【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す斜視図である。
図7は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「入」の状態に傾倒した状態図である。
図8は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す右側面図であり、工事用開閉器を電柱に設置した状態図である。
【0008】
図9は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す下面図である。
図10は、従来技術による工事用開閉器の構成を示す正面図であり、操作ハンドルを「切」の状態に傾倒した状態図である。
【0009】
図6から
図10を参照すると、従来技術による工事用開閉器(以下、開閉器と略称する)7は、直方体状の開閉器本体70と複数のブッシング71t・72tを備えている。又、開閉器本体70は、傾動自在な操作ハンドル7hを前面に備えている。操作ハンドル7hは、その中央部に指針71nを固定している。指針71nは、開閉器本体70の底面側に向かって突出している。一方のブッシング71tには、電源側の電線を接続できる。他方のブッシング72tには、負荷側の電線を接続できる。
【0010】
図6又は
図7及び
図10を参照すると、操作ハンドル7hは、その両端部に一組の操作綱(図示せず)を係留できる。開閉器7を電柱Pに設置した状態では(
図8参照)、一組の操作綱は、地面に向かって垂下されている。一方の操作綱を引っ張ると、指針71nの先端部が「入」の表示に向かうように(
図9参照)、操作ハンドル7hを一端部7a側に傾倒できる(
図7参照)。そして、開閉器本体70の内部に配置された電気スイッチ(図示せず)を接続状態にでき、電路を接続できる。
【0011】
図10を参照して、他方の操作綱(図示せず)を引っ張ると、指針71nの先端部が「切」の表示に向かうように、操作ハンドル7hを他端部7b側に傾倒できる。そして、開閉器本体70の内部に配置された電気スイッチ(図示せず)を切断状態にでき、電路を切断できる。なお、以下、開閉器本体70の内部に配置された電気スイッチを内部スイッチという。
【0012】
図6から
図10を参照すると、開閉器7は、一対一組のゴム脚73と一対の取手74a付きブッシングガード74・74を備えている。四つのゴム脚73は、固定金具を介して、開閉器本体70の底部に固定されている。ブッシングガード74は、複数の棒状部材で枠組みされている。取手74aは、ブッシングガード74の上部に形成している。
【0013】
図6から
図8を参照して、一対の取手74a・74aを把持して、開閉器7を運搬できる。一対のブッシングガード74・74は、開閉器本体70の両側面に張り出している。一対のブッシングガード74・74は、複数のブッシング71t・72tが障害物に衝突して損傷することを防止している。
【0014】
図10を参照して、二股に分岐したロープRの一端部を一対の取手74a・74aに係留し、ロープRの他端部側をウインチ(図示せず)などで巻き取ることで、電柱Pの高所に開閉器7を引き上げることができる。
【0015】
図8又は
図9を参照すると、開閉器本体70は、一対のフック金具75・75を背面に備えている。
図8を参照すると、装柱金具8は、チェーン部材で電柱Pに固定されている。装柱金具8は、その先端面側に係止穴を開口している。上部側のフック金具75を装柱金具8の係止穴に係止することで、開閉器7を電柱Pに仮設できる。
【0016】
図6又は
図8及び
図9を参照すると、開閉器本体70は、蝶ナットからなる接地端子76を一方の側面の下部に備えている。一方、
図7を参照すると、開閉器本体70は、ガス圧低下ロック表示装置77を他方の側面の下部に備えている。ガス圧低下ロック表示装置77は、開閉器本体70の内部に充填された消弧性ガスが漏れると、この漏れを検出して操作ハンドル7hの開閉操作をロックすると共に、この漏れ状態をモニタランプなどで表示する。
【0017】
図6から
図9を参照して、開閉器7を運搬用格納架(図示せず)に格納した状態で、作業車で運搬するときは、振動により内部スイッチが損傷しないように、指針71nの先端部が「入」の表示に向かうように、操作ハンドル7hを一端部7a側に傾倒しておくことが規定されている。
【0018】
一方、工事現場に到着後には、開閉器7の取り扱いについて、以下の作業手順が規定されている。
(1)開閉器7を運搬用格納架(図示せず)から取り出した後に、指針71nの先端部が「切」の表示に向かうように、操作ハンドル7hを他端部7b側に傾動する(
図10参照)。
(2)開閉器7を電柱Pに吊り上げる前に、指針71nの先端部が「切」の表示に向かっていることを確認する。
(3)開閉器7を電柱Pに仮設後に、指針71nの先端部が「切」の表示に向かっていることを確認する。
(4)複数のブッシング71t・72tに電源側の電線又は負荷側の電線を接続する前に、指針71nの先端部が「切」の表示に向かっていることを確認する。
【0019】
上述したように、開閉器7は、運搬用格納架から取り出した後に、指針71nの「切」状態を複数回にわたり確認している。しかし、
図6から
図8を参照すると、開閉器7は、指針71nが「入」状態であっても、吊り上げることができるので、操作ハンドル7hの切り替えを忘れて、指針71nが「入」状態で、電源側の電線又は負荷側の電線を接続する心配がある。作業員の注意力のみに依存することなく、操作ハンドル7hが「切」状態の場合のみ、吊り上げることができる工事用開閉器が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0020】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、工事用開閉器の前面に配置した操作ハンドルが「切」の状態の場合のみ、工事用開閉器を電柱などの高所に引き上げて仮設できる安全な工事用開閉器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、工事用開閉器の開閉器本体の両側面に一組の矩形枠状の可動型取手を配置し、二股に分岐したロープの一端部を一組の可動型取手に係留し、ロープを引き上げると、開閉器本体の内部スイッチが「入」状態になるように、操作ハンドルを一端部側に傾倒した状態では、一方の可動型取手が操作ハンドルに阻止されて、可動型取手の上昇が困難になり、開閉器本体の内部スイッチが「切」状態になるように、操作ハンドルを他端部側に傾倒した状態では、一方の可動型取手が操作ハンドルに阻止されることなく通過自在に構成することで、工事用開閉器を電柱に安全に架設できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな工事用開閉器を発明するに至った。
【0022】
(1)本発明による工事用開閉器は、電柱に仮設自在な工事用開閉器であって、電線を接続自在な複数のブッシングを両側面から突設した直方体状の開閉器本体と、前記開閉器本体の前面下部に傾動自在に配置され、一端部側に傾倒すると、前記開閉器本体の内部スイッチが「入」状態になり、他端部側に傾倒すると、前記開閉器本体の内部スイッチが「切」状態になる操作ハンドルと、複数の前記ブッシングの周囲を囲って保護するブッシングガードであって、軸心が鉛直方向に延び、所定の間隔で略平行に配置された一対のパイプ部材を有し、これらのパイプ部材が前記開閉器本体の両側面に支持された一組のブッシングガードと、前記パイプ部材に挿通した棒状部材を両辺に有し、前記ブッシングガードに対して昇降自在に連結した一組の矩形枠状の可動型取手と、を備え、前記可動型取手は、一対の前記棒状部材の上端部を架橋した取手部材と、前記パイプ部材の下端面と所定の間隔を設けて配置され、一対の前記棒状部材の下端部を架橋したバー部材と、を有し、一方の前記バー部材は、前記操作ハンドルの一端部側の下方に向かって延在する延在部を有し、前記操作ハンドルが一端部側に傾倒した状態で、一方の前記可動型取手を引き上げると、前記延在部が前記操作ハンドルの一端部側に阻止され、前記操作ハンドルが他端部側に傾倒した状態で、一方の前記可動型取手を引き上げると、前記延在部が前記操作ハンドルの一端部側に阻止されることなく通過する。
【0023】
(2)前記開閉器本体の上面に固定し、前記パイプ部材を四隅に固定した略矩形の板状部材を更に備え、前記板状部材は、両手で把持容易な屈曲された把持部を両端部に有することが好ましい。
【0024】
(3)前記バー部材は、一対の前記パイプ部材の下端縁に当接して、前記可動型取手の上昇量を規定していることが好ましい。
【0025】
(4)前記取手部材は、前記パイプ部材の上端縁に当接して、前記可動型取手の脱落を阻止する鍔部を両端部に有することが好ましい。