特許第6454987号(P6454987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454987
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】廃棄体の回収方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/36 20060101AFI20190110BHJP
【FI】
   G21F9/36 541D
   G21F9/36 541E
   G21F9/36 541M
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-117145(P2014-117145)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2015-230266(P2015-230266A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】西村 政展
(72)【発明者】
【氏名】古賀 和正
(72)【発明者】
【氏名】戸田 亜希子
【審査官】 藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−201199(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1037314(CN,A)
【文献】 特開2004−286451(JP,A)
【文献】 特開昭61−201200(JP,A)
【文献】 特開2003−148097(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0101874(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/36
G21F 9/34
B09B 1/00−5/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバーパックに放射性廃棄物が封入されてなる廃棄体を緩衝材に埋設する形で定置した人工バリア構造であって、前記オーバーパックを円錐台状に形成してなる人工バリア構造から前記廃棄体を回収する方法において、
前記オーバーパックの大径側端面を覆う緩衝材を該大径側端面が露出するように除去した後、前記廃棄体の材軸回りに沿ったトルクを該廃棄体に作用させることで前記オーバーパックの周面とその周囲に拡がる緩衝材との付着を切り、しかる後、前記廃棄体を前記大径側端面が位置する側に引き抜くことを特徴とする廃棄体の回収方法。
【請求項2】
オーバーパックに放射性廃棄物が封入されてなる廃棄体を緩衝材に埋設する形で定置した人工バリア構造であって、前記オーバーパックを円錐台状に形成するとともに前記廃棄体を前記オーバーパックの大径側端面が処分坑道側となるように処分孔方式で定置してなる人工バリア構造から前記廃棄体を回収する方法において、
前記オーバーパックの大径側端面を覆う緩衝材を該大径側端面が露出するように前記処分坑道側から除去した後、前記廃棄体の材軸回りに沿ったトルクを該廃棄体に作用させることで前記オーバーパックの周面とその周囲に拡がる緩衝材との付着を切り、しかる後、前記廃棄体を前記処分坑道側に引き抜くことを特徴とする廃棄体の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として高レベル放射性廃棄物が深地層処分される放射性廃棄物処分場の人工バリア構造から廃棄体を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所からの使用済み燃料を再処理することで生じる高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体、オーバーパック及び緩衝材からなる人工バリアに閉じ込められた状態で天然バリアである地下数百mの岩盤内に深地層処分することが予定されているが、深地層処分においては、対象となる放射性物質の半減期がきわめて長いこともあって、1万年以上にわたる管理が必要とされている。
【0003】
一方、処分後にあらたな処理技術が確立され、あるいは処分地が変更になった場合に備えて、高レベル放射性廃棄物は回収可能な方法によって処分することを前提とするとの国の方向性が示されており、近年になって高レベル放射性廃棄物を回収するためのあらたな技術開発がなされるようになってきた。
【0004】
高レベル放射性廃棄物は、上述したようにオーバーパックに封入された状態で緩衝材に埋設されており、これを回収するにあたっては、緩衝材からオーバーパックを取り出す必要があるが、緩衝材には、地下水の浸入があっても自ら膨潤することで止水性を発揮するベントナイトが最も有力な候補材料としてあげられている。
【0005】
これを受け、塩水によって、ベントナイトを膨潤させることなく該ベントナイトを崩壊除去する方法が提案されている(特許文献1,非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−008375号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「廃棄体回収のための塩水を利用した緩衝材除去技術」、土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)
【非特許文献2】「アイスブラスト工法によるベントナイト系バリア除去に関する検討」、日本原子力学会春の年会予稿集(2008年3月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、塩水を用いてベントナイトを崩落させる上述の方法では、そのときに発生する大量のベントナイトスラリーを別途処理する必要があるとともに、何より、ベントナイトスラリーというあらたな放射性廃棄物が発生する事態を招く。
【0009】
また、これを解決すべく、ドライアイスをブラスト材としてベントナイトに吹き付けることで、該ベントナイトを粉砕除去する方法も提案されている(非特許文献2)。
【0010】
しかしながら、オーバーパックが埋設される緩衝材は、外径が2m以上、高さが3m以上の大きさになるため、粉砕除去に長時間を要する懸念がある。
【0011】
一方、上述の粉砕除去をオーバーパックの一部が露出するだけにとどめてその露出部分を利用してオーバーパックを引き上げようとしても、他の部分がベントナイトに埋設されたままであるため、オーバーパックの引上げに伴ってその周面にベントナイトから大きな摩擦力が作用し、オーバーパックに不測の破損が生じかねない。
【0012】
そのため、結局は、オーバーパックを取り囲むベントナイトのうち、かなりの部分を粉砕除去せざるを得ず、長時間の粉砕除去作業を余儀なくされるという問題を生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、放射性廃棄物がオーバーパックに封入されてなる廃棄体を、あらたな放射性廃棄物を発生させることなく、しかも安全かつ短時間に緩衝材から取り出すことが可能な廃棄体の回収方法を提供することを目的とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る廃棄体の回収方法は請求項1に記載したように、オーバーパックに放射性廃棄物が封入されてなる廃棄体を緩衝材に埋設する形で定置した人工バリア構造であって、前記オーバーパックを円錐台状に形成してなる人工バリア構造から前記廃棄体を回収する方法において、
前記オーバーパックの大径側端面を覆う緩衝材を該大径側端面が露出するように除去した後、前記廃棄体の材軸回りに沿ったトルクを該廃棄体に作用させることで前記オーバーパックの周面とその周囲に拡がる緩衝材との付着を切り、しかる後、前記廃棄体を前記大径側端面が位置する側に引き抜くものである。
【0017】
また、本発明に係る廃棄体の回収方法は請求項2に記載したように、オーバーパックに放射性廃棄物が封入されてなる廃棄体を緩衝材に埋設する形で定置した人工バリア構造であって、前記オーバーパックを円錐台状に形成するとともに前記廃棄体を前記オーバーパックの大径側端面が処分坑道側となるように処分孔方式で定置してなる人工バリア構造から前記廃棄体を回収する方法において、
前記オーバーパックの大径側端面を覆う緩衝材を該大径側端面が露出するように前記処分坑道側から除去した後、前記廃棄体の材軸回りに沿ったトルクを該廃棄体に作用させることで前記オーバーパックの周面とその周囲に拡がる緩衝材との付着を切り、しかる後、前記廃棄体を前記処分坑道側に引き抜くものである。
【0018】
参考発明
参考発明に係る人工バリア構造においては、オーバーパックに放射性廃棄物が封入されてなる廃棄体を緩衝材に埋設する形で定置するにあたり、オーバーパックを円錐台状に形成してある。
【0019】
従来計画されているような円柱状の廃棄体の場合、該廃棄体を緩衝材から引き抜こうとすると、その引抜き操作に伴って、オーバーパックの周面にそれを取り囲む緩衝材から大きな摩擦力が作用するとともに、引抜きが進行しても、廃棄体と緩衝材とは当接したままであるため、上述の摩擦力は、接触面積の減少に伴って徐々に小さくなることはあっても、大きく減少することはない。
【0020】
そのため、引抜きによる廃棄体の回収には長時間を要し、のみならずオーバーパックに大きな摩擦力が作用することにより、引抜き操作の際に不測の被害が生じることも懸念される。
【0021】
しかし、本発明のようにオーバーパックを円錐台状に形成すると、該オーバーパックの大径側端面が位置する側に廃棄体をわずかに移動させるだけで、オーバーパックの周面が緩衝材から離間し、該緩衝材からは摩擦力が作用しなくなる。
【0022】
そのため、引抜きによる回収を短時間に終了させることができるとともに、引抜き操作による摩擦力によって廃棄体に不測の損傷が生じるのを未然に回避することが可能となる。なお、廃棄体をオーバーパックの大径側端面が位置する側にわずかに移動させるためには、オーバーパックの周面とその周囲に拡がる緩衝材との付着が予め切れていることが前提となるが、付着切断のための方法は任意であって、廃棄体を緩衝材の埋設位置に押し込む、廃棄体を緩衝材の埋設位置から引っ張る、廃棄体をその材軸回りにねじるといった操作から適宜選択すればよい。
【0023】
参考発明に係る人工バリア構造を構築するにあたり、オーバーパックの大径側端面が回収予定側となるように廃棄体を定置する限り、該廃棄体をどのように定置するかは任意であって、縦置きするか横置きするかは問わないし、処分坑道内に直接定置される場合(処分坑道縦置き方式、処分坑道横置き方式)にも参考発明を適用することができるが、処分坑道のトンネル底面から下方に向けて又は処分坑道のトンネル側面から側方に向けてそれぞれ掘削形成された処分孔に定置する場合、すなわち処分孔縦置き方式又は処分孔横置き方式の場合には、オーバーパックの大径側端面が処分坑道側となるように廃棄体を定置すればよい。
【0024】
本発明に係る廃棄体の回収方法においては、上述したように円錐台状に形成されたオーバーパックに放射性廃棄物が封入されてなる廃棄体を緩衝材から引き抜くにあたり、まず、オーバーパックの大径側端面を覆う緩衝材を除去することで、該大径側端面を露出させる。
【0025】
次に、廃棄体の材軸回りに沿ったトルクを該廃棄体に作用させることにより、オーバーパックの周面とその周囲に拡がる緩衝材との付着を切る。また、必要に応じて、廃棄体を緩衝材の埋設位置に押し込む、廃棄体を緩衝材の埋設位置から引っ張るといった操作を適宜加える。
【0026】
このようにすると、オーバーパック周面と緩衝材との付着力が消失するため、廃棄体を引き抜く際、該付着力が引抜き操作の抵抗となることはない。
【0027】
また、オーバーパックを円錐台状に形成してあるため、廃棄体の引抜き操作が開始された以降は、オーバーパックの周面が緩衝材から離間し、該緩衝材から摩擦力が作用することもない。
【0028】
そのため、廃棄体の材軸回りに沿ったトルクを該廃棄体に作用させてから廃棄体を引き抜くようにすれば、該廃棄体を、その材軸に沿ってオーバーパックの大径側端面が位置する側に容易に引き抜くことが可能となる。
【0029】
本発明に係る廃棄体の回収方法は、任意の形で定置された廃棄体すべてに適用することが可能であるが、処分孔縦置き方式又は処分孔横置き方式で定置された廃棄体に対しては、オーバーパックの大径側端面を覆う緩衝材を除去する作業は処分坑道側から行うとともに、オーバーパックの周面とその周囲に拡がる緩衝材との付着を切った後は、処分坑道側に廃棄体を引き抜くようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る人工バリア構造を示した図であり、(a)は配置状況を示した斜視図、(b)は鉛直断面図。
図2】本実施形態に係る廃棄体の回収方法における実施手順を示した説明図。
図3】変形例に係る人工バリア構造を示した図であり、(a)は配置状況を示した斜視図、(b)は鉛直断面図。
図4】変形例に係る廃棄体の回収方法における実施手順を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る人工バリア構造及び廃棄体の回収方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0032】
本実施形態は、本発明を高レベル放射性廃棄物処分場の地下施設に適用した例であって、該地下施設は図1(a)に示すように、天然バリアである地下数百mの岩盤内に直径5m程度の処分坑道2を構築するとともに、該処分坑道から鉛直下方に直径2m程度の処分孔3を所定間隔で形成してあり、該処分孔に本実施形態に係る人工バリア構造1をそれぞれ構築してある。
【0033】
人工バリア構造1は、ベントナイトからなる緩衝材5に廃棄体4をその材軸が鉛直方向となる姿勢で埋設したものであって、廃棄体4を処分孔3に縦置きで定置する、いわゆる処分孔縦置き方式となっている。
【0034】
廃棄体4は、高レベル放射性廃棄物をガラスで固化した上、そのガラス固化体7を炭素鋼等で形成されたオーバーパック6に封入して構成してあるが、オーバーパック6は同図(b)でよくわかるように円錐台状に形成してある。
【0035】
このように製作された廃棄体4は、オーバーパック6を円錐台状に形成してあるため、該オーバーパックの大径側端面、本実施形態ではその頂面が位置する側にわずかに移動するだけで、オーバーパック6の周面が緩衝材5から離間し、該緩衝材からは摩擦力が作用しなくなる。
【0036】
本実施形態に係る人工バリア構造1を構築する際には、オーバーパック6の大径側端面が処分坑道2側となるように廃棄体4を縦置きで定置する。
【0037】
人工バリア構造1から廃棄体4を回収するには、まず図2(a)に示すように、オーバーパック6の大径側端面を覆う緩衝材5、本実施形態では直上に拡がる緩衝材5を除去し、該頂面を露出させる。
【0038】
オーバーパック6の直上に拡がる緩衝材5を除去するには、公知の方法から適宜選択して採用することが可能であり、例えばドライアイスその他の粒状体をブラスト材とした吹付けによって粉砕除去すればよい。
【0039】
次に、廃棄体4の材軸回りに沿ったトルクTを該廃棄体に作用させることにより、オーバーパック6の周面とその周囲に拡がる緩衝材5との付着を切る。また、必要に応じて、廃棄体4を緩衝材5の埋設位置に押し込む、廃棄体4を緩衝材5の埋設位置から引っ張るといった操作を適宜加える。
【0040】
このようにすると、オーバーパック6の周面と緩衝材5との間に存在していた付着力が消失するため、廃棄体4を引き抜く際、該付着力が引抜き操作の抵抗となることはない。
【0041】
また、オーバーパック6を円錐台状に形成してあるため、廃棄体4の引抜き操作が開始された以降は、オーバーパック6の周面が緩衝材5から離間し、該緩衝材から摩擦力が作用することもない。
【0042】
そのため、廃棄体4の材軸回りに沿ったトルクTを該廃棄体に作用させることで、オーバーパック6の周面とその周囲に拡がる緩衝材5との付着を切った後、同図(b)に示すように廃棄体4を引き抜く。
【0043】
このようにすれば、廃棄体4を、その材軸に沿ってオーバーパック6の大径側端面が位置する側に容易に引き抜くことが可能となる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る人工バリア構造1によれば、オーバーパック6を円錐台状に形成するようにしたので、該オーバーパックの大径側端面が位置する側に廃棄体4をわずかに移動させるだけで、オーバーパック6の周面が緩衝材5から離間し、該緩衝材からは摩擦力が作用しなくなる。
【0045】
そのため、引抜きによる回収を短時間に終了させることができるとともに、引抜き操作による摩擦力によって廃棄体4に不測の損傷が生じるのを未然に回避することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態に係る廃棄体の回収方法によれば、オーバーパック6の周面と緩衝材5との間に生じていた付着力が上述した付着切断工程で消失するので、廃棄体4を引き抜く際、該付着力が引抜き操作の抵抗となることはないし、オーバーパック6を円錐台状に形成してあるので、廃棄体4の引抜き操作が開始された以降は、オーバーパック6の周面が緩衝材5から離間し、該緩衝材から摩擦力が作用することもない。
【0047】
そのため、廃棄体4の材軸回りに沿ったトルクTを該廃棄体に作用させてから廃棄体4を引き抜くようにすれば、該廃棄体を、その材軸に沿ってオーバーパック6の大径側端面が位置する側に容易に引き抜くことが可能となる。
【0048】
本実施形態では、廃棄体4が処分孔縦置き方式で定置された人工バリア構造1に本発明を適用した例を説明したが、廃棄体がどのように定置されているかは任意であり、例えば図3に示すように処分坑道2から水平に所定間隔で直径2m程度の処分孔3を形成するとともに、該処分孔に処分孔横置き方式で廃棄体4を定置する、すなわち緩衝材5に廃棄体4をその材軸が水平方向となる姿勢で埋設してなる人工バリア構造1aに適用してもかまわない。
【0049】
本変形例に係る人工バリア構造1aを構築する際には、オーバーパック6の大径側端面、図3では左側側面が処分坑道2側となるように廃棄体4を横置きで定置する。
【0050】
人工バリア構造1aから廃棄体4を回収するには、まず図4(a)に示すように、オーバーパック6の大径側端面を覆う緩衝材5を除去し、該大径側端面を露出させる。
【0051】
オーバーパック6の大径側端面を覆う緩衝材5を除去するにあたっては、上述した実施形態と同様、例えばドライアイスその他の粒状体をブラスト材とした吹付けによって適宜粉砕すればよい。
【0052】
次に、廃棄体4の材軸回りに沿ったトルクTを該廃棄体に作用させることにより、オーバーパック6の周面とその周囲に拡がる緩衝材5との付着を切り、しかる後、同図(b)に示すように廃棄体4を引き抜く。
【0053】
このようにすれば、上述した実施形態と同様、オーバーパック6の周面と緩衝材5との間に生じていた付着力が上述した付着切断工程で消失するので、廃棄体4を引き抜く際、該付着力が引抜き操作の抵抗となることはないし、オーバーパック6を円錐台状に形成してあるので、廃棄体4の引抜き操作が開始された以降は、オーバーパック6の周面が緩衝材5から離間し、該緩衝材から摩擦力が作用することもない。
【0054】
そのため、廃棄体4の材軸回りに沿ったトルクTを該廃棄体に作用させてから廃棄体4を引き抜くようにすれば、該廃棄体を、その材軸に沿ってオーバーパック6の大径側端面が位置する側に容易に引き抜くことが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1,1a 人工バリア構造
2 処分坑道
3 処分孔
4 廃棄体
5 緩衝材
6 オーバーパック
7 放射性廃棄物
図1
図2
図3
図4