(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電力を非接触で送電する送電装置(16)と、前記送電装置から出力される電力を非接触で受電し、受電した電力を負荷(20)に供給する受電装置(15)と、前記受電装置および前記送電装置を制御する制御装置(23)と、を含む非接触給電装置(10)であって、
前記送電装置は、
複数のスイッチング素子(Q1〜Q4)を含んで構成され、高周波電圧を生成するインバータ(11)と、
前記インバータが生成した前記高周波電圧を高周波磁束に変換する送電コイル(12)と、を含み、
前記受電装置は、
前記高周波磁束よって交流電圧が発生する受電コイル(13)と、
複数のスイッチング素子(Q5〜Q8)を含んで構成され、前記受電コイルから供給される交流電圧を直流電圧に変換するブリッジ整流回路(14)と、
前記ブリッジ整流回路の出力側に接続された平滑コンデンサ(21)と、
前記平滑コンデンサの出力側に接続された負荷(20)と、
前記ブリッジ整流回路の出力電圧を検出する電圧検出部(22)と、を含み、
前記制御装置は、前記ブリッジ整流回路の出力電流の正負の値を反転した値を検出する電流検出部(41)を含み、
前記制御装置は、
前記インバータと前記ブリッジ整流回路とを構成する前記スイッチング素子をフルデューティで駆動し、前記インバータと前記ブリッジ整流回路との位相差を制御して前記送電装置から前記受電装置に電力を伝達し、
前記インバータの左右アームの位相差に応じて前記ブリッジ整流回路の左右アームのスイッチングタイミングを変更し、
前記電流検出部によって検出された検出値と、出力電圧制御によって導かれる電流閾値とを比較し、比較結果に基いて前記ブリッジ整流回路の一方のアーム(Q5,Q6)のスイッチングタイミングを決定することを特徴とする非接触給電装置。
前記制御装置は、前記インバータの対角にある前記スイッチング素子同士がオンして、前記インバータが還流モードから伝達モードに切り替わるタイミングで前記インバータの出力電流がゼロ以下になるように、前記ブリッジ整流回路の他方のアーム(Q7,Q8)のスイッチングタイミングを一方のアームよりも遅らせることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
前記制御装置は、前記インバータの左右アームの位相差、入力電圧、および入力電流に応じた制御マップ(61)で定まる値を用いて、前記ブリッジ整流回路の左右アームのスイッチングタイミングを変更することを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各実施形態で先行する実施形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付すか、または先行の参照符号に一文字追加し、重複する説明を略する場合がある。また各実施形態にて構成の一部を説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している実施形態と同様とする。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0014】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、
図1〜
図6を用いて説明する。第1実施形態の非接触給電装置10は、高周波インバータ11、送電コイル12と、受電コイル13、ブリッジ整流回路14を備え、高周波インバータ11をPWM制御することで電力伝達する。非接触給電装置10は、たとえば電気自動車、およびプラグインハイブリッド自動車などのメインバッテリに充電する場合に適用することができる。
【0015】
非接触給電装置10は、メインバッテリである二次電池20と車両の外部に設置される直流電源30との間で、非接触で電磁界共鳴方式あるいは電磁誘導方式によって電力を伝送するシステムである。電磁界共鳴方式は、送電側と受電側とを共振させて電力を送る方式のことである。非接触給電装置10は、
図1に示すように、車両に搭載される受電装置15および地上に設置される送電装置16を含んで構成される。
【0016】
先ず、送電装置16に関して説明する。送電装置16は、たとえば、家庭、集合住宅、コインパーキングなどの駐車設備、商業施設、および公共施設などに設けられる。送電装置16は、車両にとって外部となる直流電源30、送電側パッド、送電側共振用回路17を含んで構成される。直流電源30は、たとえば系統電源である。送電装置16は、受電装置15に給電する際に動作する。
【0017】
送電側パッドは、一次側パッドであって、駐車設備に画成された駐車スペース内に各々設置または埋設されている。送電側パッドは、送電コイル12を有する。送電コイル12は、高周波電圧を高周波磁束に変換する。したがって送電コイル12は、交流電力が供給されることで磁束を発生する。送電側パッドは、送電側共振用回路17に接続される。送電側共振用回路17は、送電コイル12と共に共振回路を構成する。
【0018】
次に、受電装置15に関して説明する。受電装置15は、受電側パッド、受電側共振用回路18を含んで構成される。受電側パッドは、車外に露出するように車両に設けられる。受電側パッドは、送電側パッドとの間で非接触による電力の受け渡しを行う。受電側パッドは、受電コイル13を有し、送電側パッドが発生した電磁界の影響により、受電コイル13に電力が生じる。受電コイル13は、高周波磁束によって交流電圧を発生する。受電側パッドは、受電側共振用回路18に接続される。受電側共振用回路18は、受電コイル13と共に共振回路を構成する。
【0019】
次に、具体的な回路構成に関して説明する。非接触給電装置10は、直流電源(電圧源)30から供給される電力を変換し、二次電池20に出力する。また、非接触給電装置10は、双方向電力変換が可能であり、二次電池20から供給される電力を、直流電源30に対して伝達可能である。
【0020】
送電装置16は、インバータ11を備えている。受電装置15は、ブリッジ整流回路14を備えている。インバータ11は、複数のスイッチング素子によってフルブリッジ回路が構成されている。同様に、ブリッジ整流回路14は、複数のスイッチング素子によってフルブリッジ回路が構成されている。スイッチング素子は、たとえば、MOS−FETである。
【0021】
インバータ11の入力側には、平滑コンデンサ19が設けられており、インバータ11の出力側は、送電コイル12に接続されている。インバータ11は、高周波電圧を生成する。インバータ11は、直流電源30から入力される直流電力を交流電力に変換する。したがってインバータ11は、送電コイル12に交流電力を供給する交流電源回路として機能する。
【0022】
ブリッジ整流回路14の入力側は、受電コイル13に接続されており、ブリッジ整流回路14の出力側には平滑コンデンサ21が設けられている。送電コイル12および受電コイル13によって、トランスが構成される。またブリッジ整流回路14の平滑コンデンサ21の出力側には、負荷である二次電池20が設けられている。ブリッジ整流回路14は、受電コイル13から入力される交流電圧を直流電圧に変換する。したがってブリッジ整流回路14は、整流回路として機能する。
【0023】
また受電装置15には、電圧センサ22が設けられている。電圧センサ22は、ブリッジ整流回路14の平滑コンデンサ19の電圧を検出して、制御装置23に送信する。したがって電圧センサ22は、ブリッジ整流回路14の出力電圧を検出する電圧検出部として機能する。
【0024】
制御装置23は、インバータ11とブリッジ整流回路14を構成するすべてのアーム間位相差によって、一次側から二次側への送電量を制御する。制御装置23は、インバータ11とブリッジ整流回路14とを構成するスイッチング素子をフルデューティで駆動し、インバータ11とブリッジ整流回路14との位相差を制御する。フルデューティで駆動とは、各回路11,14の右アームにおいて一方のスイッチング素子がオンの場合は、他方のスイッチング素子がオフに制御する。さらに左アームにおいても同様に一方のスイッチング素子がオンの場合は、他方のスイッチング素子がオフとする制御である。これによって制御装置23は、送電装置16から受電装置15に電力を伝達する。制御装置23は、第1パルス生成部24、第2パルス生成部25、フィードバック演算部26、および整流回路位相差計算部27を備える。
【0025】
フィードバック演算部26は、ブリッジ整流回路14の平滑コンデンサ21の電圧と基準電圧Vrefと用いて、フィードバック演算を実施する。第1パルス生成部24は、フィードバック演算部26によって演算された位相に基づいて、インバータ11を制御するパルス信号を生成して、インバータ11のゲートドライブ回路28に送信する。これによってゲートドライブ回路28は、第1パルス生成部24からのパルス信号によって、インバータ11の各スイッチをオンオフするスイッチングタイミングを制御する。
【0026】
整流回路位相差計算部27は、フィードバック演算部26によって演算されたインバータ11の位相差に基づいて、ブリッジ整流回路14の位相差を決定し、第2パルス生成部25に送信する。第2パルス生成部25は、整流回路位相差計算部27によって決定された位相差に基づいて、ブリッジ整流回路14を制御するパルス信号を生成して、ブリッジ整流回路14のゲートドライブ回路29に送信する。これによってゲートドライブ回路29は、第2パルス生成部25からのパルス信号によって、ブリッジ整流回路14の各スイッチをオンオフするスイッチングタイミングを制御する。このように本実施形態では、主として一次側のPWM制御により出力電力を制御する。
【0027】
次に、制御装置23の具体的な制御に関して、まず
図2を用いて説明する。
図2では、従来制御として、ハードスイッチングが発生する制御である。
【0028】
図2に示すように、時刻t20では、インバータ11の第1スイッチQ1がオフ状態であり、第2スイッチQ2がオン状態にある。またインバータ11の第3スイッチQ3がオフ状態であり、第4スイッチQ4がオン状態にある。したがってインバータ11は、電流が第2スイッチQ2、送電コイル12、第4スイッチQ4を順に流れて循環する還流モードにある。この状態から時間が経過して時刻t21で、インバータ11の第1スイッチQ1がターンオンし、第2スイッチQ2がターンオフされる。すると送電コイル12に対して、直流電源30から送電コイル12に電圧が印加されて、インバータ11が伝達モードとなる。
【0029】
さらに時間が経過し、時刻t22では、ブリッジ整流回路14において、第5スイッチQ5および第8スイッチQ8がターンオフされ、第6スイッチQ6および第7スイッチQ7がターンオンされる。つまり、ブリッジ整流回路14のスイッチ状態が反転され、直流電源30から二次電池20に対して電力が伝達される。
【0030】
さらに時間が経過して、時刻t23では、インバータ11において、第3スイッチQ3がターンオンされ、第4スイッチQ4がターンオフされる。すると、インバータ11は、電流が第1スイッチQ1、送電コイル12、第3スイッチQ3を順に流れて循環する還流モードとなる。
【0031】
さらに時間が経過して、時刻t24では、インバータ11において、第2スイッチQ2がターンオンされ、第1スイッチQ1がターンオフされる。すると送電コイル12に対して、直流電源30から送電コイル12に電圧が印加されて、インバータ11が伝達モードとなる。
【0032】
ここで、従来制御における還流モードから伝達モードへの切り替え時に、インバータ11においてスイッチング損失の増大、あるいは素子破壊が懸念される。
図3の上方の波形のように、インバータ11を同期電流で使うと、インバータ11の出力電圧とインバータ11の出力電流との位相が揃う。このように位相が揃っている場合には、たとえばスイッチングが切り替わる時刻t32では、電流がゼロなので損失が少ない。
【0033】
しかし
図3の下方の波形のようにPWM制御すると、還流モードから伝達モードに切り替わる時刻t31の電流がゼロから乖離することがある。このようにインバータ11のPWMDuty比を100%未満にしたとき、インバータ11のスイッチングタイミングが電流のゼロクロスに一致しないため、スイッチング損失が大きくなる。
【0034】
さらに悪いことに、
図5に示すように、ハードリカバリに起因した過大なサージ電圧が発生し、素子破壊の一因となりうる。具体的には、
図4に示す状態では、インバータ11の第1スイッチQ1がオフ状態であり、第2スイッチQ2がオン状態にある。またインバータ11の第3スイッチQ3がオフ状態であり、第4スイッチQ4がオン状態にある。したがってインバータ11は、
図4で矢印で示すように、電流が第2スイッチQ2、送電コイル12、第4スイッチQ4を順に流れて循環する還流モードにある。
【0035】
この状態で、
図5に示すように、第1スイッチQ1をターンオンし、第2スイッチQ2をターンオフする。すると、第2スイッチQ2の還流ダイオードの逆方向に電流が流れる貫通電流が生じる。
図2では、時刻t21にて第1スイッチQ1をターンオンし、第2スイッチQ2をターンオフする。このときのトランス電流は、ゼロより大きい。これによって貫通電流が発生するので、ハードスイッチングとなる。
【0036】
また
図2では、時刻t22にて、ブリッジ整流回路14において、第5スイッチQ5および第8スイッチQ8がターンオフされ、第6スイッチQ6および第7スイッチQ7がターンオンされる。このときも出力電流の逆流値は、ゼロよりも小さい。これによって、時刻t22にて、ブリッジ整流回路14においても貫通電流が発生するので、ハードスイッチングとなる。
【0037】
そこで、本実施形態の制御装置23は、貫通電流を抑制するために、インバータ11の左右アームの位相差に応じてブリッジ整流回路14の左右アームのスイッチングタイミングを変更する。このような制御装置23の具体的な制御に関して、
図6を用いて説明する。
【0038】
図6に示すように、時刻t60では、インバータ11の第1スイッチQ1がオフ状態であり、第2スイッチQ2がオン状態にある。またインバータ11の第3スイッチQ3がオフ状態であり、第4スイッチQ4がオン状態にある。したがってインバータ11は、電流が第2スイッチQ2、送電コイル12、第4スイッチQ4を順に流れて循環する還流モードにある。この状態から時間が経過して時刻t61で、インバータ11の第1スイッチQ1がターンオンし、第2スイッチQ2がターンオフされる。すると送電コイル12に対して、直流電源30から送電コイル12に電圧が印加されて、インバータ11が伝達モードとなる。
【0039】
この第1スイッチQ1がターンオンし、第2スイッチQ2がターンオフする時刻t61では、入力電流およびトランス電流がゼロよりも小さい値である。このようにスイッチング時のトランス電流の極性がプラスではないので、ハードスイッチングが起こらない。極性がプラスにならないように、ブリッジ整流回路14の右アームと左アームと位相差が決定される。したがって従来制御のように、ブリッジ整流回路14のスイッチングタイミングが左右アームで同じタイミングではなく、
図6に示すように左右アームのスイッチングタイミングが異なる。具体的には、ブリッジ整流回路14の第5スイッチQ5がターンオフされ、第6スイッチQ6がターンオンされた時刻t62から第7スイッチQ7がターンオンされ、第8スイッチQ8がターンオフされた時刻t63からまでの時間が制御される。
【0040】
また時刻t62では、ブリッジ整流回路14において、第5スイッチQ5がターンオフされ、第6スイッチQ6がターンオンされる。このブリッジ整流回路14の左アームのスイッチングタイミングは、出力電流の閾値を超えたときである。出力電流の閾値は、出力電流の逆流値がゼロ以上、すなわちゼロまたはゼロよりも大きい値に設定されている。したがってスイッチング時の極性がマイナスでないので、ハードスイッチングが起こらない。
【0041】
またインバータ11の左右アームの位相差は、電圧制御または電力制御によって決定される。したがってインバータ11の第1スイッチQ1がターンオンし、第2スイッチQ2がターンオフした時刻t61から、インバータ11の第3スイッチQ3がターンオンし、第4スイッチQ4がターンオフされ時刻t64までの期間は、電圧制御によって決定される。
【0042】
以上説明したように本実施形態の非接触給電装置10では、インバータ11の左右アームの位相差に応じてブリッジ整流回路14の左右アームのスイッチングタイミングを変更している。このような構成にすると、スイッチング素子にスイッチングタイミングで流れる電流の極性を自由に決めることができる。したがって全ての入出力電圧条件および全ての負荷条件において、全ての素子がソフトスイッチング条件を満足するようにスイッチングを制御することができる。これによってインバータ11をPWM駆動した際のサージ電圧の低減、および非接触給電装置10の低損失化を実現できる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に関して、
図7を用いて説明する。本実施形態では、ブリッジ整流回路14の左右アームのスイッチングタイミングは、独立に制御される点に特徴を有する。
【0044】
また第2実施形態の受電装置15は、センサが第1実施形態よりも多く、電流センサ41、第2電流センサ42および第2電圧センサ43を備える。電流センサ41は、ブリッジ整流回路14の出力電流の正負の値を反転した値を検出し、制御装置23に送信する。第2電流センサ42は、送電装置16の平滑コンデンサ19からインバータ11に流れる電流を検出し、制御装置23に送信する。第2電圧センサ43は、送電装置16の平滑コンデンサ19の電圧を検出し、制御装置23に送信する。
【0045】
制御装置23は、第3パルス生成部44、信号比較部45および位相差検出部46をさらに備える。位相差検出部46には、第2電流センサ42および第2電圧センサ43が接続される。位相差検出部46は、各センサからの検出値に基づいて、インバータ11の位相差を検出し、整流回路位相差計算部27に送信する。
【0046】
整流回路位相差計算部27は、インバータ11の左右アームの位相差に基づいて、ブリッジ整流回路14の位相差を決定し、第3パルス生成部44に送信する。整流回路位相差計算部27は、インバータ11の対角にあるスイッチング素子同士がONし、伝達モードに切り替わるタイミングで、インバータ出力電流がゼロまたはマイナスになるように、右アームのスイッチングタイミングを遅らせるように位相差を決定する。そして第3パルス生成部44は、ブリッジ整流回路14の右アームのパルス信号を生成する。
【0047】
信号比較部45は、電流センサ41および電流閾値を比較し、ブリッジ整流回路14の左アームのスイッチングタイミングを変更する。電流閾値は、ゼロまたはゼロよりも大きい任意の値である。そして第2パルス生成部25は、信号比較部45からの比較結果に基いて、ブリッジ整流回路14の左アームのパルス信号を生成する。このように電流センサ41によって出力側の逆流電流をセンシングし、ゼロまたはゼロより大きい任意の電流閾値との比較を以て左アームのスイッチングタイミングを決定する。
【0048】
このように本実施形態では、ブリッジ整流回路14の左右アームを独立に制御する。出力側の逆流電流を用いて、電流閾値との比較からスイッチングタイミングを決めている。したがって電流閾値によって、入力電流がゼロより大きな値を取ったところでブリッジ整流回路14をスイッチングさせれば、二次側のソフトスイッチングが可能である(
図6の時刻t2参照)。
【0049】
また、ブリッジ整流回路14の左右アームの位相差を調整することで、インバータ11が伝達モードに切り替わるタイミングでインバータ出力電流がゼロ以下、すなわちゼロまたはマイナスになるように制御する。このように伝達モードに移行する際のインバータ出力電流が負の極性となるように二次側の位相差を制御することで、一次側のソフトスイッチングが可能である(
図6の時刻t1参照)。
【0050】
また本実施形態では、電流センサ41は、逆流方向を正として検出する電流検出部であるので、その後段につくアナログ制御器、あるいは比較回路の簡素化が可能であり、コストおよび体格の削減に効果がある。
【0051】
また本実施形態では、電圧センサ22、電流センサ41、第2電流センサ42、第2電圧センサ43、ゲートドライブ回路28,29は、制御装置23から独立されて構成されている。この結果、たとえばPWMポートを3相しか出せないインバータ専用マイコンと、電圧センサ22〜ゲートドライブ回路29までの機能を持ったカスタムICとを組み合わせても、制御を成立させることができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に関して、
図8を用いて説明する。本実施形態は、第2実施形態と類似しており、第2実施形態とは位相差検出部46の構成が異なる。また本実施形態の受電装置15は、第2実施形態とは異なり、第2電圧センサ43を備えていない。
【0053】
制御装置23は、第2信号比較部51を備える。第2信号比較部51は、第2電流センサ42の検出値と、閾値とを比較する。閾値は、ゼロまたはマイナスの値である。また第2信号比較部51は、インバータ11のスイッチングタイミングの同期信号も入力される。第2信号比較部51は、第2電流センサ42の検出値と閾値を比較して、同期信号を用いてインバータ11の位相差を算出し、整流回路位相差計算部27に送信する。
【0054】
このようにインバータ11の位相差を算出しても、前述の第2実施形態と同様の作用および効果を奏することができる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に関して、
図9を用いて説明する。本実施形態は、第3実施形態と類似しており、第3実施形態とは信号の経路が異なる。
【0056】
フィードバック演算部26は、第1パルス生成部24だけなく、信号比較部45にも信号を出力する。フィードバック演算部26は、信号比較部45に出力電圧制御によって導かれる電流閾値を出力する。信号比較部45は、電流センサ41によって検出された検出値と、出力電圧制御によって導かれる電流閾値とを比較する。信号比較部45は、比較結果を第2パルス生成部25だけでなく、整流回路位相差計算部27にも出力する。
【0057】
整流回路位相差計算部27には、信号比較部45および第2信号比較部51からの信号が入力される。整流回路位相差計算部27は、インバータ11の位相差と、ブリッジ整流回路14の左アームのスイッチングタイミングを用いて、ブリッジ整流回路14の位相差を計算する。これによってより高精度にブリッジ整流回路14の左右の位相差を制御することができる。したがって前述の第2実施形態と同様の作用および効果を奏することができる。
【0058】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に関して、
図10を用いて説明する。本実施形態は、第2実施形態の回路構成と類似しており、整流回路位相差計算部27に換えて制御マップ61を用いる点に特徴を有する。
【0059】
制御マップ61には、第2電流センサ42、第2電圧センサ43およびフィードバック演算部26が接続される。したがって制御マップ61には、第2電流センサ42によって入力電流が入力され、第2電圧センサ43によって入力電圧が入力される。また制御マップ61には、フィードバック演算部26によってインバータ11の左右アームの位相差が入力される。
【0060】
制御マップ61には、インバータ11の左右アームの位相差、入力電圧および入力電流と、ブリッジ整流回路14の左右アームのスイッチングタイミングとが関連付けられて記憶されている。したがって制御マップ61は、入力された情報に基づいて、ブリッジ整流回路14の位相差を読み出して決定し、遅延回路(delay)62に送信する。
【0061】
遅延回路62には、制御マップ61および信号比較部45が接続される。したがって遅延回路62には、信号比較部45からブリッジ整流回路14の左アームのスイッチングタイミングが入力される。また遅延回路62には、制御マップ61からブリッジ整流回路14の位相差が入力される。遅延回路62は、ブリッジ整流回路14の左アームのスイッチングタイミングから、ブリッジ整流回路14の位相差だけ遅らせた右アームのスイッチングタイミングを第3パルス生成部44に出力する。
【0062】
このように本実施形態の制御装置23は、インバータ11の左右アームの位相差、入力電圧および入力電流に応じた制御マップ61で定まる値を用いて、ブリッジ整流回路14の左右アームのスイッチングタイミングを変更する。このような構成によって、たとえば整流回路位相差計算部27などのマイコンによる演算回数を減らすことができる。
【0063】
また本実施形態では、電流閾値は、ゼロまたはゼロよりも大きい任意の値であるがこのような値に限るものではない。たとえば前述の第4実施形態のように、フィードバック演算部26から出力される出力電圧制御によって導かれる電流閾値を用いてもよい。
【0064】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0065】
上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0066】
前述の第1実施形態の回路構成に限るものではなく、電流共振型フルブリッジコンバータであっても適用可能である。
【0067】
前述の第1実施形態では、車両に非接触給電装置10を採用した場合について説明しているが、車両に限るものではない。他の移動手段であってもよく、二次電池20を備えた電化製品の充電に用いてもよい。
【0068】
前述の第1実施形態では、負荷は二次電池20であり、二次電池20の充電のために非接触で給電しているが、負荷は二次電池20に限るものではない。たとえば負荷は、モータなど電力を消費するものであってもよい。したがって非接触で送電しながら、受電装置15の負荷を駆動することができる。
【符号の説明】
【0069】
10…非接触給電装置 11…インバータ 12…送電コイル 13…受電コイル
14…ブリッジ整流回路 15…受電装置 16…送電装置
19…送電装置の平滑コンデンサ 20…二次電池(負荷)
21…受電装置の平滑コンデンサ 22…電圧センサ(電圧検出部)
23…制御装置 26…フィードバック演算部 27…整流回路位相差計算部
30…直流電源 41…電流センサ(電流検出部) 45…信号比較部
46…位相差検出部 51…第2信号比較部 61…制御マップ
Q1〜Q4…第1スイッチ〜第4スイッチ(インバータのスイッチング素子)
Q5〜Q8…第5スイッチ〜第8スイッチ(ブリッジ整流回路のスイッチング素子)