特許第6455338号(P6455338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6455338ガラスブロック及びガラスブロックパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6455338
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】ガラスブロック及びガラスブロックパネル
(51)【国際特許分類】
   E04C 1/42 20060101AFI20190110BHJP
   E04B 2/72 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   E04C1/42
   E04B2/72 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-128584(P2015-128584)
(22)【出願日】2015年6月26日
(65)【公開番号】特開2017-8691(P2017-8691A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 暁仁
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭36−032658(JP,Y1)
【文献】 特開平11−071850(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0066603(US,A1)
【文献】 実公昭49−005078(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 1/42
E04B 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなり、内部に空洞を有するガラスブロックであって、
第1の透光部を有する第1の主壁部と、
前記第1の主壁部と前記空洞を隔てて対向しており、第2の透光部を有する第2の主壁部とを有し、
前記第1及び第2の透光部が、それぞれ、空気と接する外表面と、前記空洞に臨む内表面とを有し、
前記第1及び第2の透光部のうち少なくとも一方において、前記外表面が平坦であり、前記内表面を前記外表面側へ湾曲させた凹部が形成されており、かつ前記凹部の外周端部から前記凹部の中央部に向かうにつれて前記透光部の厚みが薄くなっている、ガラスブロック。
【請求項2】
前記第1及び第2の透光部において、それぞれ、前記外表面が平坦であり、前記内表面を前記外表面側へ湾曲させた凹部が形成されており、かつ前記凹部の外周端部から前記凹部の中央部に向かうにつれて前記透光部の厚みが薄くなっている、請求項1に記載のガラスブロック。
【請求項3】
前記凹部が、球面状である、請求項1または2に記載のガラスブロック。
【請求項4】
前記第1及び第2の透光部のうち少なくとも一方において、前記凹部の外周端部における厚みと、前記凹部の中央部における厚みとの比(中央部における厚み/外周端部における厚み)が、0.2以上、0.6以下の範囲にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスブロック。
【請求項5】
前記第1及び第2の主壁部を結ぶ側壁部をさらに有し、
前記側壁部が、空気と接する側壁部外表面と、前記空洞に臨む側壁部内表面とを有し、
前記側壁部において、前記側壁部内表面を前記側壁部外表面側へ湾曲させた凹部が形成されており、かつ該凹部の第1及び第2の主壁部側のそれぞれの端縁から前記凹部の中央部に向かうにつれて、前記側壁部の厚みが薄くなっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスブロック。
【請求項6】
前記側壁部内表面が、前記凹部の第1及び第2の主壁部側のそれぞれの端縁から、前記凹部の中央部に向かって傾斜している、請求項5に記載のガラスブロック。
【請求項7】
複数個の請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラスブロックが整列配置されてなる、ガラスブロックパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなるガラスブロック及び該ガラスブロックを用いたガラスブロックパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラスブロックは、断熱性、遮音性及び透光性に優れた壁材として広く用いられている。下記の特許文献1には、有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなるガラスブロックが開示されている。特許文献1のガラスブロックでは、透光面の外表面及び内表面を内方に湾曲させた凹部が形成されている。上記凹部の肉厚は、その底部に近づくにつれて薄くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−279756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラスブロック内の圧力は、通常、0.3気圧程度と真空に近い状態となっている。ここで、大気圧を1気圧とすると、ガラスブロックの透光面には、約0.7気圧の圧力がかかることとなり、透光面が内方へ押圧されることとなる。特に、透光面が平坦である場合、上記圧力により透光面が内方へたわみ、透光面の外周端部近傍に局所的に曲げモーメントが作用する。その結果、透光面の外周端部の外表面側に引っ張り歪みが集中することとなるため、その箇所に少しでも傷があるとガラスブロックが破損することがあった。
【0005】
一方で、特許文献1のガラスブロックのように、透光面の外表面及び内表面を内方に湾曲させた凹部が形成されている場合、断熱性が不十分となる場合があった。
【0006】
本発明の目的は、断熱性に優れ、かつ破損が生じ難い、ガラスブロック及び該ガラスブロックを用いたガラスブロックパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガラスブロックは、有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなり、内部に空洞を有するガラスブロックであって、第1の透光部を有する第1の主壁部と、前記第1の主壁部と前記空洞を隔てて対向しており、第2の透光部を有する第2の主壁部とを有し、前記第1及び第2の透光部が、それぞれ、空気と接する外表面と、前記空洞に臨む内表面とを有し、前記第1及び第2の透光部のうち少なくとも一方において、前記外表面が平坦であり、前記内表面を前記外表面側へ湾曲させた凹部が形成されており、かつ前記凹部の外周端部から前記凹部の中央部に向かうにつれて前記透光部の厚みが薄くなっていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係るガラスブロックは、好ましくは、前記第1及び第2の透光部において、それぞれ、前記外表面が平坦であり、前記内表面を前記外表面側へ湾曲させた凹部が形成されており、かつ前記凹部の外周端部から前記凹部の中央部に向かうにつれて前記透光部の厚みが薄くなっている。
【0009】
本発明に係るガラスブロックは、好ましくは、前記凹部が、球面状である。
【0010】
本発明に係るガラスブロックは、好ましくは、前記第1及び第2の透光部のうち少なくとも一方において、前記凹部の外周端部における厚みと、前記凹部の中央部における厚みとの比(中央部における厚み/外周端部における厚み)が、0.2以上、0.6以下の範囲にある。
【0011】
本発明に係るガラスブロックは、前記第1及び第2の主壁部を結ぶ側壁部をさらに有し、前記側壁部が、空気と接する側壁部外表面と、前記空洞に臨む側壁部内表面とを有し、前記側壁部において、前記側壁部内表面を前記側壁部外表面側へ湾曲させた凹部が形成されており、かつ該凹部の第1及び第2の主壁部側のそれぞれの端縁から前記凹部の中央部に向かうにつれて、前記側壁部の厚みが薄くなっていてもよい。好ましくは、前記側壁部内表面が、前記凹部の第1及び第2の主壁部側のそれぞれの端縁から、前記凹部の中央部に向かって傾斜している。
【0012】
本発明に係るガラスブロックパネルは、複数個の本発明に従って構成されるガラスブロックが整列配置されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、断熱性に優れ、かつ破損が生じ難い、ガラスブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るガラスブロックを示す模式的正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るガラスブロックを示す模式的側面図である。
図3図1中のA−A線に沿う模式的側面断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るガラスブロックを用いたガラスブロックパネルを示す模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0016】
(ガラスブロック)
図1は、本発明の一実施形態に係るガラスブロックを示す模式的正面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るガラスブロックを示す模式的側面図である。図3は、図1中のA−A線に沿う模式的側面断面図である。
【0017】
図1図3に示すガラスブロック1は、有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなる。ガラスブロック1は、内部に空洞7を有する。空洞7内の圧力は、0.3気圧程度と低められている。
【0018】
ガラスブロック1は、第1及び第2の主壁部2,3と、側壁部4とを有する。第1及び第2の主壁部2,3は、空洞7を隔てて互いに対向している。側壁部4は、第1及び第2の主壁部2,3を結んでいる。
【0019】
第1の主壁部2は、第1の透光部5、半透明部8、傾斜部9及び額縁部10を有する。第1の透光部5は、外表面5aと、内表面5bとを有する。外表面5aは、第1の透光部5の空気と接する側の表面である。他方、内表面5bは、第1の透光部5の空洞7に臨んでいる側の表面である。
【0020】
第1の透光部5の外表面5aは、平坦である。また、第1の透光部5には、内表面5bを外表面5a側へ湾曲させた第1の凹部5cが形成されている。第1の凹部5cは、球面状である。第1の透光部5は、第1の凹部5cの外周端部5dから中央部5eに向かうにつれて、厚みが薄くなっている。
【0021】
図1に示すように、第1の透光部5の外周縁より外側には、半透明部8が設けられている。半透明部8は、すりガラス状である。半透明部8よりさらに外側には、傾斜部9を隔てて、額縁部10が設けられている。なお、傾斜部9は、額縁部10から半透明部8に向かう方向において、ガラスブロック1の内部側に傾斜している傾斜面である。
【0022】
第2の主壁部3は、第2の透光部6を有する。第2の透光部6は、外表面6aと、内表面6bとを有する。外表面6aは、第2の透光部6の空気と接する側の表面である。他方、内表面6bは、第2の透光部6の空洞7に臨んでいる側の表面である。
【0023】
第2の透光部6の外表面6aは、平坦である。また、第2の透光部6には、内表面6bを外表面6a側へ湾曲させた第2の凹部6cが形成されている。第2の凹部6cは、球面状である。第2の透光部6は、第2の凹部6cの外周端部6dから中央部6eに向かうにつれて、厚みが薄くなっている。
【0024】
なお、本実施形態においては、図示を省略しているが、第2の主壁部3においても、第1の主壁部2と同様に、第2の透光部6より外側に半透明部8、傾斜部9及び額縁部10が設けられている。
【0025】
側壁部4は、側壁部外表面4aと、側壁部内表面4bとを有する。側壁部外表面4aは、側壁部4の空気と接する側の表面である。他方、側壁部内表面4bは、側壁部4の空洞7に臨んでいる側の表面である。
【0026】
側壁部外表面4aは、平坦である。また、側壁部4には、側壁部内表面4bを側壁部外表面4a側へ湾曲させた第3の凹部4cが形成されている。側壁部4は、第3の凹部4cの端縁4dから、第3の凹部4cの中央部である融着部4eに向かうにつれて、厚みが薄くなっている。より具体的に、本実施形態では、第3の凹部4cの端縁4dから融着部4eに向かって、側壁部内表面4bが傾斜している。従って、側壁部内表面4bは、端縁4dから融着部4eに向かって傾斜している傾斜面である。なお、本発明においては、側壁部4に第3の凹部4cが設けられていなくてもよく、側壁部内表面4bは平坦であってもよい。
【0027】
ガラスブロック1を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、またはホウケイ酸ガラスにフッ化物やリン酸塩を添加して乳白させたガラスなどを用いることができる。
【0028】
ガラスブロック1において、外周端部5d,6dにおける厚みと、中央部5e,6eにおける厚みとの比(中央部5e,6eにおける厚み/外周端部5d,6dにおける厚み)は、0.2以上、0.6以下の範囲にあることが好ましい。
【0029】
上記比が大きすぎると、ガラスブロック1を十分に軽量化できない場合がある。他方、上記比が小さすぎると、ガラスブロック1の破損が生じることがある。
【0030】
また、ガラスブロック1において、第1及び第2の凹部5c,6cは、球面状である。もっとも、第1及び第2の凹部5c,6cの形状は、球面状でなくともよいが、応力の集中を抑えるために角部のない形状であることが望ましい。
【0031】
第1及び第2の凹部5c,6cは、それぞれ、半径200〜1700mmの曲率を有する真球面であることが好ましい。上記半径が上記下限以上である場合、後述するガラスブロック1の断熱性をより一層高めることができる。他方、上記半径が上記上限以下である場合、ガラスブロック1の破損をより一層生じ難くすることができる。
【0032】
また、本発明において、側壁部内表面4bは、図3に示す角度θが、2度〜10度傾斜している傾斜面であることが好ましい。上記角度θが上記下限以上である場合、後述するガラスブロック1の断熱性をより一層高めることができる。他方、上記角度θが上記上限以下である場合、ガラスブロック1の破損をより一層生じ難くすることができる。なお、本実施形態において、角度θは、側壁部外表面4aに平行な直線と側壁部内表面4bのなす角度である。
【0033】
本実施形態に係るガラスブロック1では、上記のように、第1及び第2の透光部5,6の内表面5b,6bに、第1及び第2の凹部5c,6cが設けられている。そのため、内表面5b,6bが平坦な場合と比較して、空洞7の体積が大きくなっている。空洞7内の圧力は、0.3気圧程度と真空に近い状態であるため、空洞7の体積が大きいほど、ガラスブロック1の熱伝導率は低められる。従って、空洞7の体積が大きいガラスブロック1では、断熱性が高められている。
【0034】
加えて、本実施形態では、側壁部4においても、第3の凹部4cが形成されている。そのため、ガラスブロック1の断熱性は、より一層効果的に高められている。
【0035】
また、本実施形態では、第1及び第2の透光部5,6の厚みが、それぞれ、外周端部5d,6dから中央部5e,6eに向かうにつれて薄くなっている。そのため、ガラスブロック1の軽量化を図ることができる。また、ガラスブロック1の破損も生じ難い。これを以下、詳細に説明する。
【0036】
ガラスブロック1では、空洞7内の圧力が、0.3気圧程度である。そのため、大気圧を1気圧とすると、第1及び第2の透光部5,6には、約0.7気圧の圧力がかかり、第1及び第2の透光部5,6が、空洞7側へ押圧されることとなる。
【0037】
その結果、上記圧力により第1及び第2の透光部5,6が空洞7側へたわみ、外周端部5d,6dに局所的に曲げモーメントが作用する。そのため、外周端部5d,6dでは、外表面5a,6a側に引っ張り歪みが集中することとなる。
【0038】
しかしながら、本実施形態では、中央部5e,6eに向かって厚みを薄くしているものの、外周端部5d,6dにおける厚みは十分に確保されている。そのため、ガラスブロック1では、引っ張り歪みが集中する外周端部5d,6dにおいても、破損が生じ難い。一方で、ガラスブロック1では、中央部5e,6eに向かって厚みを薄くしているため、軽量化することもできる。よって、ガラスブロック1においては、軽量化を図りつつ、破損を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、側壁部4においても、第3の凹部4cの端縁4dから融着部4eに向かって、厚みが薄くなっている。そのため、ガラスブロック1では、より一層軽量化を図りつつ、破損をより一層効果的に抑制することができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、第1及び第2の透光部5,6の厚みが、それぞれ、外周端部5d,6dから中央部5e,6eに向かうにつれて薄くなっているため、高周波域での遮音性も低下し難い。よって、ガラスブロック1は、高周波域における遮音性にも優れている。
【0041】
また、ガラスブロック1では、第1及び第2の主壁部2,3に、すりガラス状の半透明部8が設けられているため、意匠性にも優れている。
【0042】
なお、本発明においては、第1及び第2の透光部5,6の少なくとも一方が、上記実施形態で示した構造を有していればよい。その場合においても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
ガラスブロック1の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0044】
まず、溶融ガラスをプレス成形し、有底無蓋の箱型形状を有するガラス成形体を2個作製する。このとき、ガラス成形体の底部の内表面には凹部が形成され、一方で外表面が平坦となるような金型を用いてプレス成形する。また、上記金型としては、ガラス成形体の側壁部が、底部側から開放端側に向かって厚みが薄くなるような金型を用いることが好ましい。
【0045】
次に、作製した一対のガラス成形体を、互いの開放端縁が向かい合うように配置し、各開放端縁を加熱して軟化させる。その後、開放端縁同士が正確に重なるように両ガラス成形体を接触させて熔着一体化させる。それによって、ガラスブロック1を得ることができる。
【0046】
なお、上記金型に接する外表面5a,6aが、凸状又は凹状の場合、上記金型から取り外す際に歪みが生じることがある。これに対して、本実施形態では、金型に接する外表面5a,6aが平坦である。そのため、ガラスブロック1では、上記金型から取り外す際に歪みが生じ難い。従って、ガラスブロック1は、容易に製造することができる。
【0047】
(ガラスブロックパネル)
図4は、本発明の一実施形態に係るガラスブロックを用いたガラスブロックパネルを示す模式的正面図である。図4に示すように、ガラスブロックパネル11では、複数のガラスブロック1が相互に間隔を設けて整列配置されている。上記複数のガラスブロック1の間隔内には、モルタルが充填固化されたモルタル層12が設けられている。
【0048】
本実施形態においては、ガラスブロックパネル11を構成しているガラスブロックの全てがガラスブロック1である。もっとも、本発明に係るガラスブロックパネルでは、複数のガラスブロックのうち少なくとも一部が、本発明に従って構成されるガラスブロックであればよい。
【0049】
上記モルタルとしては、セメントと砂等の骨材を約1:3の割合で混合し、これに水を加えて混練してなるモルタルを用いることができる。また、骨材の30〜100重量%を無機質中空体で置換した軽量モルタルを用いてもよい。このようなモルタルを使用した場合、ガラスブロックパネルをより一層軽量化できるため好ましい。上記無機中空体としては、例えば、パーライトバルーンを用いることができる。
【0050】
ガラスブロックパネル11の製造方法は、特に限定されない。例えば、以下の方法により製造することができる。
【0051】
まず、複数個のガラスブロック1を相互に間隔を設けて配置する。次に、各ガラスブロック1の間隔内に、モルタルを充填する。ここで、ガラスブロック1の間隔内には、予め鉄筋を配筋しておくことが望ましい。最後に、乾燥養生させることにより、ガラスブロックパネル11を得ることができる。
【0052】
本実施形態に係るガラスブロックパネル11では、複数のガラスブロック1が整列配置されてなるので、断熱性に優れている。また、ガラスブロックパネル11の軽量化を図りつつ、ガラスブロックパネル11の破損を抑制することもできる。
【0053】
ところで、ガラスブロックパネル11においては、複数のガラスブロック1が積層されている。ここで、ガラスブロック1の側壁部内表面4bは、上述したように、端縁4dから、融着部4eに向かって傾斜している。そのため、複数のガラスブロック1が積層された場合、積層方向において、各ガラスブロック1にかかる応力が分散されることとなる。従って、ガラスブロックパネル11の積層方向における強度を高めることができる。
【0054】
なお、本発明において、ガラスブロック1の側壁部内表面4bは、平坦であってもよい。もっとも、ガラスブロックパネル11として積み上げたときの積層方向における強度をより一層高める観点から、ガラスブロック1の側壁部内表面4bは、端縁4dから、融着部4eに向かって傾斜していることが好ましい。
【符号の説明】
【0055】
1…ガラスブロック
2,3…第1,第2の主壁部
4…側壁部
5,6…第1,第2の透光部
4a…側壁部外表面
4b…側壁部内表面
4c…第3の凹部
4d…端縁
4e…融着部
5a,6a…外表面
5b,6b…内表面
5c,6c…第1,第2の凹部
5d,6d…外周端部
5e,6e…中央部
7…空洞
8…半透明部
9…傾斜部
10…額縁部
11…ガラスブロックパネル
12…モルタル層
図1
図2
図3
図4