(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶縁ケース内の前記アーク消弧空間に連通する位置に、前記第2ローレンツ力の作用により移動した前記アークが入り込むアーク延長空間を設けたことを特徴とする請求項1記載の電磁接触器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、同一構成部分には同一符号を付してその説明は省略する。
[第1実施形態]
図1から
図3に示す本発明に係る第1実施形態の電磁接触器1は、接点機構2と、この接点機構2を駆動する電磁石ユニット20とを備えている。
【0010】
接点機構2は接点収納ケース4に収納されており、接点収納ケース4は、金属製の角筒体5と、この角筒体5の上端を閉塞する例えばセラミックや合成樹脂材などの絶縁材料により形成した絶縁基板6と、角筒体5の内側に配置され絶縁基板6の下面に接合している有底角筒状の絶縁筒部18とを備えている。絶縁筒部18は、絶縁性の例えば合成樹脂を成形することによって形成され、金属製の角筒体5に対するアークの影響を遮断する絶縁機能を有する。
【0011】
角筒体5は、下部に形成したフランジ部7が電磁石ユニット20の上部磁気ヨーク21にシール接合されて固定されている。絶縁基板6には、貫通孔9,10が所定間隔をあけて形成されている。
接点機構2は、絶縁基板6に導体部11,12を介して固定されている一対の固定接触子13,14(以下、第1固定接触子13、第2固定接触子14と称する)と、これら第1及び第2固定接触子13,14に設けた第1及び第2固定接点13a,14aに第1及び第2可動接点15a,15bが対向している可動接触子15とを備えている。
【0012】
可動接触子15は、電磁石ユニット20の可動プランジャ22に固定された連結軸23に支持されており、可動接触子15の中央部に連結軸23を挿通する貫通孔24が形成されている。
連結軸23の長手方向の中央部には外方に突出するフランジ部25が形成されており、可動接触子15の貫通孔24に連結軸23を上端から挿入することで、可動接触子15の中央下部をフランジ部25に当接し、連結軸23の上部から接触スプリング26を挿入する。そして、連結軸23の上端側にCリング(又はEリング)27aを介して固定されたスプリング受け27で接触スプリング26の上端を固定することで、接触スプリング26が可動接触子15に対して所定の付勢力を付与している。
【0013】
電磁石ユニット20は、側面から見て扁平なU字形状の磁気ヨーク28を有し、この磁気ヨーク28の底板部の中央部に固定プランジャ29が配置され、この固定プランジャ29の外側にスプール30が配置されている。
スプール30は、固定プランジャ29を挿通する中央円筒部31と、この中央円筒部31の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部32と、中央円筒部31の上端より僅かに下側から半径方向外方に突出する上フランジ部33とで構成されている。そして、中央円筒部31、下フランジ部32及び上フランジ部33で構成される収納空間に励磁コイル34が巻装されている。
【0014】
磁気ヨーク28の開放端となる上端に固定した上部磁気ヨーク21には、中央部にスプール30の中央円筒部31に対向する貫通孔21aが形成されている。
スプール30の中央円筒部31内に挿入された固定プランジャ29の上部には、有底筒状に形成されたキャップ35で覆われ、このキャップ35の開放端に半径方向外方に延長して形成されたフランジ部35aが上部磁気ヨーク21の下面にシール接合されている。これによって、キャップ35が上部磁気ヨーク21の貫通孔21aを介して連通される密封容器が形成される。
【0015】
キャップ35の内部に、最下部に復帰スプリング36を配置した可動プランジャ22が上下に摺動可能に挿入される。この可動プランジャ22には、上部磁気ヨーク21から上方に突出する上端部に半径方向外方に突出する周鍔部22aが形成されている。
また、上部磁気ヨーク21の上面に、環状に形成された駆動用永久磁石37が可動プランジャ22の周鍔部22aを囲むように固定されている。この駆動用永久磁石37は上下方向すなわち厚み方向に例えば上端側をN極とし、下端側をS極とするように着磁されている。
【0016】
駆動用永久磁石37の上端面に、駆動用永久磁石37と同一外形で可動プランジャ22の周鍔部22aの外径より小さい内径の貫通孔38を有する補助ヨーク39が固定されており、この補助ヨーク39の下面に、可動プランジャ22の周鍔部22aが接触している。
そして、密閉された接点収納ケース4にアーク消弧用の様々なガスが封入されている。
【0017】
接点機構2を構成する可動接触子15は、導電性のある材料とした
図1の左右方向に長尺な導電板であり、長手方向の中央部に連結軸23が連結されており、長手方向の両端側の下面に、第1可動接点15a及び第2可動接点15bが形成されている。
接点機構2を構成する第1固定接触子13及び第2固定接触子14は、
図1から
図3に示すように、導電性のある材料からなる側面視C字形状の導電板であり、可動接触子15の長手方向の両端側に離間し、前述した絶縁基板6に導体部11,12を介して固定されている。
【0018】
第1固定接触子13は、可動接触子15の第1可動接点15a側に長手方向の一方の端部に配置されており、可動接触子15の第1可動接点15aに下側から対向し、第1固定接点13aを上面に設けた第1導電板部13bと、可動接触子15から離れた第1導電板部13bの端部から折り曲げられて上方に延在している第2導電板部13cと、第2導電板部13cの上端から折り曲げられて可動接触子15の上方に延在している第3導電板部13dと、を備えている。
【0019】
第2固定接触子14は、可動接触子15の第2可動接点15b側に長手方向の他方の端部に配置されており、可動接触子15の第2可動接点15bに下側から対向し、第2固定接点14aを上面に設けた第1導電板部14bと、可動接触子15から離れた第1導電板部14bの端部から折り曲げられて上方に延在している第2導電板部14cと、第2導電板部14cの上端から折り曲げられて可動接触子15の上方に延在している第3導電板部14dと、を備えている。
【0020】
第1固定接触子13には、アークの発生を規制する合成樹脂製の絶縁カバー16が装着され、第2固定接触子13にも、アークの発生を規制する合成樹脂製の絶縁カバー17が装着されている。これにより、第1固定接触子13の内周面では、第1固定接点13aのみが露出し、第2固定接触子14の内周面では、第2固定接点14aのみが露出している。
【0021】
また、第1固定接触子13の第2導電板部13cの内側面及び第2定接触子14の第2導電板部14cの内側面を覆うように、平面から見てC字状の磁性体板19a,19bが装着されている。これにより、第1導電板部13b、14bを流れる電流によって発生する磁場をシールドすることができる。
可動接触子15は、釈放状態で、長手方向の両端側に位置する可動接点15a,15aと、固定接触子13,14の固定接点13a,14aが、所定間隔を保って離間した状態となる。
【0022】
また、可動接触子15は、投入位置で、可動接点15a,15bが、固定接触子13,14の固定接点13a,14aに、接触スプリング26による所定の接触圧で接触するように設定されている。
図2に示すように、接点収納ケース4を構成する角筒体5の外周に、互いに対向する磁極面をS極とした第1,第2アーク消弧用永久磁石40,41が配置されている。
【0023】
角筒体5の外側には、第1,第2アーク消弧用永久磁石40,41を内壁に固定する金属製の矩形状の磁石支持体60が配置されており、磁石支持体60は、接点機構2及び電磁石ユニット20を覆う電磁接触器カバー50の内壁に固定されている(
図1参照)。
第1アーク消弧用永久磁石40は、可動接触子15の幅方向の一方の側面15cに角筒体5及び絶縁筒部18を介して対向し、可動接触子15の長手方向側の一方の端部40aが一方の可動接点15aの近くに位置し、可動接触子15の長手方向側の他方の端部40bが他方の可動接点15aの近くに位置するように磁石支持体60に固定されている。
【0024】
第2アーク消弧用永久磁石41は、可動接触子15の幅方向の他方の側面15dに角筒体5及び絶縁筒部18を介して対向し、可動接触子15の長手方向側の一方の端部41aが一方の可動接点15aの近くに位置し、可動接触子15の長手方向側の他方の端部41bが他方の可動接点15aの近くに位置するように磁石支持体60に固定されている。
これら第1及び第2アーク消弧用永久磁石40,41は、厚み方向の角筒体5に対向する磁極面がN極となるように着磁されている。
【0025】
また、絶縁筒部18の底部には、可動接触子15の幅方向の一方の側面15cに沿って第1固定接点13a及び第2固定接点14aの間に第1内壁61が形成され、可動接触子15の幅方向の他方の側面15dに沿って第1固定接点13a及び第2固定接点14aの間に第2内壁62が形成されている。
そして、
図2に示すように、絶縁筒部18の内部に、可動接触子15の長手方向両端部(第1固定接点13a及び第1可動接点15aの接続位置、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの接続位置)から可動接触子15の幅方向の外方に向う位置に、第1〜第4アーク消弧空間42〜45が設けられている。
【0026】
また、第1内壁61と絶縁筒部18の側壁18aとの間に、可動接触子15の長手方向に延在して第1及び第2アーク消弧空間42,43に連通する第1アーク延長空間46が形成され、絶縁筒部18の第2内壁62と絶縁筒部18の側壁18bとの間に、可動接触子15の長手方向に延在して第3及び第4アーク消弧空間44,45に連通する第2アーク延長空間47が形成されている。
【0027】
ここで、
図3は、第1アーク消弧用永久磁石40の磁束の発生状態を模式的に示した図であり、第1アーク消弧用永久磁石40のN極の磁極面から出て裏面のS極の磁極面にループ状に流れる磁束のうち外側の磁束をφ1とし、両端部40a,40bにおいてN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んでいる内側の磁束をφ2とする。なお、第2アーク消弧用永久磁石41も、N極の磁極面から出て裏面のS極の磁極面にループ状に流れる磁束のうち外側の磁束をφ1とし、両端部41a,41bにおいてN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んでいる内側の磁束をφ2とする。
【0028】
そして、
図2に示すように、第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1は、第1固定接点13aと第1可動接点15aとの対向部の近くを通過して左右方向の左側に向って大きな磁束密度で横切るとともに、第2固定接点14aと第2可動接点15bとの対向部の近くを通過して左右方向の右側に向って大きな磁束密度で横切る。
また、第1アーク消弧用永久磁石40の両端部40a,40bの内側の磁束φ2は、第1アーク消弧空間42及び第1アーク延長空間46の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生するとともに、第2アーク消弧空間43及び第1アーク延長空間46の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生する。
【0029】
また、第2アーク消弧用永久磁石41の外側の磁束φ1は、第1固定接点13aと第1可動接点15aとの対向部の近くを通過して左右方向の左側に向って大きな磁束密度で横切るとともに、第2固定接点14aと第2可動接点15bとの対向部の近くを通過して左右方向の右側に向って大きな磁束密度で横切る。
また、第2アーク消弧用永久磁石41の両端部41a,41bの内側の磁束φ2は、第3アーク消弧空間44及び第2アーク延長空間47の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生するとともに、第4アーク消弧空間45及び第2アーク延長空間47の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生する。
【0030】
次に、第1実施形態の電磁接触器1の動作を、
図1から
図4を参照して説明する。
この第1実施形態の電磁接触器1は、第1固定接触子13に正極(+)端子を接続し、第2固定接触子14に負極(−)端子を接続している。
今、
図1に示すように、電磁石ユニット20の励磁コイル34が無励磁状態にあって、電磁石ユニット20で可動プランジャ22を下降させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。
【0031】
この釈放状態では、可動プランジャ22が復帰スプリング36によって、上部磁気ヨーク21から離れる上方向に付勢される。これと同時に、駆動用永久磁石37の磁力による吸引力が補助ヨーク39に作用し、可動プランジャ22の周鍔部22aが吸引される。このため、可動プランジャ22の周鍔部22aの上面が補助ヨーク39の下面に接触している。
【0032】
このため、可動プランジャ22に連結軸23を介して連結されている接点機構2の可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに対して上方に所定距離だけ離間している。このため、第1固定接触子13及び第2固定接触子14の間の電流路が遮断状態にあり、接点機構2が開極状態となっている。
【0033】
この釈放状態から、電磁石ユニット20の励磁コイル34に通電すると、この電磁石ユニット20で励磁力が発生し、可動プランジャ22を復帰スプリング36の付勢力及び駆動用永久磁石37の吸引力に抗して下方に押し下げる。この可動プランジャ22の下降が、周鍔部22aの下面が上部磁気ヨーク21の上面に当たることで停止する。
このように、可動プランジャ22が下降することにより、可動プランジャ22に連結軸23を介して連結されている可動接触子15も下降し、接点機構2の可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに対して接触スプリング26の接触圧で接触する。
【0034】
このため、電力供給源の大電流が、第1固定接触子13、可動接触子15、第2固定接触子14を通じて負荷装置に供給される閉極状態となる。
この接点機構2の閉極状態から、負荷装置への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット20の励磁コイル34への励磁を停止する。
励磁コイル34への励磁を停止すると、電磁石ユニット20で可動プランジャ22を下方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ22が復帰スプリング36の付勢力によって上昇し、周鍔部22aが補助ヨーク39に近づくに従って駆動用永久磁石37の吸引力が増加する。
【0035】
この可動プランジャ22が上昇することにより、連結軸23を介して連結された可動接触子15が上昇する。これに応じて接触スプリング26で接触圧を与えているときは、可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに接触している。その後、接触スプリング26の接触圧がなくなった時点で、可動接触子15が第1固定接触子13及び第2固定接触子14から上方に離間する開極開始状態となる。
【0036】
このような開極開始状態となると、
図2に示すように、可動接触子15の第1可動接点15aと第1固定接触子13の第1固定接点13aとの間に第1アーク(不図示)が発生し、可動接触子15の第2可動接点15bと第2固定接触子14の第2固定接点14aとの間に第2アーク(不図示)が発生し、これらのアークによって電流の通電状態が継続されることになる。このとき、第1アークの電流方向は、第1固定接点13aから第1可動接点15aに向う方向であり、第2アークの電流方向は、第2可動接点15bから第2固定接点14aに向う方向である。
【0037】
第1固定接触子13の第1固定接点13aと可動接触子15の第1可動接点15aとの間では、
図4に示すように、第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1と、第2アーク消弧用永久磁石41の外側の磁束φ1とが、第1アークの近くを通過して可動接触子15の長手方向の一方の側面15cの外方に向って発生する。
これにより、第1アークの電流の流れと外側の磁束φ1との関係からフレミング左手の法則により、可動接触子15の幅方向の一方の側面15c側の第1アーク消弧空間42に向う側にローレンツ力F1が発生する(
図4参照)。
【0038】
このローレンツ力F1によって、第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間に発生した第1アークが、第1アーク消弧空間42に向けて引き延ばされる。
そして、第1アーク消弧空間42に向けて引き伸ばされた第1アークは、第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2が第1アーク消弧空間42及び第1アーク延長空間46の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生しているので、第1アークの電流の流れと内側の磁束φ2との関係からフレミング左手の法則により、ローレンツ力F2とは異なる方向の第1アーク延長空間46に向う側にローレンツ力F2が発生する。そして、このローレンツ力F2によって、第1アーク消弧空間42に引き延ばされた第1アークは、第1アーク延長空間46に入り込んでさらに引き延ばされる。
【0039】
また、第2固定接触子14の第2固定接点14aと可動接触子15の第2可動接点15bとの間では、第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1と、第2アーク消弧用永久磁石41の外側の磁束φ1とが、第2アークの近くを通過して可動接触子15の長手方向の一方の側面15cの外方に向って発生する。
これにより、第2アークの電流の流れと外側の磁束φ1との関係からフレミング左手の法則により、可動接触子15の幅方向の一方の側面15c側の第2アーク消弧空間43に向う側に大きなローレンツ力F3が発生する。
【0040】
このローレンツ力F3によって、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間に発生した第2アークが、第2アーク消弧空間43に向けて引き延ばされる。
そして、第2アーク消弧空間43に向けて引き伸ばされた第2アークは、第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2が第2アーク消弧空間43及び第1アーク延長空間46の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生しているので、第2アークの電流の流れと内側の磁束φ2との関係からフレミング左手の法則により、ローレンツ力F3とは異なる方向の第1アーク延長空間46に向う側にローレンツ力F4が発生する。そして、このローレンツ力F4によって、第2アーク消弧空間43に引き延ばされた第2アークは、第1アーク延長空間46に入り込んでさらに引き延ばされる。
【0041】
ここで、本発明の絶縁ケースが絶縁基板6及び絶縁筒部18に対応し、本発明の固定接点が第1固定接点13aと第2固定接点14aに対応し、本発明の一対の可動接点が第1可動接点15a,第2可動接点15bに対応し、本発明のアーク消弧空間が、第1〜第4アーク消弧空間42〜45に対応し、本発明の第1磁束が外側の磁束φ1に対応し、本発明の第1ローレンツ力がローレンツ力F1,F3に対応し、本発明の第2ローレンツ力がローレンツ力F2,F4に対応し、本発明の第2磁束が内側の磁束φ2に対応し、本発明のアーク延長空間が第1アーク延長空間46及び第2アーク延長空間47に対応している。
【0042】
次に、この第1実施形態の作用効果について説明する。
この第1実施形態によると、開極開始状態において第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間に第1アークが発生し、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間に第2アークが発生する。
第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1と第1アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F1の作用により第1アーク消弧空間42に引き延ばされた第1アークは、第1アーク消弧空間42及び第1アーク延長空間46の連通位置の近傍で発生する第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2と第1アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F2を受ける。このローレンツ力F2は第1アーク延長空間46に向う力であり、第1アークは、第1アーク延長空間46に入り込んでさらに引き延ばされていく。
【0043】
また、第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1と第2アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F3の作用により第2アーク消弧空間43に引き延ばされた第2アークは、第2アーク消弧空間43及び第1アーク延長空間46の連通位置の近傍で発生する第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2と第2アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F4を受ける。このローレンツ力F4は第1アーク延長空間46に向う力であり、第2アークは、第1アーク延長空間46に入り込んでさらに引き延ばされていく。
【0044】
これにより、この第1実施形態では、大電流の遮断時に、第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間で発生した第1アークが第1アーク消弧空間42及び第1アーク延長空間46で十分にひき延ばされ、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間で発生した第2アークが第2アーク消弧空間43及び第1アーク延長空間46で十分にひき延ばされるので、アーク消弧機能を確実に発揮することができる。
【0045】
また、第1アーク延長空間46及び第2アーク延長空間47を、絶縁筒部18の側壁18a,18bに沿って可動接触子15の長手方向に設けたことで、アークの引き延ばしを十分に行なう構造にしても大きなアーク消弧空間を設ける必要がなく、小型化を図った電磁接触器1を提供することができる。
また、電磁接触器1は、アークが発生すると第1固定接点13a及び第1可動接点15a、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの温度が上昇することで固定接点及び可動接点が溶融して金属蒸気が発生する。この際、この第1実施形態では、発生した金属蒸気が第1アーク延長空間46及び第2アーク延長空間47に分散することで、第1アーク消弧空間42、第2アーク消弧空間43で充満するのを抑制し、第1アーク及び第2アークの消弧性能が低下するのを防止するとともに、第1固定接点13a及び第1可動接点15a、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間の絶縁性能が劣化して再発弧するのを防止することができる。これにより、アーク発生時間の短縮による寿命性能を向上させることができる。
【0046】
ここで、第1実施形態の電磁接触器1の第1固定接触子13に負極(−)端子を接続し、第2固定接触子14に正極(+)端子を接続すると、開極開始状態において第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間の第1アークは第3アーク消弧空間44側に引き延ばされ、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間の第2アークは第4アーク消弧空間45側に引き延ばされる。
【0047】
そして、第1アークは、第3アーク消弧空間44及び第2アーク延長空間47の連通位置の近傍で発生する第2アーク消弧用永久磁石41の内側の磁束φ2と第1アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力を受け、第2アーク延長空間47に入り込んでさらに引き延ばされていく。
また、第2アークは、第4アーク消弧空間45及び第2アーク延長空間47の連通位置の近傍で発生する第2アーク消弧用永久磁石41の内側の磁束φ2と第2アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力を受け、第2アーク延長空間47に入り込んでさらに引き延ばされていく。
【0048】
これにより、大電流の遮断時に、第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間で発生した第1アークが第3アーク消弧空間44及び第2アーク延長空間47で十分にひき延ばされ、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間で発生した第2アークが第4アーク消弧空間45及び第2アーク延長空間47で十分にひき延ばされるので、小型化を図りながらアーク消弧機能を確実に発揮することができるとともに、金属蒸気の充満を抑制してアーク発生時間の短縮を図ることができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、
図5は、本発明に係る第2実施形態の電磁接触器1を構成する接点機構80を平面視で示したものである。なお、
図2で示した第1実施形態の接点機構2と同一構成部分には、同一符号を付してその説明は省略する。
この第2実施形態の接点機構80を構成する第1アーク消弧用永久磁石40は、可動接触子15の長手方向の中央位置を分割位置とした2つの永久磁石81,82で構成され、第2アーク消弧用永久磁石41は、可動接触子15の長手方向の中央位置を分割位置とした2つの永久磁石83,84で構成されている。
【0050】
第1アーク消弧用永久磁石40を構成する2つの永久磁石81,82も可動接触子15を向く磁極面をN極とし、第2アーク消弧用永久磁石41を構成する2つの永久磁石83,84も可動接触子15を向く磁極面をN極として金属製の磁石支持体60の内壁に固定されている。
【0051】
この第2実施形態の電磁接触器1によると、開極開始状態において第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間に第1アークが発生し、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間に第2アークが発生すると、第1アーク消弧用永久磁石40を構成する永久磁石81,82の外側の磁束φ1と第1アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F1の作用により第1アーク消弧空間42に引き延ばされた第1アークは、第1アーク消弧空間42及び第1アーク延長空間46の連通位置の近傍で発生する第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2と第1アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F2を受ける。このローレンツ力F2は第1アーク延長空間46に向う力であり、第1アークは、第1アーク延長空間46に入り込んでさらに引き延ばされていく。
【0052】
また、永久磁石81,82の外側の磁束φ1と第2アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F3の作用により第2アーク消弧空間43に引き延ばされた第2アークは、第2アーク消弧空間43及び第1アーク延長空間46の連通位置の近傍で発生する第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2と第2アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F4を受ける。このローレンツ力F4は第1アーク延長空間46に向う力であり、第2アークは、第1アーク延長空間46に入り込んでさらに引き延ばされていく。
【0053】
このように、この第2実施形態も、大電流の遮断時に、第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間で発生した第1アークが第1アーク消弧空間42及び第1アーク延長空間46で十分にひき延ばされ、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間で発生した第2アークが第2アーク消弧空間43及び第1アーク延長空間46で十分にひき延ばされるので、アーク消弧機能を確実に発揮することができる。
【0054】
なお、第2実施形態の電磁接触器1の第1固定接触子13に負極(−)端子を接続し、第2固定接触子14に正極(+)端子を接続すると、開極開始状態において第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間の第1アークは第3アーク消弧空間44側に引き延ばされ、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間の第2アークは第4アーク消弧空間45側に引き延ばされ、第1アークは、第3アーク消弧空間44及び第2アーク延長空間47の連通位置の近傍で発生する第2アーク消弧用永久磁石41を構成する2つの永久磁石83,84の内側の磁束φ2と第1アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力を受け、第2アーク延長空間47に入り込んでさらに引き延ばされていく。
【0055】
また、第2アークは、第4アーク消弧空間45及び第2アーク延長空間47の連通位置の近傍で発生する永久磁石83,84の内側の磁束φ2と第2アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力を受け、第2アーク延長空間47に入り込んでさらに引き延ばされていく。
これにより、大電流の遮断時に、第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間で発生した第1アークが第3アーク消弧空間44及び第2アーク延長空間47で十分にひき延ばされ、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間で発生した第2アークが第4アーク消弧空間45及び第2アーク延長空間47で十分にひき延ばされるので、小型化を図りながらアーク消弧機能を確実に発揮することができるとともに、金属蒸気の充満を抑制してアーク発生時間の短縮を図ることができる。
【0056】
[第3実施形態]
次に、
図6は、本発明に係る第3実施形態の電磁接触器1を構成する接点機構90を平面視で示したものである。なお、この第3実施形態も、
図1から
図4で示した第1実施形態の電磁接触器1と同一構成部分には、同一符号を付してその説明は省略する。
この第3実施形態では、接点収納ケース4を構成する角筒体5の内部に、互いに対向する磁極面をS極とした第1,第2アーク消弧用永久磁石40,41が配置されている。
絶縁筒部18の底部には、可動接触子15の幅方向の一方の側面15cに長尺方向が沿っている矩形状の空間を有する第1磁石収納部91が形成され、可動接触子15の幅方向の他方の側面15cに長尺方向が沿っている矩形状の空間を有する第2磁石収納部92が形成されており、第1磁石収納部91の空間に第1アーク消弧用永久磁石40が収納され、第2磁石収納部92の空間に第2アーク消弧用永久磁石41が収納されている。
【0057】
これら第1及び第2アーク消弧用永久磁石40,41は、可動接触子15に対向する磁極面がN極となるように着磁されている。
また。絶縁筒部18の内部の可動接触子15の長手方向両端部から可動接触子15の幅方向の外方に向う位置に、第1〜第4アーク消弧空間93〜96が設けられている。
また、第1磁石収納部91の壁と絶縁筒部18の側壁18aとの間に、可動接触子15の長手方向に延在して第1及び第2アーク消弧空間93,94に連通する第1アーク延長空間97が形成され、第2磁石収納部92の壁と絶縁筒部18の側壁18bとの間に、可動接触子15の長手方向に延在して第3及び第4アーク消弧空間95,96に連通する第2アーク延長空間98が形成されている。
【0058】
そして、第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1は、第1固定接点13aと第1可動接点15aとの対向部の近くを通過して左右方向の左側に向って大きな磁束密度で横切るとともに、第2固定接点14aと第2可動接点15bとの対向部の近くを通過して左右方向の右側に向って大きな磁束密度で横切る。
また、第1アーク消弧用永久磁石40の両端部40a,40bの内側の磁束φ2は、第1アーク消弧空間93及び第1アーク延長空間97の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生するとともに、第2アーク消弧空間94及び第1アーク延長空間97の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生する。
【0059】
また、第2アーク消弧用永久磁石41の外側の磁束φ1は、第1固定接点13aと第1可動接点15aとの対向部の近くを通過して左右方向の左側に向って大きな磁束密度で横切るとともに、第2固定接点14aと第2可動接点15bとの対向部の近くを通過して左右方向の右側に向って大きな磁束密度で横切る。
また、第2アーク消弧用永久磁石41の両端部41a,41bの内側の磁束φ2は、第3アーク消弧空間95及び第2アーク延長空間98の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生するとともに、第4アーク消弧空間96及び第2アーク延長空間47の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生する。
【0060】
次に、第3実施形態の電磁接触器1の動作を説明する。
この第3実施形態の電磁接触器1は、第1固定接触子13に正極(+)端子を接続し、第2固定接触子14に負極(−)端子を接続しているものとする。
この第3実施形態の電磁接触器1は、電力供給源の大電流が、第1固定接触子13、可動接触子15、第2固定接触子14を通じて負荷装置に供給される閉極状態となると、電磁石ユニット20の励磁コイル34への励磁を停止する。
【0061】
励磁コイル34への励磁を停止すると、電磁石ユニット20で可動プランジャ22を下方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ22が復帰スプリング36の付勢力によって上昇し、周鍔部22aが補助ヨーク39に近づくに従って駆動用永久磁石37の吸引力が増加する。
この可動プランジャ22が上昇することにより、連結軸23を介して連結された可動接触子15が上昇する。これに応じて接触スプリング26で接触圧を与えているときは、可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに接触している。その後、接触スプリング26の接触圧がなくなった時点で、可動接触子15が第1固定接触子13及び第2固定接触子14から上方に離間する開極開始状態となる。
【0062】
このような開極開始状態となると、可動接触子15の第1可動接点15aと第1固定接触子13の第1固定接点13aとの間に第1アーク(不図示)が発生し、可動接触子15の第2可動接点15bと第2固定接触子14の第2固定接点14aとの間に第2アーク(不図示)が発生し、これらのアークによって電流の通電状態が継続されることになる。
第1固定接触子13の第1固定接点13aと可動接触子15の第1可動接点15aとの間では、
図6に示すように、第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1と、第2アーク消弧用永久磁石41の外側の磁束φ1とが、第1アークの近くを通過して可動接触子15の長手方向の一方の側面15cの外方に向って発生する。
【0063】
これにより、第1アークの電流の流れと外側の磁束φ1との関係からフレミング左手の法則により、可動接触子15の幅方向の一方の側面15c側の第1アーク消弧空間93に向う側にローレンツ力F5が発生する。
このローレンツ力F5によって、第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間に発生した第1アークが、第1アーク消弧空間93に向けて引き延ばされる。
【0064】
そして、第1アーク消弧空間93に向けて引き伸ばされた第1アークは、第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2が第1アーク消弧空間93及び第1アーク延長空間97の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生しているので、第1アークの電流の流れと内側の磁束φ2との関係からフレミング左手の法則により、ローレンツ力F5とは異なる方向の第1アーク延長空間97に向う側にローレンツ力F6が発生する。そして、このローレンツ力F6によって、第1アーク消弧空間93に引き延ばされた第1アークは、第1アーク延長空間97に入り込んでさらに引き延ばされる。
【0065】
また、第2固定接触子14の第2固定接点14aと可動接触子15の第2可動接点15bとの間では、第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1と、第2アーク消弧用永久磁石41の外側の磁束φ1とが、第2アークの近くを通過して可動接触子15の長手方向の一方の側面15cの外方に向って発生する。
これにより、第2アークの電流の流れと外側の磁束φ1との関係からフレミング左手の法則により、可動接触子15の幅方向の一方の側面15c側の第2アーク消弧空間94に向う側に大きなローレンツ力F7が発生する。
【0066】
このローレンツ力F7によって、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間に発生した第2アークが、第2アーク消弧空間94に向けて引き延ばされる。
そして、第2アーク消弧空間94に向けて引き伸ばされた第2アークは、第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2が第2アーク消弧空間94及び第1アーク延長空間97の連通位置の近傍でN極の磁極面から裏面のS極の磁極面に回り込んで発生しているので、第2アークの電流の流れと内側の磁束φ2との関係からフレミング左手の法則により、ローレンツ力F7とは異なる方向の第1アーク延長空間97に向う側にローレンツ力F8が発生する。そして、このローレンツ力F8によって、第2アーク消弧空間94に引き延ばされた第2アークは、第1アーク延長空間97に入り込んでさらに引き延ばされる。
【0067】
ここで、本発明の絶縁ケースが絶縁基板6及び絶縁筒部18に対応し、本発明の固定接点が第1固定接点13aと第2固定接点14aに対応し、本発明の一対の可動接点が第1可動接点15a,第2可動接点15bに対応し、本発明のアーク消弧空間が、第1〜第4アーク消弧空間93〜96に対応し、本発明の第1磁束が外側の磁束φ1に対応し、本発明の第1ローレンツ力がローレンツ力F5,F7に対応し、本発明の第2ローレンツ力がローレンツ力F6,F8に対応し、本発明の第2磁束が内側の磁束φ2に対応し、本発明のアーク延長空間が第1アーク延長空間97及び第2アーク延長空間98に対応している。
【0068】
次に、この第3実施形態の作用効果について説明する。
この第3実施形態によると、開極開始状態において第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間に第1アークが発生し、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間に第2アークが発生する。
第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1と第1アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F5の作用により第1アーク消弧空間93に引き延ばされた第1アークは、第1アーク消弧空間93及び第1アーク延長空間97の連通位置の近傍で発生する第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2と第1アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F6を受ける。このローレンツ力F6は第1アーク延長空間97に向う力であり、第1アークは、第1アーク延長空間97に入り込んでさらに引き延ばされていく。
【0069】
また、第1アーク消弧用永久磁石40の外側の磁束φ1と第2アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F3の作用により第2アーク消弧空間94に引き延ばされた第2アークは、第2アーク消弧空間94及び第1アーク延長空間97の連通位置の近傍で発生する第1アーク消弧用永久磁石40の内側の磁束φ2と第2アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力F8を受ける。このローレンツ力F8は第1アーク延長空間97に向う力であり、第2アークは、第1アーク延長空間97に入り込んでさらに引き延ばされていく。
【0070】
これにより、この第3実施形態では、大電流の遮断時に、第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間で発生した第1アークが第1アーク消弧空間93及び第1アーク延長空間97で十分にひき延ばされ、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間で発生した第2アークが第2アーク消弧空間94及び第1アーク延長空間97で十分にひき延ばされるので、アーク消弧機能を確実に発揮することができる。
【0071】
また、第1アーク延長空間97及び第2アーク延長空間98を、絶縁筒部18の側壁18a,18bに沿って可動接触子15の長手方向に設けたことで、アークの引き延ばしを十分に行なう構造にしても大きなアーク消弧空間を設ける必要がなく、小型化を図った電磁接触器1を提供することができる。
また、この第3実施形態では、絶縁筒部18の底部に設けた第1磁石収納部91及び第2磁石収納部92に第1及び第2アーク消弧用永久磁石40,41が収納されているので、接点機構90の小型化を図ることができる。
【0072】
そして、この第3実施形態では、第1実施形態の
図2で示したような磁石支持体60が不要となり、角筒体5の外周には、外形寸法の小さな電磁接触器カバー50が配置されるので、電磁接触器1の小型化を図ることができる。
そして、第3実施形態も、アークが発生すると第1固定接点13a及び第1可動接点15a、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの温度が上昇することで固定接点及び可動接点が溶融して金属蒸気が発生するが、発生した金属蒸気が第1アーク延長空間97及び第2アーク延長空間98に分散することで、第1アーク消弧空間93、第2アーク消弧空間94で充満するのを抑制し、第1アーク及び第2アークの消弧性能が低下するのを防止するとともに、第1固定接点13a及び第1可動接点15a、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間の絶縁性能が劣化して再発弧するのを防止することができる。これにより、アーク発生時間の短縮による寿命性能を向上させることができる。
【0073】
ここで、第3実施形態の電磁接触器1の第1固定接触子13に負極(−)端子を接続し、第2固定接触子14に正極(+)端子を接続すると、開極開始状態において第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間の第1アークは第3アーク消弧空間95側に引き延ばされ、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間の第2アークは第4アーク消弧空間96側に引き延ばされる。
【0074】
そして、第1アークは、第3アーク消弧空間95及び第2アーク延長空間98の連通位置の近傍で発生する第2アーク消弧用永久磁石41の内側の磁束φ2と第1アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力を受け、第2アーク延長空間98に入り込んでさらに引き延ばされていく。
また、第2アークは、第4アーク消弧空間96及び第2アーク延長空間98の連通位置の近傍で発生する第2アーク消弧用永久磁石41の内側の磁束φ2と第2アークの電流の流れとの関係によるローレンツ力を受け、第2アーク延長空間98に入り込んでさらに引き延ばされていく。
【0075】
これにより、大電流の遮断時に、第1固定接点13a及び第1可動接点15aの間で発生した第1アークが第3アーク消弧空間95及び第2アーク延長空間98で十分にひき延ばされ、第2固定接点14a及び第2可動接点15bの間で発生した第2アークが第4アーク消弧空間96及び第2アーク延長空間98で十分にひき延ばされるので、小型化を図りながらアーク消弧機能を確実に発揮することができるとともに、金属蒸気の充満を抑制してアーク発生時間の短縮を図ることができる。