(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
以下、本実施例の概要を説明する。本実施例の瞳孔間距離計1(
図1参照)は、左右の被検眼の位置を検出することによって、被検者の瞳孔間距離を測定する。なお、左右の被検眼の位置は別々に検出してもよい。また、瞳孔間距離を測定する場合、左右眼の一方の瞳孔から他方の瞳孔までの距離を測定してもよいし、顔の中心(例えば鼻)から左右眼のそれぞれの瞳孔までの距離に基づいて測定してもよい。
【0011】
本実施例の瞳孔間距離計1は、照射部(例えば、固視標照明用光源31(
図3参照))と、測定用マーク形成部(例えば、ディスプレイ36)と、測定用マーク移動部(例えば、制御部70(
図4参照))と、眼位置検出部(例えば、制御部70)と、を主に備える。
【0012】
照射部は、例えば、検査窓を介して被検眼に向けて光を照射する。照射部には、例えば、LEDまたは電球、その他の光源が用いられてもよい。照射部は、固視標を照明する照明光源と兼用されてもよい。
【0013】
<測定用マーク形成部>
測定用マーク形成部は、例えば、被検眼Eと固視標との間に配置される。また、測定用マーク形成部は、被検眼Eに対して測定用マークを形成させる。測定用マークは、例えば、被検者の瞳孔と位置合わせをするためのマークである。測定用マークは、例えば、被検者の上下方向にライン形状であってもよいし、多角形状であってもよい。測定用マークは、被検眼Eの瞳孔に対して位置合わせできればよい。
【0014】
測定用マーク形成部は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイ36であってもよい。例えば、測定用マーク形成部は、セグメント型液晶ディスプレイであってもよいし、マトリックス型ディスプレイ等であってもよい。また、測定用マーク形成部は、モノクロディスプレイであってもよいし、カラーディスプレイ等であってもよい。ディスプレイ36は、測定用マークをデジタル表示可能なデジタル表示器であってもよい。
【0015】
測定用マーク形成部は、第1の測定用マークMと第1の測定用マークMとは異なる位置に形成される第2の測定用マークMsとを形成してもよい。また、測定用マーク形成部は、第1の測定用マークMと第2の測定マークMsと、を含む2つの測定用マークを同時に形成してもよい。ただし、必ずしも2つの測定用マークを同時に形成しなくてもよい。
【0016】
<測定用マーク移動部>
測定用マーク移動部は、例えば、照射部からの光によって被検眼の角膜上に形成される角膜反射像(角膜輝点)に対して、測定用マークの形成位置を移動させる。
【0017】
測定用マーク移動部は、例えば、測定用マーク形成部に用いられるディスプレイ等の表示を制御する表示制御部であってもよい。表示制御部は、例えば、検者によって操作される操作部からの操作信号に基づいて、ディスプレイ36の表示を制御してもよい。
【0018】
測定マーク移動部は、例えば、ディスプレイ36の第1の画素に対応する第1の形成位置と、第1の画素に対して隣接する第2の画素に対応する第2の形成位置とに、測定用マークを形成させてもよい。測定用マーク移動部は、例えば、セグメント型液晶ディスプレイ等において、第1のセグメントに対応する第1の形成位置と、第1のセグメントに対して隣接する第2のセグメントに対応する第2の形成位置とに、測定用マークに形成させてもよい。
【0019】
<眼位置検出部>
眼位置検出部(例えば、制御部70)は、例えば、角膜反射像に対して位置合わせされた測定用マークの第1の形成位置と、第1の形成位置とは異なる位置において角膜反射像に対して位置合わせされた測定用マークの第2の形成位置とに基づいて,被検眼の位置を検出する。眼位置検出部は、例えば、第1の形成位置と第2形成位置から被検眼の位置を計算によって求めてもよい。また、眼位置検出部は、例えば、第1の形成位置と第2の形成位置とに紐づけられた被検眼の位置を、記憶部(例えば、メモリ72)等から読み出してもよい。
【0020】
<検出モード切換部>
なお、本距離計1は、検出モード切換部(例えば、制御部70)を備えてもよい。検出モード切換部は、例えば、単一の測定用マークによる単一の形成位置に基づいて被検眼Eの位置を検出する第1の眼位置検出モードと、第1の測定用マークによる第1の形成位置と、第2の測定用マークによる第2の形成位置に基づいて被検眼Eの位置を検出する第2の眼位置検出モードと、を切り換えてもよい。
【0021】
<実施例>
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本実施例の瞳孔間距離計(以下、本距離計ともいう)1は、被検者の瞳孔間距離を測定するための装置である。本距離計1は、例えば、被検眼に照明光を照射し、角膜頂点に輝点を形成させる。この輝点は、照明光の虚像であり、角膜頂点の位置に形成される。本距離計1は、左右の角膜頂点に形成された輝点及び本距離計1の機械中心の位置に基づいて、被検者の瞳孔間距離を測定する。
【0022】
<外観>
図1、
図2を参照して、本距離計1の外観を説明する。
図1は、本実施例の瞳孔間距離計1を上方から見たときの概観を示す。
図2は、本実施例の瞳孔間距離計1を
図1のW方向から見たときの外観図である。
【0023】
本距離計1は、筺体2と、額当て3と、鼻当て4と、観察窓5と、検査窓6(
図6参照)と、表示部7を主に備える。筺体2には、電源ボタン21と、測定用マーク移動ボタン(以下、移動ボタンともいう)22R,22Lと、測定用マーク移動ボタン(以下、移動ボタンともいう)23R,23Lと、測定モード切換ボタン24と、作業距離変更ボタン25等が配置される。測定用マーク移動ボタン22R,22Lは、被検者の右眼側に表示される後述の測定用マークを左右に移動させるときに用いられる。測定用マーク移動ボタン23R,23Lは、被検者の左眼側に表示される後述の測定用マークを左右に移動させるときに用いられる。測定モード切換ボタン24は、測定モードを、右眼測定モード、左眼測定モード、両眼測定モードのいずれかに切り換える場合に用いられる。作業距離変更ボタン25は、瞳孔間距離の計算に用いられる作業距離を変更するために用いられる。筺体2の内部には、後述する測定光学系30が収納される。
【0024】
額当て3は、被検者の額に当接され、被検者と本距離計1との位置を固定するために用いられる。鼻当て4は、被検者の鼻に当接され、被検者の鼻と本距離計1の機械中心とを一致させるために用いられる。観察窓5は、検者が被検眼を観察するために用いられる。検査窓6は、後述する固視標を被検者に観察させるために用いられる。表示部7は、測定された瞳孔間距離などを表示するために用いられる。
【0025】
<測定光学系>
図3を参照して、本距離計1の測定光学系30を説明する。本距離計1の測定光学系30は、固視標照明用光源31と、固視標32と、ミラー33と、凸レンズ34と、接眼レンズ35と、ディスプレイ36と、を主に備える。
【0026】
固視標照明用光源31は、固視標32を背後から照明する。固視標照明用光源31は被検眼に向けて光を照射する照射手段として機能する。凸レンズ34の焦点距離及びその配置は、固視標が容易に見えるように考慮されている。
【0027】
本実施例では、固視標の呈示距離(作業距離)は固定されている。しかし、ある作業距離での瞳孔間距離が分かれば、異なる作業距離での瞳孔間距離を計算で求めることができる。したがって、本実施例では、瞳孔間距離計1によって測定された瞳孔間距離データを補正することによって、任意の作業距離での瞳孔間距離を測定することが可能である。なお、本実施例において、任意の作業距離は、予め設定された作業距離の中から作業距離変更ボタン25によって選択される。
【0028】
例えば、制御部70は、測定された瞳孔間距離と設定された作業距離のデータに基づいて、次式より設定された作業距離に対する瞳孔間距離を演算して求める。本距離計1に固有であって既知の作業距離Dm時の瞳孔間距離をPDm、求める作業距離Dnでの瞳孔間距離をPDnとすると、PDnは以下の式で算出される。
【0030】
なお、VDは角膜頂点距離(例えば、日本人は12mmとして計算)、Rは眼球回旋半径(例えば、13mm)で測定精度の関係で定数として扱っても支障はない。Lは無限遠を見た状態の被検眼の角膜頂点とディスプレイ36との距離であり、設計上既知の値である。このようにして求められた瞳孔間距離は、例えば、予めメモリ72に記憶されていてもよい。なお、瞳孔間距離の計算方法は、特許文献1及び特許文献2に記載の方法を利用してもよい。
【0031】
前述のように、補正計算をすることで、任意の作業距離での瞳孔間距離を測定することができる。このため、本実施例では、被検者が固視標を融像しやすいように作業距離を近距離にしている。接眼レンズ35は、検者が被検者の角膜上にできた輝点を観測する際に用いられる。接眼レンズ35は、角膜上にできた輝点の付近にピントが合うように考慮されている。ディスプレイ36は、後述する測定用マークを形成させる。ディスプレイ36は、測定用マーク形成手段として機能する。
【0032】
なお、本実施形態のディスプレイ36には、透過型ディスプレイの一種であるセグメント型液晶ディスプレイを用いている。セグメント型液晶ディスプレイの各セグメントは透明金属コートを施されたガラスをフォトエッチングして製造される。ただし、セグメント型の液晶でなくともよく、例えば、マトリックス型の液晶を用いてもよい。セグメント型液晶については、特許文献2に記載されている。
【0033】
ディスプレイ36は、固視標32と被検眼の角膜との間に配置される。ディスプレイ36は、例えば、被検者の角膜頂点から30mmの位置に配置されているが、これに限らない。ディスプレイ36から角膜頂点までの距離は、既知であって演算が容易であればよい。
【0034】
<制御系>
図4を参照して、本距離計1の制御系を説明する。本距離計1の制御系は、CPU71及びメモリ72などを有する制御部70を主に備える。制御部70は、表示部7と、電源ボタン21と、測定用マーク移動ボタン22R,22Lと、測定用マーク移動ボタン23R,23Lと、測定モード切換ボタン24と、作業距離変更ボタン25と、固視標照明用光源31と、ディスプレイ36等と接続される。
【0035】
図5は、本実施例に用いられるディスプレイ36を示す概略図である。ディスプレイ36は、被検者の上下方向に延びるライン状の測定用マークMを表示する。ディスプレイ36には、ライン状のセグメントが縦方向に多数配列されている。なお、
図5〜7において説明の都合上、各セグメントの領域を実線で示している。
【0036】
ディスプレイ36は、各セグメントを偏光表示することによって測定用マークMを表示させる。例えば、あるセグメントの両端に電圧を掛けると、偏波面を曲げる液晶の作用がなくなり、その部分は、偏光板により光を透過することができず、暗いライン(測定用マークM)として見える。本実施例のディスプレイ36は、セグメントの幅が0.4mmで、各セグメント間のピッチ(間隔)が0.1mmである。すなわち、本実施例に用いるディスプレイ36は、各セグメントの中心間の距離が、0.5mmである。したがって、制御部70は、ディスプレイ36に形成される測定用マークMの形成位置を0.5mmステップで移動させることができる。なお、測定用マークは必ずしもライン状である必要はなく、位置合せできるものであればよい。
【0037】
<操作方法および制御動作>
以下、本実施例の瞳孔間距離計1の操作方法を、瞳孔間距離計1の制御を交えて説明する。まず、検者は、電源ボタン21を操作し、瞳孔間距離計1の電源を入れる。電源が入ると、制御部70は、固視標照明標光源31を点灯させる。
【0038】
そして、測定モード切換ボタン24を操作し、両眼測定モード、右眼測定モード、左眼測定モードを切り換え、所望の測定モードに切り換える。各測定モードは、検者によって測定モード切換ボタン24が操作される度に切り換わる。以下の説明では、例えば、両眼測定モードが選択されたものとして説明する。
【0039】
次に検者は、作業距離変更ボタン25を押し、作業距離の設定を変更する。例えば、制御部70は、作業距離変更ボタン25が押される度に作業距離を30cm、40cm、50cm、60cm、1m、2m、無限遠など、作業距離を切り換える。制御部70は、選択された作業距離を表示部7に表示してもよい。前述のように、本距離計1で測定された瞳孔間距離のデータを補正計算することで、選択された作業距離における被検者の瞳孔間距離を間接的に測定する。なお、作業距離の設定変更は、測定後でもよい。
【0040】
続いて、検者は、瞳孔間距離計1の額当て3を被検者の額に当てる。また、検者は、鼻当て4を被検者の鼻に当てる。そして、検者は、被検者に検査窓6を覗かせ、固視標を固視させる。
【0041】
固視標照明用光源31を出射し固視標32を照明した照明光は、ミラー33で反射され、凸レンズ34を介し、角膜に入射する。角膜表面は凸面鏡の役割をはたし、虚像を結ぶ。この虚像は角膜の曲率が小さいので、微小な輝点として見える。被検者が固視標32を固視していれば、被検者の両眼の視軸は作業距離点で交差し、角膜上の輝点は角膜頂点上に位置する。
【0042】
検者は、観察窓5を覗き、接眼レンズ35を介して被検眼に形成された輝点を観察する。そして、検者は、移動ボタン22R,22Lと、23R,23Lを操作し、角膜輝点に重なるように測定用マークMを移動させる。制御部70は、測定用マーク移動ボタン22R,22Lと、測定用マーク移動ボタン23R,23Lからの操作信号を受け付け、測定用マークMの表示位置を制御し、移動させる。このように、制御部70は、ディスプレイ36に形成された測定用マークの形成位置を移動させる測定用マーク移動手段として機能する。
【0043】
測定用マークMの移動方法について
図5に基づいて説明する。
図5は、観察窓5から被検者の右眼を観察したときの様子を示す。まず、
図5のように、角膜輝点が1つのセグメント内に位置する場合について説明する。例えば、角膜輝点Pがセグメントc内にあるとする。測定用マークMは、セグメントbに表示されているとする(
図5(a)参照)。例えば、制御部70は、測定用マークMを表示しているセグメントを識別できる。制御部70は、例えば、測定用マークMを表示しているセグメント及び作動距離変更ボタン25によって選択された作業距離に対応する距離をメモリ72から読み込む。そして、制御部はメモリ72から読み込んだ距離を表示部7に表示させてもよい。もちろん、メモリ72から対応する距離を読み込むだけでなく、測定用マークMの位置が変更されるごとに計算して求めてもよい。このように、制御部70は、被検眼の位置を検出する眼位置検出手段として機能する。例えば、測定用マークがセグメントbに表示され、作業距離は1mに設定されている場合、表示部7に表示された右眼の瞳孔距離は33.00mmであったとする。
【0044】
検者は、測定用マークMを右側に移動させるために、移動ボタン22Rを押す。制御部70は、移動ボタン22Rからの操作信号を取得し、ディスプレイ36の表示を制御する。制御部70は、測定用マークMをどのセグメントに表示しているか識別している。移動ボタン22Rが押されると、制御部70は、セグメントbに第1の測定マークMを表示させた状態で、右隣りのセグメントcにも第2の測定用マークMsを表示させる(
図5(b)参照)。このとき、制御部70によって、セグメントbとセグメントcの中間の位置が瞳孔の位置として検出され、メモリ72から測定値が読み出される。例えば、表示部7には、右眼の瞳孔距離(本距離計1の機械中心から瞳孔までの距離)として32.75mmが表示される。
【0045】
検者は、さらに移動ボタン22Rを押す。制御部70は、移動ボタン22Rが押されると、セグメントcのみに測定用マークMが表示される(
図5(c)参照)。つまり、1つの測定用マークMと角膜輝点Pが重なった状態となる。このとき、制御部70によって、セグメントcの中心の位置が瞳孔の位置として決定され、メモリ72から測定値が読み出される。例えば、表示部7には、右眼の瞳孔距離として32.50mmが表示される。
【0046】
このように、制御部70は、移動ボタン22R,22Lまたは移動ボタン23R,23Lが押されるごとに、第1の測定用マークMが表示される場合と、第1の測定用マークM及び第2の測定用マークMsが表示される場合と、を交互に切り換えて表示する。本距離計1は、測定用マークの表示ステップが0.5mm間隔であるとすると、その半分の0.25mm刻みで瞳孔間距離の測定を行う。
【0047】
次に、
図6,7に示すように、角膜輝点Qがセグメントとセグメントの間に位置する場合について説明する。例えば、角膜輝点Qがセグメントdとセグメントeの中間の位置にあるとする。測定用マークMは、セグメントcに表示されているものとする(
図6(a)参照)。このとき、表示部7に表示された右眼の瞳孔距離は、32.50mmであるとする。
【0048】
検者は、前述と同様に、移動ボタン22R,22Lまたは移動ボタン23R,23Lを押して測定用マークMを角膜輝点Qの方向に移動させる。
図6の場合は、検者は、移動ボタン22Rを3回押す。前述と同様に、制御部70は、移動ボタン22Rが押される度に、第1の測定用マークMと第2の測定用マークMsの表示を切り換える。
【0049】
例えば、
図6(a)の状態で移動ボタン22Rが1回押されると、制御部70は、セグメントcに第1の測定用マークMを表示し、セグメントdに第2の測定用マークMsを表示する(
図6(b)参照)。そして、制御部70は、セグメントcとセグメントdの間の位置を瞳孔の位置とし、メモリ72から測定値を読み出す。そして、制御部70は、表示部7に測定値を表示する。制御部70は、例えば、右眼の瞳孔距離として、32.25mmと表示部7に表示する。
【0050】
図6(b)の状態で、移動ボタン22Rが1回押されると、制御部70は、ディスプレイの表示を制御し、セグメントdに第1の測定用マークMを表示させる(
図6(c)参照)。そして、制御部70は、例えば、右眼の瞳孔距離の測定値として表示部7に32.00mmと表示する。
【0051】
図6(b)の状態で、移動ボタン22Rが1回押されると、制御部70は、セグメントdに第1の測定用マークMを表示させ、セグメントeに第2の測定用マークMsを表示させる(
図7(a)参照)。
【0052】
このように、制御部70は、移動ボタン22R,22L,23R,23Lが押されるごとに、順次測定用マークMの表示を切り換える。前述の例では、制御部70は、移動ボタン22Rが押されるごとに、第1の測定用マークMが表示される場合と、第1の測定用マークM及び第2の測定用マークMsが表示される場合と、を交互に切り換えながら、瞳孔の検出位置を0.25mmステップで角膜輝点Qの方向に移動させる(
図6(a)〜
図7(a)参照)。
【0053】
図6(a)に示す状態から、移動ボタン22Rが3回押された時点で、セグメントdに第1の測定用マークMが表示され、セグメントeに第2の測定用マークMsが表示される(
図7(a)参照)。このとき、制御部70は、セグメントdとセグメントeの中間の位置、つまり、角膜輝点Qが形成された位置が被検眼の瞳孔の位置として決定される。そして、制御部70によって、メモリ72から測定値が読み出され、表示部7にメモリ72から読み出された測定値が表示される。例えば、制御部70は、右眼の瞳孔距離として表示部に31.75mmと表示する。
【0054】
なお、左の被検眼においても同様に測定を行い、左右眼の瞳孔間距離が測定される。
【0055】
このように、本実施例の制御部70は、2つの測定用マークの位置から瞳孔間距離を測定する。これによって、各セグメントの中間に角膜輝点が存在する場合であっても、瞳孔の位置をより正確に決定することができる。
【0056】
また、2つの測定用マークの位置から瞳孔間距離を測定することによって、より精度の高い測定を行うことができる。例えば、2つの測定用マークの中間位置を測定することによって、分解能を2倍にすることができる。
【0057】
例えば、分解能を大きくするために、解像度の高いディスプレイ用いると、1画素の幅が細くなってしまい、測定用マークの視認性が低下する。しかしながら、本実施例においては、解像度の高いディスプレイを用いることなく、測定用マークの視認性を保ったまま、分解能を大きくすることができる。
【0058】
なお、例えば、
図7(a)に示す状態で、測定用マーク移動ボタン22Rが一回押されると、セグメントeのみに測定用マークMが表示された状態となる(
図7(b)参照)。この場合、制御部70は、セグメントbの中心位置に基づいて、瞳孔の位置を決定する。
【0059】
なお、以上の説明において、単一の測定用マークMによる単一の形成位置に基づいて被検眼の位置を検出するモードを第1の眼位置検出モードとし、第1の測定用マークによる第1の形成位置と、第2の測定用マークによる第2の形成位置とに基づいて被検眼の眼位置を検出するモードを第2の眼位置検出モードとする。すると、本実施例において、制御部70は、第1の眼位置検出モードと、第2の眼位置検出モードと、を切り換えている。例えば、本実施例において制御部70は、第1の眼位置検出モードと、第2の眼位置検出モードとを交互に切り換えている。以上のことから、制御部70は、検出モード切換手段として機能しているといえる。
【0060】
なお、以上の説明において、第1の眼位置検出モードと、第2の眼位置検出モードは、それぞれ0.5mmステップにて被検眼の検出位置が割り当てられている。例えば、本実施例において、各セグメントの中心間の距離は0.5mmであるため、セグメントの中心で眼位置を検出する場合も、2つのセグメントの間で眼位置を検出する場合も、被検眼の検出位置の間隔は、0.5mmとなる。
【0061】
したがって、第1の眼位置検出モードと、第2の眼位置検出モードを併用することによって、0.25mmごとに眼位置を検出することができる。つまり、第1の眼位置検出モード及び第2の眼位置検出モードはそれぞれ0.5mmステップにて被検眼の検出位置が割り当てられ、第1の眼位置検出モードに関して互いに隣接する2つの検出位置の中間位置に、第2の眼位置検出モードにおける検出位置が割り当てられており、眼位置検出手段は、第1の眼位置検出モード及び第2の眼位置検出モードに併用によって、0.25mmステップにて被検眼の検出位置が割り当てられている。
【0062】
なお、測定用マーク形成手段(例えば、ディスプレイ36)は、第1の眼位置検出モードにおいて、測定用マークとして単一の測定用マークを被検眼Eに対して形成してもよい。また、測定用マーク形成手段(例えば、ディスプレイ36)は、第2の眼位置検出モードにおいて、第1の測定用マークと、第1の測定用マークと異なる位置に形成される第2の測定用マークと、を含む2つの測定用マークを同時に形成してもよい。また、測定用マーク形成手段(例えば、ディスプレイ36)は、第1の眼位置検出モード及び第2の眼位置検出モードにおいてそれぞれ0.5mmステップにて測定用マークを形成してもよい。
【0063】
また、測定用マーク移動手段(例えば、制御部70)は、第1の眼位置検出モード及び第2の眼位置検出モードにおいてそれぞれ0.5mmステップにて測定用マークを移動させてもよい。
【0064】
以上のことから、測定用マーク形成手段は、第1の眼位置検出モードにおいて、測定用マークとして単一の測定用マークを被検眼に対して形成し、第2の眼位置検出モードにおいて、第1の測定用マークと、第1の測定用マークと異なる位置に形成される第2の測定用マークと、を含む2つの測定用マークを同時に形成し、測定用マーク形成手段は、第1の眼位置検出モード及び第2の眼位置検出モードにおいてそれぞれ0.5mmステップにて測定用マークを形成可能であり、測定用マーク移動手段は、第1の眼位置検出モード及び第2の眼位置検出モードにおいてそれぞれ0.5mmステップにて測定用マークを移動可能であるといえる。
【0065】
なお、以上の説明において、移動ボタン22R,22Lまたは移動ボタン23R,23Lが押されるごとに、第1の測定用マークMが表示される場合と、第1の測定用マークM及び第2の測定用マークMsが表示される場合と、を交互に切り換えて表示されるものとしたが、これに限らない。例えば、右眼測定モードにおいて、移動ボタン22Rまたは移動ボタン22Lの内、一方のボタンが続けて操作された場合、測定用マークMは1セグメントずつ、入力された方向に移動される。そして、他方のボタンが操作されたときに、操作前に測定用マークMが表示されていたセグメントの隣りのセグメントに第2の測定用マークMsが表示されるようにしてもよい。
【0066】
例えば、被検者の右眼を測定するのときに、角膜輝点より左側に測定用マークMがあるとする。検者は、測定用マーク移動ボタン22Rを押して、測定用マークMを右側に移動させていく。測定用マークMが角膜輝点Qの左隣りのセグメントcに表示されたとする(
図6(c)参照)。検者は、もう一度測定用マーク移動ボタン22Rを押すと、測定用マークMは、角膜輝点Qの右隣りのセグメントeに表示される(
図7(b)参照)。そこで、検者は、測定用マーク移動ボタン22Lを押す。すると、制御部70は、セグメントeに測定用マークMを表示したままセグメントdにも第2の測定用マークMsを表示させる。そして、制御部70は、セグメントdとセグメントeとの間の値を瞳孔の位置として瞳孔間距離を算出してもよい。
【0067】
このように、測定用マークの移動方法は、本実施例の方法に限定されない。検者が測定しやすい測定マークの移動方法に設定されることが好ましい。
【0068】
なお、第1の測定用マークMと第2の測定用マークMsを2つ同時に表示させ、2つの測定用マークM,Msの形成位置から瞳孔の位置を決定するものとしたが、これに限らない。例えば、測定用マークの異なる形成位置に基づいて、瞳孔の位置を求めてもよい。例えば、検者は、セグメントaに測定用マークMを表示した状態で、図示無き記録ボタンを押す。記録ボタンが押されると、制御部70は、測定用マークMをセグメントaに表示していることをメモリに記憶させる。その後、検者は、移動ボタン22R,22Kまたは移動ボタン23R,23L等を押し、測定用マークMをセグメントbに移動させる。制御部70によって測定用マークMがセグメントbに表示されると、検者は、再び記録ボタンを押す。制御部70は、2回目に記録ボタンが押されると、1回目にメモリ72に記憶したセグメントaの情報を読み出す。そして、制御部70は、セグメントaとセグメントbの位置からその中間の値を瞳孔の位置として設定し、瞳孔間距離を求める。または、始めにメモリ72に記憶させたセグメントaの位置から求めた測定値と、セグメントbの位置から求めた測定値の平均値を瞳孔間距離としてもよい。以上のように、2つの測定用マークを同時に表示させなくてもよい。
【0069】
なお、本実施例では、測定用マークを移動させる場合、移動ボタン22R,22L等を操作するものとしたが、これに限らない。例えば、図示無きリニアポテンショメータと連動するノブを操作することによって、測定用マークMを移動させてもよい。このような構成は、特許文献1及び特許文献2に詳しく説明されている。
【0070】
なお、測定用マークMと角膜輝点の位置関係を確認し易くするために、制御部70は、測定用マークMを点滅表示させるようにしてもよい。これによって、角膜輝点が測定用マークMに重なっている場合でも、角膜輝点の位置を視認することが可能となる。