特許第6455536号(P6455536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6455536塩素含有樹脂組成物及びそれを用いた成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6455536
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】塩素含有樹脂組成物及びそれを用いた成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/04 20060101AFI20190110BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20190110BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20190110BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   C08L27/04
   C08K5/098
   C08K5/053
   C08J5/18CEV
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-33655(P2017-33655)
(22)【出願日】2017年2月24日
(65)【公開番号】特開2018-138641(P2018-138641A)
(43)【公開日】2018年9月6日
【審査請求日】2018年10月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西井 俊博
(72)【発明者】
【氏名】津田 耕市
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−175868(JP,A)
【文献】 特開平08−283498(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/024399(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/014583(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/102115(WO,A1)
【文献】 特開2004−238364(JP,A)
【文献】 特開平04−059850(JP,A)
【文献】 特開2007−321117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 27/04
C08K 5/053
C08K 5/098
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素含有樹脂100重量部に対し、
過塩基性バリウム塩及び有機酸亜鉛を含む液状安定剤1〜10重量部と、
マルチトール0.01〜1重量部とを含む
ことを特徴とする塩素含有樹脂組成物。
【請求項2】
前記塩素含有樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、塩素含有樹脂組成物100質量%に対して0〜5質量%である
ことを特徴とする請求項1に記載の塩素含有樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塩素含有樹脂組成物を用いてなる
ことを特徴とする成形体。
【請求項4】
透明成形体である
ことを特徴とする請求項3に記載の成形体。
【請求項5】
板状、フィルム状又はシート状である
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素含有樹脂組成物及びそれを用いた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニルに代表される塩素含有樹脂は、柔軟性が高く加工しやすいうえ、機械的強度等の物性も有するため、管路材料の他、種々様々な用途に広く使用されている。だが一方で、塩素含有樹脂は熱安定性に課題があり、加工時や使用時の熱に不安定で加熱により分解が生じることから、熱安定性や加工性向上の観点から、塩素含有樹脂とともに安定剤が併用されるのが通常である。
【0003】
安定剤としては従来、錫、鉛、カドミウム等の重金属系安定剤が一般に使用されてきたが、近年の環境問題への意識の高まりからこれらの重金属の使用が忌避されつつある。そこで、例えば、バリウム亜鉛系(Ba/Zn)やカルシウム亜鉛系(Ca/Zn)と称される安定剤の他、糖アルコール類とハイドロタルサイトとの併用系(特許文献1参照)、有機酸亜鉛塩と亜鉛変性ハイドロタルサイト系化合物と糖アルコール類との併用系(特許文献2参照)等の安定剤も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−175868号公報
【特許文献2】国際公開第2011/024399号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり種々の安定剤が開発されている。だが、バリウム亜鉛系やカルシウム亜鉛系の安定剤を塩素含有樹脂に使用しても耐熱性が充分とはならないため、厳しい成型条件で加工を行うことができない。また過塩基性のバリウム塩は、耐熱性安定剤として知られているものの、透明性及び色調の点で課題がある。このように従来の安定剤を塩素含有樹脂に使用した場合、樹脂組成物の耐熱性を向上することができても透明性及び色調を大幅に損ないやすく、逆に透明性や色調を向上させると耐熱性が大幅に低下するため、成形品において高透明性と高耐熱性とを両立することができなかった。なお、特許文献1、2に記載の安定剤は、粉体状態でポリ塩化ビニルに混練しているが、耐熱性が充分ではないうえ、透明性や色調の点でも課題がある。また、工業板用途といった硬質透明樹脂組成物においては、特に高い透明性と耐熱性が要求されるが、これらの安定剤は、透明性及び耐熱性のいずれも不充分であった。更に、工業板用途の中でも波板等の用途では、耐酸性も兼ね備える必要があるが、これらの安定剤では耐酸性も不充分であった。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑み、高透明性と高耐熱性とを両立することができ、かつ耐酸性にも優れる成形品を与えることができる塩素含有樹脂組成物を提供することを目的とする。また、このような塩素含有樹脂組成物を用いてなる成形体を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、塩素含有樹脂組成物について鋭意検討を進めるうち、塩素含有樹脂とともに、過塩基性バリウム塩及び有機酸亜鉛を含む液状安定剤とマルチトールとをそれぞれ所定量含む樹脂組成物とすると、特異的に高透明性と高耐熱性とを兼ね備えた成形体が得られることを見いだした。これは、過塩基性バリウム塩及び有機酸亜鉛を含む液状安定剤は粉状の安定剤に比べて分散性が高く、かつ耐熱性が高いうえ、マルチトールが塩素含有樹脂になじみやすいことに起因するものと考えられる。このような樹脂組成物は、可塑剤を含まない又は含んでも微量である場合にも、透明性及び耐熱性のいずれにも優れる成形品を与えることができるため、硬質樹脂用途に特に有用であり、塩素含有樹脂の成形体分野に多大な貢献をなすものである。また、このような樹脂組成物を用いて得られる成形体は、耐酸性にも優れるうえ、その成型時に、プレートアウト(すなわち金型やサイジング等に樹脂組成物が付着する現象)の発生や発泡を充分に抑制することもできる。それゆえ、プレートアウト発生に伴う金型やサイジング等の洗浄作業を省略又は簡略化することができ、成形体の生産性の点でも有利である。こうして上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、塩素含有樹脂100重量部に対し、過塩基性バリウム塩及び有機酸亜鉛を含む液状安定剤1〜10重量部と、マルチトール0.01〜1重量部とを含む塩素含有樹脂組成物である。
上記塩素含有樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、塩素含有樹脂組成物100質量%に対して0〜5質量%であることが好ましい。
【0009】
本発明はまた、上記塩素含有樹脂組成物を用いてなる成形体でもある。
上記成形体は、透明成形体であることが好ましい。
上記成形体はまた、板状、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塩素含有樹脂組成物は、高透明性と高耐熱性とを両立することができ、かつ耐酸性にも優れる成形品を与えることができる。この成形品は、塩素含有樹脂由来の各種物性に優れるうえ、初期着色が小さいため、鮮やかな色調を奏することもできる。また、この樹脂組成物は、錫、鉛、カドミウム等の重金属成分を含有しないものとすることもできるため、近年の安全性を求めるニーズにも充分に対応することができ、極めて有用である。更に、この樹脂組成物を用いれば、成型時に、プレートアウトの発生や発泡を充分に抑制することもできるため、成形体の生産性の点でも有利である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0012】
本明細書中、「液状」とは、0〜35℃の任意の温度で液状であることを意味する。
「液状安定剤」とは、25℃における粘度が10000cps以下であり、かつ0〜35℃の任意の温度で液状であり、含有成分が溶媒に溶解しているものである。
【0013】
1、塩素含有樹脂組成物
本発明の塩素含有樹脂組成物(単に「樹脂組成物」とも称す)は、塩素含有樹脂と、過塩基性バリウム塩及び有機酸亜鉛を含む液状安定剤と、マルチトールとを含む。必要に応じ更に他の成分を含んでもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上であってもよい。
【0014】
1)塩素含有樹脂
塩素含有樹脂は、塩素原子を含む樹脂(重合体)である限り特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂が好ましい。これにより、柔軟性や難燃性に優れる成形体が得られる。
【0015】
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等の単独重合体;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−マレイミド共重合体等の共重合体;等が挙げられる。
なお、塩素含有樹脂と塩素非含有樹脂とのブレンド品を使用してもよいし、また塩化ビニル系樹脂を得るための重合方法は特に限定されない。
【0016】
塩化ビニル系樹脂はまた、ペースト塩化ビニル樹脂よりも、ストレート塩化ビニル樹脂であることが好適である。これにより、透明用途により好適なものとなる。
【0017】
2)液状安定剤
本発明では、過塩基性バリウム塩及び有機酸亜鉛を含む液状安定剤を用いる。
このような液状安定剤は、粉状安定剤に比べて分散性が高く、液状安定剤自体の透明性も高いため、高い透明性を維持した成形体を与えることができる。また、成形体の耐酸性を高め、プレートアウト抑制能、発泡抑制能を発揮することもできる。なお、過塩基性バリウム塩及び有機酸亜鉛はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
【0018】
−有機酸亜鉛−
有機酸亜鉛としては、亜鉛とカルボン酸とからなる塩であることが好ましい。カルボン酸としては特に限定されず、脂肪族カルボン酸であってもよいし、芳香族カルボン酸であってもよい。脂肪族カルボン酸が有する脂肪族骨格を構成する炭素数も特に限定されないが、例えば1〜20であることが好ましく、より好ましくは5〜10である。カルボン酸が有するカルボキシル基の数も特に限定されず、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のいずれであってもよい。中でも、耐熱性の観点でモノカルボン酸が好ましく、より好ましくは炭素数5〜10の脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸である。有機酸亜鉛として特に好ましくは、本発明の作用効果をより発揮できるようにする観点から、オクチル酸亜鉛やトルイル酸亜鉛であり、最も好ましくはトルイル酸亜鉛である。
なお、トルイル酸亜鉛としては、o−、p−、m−のいずれも好ましく使用することができるが、透明性を更に高める観点から、m−トルイル酸亜鉛(メタトルイル酸亜鉛とも称す)が好適である。
【0019】
液状安定剤中の有機酸亜鉛は、液状安定剤の総量100質量%に対し、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。
【0020】
−過塩基性バリウム塩−
過塩基性バリウム塩としては特に限定されないが、例えば、過塩基性オレイン酸バリウム塩、過塩基性ネオデカン酸バリウム塩等が挙げられる。具体的には、例えば、AMスタビライザーズ社製のプラスチスタブ2106、プラスチスタブ2116、プラスチスタブ2508、プラスチスタブ2513等が好適である。
【0021】
液状安定剤中の過塩基性バリウム塩は、液状安定剤の総量100質量%に対し、5〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、45〜65質量%であることが更に好ましい。
【0022】
液状安定剤中の有機酸亜鉛と過塩基性バリウム塩との合計含有量は、液状安定剤の総量100質量%に対し、35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。
【0023】
−リン化合物−
液状安定剤は、リン化合物を更に含むことが好適である。中でも、ホスファイト化合物が好ましく、これにより、成形品において透明性や色調、耐候性等の種々の物性がより向上される。
【0024】
ホスファイト化合物としては特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4' −イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12〜15混合アルキル)−4,4' −イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、水素化−4,4' −イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス〔4,4' −n−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)〕・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4' −ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド等が挙げられる。
【0025】
上記の他、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(C12〜15混合アルキル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)(オクチル)ホスファイト等も挙げられる。
【0026】
液状安定剤がリン化合物(好ましくはホスファイト化合物)を含む場合、その含有量は特に限定されないが、例えば、液状安定剤の総量100質量%に対し、0〜30質量%が好ましい。これにより、リン化合物由来の効果をより発揮することが可能になる。より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは15〜25質量%である。
【0027】
液状安定剤はまた、必要に応じて他の成分を更に含んでもよい。他の成分としては、例えば、溶媒、ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
ここで、液状安定剤の総量100質量%に対し、有機酸亜鉛、過塩基性バリウム塩及びリン化合物が占める割合が50質量%以上であることが好適である。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上である。
【0028】
本発明の樹脂組成物において、液状安定剤の含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対し、1〜10重量部である。これにより、液状安定剤由来の効果が発揮されて、耐熱性及び熱安定性に優れる成形体を与える樹脂組成物となる。好ましくは2〜9重量部、より好ましくは2.5〜8重量部である。また、液状安定剤に含まれる過塩基性バリウム塩と有機酸亜鉛との合計含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対し1〜8重量部であることが好ましい。より好ましくは1.1〜4重量部、更に好ましくは1.5〜3重量部である。
【0029】
3)マルチトール
マルチトールは、市販品を使用することができる。マルチトールは塩素含有樹脂と相溶性が高く、また、融点が塩素含有樹脂との通常の混練温度よりも低いため、添加しても塩素含有樹脂の透明性を損なわないと考えられる。
【0030】
本発明の樹脂組成物において、マルチトールの含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部である。これにより、マルチトール由来の効果が発揮されて、耐熱性及び熱安定性に優れる成形体を与える樹脂組成物となる。好ましくは0.05〜0.8重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。
【0031】
4)可塑剤
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて可塑剤を更に含んでもよい。可塑剤として特に限定されず、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸アルキルエステル、非フタル酸系可塑剤及びエポキシ化植物油からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0032】
ここで、本発明の樹脂組成物は、上述した通り硬質樹脂組成物として使用した場合にも、透明性及び耐熱性の発揮に加えて、経時による成形体の表面劣化を充分に抑制することができるものである。硬質樹脂組成物として使用する場合、可塑剤は含まない又は含んでも少量であることが好ましいため、本発明の樹脂組成物100質量%中の可塑剤の含有量は0〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜3質量%、更に好ましくは0〜1質量%である。
なお一般には、可塑剤の含有量が少ない樹脂組成物ほど、透明性及び初期着色性が低下することが知られている。だが本発明では、このような技術常識に反して、可塑剤の含有量が上記のような少量であっても又は可塑剤を含まない場合であっても、高度な透明性及び初期着色性を発揮することができる。
【0033】
5)その他の成分
本発明の樹脂組成物はまた、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。例えば、金属石鹸系熱安定剤、加工助剤、強化剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、耐熱助剤、架橋助剤、安定剤等の各種添加剤が挙げられる。この中でも、ハイドロタルサイトやジベンゾイルメタンを更に含むと、耐熱性がより一層向上するため好適である。
【0034】
各添加剤はそれぞれ特に限定されないが、例えば、金属石鹸系熱安定剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。
【0035】
加工助剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体等のアクリル系加工助剤が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。アクリル系加工助剤は、上記のアクリル酸及び/又はそのエステルや、メタクリル酸及び/又はそのエステルそれぞれの単独の重合体であっても2種以上の共重合体であってもよい。重合体の重量平均分子量は20万〜700万であることが好ましい。
上記アクリル系加工助剤の市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製のメタブレンPタイプ、カネカ社製のカネエースPAシリーズ、ローム・アンド・ハース社製のパラロイドKシリーズ等が挙げられる。
【0036】
強化剤としては、例えば、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエンスチレン共重合体)等のブタジエン系強化剤、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
【0037】
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、工業用白色鉱油、合成パラフィン、石油系ワックス、ペトロラタム;無臭軽質炭化水素、シリコーンオルガノポリシロキサン、脂肪酸、脂肪族アルコール高級脂肪酸動物又は植物油脂から得られた脂肪酸及びそれらの脂肪酸を水素添加したもので、炭素数が8〜22のもの;ヒドロキシステアリン酸等の直鎖脂肪酸;動物、植物油脂又はそれらの脂肪酸エステルを還元又は天然ロウを分解蒸留して得られる炭素数4以上のもの;トリデシルアルコール、ポリグリコールポリエチレングリコール(分子量200〜9500のもの);ポリプロピレングリコール(分子量1000以上のもの);ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ブロック重合体(分子量1900〜9000のもの);の他、オレイルパルミトアマイド、ステアリルエルカアマイド、2ステアロアミドエチルステアレート、エチレンビス脂肪酸アマイド、N,N’−オレオイルステアリルエチレンジアミン、N,N’ −ビス(2ヒドロキシエチル)アルキル(C12〜C18)アマイド、NN’ビス(ヒドロキシエチル)ラウロアマイド、N−アルキル(C16〜C18)トリメチレンジアミンと反応したオレイン酸脂肪酸ジエタノールアミン、ジ(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミンモノアセテートのジステアリン酸エステル、ステアリン酸n−ブチル水添ロジンメチルエステル、セバチン酸ジブチル<n−ブチル、イソブチル共>、セバチン酸ジオクチル<2エチルヘキシル、n−オクチル共>、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリンラクトステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル<モノ、ジ、トリ、テトラ共>、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールヤシ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールトール油脂肪酸エステル、エタンジオールモンタン酸エステル、1,3ブタンジオールモンタン酸エステル、ジエチレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、トリグリセライド、アマニ油、パーム油、12−ヒドロオキシステアリン酸のグリセリンエステル、水添魚油、牛脂スパームアセチワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、密蝋、木蝋、硬化鯨油ラウリルステアレート、ステアリルステアレートなど一価脂肪族アルコールの脂肪族飽和酸エステル、ラノリン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど高級脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、フッ素系樹脂、ポリ4フッ化エチレン、4フッ化エチレン/6フッ化プロピレン共重合体、ポリ塩化3フッ化エチレン、ポリフッ化ビニル、その他プロピレングリコールアルギネート、ジアルキルケトン、アクリルコポリマー(例えばモンサント社製モダフロー等)が挙げられる。
【0038】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}〕エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
【0039】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0040】
着色剤としては、例えば、TiO、酸化ジルコニウム、BaSO、酸化亜鉛(亜鉛華)リトポン(硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物)、カーボンブラック、カーボンブラックと二酸化チタンの混合物、酸化鉄、Sb、Cr、コバルトブルー、コバルトグリーン等のスピネル、ウルトラマリンブルー等の無機顔料や、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、アントラキノン顔料等の有機顔料が挙げられる。更に、上記顔料を複合した複合顔料も挙げられる。
【0041】
耐熱助剤としては、例えば、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ジペンタエリスルトールとアジピン酸との部分エステル、ポリオール類及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。中でも、本発明の樹脂組成物がハイドロタルサイトを更に含むものであると、耐熱性がより一層向上するため好適である。ハイドロタルサイトの含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部であることが好ましい。より好ましくは0.05〜3重量部である。
【0042】
上記樹脂組成物を得る方法は特に限定されず、塩素含有樹脂、液状安定剤、マルチトール及び必要に応じて使用される任意成分を混合すればよい。混合方法も特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサーで混合し、得られた混合物をロール、バンバリーミキサー、押出機等を用いて均一に混練することが好適である。
【0043】
上記樹脂組成物は、高透明性と高耐熱性とを両立することができ、しかも塩素含有樹脂由来の各種物性に優れる成形品を、外観を低下させることなく与えることができる。それゆえ、成形体用途に特に有用である。
【0044】
2、成形体
本発明の成形体は、上述した本発明の塩素含有樹脂組成物を用いてなるものである。すなわち上記塩素含有樹脂組成物の成形体である。それゆえ、耐熱性とともに透明性に特に優れ、耐酸性をも発揮することができる。なお、本発明の樹脂組成物を用いると、成型時のプレートアウトや発泡を充分に抑制することもできるため、得られる成形体は外観も良好で、しかも生産性にも優れることになる。
本発明の成形体は、透明成形体であることが特に好適である。
【0045】
成形体の形状は特に限定されず、板状、シート状、フィルム状、膜状等の平面形状の他、ひも状、棒状、ペレット状、管状等のその他の形状が挙げられる。中でも、取扱性等の観点から、板状、フィルム状又はシート状であることが好適である。また、成形体として具体的には、各種フィルム、電線、パイプ、樹脂窓枠等が好適である。
【0046】
成形(成型とも称す)方法も限定されず、押出成型、射出成型、ロール成形、ディップ成型、ブロー成型等が挙げられる。なお、上記成形体は、押出成型により得られる成形体(押出成型体)であることが好適である。押出成型(押出成形)は、押出成形機を用いて行うことが好ましいが、この方法によれば、各種物性に優れる成形体を作業性よく、容易かつ簡便に、収率良く与えることができる。
【0047】
上記成形体(特に、板状、フィルム状又はシート状の成形体)は、2mm厚での全光線透過率が85%以上であることが好適である。より好ましくは90%以上である。また、2mm厚でのヘイズが40%以下であることが好ましい。より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。
【0048】
本明細書中、全光線透過率は、成形体を透過する全ての光の割合であり、ヘイズは、全光線透過光中の拡散透過光の割合である。具体的には、後述する実施例に記載の方法によりヘイズ値を測定することができ、100%からこのヘイズ値を差し引くことで、全光線透過率を求めることができる。
【実施例】
【0049】
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」とは、「重量部(又は重量部)」を意味する。
【0050】
実施例1
塩化ビニル樹脂(信越化学工業社製、TK−700)100部に、表1記載の各種添加剤を表1記載の割合で配合、混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。得られた塩化ビニル樹脂組成物を、ロール表面温度170℃に調整した8インチロール機(関西ロール社製)にて5分間混練し、厚さ0.6mmのロールシートを作製した。このシートを用い、以下の評価試験を行った。結果を表1に示す。
【0051】
1)オーブン耐熱性
庫内温度を190℃に保持したESPEC社製ギアオーブンに、実施例1で作成したシートを入れて40分間保持した。保持する前後のシートを用い、色差計(日本電色工業社製、同時測光方式分光式色差計SQ−2000)にて色差を測定しΔEを求めた。このΔEに基づき、下記基準にて着色性を評価した。なお、ΔEが小さいほど、色調が良好であり不具合が発生する可能性が低い。
◎:ΔEが15以下。
〇:ΔEが15を超えて40以下。
△:ΔEが40を超えて60以下。
×:ΔEが60を超える。
【0052】
2)プレス耐熱性
プレス表面温度190℃のプレス機(東洋精機製作所製、MINI TEST PRESS−10)を用い、実施例1で作製したシートを4枚重ねて厚さ2mmになるように、100kg/cmにて30分間保持した。保持後のシートについて、上述の色差計にてYI値を測定した。このYIに基づき、下記基準にて着色性を評価した。なお、YI値が小さいほど、色調が良好であり不具合が発生する可能性が低い。
◎:YIが25以下。
〇:YIが25を超えて40以下。
△:YIが40を超えて45以下。
×:YIが45を超える。
【0053】
3)透明性
実施例1で作製したシートを長さ50mm×幅50mmに裁断し、これを4枚重ね合わせ、電熱プレス機(東洋精機製作所製)にて190℃×10分プレスし2mm厚さの試験片を作成した。この試験片について、日本電色工業社製の測定機器(Haze Meter NDH4000)にてヘイズ値を測定した。
【0054】
4)耐酸性
実施例1で作製したシートを長さ50mm×幅50mmに裁断し、これを4枚重ね合わせ、電熱プレス機(東洋精機製作所製)にて190℃×10分プレスし2mm厚さの試験片を作成した。実施例1で作製したシートを塩酸に浸漬させ、1週間後の重量変化を測定した。
○:0.05重量%以下
△:0.1重量%以下
×:0.1重量%超
【0055】
5)プレートアウト
実施例1にて用いた8インチロール機の、混練後のロール表面について、プレートアウトの有無を目視により観察し、下記基準に基づいて評価した。
○:付着物が確認できなかった。
△:わずかに付着物が確認された。
×:大きな付着物が確認された。
【0056】
6)発泡性
実施例1で作製したシートを長さ50mm×幅50mmに裁断し、これを4枚重ね合わせ、電熱プレス機(東洋精機製作所製)にて190℃×10分プレスし、2mm厚さの試験片を作成した。得られた試験片表面の発泡性を、目視にて下記基準で評価した。
○:試験片表面又は中に発砲がない。外観不良となるおそれがなく良好であった。
△:試験片表面又は中に1〜5個の発泡がある。
×:試験片表面又は中に5個を超える発泡がある。外観不良となるレベルである。
【0057】
実施例2〜7、比較例1〜7
表1、2記載の各種添加剤を当該表記載の割合で用いたこと以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、ロールシートをそれぞれ作製した。このシートを用い、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表1、2中の記号・略号等は、以下の通りである。
塩化ビニル樹脂:TK−700(信越化学工業社製)
強化剤:カネエースB−513(カネカ社製)
加工助剤:カネエースPA−20(カネカ社製)、及び、メタブレンP−700(三菱レイヨン社製)
滑剤:リケマールS−100(理研ビタミン社製)、リケマールSL−02(理研ビタミン社製)、及び、ロキシオールG−78(コグニスシャパン社製)
過塩基性バリウム塩:PS−2513(プラスチスタブ2513)(AMスタビライザーズ社製)
リン化合物:ジフェニルイソオクチルフォスファイト(ODPP、城北化学社製)、及び、ジフェニルトリデシルフォスファイト(PX−257、共同薬品社製)
溶媒:BDG(ダウ・ケミカル社製)及びフォグソルベント(JXエネルギー社製)
マルチトール:アマルティMR−100、三菱商事フードテック社製
ハイドロタルサイト:STABIACE HT−7(堺化学工業社製)
DBM:ジベンゾイルメタン(ロディア社製)
Ba/Zn系安定剤(粉状):ラウリン酸バリウム(B−12、堺化学工業社製)と、ラウリン酸亜鉛(LZ−P、堺化学工業社製)との混合物
Ca/Zn系安定剤(粉状):ラウリン酸亜鉛(堺化学工業社製)とZn変性ハイドロタルサイト(堺化学工業社製)との混合物
ソルビトール:物産フードサイエンス社製
マンニトール:物産フードサイエンス社製
ラクチトール:物産フードサイエンス社製
【0061】
上記表1、2により、以下の事項を確認した。
実施例1〜7は、塩素含有樹脂に対し、過塩基性バリウム塩及び有機酸亜鉛を含む液状安定剤とマルチトールとをそれぞれ所定量含む本発明の樹脂組成物を使用した例である。これに対し、比較例1はマルチトールを含まない点で、比較例2はマルチトールの代わりにソルビトールを使用した点で、比較例3〜5は液状安定剤ではなく従来の粉状安定剤(Ba/Zn系安定剤又はCa/Zn系安定剤)を使用した点で、比較例6〜7はマルチトールの代わりに各々ラクチトール、マンニトールを使用した点で、実施例1〜7とは相違する。この相違の下、耐熱性及び透明性を評価した結果を対比すると、実施例1〜7では、比較例1〜7に比較して耐熱性及び透明性のいずれか1以上の物性が著しく高いことが分かる。実施例1〜7で得た樹脂組成物はまた、比較例1〜7に比較して成形体の耐酸性も良好で、プレートアウト抑制能や発泡抑制能も有していた。
従って、塩素含有樹脂に対し、過塩基性バリウム塩及び有機酸亜鉛を含む液状安定剤とマルチトールとを所定量含む構成の樹脂組成物であることによって、透明性及び耐熱性に加え、耐酸性にも優れる成形品を、発泡やプレートアウト発生を充分に抑制しながら生産性良く与えることができることが分かった。