなく得ることができる。
【0024】
中空微小球の生成は、十分確立された技術である。中空微小球を生成するために利用できる方法はいくつかある。普通のアプローチは、非常に高い温度で物質を分解して、液滴内にガス状組成物を形成する工程を伴う。高温でのガス状組成物の急速な膨張によって、バブルの形成が引き起こされる。次いで、中空小滴が液体状態から急速に冷却されて、中空微小球が形成される。
【0025】
中空ホウケイ酸塩微小球の生成は、先行技術による従来の工程によって一般に実施することができ、たとえば、ガラスを形成する酸化物の溶液を乾燥して、硬質残留物又はゲルにし、次いで適切な粒子サイズまで砕く乾燥ゲル工程が米国特許第3699050号明細書に開示されている。砕かれた材料は、狭いサイズ範囲にふるい分け、次いで高温加熱炉又は噴霧塔中を機械的に落下させる。表面が溶けたとき、ゲル中に化学的に結合した水が粒子を膨らませて、中空ガラス微小球を形成するように見える。また、発泡剤を使用することができる。たとえば、高シリカ含有量の微小球の生成が米国特許第4904293号
明細書(ガーミア(Gamier))に開示されており、出発ガラスが、砕くことによって粉状にされて微細な粒子になり、任意選択で発泡剤と混合され、次いで、1500℃以上の温度でバーナの炎中を通されて、溶解した中空微小球が形成され、次いで、それは、冷却されて、固化した中空微小球を形成する。
【0026】
中空微小球を生成する代替の方法は、微量な硫酸ナトリウムなどの硫黄含有化合物をホウケイ酸塩ガラスと混合し、次いで、その混合体は、粉末状ガラス及び硫酸ナトリウムを溶解させる高温炎中を落下させる工程を伴う。硫酸ナトリウムを溶解すると、溶けたガラス小滴内にバブルを形成する微量な硫黄ガスを放出する分解作用が生じる。しかし、かかる硫黄含有化合物又は他のそのような極性化合物が存在すると、回路材料の後の処理の間に望ましくない悪影響を及ぼす可能性がある。ゆえに、微小球の内部は、具体的な実施形態では、不活性で非極性の硫黄がないガス組成物を含み、たとえば組成物は、窒素、二酸化炭素、酸素、及び1重量%より少ない二酸化硫黄などの非極性の化合物を含み、特に二酸化硫黄が存在しないものである。一実施形態では、微小球中のガス状組成物の少なくとも98重量%、具体的には少なくとも99重量%が不活性であり、たとえば窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0027】
微小球は、高温で生成されて回収された後、脱アルカリ化剤と接触させて、ナトリウム含有量を減少させる。生成されて回収された微小球の元のナトリウム酸化物含有量は、約6重量%より多く、具体的には約7重量%より多い可能性がある。脱アルカリ化操作の目的は、XPS表面分析によって決定されたとき、ナトリウム酸化物(Na
2O)含有量を約5.0重量%より少ない、具体的には約4重量%より少ない量の状態にすることである。それゆえ、微小球中のナトリウム酸化物の重量%は、0〜5.0重量%に、具体的には0.1〜4.5重量%にすることができる。一実施形態では、ナトリウム酸化物の重量%は、1.0〜5.0重量%、具体的には2.0〜4.5重量%、より具体的には2.5〜4.0重量%である。一実施形態では、ナトリウム含有量は、少なくとも25重量%だけ、具体的には少なくとも50重量%だけナトリウムの全量を減少させた後、微小球の重量に基づき、約5重量パーセントより少ない量まで減少させる。
【0028】
脱アルカリ化処理は、化学的に実施することができる。脱アルカリ化処理は、温度を上げて、又は室温において、バッチ又は連続的な工程で行うことができる。一実施形態では、処理は、ナトリウム含有量を所望のように減少させるのに十分な期間延ばすことができる。したがって、中空微小球は、高温で形成後、かつ脱アルカリ化を受けて、アルカリ(ナトリウム)・イオンが除去された後、ナトリウム・イオンが減少した表面層を得ることができ、それは、ほとんどのホウケイ酸塩ガラス材料中に伸びることができる。
【0029】
以下に実施例でより詳細に述べるように、誘電性合成材料のためのフィラーとして、アルカリ性脱アルカリ化剤を用いて処理されている中空微小球を使用し、それによって損失正接が10GHzで0.006より小さい回路サブアセンブリを得ることによって、特に高周波数用途のための向上した回路サブアセンブリを得ることができることが思わず発見された。より具体的には、ナトリウム酸化物含有量が、ホウケイ酸塩微小球のXPS表面分析に基づき4重量パーセントより少ないアルカリ洗浄ホウケイ酸塩微小球を使用すると、特に高周波数回路用途に対して所望の、10GHzで0.006より小さい、具体的には0.004より小さい、より具体的には0.0035以下である散逸率(D
f)を含む、電気的性質をもたらす誘電性材料が期せずして得られることが発見された。
【0030】
散逸率(D
f)は、散逸系において電気振動のエネルギーの損失率の測定値である。電位エネルギーは、すべての誘電性材料中で、通常熱の形態で、ある程度散逸する。D
fは、誘電性材料及び電気信号の周波数に依存して変わることになる。散逸率(D
f)及び損失正接は、ここでの目的では同じである。回路サブアセンブリに関する別の性質は、受動
相互変調(PIM)であり、それは、受動素子の電流と電圧の関係における非線形による不要な周波数の発生である。PIMは、セルラー・ネットワークに関してますます大きくなる問題である。PIMは、セルラー方式の感度を減少させる干渉を生成する恐れがある。鉄など、強磁性材料の存在は、かなりの量のPIMの生成の一因になる恐れがある。
【0031】
散逸率及びPIMは、特にプリント基板(PCB)アンテナと関係している。アンテナは、いずれもの伝送系又は無線通信インフラにおける決定的に重要な構成要素であり、たとえばセルラー基地局アンテナである。そのように、PCBアンテナ中に使用される高周波数積層板の性質について慎重に検討する。そのような用途のために、D
kが3.5より小さく、D
fが0.004より小さく、及びPIMが−153dBcより低いことが望ましい。一実施形態では、回路サブアセンブリは、散逸率が10GHzで0.0030〜0.0035であり、PIMが−153dBcより小さく、誘電性定数が2.5と3.5の間であることを示す。
【0032】
微小球のサイズ及びそれらのサイズ分布は、誘電性合成材料の所望の特性に依存して変えることができる。例示的な実施形態では、微粒子フィラーのホウケイ酸塩微小球は、平均粒子直径が約20〜約100マイクロメータ、具体的には約25〜約75マイクロメータ、より具体的には約20〜約70マイクロメータ、たとえば30〜65又は40〜55、もっとも具体的には約35〜約60マイクロメータであることを示す。サイズ分布は、ピークが2つある、3つあるなどとすることができる。
【0033】
ホウケイ酸塩微小球は、散逸率に対してかなりの悪影響を及ぼさずに組成物の誘電性定数を所望のレベルまで低下させるのに十分な量で、回路サブアセンブリの誘電性合成材料中に存在する。さらにまた、誘電性合成材料は、高周波数回路用途中で使用することができる。
【0034】
いくつかの場合、低い熱膨張係数を実現するフィラーの容量充填(volume loading)を維持しながら、回路基板の誘電性定数を所定の値に微調整することが望ましい。そのような場合、ホウケイ酸塩微小球の約10容量パーセントと同じほど低い充填レベルによって所望の効果を得ることができる。一実施形態では、ホウケイ酸塩微小球は、所望の誘電性定数に依存して、組成物の全容量に基づき、約1〜約70容量パーセント(vol.%)の量で、具体的には約5〜約50容量パーセントの量で、誘電性合成材料中に存在する。たとえば、2.55−D
kの誘電性合成材料では、微小球は、27.0〜29.5容量パーセントの量で存在することができるが、一方では3.0D
kの誘電性合成材料では、微小球は14.5〜16.5容量パーセントの量で存在することができる。
【0035】
誘電性合成材料は、任意選択で、ホウケイ酸塩微小球以外の1つ又は複数の追加の微粒子フィラーを含むことができる。追加のタイプのフィラーを使用すると、誘電性合成材料の誘電性定数、散逸率、熱膨張係数及び他の性質を微調整することが可能になる。二次的な微粒子フィラーの実施例は、限定せずに、二酸化チタン(ルチル及びアナターゼ)、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、シリカ(融合したアモルファスのシリカを含む)、コランダム、珪灰石、Ba
2Ti
9O
20、固体ガラス球体、合成ガラス又はセラミックの中空球体、石英、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、マイカ、タルク、ナノクレイ及び水酸化マグネシウムを含む。単一の二次的なフィラー又は二次的なフィラーの組み合わせは、性質の所望のバランスをもたらすために使用することができる。任意選択で、フィラーは、シリコン含有コーティング、たとえば有機機能性アルコキシシラン結合剤を用いて表面処理することができる。あるいは、ジルコン酸塩又はチタン酸塩の結合剤を使用することができる。かかる結合剤は、重合体の母材中へのフィラーの分散を向上させ、完成した合成回路基板の吸水を減少させることができる。
【0036】
また、誘電性合成物は、任意選択で、材料が炎に対して抵抗性を有するようにするのに役に立つ成分を含むことができる。かかる成分は、通常、全体の合成物容量中に0〜30容量パーセントの範囲で存在する。これらの炎遅延剤は、ハロゲン化することができる、又はそうしなくてもよい。炎遅延剤の選択は、炎抵抗性の所望のレベルを得るのに必要な充填に影響を及ぼす可能性がある。
【0037】
したがって、誘電性合成材料を製造するために使用される全フィラー構成要素は、100パーセントの全組成物に基づき、ホウケイ酸塩微小球を5〜70容量%で、及び1つ又は複数の二次的なフィラーを1〜90容量%で、具体的には二次的なフィラーを25〜75容量%で含むことができる。一実施形態では、フィラー構成要素は、ホウケイ酸塩微小球を5〜50容量%で、及び二次的なフィラーとして融合したアモルファスのシリカを70〜30容量%で含む。
【0038】
ホウケイ酸塩微小球は、誘電性重合体母材材料中に分散させて、回路サブアセンブリのための誘電性合成材料を形成する。例示的な誘電性重合体母材材料は、熱硬化性及び熱可塑性の樹脂に基づく重合体樹脂を含む、低極性、低誘電性定数及び低損失の重合体樹脂を含み、たとえば、1、2−ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン、ポリブタジエン−ポリイソプレン共重合体、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素重合体、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロへキシレンテレフタレート、ポリブタジエン−ポリイソプレン共重合体、ポリフェニレンエーテル樹脂及びアリル化ポリフェニレンエーテル樹脂に基づく樹脂などである。これらの材料は、低誘電性定数という所望の特徴を示し、それは、ホウケイ酸塩微小球の添加によって、さらに向上させる(すなわち減少させる)ことができる。また、低極性樹脂とより高い極性の樹脂との組み合わせを使用することができ、非限定の実施例は、エポキシとポリ(フェニレンエーテル)、エポキシとポリ(エーテルイミド)、シアン酸エステルとポリ(フェニレンエーテル)、及び1、2−ポリブタジエンとポリエチレンの組み合わせを含む。
【0039】
誘電層のための適切なフッ素重合体母材材料は、フッ素化ホモ重合体を含み、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、及びフッ素化共重合体、たとえばテトラフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレン及びペルフルオロアルキルビニルエーテルからなる群から選択される単量体との共重合体、テトラフルオロエチレンと、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル及びエチレンからなる群から選択される単量体との共重合体、及びクロロトリフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル及びエチレンからなる群から選択される単量体との共重合体である。また、上記に列挙した単量体から形成される、これらのフッ素重合体及びターポリマの混合物は、重合体母材材料として使用することができる。
【0040】
他の具体的な重合体母材材料は、熱硬化性のポリブタジエン及び/又はポリイソプレンの樹脂を含む。用語「熱硬化性のポリブタジエン及び/又はポリイソプレンの樹脂」は、本明細書で使用されるとき、ブタジエン、イソプレン又はその混合体から誘導される単位からなるホモ重合体及び共重合体を含む。また、他の共重合可能な単量体から誘導される単位は、たとえば任意選択で、グラフトの形態で樹脂中に存在することができる。例示的な共重合可能な単量体は、ただし、これらに限定されないが、ビニルアロマティック単量体を含み、たとえばスチレン、3−メチルスチレン、3、5−ジエチルスチレン、4−n−プロピルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、パラ−ヒドロキシスチレン、パラ−メトキシスチレン、α−クロロスチレン、α−ブロムスチレン、ジク
ロロスチレン、ジブロムスチレン、テトラ−クロロスチレンなどの置換及び非置換のモノビニルアロマティック単量体、ならびにジビニルベンゼン、ジビニルトルエンなどの置換及び非置換のジビニルアロマティック単量体である。また、前述の共重合可能な単量体の少なくとも1つを含む結合体は、使用することができる。例示的な熱硬化性のポリブタジエン及び/又はポリイソプレンの樹脂は、ただし、これらに限定されないが、ブタジエンホモ重合体、イソプレンホモ重合体、ブタジエン−スチレンなどのブタジエン−ビニルアロマティック共重合体、イソプレン−スチレン共重合体などのイソプレン−ビニルアロマティック共重合体などを含む。
【0041】
また、熱硬化性ポリブタジエン及び/又はポリイソプレン樹脂は変性させることができる。たとえば、樹脂は、ヒドロキシル基末端、メタクリル酸塩末端、カルボン酸塩末端の樹脂などとすることができる。エポキシ、無水マレイン酸又はウレタンによって変性されたブタジエンもしくはイソプレンの樹脂など、反応後の樹脂を使用することができる。また、樹脂は、たとえばジビニルベンゼンなどのジビニルアロマティック化合物によって架橋することができ、たとえば、ポリブタジエン−スチレンは、ジビニルベンゼンを用いて架橋される。例示的な樹脂は、「ポリブタジエン」としてその製造業者、たとえば日本国東京の日本曹達(株)及び米国ペンシルベニア州エクストン(Exton)のクレイ・バレー炭化水素特殊薬品(Cray Valley Hydrocarbon Specialty Chemicals)によって広く等級別にされている。また、樹脂の混合体、たとえばポリブタジエンホモ重合体とポリ(ブタジエン−イソプレン)共重合体との混合体を使用することができる。また、シンジオタクチックポリブタジエンを含む結合体は役に立つことができる。
【0042】
熱硬化性ポリブタジエン及び/又はポリイソプレン樹脂は、室温で液体又は固体であることができる。適切な液体樹脂は、約5,000より大きい数平均分子量を有することができるが、しかし一般に数平均分子量は、約5,000より小さい(もっとも好ましいのは、約1,000〜約3,000)。熱硬化性ポリブタジエン及び/又はポリイソプレン樹脂は、1、2付加を少なくとも90重量%有する樹脂を含み、それは、架橋のために利用できる多数の懸垂ビニル基によって硬化する際により大きい架橋密度を示すことができる。
【0043】
ポリブタジエン及び/又はポリイソプレン樹脂は、全重合体母材組成物に基づき、重合体母材組成物中に100重量%までの量で、全樹脂系に対して、具体的には約75重量%までで、より具体的には約10〜約70重量%で、さらにより具体的には約20〜約60又は70重量%で存在することができる。
【0044】
熱硬化性ポリブタジエン及び/又はポリイソプレン樹脂と共硬化することができる他の重合体は、特定の性質又は処理修正のために加えることができる。たとえば、時間にわたる電気基板材料の誘電性強さ及び機械的性質の安定性を向上させるために、分子量がより小さいエチレンプロピレンエラストマーを樹脂系中で使用することができる。エチレンプロピレンエラストマーは、本明細書で使用されるとき、主にエチレン及びプロピレンを含む共重合体、ターポリマ又は他の重合体である。エチレンプロピレンエラストマーは、EPM共重合体(すなわち、エチレン及びプロピレンの単量体の共重合体)又はEPDMターポリマ(すなわち、エチレン、プロピレン及びジエンの単量体のターポリマ)としてさらに分類することができる。エチレンプロピレンジエンターポリマーゴムは、特に飽和主鎖を有し、容易な架橋のために主鎖から離れた不飽和の状態で利用できる。液体エチレンプロピレンジエンターポリマーゴムは、ジエンがジシクロペンタジエンであって、使用することができる。
【0045】
エチレンプロピレンゴムの分子量は、10,000粘度平均分子量より小さくすること
ができる。適切なエチレンプロピレンゴムは、米国ロサンゼルス市バトンルージュ(Baton Rouge)のライオンコポリマー(Lion Copolymer)から商品名Trilene(登録商標)CP80として入手できる、粘度平均分子量(MV)が約7,200であるエチレンプロピレンゴムと、ライオンコポリマーから商品名Trilene(登録商標)65として入手できる、分子量が約7,000である液体エチレンプロピレンジシクロペンタジエンターポリマーゴムと、ライオンコポリマーから商品名Trilene(登録商標)67として入手できる、分子量が約7,500である液体エチレンプロピレンエチリデンノルボルネンターポリマとを含む。
【0046】
エチレンプロピレンゴムは、時間にわたる基板材料の性質、具体的には誘電性強さ及び機械的性質の安定性を維持するのに有効な量で存在させることができる。通常、そのような量は、重合体母材組成物の全重量に対して約20重量%まで、より具体的には約4〜約20重量%、さらにより具体的には約6〜約12重量%である。
【0047】
別のタイプの共硬化可能な重合体は、不飽和ポリブタジエン又はポリイソプレン含有エラストマーである。この構成要素は、主に、エチレン性不飽和単量体、たとえばスチレン又はα−メチルスチレン、メタクリル酸メチル又はアクリロニトリルなどのアクリル酸塩又はメタクリル酸塩などのビニルアロマティック化合物との1、3付加ブタジエン又はイソプレンのランダム又はブロック共重合体とすることができる。エラストマーは、固体の熱可塑性エラストマーとすることができ、これは、ポリブタジエン又はポリイソプレンのブロックと、スチレン又はα−メチルスチレンなどのモノビニルアロマティック単量体から誘導することができる熱可塑性ブロックとを有するリニア又はグラフトタイプのブロック共重合体を含む。このタイプのブロック共重合体は、たとえば商品名Vector8508M(登録商標)で米国テキサス州ヒューストンのデクスコポリマーズ(Dexco Polymers)から入手できるもの、商品名Sol−T−6302(登録商標)で米国テキサス州ヒューストンのエニケムエラストマーズアメリカ(Enichem Elastomers America)から入手できるもの、及び商品名Calprene(登録商標)401でダイナソルエラストマーズ(Dynasol Elastomers)から入手できるもの等、スチレン−ブタジエン−スチレンのトリブロック共重合体と、たとえば商品名KRATON D1118でクレイトンポリマーズ(Kraton Polymers)(米国テキサス州ヒューストン)から入手できるもの等、スチレン及びブタジエンを含むスチレン−ブタジエンのジブロック共重合体及び混合トリブロックジブロック共重合体とを含む。KRATON D1118は、重量で33%のスチレンを含む共重合体を含む混合ジブロック/トリブロックのスチレン及びブタジエンである。
【0048】
任意選択のポリブタジエン又はポリイソプレン含有エラストマーは、上記に述べたものと同様の第2のブロック共重合体をさらに含むことができる、ただし、ポリブタジエン又はポリイソプレンのブロックが水素化され、それによってポリエチレンブロック(ポリブタジエンの場合)又はエチレン−プロピレン共重合体ブロック(ポリイソプレンの場合)が形成されることを除く。上記に述べた共重合体とともに使用されるとき、より強い靭性を備える材料を生成することができる。このタイプの例示的な第2のブロック共重合体は、KRATON GX1855(クレイトンポリマーズから市販されており、これは、スチレン−ハイ(high)1、2−ブタジエン−スチレンブロック共重合体とスチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレンブロック共重合体の混合体であると考えられる)。
【0049】
通常、不飽和ポリブタジエン又はポリイソプレン含有エラストマー構成要素は、全重合体母材組成物に対して約2〜約60重量%の量で、より具体的には約5〜約50重量%で、さらにより具体的には約10〜約40又は50重量%で樹脂系中に存在する。
【0050】
特定の性質又は処理修正のために加えることができる、なお他の共硬化可能な重合体は
、ただし、これらに限定されないが、ポリエチレン及びエチレンの酸化物共重合体などのエチレンのホモ重合体又は共重合体と、天然ゴムと、ポリジシクロペンタジエンなどのノルボルネン重合体と、水素化スチレン−イソプレン−スチレン共重合体及びブタジエン−アクリロニトリル共重合体と、不飽和ポリエステルとなどを含む。これらの共重合体のレベルは、一般に母材組成物中で全重合体の50重量%より低い。
【0051】
また、遊離基の硬化可能な単量体は、特定の性質又は処理修正のために、たとえば硬化後の樹脂系の架橋密度を増加させるために加えることができる。適切な架橋剤になることができる例示的な単量体は、たとえば、ジ、トリ、又はより高いエチレン性の不飽和単量体を含み、たとえばジビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、フタル酸ジアリル、多機能性アクリル酸塩単量体(たとえば、米国ペンシルベニア州ニュータウン・スクエア(Newtown Square)のサートマー(Sartomer)から入手できるSartomer(登録商標)樹脂)又はその結合物であり、そのすべては市販されている。架橋剤は、使用されるとき、全重合体母材組成物に基づき、約20重量%までの量で、具体的には1〜15重量%で樹脂系中に存在することができる。
【0052】
硬化剤は、オレフィン反応場を有するポリエンの硬化反応を加速させるために、樹脂系に加えることができる。具体的に有用な硬化剤は、たとえば過酸化ジクミル、t−ブチルパーベンゾエート、2、5−ジメチル、−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α−ジ−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン及び、2、5−ジメチル、−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などの有機過酸化物であり、そのすべては市販されている。炭素−炭素開始剤は、樹脂系中で使用することができ、たとえば、2、3−ジメチル、−2、3ジフェニルブタンである。硬化剤又は開始剤は、単独で、又は組み合わせて使用することができる。硬化剤の通常の量は、全重合体母材組成物の約1.5〜約10重量%である。
【0053】
一実施形態では、ポリブタジエン又はポリイソプレン重合体は、カルボキシ官能化される。官能化は、(i)炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と(ii)カルボン酸、無水物、アミド、エステル、又は酸ハロゲン化物を含む、1つ又は複数のカルボキシ基との両方を分子中に有する多官能性化合物を使用して達成することができる。具体的なカルボキシ基は、カルボン酸又はエステルである。カルボン酸官能基をもたらすことができる多官能性化合物の実施例は、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及びクエン酸を含む。具体的には、無水マレイン酸が付加されたポリブタジエンは、熱硬化性組成物中で使用することができる。適切なマレイン化ポリブタジエン重合体は、たとえばクレイ・バレー(Cray Valley)から商品名RICON 130MA8、RICON 130MA13、RICON 130MA20、RICON 131MA5、RICON 131MA10、RICON 131MA17、RICON 131MA20及びRICON 156MA17で市販されている。適切なマレイン化ポリブタジエン−スチレン共重合体は、たとえばサートマー(Sartomer)から商品名RICON 184MA6で市販されている。RICON 184MA6は、スチレン含有量が17〜27重量%であって数平均分子量(M
n)が約9,900g/moleである無水マレイン酸が付加されたブタジエン−スチレン共重合体である。
【0054】
様々な重合体、たとえばポリブタジエン又はポリイソプレン重合体及び他の重合体の相対量は、使用される具体的な導電性金属層、回路材料及び回路積層板の所望の性質、ならびに同様の考慮事項によって決めることができる。たとえば、ポリ(アリーレンエーテル)を使用すると、導電性金属層、特に銅に対する結合強さを増加させることができることが発見されている。ポリブタジエン又はポリイソプレン重合体を使用すると、特にこれらの重合体がカルボキシ官能化されているとき、積層板の高温抵抗性を高めることができる。エラストマーブロック共重合体の使用は、重合体母材材料の構成要素を相溶化させるよ
うに機能することができる。各構成要素の適切な量の決定は、必要以上に実験をせずに、特定の用途に対する所望の性質に依存して行うことができる。
【0055】
重合体の母材材料に加えて、誘電性合成材料は、任意選択で、不織、又は織った、熱的に安定な適切なファイバ、特にガラス(E、S、及びDガラス)又は高温ポリエステル・ファイバの織物をさらに含むことができる。そのような熱的に安定なファイバ強化によって、硬化の際の積層板の面内における収縮を制御する手段を備えた回路積層板がもたらされる。さらに、織った織物による強化を使用すると、比較的大きい機械的強さが回路基板にもたらされる。
【0056】
誘電性合成材料は、本技術で知られた手段によって生成することができる。処理条件の具体的な選択は、選択される重合体母材によって決めることができる。たとえば、重合体母材が、PTFEなどのフッ素重合体である場合、重合体母材材料は、第1のキャリア液と混合することができる。混合体は、第1のキャリア液中に重合体の粒子の分散液、すなわち第1のキャリア液中の重合体の液滴、又は重合体の単量体もしくはオリゴマーの前駆体の液滴のエマルション、又は第1のキャリア液中の重合体の溶液を含むことができる。重合体構成要素が液体である場合、第1のキャリア液は必要としなくてもよい。
【0057】
第1のキャリア液の選択は、存在する場合、具体的な重合体の母材材料及び重合体の母材材料が誘電性合成材料に導入されることになる形態に基づく。溶液として重合体の材料を導入することが所望の場合、具体的な重合体の母材材料のための溶媒がキャリア液として選択される、たとえばN−メチルピロリドン(NMP)が、ポリイミドの溶液に適切なキャリア液になるはずである。分散液として重合体の母材材料を導入することが所望の場合、適切なキャリア液は、母材材料が溶けにくい液体であり、たとえば水は、PTFE粒子の分散液に適切なキャリア液になるはずであり、及びポリアミック酸のエマルションに、又はブタジエン単量体のエマルションに適切なキャリア液になるはずである。
【0058】
フィラー構成要素は、任意選択で、適切な第2のキャリア液中に分散させる、又は第1のキャリア液(又は第1のキャリア液が使用されないとき、液体重合体)と混合することができる。第2のキャリア液は、第1のキャリア液と同じ液体とすることができる、又は第1のキャリア液と混和性である、第1のキャリア液以外の液体とすることができる。たとえば、第1のキャリア液が水である場合、第2のキャリア液は、水又はアルコールを含むことができる。例示の実施形態では、第2のキャリア液は水である。
【0059】
フィラー分散液は、第2のキャリア液の表面張力を変性させるのに有効な量で界面活性剤を含むことができ、それによって第2のキャリア液がホウケイ酸塩微小球を濡らすことができるようになる。例示的な界面活性剤化合物は、イオン性の界面活性剤及び非イオン性の界面活性剤を含む。ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から市販のTriton X−100(登録商標)は、水性のフィラー分散液中で使用するための例示的な界面活性剤であることがわかっている。一般に、フィラー分散液は、フィラーを約10容量%〜約70容量%で、界面活性剤を約0.1容量%〜約10容量%で含み、残りは第2のキャリア液を含む。
【0060】
重合体の母材材料、第1のキャリア液及び第2のキャリア液中のフィラー分散液の混合体は、結合されてキャスティング混合体を形成することができる。例示の実施形態では、キャスティング混合体は、結合された重合体の母材材料、ホウケイ酸塩微小球及び任意選択の二次的なフィラーを約10容量%〜約60容量%で、結合された第1及び第2のキャリア液を約40容量%〜約90容量%で含む。キャスティング混合体中の重合体の母材材料とフィラー構成要素の相対量は、以下に述べるように最終組成物中に所望の量をもたらすように選択される。
【0061】
キャスティング混合体の粘度は、誘電性合成材料からの中空球体フィラーの分離、すなわち沈降又は浮揚を遅らせるように、かつ粘度が従来のラミネート設備に対応する誘電性合成材料を提供するように、具体的なキャリア液又はキャリア液の混合体中のその融和性に基づき選択される粘度モディファイヤの添加によって調節することができる。水性のキャスティング混合体中で使用するのに適切な例示的な粘度モディファイヤは、たとえばポリアクリル酸化合物、植物ガム及びセルロースベースの化合物を含む。適切な粘度モディファイヤの具体的な実施例は、ポリアクリル酸、メチルセルロース、ポリエチレン酸化物、グアーガム、ローカストビーンガム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム及びトラガカント・ゴムを含む。粘度が調節されたキャスティング混合体の粘度は、さらに高めることができる、すなわち最小粘度を超えて用途毎に誘電性合成材料を選択されるラミネート技法に適合させるように高めることができる。例示の実施形態では、粘度調節キャスティング混合体は、約0.01パスカル秒(10cp)と約100パスカル秒(100,000cp)の間の粘度、具体的には約0.1パスカル秒(100cp)と10パスカル秒(10,000cp)の間の粘度を示す。当業者は、前述の粘度値が室温での値であることを認識されるはずである。
【0062】
あるいは、キャリア液の粘度が、関心のある期間分離しないキャスティング混合体をもたらすのに十分である場合、粘度モディファイヤは省くことができる。具体的には、極めて小さい粒子、たとえば等価球形直径が0.1マイクロメータより小さい粒子の場合、粘度モディファイヤの使用を必要としなくてもよい。
【0063】
粘度調節キャスティング混合体の層は、従来の方法、たとえばディップコーティング、リバースロールコーティング、ナイフオーバロール、ナイフオーバプレート、メータリングロッドコーティングによって、基板上に注いで形作ることができる。キャリア材料の実施例は、金属フィルム、重合体のフィルム、セラミックフィルムなどを含むことができる。キャリアの具体的な実施例は、ステンレス鋼フォイル、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム及びフッ素重合体フィルムを含む。あるいは、キャスティング混合体は、ガラス織物上に注いで形作ることができる、又はガラス織物は、ディップコーティングすることができる。
【0064】
キャリア液及び処理補助剤、すなわち界面活性剤及び粘度モディファイヤは、重合体の母材材料及び中空微小球を含むフィラーの誘電層を強固にするために、注がれた層から、たとえば蒸発によって、及び/又は熱分解によって除去される。
【0065】
重合体の母材材料及びフィラー構成要素の層は、さらに加熱して層の物理的な性質を変性させる、たとえば熱可塑性母材材料を焼結する、又は熱硬化性母材材料を硬化させる、及び/もしくは後硬化させることができる。
【0066】
別の方法では、PTFE合成誘電性材料は、たとえば、ペースト押し出し及びカレンダ成形工程によって作ることができることが、米国特許第5、358、775号明細書に教示されている。
【0067】
回路積層板、マルチレイヤ回路積層板の形成のために有用な導電層は、限定せずに、ステンレス鋼、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛、遷移金属、及び前述のものの少なくとも1つを含む合金を含むことができ、銅が例示的である。導電層の厚さに関し具体的な制約は存在しないし、導電層の形状、サイズ又は表面の質感についても何ら制約がない。しかし、好ましくは、導電層は、厚さが約3マイクロメータ〜約200マイクロメータ、具体的には約9マイクロメータ〜約180マイクロメータである。2つ以上の導電層が存在するとき、2つの層の厚さは、同じ、又は異ならせることができる。
【0068】
例示の実施形態では、導電層は銅層である。適切な導電層は、回路の形成で現在使用されている銅フォイル、たとえば電着銅フォイルなど、導電性金属の薄層からなる。
回路サブアセンブリ、たとえば積層板は、本技術分野で知られている手段によって形成することができる。一実施形態では、ラミネーション工程は、誘電性合成材料の1つ又は複数の層を被覆又は未被覆導電層の1つの又は2つのシートの間に配置して(少なくとも1つの導電層と少なくとも1つの誘電性基板層の間に接着剤層を配置することができる)、回路基板を形成する工程を必要とする。導電層は、特に介在層なしで誘電性基板層又は任意選択の接着剤層と直接接触した状態にすることができ、任意選択の接着剤層は、誘電性基板層の厚さの10パーセントより薄い。層にする材料は、次いで、層を結合して積層板を形成するのに適切な圧力及び温度下で、かつ期間、プレス装置、たとえば真空プレス装置中に配置することができる。ラミネーション及び硬化は、たとえば真空プレス装置を使用して、1ステップの工程によることができる、又は多ステップの工程によることができる。PTFE重合体母材に関し、例示的な1ステップの工程では、層にする材料は、プレス装置中に配置され、ラミネート圧力(たとえば約1034kPa〜約2758kPa(約150〜約400psi))にまで上げられ、ラミネート温度(たとえば約260〜約390℃)にまで加熱される。ラミネート温度及び圧力は、所望の浸漬時間、すなわち約20分間維持され、その後、約150℃より低くまで冷却される(その間、なお圧力下である)。
【0069】
ポリブタジエン及び/又はイソプレンなどの熱硬化性材料に適切な例示的な多ステップの工程では、温度が約150℃〜約200℃である従来の過酸化物硬化工程が実施され、次いで、部分的に硬化したスタックを高エネルギー電子ビーム照射硬化(Eビーム硬化)に、又は不活性大気下での高温硬化工程に晒すことができる。2ステージの硬化を使用すると、非常に高度な架橋をその結果得られる積層板に与えることができる。第2のステージで使用される温度は、通常約250℃〜約300℃である、又は樹脂の分解温度である。この高温硬化は、オーブン中で実施することができるが、また、プレス装置中で、すなわち最初のラミネーション及び硬化工程の継続として実施することができる。具体的なラミネーション温度及び圧力は、具体的な接着剤組成及び基板組成によって決まることになり、当業者は必要以上の実験をせずに容易に確かめられる。
【0070】
例示の実施形態によれば、
図1は、例示的な回路サブアセンブリ、具体的には誘電層114上に配置され、それと接触状態にある導電性金属層112を備えるシングルクラッド積層板110を示す。誘電性基板層114は、微粒子フィラー含有量が約10〜約70容量パーセントである重合体母材材料を含み、微粒子フィラーは、ホウケイ酸塩微小球を含む。任意選択のガラス織物(図示せず)は、誘電性基板層114中に存在することができる。本明細書に述べる実施形態のすべてでは、様々な層が、完全に、又は部分的に互いにカバーし、また、追加の導電層、パターン形成された回路層及び誘電層も存在することができることを理解されたい。また、任意選択の接着剤(結合層)層(図示せず)が存在することができ、硬化させない、又は部分的に硬化させることができる。多くの異なるマルチレイヤ回路構成を上記の基板を使用して形成することができる。
【0071】
マルチレイヤ回路アセンブリの別の実施形態は、
図2の210に示されている。ダブルクラッド回路層210は、ホウケイ酸塩微小球を含む誘電性基板層214の互いに反対側に配置される導電層212、216を含む。誘電性基板層214は、織られた織物(図示せず)を含むことができる。
【0072】
回路サブアセンブリ310が、
図3に示され、誘電性基板層314の互いに反対側に配置された回路層318及び導電層316を含む。誘電性基板層314は、織られた織物(図示せず)を含むことができる。
【0073】
図4は、第1のダブルクラッド回路430、第2のダブルクラッド回路440及びその間に配置される結合層442を有する例示的なマルチレイヤ回路アセンブリ410を示す。ダブルクラッド回路430は、2つの導電性回路層436、438の間に配置される誘電性基板434を含む。ダブルクラッド回路440は、2つの導電性回路層446、448の間に配置される誘電性基板444を含む。誘電性基板434、444の少なくとも1つ、好ましくは両方が、ホウケイ酸塩微小球をフィラーとして含む。各誘電性基板層434、444は、織られていないガラス強化(図示せず)を含むことができる。また、2つのキャップ層450、460が示されている。各キャップ層450、460は、結合層454、464上に配置される導電層452、462を含む。
【0074】
本発明の別の態様は、回路サブアセンブリを作る方法に関し、その方法は、ホウケイ酸塩微小球をアルカリ性脱アルカリ化剤、具体的にはアルカリ性溶液を用いて処理してナトリウム含有量を減少させて、重合体母材材料とフィラー構成要素を結合して誘電性合成材料を形成する工程と、誘電性合成材料の層を形成する工程と、誘電性合成層上に導電層を配置する工程と、誘電性合成層と導電層を重ね合わせて、誘電性定数が約3.5より小さく、散逸率が約0.006より小さい回路サブアセンブリを形成する工程とからなる。
【0075】
ホウケイ酸塩微小球は、アルカリ性溶液を用いて処理することができる。具体的には、ホウケイ酸塩微小球は、アルカリ性溶液を用いて処理して、より具体的にはホウケイ酸塩微小球を水性のアルカリ性溶液(たとえばpHが8.0より大きい、より具体的には10.0より大きい)に晒すことによって、ナトリウム酸化物含有量を減少させることができる。本方法は、ナトリウムのレベルを予め選択された量より低く減少させるのに十分な時間の間、ホウケイ酸塩微小球を効果的に浸出する、又は洗浄する工程を含む。一実施形態では、ホウケイ酸塩微小球は、アルカリ性溶液を用いて処理されて、全ナトリウム酸化物含有量を元の量(形成され回収された微小球中)の少なくとも25重量%だけ、より具体的には少なくとも50重量%だけ減少させる(XPS表面分析によって決定されたとき)、具体的にはナトリウム含有量を少なくとも2重量%から5.0重量%より小さい最終量だけ、たとえば1重量%〜4重量%だけ減少させる。一実施形態によれば、ホウケイ酸塩微小球は、ナトリウム酸化物含有量をそのような量だけ減少させるために、アルカリ性脱アルカリ化剤を用いて洗浄される(酸性の脱アルカリ化剤と比べて)。たとえば、XPS表面分析によって決定されたとき、ナトリウム酸化物レベルを所望の量まで減少させるのに有効な濃度で水性の水酸化アンモニウムを使用することができる。
【0076】
上記に述べた誘電性組成物及び方法は、回路サブアセンブリ又は回路積層板に優れた性質を与える。一実施形態では、回路積層板は、誘電性定数が10ギガヘルツで測定して約3.5より小さい。別の実施形態では、その結果得られた回路積層板は、散逸率が10ギガヘルツで測定して約0.006より小さい。また別の実施形態では、回路積層板は、10ギガヘルツで測定して誘電性定数が約3.5より小さく、散逸率が約0.006より小さい。
【0077】
本発明は、次の非限定の実施例によってさらに例示する。
(実施例)
表1に列挙した材料が、次の実施例で使用された。具体的には、次のフィラー材料は、評価のために集められた。
【0079】
表1中のすべての中空球体の内部は、不活性ガス状の混合体だけを含み、硫黄含有化合物はない。表1に列挙した、集められた中空球体に加えて、次の材料が、誘電性形成において使用された。
【0081】
合成微小球は、ホウケイ酸ナトリウムガラスから形成される。一度中空球体が形成されると、ナトリウムのいくらかは、アルカリ性又は酸性の洗浄工程を介してセラミック母材から化学的に除去される。市販製品に関し、酸性の除去工程は、効率が比較的より高く、表面X線光電子分光法(XPS)分析によって決定したとき、合成微小球中に残されたナトリウムは、実質的にない、又は0.5重量%より少なくなる。アルカリ性処理は、ナトリウムを除去するのに比較的それほど効果的でない傾向があり、XPS分析を使用して測定したとき、微小球の表面に近くに残されたナトリウム酸化物は、約3.5%w/wになる。全組成物は、ナトリウム含有量がより大きい。全体のナトリウム含有量の数量化に適切な方法は、原子吸光分光法(AAS)及び誘導結合プラズマ分光法(ICP)からなる。
【0082】
アルカリ洗浄合成微小球の内部は、質量スペクトル分析に基づき0.01の検出可能限界内で、窒素(53.3%v/v)、酸素(4.80%v/v)、アルゴン(0.16%v/v)、二酸化炭素(42.6%v/v)及び水素(0.12%v/v)を含むガス状
組成物を含むと報告されている。
【0083】
初期の実験は、主に酸洗浄微小球に関して実施された。これらのフィラー材料は、標準セノスフェア(自然微小球)と同等のベースで置換され、それは、アンテナ用途のためにロジャースコーポレーション(Rogers Corporation)によって配合された誘電性基板中で低D
kフィラーとして使用される。この誘電性基板は、低D
k微小球のその高充填によって魅力的な比較事例を示した。基板は、IPC−TM−650(Xバンドストリップライン法)にしたがって10GHzでテストされたとき、2.55の公称誘電性定数を示す。具体的には、対照配合E中の責任を負うセノスフェア・フィラーは、以下で詳述するように、配合A〜D中で合成微小球候補材料のそれぞれと置き換えられた。
【0085】
テスト目的のために、上記配合中の固体は、約35重量%の濃度でキシレン中に分散され、そして1080スタイルの織られたガラス織物上にコーティングされて、基本重量が1.7〜2.6g/100cm
2の範囲である乾燥固体にされた。分散の容易さ及びプリプレグを作る困難さについての観察が、以下の表4に報告されている。プリプレグの製造の間、厚さが約1.52mm(0.060インチ)の積層板を形成するために、8〜12層が積み重ねられて、1.17時間の間、246℃(475°F)の温度で、7584kPa(1100psi)の圧力下でフラットベッドプレス装置中において銅フォイルに重ねて置かれて、硬化した積層板が形成された。
【0086】
積層されたシートは、プレス装置から取り外され、銅フォイルは、溶解によって除去されてテスト・クーポンが形成された。誘電性定数及び散逸率が、IPC−TM−650 2.5.5.5.1に記載されているクランプストリップラインテスト(clamped
strip line test)方法を使用して10GHzでテストされた。D
k及びD
f結果は、以下の表4に要約されている。
【0088】
表4の結果を考慮すると、酸性洗浄処理を使用してナトリウムを減少させた合成微小球・フィラーを含む配合(A〜D)のいずれも、散逸率(D
f)又は処理のいずれもの観点から成功していなかった。10GHzで約0.0035より小さい散逸率が、高周波数用途に望ましい。
【0089】
比較して、アルカリ性処理を受けた、具体的にはアルカリ性洗浄に晒されて、異なる微小球表面を生み出した合成微小球フィラー(これは、フィラーと樹脂母材の間に異なる相互作用を生成すると考えられる)が、次いでテストされた。アルカリ性処理合成微小球を含む配合は、以下の表5に詳述されている。以前に述べたのと同じ手続きが守られた。
【0091】
分散の容易さ及び表5の配合を使用してプリプレグを作る困難さに関する観察が、表6に提供されている。
【0093】
表5の結果から明らかなように、アルカリ性処理に向けたシフトが、散逸率(又は損失正接)に、及びより少ない程度でプリプレグ処理に関してかなりのプラス影響を有した。
理論に縛られることを望まずに、アルカリ洗浄を用いる処理は、特に酸洗浄と比較して、向上された結果を生み出すことができ、というのは少なくとも部分的に、ホウケイ酸塩球体と樹脂系の間で起こり得る表面の不融和性及び/又は球体の表面に対する結合極性基の存在のためである。1つの理論によれば、酸洗浄からの水素陽子(これは、ある程度、微小球中に浸出したナトリウム原子と置き変わることができる)は、次いで、浸出されたホウケイ酸塩微小球の表面の近くに位置して、水分子を束縛する、又は引き付けることができ、水分子の存在は、損失正接又は散逸率に悪影響を及ぼす可能性があり、具体的には時間とともに散逸率がより高くなる。
【0094】
アルカリ性処理合成微小球5(組成F)から始めると、結果は、損失正接又は散逸率に関してかなりの前進を意味しているが、まだプリプレグ処理に関し問題を示していた。次いで、アルカリ性処理合成微小球6(組成G)が、酸処理合成微小球3バージョンに注目して好都合な処理性能を考慮して評価された。これは、組成Fと比較してプリプレグ処理を向上させていたが、しかし、さらなる向上がなお所望された。最終的に、合成微小球7及び8を使用すると、向上した損失正接及び向上したプリプレグ処理の両方がもたらされた。
【0095】
したがって、表6の結果を考慮すると、アルカリ性処理合成微小球の使用によって、散逸率に関するかなりの向上がもたらされた。さらに、アルカリ性処理合成微小球7(組成H)を介する比較的より小さい粒子サイズへの移行によって、処理の問題が解決された。最終的に、現場シラン化を使用したアルカリ性処理合成微小球8(組成I)に関するように、エポキシ官能性シランコーティングの除去は、散逸率をなおさらに低下させることが発見された。
【0096】
アルカリ洗浄合成微小球8フィラーに関する成功した結果を考慮に入れて、積層板サンプルが、スミテックインスツルメンツ(Summitek Instruments)の1900B(登録商標)PIMアナライザを使用するPIMテストのために送られた。回路は、ファーニック(FIRNIC)(Changzhou Wujin Fengshi Communication Equipment Co.)製の新しいタイプ1コネクタ及び補修されたタイプ1コネクタを用いてテストされ、その結果を表7に示す。
【0098】
表7の結果を考慮すると、候補の材料合成微小球8フィラーに関するPIMは、平均値が−166dBcで全く良好であり、PTFE対照と同様であった。これは、合成微小球に有利になる、かなりの他に差をつける特性である。
【0099】
本明細書に開示された範囲は、記載した端値を含み、独立して組み合わせ可能である。「組み合わせ」は、混合物、混合体、合金、反応生成物などを含む。また、「前述事項の少なくとも1つを含む組み合わせ」は、リストが各要素を個別に含み、さらにまたリストの2以上の要素の組み合わせ及びリストの1つ又は複数の要素と列挙されていない要素との組み合わせを含むことを意味する。用語「第1の(first)」、「第2の(second)」等は、本明細書では、何らかの順序、量又は重要性も意味せず、むしろ1つの要素と別の要素を区別するために使用される。用語「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、本明細書では量の限定を意味せず、むしろ少なくとも1つの参照アイテムの存在を意味する。修飾子「約(about)」は、量とともに使用されるとき、状態値を含み、コンテクストによって指示された意味を有する(たとえば特定の量の測定と関連する誤差の程度を含む)。さらに、述べた要素は、いずれかの適切な方法で様々な実施形態中において組み合わすことができることを理解されたい。
【0100】
すべての引用された特許、特許出願及び他の参考文献は、その全体を本願明細書に援用する。しかし、本願中の用語が援用された参考文献中の用語と矛盾する、又は対立する場合、本願からの用語が、援用された参考文献からの対立する用語に優先する。
【0101】
本発明は、そのいくつかの実施形態を参照して述べてきたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更を実施することができ、かつ同等物を本発明の要素と置換することができることを理解されたい。さらに、本発明の必須の範囲から逸脱せずに、具体的な状況又は材料を本発明の教示に適応させるために、多くの修正を実施することができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために期待された最良の形態として開示された具体的な実施形態に限定されず、本発明は、添付の請求項の範囲内に含まれる、すべての実施形態を含むことになると意図される。