特許第6455281号(P6455281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6455281
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】工事用開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/48 20060101AFI20190110BHJP
   H01H 33/53 20060101ALI20190110BHJP
   H02B 5/02 20060101ALI20190110BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   H01H33/48
   H01H33/53 U
   H02B5/02 A
   H02G1/02
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-69385(P2015-69385)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-189292(P2016-189292A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】栗原 一憲
(72)【発明者】
【氏名】小田 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 智美
(72)【発明者】
【氏名】田口 昌行
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−192346(JP,A)
【文献】 実開昭62−9331(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28−33/59
H02B 5/02
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱に仮設自在な工事用開閉器であって、
電線を接続自在な複数のブッシングを両側面から突設した直方体状の開閉器本体と、
前記開閉器本体の前面下部に傾動自在に配置され、一端部側に傾倒すると、前記開閉器本体の内部スイッチが「入」状態になり、他端部側に傾倒すると、前記開閉器本体の内部スイッチが「切」状態になる操作ハンドルと、
複数の前記ブッシングの周囲を囲って保護するブッシングガードであって、軸心が鉛直方向に延び、所定の間隔で略平行に配置された一対のパイプ部材を有し、これらのパイプ部材が前記開閉器本体の両側面に支持された一組のブッシングガードと、
前記パイプ部材に挿通した棒状部材を両辺に有し、前記ブッシングガードに対して昇降自在に連結した一組の矩形枠状の可動型取手と、を備え、
前記可動型取手は、
一対の前記棒状部材の上端部を架橋した取手部材と、
前記パイプ部材の下端面と所定の間隔を設けて配置され、一対の前記棒状部材の下端部を架橋したバー部材と、を有し、
一方の前記バー部材は、前記操作ハンドルの一端部側の下方に向かって延在する延在部を有し、
前記操作ハンドルが一端部側に傾倒した状態で、一方の前記可動型取手を引き上げると、前記延在部が前記操作ハンドルの一端部側に阻止され、
前記操作ハンドルが他端部側に傾倒した状態で、一方の前記可動型取手を引き上げると、前記延在部が前記操作ハンドルの一端部側に阻止されることなく通過する、工事用開閉器。
【請求項2】
前記開閉器本体の上面に固定し、前記パイプ部材を四隅に固定した略矩形の板状部材を更に備え、
前記板状部材は、両手で把持容易な屈曲された把持部を両端部に有する、請求項1記載の工事用開閉器。
【請求項3】
前記バー部材は、一対の前記パイプ部材の下端縁に当接して、前記可動型取手の上昇量を規定している請求項1又は2記載の工事用開閉器。
【請求項4】
前記取手部材は、前記パイプ部材の上端縁に当接して、前記可動型取手の脱落を阻止する鍔部を両端部に有する、請求項1から3のいずれかに記載の工事用開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事用開閉器に関する。特に、工事用開閉器の前面に配置した操作ハンドルが「切」の状態の場合のみ、工事用開閉器を電柱などの高所に引き上げて仮設できる工事用開閉器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高圧配電線路において、配電線の張り替え、支持碍子の交換、変圧器の上げ替えなどの電気工事を実施する場合、工事用開閉器を工事区間の電柱に仮設して、臨時のバイパス回路を形成している。そして、このバイパス回路により、電気工事中も送電を継続している。
【0003】
ところで、工事用開閉器は、普段、電力会社又は工事会社の営業所に工事用機材として常備されている。工事があるときには、工事用開閉器を作業車に搭載して、工事現場に運搬している。そして、工事用開閉器を工事区間の電柱に仮設し、送電を継続している。又、電気工事が終了後には、工事用開閉器を電柱から取り外し、工事用開閉器を作業車に搭載して、営業所まで運搬されている。
【0004】
このように、工事用開閉器は、運搬又は電柱への仮設の頻度が多いため、運搬又は電柱への上げ下ろしに際して、損傷が少なくなるように構成した簡易な構成の工事用開閉器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1による工事用開閉器は、直方体状の開閉器本体の両側面に突設したブッシングを保護するための一対のブッシングガードを備えている。ブッシングガードは、複数の棒状部材で枠組みされている。特許文献1による工事用開閉器は、ブッシングガードを開閉器本体の背面側に偏在して配置することで、工事用開閉器を安定して運搬でき、装柱作業に伴う吊上げ又は吊下げ作業時に工事用開閉器を外傷から守れる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭55−55936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す斜視図である。図7は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「入」の状態に傾倒した状態図である。図8は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す右側面図であり、工事用開閉器を電柱に設置した状態図である。
【0008】
図9は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す下面図である。図10は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「切」の状態に傾倒した状態図である。
【0009】
図6から図10を参照すると、従来技術による工事用開閉器(以下、開閉器と略称する)7は、直方体状の開閉器本体70と複数のブッシング71t・72tを備えている。又、開閉器本体70は、傾動自在な操作ハンドル7hを前面に備えている。操作ハンドル7hは、その中央部に指針71nを固定している。指針71nは、開閉器本体70の底面側に向かって突出している。一方のブッシング71tには、電源側の電線を接続できる。他方のブッシング72tには、負荷側の電線を接続できる。
【0010】
図6又は図7及び図10を参照すると、操作ハンドル7hは、その両端部に一組の操作綱(図示せず)を係留できる。開閉器7を電柱Pに設置した状態では(図8参照)、一組の操作綱は、地面に向かって垂下されている。一方の操作綱を引っ張ると、指針71nの先端部が「入」の表示に向かうように(図9参照)、操作ハンドル7hを一端部7a側に傾倒できる(図7参照)。そして、開閉器本体70の内部に配置された電気スイッチ(図示せず)を接続状態にでき、電路を接続できる。
【0011】
図10を参照して、他方の操作綱(図示せず)を引っ張ると、指針71nの先端部が「切」の表示に向かうように、操作ハンドル7hを他端部7b側に傾倒できる。そして、開閉器本体70の内部に配置された電気スイッチ(図示せず)を切断状態にでき、電路を切断できる。なお、以下、開閉器本体70の内部に配置された電気スイッチを内部スイッチという。
【0012】
図6から図10を参照すると、開閉器7は、一対一組のゴム脚73と一対の取手74a付きブッシングガード74・74を備えている。四つのゴム脚73は、固定金具を介して、開閉器本体70の底部に固定されている。ブッシングガード74は、複数の棒状部材で枠組みされている。取手74aは、ブッシングガード74の上部に形成している。
【0013】
図6から図8を参照して、一対の取手74a・74aを把持して、開閉器7を運搬できる。一対のブッシングガード74・74は、開閉器本体70の両側面に張り出している。一対のブッシングガード74・74は、複数のブッシング71t・72tが障害物に衝突して損傷することを防止している。
【0014】
図10を参照して、二股に分岐したロープRの一端部を一対の取手74a・74aに係留し、ロープRの他端部側をウインチ(図示せず)などで巻き取ることで、電柱Pの高所に開閉器7を引き上げることができる。
【0015】
図8又は図9を参照すると、開閉器本体70は、一対のフック金具75・75を背面に備えている。図8を参照すると、装柱金具8は、チェーン部材で電柱Pに固定されている。装柱金具8は、その先端面側に係止穴を開口している。上部側のフック金具75を装柱金具8の係止穴に係止することで、開閉器7を電柱Pに仮設できる。
【0016】
図6又は図8及び図9を参照すると、開閉器本体70は、蝶ナットからなる接地端子76を一方の側面の下部に備えている。一方、図7を参照すると、開閉器本体70は、ガス圧低下ロック表示装置77を他方の側面の下部に備えている。ガス圧低下ロック表示装置77は、開閉器本体70の内部に充填された消弧性ガスが漏れると、この漏れを検出して操作ハンドル7hの開閉操作をロックすると共に、この漏れ状態をモニタランプなどで表示する。
【0017】
図6から図9を参照して、開閉器7を運搬用格納架(図示せず)に格納した状態で、作業車で運搬するときは、振動により内部スイッチが損傷しないように、指針71nの先端部が「入」の表示に向かうように、操作ハンドル7hを一端部7a側に傾倒しておくことが規定されている。
【0018】
一方、工事現場に到着後には、開閉器7の取り扱いについて、以下の作業手順が規定されている。
(1)開閉器7を運搬用格納架(図示せず)から取り出した後に、指針71nの先端部が「切」の表示に向かうように、操作ハンドル7hを他端部7b側に傾動する(図10参照)。
(2)開閉器7を電柱Pに吊り上げる前に、指針71nの先端部が「切」の表示に向かっていることを確認する。
(3)開閉器7を電柱Pに仮設後に、指針71nの先端部が「切」の表示に向かっていることを確認する。
(4)複数のブッシング71t・72tに電源側の電線又は負荷側の電線を接続する前に、指針71nの先端部が「切」の表示に向かっていることを確認する。
【0019】
上述したように、開閉器7は、運搬用格納架から取り出した後に、指針71nの「切」状態を複数回にわたり確認している。しかし、図6から図8を参照すると、開閉器7は、指針71nが「入」状態であっても、吊り上げることができるので、操作ハンドル7hの切り替えを忘れて、指針71nが「入」状態で、電源側の電線又は負荷側の電線を接続する心配がある。作業員の注意力のみに依存することなく、操作ハンドル7hが「切」状態の場合のみ、吊り上げることができる工事用開閉器が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0020】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、工事用開閉器の前面に配置した操作ハンドルが「切」の状態の場合のみ、工事用開閉器を電柱などの高所に引き上げて仮設できる安全な工事用開閉器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、工事用開閉器の開閉器本体の両側面に一組の矩形枠状の可動型取手を配置し、二股に分岐したロープの一端部を一組の可動型取手に係留し、ロープを引き上げると、開閉器本体の内部スイッチが「入」状態になるように、操作ハンドルを一端部側に傾倒した状態では、一方の可動型取手が操作ハンドルに阻止されて、可動型取手の上昇が困難になり、開閉器本体の内部スイッチが「切」状態になるように、操作ハンドルを他端部側に傾倒した状態では、一方の可動型取手が操作ハンドルに阻止されることなく通過自在に構成することで、工事用開閉器を電柱に安全に架設できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな工事用開閉器を発明するに至った。
【0022】
(1)本発明による工事用開閉器は、電柱に仮設自在な工事用開閉器であって、電線を接続自在な複数のブッシングを両側面から突設した直方体状の開閉器本体と、前記開閉器本体の前面下部に傾動自在に配置され、一端部側に傾倒すると、前記開閉器本体の内部スイッチが「入」状態になり、他端部側に傾倒すると、前記開閉器本体の内部スイッチが「切」状態になる操作ハンドルと、複数の前記ブッシングの周囲を囲って保護するブッシングガードであって、軸心が鉛直方向に延び、所定の間隔で略平行に配置された一対のパイプ部材を有し、これらのパイプ部材が前記開閉器本体の両側面に支持された一組のブッシングガードと、前記パイプ部材に挿通した棒状部材を両辺に有し、前記ブッシングガードに対して昇降自在に連結した一組の矩形枠状の可動型取手と、を備え、前記可動型取手は、一対の前記棒状部材の上端部を架橋した取手部材と、前記パイプ部材の下端面と所定の間隔を設けて配置され、一対の前記棒状部材の下端部を架橋したバー部材と、を有し、一方の前記バー部材は、前記操作ハンドルの一端部側の下方に向かって延在する延在部を有し、前記操作ハンドルが一端部側に傾倒した状態で、一方の前記可動型取手を引き上げると、前記延在部が前記操作ハンドルの一端部側に阻止され、前記操作ハンドルが他端部側に傾倒した状態で、一方の前記可動型取手を引き上げると、前記延在部が前記操作ハンドルの一端部側に阻止されることなく通過する。
【0023】
(2)前記開閉器本体の上面に固定し、前記パイプ部材を四隅に固定した略矩形の板状部材を更に備え、前記板状部材は、両手で把持容易な屈曲された把持部を両端部に有することが好ましい。
【0024】
(3)前記バー部材は、一対の前記パイプ部材の下端縁に当接して、前記可動型取手の上昇量を規定していることが好ましい。
【0025】
(4)前記取手部材は、前記パイプ部材の上端縁に当接して、前記可動型取手の脱落を阻止する鍔部を両端部に有することが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明による工事用開閉器は、開閉器本体の内部スイッチが「入」状態になるように、操作ハンドルを一端部側に傾倒した状態では、一組の可動型取手を引き上げると、一方の可動型取手が操作ハンドルの一端部側に当接して一方の可動型取手の上昇が阻止され、開閉器本体の内部スイッチが「切」状態になるように、操作ハンドルを他端部側に傾倒した状態では、一組の可動型取手を引き上げると、一方の可動型取手が操作ハンドルの一端部側に阻止されることなく、通過できるので、工事用開閉器を「切」状態で電柱に仮設できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態による工事用開閉器の構成を示す斜視図である。
図2】前記実施形態による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「入」の状態に傾倒した状態図である。
図3】前記実施形態による工事用開閉器の構成を示す右側面図である。
図4】前記実施形態による工事用開閉器の構成を示す下面図である。
図5】前記実施形態による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「切」の状態に傾倒した状態図である。
図6】従来技術による工事用開閉器の構成を示す斜視図である。
図7】従来技術による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「入」の状態に傾倒した状態図である。
図8】従来技術による工事用開閉器の構成を示す右側面図であり、工事用開閉器を電柱に設置した状態図である。
図9】従来技術による工事用開閉器の構成を示す下面図である。
図10】従来技術による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「切」の状態に傾倒した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[工事用開閉器の構成]
最初に、本発明の一実施形態による工事用開閉器の構成を説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態による工事用開閉器の構成を示す斜視図である。図2は、前記実施形態による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「入」の状態に傾倒した状態図である。
【0030】
図3は、前記実施形態による工事用開閉器の構成を示す右側面図である。図4は、前記実施形態による工事用開閉器の構成を示す下面図である。図5は、前記実施形態による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「切」の状態に傾倒した状態図である。
【0031】
なお、従来技術で使用した符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同一にするので、以下、説明を省略することがある。
【0032】
(全体構成)
図1から図5を参照すると、本発明の一実施形態による工事用開閉器(以下、開閉器と略称する)10は、直方体状の開閉器本体1と操作ハンドル1hを備えている。又、開閉器10は、一組のブッシングガード2・2、一組の矩形枠状の可動型取手3・3、及び、略矩形の板状部材4を備えている。
【0033】
図1から図5を参照すると、開閉器本体1は、複数のブッシング11t・12tを両側面から突設している。一方のブッシング11tには、電源側の電線を接続できる。他方のブッシング12tには、負荷側の電線を接続できる。
【0034】
図1から図5を参照すると、操作ハンドル1hは、開閉器本体1の前面下部に傾動自在に配置されている。操作ハンドル1hを一端部1a側に傾倒すると(図2参照)、開閉器本体1の内部スイッチ(図示せず)を「入」状態に切り換えることができる。操作ハンドル1hを他端部1b側に傾倒すると(図5参照)、開閉器本体1の内部スイッチ(図示せず)を「切」状態に切り換えることができる。
【0035】
図1から図5を参照すると、一方のブッシングガード2は、複数のブッシング12tの周囲を囲っている。そして、一方のブッシングガード2は、複数のブッシング12tが障害物に衝突して損傷しないように保護している。同様に、他方のブッシングガード2は、複数のブッシング11tの周囲を囲っている。そして、他方のブッシングガード2は、複数のブッシング11tが障害物に衝突して損傷しないように保護している。
【0036】
図1から図5を参照すると、ブッシングガード2は、所定の間隔で配置された一対のパイプ部材2p・2pを備えている。これらのパイプ部材2p・2pは、それらの軸心が鉛直方向に延びるように略平行に配置されている。又、これらのパイプ部材2p・2pは、開閉器本体1の両側面に支持されている。
【0037】
図1から図5を参照すると、可動型取手3は、パイプ部材2pに挿通した棒状部材3rを両辺に備えている。そして、可動型取手3は、ブッシングガード2に対して昇降自在に連結している。
【0038】
図1から図5を参照すると、可動型取手3は、取手部材3hとバー部材3bを備えている。取手部材3hは、一対の棒状部材3r・3rの上端部を架橋している。バー部材3bは、一対の棒状部材3r・3rの下端部を架橋している。又、バー部材3bは、パイプ部材2pの下端面と所定の間隔を設けて配置されている(図1から図3参照)。
【0039】
図1から図5を参照すると、一方のバー部材3bは、延在部31bを有している。延在部31bは、操作ハンドル1hの一端部1a側の下方に向かって延在している。
【0040】
図1又は図2を参照して、操作ハンドル1hが一端部1a側に傾倒した状態で、一方の可動型取手3を引き上げると、延在部31bが操作ハンドル1hの一端部1a側に当接して、一方の可動型取手3の引き上げが阻止される。
【0041】
一方、図5を参照して、操作ハンドル1hが他端部1b側に傾倒した状態で、一方の可動型取手3を引き上げると、延在部31bが操作ハンドル1hの一端部1a側に阻止されることなく、通過できる。
【0042】
(開閉器本体の構成)
次に、実施形態による開閉器本体1の構成を説明する。図1から図5を参照すると、開閉器本体1は、一対一組のゴム脚13と一対のフック金具15・15を備えている。四つのゴム脚13は、固定金具を介して、開閉器本体1の底部に固定されている。なお、ゴム脚13とゴム脚73は、同じものであるが説明の便宜上、符号を変えて区別した。
【0043】
図3を参照すると、一対のフック金具15・15は、開閉器本体1の背面に固定されている。図3又は図8を参照して、上部側のフック金具15を装柱金具8の係止穴に係止することで、開閉器10を電柱Pに仮設できる。なお、フック金具15とフック金具75は、同じものであるが説明の便宜上、符号を変えて区別した。
【0044】
図1又は図3及び図4を参照すると、開閉器本体1は、蝶ナットからなる接地端子16を一方の側面の下部に備えている。一方、図2を参照すると、開閉器本体1は、ガス圧低下ロック表示装置17を他方の側面の下部に備えている。ガス圧低下ロック表示装置17は、開閉器本体1の内部に充填された消弧性ガスが漏れると、この漏れを検出して操作ハンドル1hの開閉操作をロックすると共に、この漏れ状態をモニタランプなどで表示する。なお、接地端子16及びガス圧低下ロック表示装置17と接地端子76及びガス圧低下ロック表示装置77は、同じものであるが説明の便宜上、符号を変えて区別した。
【0045】
図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、開閉器本体1は、複数の棒状の支持部材111を備えている。支持部材111の一端部は、開閉器本体1の側面の下部に溶接で接合されている。支持部材111の他端部は、パイプ部材2pの下部の外周に溶接で接合されている。
【0046】
一方、図1を参照すると、パイプ部材2pの上部の外周は、後述する板状部材4の四隅に溶接で接合されている。このように、開閉器本体1は、複数の支持部材111及び板状部材4でブッシングガード2を側面に強固に支持している。なお、図1又は図3を参照すると、一対のパイプ部材2p・2pは、所定の間隔を維持するために、両端部がパイプ部材2pの外周に溶接で接合した横設部材211で補強されている。
【0047】
(操作ハンドルの構成)
次に、実施形態による操作ハンドル1hの構成を説明する。図1から図5を参照すると、操作ハンドル1hは、その中央部に指針11nを固定している。指針11nは、開閉器本体1の底面側に向かって突出している(図4参照)。
【0048】
図1又は図2及び図5を参照すると、操作ハンドル1hは、その両端部に一組の操作綱(図示せず)を係留できる。開閉器10を電柱Pに設置した状態では(図8参照)、一組の操作綱は、地面に向かって垂下されている。一方の操作綱を引っ張ると、指針11nの先端部が「入」の表示に向かうように(図4参照)、操作ハンドル1hを一端部1a側に傾倒できる(図2参照)。そして、開閉器本体1の内部に配置された電気スイッチ(図示せず)を接続状態にでき、電路を接続できる。
【0049】
図5を参照して、他方の操作綱(図示せず)を引っ張ると、指針11nの先端部が「切」の表示に向かうように、操作ハンドル1hを他端部1b側に傾倒できる。そして、開閉器本体1の内部に配置された電気スイッチ(図示せず)を切断状態にでき、電路を切断できる。なお、操作ハンドル1hと操作ハンドル7hは、同じものであるが説明の便宜上、符号を変えて区別した。
【0050】
(可動型取手の構成)
次に、実施形態による可動型取手3の構成を説明する。図1から図5を参照すると、可動型取手3は、一対の棒状部材3r・3r、取手部材3h、及び、バー部材3bで矩形に枠組みされている。一対の棒状部材3r・3rは、それらの下端面がバー部材3bに溶接で接合されている。
【0051】
図1を参照すると、棒状部材3rは、その上端部に雄ねじ部31rを形成している。一方、取手部材3hは、取手部31hと一対の鍔部31f・31fを備えている。取手部31hは、棒状部材の両端部を略直角に屈曲している。一対の鍔部31f・31fは、取手部31hの両端面に溶接で接合されている。鍔部31fに開口された穴に雄ねじ部31rを挿通し、ナット部材を締結することで、一対の棒状部材3r・3rと取手部材3hを一体化できる。
【0052】
図1から図3に示した実施形態では、鍔部31fがパイプ部材2pの上端縁に当接して、可動型取手3の脱落を阻止している。一方、図5を参照すると、バー部材3bは、一対のパイプ部材2p・2pの下端縁に当接して、可動型取手3の上昇量を規定している。
【0053】
(板状部材の構成)
次に、実施形態による板状部材4の構成を説明する。図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、板状部材4は、開閉器本体1の上面に固定している。図1又は図3を参照すると、板状部材4は、両手で把持容易な屈曲された把持部41・41を両端部に有している。
【0054】
図1又は図3を参照して、一対の把持部41・41を両手で把持して、開閉器10を運搬用格納架(図示せず)に格納することができる。一対の把持部41・41を両手で把持して、開閉器10を運搬用格納架(図示せず)から取り出すことができる。
【0055】
[工事用開閉器の作用]
次に、実施形態による開閉器10の動作を説明しながら、開閉器10の作用及び効果を説明する。
【0056】
図5を参照して、二股に分岐したロープRの一端部を一組の可動型取手3・3に係留し、ロープRの他端部側をウインチ(図示せず)などで巻き取ることで、電柱Pの高所に開閉器10を引き上げることができる(図8参照)。
【0057】
図1又は図2及び図3を参照して、開閉器本体1の内部スイッチが「入」状態になるように、操作ハンドル1hを一端部1a側に傾倒した状態では、一組の可動型取手3・3を引き上げると、一方の可動型取手3の延在部31bが操作ハンドル1hの一端部1a側に当接して一方の可動型取手3の上昇が阻止される。
【0058】
一方、図5を参照して、開閉器本体1の内部スイッチが「切」状態になるように、操作ハンドル1hを他端部1b側に傾倒した状態では、一組の可動型取手3・3を引き上げると、一方の可動型取手3の延在部31bが操作ハンドル1hの一端部1a側に阻止されることなく、通過できるので、開閉器10を「切」状態で電柱Pに仮設できる。
【0059】
このように、図1から図5を参照すると、開閉器10は、開閉器本体1の前面に配置した操作ハンドル1hが「切」の状態の場合のみ、開閉器10を電柱Pなどの高所に仮設できるので、安全である。
【0060】
本発明による工事用開閉器は、操作ハンドルが「入」状態では、電柱などの高所に引き上げることが困難な構造を有しているので、操作ハンドルが「切」状態の場合のみ電線を接続するので、作業者の安全を確保できる。又、確実に架設工事を実施でき、電力供給の信頼性を向上できる。
【符号の説明】
【0061】
1 開閉器本体
1a 一端部(操作ハンドル1hの一端部)
1b 他端部(操作ハンドル1hの他端部)
1h 操作ハンドル
2 ブッシングガード
2p・2p 一対のパイプ部材
3 可動型取手
3b バー部材
3h 取手部材
3r・3r 一対の棒状部材
10 開閉器(工事用開閉器)
11t ブッシング
12t ブッシング
31b 延在部
P 電柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10