(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
尚、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明するロボットにおける向きと同一とする。又、以下の説明に用いる図中適所には、ロボットの前方を示す矢印FR、ロボットの左方を示す矢印LH、ロボットの上方を示す矢印UPが示されている。以下、ロボットの左右方向を「幅方向」という。
【0020】
[ロボット]
図1は、第一実施形態に係るロボット1の左側面図である。
図2は、上記ロボット1の後面図である。
図1及び
図2に示すように、ロボット1は、天板2(載置部)、フレーム3、展開車輪4、補助車輪5及び調整機構6を備える。
尚、本実施形態に係る「荷台」は、天板2及び調整機構6を備える。
【0021】
天板2は、荷物等(物品)を載置する平坦な載置面2aを有する。例えば、天板2は、矩形板状に形成される。
尚、天板2は、矩形板状に限らず、円形や楕円形等、種々の形状としてもよい。
【0022】
図3は、上記ロボット1の天板2を除いた状態を示す上面図である。
図3に示すように、フレーム3は、底板30、フロントフレーム31、リアフレーム32及び左右一対のサイドフレーム33を備える。
底板30は、調整機構6等を介して天板2(
図1参照)と対向する。底板30は、鋼板等により矩形板状に形成される。
【0023】
フロントフレーム31は、ロボット1の前側に位置する。フロントフレーム31は、前後一対のフロントバー31a,31bと、左右一対のセンタープレート31cと、左右一対のサイドプレート31dとを備える。
前後フロントバー31a,31bは、鋼管等により柱状に形成され、底板30の前辺に沿って幅方向に延びる。
左右センタープレート31cは、鋼板等により板状に形成され、前後フロントバー31a,31bの幅方向中央部における前後間を繋ぐ。
左右サイドプレート31dは、鋼板等により板状に形成され、前後フロントバー31a,31bの幅方向外端部における前後間を繋ぐ。
【0024】
リアフレーム32は、ロボット1の後側に位置する。リアフレーム32は、鋼管等により柱状に形成され、底板30の後辺に沿って幅方向に延びる。
左右サイドフレーム33は、ロボット1の幅方向外側に配置される。左右サイドフレーム33は、鋼管等により柱状に形成され、底板30の左右側辺に沿って前後に延びる。左右サイドフレーム33は、フロントフレーム31とリアフレーム32との幅方向外端部における前後間を繋ぐ。
【0025】
[展開車輪]
展開車輪4は、ロボット1の前部において幅方向外側に配置され、ロボット1の前輪として機能する。展開車輪4は、展開車輪4の展開駆動用の軸44(以下「展開駆動軸」という。)を中心として径方向に展開可能である。
【0026】
尚、展開車輪4は、前輪として機能することに限らず、ロボット1の後部において幅方向外側に配置されることで後輪として機能してもよい。又、展開車輪4は、ロボット1の前後部において幅方向外側に配置されることで前後両輪として機能してもよい。即ち、展開車輪4は、前輪及び後輪の少なくとも一方として機能すればよい。
【0027】
図1に示すように、展開車輪4は、回転支持体40と、転動爪体41とを備える。転動爪体41は、回転支持体40の周方向に4つ配置される。
尚、転動爪体41の数は、4つに限らず、3つ又は5つ以上の複数であってもよい。
又、展開車輪4は、オムニホイール(登録商標)などを備えてもよい。
【0028】
転動爪体41には、側面視円弧状の外周面を有する転動部材41fが取り付けられる。転動部材41fは、展開車輪4の閉状態で、展開車輪4の周方向に連なる側面視円形状の転動周面Sfを形成する。
【0029】
図2に示すように、転動部材41fの幅方向の長さは、転動爪体41の幅方向の長さよりも小さい。転動部材41fは、ゴム等の弾性材料で形成される。
尚、転動部材41fの形成材料は、弾性材料に限らず、適宜選択してもよい。
【0030】
図3に示すように、フロントフレーム31の後部において、左右センタープレート31cと左右サイドプレート31dとには、展開車輪4の展開駆動用のモータ34(以下「展開用モータ」という。)が取り付けられる。展開用モータ34は、コントローラ(不図示)により制御される。
【0031】
展開用モータ34の出力軸には、展開車輪4の展開駆動用の歯車34a(以下「展開用第一歯車」という。)が取り付けられる。展開駆動軸44の幅方向内端部には、展開用第一歯車34aに噛み合う歯車34b(以下「展開用第二歯車」という。)が取り付けられる。展開用第二歯車34bの直径は、展開用第一歯車34aの直径よりも大きい。
【0032】
左右センタープレート31cには、展開駆動軸44の幅方向内側に配置される内側軸受36が取り付けられる。左右サイドプレート31dには、展開駆動軸44の幅方向外側に配置される外側軸受37が取り付けられる。内側軸受36は、展開駆動軸44を回動自在に支持する。
【0033】
内側軸受36と展開車輪4との間には、展開車輪4の走行駆動用の円筒状の軸38(以下「走行駆動軸」という。)が配置される。内側軸受36及び外側軸受37は、走行駆動軸38を回動自在に支持する。展開駆動軸44は、走行駆動軸38の内部に挿通されて展開車輪4に取り付けられる(
図7参照)。
【0034】
フロントフレーム31の前部において、左右センタープレート31cと左右サイドプレート31dとには、展開車輪4の走行駆動用のモータ35(以下「走行用モータ」という。)が取り付けられる。走行用モータ35は、展開駆動軸44を介して展開用モータ34と対向する。走行用モータ35は、コントローラ(不図示)により制御される。
【0035】
走行用モータ35の出力軸には、展開車輪4の走行駆動用の歯車35a(以下「走行用第一歯車」という。)が取り付けられる。走行駆動軸38の幅方向外端部(
図7に示すハブ38aと外側軸受37との間)には、走行用第一歯車35aに噛み合う歯車35b(以下「走行用第二歯車」という。)が取り付けられる。走行用第二歯車35bの直径は、走行用第一歯車35aの直径よりも大きい。
【0036】
図4は、上記ロボット1の展開車輪4の閉状態を示す側面図である。
図5は、上記ロボット1の展開車輪4の展開状態を示す側面図である。
図6は、上記展開車輪4の展開駆動体42の側面図である。
尚、
図4及び
図5においては、便宜上、転動部材41fの図示を省略する。又、
図5においては、展開車輪4が最大限展開している状態(以下「全展開状態」という。)を示す。
【0037】
図4及び
図5に示すように、展開車輪4は、回転支持体40と、転動爪体41とを備える。
回転支持体40は、側面視十字状に形成される。回転支持体40は、側面視円形状の本体部40aと、本体部40aの外周面から径方向外側に突出する4つの爪支持部40bとを有する。各爪支持部40bは、本体部40aの周方向に90°間隔で配置される。
尚、爪支持部40bの数は、4つに限らず、3つ又は5つ以上の複数であってもよい。
【0038】
転動爪体41は、側面視円弧状の円弧壁部41aと、円弧壁部41aに繋がる係合爪部41bとを有する。
円弧壁部41aは、展開車輪4の閉状態で、展開車輪4の周方向に連なる円形状を形成する。
尚、転動部材41fを有しない場合、円弧壁部41aは、展開車輪の閉状態で転動周面Sf(
図1参照)を形成してもよい。
【0039】
係合爪部41bは、側面視直線状の直線部41b1と、直線部41b1から僅かに凹む凹部41b2とを有する。凹部41b2は、展開車輪4の閉状態で、周方向で隣り合う転動爪体41の湾曲部41dと当接する。係合爪部41bは、展開車輪4の展開時に段差等と係合する。
尚、係合爪部41bの側面視形状は、直線状に限らず、湾曲状、鋸刃状、又は、これらを組み合わせた形状等としてもよい。
【0040】
回転支持体40の内部には、展開駆動体42及び展開アーム43が配置される。
展開駆動体42は、回転支持体40と同軸に配置される。
図6に示すように、展開駆動体42は、円板状に形成される。展開駆動体42には、展開駆動体42の回転中心に位置する中心孔42aと、中心孔42aを挟む一対の円弧状の長孔42bとが形成される。一対の長孔42bは、展開駆動体42の回転中心を中心として2回対称に配置される。
尚、
図6において、第二展開ピン42dの結合位置を破線で示す。
【0041】
図4及び
図5に示すように、展開駆動体42の中心孔42aには、展開駆動軸44が結合固定される。これにより、展開駆動体42は、展開駆動軸44と一体回動可能とされる。展開駆動体42の長孔42bには、第一展開ピン42cが挿通される。これにより、展開駆動体42は、長孔42bの範囲で回転支持体40に対し回動可能とされる。
【0042】
展開アーム43は、一方向に長手を有する棒状に形成される。展開アーム43は、転動爪体41と対応する数(本実施形態では4つ)配置される。展開アーム43の一端部43aは、第二展開ピン42dを介して展開駆動体42に相対回動自在に結合される。展開アーム43の他端43bは、第三展開ピン42eを介して転動爪体41に相対回動自在に結合される。転動爪体41は、展開駆動体42の回転支持体40に対する相対回動により、展開アーム43を介して展開可能とされる。
【0043】
図5において、展開アーム43の一端部43aと展開駆動体42との結合点(第二展開ピン42dの軸心)を符号C1、展開アーム43の他端43bと転動爪体41との結合点(第三展開ピン42eの軸心)を符号C2、結合点C1と結合点C2とを通る直線を符号Lで示す。
図5に示すように、展開車輪4の全展開状態で、直線Lは、展開駆動軸44の軸心Cpよりも展開駆動体42の展開回動方向側(矢印q側)を通る。
尚、直線Lが、展開車輪4の全展開状態で、展開駆動軸44の軸心Cpを通ってもよい。
【0044】
図4に示すように、転動爪体41は、展開車輪4の閉状態で、展開車輪4の径方向に閉じる。展開車輪4の外形形状は、展開車輪4の閉状態で、側面視円形状とされる。
図5に示すように、転動爪体41は、展開車輪4の全展開状態で、展開車輪4の径方向外側に開く。展開車輪4の外形形状は、展開車輪4の全展開状態で、側面視十字状とされる。
【0045】
図7は、
図2のVII−VII断面図を含む、上記展開車輪4の走行駆動状態の説明図である。
尚、
図7においては、展開車輪4の走行駆動状態における駆動領域をドットハッチで示す。
【0046】
図7に示すように、回転支持体40の本体部40aの幅方向外側には、環状部45が配置される。回転支持体40の本体部40aは、2つの第一展開ピン42cにより、環状部45に一体回転可能に結合される。走行駆動軸38の幅方向外端部には、ハブ38aが取り付けられる。環状部45の幅方向内側部は、ハブ38aを介して走行駆動軸38に一体に結合される。回転支持体40の本体部40aの径方向内側部には、ボールベアリング44bを介して展開駆動軸44が回動自在に支持される。
【0047】
回転支持体40の爪支持部40bは、支持軸46を介して転動爪体41を回動自在に支持する。具体的に、支持軸46の軸方向中央部には、爪支持部40bが固定支持される。支持軸46の軸方向両端部には、ボールベアリング46bを介して転動爪体41が回動自在に支持される。
【0048】
[走行駆動]
走行用モータ35を駆動させると、走行用第一歯車35a、走行用第二歯車35bを介して走行駆動軸38が回転する。走行駆動軸38が回転すると、ハブ38aを介して環状部45が回転する。環状部45の回転により、第一展開ピン42cから回転支持体40に回転駆動力が伝達される。回転支持体40の回転により、展開車輪4が走行駆動する。回転支持体40を正回転することにより、展開車輪4は前進走行する。
尚、走行駆動軸38を逆回転することにより、展開車輪4を後退走行させてもよい。
【0049】
[直進走行]
平地走行において、左右走行用モータ35の双方を同じ回転速度で駆動させると、左右走行駆動軸38が同じ回転速度で回転する。左右走行駆動軸38が同じ回転速度で回転すると、左右回転支持体40が同じ回転速度で回転する。左右回転支持体40が同じ回転速度で回転することにより、左右展開車輪4は同じ速度で走行駆動する。これにより、ロボット1(
図1参照)を直進走行させることができる。
【0050】
[旋回走行]
平地走行において、左右走行用モータ35の一方を他方よりも速い回転速度で駆動させると、左右展開車輪4の一方が他方に対して先行回転する。例えば、平地走行において、右走行用モータ35を左走行用モータ35よりも速い回転速度で駆動させると、右展開車輪4が左展開車輪4に対して先行回転する。
尚、右走行用モータ35のみを駆動しても同様の旋回走行となる。
【0051】
[展開駆動]
図8は、
図7に相当する断面図であり、上記展開車輪4の展開駆動状態の説明図である。
尚、
図8においては、展開車輪4の展開駆動状態における駆動領域をドットハッチで示す。
図8に示すように、展開用モータ34を駆動させると、展開用第一歯車34a及び展開用第二歯車34bを介して展開駆動軸44が回転する。
【0052】
図4及び
図5に示すように、展開駆動軸44が回転すると、展開駆動体42が第一展開ピン42cに対し長孔42bの範囲で相対的に移動し、回転支持体40に対して相対回動する。展開駆動体42と回転支持体40との相対回動により、展開アーム43の一端部43aが旋回移動し、爪支持部40bに対して立ち上がる。展開アーム43の立ち上がりにより、転動爪体41が支持軸46を中心に回動し、爪支持部40bに対して立ち上がる。展開車輪4は、展開アーム43を介して転動爪体41が展開されると、最終的には
図5に示す全展開状態となる。
【0053】
展開車輪4の全展開状態で、直線Lは、展開駆動軸44の軸心Cpよりも展開駆動体42の展開回動方向側(矢印q側)を通る。そのため、転動爪体41が段差などから反力Fを受けると、展開アーム43の他端43bが矢印V1の方向に回動力を受け、展開アーム43の一端部43aが矢印V2の方向に力を受けて展開駆動体42を展開駆動方向へ付勢する。従って、転動爪体41が段差などから反力Fを受けても、展開アーム43が支えとなるため、転動爪体41は展開状態を維持することができる。
【0054】
展開車輪4の閉状態で展開駆動軸44を正回動することにより展開車輪4は展開し、最終的に全展開状態となる。
尚、展開車輪4の全展開状態で展開駆動軸44を逆回動することにより展開車輪4を閉じ、閉状態としてもよい。
【0055】
展開車輪4の展開状態で走行用モータ35を駆動させると、転動爪体41が爪支持部40bに対して立ち上がった状態で、展開車輪4が転動走行される。これにより、ロボット1(
図1参照)は、階段等の段差や瓦礫等の障害物を乗り越えることができる。
【0056】
尚、展開駆動体42の回動制御により、展開車輪4の全展開状態(
図5参照)や、展開車輪4の閉状態と全展開状態との間の半展開状態(不図示)などの展開状態を調整してもよい。又、展開駆動体42の回動を停止することにより、展開車輪4の展開状態を維持してもよい。
【0057】
左右展開車輪4の展開状態は、左右展開用モータ34の制御により、個別に制御してもよい。これにより、展開車輪4の適用環境に応じて左右展開車輪4の展開状態を適宜個別に調整することができる。
【0058】
尚、
図7及び
図8において、符号34c,34d,34eは展開用モータ34を固定する固定板、符号34fは各固定板34c,34d,34eを締結するボルト、符号35c,35d,35eは走行用モータ35を固定する固定板、符号35fは各固定板35c,35d,35fを締結するボルト、符号36aは内側軸受36において展開駆動軸44を回動自在に支持するボールベアリング、符号36bは内側軸受36において走行駆動軸38を回動自在に支持するボールベアリング、符号37a,37bは外側軸受37において走行駆動軸38を回動自在に支持するボールベアリングである。
【0059】
[補助車輪]
図3に示すように、補助車輪5は、ロボット1の後部において左右一対配置され、展開車輪4を補助すると共に、ロボット1の後輪として機能する。補助車輪5は、径方向に展開しない通常の車輪である。
尚、補助車輪5は、オムニホイール(登録商標)などを備えてもよい。
【0060】
補助車輪5は、底板30の後方で前後に延びる支持部材50の後部に、軸51を中心に回転可能に支持される。補助車輪5を底板30の後方に配置することにより、補助車輪5を底板30の下方に配置する場合に比べてホイールベースが長くなるため、直進安定性が向上する。
【0061】
支持部材50は、リアフレーム32の幅方向外端部に、ボルト等の締結部材52により締結固定される。
図1に示すように、支持部材50の前下部(展開車輪4の側)には、後側ほど下方に位置するように傾斜する傾斜面50aが形成される。
【0062】
尚、補助車輪5は、後輪として機能することに限らず、展開車輪4が後輪として機能する場合には前輪として機能してもよい。補助車輪5は、展開車輪4が前輪及び後輪の何れか一方として機能する場合には、前輪及び後輪の何れか他方として機能すればよい。
【0063】
[調整機構]
調整機構6は、展開車輪4の展開過程で天板2の載置面2aが水平に維持されるように載置面2aの傾きを調整すると共に、展開車輪4の展開過程で展開車輪4と載置面2aとが離反するように載置面2aの高さを調整する。調整機構6は、展開車輪4の展開量に応じて載置面2aの傾き及び高さを調整する。調整機構6は、載置面2aの傾きに応じて載置面2aの高さを調整する。
図3に示すように、調整機構6は、フレーム3の底板30に配置される。調整機構6は、リンク機構60と、駆動機構70とを備える。
【0064】
[リンク機構]
リンク機構60は、底板30の幅方向外側に配置される。
図1に示すように、リンク機構60は、側面視でX字状に交差する第一アーム61と第二アーム62とを備える。
第一アーム61は、前側ほど上方に位置するように傾斜して前後に延びる。
第二アーム62は、前側ほど下方に位置するように傾斜して前後に延びる。
図3に示すように、第一アーム61は、軸受63を介して第二アーム62よりも幅方向内側に配置される。
尚、第一アーム61は、第二アーム62よりも幅方向外側に配置されてもよい。
【0065】
図1において、第一アーム61と第二アーム62とが交差する軸(以下「交差軸」という。)を符号Pcで示す。
又、第一アーム61の一端部61aが第一フロントブラケット64に対して回動する軸(以下「第一軸」という。)を符号P1で示す。
又、第一アーム61の他端部61bが第一リアブラケット65に対して回動する軸(以下「第二軸」という。)を符号P2で示す。
又、第二アーム62の一端部62aが第二フロントブラケット66に対して回動する軸(以下「第三軸」という。)を符号P3で示す。
又、第二アーム62の他端部62bが第二リアブラケット67に対して回動する軸(以下「第四軸」という。)を符号P4で示す。
尚、交差軸Pc、第一軸P1、第二軸P2、第三軸P3及び第四軸P4のそれぞれは、ロボット1の幅方向と平行である。
【0066】
第一アーム61と第二アーム62とは、交差軸Pcを中心として相対回動可能とされる。交差軸Pcは、第一アーム61及び第二アーム62の長手方向中心よりも前側(展開車輪4の側)に配置される。
尚、交差軸Pcは、第一アーム61及び第二アーム62の長手方向中心よりも後側に配置されてもよい。
【0067】
図1に示すように、第一アーム61の一端部61aは、第一軸P1を中心として第一フロントブラケット64に回動可能に支持される。第一アーム61の他端部61bは、第二軸P2を中心として第一リアブラケット65に回動可能に支持される。第一フロントブラケット64は、天板2の幅方向外側におけるフロントフレーム31(
図3参照)寄りで、天板2の下面に固定される。第一リアブラケット65は、第一スライダ74aに固定される。
【0068】
図1に示すように、第二アーム62の一端部62aは、第三軸P3を中心として第二フロントブラケット66に回動可能に支持される。第二アーム62の他端部62bは、第四軸P4を中心として第二リアブラケット67に回動可能に支持される。第二フロントブラケット66は、底板30の幅方向外側におけるフロントフレーム31(
図3参照)寄りで、底板30の上面に固定される。第二リアブラケット67は、第二スライダ75aに固定される。
【0069】
第一アーム61は、
図1の側面視で、交差軸Pcの部分で下方に凸の緩やかなL字状に形成される。具体的に、第一アーム61は、第一アーム61の一端部61aから交差軸Pcに至る第一フロントアーム61fと、交差軸Pcから第一アーム61の他端部61bに至る第一リアアーム61rとを備える。第一フロントアーム61fは、
図1の側面視で、第一アーム61の一端部61a側(展開車輪4の側)ほど上方に位置するように傾斜して直線状に延びる。第一リアアーム61rは、
図1の側面視で、交差軸Pcの部分側ほど上方に位置するように第一フロントアーム61fよりも緩やかに傾斜して直線状に延びる。
【0070】
第二アーム62は、
図1の側面視で、交差軸Pcの部分で上方に凸の緩やかなL字状に形成される。具体的に、第二アーム62は、第二アーム62の一端部62aから交差軸Pcに至る第二フロントアーム62fと、交差軸Pcから第二アーム62の他端部62bに至る第二リアアーム62rとを備える。第二フロントアーム62fは、
図1の側面視で、第二アーム62の一端部62a側(展開車輪4の側)ほど下方に位置するように傾斜して直線状に延びる。第二リアアーム62rは、
図1の側面視で、交差軸Pcの部分側ほど下方に位置するように第二フロントアーム62fよりも緩やかに傾斜して直線状に延びる。
【0071】
[駆動機構]
図1に示すように、駆動機構70は、リンク機構60の駆動用のリンク機構用モータ71(以下「リンク機構用モータ」という。)、ボールねじ72、第一スライダ機構74及び第二スライダ機構75を備える。
図3に示すように、リンク機構用モータ71は、フレーム3の底板30の幅方向中央に配置される。リンク機構用モータ71は、コントローラ(不図示)により制御される。リンク機構用モータ71の後端部は、モータステイ76に支持される。モータステイ76は、底板30の上面の幅方向中央に固定される。
【0072】
ボールねじ72は、ねじ軸72sと、ナット72nとを備える。ボールねじ72は、ねじ軸72sの軸線周りの回転移動を、ねじ軸72sの軸線に沿うナット72nの直線移動に変換する。
【0073】
ねじ軸72sは、底板30の幅方向中央で前後に直線状に延びる。リンク機構用モータ71の出力軸には、継手77が取り付けられる。ねじ軸72sの一端部72aは、継手77により、リンク機構用モータ71の出力軸に着脱自在に連結される。ねじ軸72sの他端部72bは、シャフトステイ73に回動自在に支持される。シャフトステイ73は、底板30の幅方向中央におけるリアフレーム32との境界部分の上面に固定される。
【0074】
ねじ軸72sには、ナット72nが摺動可能に取り付けられる。ナット72nは、ナットステイ78に支持される。ナットステイ78は、連結板79の上面に固定される。連結板79は、
図3の上面視で、底板30の幅方向に延びる長方形状に形成される。連結板79は、底板30の幅方向外側に配置される第一スライダ74a(
図1参照)を連結する。
【0075】
例えば、継手77とシャフトステイ73との間におけるねじ軸72sの外周面には、螺旋状のネジ山(雄ネジ)が形成される。一方、ナット72nの内周面には、螺旋状のネジ山(雌ネジ)が形成される。リンク機構用モータ71の駆動によりねじ軸72sが回転すると、ねじ軸72sの外周面の雄ネジとナット72nの内周面の雌ネジとが摺動する。これにより、ねじ軸72sの回転移動は、ねじ軸72sの軸線に沿うナット72nの前後直線移動に変換される。
【0076】
図1に示すように、第一スライダ機構74は、第一スライダ74aと、第一ガイドレール74bとを備える。
第一スライダ74aは、第一リアブラケット65に固定される。
第一ガイドレール74bは、底板30の幅方向外側で、第一アーム61に沿って前後に延びる。第一ガイドレール74bの前後長さは、第一アーム61における第一リアアーム61rの前後長さよりも長い。第一ガイドレール74bは、底板30(
図3参照)の上面に固定される。第一スライダ74aは、第一ガイドレール74bに沿って摺動する。これにより、第一アーム61の他端部61bは、第一リアブラケット65を介して、第一スライダ74aにより第一ガイドレール74bに沿って移動可能とされる。
【0077】
第二スライダ機構75は、第二スライダ75aと、第二ガイドレール75bとを備える。
第二スライダ75aは、第二リアブラケット67に固定される。
第二ガイドレール75bは、天板2の幅方向外側で、第二アーム62に沿って前後に延びる。第二ガイドレール75bの前後長さは、第二アーム62における第二リアアーム62rの前後長さよりも長い。第二ガイドレール75bは、天板2の下面に固定される。第二スライダ75aは、第二ガイドレール75bに沿って摺動する。これにより、第二アーム62の他端部62bは、第二リアブラケット67を介して、第二スライダ75aにより第二ガイドレール75bに沿って移動可能とされる。
【0078】
[ロボットの動作]
以下、ロボット1の動作について、展開車輪4が段差Stを乗り越えている状態を例に挙げて
図9を参照して説明する。
図9は、上記展開車輪4が段差Stを乗り越えている状態を示す左側面図である。
図9に示すように、展開車輪4の転動爪体41は、展開用モータ34(
図3参照)の駆動により径方向外側に向けて展開されている。
【0079】
図9において、転動爪体41の展開高さを符号J、段差Stの高さを符号Kで示す。
ここで、「転動爪体41の展開高さJ」は、段差Stの上面から離反している転動爪体41の先端部と、段差Stの上面との間の距離を意味する。「段差Stの高さK」は、展開車輪4が乗り越えようとする段差Stの高さを意味する。
転動爪体41の展開高さJは、段差Stの高さKよりも大きくされる。この状態で、走行用モータ35(
図3参照)を駆動することにより、展開車輪4は段差Stを乗り越えることが可能となる。
【0080】
尚、段差Stの高さKに応じて、転動爪体41の展開高さJを適宜変えてもよい。
又、走行用モータ35の駆動により走行駆動軸38を逆回転することにより、展開車輪4を段差から降ろしてもよい。
【0081】
以下、調整機構6による天板2の載置面2aの傾き及び高さの変更動作について、一例を挙げて説明する。
図9に示すように、リンク機構用モータ71の駆動によるボールねじ72の動作により、第一スライダ74aが第一ガイドレール74bに沿って矢印D1の方向に移動すると、第一アーム61の他端部61bが第二軸P2を中心に矢印U1の方向に回動する。第一アーム61の他端部61bの矢印U1の方向への回動により、第一アーム61は
図9の側面視で略垂直に立ち上がる。
【0082】
又、第一スライダ74aが第一ガイドレール74bに沿って矢印D1の方向に移動すると、第二アーム62は交差軸Pcを介して第一アーム61から力を受け、第二アーム62の一端部62aが第三軸P3を中心に矢印U2の方向に回動する。第二アーム62の一端部62aの矢印U2の方向への回動により、第二スライダ75aが第二ガイドレール75bに沿って矢印D2の方向に移動すると共に、第二アーム62は
図9の側面視で第一アーム61とX字状に交差しつつ立ち上がる。
【0083】
天板2の載置面2aは、上述した調整機構6の動作により、展開車輪4の展開過程で水平に維持されると共に展開車輪4と離反されている。これにより、段差Stを乗り越える際に展開車輪4を展開しても、載置面2aが水平に対して斜めに傾いたり、展開時の展開車輪4が天板2又は天板2上の荷物(不図示)に干渉したりすることが抑制することができる。
【0084】
尚、ロボット1の動作は、遠隔操作による展開用モータ34、走行用モータ35及びリンク機構用モータ71の何れを制御してもよい。
【0085】
[載置面の傾き及び高さ]
以下、天板2の載置面2aの傾き及び高さについて、
図10〜
図13を用いて説明する。
図10は、上記ロボット1の天板2の載置面2aの水平状態を示す左側面図である。
図11は、上記ロボット1の天板2の載置面2aの傾斜及び高さの変更状態を示す左側面図である。
尚、
図10及び
図11においては、便宜上、リンク機構60を模式的に示し、ガイドレール74b,75b等の図示を省略する。
又、第一アーム61の第一フロントアーム61fの長さ及び第二アーム62の第二フロントアーム62fの長さ(以下「フロントアーム長さ」という。)を同じ長さとする。
又、第一アーム61の第一リアアーム61rの長さ及び第二アーム62の第二リアアーム62rの長さ(以下「リアアーム長さ」という。)を同じ長さとする。
【0086】
図10の載置面2aの水平状態における各寸法を以下に示す。
交差軸Pcと第一軸P1との間の距離及び交差軸Pcと第三軸P3との間の距離を符号lで示す。
又、交差軸Pcと第二軸P2との間の距離及び交差軸Pcと第四軸P4との間の距離を符号rで示す。
又、第三軸P3と交差軸Pcとの間の水平方向(前後方向)における距離を符号a
0で示す。
又、第三軸P3と交差軸Pcとの間の垂直方向(上下方向)における距離及び第一軸P1と交差軸Pcとの間の垂直方向(上下方向)における距離を符号h
0で示す。
又、第三軸P3と第二軸P2との間の水平方向(前後方向)における距離を符号wで示す。
尚、距離lはフロントアーム長さに相当し、距離rはリアアーム長さに相当し、距離a
0はフロントアーム長さの前後方向成分に相当し、距離h
0はフロントアーム長さの上下方向成分に相当し、距離wは第一アーム61の前後長さに相当する。
【0087】
距離l及び距離rは、以下の式(1)及び(2)でそれぞれ表される。
【0089】
図11の載置面2aの傾斜及び高さの変更状態における各寸法を以下に示す。
第一スライダ74aの水平方向(前方)への移動量(以下「スライダ水平移動量」という。)を符号xで示す。
又、第三軸P3と交差軸Pcx(第一スライダ74aの移動後における交差軸)との間の水平方向(前後方向)における距離を符号axで示す。
又、第三軸P3と交差軸Pcxとの間の垂直方向(上下方向)における距離を符号hxで示す。
【0090】
距離ax及び距離hxは、以下の式(3)及び(4)でそれぞれ表される。
【0092】
又、第一スライダ74aの移動後における第二フロントアーム62fの水平面に対する傾斜角度(以下「フロント傾斜角度」という。)を符号θで示す。
又、第一スライダ74aの移動後における第一リアアーム61rの水平面に対する傾斜角度(以下「リア傾斜角度」という。)を符号αで示す。
尚、フロント傾斜角度θは、第三軸P3と第二軸P2x(第一スライダ74aの移動後における第二軸)とを結ぶ直線と、第三軸P3と交差軸Pcxとを結ぶ直線とのなす角度に相当する。リア傾斜角度αは、第二軸P2xと第三軸P3とを結ぶ直線と、第二軸P2xと交差軸Pcxとを結ぶ直線とのなす角度に相当する。
【0093】
フロント傾斜角度θ及びリア傾斜角度αは、以下の式(5)及び(6)でそれぞれ表される。
【0095】
又、第三軸P3と第四軸P4x(第一スライダ74aの移動後における第四軸)との間の垂直方向(上下方向)における距離を符号hrxで示す。
又、第三軸P3と第一軸P1x(第一スライダ74aの移動後における第一軸)との間の垂直方向(上下方向)における距離を符号hlxで示す。
又、第三軸P3と第四軸P4xとの間の水平方向(前後方向)における距離を符号prxで示す。
又、第三軸P3と第一軸P1xとの間の水平方向(前後方向)における距離を符号plxで示す。
【0096】
距離hrx、距離hlx、距離prx及び距離plxは、以下の式(7)、(8)、(9)及び(10)でそれぞれ表される。
【0098】
又、第一スライダ74aの移動後における載置面2aの水平面に対する傾斜角度(以下「載置面傾斜角度」という。)を符号θtで示す。
又、第一スライダ74aの移動後における載置面2aの中心高さ(以下「載置面高さ」という。)を符号htで示す。
尚、載置面傾斜角度θtは、第一軸P1xと第四軸P4xとを結ぶ直線と、第一軸P1xを通る水平面とのなす角度に相当する。
【0099】
載置面傾斜角度θt及び載置面高さhtは、以下の式(11)及び(12)でそれぞれ表される。
【0101】
図12は、上記ロボット1のスライダ水平移動量xと載置面高さhtとの関係を示すグラフである。
図12おいて、横軸はスライダ水平移動量x[cm]、縦軸は載置面高さht[cm]である。
又、距離a
0が10cmのときの関係を線La1、距離a
0が25cmのときの関係を線La2でそれぞれ示す。
【0102】
図12に示すように、距離a
0が変わっても、スライダ水平移動量xによる載置面高さhtはほとんど変化しないことが分かる。
【0103】
図13は、上記ロボット1のスライダ水平移動量xと載置面傾斜角度θtとの関係を示すグラフである。
図13において、横軸はスライダ水平移動量x[cm]、縦軸は載置面傾斜角度θt[rad]である。
又、距離a
0が10cmのときの関係を線Lb1、距離a
0が11cmのときの関係を線Lb2、距離a
0が12cmのときの関係を線Lb3、距離a
0が13cmのときの関係を線Lb4、距離a
0が14cmのときの関係を線Lb5、距離a
0が15cmのときの関係を線Lb6、距離a
0が16cmのときの関係を線Lb7、距離a
0が17cmのときの関係を線Lb8、距離a
0が18cmのときの関係を線Lb9、距離a
0が19cmのときの関係を線Lb10、距離a
0が20cmのときの関係を線Lb11、距離a
0が21cmのときの関係を線Lb12、距離a
0が22cmのときの関係を線Lb13、距離a
0が23cmのときの関係を線Lb14、距離a
0が24cmのときの関係を線Lb15、距離a
0が25cmのときの関係を線Lb16でそれぞれ示す。
【0104】
図13に示すように、載置面高さhtはスライダ水平移動量xに比例することが分かる。又、距離a
0が大きいほどスライダ水平移動量xに対する載置面高さhtの変化率(傾き)が小さくなることが分かる。
【0105】
以上説明したように、上記実施形態に係るロボット1は、載置面2aを有する天板2と、径方向に展開可能な展開車輪4と、展開車輪4の展開過程で載置面2aが水平に維持されるように載置面2aの傾きを調整すると共に、展開車輪4の展開過程で展開車輪4と載置面2aとが離反するように載置面2aの高さを調整する調整機構6とを備える。
この構成によれば、調整機構6により、展開車輪4の展開過程で、載置面2aが水平に維持されると共に、展開車輪4と載置面2aとが離反される。そのため、段差や障害物を乗り越える際に展開車輪4を展開する場合であっても、載置面2aが水平に対して斜めに傾いたり、展開時の展開車輪4が天板2又は天板2上の荷物に干渉したりすることを回避できる。従って、荷物を安定して搬送することができる。
【0106】
又、調整機構6が側面視でX字状に交差する第一アーム61と第二アーム62とを備えることで、調整機構6の構成を簡素化することができる。従って、低コスト化を図ることができる。
【0107】
又、交差軸Pcが第一アーム61及び第二アーム62の長手方向中心よりも前側にずれることで、てこの原理により、第一アーム61の端部(第一スライダ74a)を容易に移動させることができ、スライダ水平移動量を容易に大きくすることができる。特に、載置面展開車輪4を前輪として機能させる構成において、載置面2aの傾き及び高さを容易に調整することができる。
【0108】
又、第一アーム61は、展開車輪4の側ほど上方に位置するように傾斜して延びると共に、側面視で交差軸Pcの部分で下方に凸のL字状に形成され、第二アーム62は、展開車輪4の側ほど下方に位置するように傾斜して延びると共に、側面視で交差軸Pcの部分で上方に凸のL字状に形成される。
この構成によれば、第一アーム61及び第二アーム62の双方が直線状に形成される場合に比べて、調整機構6の重心位置を低くすることができ、荷物を安定して搬送することが容易となる。
【0109】
又、調整機構6が展開車輪4の展開量に応じて載置面2aの傾き及び高さを調整することで、展開車輪4の適用環境に応じて展開車輪4の展開量を変える場合であっても、載置面2aが水平に対して斜めに傾いたり、展開時の展開車輪4が天板2又は天板2上の荷物に干渉したりすることを回避できる。従って、様々な環境に応じて荷物を安定して搬送することができる。
【0110】
又、展開車輪4を補助する補助車輪5と、補助車輪5を支持する支持部材50とを備えることで、展開車輪4の展開過程で載置面2aが揺動することを抑制することができる。
又、載置面展開車輪4を前輪として機能させると共に補助車輪5を後輪として機能させることにより、載置面展開車輪4を前後輪として機能させる場合に比べて、ロボット1の構成を簡素化することができ、低コスト化を図ることができる。
【0111】
又、支持部材50の前下部には側面視で直線状の傾斜面50aが形成されることで、段差Stを乗り越える際に支持部材50が段差Stに干渉することを抑制できる。従って、段差Stを乗り越える場合であっても、荷物を安定して搬送することが容易となる。
【0112】
上記実施形態に係る荷台は、載置面2aを有する天板2と、載置面2aが水平に維持されるように載置面2aの傾きを調整すると共に、載置面2aの傾きに応じて載置面2aの高さを調整する調整機構6とを備える。
この構成によれば、調整機構6により、載置面2aが水平に維持されると共に、載置面2aの傾きに応じて載置面2aの高さが調整される。そのため、荷物を搬送する際に、載置面2aが水平に対して斜めに傾いたり、段差や障害物が天板2又は天板2上の荷物に干渉したりすることを回避できる。従って、荷物を安定して搬送することができる。
【0113】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態を、
図14及び
図15を参照して説明する。
尚、第二実施形態においては、第一実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図14は、第二実施形態に係る補助車輪5の支持部材250の左側面図である。
図14に示すように、支持部材250の前下部には側面視で湾曲状の湾曲面250aが形成される。この点で、第二実施形態は前述の第一実施形態と相違する。
【0114】
図15は、展開車輪4が段差Stを乗り越える時の展開駆動軸44の移動軌跡Arの説明図である。
図15に示すように、展開車輪4が段差Stを乗り越える時の展開駆動軸44の移動軌跡Arは、側面視で複数の円弧を描く。移動軌跡Arは、展開車輪4が一つの段差Stを乗り越える毎に、一つの円弧を描く。支持部材250の湾曲面250aは、側面視で移動軌跡Arの円弧と同じ形状とされる。
【0115】
この構成によれば、支持部材250の前下部に側面視で湾曲状の湾曲面250aが形成されることで、支持部材50の前下部に側面視で直線状の傾斜面50aが形成される場合と比べて、段差Stを乗り越える際に支持部材250が段差Stに干渉することを抑制できる。従って、段差Stを乗り越える場合であっても、荷物を安定して搬送することが容易となる。
【0116】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態を、
図16を参照して説明する。
尚、第三実施形態においては、第一実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図16は、第三実施形態に係る補助車輪5の支持部材350の左側面図である。
図16に示すように、支持部材350の前下部にはベルトコンベア355が設けられる。この点で、第三実施形態は前述の第一実施形態と相違する。
【0117】
ベルトコンベア355は、前後一対のローラ356に無端状のベルト357を巻きかけて構成される。ベルトコンベア355は、コントローラ(不図示)により制御される。
尚、ベルトコンベア355は、展開車輪4(
図15参照)から独立して駆動されてもよいし、展開車輪4に従属して駆動されてもよい。
【0118】
ベルトコンベア355には、段差St(
図15参照)に対向する位置に側面視で直線状の傾斜面355aが形成される。ベルトコンベア355の傾斜面355aは、支持部材350の前下部の傾斜面350aよりも前下方にはみ出る。
尚、ベルトコンベア355には、段差Stに対向する位置に側面視で湾曲状の湾曲面が形成されてもよい。この場合、ベルトコンベア355の湾曲面は、側面視で移動軌跡Ar(
図15参照)の円弧と同じ形状としてもよい。
【0119】
この構成によれば、支持部材350の前下部にベルトコンベア355が設けられることで、段差Stを乗り越える際に支持部材250が段差Stに干渉することを抑制できる。又、ベルトコンベア355の駆動により、支持部材350が段差Stを乗り越えることが容易となる。従って、段差Stを乗り越える場合であっても、荷物を安定して搬送することが容易となる。
【0120】
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態を、
図17及び
図18を参照して説明する。
尚、第四実施形態においては、第一実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図17は、第四実施形態に係るロボット401の左側面図であり、展開車輪4が閉状態のときの説明図である。
図17に示すように、第四実施形態は、調整機構406における駆動機構470の構成が前述の第一実施形態と相違する。又、第四実施形態においては、補助車輪5の支持部材50は、底板30の後部の下面に取り付けられる。
【0121】
駆動機構470は、リンク機構用モータ471及びスライダ機構472を備える、いわゆるリニアアクチュエータである。
リンク機構用モータ471は、コントローラ(不図示)により制御される。
【0122】
スライダ機構472は、スライダ472aと、ガイドレール472bとを備える。
ガイドレール472bは、底板30の幅方向中央で前後に直線状に延びる。ガイドレール472bは、底板30の上面に固定される。スライダ472aは、リンク機構用モータ471の駆動により、ガイドレール472bに沿って摺動する。
【0123】
図17において、ステイアーム473の他端部473bがスライダ472aに対して回動する軸(以下「スライド軸」という。)を符号Psで示す。
尚、スライド軸Psは、ロボット401の幅方向と平行である。
【0124】
ステイアーム473は、一方向に長手を有する棒状に形成される。ステイアーム473の一端部473aは、交差軸Pcを中心として軸受(不図示)に回動自在に支持される。ステイアーム473の他端部473bは、スライド軸Psを中心としてスライダ472aに回動自在に支持される。ステイアーム473の他端部473bは、スライダ472aによりガイドレール472bに沿って移動可能とされる。
【0125】
[ロボットの動作]
以下、ロボット401の動作について、
図18を参照して説明する。
図18は、第四実施形態に係るロボット401の左側面図であり、展開車輪4が全展開状態のときの説明図である。
図18に示すように、展開車輪4の転動爪体41は、展開用モータ34(
図3参照)の駆動により径方向外側に向けて展開されている。
【0126】
以下、調整機構406による天板2の載置面2aの傾き及び高さの変更動作について、一例を挙げて説明する。
図18に示すように、リンク機構用モータ471の駆動により、スライダ472aがガイドレール472bに沿って矢印D3の方向に移動すると、ステイアーム473の他端部473bがスライド軸Psを中心に矢印U3の方向に回動する。ステイアーム473の他端部473bの矢印U3の方向への回動により、ステイアーム473は
図18の側面視で前上方に傾斜するように
図17の状態よりも急峻に立ち上がる。
【0127】
又、スライダ472aがガイドレール472bに沿って矢印D3の方向に移動すると、第一アーム61は交差軸Pcを介してステイアーム473から力を受け、第一アーム61の一端部61aが第一軸P1を中心に矢印U4の方向に回動する。第一アーム61の一端部61aの矢印U4の方向への回動により、第一スライダ74aが第一ガイドレール74bに沿って矢印D1の方向に移動すると共に、第一アーム61は
図18の側面視で前上方に傾斜するように
図17の状態よりも急峻に立ち上がる。
【0128】
又、スライダ472aがガイドレール472bに沿って矢印D3の方向に移動すると、第二アーム62は交差軸Pcを介してステイアーム473から力を受け、第二アーム62の一端部62aが第三軸P3を中心に矢印U2の方向に回動する。第二アーム62の一端部62aの矢印U2の方向への回動により、第二スライダ75aが第二ガイドレール75bに沿って矢印D2の方向に移動すると共に、第二アーム62は
図18の側面視で第一アーム61とX字状に交差しつつ立ち上がる。
【0129】
天板2の載置面2aは、上述した調整機構406の動作により、展開車輪4の展開過程で水平に維持されると共に展開車輪4と離反されている。これにより、展開車輪4を展開しても、載置面2aが水平に対して斜めに傾いたり、展開時の展開車輪4が天板2又は天板2上の荷物(不図示)に干渉したりすることが抑制することができる。
【0130】
尚、ロボット1の動作は、遠隔操作による展開用モータ34、走行用モータ35及びリンク機構用モータ471の何れを制御してもよい。
【0131】
この構成によれば、調整機構406により、展開車輪4の展開過程で、載置面2aが水平に維持されると共に、展開車輪4と載置面2aとが離反される。そのため、段差や障害物を乗り越える際に展開車輪4を展開する場合であっても、載置面2aが水平に対して斜めに傾いたり、展開時の展開車輪4が天板2又は天板2上の荷物に干渉したりすることを回避できる。従って、荷物を安定して搬送することができる。
【0132】
又、補助車輪5を底板30の後部の下方に配置することにより、補助車輪5を底板30の後方に配置する場合に比べてホイールベースが短くなるため、旋回走行性が向上する。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0134】
例えば、展開用及びリンク機構用のアクチュエータは、ピストン・シリンダ機構などで構成してもよい。
又、転動爪体を手動により展開させてもよい。
又、転動爪体を閉方向又は展開方向へ付勢するスプリング等の付勢部材を設けてもよい。