特許第6455356号(P6455356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6455356
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】エレベータ監視システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20190110BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20190110BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   G06Q50/16
   G06Q10/04
   B66B5/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-153085(P2015-153085)
(22)【出願日】2015年8月3日
(65)【公開番号】特開2017-33323(P2017-33323A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2017年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】文屋 太陽
(72)【発明者】
【氏名】西山 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 明彦
(72)【発明者】
【氏名】松枝 豊
(72)【発明者】
【氏名】早川 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 慶博
【審査官】 谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−203562(JP,A)
【文献】 特開2007−286894(JP,A)
【文献】 特開2004−197554(JP,A)
【文献】 特開2004−110117(JP,A)
【文献】 特開2013−109558(JP,A)
【文献】 特許第5725258(JP,B2)
【文献】 特開2012−247821(JP,A)
【文献】 特開2010−237737(JP,A)
【文献】 特開2013−235448(JP,A)
【文献】 特開2002−350559(JP,A)
【文献】 特開2013−109484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
降雨情報に基づいて地域ごとの累積降水量を予測する累積降水量予測部と、
地形情報と前記累積降水量予測部により予測された累積降水量と当該地域よりも河川の上流にある地域の累積降水量とに基づいてエレベータが設けられた建築物ごとの浸水高を予測する浸水高予測部と、
建築物における現在または過去の冠水情報と水槽氾濫情報と停電情報とのうちの少なくとも1つと前記浸水高予測部により予測された浸水高とに基づいて警戒情報の出力対象となるエレベータを備えた建築物を判定し、その後の予測降水量と累積降水量と周辺の累積降水量と微地形勾配とに基づいて警戒情報の出力対象から除外するエレベータを備えた建築物を判定する対象建築物判定部と、
を備えたエレベータ監視システム。
【請求項2】
前記対象建築物判定部による判定結果に基づいて警戒情報の出力対象となるエレベータに対応したエレベータ監視装置に警戒情報を送信する警戒情報送信部、
を備えた請求項に記載のエレベータ監視システム。
【請求項3】
前記警戒情報送信部は、前記対象建築物判定部により警戒情報の出力対象となるエレベータを備えた建築物と判定された建築物から予め設定された範囲の内部に存在する保守員の携帯端末に警戒情報または帰宅経路情報を送信する請求項に記載のエレベータ監視システム。
【請求項4】
建築物における現在の冠水情報と水槽氾濫情報と建築物の停電情報を受信する外部情報受信部、
を備え、
前記警戒情報送信部は、前記外部情報受信部が建築物における現在の冠水情報と水槽氾濫情報と停電情報とのうちの少なくとも1つを受信した際に当該建築物から予め設定された範囲の内部に存在する建築物のエレベータ監視装置または保守員の携帯端末に警戒情報を送信する請求項または請求項に記載のエレベータ監視システム。
【請求項5】
前記警戒情報送信部は、前記対象建築物判定部により警戒情報の出力対象となるエレベータを備えた建築物のエレベータ監視装置に前記浸水高予測部により予測された浸水高に応じた警戒情報を送信する請求項から請求項のいずれか一項に記載のエレベータ監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータ監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベータ監視システムを開示する。当該エレベータ監視システムは、降水量情報と地形情報とに基づいてエレベータが設けられた建築物ごとの浸水高を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−203562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいては、降水量に関して当該地域の降水量情報しか考慮されない。このため、エレベータが設けられた建築物ごとの浸水高を正確に予測することができない。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、エレベータが設けられた建築物ごとの浸水高をより正確に予測することができるエレベータ監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ監視システムは、降雨情報に基づいて地域ごとの累積降水量を予測する累積降水量予測部と、地形情報と前記累積降水量予測部により予測された累積降水量と当該地域よりも河川の上流にある地域の累積降水量とに基づいてエレベータが設けられた建築物ごとの浸水高を予測する浸水高予測部と、建築物における現在または過去の冠水情報と水槽氾濫情報と停電情報とのうちの少なくとも1つと前記浸水高予測部により予測された浸水高とに基づいて警戒情報の出力対象となるエレベータを備えた建築物を判定し、その後の予測降水量と累積降水量と周辺の累積降水量と微地形勾配とに基づいて警戒情報の出力対象から除外するエレベータを備えた建築物を判定する対象建築物判定部と、を備えた。

【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、エレベータが設けられた建築物ごとの浸水高は、地形情報と累積降水量予測部により予測された累積降水量と当該地域よりも河川の上流にある地域の累積降水量とに基づいて予測される。このため、エレベータが設けられた建築物ごとの浸水高をより正確に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1におけるエレベータ監視システムのブロック図である。
図2】この発明の実施の形態1におけるエレベータ監視システムにおける第1閾値から第3閾値の設定方法を説明するための図である。
図3】この発明の実施の形態1におけるエレベータ監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図4】この発明の実施の形態1におけるエレベータ監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図5】この発明の実施の形態1におけるエレベータ監視システムのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータ監視システムのブロック図である。
【0011】
図1において、複数の建築物1は、様々な地域に設けられる。各建築物1の各々は、エレベータ2を備える。エレベータ監視装置3の各々は、エレベータ2の各々に対応して設けられる。例えば、エレベータ監視システム4は、エレベータ2の保守会社に設けられる。
【0012】
エレベータ監視システム4は、様々な地域の各々の内部に存在する複数の建築物1に設けられた各々のエレベータ2の保守点検状況を集中管理する。具体的には、エレベータ監視システム4は、記憶部4aと外部情報受信部4bと累積降水量予測部4cと表示部4dと浸水高予測部4eと浸水警戒判定部4fと対象建築物判定部4gと警戒情報送信部4hとを備える。
【0013】
記憶部4aは、地形情報と浸水想定区域図情報と顧客施設管理情報と保守員位置情報を備える。例えば、地形情報は、地域の各々における3次元の形状の情報を含む。例えば、浸水想定区域図情報は、国土交通省が管理する浸水想定区域図の情報を含む。例えば、顧客施設管理情報は、建築物の位置情報と過去に発生した建築物1ごとの冠水情報と水槽氾濫情報と停電情報とを含む。保守員位置情報は、保守員が存在する位置の情報を含む。
【0014】
外部情報受信部4bは、公衆回線ネットワークに接続され、様々な情報を外部から受信する。例えば、外部情報受信部4bは、気象庁が管理する高解像度降水ナウキャストの降水量を含む降雨情報を公衆回線ネットワークに接続された気象業務支援センターから5分ごとに受信する。例えば、外部情報受信部4bは、国土交通省が管理する河川における雨量情報と水位情報と流量情報とを公衆回線ネットワークから1時間ごとに受信する。例えば、外部情報受信部4bは、建築物1内の現在のエレベータ2のピット等の冠水情報と、給排水設備用水槽等の水槽氾濫情報と、エレベータ2の照明電源や動力電源、或いは受変電設備等の停電情報とを公衆回線ネットワークに接続されたエレベータ監視装置3から受信する。
【0015】
累積降水量予測部4cは、外部情報受信部4bが受信した5分間の降水量を記憶部4aの地形情報の領域にプロットする。累積降水量予測部4cは、250mメッシュの地域ごとに累積降水量を予測する。累積降水量予測部4cは、1時間後までの降水量に基づいて地域ごとに1時間後までの累積降水量を予測する。
【0016】
表示部4dは、累積降水量予測部4cにより予測された累積降水量を地域ごとに表示する。表示部4dは、累積降水量予測部4cにより予測された1時間後までの累積降水量を地域ごとに表示する。
【0017】
浸水高予測部4eは、「メッシュ流出モデル」を用いて累積降水量予測部4cにより予測された累積降水量から建築物1ごとの浸水高を予測する。例えば、浸水高予測部4eは、「メッシュ流出モデル」を用いて記憶部4aに記憶された地形情報の10mまたは50mのメッシュの標高値等の微地形勾配と累積降水量予測部4cにより予測された累積降水量とから流出量を計算する。浸水高予測部4eは、当該流出量に基づいて建築物1ごとの浸水高を予測する。
【0018】
なお、「メッシュ流出モデル」は、メッシュごとに降水量を入力し、地中への雨の浸透、地中を伝わる流出、地表面を伝わる流出を計算するモデルである。「メッシュ流出モデル」においては、メッシュの境界に沿って流路が近似されることで、メッシュから集まる流出が下流に向けて追跡される。
【0019】
浸水高予測部4eは、地域の各々の河川における雨量情報と水位情報と流量情報と当該地域よりも河川の上流にある地域の累積降水量とを考慮して建築物1ごとの浸水高を予測する。
【0020】
浸水警戒判定部4fは、浸水高予測部4eにより予測された浸水高に基づいて建築物1ごとに浸水警戒の判定を行う。例えば、浸水警戒判定部4fは、数値演算、論理演算等により,浸水警戒の判定を行う。例えば、判定情報は、2値あるいは階級出力となる。記憶部4aが河川浸水想定区域図情報または内水浸水想定区域図情報を備える場合、浸水警戒判定部4fは、地域の各々の河川における雨量情報と水位情報と流量情報と累積降水量情報とに基づいて河川の浸水または内水の可能性の判定も合わせて行う。
【0021】
対象建築物判定部4gは、浸水警戒判定部4fの判定結果に応じた警戒情報の出力対象となるエレベータ2を備えた建築物1を判定する。例えば、対象建築物判定部4gは、記憶部4aに記憶された顧客施設管理情報における過去の冠水情報と水槽氾濫情報と停電情報の少なくとも1つと対応履歴とを考慮して警戒情報の出力対象となるエレベータ2を備えた建築物1を判定する。例えば、対象建築物判定部4gは、現在の冠水情報と水槽氾濫情報と停電情報の少なくとも1つを考慮して警戒情報の出力対象となるエレベータ2を備えた建築物1を判定する。複数の対象の建築物1が存在する場合、対象建築物判定部4gは、複数の対象の建築物1に対して復旧作業を行う際の優先順位を決定する。
【0022】
対象建築物判定部4gは、1時間後の予測降水量と累積降水量と周辺の累積降水量と微地形勾配とに基づいて警戒情報の出力対象から除外するエレベータ2を備えた建築物1を判定する。
【0023】
警戒情報送信部4hは、対象建築物判定部4gによる判定結果に基づいて警戒情報の出力対象となるエレベータ2に対応したエレベータ監視装置3に警戒情報を送信する。例えば、浸水高予測部4eにより予測された浸水高が第1閾値を超えた場合、警戒情報送信部4hは、当該建築物1のエレベータ監視装置3に第1警戒情報を送信する。例えば、浸水高予測部4eにより予測された浸水高が第2閾値を超えた場合、警戒情報送信部4hは、当該建築物1のエレベータ監視装置3に第2警戒情報を送信する。例えば、浸水高予測部4eにより予測された浸水高が第3閾値を超えた場合、警戒情報送信部4hは、当該建築物1のエレベータ監視装置3に第3警戒情報を送信する。
【0024】
警戒情報送信部4hは、対象建築物判定部4gによる判定結果に基づいて警戒情報の出力対象から除外するエレベータ2に対応したエレベータ監視装置3に解除情報を送信する。例えば、浸水高予測部4eにより予測された浸水高が第1閾値を超えた後に第1閾値未満となった場合、警戒情報送信部4hは、当該建築物1のエレベータ監視装置3に解除情報を送信する。
【0025】
例えば、警戒情報送信部4hは、対象建築物判定部4gにより警戒情報の出力対象となるエレベータ2を備えた建築物1と判定された建築物1から予め設定された範囲の内部に存在する保守員の携帯端末5に警戒情報または帰宅経路情報を送信する。
【0026】
例えば、警戒情報送信部4hは、外部情報受信部4bが建築物1における現在の冠水情報と水槽氾濫情報と停電情報とのうちの少なくとも1つを受信した際に当該建築物1から予め設定された範囲の内部に存在する建築物1のエレベータ監視装置3に警戒情報を送信する。例えば、警戒情報送信部4hは、外部情報受信部4bが建築物1における現在の冠水情報と水槽氾濫情報と停電情報とのうちの少なくとも1つを受信した際に当該建築物1から予め設定された範囲の内部に存在する保守員の携帯端末5に警戒情報を送信する。
【0027】
エレベータ監視装置3は、警戒情報送信部4hから受信した情報に基づいてエレベータ2を制御する。例えば、エレベータ監視装置3は、警戒情報送信部4hから第1警戒情報を受信した際にエレベータ2のかごの内部にあるディスプレイに注意喚起のメッセージを表示させる。例えば、エレベータ監視装置3は、警戒情報送信部4hから第1警戒情報を受信した際にエレベータ2のかごの内部にあるスピーカに注意喚起の音声を出力させる。例えば、エレベータ監視装置3は、警戒情報送信部4hから第2警戒情報を受信した際にエレベータ2のかごが利用されていない場合に当該かごを上方階で待機させる。例えば、エレベータ監視装置3は、警戒情報送信部4hから第3警戒情報を受信した際にエレベータ2のかごを上方階で休止させる。例えば、エレベータ監視装置3は、警戒情報送信部4hから解除情報を受信した際にエレベータ2を通常運転に戻す。
【0028】
次に、図2を用いて、第1閾値から第3閾値の設定方法を説明する。
図2はこの発明の実施の形態1におけるエレベータ監視システムにおける第1閾値から第3閾値の設定方法を説明するための図である。
【0029】
累積降水量予測部4cは、5分間の積算降水量を1時間分積算することにより1時間の積算降水量を予測する。この際の誤差は、70%の確率で−2εから+εの範囲の内部に入る。第1閾値から第3閾値は、当該誤差を考慮して設定される。
【0030】
高解像度降水ナウキャストにおいては、予測された降水量が実際の降水量よりも多くなることが多い。このため、確率の区間を予測値よりも少ない側に広く取ることでεの値を小さくすることができる。
【0031】
次に、図3図4とを用いて、エレベータ監視システム4の動作を説明する。
図3図4とはこの発明の実施の形態1におけるエレベータ監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0032】
ステップS1では、累積降水量予測部4cは、地域ごとに1時間後までの累積降水量を予測する。ステップS2では、浸水高予測部4eは、「メッシュ流出モデル」を用いて累積降水量予測部4cにより予測された累積降水量から地域ごとの浸水高を予測する。ステップS3では、浸水高予測部4eは、地域の各々の河川における雨量情報と水位情報と流量情報と当該地域よりも河川の上流にある地域の累積降水量とに基づいて地域ごとの浸水高を予測する。
【0033】
ステップS4では、浸水警戒判定部4fは、当該建築物1において累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第1閾値を超えているか否かを判定する。
【0034】
ステップS4で累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第1閾値を超えていない場合は、ステップS5に進む。ステップS5では、対象建築物判定部4gは、当該建築物1が警戒情報の出力対象となるエレベータ2を備えていないと判定する。
【0035】
ステップS4で累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第1閾値を超えている場合は、ステップS6に進む。ステップS6では、浸水警戒判定部4fは、当該建築物1において累積降水量予測部4cに予測された浸水高が第2閾値を超えているか否かを判定する。
【0036】
ステップS6で累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第2閾値を超えていない場合は、ステップS7に進む。ステップS7では、対象建築物判定部4gは、当該建築物1が第1警戒情報の出力対象となるエレベータ2を備えていると判定する。この際、警戒情報送信部4hは、当該建築物1のエレベータ監視装置3に第1警戒情報を送信する。
【0037】
ステップS6で累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第2閾値を超えている場合は、ステップS8に進む。ステップS8では、警戒情報送信部4hは、当該建築物1が存在する地域に保守員が存在するか否かを判定する。
【0038】
ステップS8で当該建築物1が存在する地域に保守員が存在しない場合は、動作が終了する。ステップS8で当該建築物1が存在する地域に保守員が存在する場合は、ステップS9に進む。ステップS9では、警戒情報送信部4hは、当該保守員の携帯端末5に警戒情報を送信する。
【0039】
ステップS6で累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第2閾値を超えている場合は、ステップS10にも進む。ステップS10では、浸水警戒判定部4fは、累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第3閾値を超えているか否かを判定する。
【0040】
ステップS10で累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第3閾値を超えていない場合は、ステップS11に進む。ステップS11では、対象建築物判定部4gは、当該建築物1が第2警戒情報の出力対象となるエレベータ2を備えていると判定する。この際、警戒情報送信部4hは、当該建築物1のエレベータ監視装置3に第2警戒情報を送信する。
【0041】
ステップS10で累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第3閾値を超えている場合は、ステップS8に進む。ステップS8では、警戒情報送信部4hは、当該建築物1が存在する地域に保守員が存在するか否かを判定する。
【0042】
ステップS8で当該建築物1が存在する地域に保守員が存在しない場合は、動作が終了する。ステップS8で当該建築物1が存在する地域に保守員が存在する場合は、ステップS9に進む。ステップS9では、警戒情報送信部4hは、当該保守員の携帯端末5に警戒情報を送信する。
【0043】
ステップS10で累積降水量予測部4cにより予測された浸水高が第3閾値を超えている場合は、ステップS12にも進む。ステップS12では、対象建築物判定部4gは、当該建築物1が第3警戒情報の出力対象となるエレベータ2を備えていると判定する。この際、警戒情報送信部4hは、当該建築物1のエレベータ監視装置3に第3警戒情報を送信する。
【0044】
以上で説明した実施の形態1によれば、エレベータ2が設けられた建築物1ごとの浸水高は、地形情報と累積降水量予測部4cにより予測された累積降水量と当該地域よりも河川の上流にある地域の累積降水量とに基づいて予測される。このため、エレベータ2が設けられた建築物1ごとの浸水高をより正確に予測することができる。
【0045】
また、警戒情報の出力対象となるエレベータ2を備えた建築物1は、現在または過去の冠水情報と水槽氾濫情報と建築物の停電情報とのうちの少なくとも1つと浸水高予測部4eにより予測された浸水高とに基づいて判定される。このため、エレベータ2のかごの利用者が大雨によって閉じ込められることをより確実に防止できる。
【0046】
また、警戒情報送信部4hは、対象建築物判定部4gによる判定結果に基づいて警戒情報の出力対象となるエレベータ2に対応したエレベータ監視装置3に警戒情報を送信する。このため、エレベータ2の管制運転を適切なタイミングで開始することができる。エレベータの機器の故障を最小限に抑止することができる。
【0047】
また、警戒情報送信部4hは、警報の出力対象となるエレベータ2を備えた建築物1から予め設定された範囲の内部に存在する保守員の携帯端末5に警戒情報または帰宅経路情報を送信する。このため、保守員の安全を確保することができる。
【0048】
また、警戒情報送信部4hは、外部情報受信部4bが冠水情報と水槽氾濫情報と停電情報とのうちの少なくとも1つを受信した際に当該建築物1から予め設定された範囲の内部に存在する建築物1のエレベータ監視装置3または保守員の携帯端末5に警戒情報を送信する。このため、エレベータ2のかごの利用者が大雨によって閉じ込められることをより確実に防止できる。また、保守員の安全をより確実に確保することができる。
【0049】
また、警戒情報送信部4hは、エレベータ監視装置3に浸水高予測部4eにより予測された浸水高に応じた警戒情報を送信する。このため、エレベータ2の管制運転を浸水高に応じて適切に設定することができる。その結果、エレベータの利用者の安全を確保することができる。
【0050】
次に、図5を用いて、エレベータ監視システム4の例を説明する。
図5はこの発明の実施の形態1におけるエレベータ監視システムのハードウェア構成図である。
【0051】
エレベータ監視システム4の各機能は、処理回路により実現される。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ6aと少なくとも1つのメモリ6bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア7を備える。
【0052】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ6aと少なくとも1つのメモリ6bとを備える場合、エレベータ監視システム4の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ6bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ6aは、少なくとも1つのメモリ6bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベータ監視システム4の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ6aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ6bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0053】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア7を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものである。例えば、エレベータ監視システム4の各機能それぞれは、処理回路で実現される。例えば、エレベータ監視システム4の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0054】
エレベータ監視システム4の各機能について、一部を専用のハードウェア7で実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現してもよい。例えば、表示部4dの機能については専用のハードウェア7としての処理回路で実現し、表示部4d以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ6aが少なくとも1つのメモリ6bに格納されたプログラムを読み出して実行することによって実現してもよい。
【0055】
このように、処理回路は、ハードウェア7、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、エレベータ監視システム4の各機能を実現する。
【符号の説明】
【0056】
1 建築物、 2 エレベータ、 3 エレベータ監視装置、 4 エレベータ監視システム、 4a 記憶部、 4b 外部情報受信部、 4c 累積降水量予測部、 4d 表示部、 4e 浸水高予測部、 4f 浸水警戒判定部、 4g 対象建築物判定部、 4h 警戒情報送信部、 5 携帯端末、 6a プロセッサ、 6b メモリ、 7 ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5