【文献】
Nokia Siemens Networks, Nokia Corporation,PHR triggers for CA[online],3GPP TSG-RAN WG2♯71 R2-104393,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_71/Docs/R2-104393.zip>,2010年 8月17日
【文献】
Research In Motion, UK Limited,Component Carrier Activation and Deactivation[online],3GPP TSG-RAN WG2♯69 R2-101473,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_69/Docs/R2-101473.zip>,2010年 2月15日
【文献】
ZTE,Power Headroom Reporting for Carrier Aggregation in LTE-Advanced[online],3GPP TSG-RAN WG1#62 R1-104675,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_62/Docs/R1-104675.zip>,2010年 8月17日
【文献】
Nokia Siemens Networks, Nokia Corporation,Further consideration on virtual PHR[online],3GPP TSG-RAN WG2♯71 R2-104394,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_71/Docs/R2-104394.zip>,2010年 8月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下りリンク・コンポーネント・キャリア上で、ユーザ機器に上りリンク・リソースまたは下りリンク・リソースを割り当てるためのリソース割当情報を送信し、前記リソース割当情報は、複数のビットを含み、複数の下りリンク・コンポーネント・キャリアの各々は、前記複数のビットに含まれる一つのビットと対応しており、前記一つのビットは、対応する下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ化されるべきかまたは非アクティブ化されるべきかのいずれかを示し、前記複数のビットに含まれるいずれかのビットが、対応する下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ化されるべきことを示す場合は、前記複数のビットは、パワー・ヘッドルームの報告を要求するパワー・ヘッドルーム報告要求をさらに示す、送信部と、
前記リソース割当情報に従って、前記ユーザ機器によりアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアに対応する上りリンク・コンポーネント・キャリアを用いて、前記ユーザ機器にスケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームと、前記ユーザ機器にスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームとを受信し、前記スケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームは、前記リソース割当情報に基づいて、前記ユーザ機器により計算されたものであり、前記仮想パワー・ヘッドルームは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当に基づいて、前記ユーザ機器により計算されたものである、受信部と、
を具備する通信装置。
前記事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当は、前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアに割り当てられるべきリソース・ブロックの個数が1つであるものとして構成されたものである、
請求項1に記載の通信装置。
前記ユーザ機器の前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの前記事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当および前記事前に構成された最大送信電力に関する情報を有し、
前記受信された仮想パワー・ヘッドルームと前記事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当および事前に構成された最大送信電力とに基づいて、前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの経路損および/またはリソース・ブロックあたりの電力を判定する判定部、
をさらに具備する請求項1から4のいずれか一項に記載の通信装置。
前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの前記事前に構成された最大送信電力には、前記ユーザ機器の上りリンク・コンポーネント・キャリアの最高の(Pcmax_H)または最低の(Pcmax_L)構成可能な最大送信電力がセットされる、
請求項4または5に記載の通信装置。
前記仮想パワー・ヘッドルームは、前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについて前記ユーザ機器によって構成された最大送信電力(Pcmax,c)と等しい、
請求項1または2に記載の通信装置。
下りリンク・コンポーネント・キャリア上で、ユーザ機器に上りリンク・リソースまたは下りリンク・リソースを割り当てるためのリソース割当情報を送信し、前記リソース割当情報は、複数のビットを含み、複数の下りリンク・コンポーネント・キャリアの各々は、前記複数のビットに含まれる一つのビットと対応しており、前記一つのビットは、対応する下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ化されるべきかまたは非アクティブ化されるべきかのいずれかを示し、前記複数のビットに含まれるいずれかのビットが、対応する下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ化されるべきことを示す場合は、前記複数のビットは、パワー・ヘッドルームの報告を要求するパワー・ヘッドルーム報告要求をさらに示し、
前記リソース割当情報に従って、前記ユーザ機器によりアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアに対応する上りリンク・コンポーネント・キャリアを用いて、前記ユーザ機器にスケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームと、前記ユーザ機器にスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームとを受信し、前記スケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームは、前記リソース割当情報に基づいて、前記ユーザ機器により計算されたものであり、前記仮想パワー・ヘッドルームは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当に基づいて、前記ユーザ機器により計算されたものである、
通信方法。
前記事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当は、前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアに割り当てられるべきリソース・ブロックの個数が1つであるものとして構成されたものである、
請求項8に記載の通信方法。
前記ユーザ機器の前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの前記事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当および前記事前に構成された最大送信電力に関する情報を有し、
前記受信された仮想パワー・ヘッドルームと前記事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当および事前に構成された最大送信電力とに基づいて、前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの経路損および/またはリソース・ブロックあたりの電力を判定する、
請求項8から11のいずれか一項に記載の通信方法。
前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの前記事前に構成された最大送信電力には、前記ユーザ機器の上りリンク・コンポーネント・キャリアの最高の(Pcmax_H)または最低の(Pcmax_L)構成可能な最大送信電力がセットされる、
請求項11または12に記載の通信方法。
前記仮想パワー・ヘッドルームは、前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについて前記ユーザ機器によって構成された最大送信電力(Pcmax,c)と等しい、
請求項8または9に記載の通信方法。
【背景技術】
【0002】
<ロング・ターム・エボリューション(LTE)>
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術に基づく第3世代モバイル・システム(3G)が、全世界で大規模に展開されている。この技術を強化しまたは進歩させる第1ステップは、高速下りリンク・パケット・アクセス(HSDPA)と、高速上りリンク・パケット・アクセス(HSUPA)とも称する機能強化された上りリンクを導入し、非常に競争力のある無線アクセス技術を与えることである。
【0003】
さらに増加するユーザ需要に備え、新しい無線アクセス技術に対して競争力を持つために、3GPPは、ロング・ターム・エボリューション(LTE)と呼ばれる新しいモバイル通信システムを導入した。LTEは、次の10年間の高速のデータ・トランスポートおよび媒体トランスポートならびに大容量の音声サポートに関するキャリアの必要を満足するために設計されている。高いビット・レートを提供する能力が、LTEの主要な手段である。
【0004】
拡張UMTS地上波無線アクセス(UTRA)およびUMTS地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)と呼ばれるロング・ターム・エボリューション(LTE)のワーク・アイテム(WI)仕様は、リリース8(LTE)として最終化される予定である。LTEシステムは、短待ち時間および低コストと共にフルIPベース機能性を提供する、効率的なパケットベースの無線アクセスおよび無線アクセス・ネットワークを表す。詳細なシステム要件を与える。LTEでは、所与のスペクトルを使用する柔軟なシステム展開を達成するために、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHzなどのスケーラブルな複数の送信帯域幅が指定される。下りリンクでは、直交周波数分割多重(OFDM)ベースの無線アクセスが、低シンボル・レートに起因する多経路干渉(MPI)に対するその固有のイミュニティ、サイクリック・プレフィックスの使用、および異なる送信帯域幅配置に対するその親和性のゆえに、採用された。上りリンクでは、大面積カバレージのプロビジョニングが、ユーザ機器(UE)の制限された送信電力を考慮して、ピーク・データ・レートの改善より優先されたので、シングル・キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)ベースの無線アクセスが採用された。多重入力・多重出力(MIMO)チャネル伝送技法を含む多数の主要なパケット無線アクセス技術が使用され、非常に効率的な制御シグナリング構造が、LTE(リリース8)で達成される。
【0005】
<LTEアーキテクチャ>
全体的なアーキテクチャを
図1に示し、E−UTRANアーキテクチャのより詳細な表現を、
図2に示す。E−UTRANは、E−UTRAユーザ・プレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)とユーザ機器(UE)に向かう制御プレーン(RRC)プロトコル終端とを提供するeノードBからなる。eノードB(eNB)は、物理(PHY)レイヤ、媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、無線リンク制御(RLC)レイヤ、ならびにユーザプレーン・ヘッダ圧縮および暗号化の機能性を含むパケット・データ制御プロトコル(PDCP)レイヤをホスティングする。eノードB(eNB)は、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能性をも提供する。eノードB(eNB)は、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、ネゴシエートされた上りリンク・サービス品質(QoS)の実施、セル情報ブロードキャスト、ユーザ・プレーン・データおよび制御プレーン・データの暗号化/暗号化解除、ならびに上りリンク/下りリンク・ユーザ・プレーン・パケット・ヘッダの圧縮/圧縮解除を含む多数の機能を実行する。eノードBは、X2インターフェースによってお互いに相互接続される。
【0006】
eノードBは、S1インターフェースによってEPC(発展型パケット・コア)に、より具体的にはS1−MMEによってMME(無線通信移動管理装置)に、およびS1−Uによってサービング・ゲートウェイ(SGW)にも接続される。S1インターフェースは、MME/サービング・ゲートウェイとeノードBとの間の多対多関係をサポートする。SGWは、eノードB間ハンドオーバ中にユーザ・プレーンのモビリティ・アンカとして、およびLTEと他の3GPP技術との間のモビリティのアンカとしても働き(S4インターフェースを終端し、2G/3GシステムとPDN GWとの間のトラフィックを中継し)ながら、ユーザ・データ・パケットをルーティングし、転送する。アイドル状態のユーザ機器について、SGWは、下りリンク・データ経路を終端し、ユーザ機器に関して下りリンク・データが到着する時にページングをトリガする。SGWは、ユーザ機器コンテキスト、たとえばIPベアラ・サービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報を管理し、格納する。SGWは、合法的傍受(lawful interception)の場合にユーザ・トラフィックの複製をも実行する。
【0007】
MMEは、LTEアクセス・ネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、再送信を含む、アイドル・モード・ユーザ機器の追跡およびページング手順の責任を負う。MMEは、ベアラ・アクティブ化/非アクティブ化プロセスに用いられ、初期アタッチ時およびコア・ネットワーク(CN)ノード・リロケーションを伴うLTE内ハンドオーバの時に、ユーザ機器のSGWを選択する責任をも負う。MMEは、ユーザを認証する(HSSと相互作用することによって)責任を負う。非アクセス層(NAS)シグナリングは、MMEで終端し、MMEは、一時アイデンティティを生成し、ユーザ機器に割り当てる責任をも負う。MMEは、サービス・プロバイダの公衆陸上移動ネットワーク(PLMN)にキャンプするためのユーザ機器の許可をチェックし、ユーザ機器ローミング制限を実施する。MMEは、NASシグナリングに関する暗号化/完全性保護のネットワーク内の終端点であり、セキュリティ鍵管理を処理する。シグナリングの合法的傍受も、MMEによってサポートされる。MMEは、LTEアクセス・ネットワークと2G/3Gアクセス・ネットワークとの間のモビリティの制御プレーン機能をも提供し、SGSNからのS3インターフェースは、MMEで終端する。MMEは、ローミング・ユーザ機器のホームHSSに向かうS6aインターフェースをも終端する。
【0008】
<媒体アクセス制御(MAC)およびMAC制御要素>
MACレイヤは、LTE無線プロトコル・スタックのレイヤ2アーキテクチャ内で最下のサブレイヤである(その全体が参照によって本明細書に組み込まれている、http//www.3gpp.orgで入手可能な3GPP TS 36.321、「Medium Access Control(MAC)protocol specification」、version 8.7.0、具体的にはセクション4.2、4.3、5.4.3、および6を参照されたい)。下の物理レイヤへの接続は、トランスポート・チャネルを介し、上のRLCレイヤへの接続は、論理チャネルを介する。MACレイヤは、論理チャネルとトランスポート・チャネルとの間の多重化および多重分離を実行する。送信する側(次の例ではユーザ機器)のMACレイヤは、論理チャネルを介して受信されたMAC SDUから、トランスポート・ブロックとも称するMAC PDUを構成し、受信する側のMACレイヤは、トランスポート・チャネルを介して受信されたMAC PDUからMAC SDUを回復する。
【0009】
多重化および多重分離するエンティティ内では、複数の論理チャネルからのデータを1つのトランスポート・チャネルへ/から多重化(多重分離)することができる。多重化するエンティティは、無線リソースが新しい送信のために使用可能である時に、MAC SDUからMAC PDUを生成する。このプロセスは、どの論理チャネル(1つまたは複数)からのどれほど多くのデータを各MAC PDUに含めるべきなのかを判断するために論理チャネルからのデータに優先順位を付けることを含む。ユーザ機器内でMAC PDUを生成するプロセスを、3GPP用語で論理チャネル優先順位付け(LCP)とも称することに留意されたい。
【0010】
多重分離するエンティティは、MAC PDUからMAC SDUを再組立し、これらを適当なRLCエンティティに配布する。さらに、MACレイヤの間のピアツーピア通信について、「MAC制御要素」と呼ばれる制御メッセージを、MAC PDUに含めることができる。
【0011】
MAC PDUは、主にMACヘッダおよびMACペイロードからなる(3GPP TS 36.321、セクション6を参照されたい)。MACヘッダは、さらに、MACサブヘッダからなり、MACペイロードは、MAC制御要素、MAC SDU、およびパディングからなる。各MACサブヘッダは、論理チャネルID(LCID)および長さ(L)フィールドからなる。LCIDは、MACペイロードの対応する部分がMAC制御要素であるかどうかを示し、そうでない場合には、関連するMAC SCUがどの論理チャネルに属するのかを示す。Lフィールドは、関連するMAC SDUまたはMAC制御要素のサイズを示す。上で既に述べたように、MAC制御要素は、上りリンクでのBSR情報およびUEの使用可能電力の報告と、下りリンクでのDRXコマンドおよびタイミング・アドバンス・コマンド(timing advance command)との配送を含む、MACレベル・ピアツーピア・シグナリングに使用される。MAC制御要素のタイプごとに、1つの特殊なLCIDが割り当てられる。MAC PDUの例を、
図21に示す。
【0012】
<電力制御>
モバイル通信システム内の上りリンク送信器電力制御は、システムの他のユーザへの干渉を最小にし、ユーザ機器のバッテリ寿命を最大にする必要に対して、要求されるQoSを達成するのに十分なビットあたりの送信エネルギの必要のバランスをとるという目的のために働く。これを達成するために、上りリンク電力制御は、経路損、シャドウイングおよび高速フェージングを含む無線伝搬チャネルの特性に適合しなければならないと同時に、同一セル内および隣接セル内の他のユーザからの干渉を克服するようにしなければならない。電力制御(PC)の役割は、隣接するセルに対して引き起こされる干渉を制御すると同時に、要求されるSINR(信号対干渉雑音比)を提供するのに決定的な役割をもつ。上りリンクでの古典的PC方式のアイデアは、すべてのユーザが同一SINRで受信されることであり、これを完全補償(full compensation)と称する。代替案として、3GPPは、LTE Rel.8/9に断片的電力制御(Fractional Power Control/FPC)の使用を採用した。この新しい機能性は、より高い経路損を有するユーザを、より低いSINR要件で動作させることで、それらのユーザが隣接するセルへ及ぼす干渉をより少なくなるようにしている。
【0013】
LTE Rel.8/9で提供される電力制御方式は、開ループ制御と閉ループ制御との組合せを使用する。動作モードは、開ループ手段によって経路損推定に基づいて送信電力密度スペクトルの粗動作点をセットすることを含む。その後、高速動作を、閉ループ電力制御によって開ループ動作点付近で適用することができる。これにより、干渉を制御し、高速フェージングを含むチャネル条件に合わせて電力セッティングを微調整する。
【0014】
機構のこの組合せを用いて、LTE Rel.8/9の電力制御方式は、複数の動作モードのサポートを提供する。LTE Rel.8/9の電力制御方式は、展開シナリオ、システム負荷、およびオペレータ・プリファレンスに応じた異なる電力制御戦略のツールキットと考えることができる。
【0015】
詳細な電力制御公式は、http://www.3gpp.orgで入手可能であり、参照によって本明細書に組み込まれている3GPP TS 36.213、「Physical layer procedures」、version 8.8.0のセクション5.1で、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)、およびサウンディング基準信号(SRS)についてLTE Rel.8/9で指定されている。これらの上りリンク信号のそれぞれの公式は、同一の基本原則に従っている。すなわち、すべての場合に、それらは、2つの主要な項の合計と考えることができる。2つの主要な項とは、eノードBによってシグナリングされる静的または半静的パラメータから導出される基本開ループ動作点と、サブフレームからサブフレームへと更新される動的オフセットと、である。
【0016】
リソース・ブロックごとの送信電力の基本開ループ動作点は、セル間干渉およびセル負荷を含む複数の要因に依存する。これは、2つのコンポーネントすなわち、半静的ベース・レベルP
0(さらに、セル内のすべてのユーザ機器の共通電力レベル(dBm単位で測定される)およびUE固有オフセットからなる)および開ループ経路損補償コンポーネントにさらに分解することができる。リソース・ブロックあたりの電力の動的オフセット部分も、さらに、2つのコンポーネントすなわちMCSに依存するコンポーネントと明示的な送信器電力制御(TPC)コマンドとに分解することができる。
【0017】
MCS依存コンポーネント(LTE仕様ではΔ
TFと称し、TFは、「トランスポート・フォーマット」を表す)は、リソース・ブロックあたりの送信される電力を、送信される情報データ・レートに従って適合させることを可能にする。
【0018】
動的オフセットの他方のコンポーネントは、UE固有TPCコマンドである。これは、2つの異なるモードすなわち、累積TPCコマンド(accumulative TPC command)(PUSCH、PUCCH、およびSRSについて使用可能)および絶対TPCコマンド(absolute TPC command)(PUSCHのみについて使用可能)で動作することができる。PUSCHについて、この2つのモードの間の切替は、RRCシグナリングによってUEごとに半静的となるように構成されている。すなわち、モードを動的に変更することはできない。累積TPCコマンドを用いて、各TPCコマンドは、以前のレベルに対する電力ステップをシグナリングする。モバイル通信システム内の上りリンク送信器電力制御は、システムの他のユーザへの干渉を最小にし、ユーザ機器のバッテリ寿命を最大にする必要に対して、要求されるQoSを達成するのに十分なビットあたりの送信エネルギの必要のバランスをとるという目的のために働く。
【0019】
これを達成する際に、上りリンク電力制御は、経路損、シャドウイング、および高速フェージングを含む無線伝搬チャネルの特性に適合しなければならないと同時に、同一セル内および隣接セル内の他のユーザからの干渉を克服するようにしなければならない。
【0020】
基準サブフレームi内のPUSCH送信に関するUE送信電力P
PUSCH[dBm]のセッティングは、
P
PUSCH(i)=min{P
CMAX,10log
10(M
PUSCH(i))+P
O_PUSCH(j)+α(j)・PL+Δ
TF(i)+f(i)} 式1
によって定義される(3GPP TS 36.213のセクション5.1.1.1を参照されたい)。
【0021】
−P
CMAXは、所与の範囲内のUEによって選択される最大UE送信電力であり(下を参照されたい)、
−M
PUSCHは、割り当てられる物理リソース・ブロック(PBR)の個数である。より多くのPBRが割り当てられるほど、より多くの上りリンク送信電力が割り当てられる。
−P
O_PUSCH(j)は、RRCによってシグナリングされるベース送信電力を示す。半永続的スケジューリング(SPS)および動的スケジューリングの場合、これは、セル固有公称コンポーネントP
O_NOMINAL_PUSCH(j)∈[−126,…,24]とUE固有コンポーネントP
O_UE_PUSCH(j)∈[−127,…,−96]との合計である。RACHメッセージ3の場合、プリアンブル送信電力からのオフセットである。
−αは、セル固有パラメータを表す(システム情報でブロードキャストされる)。このパラメータは、どれほどの経路損PLが補償されるのかを示す。α=1は、eノードBでの受信信号レベルが、ユーザ機器の位置がセル・エッジ付近であろうとセル中央であろうと、その位置にかかわりなく同じであることを意味する。経路損が完全に補償される場合には、セル・エッジ・データ・レートに対する劣化が回避される。SPSおよび動的スケジューリングについて、α={0,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1}であり、RACHメッセージ3の場合には、α(j)=1である。
−PLは、基準信号受信電力(RSRP)測定値およびシグナリングされた基準信号(RS)送信電力に基づいてユーザ機器で導出されるUE経路損である。PLを、
PL=基準信号電力−上位レイヤのフィルタリングされたRSRP
と定義することができる。
−Δ
TFは、変調および符号化方式(トランスポート・フォーマット)依存の電力オフセットである。したがって、これは、リソース・ブロックあたりの送信電力を、送信される情報データ・レートに従って適合させることを可能にする。
−f(i)は、eノードBからUEにシグナリングされた閉ループ電力制御コマンドの関数である。f()は、累積TPCコマンドの場合に累積を表す。閉ループ・コマンドが累積(各TPCコマンドは、前のレベルに対する相対的な電力ステップをシグナリングする)または絶対(各TPCコマンドは、以前のTPCコマンドのシーケンスと独立である)のどちらであるのかは、上位レイヤによって構成される。累積TPCコマンドについて、2組の電力ステップ値すなわち、DCIフォーマット3A用の(−1,1)dBおよびDCIフォーマット3用の(−1,0+1,+3)dB、が提供される。絶対TPCコマンドによってシグナリングできる値の組は、DCIフォーマット3によって示される(−4,−1,1,4)dBである。
【0022】
<電力ヘッドルーム報告>
eノードBが上りリンク送信リソースを適当な形で異なるユーザ機器にスケジューリングするのを援助するためには、ユーザ機器がその使用可能パワー・ヘッドルームをeノードBに報告できることが重要である。
【0023】
eノードBは、ユーザ機器がサブフレームあたりどれほどの上りリンク帯域幅を使用できるのかを判定するのに、パワー・ヘッドルーム報告を使用することができる。これは、リソースの浪費を避けるために上りリンク送信リソースを使用できないユーザ機器に、そのリソースを割り当てるのを避けるのを助ける。
【0024】
パワー・ヘッドルーム報告の範囲は、+40dBから−23dBまでである(http//www.3gpp.orgから入手可能であり、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている3GPP TS 36.133、「Requirements for support of radio resource management」、version 8.7.0、セクション9.1.8.4を参照されたい)。この範囲の負の部分は、ユーザ機器が、そのユーザ機器(UE)が使用可能であるものより多くの送信電力を要求するUL許可を受信した範囲をeノードBにシグナリングすることを可能にする。これは、eノードBが、後続許可のサイズを減らし、送信リソースを解放して他のUEにその送信リソースを割り当てることを可能にする。
【0025】
パワー・ヘッドルーム報告を、UEがUL送信許可を有するサブフレーム内でのみ送信することができる。この報告は、それが送信されるサブフレームに関連する。したがって、ヘッドルーム報告は、直接測定値ではなく予測であり、UEは、報告が送信されるサブフレームの実際の送信パワー・ヘッドルームを直接に測定することができない。したがって、UEは、UEの電力増幅器出力の穏当に正確な校正に頼る。
【0026】
パワー・ヘッドルーム報告をトリガする複数の判断基準が定義されている。これらは、次を含む。
【0027】
−最後のパワー・ヘッドルーム報告以降の推定経路損の大きい変化
−以前のパワー・ヘッドルーム報告以降に、構成された時間を超える時間が経過した
−構成された個数を超える個数の閉ループTPCコマンドがUEによって実施された
【0028】
eノードBは、システム負荷およびそのスケジューリング・アルゴリズムの要件に応じて、これらのトリガのそれぞれを制御するためにパラメータを構成することができる。より具体的には、RRCは、2つのタイマperiodicPHR−TimerおよびprohibitPHR−Timerを構成することと、パワー・ヘッドルーム報告をトリガするための測定された下りリンク経路損の変化をセットするdl−PathlossChangeをシグナリングすることとによって、パワー・ヘッドルーム報告を制御する。
【0029】
パワー・ヘッドルーム報告は、MAC制御要素として送信される。パワー・ヘッドルーム報告は、最上位2ビットが予約済みであり、最下位6ビットが1dBステップで上述の64dB値を表す、単一のオクテットからなる。このMAC制御要素の構造を、
図22に示す。
【0030】
サブフレームiについて有効なUEパワー・ヘッドルームPH[dB]は、
PH(i)=P
CMAX−{10・log
10(M
PUSCH(i))+P
O_PUSCH(j)+α(j)・PL+Δ
TF(i)+f(i)} 式2
によって定義される(3GPP TS 36.213のセクション5.1.1.2を参照されたい)。
【0031】
パワー・ヘッドルームは、1dBのステップで範囲[40;−23]dB内の最も近い値に丸められる。P
CMAXは、総最大UE送信電力(またはユーザ機器の総最大送信電力)であり、次の制約に基づいてP
CMAX_LおよびP
CMAX_Hの所与の範囲内でユーザ機器によって選択される値である。
【0032】
−P
CMAX_L≦P
CMAX≦P
CMAX_H
−P
CMAX_L=min(P
EMAX−ΔT
C,P
PowerClass−MPR−AMPR−ΔT
C)
−P
CMAX_H=min(P
EMAX,P
PowerClass)
【0033】
P
EMAXは、ネットワークによってシグナリングされる値であり、ΔT
C、MPR、およびAMPR(A−MPR(追加最大電力削減)とも表される)は、http//www.3gpp.orgから入手可能であり、参照によって本明細書に組み込まれている3GPP TS 36.101、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA); User Equipment(UE)radio transmission and reception」、version 8.7.0、セクション6.2で指定されている。
【0034】
MPRは、さまざまな変調方式および送信帯域幅に関連する隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)を制御するのに使用される電力削減値、いわゆる最大電力削減である。隣接チャネルは、たとえば、別の拡張ユニバーサル地上無線アクセス(E−UTRA)チャネルまたはUTRAチャネルのいずれかである。最大の許容される電力削減(MPR)も、3GPP TS 36.101で定義されている。これは、チャネル帯域幅および変調方式に依存して異なる。ユーザ機器の削減は、この最大の許容される電力削減(MPR)値未満である。3GPPは、ユーザ機器の最大送信電力が、公称総最大送信電力からMPRを引いたもの以上でありつつ、それでもACLR要件に従っていることを検証するMPRテストを指定している。
【0035】
次の表1に、UE電力クラス3の最大電力削減を示す。
【表1】
【0036】
たとえば、10MHzのチャネル帯域幅の割当の場合に、12個を超えるリソース・ブロックを割り当て、QPSK変調を使用する時に、ユーザ機器によって適用されるMPRは、1dB以下でなければならない。ユーザ機器によって適用される実際のMPRは、UEの実施態様に依存し、したがって、eNBには未知である。
【0037】
上で示したように、AMPRは、追加最大電力削減である。AMPRは、帯域固有であり、ネットワークによって構成される時に適用される。上の説明からわかるように、P
CMAXは、UE実施態様固有であり、したがって、eノードBには未知である。
【0038】
図23に、UE送信電力状況および対応するパワー・ヘッドルームの例示的なシナリオを示す。
図23の左側では、ユーザ機器は、電力制限されていない(正のPHR)が、
図23の右側では、負のパワー・ヘッドルームが、ユーザ機器の電力制限を暗示している。P
CMAX_L≦P
CMAX≦min(P
EMAX,P
PowerClass)であり、下界P
CMAX_Lが、通常は主に最大電力削減MPRおよび追加最大電力削減AMPRに依存する、すなわちP
CMAX_l≒P
PowerClass−MPR−AMPRであることに留意されたい。
【0039】
<LTE(リリース8)のコンポーネント・キャリア構造>
3GPP LTE(リリース8)の下りリンク・コンポーネント・キャリアは、時間周波数領域でいわゆるサブフレームに副分割される。3GPP LTE(リリース8)では、各サブフレームは、
図3に示されている2つの下りリンク・スロットに分割され、第1の下りリンク・スロットは、第1のOFDMシンボル内に制御チャネル領域(PDCCH領域)を含む。各サブフレームは、時間領域で所与の個数のOFDMシンボルからなり(3GPP LTE(リリース8)では12個または14個のOFDMシンボル)、OFDMシンボルのそれぞれは、コンポーネント・キャリアの全帯域幅にまたがる。したがって、OFDMシンボルは、それぞれ、
図4にも示されているように、
【数1】
個のサブキャリア上で送信される複数の変調シンボルからなる。
【0040】
たとえば3GPPロング・ターム・エボリューション(LTE)で使用されているように、複数キャリア通信システム、たとえばOFDMを使用すると仮定すると、スケジューラによって割り当てることのできるリソースの最小単位は、1「リソース・ブロック」である。物理リソース・ブロックは、
図4に例示されているように、時間領域では
【数2】
個の連続するOFDMシンボル、周波数領域では
【数3】
個の連続するサブキャリアとして定義される。したがって、3GPP LTE(リリース8)では、物理リソース・ブロックは、時間領域の1スロット、周波数領域の180kHzに対応する
【数4】
個のリソース要素からなる(下りリンク・リソース・グリッドに関するさらなる詳細については、たとえば、http://www.3gpp.orgから入手可能であり、参照によって本明細書に組み込まれている3GPP TS 36.211、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA);Physical Channels and Modulation(Release 8)」、version 8.9.0または9.0.0、セクション6.2を参照されたい)。
【0041】
<レイヤ1/レイヤ2(L1/L2)制御シグナリング>
スケジューリングされたユーザにその割当状況、トランスポート・フォーマット、および他のデータ関連情報(たとえば、HARQ情報、transmit power control(TPC)コマンド)について知らせるために、L1/L2制御シグナリングが、データと一緒に下りリンク上で送信される。L1/L2制御シグナリングは、ユーザ割当がサブフレームごとに変化する可能性があると仮定して、サブフレーム内で下りリンク・データと多重化される。ユーザ割当をTTI(送信時間間隔)を基礎として実行することもでき、TTI長がサブフレームの倍数であることに留意されたい。TTI長は、あるサービス・エリア内ですべてのユーザについて固定される場合があり、異なるユーザについて異なる場合があり、あるいは、ユーザごとに動的である場合さえある。一般に、L1/2制御シグナリングは、TTIごとに1回送信されることだけを必要とする。L1/L2制御シグナリングは、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)上で送信される。3GPP LTEでは、上りリンク・スケジューリング許可または上りリンク・リソース割当とも称する上りリンク・データ送信の割当も、PDCCH上で送信されることに留意されたい。
【0042】
スケジューリング許可に関して、L1/L2制御シグナリング上で送信される情報を、次の2つのカテゴリに分離することができる。
【0043】
Cat 1情報を搬送する共用制御情報(SCI)
L1/L2制御シグナリングの共用制御情報部分は、リソース割当(表示)に関連する情報を含む。共用制御情報は、通常は次の情報を含む。
−リソースに割り当てられるユーザ(1つまたは複数)を示すユーザ・アイデンティティ。
−ユーザ(1つまたは複数)が割り当てられるリソース(リソース・ブロック(RB))を示すRB割当情報。割り当てられるリソース・ブロックの個数を、動的とすることができる。
−複数のサブフレーム(またはTTI)にまたがる割当が可能である場合には、割当の持続時間(任意選択)。
【0044】
他のチャネルのセットアップおよび下りリンク制御情報(DCI)(下を参照されたい)のセットアップに依存して、共用制御情報は、さらに、上りリンク送信のACK/NACK、上りリンク・スケジューリング情報、DCIに関する情報(リソース、MCSなど)などの情報を含むことができる。
【0045】
Cat 2/3情報を搬送する下りリンク制御情報(DCI)
L1/L2制御シグナリングの下りリンク制御情報部分は、Cat 1情報によって示されるスケジューリングされたユーザに送信されるデータの送信フォーマットに関連する情報(Cat 2情報)を含む。さらに、再送信プロトコルとして(ハイブリッド)ARQを使用する場合には、Cat 2情報は、HARQ(Cat 3)情報を搬送する。下りリンク制御情報は、Cat 1に従ってスケジューリングされたユーザによって復号されることだけを必要とする。下りリンク制御情報は、通常は次に関する情報を含む。
【0046】
−Cat 2情報: 変調方式、トランスポート・ブロック(ペイロード)サイズまたは符号化レート、MIMO(多重入力・多重出力)関連情報など。トランスポート・ブロック(またはペイロード・サイズ)または符号レートのいずれかをシグナリングすることができる。どの場合でも、これらのパラメータを、変調方式情報およびリソース情報(割り当てられたリソース・ブロックの個数)を使用することによって、お互いから計算することができる。
−Cat 3情報: HARQ関連情報、たとえば、ハイブリッドARQプロセス番号、冗長性バージョン、再送信シーケンス番号
【0047】
下りリンク制御情報は、全体的なサイズおよびそのフィールドに含まれる情報において異なる複数のフォーマットで現れる。LTE リリース8/9(3GPP LTE)に関して現在定義されている異なるDCIフォーマットは、3GPP TS 36.212、「Multiplexing and channel coding(Release 9)」、version 8.8.0または9.0.0、セクション5.3.3.1(http://www.3gpp.orgから入手可能であり、参照によって本明細書に組み込まれている)に詳細に記載されている。
【0048】
下りリンクおよび上りリンクのデータ送信
下りリンク・データ送信に関して、L1/L2制御シグナリングは、下りリンク・パケット・データ送信と一緒に、別々の物理チャネル(PDCCH)上で送信される。このL1/L2制御シグナリングは、通常は次に関する情報を含む。
【0049】
−データが送信される物理リソース(1つまたは複数)(たとえば、OFDMの場合にはサブキャリアまたはサブキャリアブロック、CDMAの場合には符号)。この情報は、UE(受信器)が、データが送信されるリソースを識別することを可能にする。
【0050】
−ユーザ機器が、L1/L2制御シグナリング内にキャリア指示フィールド(CIF)を有するように構成される時には、この情報は、特定の制御シグナリング情報が対象としているコンポーネント・キャリアを特定する。これは、別のコンポーネント・キャリアを対象とした割当を、ある1つのコンポーネント・キャリアで送信することを可能にする(「クロスキャリア・スケジューリング」)。この他方のクロススケジューリングされるコンポーネント・キャリアは、たとえば、PDCCHのないコンポーネント・キャリアであり得る。すなわち、クロススケジューリングされるコンポーネント・キャリアは、L1/L2制御シグナリングを全く搬送しない。
【0051】
−送信に使用されるトランスポート・フォーマット。これは、データのトランスポート・ブロック・サイズ(ペイロード・サイズ、情報ビット・サイズ)、MCS(変調および符号化スキーム)レベル、スペクトル効率、符号レートなどであり得る。この情報は(通常は、リソース割当(たとえば、ユーザ機器に割り当てられたリソース・ブロックの個数)と一緒に)、ユーザ機器(受信器)が、復調、デレートマッチング、および復号プロセスを開始するために、情報ビット・サイズ、変調方式、および符号レートを識別することを可能にする。変調方式を、明示的にシグナリングすることができる。
【0052】
−ハイブリッドARQ(HARQ)情報
・HARQプロセス番号: ユーザ機器が、データがマッピングされるハイブリッドARQプロセスを識別することを可能にする。
・シーケンス番号または新データ・インジケータ(NDI): ユーザ機器が、送信が新しいパケットまたは再送信されたパケットであるかどうかを識別することを可能にする。ソフト合成がHARQプロトコル内で実施される場合には、シーケンス番号または新データ・インジケータは、HARQプロセス番号と一緒に、復号の前のPDUの送信のソフト合成を可能にする。
・冗長性および/またはコンステレーション・バージョン: どのハイブリッドARQ冗長性バージョンが使用されるのか(デレートマッチングに必要)および/またはどの変調コンステレーション・バージョンが使用されるのか(復調に必要)をユーザ機器に知らせる。
【0053】
−UEアイデンティティ(UE ID): L1/L2制御シグナリングがどのユーザ機器に向けたものであるのかを知らせる。通常の実施態様では、この情報は、他のユーザ機器がこの情報を読み取るのを防ぐために、L1/L2制御シグナリングのCRCをマスクするのに使用される。
【0054】
上りリンク・パケット・データ送信を可能にするために、L1/L2制御シグナリングは、下りリンク(PDCCH)で送信され、送信詳細についてユーザ機器に知らせる。このL1/L2制御シグナリングは、通常、次に関する情報を含む。
【0055】
−ユーザ機器がデータを送信しなければならない物理リソース(1つまたは複数)(たとえば、OFDMの場合にはサブキャリアまたはサブキャリアブロック、CDMAの場合にはコード)。
【0056】
−ユーザ機器が、L1/L2制御シグナリング内にキャリア指示フィールド(CIF)を有するように構成される時には、この情報は、特定の制御シグナリング情報が対象としているコンポーネント・キャリアを特定する。これは、別のコンポーネント・キャリアを対象とした割当を、ある1つのコンポーネント・キャリアで送信することを可能にする。この他方のクロススケジューリングされるコンポーネント・キャリアは、たとえば、PDCCHのないコンポーネント・キャリアであり得る。すなわち、クロススケジューリングされるコンポーネント・キャリアは、L1/L2制御シグナリングを全く搬送しない。
【0057】
−上りリンク許可のためのL1/L2制御シグナリングは、上りリンク・コンポーネント・キャリアにリンクされたDLコンポーネント・キャリアで、または、複数のDLコンポーネント・キャリアが同一のULコンポーネント・キャリアにリンクされる場合には複数のDLコンポーネント・キャリアのうちの1つで、送信される。
【0058】
−ユーザ機器が送信に使用しなければならないトランスポート・フォーマット。これは、データのトランスポート・ブロック・サイズ(ペイロード・サイズ、情報ビット・サイズ)、MCS(変調および符号化スキーム)レベル、スペクトル効率、符号レートなどとすることができる。この情報は(通常は、リソース割当(たとえば、ユーザ機器に割り当てられたリソース・ブロックの個数)と一緒に)、ユーザ機器(送信器)が、変調、レートマッチング、および符号化プロセスを開始するために、情報ビット・サイズ、変調方式、および符号レートを選ぶことを可能にする。いくつかの場合に、変調方式を、明示的にシグナリングすることができる。
【0059】
−ハイブリッドARQ情報
・HARQプロセス番号: ユーザ機器がどのハイブリッドARQプロセスからデータを選択しなければならないのかをユーザ機器に知らせる。
・シーケンス番号または新データ・インジケータ(NDI): 新しいパケットを送信しまたはパケットを再送信するようにユーザ機器に命ずる。ソフト合成がHARQプロトコル内で実施される場合には、シーケンス番号または新データ・インジケータは、HARQプロセス番号と一緒になって、復号の前にプロトコル・データ・ユニット(PDU)のための送信のソフト合成を可能にする。
・冗長性および/またはコンステレーション・バージョン: どのハイブリッドARQ冗長性バージョンを使用すべきなのか(レートマッチングに必要)および/またはどの変調コンステレーション・バージョンを使用すべきなのか(変調に必要)をユーザ機器に知らせる。
【0060】
−UEアイデンティティ(UE ID): どのユーザ機器がデータを送信しなければならないのかを知らせる。通常の実施態様では、この情報は、他のユーザ機器がこの情報を読み取るのを防ぐために、L1/L2制御シグナリングのCRCをマスクするのに使用される。
【0061】
上で言及した情報を上りリンク・データ送信および下りリンク・データ送信で正確にどのように送信すべきかに関する複数の異なる特色がある。さらに、上りリンクおよび下りリンクでは、L1/L2制御情報は、追加情報をも含むことができ、あるいは、情報の一部を省略することができる。たとえば、
−同期HARQプロトコルの場合に、HARQプロセス番号は、必要ではない場合がある、すなわち、シグナリングされない。
−チェース・コンバイニング(Chase Combining)が使用される(必ず同一の冗長性および/またはコンステレーション・バージョン)場合あるいは冗長性および/またはコンステレーション・バージョンのシーケンスが事前に定義される場合には、冗長性および/またはコンステレーション・バージョンが、必要ではなく、したがってシグナリングされない場合がある。
−電力制御情報が、さらに、制御シグナリングに含まれる場合がある。
−たとえばプリコーディングなど、MIMO関連制御情報が、さらに、制御シグナリングに含まれる場合がある。
−マルチコードMIMO送信の場合に、マルチコードのトランスポート・フォーマットおよび/またはHARQ情報が含まれる場合がある。
【0062】
LTEにおいてPDCCHでシグナリングされる上りリンク・リソース割当(物理上りリンク共用チャネル(PUSCH))については、LTE上りリンクには同期HARQプロトコルが使用されるので、L1/L2制御情報は、HARQプロセス番号を含まない。上りリンク送信に使用されるHARQプロセスは、タイミングによって与えられる。さらに、冗長性バージョン(RV)情報が、トランスポート・フォーマット情報と共に合同で符号化される、すなわち、RV情報が、トランスポート・フォーマット(TF)フィールドに組み込まれることに留意されたい。トランスポート・フォーマット(TF)すなわち変調および符号化スキーム(MCS)フィールドそれぞれは、たとえば、32個のエントリに対応する5ビットのサイズを有する。3つのTF/MCSテーブル・エントリが、冗長性バージョン(RV)1、2、または3を示すために予約される。残りのMSCテーブル・エントリは、暗黙のうちにRV0を示すMCSレベル(TBS)をシグナリングするのに使用される。PDCCHのCRCフィールドのサイズは、16ビットである。
【0063】
LTEではPDCCHでシグナリングされる下りリンク割当(PDSCH)については、冗長バージョン(RV)は、別々に2ビット・フィールド内でシグナリングされる。さらに、変調オーダー情報が、トランスポート・フォーマット情報と共に合同で符号化される。上りリンクの場合に似て、PDCCHでシグナリングされる5ビットMSCフィールドがある。エントリのうちの3つは、トランスポート・フォーマット(トランスポート・ブロック)情報を提供せずに明示的な変調オーダーをシグナリングするために予約される。残りの29のエントリについて、変調オーダーおよびトランスポート・ブロック・サイズ情報がシグナリングされる。
【0064】
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)は、L1/L2制御シグナリング、すなわち送信電力制御コマンドと、下りリンク・データ送信または上りリンク・データ送信のリソースを割り当てるスケジューリング許可とを搬送する。より正確には、下りリンク制御チャネル情報(すなわち、それぞれ、DCI内容またはL1/L2制御シグナリング情報)は、それに対応する物理チャネルであるPDCCHにマッピングされる。この「マッピング」は、下でより詳細に説明するように、RNTIを用いてマスクされる下りリンク制御チャネル情報に基づいて計算されるCRCである下りリンク制御チャネル情報のCRCアタッチメントの決定を含む。下りリンク制御チャネル情報およびそのCRCアタッチメントは、その後、PDCCHで送信される(3GPP TS 36.212、セクション4.2および5.3.3を参照されたい)。
【0065】
各スケジューリング許可は、制御チャネル要素(Control Channel Element(CCE))に基づいて定義される。各CCEは、1組のリソース要素(RE)に対応する。3GPP LTEでは、1つのCCEは、9個のリソース要素グループ(REG)からなり、1つのREGは、4つのREからなる。
【0066】
PDCCHは、あるサブフレーム内の最初の1つから3つまでのOFDMシンボルで送信される。下りリンク共有物理チャネル(PDSCH)の下りリンク許可については、PDCCHは、同一サブフレーム内の(ユーザ)データのためにPDSCHリソースを割り当てる。あるサブフレーム内のPDCCH制御チャネル領域は、1組のCCEからなり、サブフレームの制御領域内のCCEの総数は、時間および周波数制御リソース全体に分散される。複数のCCEを組み合わせて、制御チャネルの符号化レートを効果的に下げることができる。CCEは、異なる符号化レートを達成するために木構造を使用する所定の形で組み合わされる。
【0067】
3GPP LTE(リリース8/9)では、PDCCHは、1つ、2つ、4つ、または8つのCCEをアグリゲートすることができる。制御チャネル割当に使用可能なCCEの数は、キャリア帯域幅、送信アンテナの個数、制御に使用されるOFDMシンボルの個数、およびCCEサイズなどを含む複数の因子からなる関数である。複数のPDCCHを1つのサブフレーム内で送信することができる。
【0068】
DCIの形の下りリンク制御チャネル情報は、あるRNTI(Radio Network Terminal Identifier)のための下りリンク・スケジューリング情報または上りリンク・スケジューリング情報、非周期的CQI報告の要求、または上りリンク電力制御コマンドをトランスポートする。RNTIは、データまたは情報を特定のユーザ機器に向けるために、3GPP LTE(リリース8/9)などの3GPPシステムで一般的に使用される一意識別子である。RNTIは、DCIを用いて計算されたCRCをRNTIでマスクすることによって、PDCCH内に暗黙のうちに含められる。この動作の結果が、上で言及したCRCアタッチメントである。ユーザ機器の側では、データのペイロード・サイズの復号が成功した場合に、ユーザ機器は、そのユーザ機器宛のDCIを検出する。このDCIの検出は、「マスクされない」CRC(すなわち、RNTIを用いたマスキングを除去した後のCRC)を用いている、復号されたペイロード・データのCRCが成功であるかどうかをチェックすることによって行う。CRC符号のマスキングは、たとえば、RNTIを用いてCRCをスクランブルすることによって実行される。
【0069】
3GPP LTE(リリース8)では、次の異なるDCIフォーマットが定義されている。
【0070】
−上りリンクDCIフォーマット:
・フォーマット0は、UL SCH割当の送信に使用される
・フォーマット3は、2ビット電力調整と共にPUCCHおよびPUSCHのTPCコマンドの送信に使用される(複数のUEがアドレッシングされる)
・フォーマット3Aは、単一ビット電力調整と共にPUCCHおよびPUSCHのTPCコマンドの送信に使用される(複数のUEがアドレッシングされる)
【0071】
−下りリンクDCIフォーマット:
・フォーマット1は、SIMO動作のDL SCH割当の送信に使用される
・フォーマット1Aは、SIMO動作のDL SCH割当のコンパクト送信に使用される
・フォーマット1Bは、連続的なリソース割当の可能性のある、閉ループ単一ランク送信をサポートするのに使用される
・フォーマット1Cは、ページング、RACH応答、および動的BCCHスケジューリングの、下りリンク送信のためのものである
・フォーマット1Dは、プリコーディングおよび電力オフセット情報を伴う1つのPDSCH符号語のコンパクト・スケジューリングに使用される
・フォーマット2は、閉ループMIMO動作のDL−SCH割当の送信に使用される
・フォーマット2Aは、開ループMIMO動作のDL−SCH割当の送信に使用される
【0072】
下りリンクでのLTE物理チャネル構造、PDSCHフォーマット、およびPDCCHフォーマットに関するさらなる情報については、Stefania Sesia他、「LTE − The UMTS ロング・ターム・エボリューション」、Wiley & Sons Ltd.、ISBN 978−0−47069716−0、2009年4月、セクション6および9を参照されたい。
【0073】
<ユーザ機器でのPDCCHのブラインド復号>
3GPP LTE(リリース8/9)では、ユーザ機器は、いわゆる「ブラインド復号」を使用してPDCCH内のDCIを検出することを試みる。これは、下りリンクでシグナリングされるPDCCHのCCEアグリゲーションサイズまたは変調・符号化方式を示す関連する制御シグナリングがないことを意味するが、ユーザ機器は、CCEアグリゲーションサイズと変調・符号化方式とのすべての可能な組合せについてテストし、RNTIに基づくPDCCHの成功の復号を確認する。複雑さをさらに制限するために、LTEコンポーネント・キャリアの制御シグナリング領域内に、ユーザ機器がPDCCHを検索するための共通および専用の検索空間が、定義されている。
【0074】
3GPP LTE(リリース8/9)では、PDCCHペイロード・サイズは、1つのブラインド復号の試みで検出される。ユーザ機器は、下の表1で強調されているように、すべての構成された送信モードについて2つの異なるペイロード・サイズを復号することを試みる。表1は、DCIフォーマット0、1A、3、および3Aのペイロード・サイズXが、送信モード構成にかかわりなく同一であることを示す。他のDCIフォーマットのペイロード・サイズは、送信モードに依存する。
【0075】
【表2】
【0076】
したがって、ユーザ機器は、第1のブラインド復号の試みでDCIのペイロード・サイズをチェックすることができる。さらに、ユーザ機器は、処理量の増加を抑制するために、DCIフォーマットの所与のサブセットのみを検索するようにさらに構成される。
【0077】
<Further Advancements for LTE(LTE−A)>
IMT−Advancedの周波数スペクトルは、World Radiocommunication Conference 2007(WRC−07)で決定された。IMT−Advancedの全体的な周波数スペクトルが決定されたが、実際の使用可能周波数帯域幅は、各地域または国によって異なる。しかし、使用可能周波数スペクトル概要が決定された後に、無線インターフェースの標準化が、3rd Generation Partnership Project(3GPP)で開始された。3GPP TSG RAN #39会議では、「Further Advancements for E−UTRA(LTE−Advanced)」に関するスタディ・アイテム(Study Item)記述が、3GPPで承認された。このスタディ・アイテムは、たとえばIMT−Advancedでの要件を満たし、E−UTRAの進歩のために考慮すべき技術要素をカバーするものである。LTE−Aについて現在考慮されている2つの主要な技術要素を、次で説明する。
【0078】
<より広い帯域幅をサポートするためのLTE−Aでのキャリア・アグリゲーション>
キャリア・アグリゲーション(CA)では、複数のコンポーネント・キャリア(CC)が、100MHzまでのより広い送信帯域幅をサポートするためにアグリゲートされる。少なくとも上りリンクおよび下りリンクでアグリゲートされるコンポーネント・キャリアの個数が同一である時に、すべてのコンポーネント・キャリアを、3GPP LTE リリース8/9互換になるように構成することができる。これは、必ずしも、すべてのコンポーネント・キャリアが3GPP LTE(リリース8/9)互換である必要があることを意味するのではない。
【0079】
ユーザ機器は、1つまたは複数のコンポーネント・キャリア上で同時に受信しまたは送信することができる。何個のコンポーネント・キャリア上で同時受信/送信が可能であるのかは、ユーザ機器の能力に依存する。
【0080】
3GPP LTE(リリース8/9)互換ユーザ機器は、CCの構造が3GPP LTE(リリース8/9)仕様に従うならば、単一のCC上でのみ受信し、送信することができるが、キャリア・アグリゲーションのための受信能力および/または送信能力を有する3GPP LTE−A(リリース10)互換ユーザ機器は、複数のコンポーネント・キャリア上で同時に受信し、かつ/または送信することができる。
【0081】
キャリア・アグリゲーションは、連続するコンポーネント・キャリアと連続しないコンポーネント・キャリアとの両方についてサポートされ、各コンポーネント・キャリアは、3GPP LTE(リリース8/9)数秘術(numerology)を使用すると、周波数領域で最大110個のリソース・ブロックに制限される。
【0082】
同一のeノードB(基地局)から発する、おそらくは上りリンクおよび下りリンクで異なる帯域幅を有する異なる個数のコンポーネント・キャリアをアグリゲートするように、3GPP LTE−A(リリース10)互換ユーザ機器を構成することが可能である。構成できる下りリンク・コンポーネント・キャリアの個数は、UEの下りリンク・アグリゲーション能力に依存する。逆に、構成できる上りリンク・コンポーネント・キャリアの個数は、UEの上りリンク・アグリゲーション能力に依存する。下りリンク・コンポーネント・キャリアより多数の上りリンク・コンポーネント・キャリアを用いてUEを構成することは、可能ではない可能性がある。通常のTDDの配置では、上りリンクおよび下りリンクのコンポーネント・キャリアの個数および各コンポーネント・キャリアの帯域幅は、同一である。同一のeノードBから発するコンポーネント・キャリアが、同一のカバレージを提供する必要はない。
【0083】
連続してアグリゲートされるコンポーネント・キャリアの中心周波数の間の間隔は、300kHzの倍数でなければならない。これは、3GPP LTE(リリース8/9)の100kHz周波数ラスタと互換にするためであり、かつ、15kHz間隔を有するサブキャリアの直交性を維持するためである。アグリゲーション・シナリオに依存して、n×300kHz間隔は、連続するコンポーネント・キャリアの間に少数の未使用サブキャリアを挿入することによって容易に実現できる。
【0084】
複数キャリアのアグリゲーションの性質は、MACレイヤまでしか及ばない。上りリンクと下りリンクとの両方について、アグリゲートされるコンポーネント・キャリアごとにMACで要求される1つのHARQエンティティがある。(上りリンクのSU−MIMOの不在の下で)コンポーネント・キャリアあたり多くとも1つのトランスポート・ブロックがある。トランスポート・ブロックおよびその潜在的HARQ再送信は、同一のコンポーネント・キャリアにマッピングされる必要がある。
【0085】
アクティブ化されたキャリア・アグリゲーションを有するレイヤ2構造を、それぞれ下りリンクおよび上りリンクについて
図5および
図6に示す。
【0086】
キャリア・アグリゲーションが構成される時に、ユーザ機器は、ネットワークと1つのRRC接続をもつだけである。RRC接続確立/再確立時に、1つのセルが、LTE Rel. 8/9と同様に、セキュリティ入力(1つのECGI、1つのPCI、および1つのARFCN)および非アクセス層モビリティ情報(たとえば、TAI)を提供する。RRC接続確立/再確立の後に、そのセルに対応するコンポーネント・キャリアが、下りリンク・プライマリ・セル(Primary Cell、PCell)と称される。常に、接続モードでユーザ機器あたり、1つの下りリンクPCell(DL PCell)および1つの上りリンクPCell(UL PCell)だけが構成される。コンポーネント・キャリアの構成された組の中で、他のセルは、セカンダリ・セル(Secondary Cell、SCell)と称される。下りリンクPCellおよび上りリンクPCellの特性は、次の通りである。
【0087】
−上りリンクPCellは、レイヤ1上りリンク制御情報の送信に使用される。
−下りリンクPCellを非アクティブ化することはできない。
−下りリンクSCellがレイリー・フェージング(RLF)を受ける時ではなく、下りリンクPCellがRLFを受ける時に、再確立がトリガされる。
−下りリンクPCellセルは、ハンドオーバに伴って変化する可能性がある。
−非アクセス層情報は、下りリンクPCellからとられる。
【0088】
コンポーネント・キャリアの再構成、追加、および除去は、RRCによって実行することができる。LTE内ハンドオーバ時に、RRCは、ターゲット・セル内での使用のためにコンポーネント・キャリアを追加し、除去し、または再構成することもできる。新しいコンポーネント・キャリアを追加する時に、専用RRCシグナリングが、コンポーネント・キャリアのシステム情報を送信するのに使用され、この情報は、コンポーネント・キャリア送信/受信に必要である(ハンドオーバに関してRel−8/9と同様)。
【0089】
ユーザ機器が、キャリア・アグリゲーションを用いて構成される時には、常にアクティブである上りリンク・コンポーネント・キャリアおよび下りリンク・コンポーネント・キャリアの1つの対がある。その対の下りリンク・コンポーネント・キャリアは、「DLアンカ・キャリア(anchor carrier)」とも称される場合がある。同一のことが、上りリンクにもあてはまる。
【0090】
キャリア・アグリゲーションが構成される時に、ユーザ機器は複数のコンポーネント・キャリアにまたがって同時にスケジューリングされ得るが、どの時にもせいぜい1つのランダム・アクセス手順が進行中でなければならない。クロスキャリア・スケジューリングは、コンポーネント・キャリアのPDCCHが別のコンポーネント・キャリア上でリソースをスケジューリングすることを可能にする。こうするために、コンポーネント・キャリア識別フィールドが、それぞれのDCIフォーマットに導入される。
【0091】
上りリンク・コンポーネント・キャリアと下りリンク・コンポーネント・キャリアとの間でリンクすることは、クロスキャリア・スケジューリングがない時に、許可が適用される上りリンク・コンポーネント・キャリアを識別することを可能にする。
【0092】
上りリンク・コンポーネント・キャリアへの下りリンク・コンポーネント・キャリアのリンケージは、必ずしも1対1である必要がない。言い替えると、複数の下りリンク・コンポーネント・キャリアが、同一の上りリンク・コンポーネント・キャリアにリンクすることができる。下りリンク・コンポーネント・キャリアは、同時に1つの上りリンク・コンポーネント・キャリアだけにリンクすることができる。
図7および8に、下りリンク・コンポーネント・キャリアと上りリンク・コンポーネント・キャリアとの間の可能なリンケージを例示的に示す。
図7では、すべての下りリンク・コンポーネント・キャリアが、同一の上りリンク・コンポーネント・キャリアにリンクされるが、
図8では、下りリンク・コンポーネント・キャリア1および2が、上りリンク・コンポーネント・キャリア1にリンクされ、下りリンク・コンポーネント・キャリア3が、上りリンク・コンポーネント・キャリア2にリンクされる。
【0093】
<DRXおよびキャリア・アグリゲーション>
ユーザ機器の適度なバッテリ消費を提供するために、3GPP LTE(リリース8/9)ならびに3GPP LTE−A(リリース10)は、不連続受信(DRX)の概念を提供する。
【0094】
この概念について、次の用語が、DRXに関するユーザ機器の状態を記述する。
【0095】
−オン持続時間: DRXからウェイク・アップした後に、ユーザ機器がPDCCHを受信するために待つ、下りリンク・サブフレーム単位での持続時間。ユーザ機器がPDCCHを成功して復号する場合には、ユーザ機器は、アウェイクしたままになり、インアクティビティ・タイマを始動する。
【0096】
−インアクティビティ・タイマ: PDCCHの最後の成功の復号(これに失敗する場合にはDRXに再入する)からの、ユーザ機器がPDCCHを成功して復号するために待つ、下りリンク・サブフレーム単位の持続時間。ユーザ機器は、最初の送信の間に限ってPDCCHの単一の成功の復号の後にインアクティビティ・タイマを再始動しなければならない(すなわち、再送信の間には再始動しない)。
【0097】
−アクティブ時間: ユーザ機器がアウェイクしている総持続時間。これは、DRXサイクルの「オン持続時間」、インアクティビティ・タイマが満了していない間にユーザ機器が連続受信を実行している時間、およびユーザ機器が1つのHARQ RTT(ラウンド・トリップ時間)の後に下りリンク再送信を待っている間に連続受信を実行している時間を含む。上記に基づいて、最小アクティブ時間はオン持続時間と等しい長さを有し、最大アクティブ時間は未定義(無限)である。
【0098】
ユーザ機器あたり1つのDRXサイクルだけが存在する。すべてのアグリゲートされるコンポーネント・キャリアは、このDRXパターンに従う、すなわち、同一のDRX動作が、すべての構成のアクティブ化されたコンポーネント・キャリアにあてはまる(たとえば、PDCCH監視のための同一のアクティブ時間)。アクティブ時間内では、すべてのコンポーネント・キャリアは、必ず、任意の他の構成のアクティブ化されたコンポーネント・キャリア上でPDSCHをスケジューリングすることができる(さらなる制約FFS)。
【0099】
キャリア・アグリゲーションが構成される時のさらなるバッテリ節約最適化を可能にするために、SCellのコンポーネント・キャリアのアクティブ化/非アクティブ化のさらなるステップが導入される。本質的に、下りリンク・コンポーネント・キャリアは、3つの状態のうちの一つをとることができる。すなわち、非構成の状態、構成されたが非アクティブ化された状態、およびアクティブの状態のうちの1つである。下りリンクSCellがアクティブではない時(すなわち、構成されたが非アクティブ化された時、または非構成の時)には、ユーザ機器は、対応するPDCCHまたはPDSCHを受信する必要がなく、CQI測定を実行することを要求されない。逆に、下りリンクSCellがアクティブである時には、ユーザ機器は、PDSCHおよびPDCCHを受信しなければならず(存在する場合に)、CQI測定を実行できると期待される。上で説明したように、下りリンク・コンポーネントでPDCCHおよびPDSCHを受信させるために、コンポーネント・キャリアを構成した後に、下りリンク・コンポーネント・キャリアは、構成されているが非アクティブ状態から、アクティブ状態に遷移される必要がある。
【0100】
セカンダリ・コンポーネント・キャリアのアクティブ化/非アクティブ化機構の他の詳細は、次とすることができる。
・下りリンクSCellの明示的アクティブ化は、MACシグナリングによって行われる。
・下りリンクSCellの明示的非アクティブ化は、MACシグナリングによって行われる。
・下りリンクSCellの暗黙のアクティブ化も、可能である。
・下りリンクSCellを、個別にアクティブ化し、非アクティブ化することができ、単一のアクティブ化および非アクティブ化コマンドが、構成された下りリンク・セカンダリSCellの部分集合をアクティブ化/非アクティブ化することができる。
・構成されたコンポーネント・キャリアのセットに追加されたSCellは、最初に「非アクティブ化される」。
【0101】
<キャリア・アグリゲーションに関する上りリンク電力制御>
キャリア・アグリゲーションに関する上りリンク電力制御アルゴリズムの詳細のほとんどは、未公開または3GPPワーキング・グループで議論中であるが、LTE−A Rel. 10が、コンポーネント・キャリア固有上りリンク電力制御をサポートする、といった全般的な合意がなされている。すなわち、ユーザ機器のために構成された上りリンク・コンポーネント・キャリアごとに1つの独立の電力制御ループがある。さらに、パワー・ヘッドルームがコンポーネント・キャリアごとに報告されなければならないことが決定された。電力制限については、すなわちUE送信電力が総最大UE送信電力を超えている場合には、次の電力スケーリングが適用される。
【0102】
電力スケーリングについて、PUCCH電力が優先されなければならず、残り電力を、PUSCHによって使用することができる(すなわち、PUSCH電力が、まず、おそらく0までスケール・ダウンされる)。さらに、上りリンク制御情報(UCI)を有するPUSCHは、UCIを有しないPUSCHより優先される。さらに、UCIを有しないPUSCH送信に等しい電力スケーリングが考慮される。
【0103】
各コンポーネント・キャリアが、それ自体の電力制御ループを有すると仮定でき、各コンポーネント・キャリアの各トランスポート・ブロックが、コンポーネント・キャリアについて個別にセットされた電力を用いて送信されるので、パワー・ヘッドルーム報告は、コンポーネント・キャリアごとに実行されるべきである。キャリア・アグリゲーションは、複数のLTE Rel. 8/9(コンポーネント)キャリアの乗算とみなすことができるので、個々のコンポーネント・キャリアでのパワー・ヘッドルーム報告も、LTE Rel. 8/9パワー・ヘッドルーム報告手順を再利用するであろうと仮定することができる。
【0104】
さらに、LTE Rel.10では、キャリア・アグリゲーションのスコープ内に、2つの最大電力制限、すなわち、総最大UE送信電力P
CNMAXおよびコンポーネント・キャリア固有最大送信電力P
CMAC,cがある。3GPP RAN4ワーキング・グループは、単一キャリア動作モードのキャリア・アグリゲーション対応ユーザ機器のリンク・バジェットに影響しないようにするために、ユーザ機器あたりの(公称)最大送信電力P
CNMAXと(公称)最大コンポーネント・キャリア固有送信電力P
CMAC,cとの両方が、サポートされるキャリアの個数にかかわりなく同一でなければならないことを既に示した。RAN1は、コンポーネント・キャリアごとに報告されるパワー・ヘッドルーム報告が、最大電力削減(MPR)を考慮に入れることに合意した。言い替えると、ユーザ機器によって適用される電力削減は、コンポーネント・キャリア固有最大送信電力P
cmax,cで考慮される。ここで、cはコンポーネント・キャリアを表す。
【0105】
LTE Rel. 8/9とは異なって、LTE−A Rel. 10では、ユーザ機器は、同時PUSCH−PUCCH送信、マルチクラスタ・スケジューリング、および複数コンポーネント・キャリア上の同時送信にも対処しなければならず、これは、3GPP Rel. 8/9と比較して、より大きいMPR値を必要とし、適用されるMPR値のより大きい変動をも引き起こす。
【0106】
実際の電力削減が、割当のタイプ、標準化されたMPR値、およびユーザ機器実施態様にも依存するので、eノードBは、各コンポーネント・キャリアに対してユーザ機器によって適用される電力削減を知らないことに留意されたい。したがって、eノードBは、ユーザ機器がそれに関してパワー・ヘッドルームを計算するコンポーネント・キャリア固有最大送信電力を知らない。たとえば、LTE Rel. 8/9では、ユーザ機器最大送信電力P
CNMAXは、上で説明したようにある範囲内にあるものとすることができる(P
CMAX_L≦P
CMAX≦P
CMAX_H)。
【0107】
上で説明したeノードBには未知のコンポーネント・キャリア固有最大送信電力P
CMAC,cの削減に起因して、eノードBは、実際に、ユーザ機器がその総最大送信電力P
CNMAXのどれほど近くで動作しているのかを知り得ない。したがって、ユーザ機器が、総ユーザ機器最大送信電力P
CNMAXを超えている(したがって、電力スケーリングを必要とする)状況がある可能性がある。
図24に、ユーザ機器が電力制限される、すなわち、上りリンクで構成されたコンポーネント・キャリアCC#1およびCC#2上で電力スケーリングを適用している、例示的なシナリオを示す。ユーザ機器は電力制限されるが、LTE定義によるコンポーネント・キャリア固有パワー・ヘッドルーム報告は、十分に大きいパワー・ヘッドルームを示す。
【0108】
一般に、電力スケーリングは、どちらかといえば例外的なケースであろう。したがって、これらの電力制限ケースが減らされるようにパワー・ヘッドルーム報告手順を設計することが有利かもしれない。たとえば、特許出願欧州特許出願第09013756.3号)で言及されているように、UE固有パワー・ヘッドルーム報告を、コンポーネント・キャリア固有パワー・ヘッドルーム報告に加えて導入することができ、たとえば、UE固有パワー・ヘッドルーム報告が、eNBにUE電力状況を十分に与えるために、コンポーネント・キャリア固有パワー・ヘッドルーム報告と一緒に報告される。
【0109】
ユーザ機器電力節約のために、追加のコンポーネント・キャリアを効率的で高速な形で非アクティブ化でき、アクティブ化できることが非常に重要である。バースト的データ送信を用いる場合、高ビット・レートの利益を利用でき、かつ、バッテリ保護をサポートできるように、追加のコンポーネント・キャリアをすばやくアクティブ化でき、非アクティブ化できることが、必須である。前に説明したように、ユーザ機器は、構成されたが非アクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアに対してCQI測定を実行せず、報告せず、RSRP(基準信号受信電力)測定およびRSRQ(基準信号受信品質)測定などの無線リソース管理関連測定だけを実行し、報告する。したがって、下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化する時には、eノードBが、効率的な下りリンク・スケジューリングのために適当なMCSを選択できるようになるために、新たにアクティブ化されたコンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のCQI情報をすばやく獲得することが重要である。CQI情報がなければ、eノードBは、ユーザ機器の下りリンク・チャネル状態に関する知識を持たず、下りリンク・データ送信についてどちらかといえば保守的なMCSを選択するのみである可能性があり、これは、リソース利用の非効率性につながる。
【0110】
CQI情報をすばやく獲得するために、eノードBは、上りリンク・スケジューリング許可によって非周期的CQIをスケジューリングすることができる。非周期的CQIは、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)上で送信される。したがって、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化するために、eノードBは、本質的に、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化コマンドを伝えるための1つの下りリンクPDCCHおよび非周期的CQIの送信のために上りリンク・リソースをスケジューリングする1つの上りリンクPDCCHという2つの許可(PDCCH)をUEに発行する必要がある。さらに、両方のPDCCHは、ユーザ機器が正しい下りリンク・コンポーネント・キャリアすなわちアクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリアについてCQI情報を測定し、報告することを保証するために、それぞれ同一のTTIで送信され、受信されなければならない。
【0111】
非周期的CQIの正しい受信は、下りリンク・アクティブ化コマンドの肯定応答として働くことができる。すなわち、非周期的CQIが受信された時に、eノードBは、ユーザ機器が下りリンクPDCCHで示される下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化し終えたと仮定する。
【0112】
明らかに、上で説明したコンポーネント・キャリア・アクティブ化方法の主な欠点は、下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化するために2つのPDCCHが必要であることである。さらに、2つのPDCCHが同時に受信/送信される必要があるという事実に起因して、PDCCH消失によりある種のエラー・ケースが発生する可能性がある。
【0113】
下りリンク「アクティブ化」PDCCHだけが失われる場合には、ユーザ機器は、下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化しない。しかし、受信されたCQI情報に基づいて、eNBは、下りリンク・アクティブ化が成功したと誤って仮定する。非周期的CQIを要求する上りリンクPDCCHだけが失われる第2のエラー・ケースでは、eノードBは、CQIを獲得せず、下りリンク・アクティブ化が失敗したと誤って仮定する。
【0114】
3GPP LTE Rel. 8/9仕様によるパワー・ヘッドルーム報告に関連する問題もある。既に前に示したように、3GPP LTE Rel. 8/9仕様によるパワー・ヘッドルーム報告は、パワー・ヘッドルームが公称ユーザ機器最大送信電力とPUSCH上の割り当てられた上りリンク送信の推定電力との間の差を示すので、UEがPUSCH(トランスポート・ブロック)上での送信の上りリンク割当を有するサブフレーム内でのみ送信され得る。コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用する時には、スケジューリングされていないコンポーネント・キャリアすなわちそれぞれのサブフレーム内で上りリンク・リソース割当を有しないコンポーネント・キャリアについて、パワー・ヘッドルーム報告を実行することはできない。これは、PUCCH/PUSCH送信がない場合に、コンポーネント・キャリア固有最大送信電力を判定できないという事実に起因する。明らかに、上りリンク送信なしの、すなわち割り当てられたリソース・ブロックすなわちMCSを伴わない送信フォーマットもない。
【0115】
しかし、eノードBは、UEがサブフレームあたりどれほどのさらなる上りリンク帯域幅を使用できるのかを判定するために、パワー・ヘッドルーム報告を使用する。eNBが、前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリア上で上りリンク送信をスケジューリングすると判断する時に、eNBは、前記上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力状況を粗く推定する必要があり、あるいは、コンポーネント・キャリア上で将来の上りリンク送信をブラインドでスケジューリングする。というのは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアに関するパワー・ヘッドルーム情報がないからである。当然、このブラインド・スケジューリングは、最適には程遠い可能性があり、したがって、上りリンクのリソースの浪費につながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0118】
本発明の1つの目的は、上で説明された問題のうちの少なくとも1つを克服することである。さらに、本発明のもう1つの目的は、現在上りリンク送信がスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリア上で、将来の送信についての効率的なスケジューリングを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0119】
本発明は、主に、LTE Rel−8/9仕様に従ってパワー・ヘッドルーム報告を計算することが不可能なケースに適用可能である。上で説明したように、特定のコンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームは、一般に、コンポーネント・キャリアに固有の最大送信電力から、上りリンク電力制御公式の結果として特定のコンポーネント・キャリアを介する上りリンク・リソース割当に従って上りリンク送信を実行するのに必要な上りリンク送信電力を引いたものと定義することができる。したがって、上りリンク送信用のサブフレーム内に上りリンク・リソース割当がなく、したがって上りリンク送信がない時には、この特定のサブフレームについてパワー・ヘッドルームを計算することができない。通信システム内でキャリア・アグリゲーションを使用する時には、ユーザ機器は、複数の上りリンク・コンポーネント・キャリアを構成させることができ、1つまたは複数の上りリンク・コンポーネント・キャリアが、上りリンク送信のためにスケジューリングされない場合がある。コンポーネント・キャリアは、アクティブ化された状態、または構成されたが非アクティブ化された状態である可能性がある。
【0120】
上りリンク送信がないので、送信電力は、ユーザ機器によって適用されず、パワー・ヘッドルームは、前記特定のスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについてユーザ機器によって計算され得ない。
【0121】
本発明の主たる一態様は、下りリンク・コンポーネント・キャリア上で、ユーザ機器に上りリンク・リソースまたは下りリンク・リソースを割り当てるためのリソース割当情報を送信し、前記リソース割当情報は、複数のビットを含み、複数の下りリンク・コンポーネント・キャリアの各々は、前記複数のビットに含まれる一つのビットと対応しており、前記一つのビットは、対応する下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ化されるべきかまたは非アクティブ化されるべきかのいずれかを示し、前記複数のビットに含まれるいずれかのビットが、対応する下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ化されるべきことを示す場合は、前記複数のビットは、前記パワー・ヘッドルームの報告を要求するパワー・ヘッドルーム報告要求をさらに示す、送信部と、前記リソース割当情報に従って、前記ユーザ機器によりアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアに対応する上りリンク・コンポーネント・キャリアを用いて、前記ユーザ機器にスケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームと、前記ユーザ機器にスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームとを受信し、前記スケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームは、前記リソース割当情報に基づいて、前記ユーザ機器により計算されたものであり、前記仮想パワー・ヘッドルームは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当に基づいて、前記ユーザ機器により計算されたものである、受信部と、を具備する通信装置である。
【0122】
本発明の第1の態様によれば、ユーザ機器は、仮想パワー・ヘッドルームを計算することと、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについてその仮想パワー・ヘッドルームをeノードBに送信することとが可能にされなければならない。
【0123】
対応する上りリンク・リソース割当は、事前に構成され、その後、ユーザ機器によって、eノードBによって割り当てられる通常の上りリンク許可の代わりに、パワー・ヘッドルームを計算/推定するのに使用され得る。ユーザ機器は、事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当に従う上りリンク送信が、基準サブフレームとも称する、パワー・ヘッドルームが計算されなければならないサブフレーム内で、あたかもeノードBによってスケジューリングされたかのように、仮想パワー・ヘッドルームを計算することができる。
【0124】
用語「仮想パワー・ヘッドルーム」および「事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当」に関連する用語「仮想」は、その標準的ではない特性に言及するものである。「事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当」は、上りリンク・リソース割当が、意図された通りに、すなわち上りリンク送信を実行するために使用されるのではなく、パワー・ヘッドルームを計算するためにのみ使用されるという意味で、仮想である。上りリンク・コンポーネント・キャリアは、この事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当を有する場合であっても、スケジューリングされないままになる。それに対応して、「仮想パワー・ヘッドルーム」は、コンポーネント・キャリアの最大送信電力と前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリア上で実行される実際の上りリンク送信との間の差を反映するのではなく、単に、実際には行われない上りリンク送信を仮定する。
【0125】
仮想パワー・ヘッドルームを計算した後に、ユーザ機器は、これをeノードBに送信する。eノードBが、仮想パワー・ヘッドルームを計算するのに使用される、事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当の詳細を知っていると仮定する。前記ケースでは、eノードBは、受信された仮想パワー・ヘッドルームからおよび仮想上りリンク・リソース割当から、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアに関するおよびユーザ機器に関する電力状況に関する情報を推定することができる。eノードBが正確に推論できるものは、仮想ヘッドルームの計算に依存し、より詳細には以下で特に発明を実施するための形態で説明される。
【0126】
第1の代替案によれば、通常はユーザ機器に固有であり、ユーザ機器によって構成される(したがって、eノードBには未知)コンポーネント・キャリアの最大送信電力には、固定された値がセットされる。言い替えると、最大送信電力は、事前に構成され、ユーザ機器だけによってセットされるのではない。背景技術セクションで説明したように、最大送信電力には、上限および下限、すなわちP
cmax_HおよびP
cmax_Lがある。事前に構成される最大送信電力には、たとえば、コンポーネント・キャリアに適用可能な最高のまたは最低の構成可能な最大送信電力をセットすることができる。どの場合でも、eノードBは、どの事前に構成された最大送信電力が仮想パワー・ヘッドルームを計算するためにユーザ機器によって適用されるのかを知っている。
【0127】
有利なことに、可能な最大送信電力は、事前に構成される。P
cmax_H(=min(P
EMAX,P
PowerClass))は、両方ともeノードBに既に知られているP
EMAXおよびP
Powerclassだけに依存する。したがって、P
cmax_Hが事前に構成される場合に、eノードBはこれを既に知っており、これは、P
cmax_Lには完全にはあてはまらない。より具体的には、P
cmax_L(=min(P
EMAX−ΔT
C,P
PowerClass−MPR−AMPR−ΔT
C)は、さらに、実際にユーザ機器によって構成される、eノードBには未知の最大電力削減に依存する。前記ケースでは、eノードBは、仮想パワー・ヘッドルームの計算でユーザ機器によって適用される正確な事前に構成された最大送信電力を知らない。これを避けるために、ユーザ機器が、事前に構成された最大送信電力としてP
cmax_Lを使用する時に、仕様で定義される最大のMPR値を使用することを認めることができる。したがって、eノードBは、P
cmax_L自体の値を計算することができる。
【0128】
当然、事前に構成された最大送信電力の任意の他の値を、eノードBがこれを知っている限り、認めることができる。
【0129】
事前に構成された最大送信電力は、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームを計算するために、固定と考えられるのみであることに留意されたい。他のスケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルーム報告の計算について、ユーザ機器は、それ自体のコンポーネント・キャリア固有の構成された最大送信電力を使用する。
【0130】
事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当は、特定の個数のリソース・ブロックおよび特定のトランスポート・フォーマットを定義することができる。たとえば、リソース・ブロックの個数に1をセットすることができ、トランスポート・フォーマットのオフセット値ΔTFに0dBをセットすることができる。その結果、パワー・ヘッドルームの公式内の対応するコンポーネント10log
10M
PUSCH(i)およびΔTFを無視することができ、これは、パワー・ヘッドルームの計算を容易にする。
【0131】
しかし、リソース・ブロックの個数およびトランスポート・フォーマット・オフセットΔTFについて、eノードBがこれらの値を知っている限り、任意の値をとることができる。
【0132】
説明したように仮想パワー・ヘッドルームを計算した後に、ユーザ機器は、これをeノードBに送信する。その仮想パワー・ヘッドルームが計算済みである上りリンク・コンポーネント・キャリアの実際の上りリンク許可はないので、仮想パワー・ヘッドルームを、その上りリンク許可がeノードBによって割り当てられた任意の他の使用可能な上りリンク・コンポーネント・キャリアで送信することができる。
【0133】
このようにして、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームが、eノードBに報告される。仮想パワー・ヘッドルームを受信した時に、eノードBは、それがスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアを参照していることを認識する。さらに、eノードBは、それからこのスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアのリソース・ブロックあたりの電力および/または経路損を計算することができる。というのは、eノードBが、ユーザ機器がそれを基礎として受信された仮想パワー・ヘッドルームを計算した、対応するパラメータを知っているからである。この知識を、より効率的な無線リソース管理のためにeノードBによって使用することができる。
【0134】
第2の代替案によれば、仮想パワー・ヘッドルームは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについてユーザ機器によって構成された最大送信電力と等しくなるように計算される。言い替えると、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの上りリンク送信電力には、0dBがセットされ、その結果、パワー・ヘッドルームを計算するための公式に従って、仮想パワー・ヘッドルームは、ユーザ機器の最大送信電力になると定義される。
【0135】
これは、ユーザ機器とeノードBとの両方に知られている事前に構成された固定された値を仮定する第1の代替案とは異なる。しかし、第2の代替案では、最大送信電力は、通常通りにユーザ機器によって決定される。すなわち、対応する公式に従ってユーザ機器に固有の電力削減を考慮して、決定される。
【0136】
仮想パワー・ヘッドルームは、それぞれの上りリンク・コンポーネント・キャリアの最大送信電力であり、たとえば上りリンク許可を有する別の上りリンク・コンポーネント・キャリア上で、eノードBに送信される。
【0137】
eノードBは、コンポーネント・キャリアの最大送信電力である仮想パワー・ヘッドルームを受信し、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについてユーザ機器によって適用される電力削減を、それから計算することができる。特に最大送信電力は、ユーザ機器のP
cmax_H=min(P
EMAX,P
PowerClass)から、この上りリンク・コンポーネント・キャリアについてユーザ機器によって適用される電力削減を引いたものである。eノードBは、P
cmax_Hを知っており、したがって、このコンポーネント・キャリアについてユーザ機器によって適用される電力削減を計算することができる。
【0138】
有利なことに、通信システムでの電力削減は、他の上りリンク・コンポーネント・キャリア上の送信をも考慮しており、したがって、同一の電力削減が、すべての上りリンク・コンポーネント・キャリア送信に適用される。前記ケースでは、受信された仮想パワー・ヘッドルームに基づいて電力削減を計算することによって、eノードBは、ユーザ機器によってすべての他の上りリンク・コンポーネント・キャリアに実際に適用される電力削減を知る。したがって、eノードBは、スケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアの絶対送信電力を知り、それゆえUEの総送信電力状況を知り、将来の上りリンク送信のより正確なスケジューリングが可能になる。
【0139】
本発明は、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内でユーザ機器のスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームをeノードBに報告する方法を提供する。ユーザ機器は、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当に基づいて、前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームを計算する。事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当は、eノードBに既知である。その後、ユーザ機器は、計算された仮想パワー・ヘッドルームをNodeBに送信する。
【0140】
本発明の有利な実施形態によれば、仮想パワー・ヘッドルームは、さらに、ユーザ機器のスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの事前に構成された最大送信電力(P
cmax,c)に基づいて計算される。この実施形態は、発明を実施するための形態で述べる第1の代替案に当てはまる。
【0141】
本発明のさらなる実施形態では、eノードBは、ユーザ機器のスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの、事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当および事前に構成された最大送信電力に関する情報を有する。したがって、eノードBは、受信された仮想パワー・ヘッドルーム、事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当、および事前に構成された最大送信電力に基づいて、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの経路損および/またはリソース・ブロックあたりの電力を判定する。
【0142】
本発明のもう1つの実施形態について、eノードBは、ユーザ機器の上りリンク・コンポーネント・キャリアの上りリンク送信をスケジューリングする時に、スケジューリングされていない前記上りリンク・コンポーネント・キャリアの判定された経路損および/またはリソース・ブロックあたりの電力を考慮する。
【0143】
本発明のさらなる実施形態を参照すると、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの事前に構成された最大送信電力には、ユーザ機器の上りリンク・コンポーネント・キャリアの最高の(P
cmax_H)または最低の(P
cmax_L)構成可能な最大送信電力がセットされる。
【0144】
本発明のより詳細な実施形態では、事前に構成された最大送信電力に最低の最大送信電力がセットされる場合に、ユーザ機器は、最低の最大送信電力を計算するために事前に決定された電力削減を使用する。スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの経路損の判定は、事前に決定された電力削減に基づいてユーザ機器の上りリンク・コンポーネント・キャリアの最低の最大送信電力を計算することを含む。
【0145】
本発明の代替実施形態によれば、仮想パワー・ヘッドルームは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについてユーザ機器によって構成された最大送信電力(P
cmax,c)と等しい。これは、発明を実施するための形態で述べる第2の実施形態に当てはまる。また、第2の実施の形態は、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの上りリンク送信電力が仮想パワー・ヘッドルームの計算のために0と定義されることをも開示する。
【0146】
本発明のもう1つの実施形態について、各上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力削減の計算は、ユーザ機器の他の構成された上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)上の送信(1つまたは複数)を考慮する。前記ケースでは、ユーザ機器は、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力削減(MPR)を判定する。ここで、その電力削減(MPR)は、ユーザ機器の他の構成された上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)上の送信(1つまたは複数)を考慮してある。ユーザ機器は、判定された電力削減(MPR)に基づいて、最大送信電力を計算する。eノードBは、受信した仮想パワー・ヘッドルームに基づいて、その上りリンク・コンポーネント・キャリアのすべてについてユーザ機器によって使用される電力削減を計算する。
【0147】
本発明のもう1つの実施形態について、スケジューリングされていないコンポーネント・キャリアは、アクティブ化された状態または構成されたが非アクティブ化された状態である。
【0148】
本発明のさらなる実施形態によれば、事前に構成された上りリンク・リソース割当は、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリア上で上りリンク送信を実行するためにはユーザ機器によって使用されない。これが、それが「仮想」と呼ばれる理由である。
【0149】
本発明の有利な実施形態では、仮想パワー・ヘッドルームは、eノードBによってスケジューリングされた上りリンク・リソース割当を有する別の上りリンク・コンポーネント・キャリアを使用して、eノードBに送信される。
【0150】
本発明のもう1つの実施形態について、仮想パワー・ヘッドルームは、MAC(媒体アクセス制御)制御要素内のフラグ、または仮想パワー・ヘッドルームを含むMACプロトコル・データ・ユニットのサブヘッダ内のフラグのいずれかに基づいて、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアを参照するためにeノードBによって識別される。
【0151】
本発明の異なる態様は、0から63までの値をとる仮想パワー・ヘッドルーム、またはオフセット値を使用して計算される仮想パワー・ヘッドルームに関する。
【0152】
本発明は、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で、ユーザ機器のスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームをeノードBに報告するユーザ機器を提供する。ユーザ機器のプロセッサは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当に基づいて、前記スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームを計算する。事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当は、eノードBに既知である。ユーザ機器の送信器は、計算された仮想パワー・ヘッドルームをeノードBに送信する。
【0153】
もう1つの実施形態によれば、プロセッサは、さらにユーザ機器のスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの事前に構成された最大送信電力(P
cmax,c)に基づいて、仮想パワー・ヘッドルームを計算する。
【0154】
本発明のさらなる実施形態に関して、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの事前に構成された最大送信電力には、ユーザ機器の上りリンク・コンポーネント・キャリアの最高の(P
cmax_H)または最低の(P
cmax_L)構成可能な最大送信電力がセットされ、事前に構成された最大送信電力に最低の最大送信電力がセットされる場合には、プロセッサは、最低の最大送信電力を計算するために事前に決定された電力削減を使用する。
【0155】
本発明の有利な実施形態では、プロセッサは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアのユーザ機器によって構成される最大送信電力(P
cmax,c)と等しい仮想パワー・ヘッドルームを計算する。
【0156】
本発明のもう1つの実施形態について、プロセッサは、各上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力削減を計算するために、ユーザ機器の他の構成された上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)上の送信(1つまたは複数)を考慮する。プロセッサは、さらに、ユーザ機器の他の構成された上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)上の送信(1つまたは複数)を考慮するスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力削減(MPR)を判定する。プロセッサは、判定された電力削減(MPR)に基づいて、最大送信電力を計算する。
【0157】
本発明のさらなる実施形態によれば、プロセッサは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリア上の上りリンク送信を実行するために、事前に構成された上りリンク・リソース割当を無視する。
【0158】
本発明のもう1つの実施形態を参照すると、送信器は、eノードBによってスケジューリングされた上りリンク・リソース割当を有する別の上りリンク・コンポーネント・キャリアを使用して、仮想パワー・ヘッドルームをeノードBに送信する。
【0159】
本発明のもう1つの実施形態について、プロセッサは、オフセット値を考慮して仮想パワー・ヘッドルームを計算する。
【0160】
本発明は、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内でのユーザ機器からeノードBへの送信のためのMAC制御要素をも提供する。MAC制御要素は、仮想ヘッドルーム報告を識別するためのパワー・ヘッドルーム・タイプ・ビットを含む。仮想パワー・ヘッドルームは、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内のスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについてユーザ機器によって計算される。MAC制御要素は、パワー・ヘッドルーム値をも含む。
【0161】
本発明のさらなる目的は、シグナリング・オーバーヘッドを最小にしながら、コンポーネント・キャリアの効率的で頑健な(非)アクティブ化を可能にすることである。
【0162】
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0163】
本発明の第1の態様は、モバイル端末(3GPP用語ではユーザ機器と称する)のために構成された個々の下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化/非アクティブ化を可能にする、新しい上りリンク・リソース割当フォーマットおよび新しい下りリンク・リソース割当フォーマットの提案である。新しい上りリンクまたは下りリンクのリソース割当は、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態の表示を含む。すなわち、どの下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)がアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示す。この表示は、たとえば、構成された上りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示すビットマスクによって実施される。
【0164】
さらに、新しい下りリンク・リソース割当フォーマットの提案に関して、単一の下りリンク・リソース割当を使用して、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)を(非)アクティブ化し、アクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(すなわち、下りリンク・リソース割当を受信する時に既にアクティブ状態である下りリンク・コンポーネント・キャリア)上で下りリンク・リソースを同時に割り当てることができる。
【0165】
3GPP LTE−A(リリース10)または下りリンクでキャリア・アグリゲーションを使用する将来のリリースなど、下りリンクでキャリア・アグリゲーションを使用する3GPPベースの通信システム内のフォーマットの1つの例示的実施態様では、新しいリソース割当フォーマットを、既存のDCIフォーマットに対する拡張または新しいDCIフォーマットと考えることができる。
【0166】
もう1つの例示的実施態様では、ビットマスク内のビットのそれぞれは、それぞれの構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアに関連付けられ、そのアクティブ化状態を示す。上りリンクまたは下りリンクのリソース割当に含まれるこのビットマスクをチェックすることによって、モバイル端末は、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのそれぞれについて、それぞれの下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態が変更されるかどうか、すなわち、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどの1つまたは複数がアクティブ化されまたは非アクティブ化される必要があるのかを判定することができる。
【0167】
さらに、より高度な例示的実施態様では、コンポーネント・キャリア・アクティブ化/非アクティブ化情報を含む上りリンク・リソース割当は、モバイル端末に、新たにアクティブ化されるコンポーネント・キャリア(すなわち、その状態が非アクティブ化からアクティブ化に変更されたコンポーネント・キャリア(1つまたは複数))に関するチャネル品質測定値を送信するように指示することもできる。したがって、モバイル端末は、新たにアクティブ化されるコンポーネント・キャリアごとにチャネル品質測定を実行し、上りリンク・リソース割当によってモバイル端末に割り当て済みである上りリンク・リソース上で基地局(3GPP用語ではeノードBと称する)に測定の結果を送信する。チャネル品質測定結果(1つまたは複数)の送信は、モバイル端末が、それぞれ、上りリンク・リソース割当を成功して受信し、または構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアを成功してアクティブ化/非アクティブ化したことを基地局に示す。したがって、チャネル品質測定結果(1つまたは複数)の送信を、それぞれ上りリンク・リソース割当またはモバイル端末による構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化/非アクティブ化の肯定応答と考えることができる。
【0168】
本発明の一実施形態では、上りリンク・リソース割当の新しいフォーマットは、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化するための方法で使用される。モバイル端末によって実行されるこの方法では、モバイル端末は、下りリンク・コンポーネント・キャリア上で、モバイル端末に上りリンク・リソースを割り当てるための上りリンク・リソース割当を受信する。上りリンク・リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれが、それぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示すビットマスクを含む。モバイル端末は、上りリンク・リソース割当に含まれるビットマスクに従って、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化しまたは非アクティブ化する。
【0169】
本発明のさらなる実施形態では、モバイル端末は、上りリンク・リソース割当によって新たにアクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリア(すなわち、上りリンク・リソース割当の受信時にまだアクティブ化されていない下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数))ごとにチャネル品質測定を実行し、アクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のチャネル品質測定値(1つまたは複数)を、割り当てられた上りリンク・リソース上で送信する。代替案では、本発明のもう1つの実施形態に従って、モバイル端末は、上りリンク・スケジューリングのスケジューリング関連情報を、割り当てられた上りリンク・リソース上で送信することもできる。
【0170】
両方のケースで、割り当てられた上りリンク・リソース上での上りリンク送信は、考慮されることができ、かつ、上りリンク・リソース割当の(成功の)受信または下りリンク・コンポーネント・キャリアの成功の(非)アクティブ化の肯定応答とすることができる。
【0171】
もう1つの例示的実施形態では、新しい上りリンク・リソース割当フォーマットは、基地局によって実行されるコンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化するもう1つの方法で使用され、基地局は、モバイル端末に上りリンク・リソースを割り当てるためにモバイル端末に上りリンク・リソース割当を送信する。上りリンク・リソース割当は、アクティブな構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア上でモバイル端末に送信される。さらに、モバイル端末への上りリンク割当のほかに、上りリンク・リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示すビットマスクを含む。この上りリンク・リソース割当に応答して、基地局は、上りリンク・リソース割当の受信が成功したこと示すまたは下りリンク・コンポーネント・キャリアの(非)アクティブ化が成功したことを示す、肯定応答を受信する。肯定応答は、割り当てられた上りリンク・リソース上で送信される。さらに、肯定応答は、たとえば、新たにアクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のチャネル品質測定値(1つまたは複数)の形またはその代わりにモバイル端末から基地局に送信されるスケジューリング関連情報の形で受信される。
【0172】
本発明のもう1つの実施形態では、下りリンク・リソース割当の新しいフォーマットは、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化する方法で使用される。モバイル端末によって実行されるこの方法では、モバイル端末は、下りリンク・コンポーネント・キャリア上で、モバイル端末に下りリンク・リソースを割り当てるための下りリンク・リソース割当を受信する。下りリンク・リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示す表示を含む。モバイル端末は、上りリンク・リソース割当に含まれる表示に従って、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化しまたは非アクティブ化する。表示は、たとえばビットマスクの形で実現することができる。
【0173】
さらに、モバイル端末は、下りリンク・リソース割当内で示される下りリンク・データをさらに受信する。割り当てられた下りリンク・リソースが、下りリンク・リソース割当の受信時に既にアクティブ状態である下りリンク・コンポーネント・キャリア(この下りリンク・コンポーネント・キャリアは、下りリンク・リソース割当が受信された下りリンク・コンポーネント・キャリアとすることができ、または、アクティブ状態のクロススケジューリングされた他の下りリンク・コンポーネント・キャリアとすることができる)上にあることに留意されたい。
【0174】
さらに、本発明のさらなる例示的実施形態では、下りリンク・リソース割当および割り当てられた下りリンク・リソース上の下りリンク・データは、単一のサブフレーム内で受信される。
【0175】
上で説明した方法では、本発明のもう1つの実施形態に従って、上りリンク・リソース割当は、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化および非アクティブ化のためにモバイル端末に割り当てられる無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を用いてマスクされるCRCフィールドを含む。下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化および非アクティブ化のためにモバイル端末に割り当てられる「特殊な」RNTIを使用することで、基地局は、たとえば、受信された上りリンク・リソース割当のフォーマットをモバイル端末に示すことができる。下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化および非アクティブ化のための特殊なRNTIは、特にモバイル端末に有利であり、その結果、上りリンクまたは下りリンクのリソース割当についての予定の受信器をさらに示す必要がなくなる。
【0176】
上で述べたように、下りリンクでキャリア・アグリゲーションを使用する3GPPベースの通信システム内で本発明の概念を実施する状況では、本明細書で提案される上りリンク・リソース割当ならびに下りリンク・リソース割当を、L1/L2制御情報の「特殊な」DCIフォーマットと考えることができる。同一サイズを有する複数のDCIフォーマットが存在し得るので、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化および非アクティブ化のためにモバイル端末に割り当てられるRNTIは、下りリンク・コンポーネント・キャリア・アクティブ化状態に関する情報を含む組み合わされた上りリンク割当をそれぞれ上りリンクまたは下りリンクのコンポーネント・キャリア上の「純粋な」リソース割当から区別するためのフォーマット表示とすることができる。
【0177】
例示のために3GPP状況下での本発明の概念の例示的実施態様に留まると、上りリンク・リソース割当は、たとえば、3GPP LTE(リリース8/9)のDCIフォーマット0を再利用であり得、3GPP LTE DCIフォーマット0の新データ・インジケータ(NDI)のビット、TPCコマンド・フィールド、およびCQI要求フラグが、ビットマスクを示すために再利用される。その代わりに、もう1つの例示的実施態様では、モバイル端末が上りリンク・リソース割当に対して新たにアクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のチャネル品質測定値を送信するかどうかの表示と、3GPP LTE DCIフォーマット0の新データ・インジケータ(NDI)のビット、TPCコマンド・フィールド、CQI要求フラグ、ならびに変調および符号化方式フィールドの1ビットを再利用してビットマスクを示すために、モバイル端末が新たにアクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のチャネル品質測定値を送信するかどうかの表示をさらに含む。
【0178】
本発明のさらなる実施形態では、下りリンクでキャリア・アグリゲーションを使用する3GPPベースの通信システムで本発明の概念を実施する状況では、上りリンク・リソース割当は、FDD動作のための下りリンク制御情報(DCI)と考えられ、次からなる。
【0179】
−フォーマット・フラグ、これは、同一のビット数/サイズを有するように定義されるDCIフォーマットを区別するものである、
−ホッピング・フラグ、これは、モバイル端末が上りリンク・リソース・ホッピングを使用すべきか否かを示すものである、
−リソース・ブロック割当フィールド、これは、PUSCH上で上りリンク・リソースをモバイル端末に割り当てるものである、
−変調および符号化方式フィールド、これは、PUSCH上で割り当てられたリソースを使用した送信に関する、変調方式、符号化レート、および冗長性バージョンを示すものである、
−DMRSフィールド、これは、基準シンボル・シーケンスに適用される循環シフトを構成するものである、
−コンポーネント・キャリア(非)アクティブ化フィールド、これは、複数の下りリンク・コンポーネント・キャリアのそれぞれについて、それぞれの下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかどうかをビットマスクによって示すものである、および
−1つまたは複数のパディング・ビット、これは、専用制御情報のサイズを所定のビット数に整列させるためのものであり、このビットは必要な場合に(すなわち、オプションで)設けられる。
【0180】
本発明のもう1つの代替実施形態では、上りリンク・リソース割当は、さらに(すなわち、上で述べたフィールドに加えて)、上りリンク・リソースが複数の上りリンク・コンポーネント・キャリアのうちのどれに割り当てられるのかを示すキャリア・インジケータ・フィールドからなる。この実施態様は、クロスキャリア・スケジューリングを使用できる3GPP LTE−A(リリース10)で有用であり得る。
【0181】
先の段落で論じた両方の例示的な上りリンク割当フォーマットでは、上りリンク・リソース割当は、オプションで、さらに、モバイル端末が新たにアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のチャネル品質測定値を送信すべきかどうかを示すCQIフラグからなることができる。このCQIフラグは、必ずしも3GPP LTE(リリース8/9)DCIフォーマット0から既知のCQIフラグではないことに留意されたい。代替実施態様では、先の段落で論じた2つの上りリンク・リソース割当フォーマットは、オプションで、モバイル端末が新たにアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のチャネル品質測定値を送信すべきかどうかを示すために変調および符号化方式フィールド内で表現可能な少なくとも1つのコードポイントを利用することができる。
【0182】
3GPPの状況で提案される下りリンク割当の実施態様に関連するもう1つの例示的実施形態では、下りリンク・リソース割当は、たとえば3GPP LTE(リリース8/9)DCIフォーマット1Aを再利用であり得る。たとえば、新データ・インジケータ(NDI)のビットおよび/または3GPP LTE DCIフォーマット1AのPUCCHフィールドのTPCコマンドを再利用して、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態を示すことができる。たとえば、新しい下りリンク・コンポーネント・キャリア(DL CC)(非)アクティブ化フラグとしてNDIフラグを再定義する場合に、この新しいフラグを使用して、すべての下りリンク・コンポーネント・キャリア(常にアクティブ化される、下りリンク・コンポーネント・キャリアのうちの1つ、たとえばアンカ・キャリアを除く)をアクティブ化しまたは非アクティブ化することができる。PUCCHフィールドのTPCコマンドおよびNDIフラグが再利用される場合には、1ビットを使用することによって1つのコンポーネント・キャリアのアクティブ化状態(アクティブまたは構成されたが非アクティブ化された)を示し、(非)アクティブ化が関係する1つの下りリンク・コンポーネント・キャリアを示すのに残りの使用可能なビットを使用することが可能である。
【0183】
本発明のさらなる実施形態では、それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソース割当は、モバイル端末へのリソース割当のためにモバイル端末に割り当てられた無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を用いてマスクされたCRCフィールドを含み、それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソース割当のキャリア・インジケータ・フィールド(CIF)のコードポイントのうちの少なくとも1つは、それぞれ上りリンクもしくは下りリンクのリソース割当が構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化するためのビットマスクを示しているかどうか、または上りリンク・リソース割当が構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアの(非)アクティブ化に使用されず、それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソースを割り当てるのみであるかどうかを示している。
【0184】
本発明のさらなる態様は、ハードウェアおよびソフトウェアまたはその組合せでの本明細書で議論されるさまざまな実施形態によるコンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化する異なる方法の実施である。この状況では、本発明のもう1つの実施形態は、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で使用されるモバイル端末を提供する。このモバイル端末は、モバイル端末に上りリンク・リソースを割り当てる上りリンク・リソース割当を下りリンク・コンポーネント・キャリア上で受信する受信器を含み、上りリンク・リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのうちのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示すビットマスクを含んでいる。さらに、モバイル端末は、上りリンク・リソース割当に含まれるビットマスクに従って、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化しまたは非アクティブ化するプロセッサを含む。
【0185】
本発明のさらなる実施形態では、モバイル端末は、上りリンク・リソース割当によって新たにアクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリアごとにチャネル品質測定を実行するチャネル品質測定ユニットと、割り当てられた上りリンク・リソース上でアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のチャネル品質測定値(1つまたは複数)を送信する送信器とをも含む。
【0186】
本発明のもう1つの実施形態は、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で使用されるさらなるモバイル端末を提供する。モバイル端末は、モバイル端末に下りリンク・リソースを割り当てるための下りリンク・リソース割当を下りリンク・コンポーネント・キャリア上で受信する受信器を含み、上りリンク・リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示すビットマスクを含んでいる。モバイル端末の受信器は、さらに、下りリンク・リソース割当によって割り当てられた下りリンク・リソース上で下りリンク・データを受信する。さらに、モバイル端末は、上りリンク・リソース割当に含まれるビットマスクに従って、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化しまたは非アクティブ化するプロセッサを含む。
【0187】
本発明のもう1つの実施形態では、モバイル端末は、HARQプロトコルの複数のHARQプロセスのうちの1つを使用して下りリンク・データを受信し、下りリンク・データの送信に関して新データ・インジケータ(NDI)の既知の値を仮定する。
【0188】
本発明のもう1つの実施形態によれば、それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソース割当は、1つのサブフレームの制御シグナリング領域内で受信される。したがって、モバイル端末(または正確にはその受信器)は、サブフレームの制御シグナリング領域内でリソース割当のブラインド検出を実行することができる。
【0189】
本発明のさらなる実施形態では、モバイル端末のプロセッサは、さらに、それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソース割当のCRCフィールドからマスクされたCRC符号を入手し、これによってCRC符号を入手するために下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化および非アクティブ化のためにモバイル端末に割り当てられた無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を用いて、マスクされたCRC符号をマスク解除し、CRC符号に基づいてリソース割当についてのブラインド検出の成功を検証する。
【0190】
さらに、本発明のもう1つの実施形態は、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内のための基地局を提供する。基地局は、モバイル端末に上りリンク・リソースを割り当てるための上りリンク・リソース割当をアクティブの構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア上でモバイル端末へ送信する送信器を含み、上りリンク・リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示すビットマスクを含んでいる。さらに、基地局は、上りリンク・リソース割当の受信が成功したことを示すまたは下りリンク・コンポーネント・キャリアの(非)アクティブ化が成功したことを示す肯定応答を、割り当てられた上りリンク・リソース上で受信する受信器を含み、肯定応答は、新たにアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のチャネル品質測定値(1つまたは複数)の形で受信される。
【0191】
下りリンク・リソースの割当に関して、本発明のさらなる実施形態は、コンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内のための基地局を提供する。基地局は、モバイル端末に下りリンク・リソースを割り当てるために下りリンク・リソース割当をアクティブの構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア上でモバイル端末に送信する送信器を含み、下りリンク・リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示すビットマスクを含む。基地局は、さらに、下りリンク・リソース割当と同一のサブフレーム内で、割り当てられた下りリンク・リソース上で、下りリンク・データ(たとえば、トランスポート・ブロック)をモバイル端末に送信する。
【0192】
本発明のもう1つの実施形態では、基地局は、下りリンク・データの送信にHARQプロトコルの複数のHARQプロセスのうちの1つを使用し、下りリンク・データの送信に関して新データ・インジケータ(NDI)の既知の値を仮定する。
【0193】
本発明のより特別な実施形態による基地局は、さらに、それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソース割当のためにCRCフィールドを生成し、それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソース割当をモバイル端末に送信する前に下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化および非アクティブ化のためにモバイル端末に割り当てられた無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を用いてCRCフィールドをマスクするプロセッサを含む。
【0194】
さらに、基地局の送信器は、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化および非アクティブ化のためにモバイル端末に割り当てられた無線ネットワーク一時識別子(RNTI)をモバイル端末に送信することができる。
【0195】
上で述べたように、本発明の態様は、本明細書で議論されるさまざまな実施形態によるコンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化する方法のソフトウェアでの実施およびそのコンピュータ可読記憶媒体への格納である。
【0196】
さらなる実施形態によれば、本発明は、モバイル端末のプロセッサによって実行される時に、本明細書で議論されるさまざまな実施形態のうちの1つによるコンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化する方法のうちの1つをモバイル端末に実行させる命令を格納するコンピュータ可読媒体を提供する。命令の実行は、たとえば、モバイル端末に、モバイル端末に上りリンクまたは下りリンクのリソースを割り当てるためのリソース割当を下りリンク・コンポーネント・キャリア上で受信させることができ、リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示しており、命令の実行は、モバイル端末に、さらに、上りリンク・リソース割当に含まれるビットマスクに従って、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化または非アクティブ化させることができる。
【0197】
本発明のもう1つの実施形態は、基地局のプロセッサによって実行される時に、本明細書で議論されるさまざまな実施形態のうちの1つによるコンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用するモバイル通信システム内で下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化する方法のうちの1つを基地局に実行させる命令を格納するコンピュータ可読媒体を提供している。命令を実行することで、たとえば、基地局に、モバイル端末に上りリンク・リソースを割り当てるための上りリンク・リソース割当を、アクティブの構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア上でモバイル端末に送信させることができ、上りリンク・リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示すビットマスクを含み、命令を実行することで、基地局に、上りリンク・リソース割当の成功の受信または下りリンク・コンポーネント・キャリアの成功の(非)アクティブ化の肯定応答を、割り当てられた上りリンク・リソース上で受信させることができ、肯定応答は、新たにアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のチャネル品質測定値(1つまたは複数)の形で受信される。
【0198】
本発明のさらなる実施形態は、基地局のプロセッサによって実行される時に、基地局に、モバイル端末に下りリンク・リソースを割り当てるための下りリンク・リソース割当を、アクティブの構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア上でモバイル端末に送信させる命令を格納するコンピュータ可読媒体を提供しており、上りリンク・リソース割当は、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示す。命令は、さらに、基地局に、割り当てられた下りリンク・リソース上で、下りリンク・リソース割当がその中で送信される同一のサブフレーム内で、下りリンク・データをモバイル端末に送信させる。
【0199】
次では、本発明を、添付図面および線図を参照して、より詳細に説明する。図内の類似する詳細または対応する詳細は、同一の符号を用いてマークされる。
【発明を実施するための形態】
【0201】
以下の段落では、本発明のさまざまな実施形態を説明する。例示のみのために、実施形態のほとんどは、上の背景技術セクションで議論した3GPP LTE(リリース8)およびLTE−A(リリース10)モバイル通信システムによる直交単一キャリア上りリンク無線アクセス方式に関連して概要を示される。本発明を、たとえば前に説明した3GPP LTE(リリース8)およびLTE−A(リリース10)通信システムなどのモバイル通信システムに関連して有利に使用することができるが、本発明が、この特定の例示的通信ネットワークでの使用に限定されないことに留意されたい。
【0202】
上の背景技術セクションで与えた説明は、本明細書で説明される主として3GPP LTE(リリース8)およびLTE−A(リリース10)固有の例示的実施形態をよりよく理解するためのものであることが意図されており、本発明は、モバイル通信ネットワーク内のプロセスおよび機能について述べられた特定の実施態様に限定して理解されるべきではない。
【0203】
上で説明したように、3GPP LTE−A(リリース10)システムから既知の従来技術の1つの主要な欠点は、下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化するために2つのPDCCHを送信する必要があることである。この従来技術解決策の問題は、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化を示す単一の下りリンクPDCCHが、同時にPDSCHリソースを割り当てることができないことである。PDCCHおよびPDSCHは、3GPP LTEでは同一のサブフレーム内で送信される。すなわち、PDCCHは、たとえばあるサブフレームの最初の3つのOFDMシンボル内で送信され、ユーザ機器は、下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ化される時を知らないので、ユーザ機器は、新たにアクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化PDCCHがシグナリングされる時に、この下りリンク・コンポーネント・キャリア上の同一のサブフレーム内でPDSCH上の下りリンク・データを受信することができない。
【0204】
本発明は、単一の上りリンクまたは下りリンクのリソース割当が、下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化/非アクティブ化するために使用され、さらに、それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソースの同時スケジューリングを可能にする方法を提供する。本発明の一態様によれば、モバイル端末(3GPP用語ではユーザ機器と称される)のために構成された個々の下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化/非アクティブ化を可能にする、新しい上りリンク・リソース割当フォーマットが提案される。新しい上りリンク・リソース割当は、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態の表示を含む。すなわち、どの下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)がアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示す。さらに、本発明のもう1つの態様によれば、モバイル端末のために構成された個々の下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化/非アクティブ化と、モバイル端末への下りリンク・データの送信のための下りリンク・リソースの同時割当とを可能にする、新しい下りリンク・リソース割当フォーマットが提案される。新しい下りリンク・リソース割当は、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態の表示を含む。すなわち、どの下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)がアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示す。
【0205】
両方のリソース割当でのこの表示は、すべての構成されたコンポーネント・キャリアについて、またはRRC接続モードでユーザ機器のために常にアクティブである必要がある1つの下りリンク・コンポーネント・キャリア(このコンポーネント・キャリアを、ユーザ機器のアンカ・キャリアと称する)以外のすべての構成されたコンポーネント・キャリアについて送信することができる。
【0206】
さらに、アクティブ化状態の表示は、たとえば、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどれがそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化されるのかを示すビットマスクによって実施される。
【0207】
あるいは、それぞれ上りリンクまたは下りリンクの提案されるリソース割当が、1つの単一の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化しまたは非アクティブ化するのみならば、表示は、少なくとも(非)アクティブ化される構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアの識別子を示す必要がある。構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアの識別子の表示は、モバイル端末に、示された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態をトグルさせる(構成されたが非アクティブ化された←→アクティブ)。コンポーネント・キャリアIDのシグナリングについて、アンカ・キャリアを上りリンク・リソース割当によってアクティブ化/非アクティブ化できないとすると、
【数5】
ビットが必要とされる。ここで、Nは、構成されたコンポーネント・キャリアの個数であり、
【数6】
は、天井関数である。
【0208】
アクティブ化状態の暗黙の表示は、モバイル端末およびアクセス・ネットワーク(基地局)内のアクティブ化状態の脱同期につながる可能性があるので、示された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態(構成されたが非アクティブ化されたまたはアクティブ)を明示的に示している、さらなる追加のビット/フラグを上りリンク・リソース割当に含めることは有利となり得る。
【0209】
構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態をシグナリングするもう1つの代替案は、必ずアクティブである1つの下りリンク・コンポーネント・キャリア、たとえば下りリンク内の「特殊な」コンポーネント・キャリアまたはアンカ・コンポーネント・キャリア以外のすべての下りリンク・コンポーネント・キャリア、のアクティブ化状態(構成されたが非アクティブ化されたまたはアクティブ)を示す単一のビット/フラグを使用することである。これは、すべての非アンカ・コンポーネント・キャリアの同時アクティブ化または同時非アクティブ化を可能にするのみであるが、シグナリング・オーバーヘッドを大幅に減らす。
【0210】
3GPP LTE−A(リリース10)またはキャリア・アグリゲーションを使用する将来のリリースなどの下りリンクでキャリア・アグリゲーションを使用する3GPPベースの通信システムでの、この新しいそれぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソース割当フォーマットの使用を考慮すると、新しいリソース割当フォーマットを、既存DCIフォーマットの拡張または新しいDCIフォーマットと考えることができる。
【0211】
本発明の1つの例示的実施形態では、それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソース割当のDCIフォーマットは、通信システム内で定義される少なくとも1つの他のDCIフォーマットと同一のサイズを有する。さらに、下りリンクでOFDMを使用する3GPPベースの通信システムでは、リソース割当が、1つまたは複数のユーザ機器へ下りリンク・コンポーネント・キャリア上のサブフレーム内で送信されるPDCCHのペイロード(DCI)を形成していると仮定することができ、ユーザ機器は、PDCCH上のサブフレーム内でシグナリングされる異なるDCIフォーマットに対してブラインド復号を実行する。リソース割当フォーマットについて通信システム内で定義される少なくとも1つの他のDCIフォーマットと同一のサイズを使用することと、このフォーマットの暗黙のまたは明示的な表示を使用することと(下でさらに詳細に説明するように)によって、モバイル端末のブラインド復号の労力を増やさないことが可能である。
【0212】
所与のモバイル端末のために構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態を示すのにビットマスクを使用する場合に、ビットマスク内のビットのそれぞれは、たとえば、複数の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのそれぞれの構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアに関連しており、そのアクティブ化状態を示す。それぞれ上りリンクまたは下りリンクのリソース割当に含まれるこのビットマスクをチェックすることによって、モバイル端末は、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのそれぞれについて、それぞれの下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態が変更されるかどうか、すなわち構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのどの1つまたは複数がアクティブ化されまたは非アクティブ化される必要があるのかを判定することができる。
【0213】
本発明の1つの例示的実施形態および実施態様では、下りリンク・コンポーネント・キャリアを、3つのアクティブ化状態すなわち、非構成、構成されたが非アクティブ化された、およびアクティブのうちの1つであると定義することができる。下りリンク・コンポーネント・キャリアが、構成されたが非アクティブ化された時には、ユーザ機器は、対応するPDCCHまたはPDSCHを受信する必要はなく、CQI測定を実行することも要求されない。逆に、下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブである時には、ユーザ機器は、PDSCHおよびPDCCH(存在する場合に)を受信しなければならず、CQI測定を実行できると期待される。コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の構成の後には、そのコンポーネント・キャリア(1つまたは複数)は、構成されたが非アクティブ化された状態である。下りリンク・コンポーネント・キャリア上でのPDCCHおよびPDSCHの受信を可能にするために、下りリンク・コンポーネント・キャリアは、構成されたが非アクティブ化された状態からアクティブ状態に遷移される必要がある。新しく提案される上りリンクまたは下りリンクのリソース割当は、たとえば、構成されたが非アクティブ化された状態とアクティブ(「構成されアクティブ化された」)状態との間の状態遷移を示すのに使用することができる。この目的にビットマスクを使用する場合には、ビットマスクの1ビットの論理値1が、そのビットに関連する構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブであることを示すことができ、ビットマスクの1ビットの論理値0が、そのビットに関連する対応する構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアが構成されたが非アクティブ化されたことを示すことができる(またはその逆)。
【0214】
提案される上りリンク/下りリンク・リソース割当は、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアの1つで受信されるので、これは、この下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ状態であることを暗示する。たとえば、上りリンク/下りリンク・リソース割当が受信される下りリンク・コンポーネント・キャリアを、(常に)モバイル端末のために常に構成されアクティブ化される専用の「特殊な」コンポーネント・キャリア(またはアンカ・コンポーネント・キャリア)とすることができる。したがって、上りリンク・リソース割当は、この特殊なコンポーネント・キャリアについてアクティブ化状態の表示を含む必要がない(が、含むことはできる)。
【0215】
特殊なコンポーネント・キャリアのアクティブ化状態の表示もシグナリングされる場合には、提案される新しい上りリンク/下りリンク・リソース割当が特殊なコンポーネント・キャリア上または別の構成されたコンポーネント・キャリア上のどちらでシグナリングされるのかに無関係に、たとえば、本明細書で議論される新しい上りリンク/下りリンク・リソース割当によって、特殊なコンポーネント・キャリアを再構成することが可能である可能性がある。
【0216】
さらに、より高度な例示的実施態様では、コンポーネント・キャリア・アクティブ化/非アクティブ化情報を含む上りリンク・リソース割当は、モバイル端末に、新たにアクティブ化されたコンポーネント・キャリア(すなわち、状態が非アクティブ化からアクティブ化に変化したコンポーネント・キャリア(1つまたは複数))のチャネル品質測定値を送信するように指示することもできる。したがって、モバイル端末は、アクティブ化されたコンポーネント・キャリアごとにチャネル品質測定を実行し、測定の結果を、上りリンク・リソース割当によってモバイル端末に割り当てられた上りリンク・リソース上で基地局(3GPP用語ではeノードBと称する)に送信する。チャネル品質測定結果は、たとえば、CQI情報の形でシグナリングし得る。
【0217】
チャネル品質測定結果(1つまたは複数)の送信は、モバイル端末が、それぞれ上りリンク・リソース割当を成功して受信し、または構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアを成功してアクティブ化/非アクティブ化したことを基地局に示す。したがって、チャネル品質測定結果(1つまたは複数)の送信を、それぞれ上りリンク・リソース割当またはモバイル端末による構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化/非アクティブ化の肯定応答と考えることができる。
【0218】
本発明のもう1つの態様は、具体的にはモバイル端末が下りリンク制御チャネル情報(DCIフォーマット)のブラインド復号を実行すると仮定される時に、新しく提案される上りリンク/下りリンク・リソース割当を「通常の」上りリンク/下りリンク・リソース割当から区別することに関する。したがって、新しく提案されるリソース割当のフォーマットは、他のDCIフォーマットから区別される必要がある場合がある。1つの案は、本明細書で提案されるリソース割当のために新しいDCIフォーマット(新しい所与のサイズの)を定義することである。しかし、これは、新しいDCIフォーマットを復号するためにモバイル端末によって実行される必要があるブラインド復号の試みの増加を暗示するかもしれない。本発明のさらなる実施形態による代替実施態様は、上りリンク/下りリンク・リソース割当をシグナリングするために既存DCIフォーマットを再利用し、再利用される既存DCIフォーマットのいくつかのフィールド(1つまたは複数)内の未使用コードポイントを使用することによってまたはコンポーネント・キャリア(非)アクティブ化のためにモバイル端末ごとに定義される新たに定義されたRNTIを用いてCRCアタッチメントをマスクすることによって、異なる上りリンク・リソース割当フォーマットの区別を提供することである。
【0219】
たとえば、LTE−A(リリース10)またはその後継物などの3GPPベースのシステムで本発明を実施する時に、3GPP LTE(リリース8/9)のために定義された上りリンクDCIフォーマット0または3GPP LTE(リリース8/9)のために定義された下りリンクDCIフォーマット1Aを、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化について再利用することができる。下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)を(非)アクティブ化する上りリンク/下りリンク・リソース割当がシグナリングされる場合に、そのCRCを、たとえば、次でCC−RNTIと称する、この目的のために定義される新しいユーザ機器固有RNTIを用いてスクランブルすることができる。CC−RNTIは、たとえば、eノードBが上りリンク/下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の組を構成する時に、ユーザ機器に割り当てられ得る。CC−RNTIは、たとえば、アグリゲートされる下りリンク/上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の組を含むRRC接続再構成メッセージ内でユーザ機器にシグナリングされ得る。したがって、ユーザ機器で、PDCCH(すなわち、このケースではリソース割当)のペイロードのCRCアタッチメントがCC−RNTIによってマスクされていることを検出することによって、ユーザ機器は、したがって、PDCCHのペイロードのフォーマットに関して結論を出し、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を含む上りリンク・リソース割当の異なるフィールドを正しく読み取ることができる。
【0220】
本発明のもう1つの代替実施形態によれば、上りリンク/下りリンク・リソース割当内のCIFフィールド(存在する場合に)は、PDCCHのペイロードのフォーマット、すなわち、ペイロードが通常の上りリンク/下りリンク・リソース割当または構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を含む上りリンク・リソース割当のどちらであるのかを示すために使用され得る。背景技術セクションで説明したように、CIF(キャリア・インジケータ・フィールド)は、3ビットからなり、特定の制御シグナリング情報用のコンポーネント・キャリアを識別する(すなわちクロスキャリア・スケジューリング・シナリオを使って)。3ビットは8つのコードポイントを提供するが、ユーザ機器のために構成される下りリンク/上りリンク・コンポーネントは多くとも5つであり得るので、CIFコードポイントのいくつか、すなわちコードポイント6、7、および8は、未使用である。この実施形態によれば、CIFフィールドのこれらの未使用コードポイントのうちの少なくとも1つは、上りリンク/下りリンク・リソース割当が下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を含むことを示すのに使用され、ユーザ機器は、PDCCHのペイロード内のある種のビットをどのように解釈すべきかを知る。通常の上りリンク/下りリンク・リソース割当(構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を有しない)および構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を有する上りリンク/下りリンク・リソース割当のDCIフォーマットは、CIFフィールド内でシグナリングされるコードポイントによって区別されるので、上りリンク許可に使用されるものと同一のRNTI(C−RNTI)を使用して、CRCをスクランブルすることができる。したがって、この代替実施形態では、追加の新しいCC−RNTIを定義する必要はない。
【0221】
さらに、本発明のもう1つの実施形態では、上で説明したPDCCHペイロードのDCIフォーマットをどのように示すかの2つの案は、一緒に使用し得る。背景技術セクションで述べたように、3GPP LTE−A(リリース10)では、上りリンクPDCCH内にCIFが存在するように構成することは可能である。したがって、ユーザ機器は、PDCCHペイロード内にCIFを含めるように構成され、eノードBは、PDCCHペイロードが構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を有するリソース割当であることを示すために、事前定義のCIFコードポイント(1つまたは複数)を使用する。PDCCHペイロード内にCIFを含めないように構成されたユーザ機器は、上で述べたCC−RNTIが割り当てられ、このCC−RNTIは、構成されたダウンロード・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を有するリソース割当を通常のリソース割当(構成されたダウンロード・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を有しない)から区別するのに、eノードBによって使用される。
【0222】
上で概要を示したように、CC−RNTIの導入または少なくとも1つのCIFコードポイントの予約は、(非)アクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の表示を組み込むためのDCIフィールドの一部の再定義を可能にする。最大N=5個の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアがあり、常にアクティブである特定の下りリンク・コンポーネント・キャリア、たとえばアンカ・キャリアについてシグナリングすべきアクティブ化状態がないと例示的に仮定すると、N−1=4ビットが、ビットマスクを使用して下りリンク・コンポーネント・キャリアの任意の組合せをアクティブ化/非アクティブ化することを実現するために必要である。これによって、ビットマスク内の各ビットは、下りリンク・コンポーネント・キャリアのうちの1つのアクティブ化状態を表す。たとえば、「1」をセットされたビットマスク内のビットは、対応する下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化しなければならないことを示すことができ、「0」をセットされたビットは、対応する下りリンク・コンポーネント・キャリアを非アクティブ化しなければならないことを示すことができる(またはその逆)。
【0223】
本発明の1つの例示的実施形態では、本発明が実施されるそれぞれのシステムに既に存在するDCIフォーマットの1つが、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化を示すためのビットマスクのシグナリングを含めるために再定義される。提案される上りリンク・リソース割当の実施態様に関して、既に3GPP LTE(リリース8/9)または3GPP LTE−A(リリース10)で定義されている上りリンクDCIフォーマット0を再利用する場合には、ビットマスク内でシグナリングできるようにするためには、このDCIフォーマット内で4ビットが再定義される必要がある(最大N=5個の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアがあると仮定して)。
図9に、3GPP LTE(リリース8/9)のDCIフォーマット0を示す。DCIフォーマット0は、次からなる。
【0224】
−フォーマット・フラグ(フラグ・フォーマット0/1A)、これは、同一のビット数/サイズを有するように定義される、DCIフォーマット0とDCIフォーマット1Aとを区別するためのである、
−ホッピング・フラグ(Hopping Flag)、これは、ユーザ機器が上りリンク・リソース・ホッピングを使用すべきか否かを示すものである、
−リソース・ブロック割当フィールド、これは、ユーザ機器にPUSCH上の上りリンク・リソースを割り当てるものである(非周期的チャネル品質フィードバックをトリガする時には、チャネル品質フィードバックおよび任意選択でさらなるユーザ・データが、そのPUSCHを介して、これらの割り当てられるリソース上で多重化され、送信される)、
−変調および符号化方式フィールド(MCS&RV)、これは、PUSCH上で割り当てられたリソースの送信に関する変調方式、符号化レート、および冗長性バージョンを示すものである、
−新データ・インジケータ(NDI)、これは、ユーザ機器が新しいデータを送信しなければならないのかまたは再送信をしなければならないのかを示すものである、
−DMRSフィールド(サイクリック・シフトDMRS)、これは、基準シンボル・シーケンスに適用される循環シフトを構成するためのものである、
−CQI要求フラグ、これは、ユーザ機器からの非周期的チャネル品質フィードバック報告をトリガするためのである、および
−1つまたは複数のパディング・ビット、これは、専用制御情報のサイズを所定のビット数に整列させるためのものであり、このビットは必要な場合に(すなわち、オプションで)設けられる。
【0225】
さらに、
図10に示されているように、3GPP LTE−A(リリース10)の拡張されたDCIフォーマット0は、シグナリングされるリソース割当がクロススケジューリング・シナリオで関係する上りリンク・コンポーネント・キャリアを示すためのCIFフィールドをさらに含むことを除いて、3GPP LTE(リリース8/9)のDCIフォーマット0に本質的に類似する。
【0226】
下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を含む上りリンク・リソース割当によってスケジューリングされる上りリンク送信が、新しい初期送信を暗示するという仮定の下で、通常は初期/再送信を示すNIDビットを再利用することができる。同様に、「CQI要求」フラグを再利用することができる。というのは、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)がアクティブ化される時にユーザ機器が必ず非周期的CQIを送信しなければならないことを、ルールによって定義できるからである。4ビット・ビットマスクのシグナリングのために要求される残りの2ビットは、たとえば、TPCビットから盗用することができる。というのは、このビットは、非周期的CQIの送信のために必要ではなく、上りリンク送信の耐性は現状の変調および符号化方式を正しく選択することによって達成することもできるので、さらなる電力制御が要求されない可能性があるからである。
【0227】
したがって、ユーザ機器は、どのRNTIがCRCアタッチメントのCRC符号をスクランブルするのに使用されたのかに依存して、PDCCHから入手された復号された下りリンク制御チャネル情報の内容を解釈することができる。CC−RNTIが、上りリンク・リソース割当のCRCをマスクするために基地局によって使用された場合には、ユーザ機器は、DCIフォーマット0のNDIフラグ、TPCフィールド、およびCQIフラグを、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のどれが(非)アクティブ化されるのかを示す4ビットのビットマスクとして解釈する。
図11に、3GPP LTE−A(リリース10)で使用される、本発明の例示的実施形態による構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化するための例示的な改善されたDCIフォーマット0を示す。ここで、NDIフラグ、TPCフィールド、およびCQIフラグは、CC−RNTIがCRCをスクランブルするのに使用された場合に、ビットマスクとして解釈される。CRCアタッチメント内のCRCが、C−RNTIを用いてマスクされている場合には、ユーザ機器は、DCIフォーマット0のフィールドを、3GPP LTE(リリース8/9)について定義され、
図9に示されているものとして、すなわち「通常の」上りリンク・リソース割当として解釈する。
【0228】
図12に、3GPP LTE−A(リリース10)で使用される、本発明の例示的実施形態による構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化するためのもう1つの例示的な改善されたDCIフォーマット0を示す。この例では、3GPP LTE(リリース8/9)から既知であるDCIフォーマット0に基づく新しいDCIフォーマットが定義される。
図11の例に関しては、フォーマットのサイズが、DCIフォーマット0および1Aに類似していることが保証できるので、この新しいDCIフォーマットを復号するためにユーザ機器がさらなるブラインド復号をする必要がなくなる。
図12に示された例示的なDCIフォーマットでは、ビットマスクを伝えるために4ビットからなる、新しいDL CC(非)アクティブ化フィールドが定義される。上で
図11に関連して概要を示したように、NDIフラグ、TPCフィールドおよびCQIフラグは、DL CC(非)アクティブ化フィールドに対応するために
図12の上りリンク・リソース割当では省略される。
【0229】
上で説明した例示的実施形態は、3GPP LTE(リリース8/9)のDCIフォーマット0の再利用に関連して説明されたが、同様に、3GPP LTE−A(リリース10)のDCIフォーマット0を再利用することが可能である。後者の場合、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化するための上りリンク・リソース割当のDCIフォーマット再利用または新しいDCIフォーマットは、CIFフィールドをさらに含むことを除いて、
図11および
図12の例と同様である。
【0230】
NDIフラグ、TPCフィールド、およびCQIフラグの再利用が、3GPP LTE(リリース8/9)およびLTE−A(リリース10)のDCIフォーマット0のフィールドの再利用の一例にすぎないことにも留意されたい。もう1つのオプションは、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)を(非)アクティブ化するためのビットマスクをシグナリングするのに使用できる4ビットを解放するために、フラグ・フォーマット0/1A、TPCフィールド、およびCQIフラグ、またはその代わりにフラグ・フォーマット0/1A、TPCフィールド、およびNDIフラグを再利用することである。CC−RNTIがDCIフォーマットを示すのに使用される場合には、フラグ・フォーマット0/1Aは、もはやDCIフォーマット内で必要ではなく、したがって再利用することができる。
【0231】
代替案では、上りリンク・リソース割当によってスケジューリングされる上りリンク送信が耐性があるものであると仮定すると、高いスペクトル効率をうむ変調方式(64−QAMなど)は、要求される送信に使用されない可能性が高い。これは、変調および符号化方式のシグナリング用のMCSフィールドの5ビットのうちの4ビットだけが使用されることを可能にし、その結果、2
4=16個のMCSレベル「だけ」をシグナリングできるようになる。MCSフィールドの「解放された」1ビットを、ビットマスクの1ビットとして使用することもできる。これは、たとえば、4ビット・ビットマスクのシグナリングのために、フラグ・フォーマット0/1A、NDIフラグ、MSCフィールドの1ビット、およびCQIフラグを再利用することを可能にする。この形で、TPCコマンドをそれでもシグナリングすることができ、これによって、上りリンク送信の信頼性の制御がさらに改善される。
【0232】
したがって、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態をシグナリングするためのビットマスクは、3GPP LTE(リリース8/9)または3GPP LTE−A(リリース10)のDCIフォーマット0の中の、次のフィールドの任意の組合せによって形成することができる。なお、次のフィールドは、ビットマスクのシグナリングのための4ビットをうむ。
【0233】
−フラグ・フォーマット0/1A(1ビット)、
−MSCフィールドの1ビット、
−NDIフラグ(1ビット)、
−TPCコマンド・フィールド(2ビット)、および
−CQI要求フラグ(1ビット)。
【0234】
代替案では、前に述べたように、上りリンク・リソース割当が、1つの単一の構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアだけをアクティブ化しまたは非アクティブ化する場合、表示は、少なくとも、(非)アクティブ化される構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアの識別子を示す必要がある。構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアの識別子の表示は、モバイル端末に、示された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態をトグルさせる(構成されたが非アクティブ化された←→アクティブ)。コンポーネント・キャリアIDをシグナリングするためには、アンカ・キャリアを上りリンク・リソース割当によってアクティブ化/非アクティブ化できないとすると、
【数7】
ビットが必要である。N=5の場合に、これは、それぞれ、(非)アクティブ化される構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアの表示をシグナリングするために2ビットが要求され、または(非)アクティブ化される構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアの表示およびアクティブ化状態の明示的表示をシグナリングするために3ビットが要求されることを意味する。
【0235】
もう1つの実施形態によれば、1つの下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態をシグナリングするためのDL CC(非)アクティブ化フィールドは、3GPP LTE(リリース8/9)または3GPP LTE−A(リリース10)のDCIフォーマット0の中の、次のフィールドの任意の組合せによって形成することができる。なお、次のフィールドは、(非)アクティブ化される1つの下りリンク・コンポーネント・キャリアの識別子(およびアクティブ化状態の明示的表示)をシグナリングするための2ビット(または3ビット)をうむ。
【0236】
−フラグ・フォーマット0/1A(1ビット)、
−MSCフィールドの1ビット、
−NDIフラグ(1ビット)、
−TPCコマンド・フィールド(2ビット)、および
−CQI要求フラグ(1ビット)。
【0237】
(非)アクティブ化される1つの下りリンク・コンポーネント・キャリアの識別子およびアクティブ化状態の明示的表示をシグナリングするための3ビットを得る1つの例示的実施態様は、フラグ・フォーマット0/1A、NDIフラグ、およびCQI要求フラグの組合せである。同様に、TPCコマンド・フィールドと、フラグ・フォーマット0/1A、NDIフラグ、およびCQI要求フラグのうちの1つとを使用することもできる。
【0238】
もう1つの例示的実施形態では、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態は、常にアクティブである1つの下りリンク・コンポーネント・キャリア、たとえば下りリンクの「特殊な」コンポーネント・キャリアまたはアンカ・コンポーネント・キャリア以外のすべての下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態(構成されたが非アクティブ化されたまたはアクティブ)を示す単一のビット/フラグによってシグナリングされる。これは、すべての非アンカ・コンポーネント・キャリアの同時アクティブ化または非アクティブ化を可能にするのみであるが、シグナリング・オーバーヘッドを大幅に減らす。この単一ビット/(非)アクティブ化フラグをシグナリングするために、3GPP LTE(リリース8/9)または3GPP LTE−A(リリース10)のDCIフォーマット0の次のフラグ
−フラグ・フォーマット0/1A(1ビット)、
−MSCフィールドの1ビット、
−NDIフラグ(1ビット)、
−TPCコマンド・フィールド(2ビット)、
−CQI要求フラグ(1ビット)
のうちの1つを再利用することができる。
【0239】
3GPPの状況で、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態のシグナリングを可能にする下りリンク・リソース割当の実施態様に関して、本発明のもう1つの実施形態は、3GPP LTE(リリース8/9)または3GPP LTE−A(リリース10)の下りリンクDCIフォーマット1Aの再利用または再定義を提案する。
【0240】
3GPP LTE(リリース8/9)のFDDモードのための下りリンクDCIフォーマット1Aは、
図17に示されており、次のものから構成される。
【0241】
−フォーマット・フラグ(フラグ・フォーマット0/1A)、これは、同一のビット数/サイズを有するように定義され、DCIフォーマット0とDCIフォーマット1Aとを区別するものである、
−局所化/分散割当フラグ、これは、局所化送信モードまたは分散送信モードのどちらが使用されるのかを示すものである、
−リソース・ブロック割当(RBA)フィールド、これは、所与のリソース割当タイプに従ってユーザ機器にPDSCH上の下りリンク・リソース(リソース・ブロック)を割り当てるためのものであり、RBAフィールドに要求されるビット数は、割当タイプ(RAフィールド)および割り当てられるコンポーネント・キャリアの帯域幅に依存する、
−変調および符号化方式フィールド(MCS)、これは、PDSCH上で割り当てられるリソース上の送信の変調方式、符号化レート、および冗長性バージョンを示すものである、
−HARQプロセス番号、これは、割り当てられるリソース上の下りリンク送信に使用されるHARQプロセスを示すものである、
−新データ・インジケータ(NDI)フラグ、これは、所与のHARQプロセス上の送信が新しいプロトコル・データ・ユニット(PDU)であることを示すものである、
−冗長バージョン(RV)フィールド、これは、割り当てられたリソース上の下りリンク送信の冗長性バージョンを示すものである、
−送信電力制御(TPC)コマンド・フィールド、これは、PUCCH上の制御情報を送信するためのものである。
【0242】
3GPP LTE−A(リリース10)の下りリンクDCIフォーマット1Aは、
図18に示され、3GPP LTE(リリース8/9)の下りリンクDCIフォーマット1のフィールドに加えて、リソースがどのコンポーネント・キャリアに割り当てられるのかを示すキャリア・インジケータ・フィールド(CIF)が割り当てられる。TDDモードのために、3GPP LTE(リリース8/9)および3GPP LTE−A(リリース10)のDCIフォーマット1Aは、さらに、下りリンク割当インデックスを有する。
【0243】
本発明のもう1つの実施形態によれば、DCIフォーマット1AのNDIビットは、eノードBが常にアクティブの下りリンク・コンポーネント・キャリア以外のすべての下りリンク・コンポーネント・キャリアをアクティブ化しまたは非アクティブ化することを可能にするフラグ(DL CC(非)アクティブ化フラグ)を提供するために再利用される。DL CC(非)アクティブ化フラグを含む下りリンク・リソース割当の新しいDCIフォーマットの例を、
図19に示す。本発明のもう1つの代替実施形態では、DCIフォーマット1AのPUCCHフィールドのTPCコマンドまたはPUCCHフィールドのNDIフラグおよびTPCコマンドが、再利用され、DL CC(非)アクティブ化フラグを形成する。下りリンク・リソース割当の例示的DCIフォーマットを、
図20に示す。
【0244】
図19および
図20の例のDCIフォーマットが、さらに、
図18に示されているようにCIFフィールドを含み得ることに留意されたい。DCIフォーマット1AのNDIフラグが再利用される場合には、DL CC(非)アクティブ化フラグを含む提案された下りリンク・リソース割当が受信される時に、割り当てられた下りリンク・リソース上でのユーザ機器への下りリンク送信(トランスポート・ブロック)が、必ず初期送信であると定義することが望ましいかもしれない。さらに、ユーザ機器は、下りリンク送信を提供するHARQプロセスの既知のNDI値を仮定することもできる。
【0245】
上で説明したすべての代替案では、DCIフォーマットのフィールドの再利用およびCRCのマスキングに使用されるRNTIに依存する内容の解釈を使用することができ(
図11に関連して説明したように)、あるいは、DCIフィールドの結果の内容を、新しいDCIフォーマットとして定義することができる(
図12、19、および20に関連して説明したように)ことに留意されたい。
【0246】
上の段落で議論された、アクティブ化されまたは非アクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の表示をどのようにシグナリングするのかの例では、基地局が、それぞれのユーザ機器によって構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化および非アクティブ化に関連する情報をシグナリングするためにユーザ機器に特殊なRNTI(CC−RNTI)を割り当てると仮定した。CC−RNTIの使用に基づいて、ユーザ機器は、それぞれ、PDCCH上で受信された上りリンク/下りリンク・リソース割当のDCIフォーマットをどのように解釈する必要があるのか、またはそれにどのフィールドが含まれるのかを判定することができる。
【0247】
本発明のもう1つの実施形態によるもう1つの代替実施態様では、eノードBは、PDCCHペイロードが、構成された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を伴う上りリンク/下りリンク・リソース割当であることを示すために1つまたは複数の事前定義のCIFコードポイントを使用し、その結果、特殊なRNTIは不要になる。したがって、ユーザ機器は、PDCCHを復号し、CIFフィールド内でシグナリングされるコードポイントに依存してDCIフォーマット(それぞれ、DCIフォーマット内の内容/残りのフィールドの解釈)を判定する。このケースでは、PDCCHによって示される割り当てられた上りリンク/下りリンク・リソースは、事前定義の上りリンク/下りリンク・コンポーネント・キャリアまたは非クロスキャリア・スケジューリングの場合すなわちCIFフィールドが存在しなかった場合に使用される上りリンク/下りリンク・コンポーネント・キャリアのいずれかのためのものである。これは、たとえば、モバイル端末の上りリンク/下りリンク・アンカ・コンポーネント・キャリアであり得る。
【0248】
図13および
図14に、3GPP LTE−A(リリース10)で使用される、本発明のこの実施形態による構成された下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化するための例示的な改善された上りリンクDCIフォーマット0を示す。この実施の形態では、DCIフォーマットの内容の解釈は、CIFフィールドのコードポイントに依存する。CIFフィールドのコードポイントが「111」である場合には、DCIフォーマット(上りリンク・リソース割当)は、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状態をシグナリングするためのDL CC(非)アクティブ化フィールドを含み(
図13を参照されたい)、コードポイントが「111」ではない場合には、DCIフォーマットは、
図10に示されたDCIフォーマット0であり、CIFフィールドは、上りリンク・リソースが割り当てられるクロススケジューリングされたコンポーネント・キャリアを示す。DCIフォーマットを示すための特殊なCIFコードポイント(1つまたは複数)の定義が、もちろん、CIFフィールドがフォーマットに追加されると仮定すれば、下りリンク割当のケースについて
図19および
図20に示されたDCIフォーマットにも適用可能であることに留意されたい。
【0249】
本発明のもう1つの実施形態によるもう1つの代替実施態様では、DCIフォーマット(リソース割当)が、それぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化される少なくとも1つのDLコンポーネント・キャリアを識別する情報を含むことを示すために、2つの事前定義のCIFコードポイントが使用される。CIFフィールドのコードポイントが「111」である場合には、DCIフォーマット(リソース割当)は、識別子フィールドによって識別される少なくとも1つの下りリンク・コンポーネント・キャリアがアクティブ化されていることを示し、CIFフィールドのコードポイントが「110」である場合には、DCIフォーマットは、DCIフォーマット内の識別子フィールドによって識別される少なくとも1つの下りリンク・コンポーネント・キャリアが非アクティブ化されていることを示す。
【0250】
本発明のさらなるもう1つの態様は、下りリンク・コンポーネント・キャリア(非)アクティブ化に応答する非周期的CQIの送信に関する。上で説明したように、1つの例の実施態様では、上りリンク・リソース割当による下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化(構成されたが非アクティブ化された状態からアクティブ状態への遷移)は、モバイル端末に、新たにアクティブ化されたコンポーネント・キャリアのそれぞれについてチャネル品質測定を実行させ、測定の結果を基地局にシグナリングさせる。下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化する時に基地局がCQI情報を受信することは、必ずしも必要でないまたは有益ではない可能性があるので、基地局がチャネル品質測定値の送信をイネーブル/ディスエーブルできるようにすることが、望ましいかもしれない。CQI要求フラグが下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状況の表示をシグナリングするのに使用されない実施態様では、CQI要求フラグを基地局によって使用して、新たにアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアのCQI情報の送信を制御することができる。
【0251】
CQI要求フラグが下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化状況の表示をシグナリングするのに使用されるケースについて、本発明の一実施形態に従って、リソース・ブロック割当(RBA)フィールド内でシグナリングされるコードポイントをセットすることによってチャネル品質フィードバック/CQIの送信を制御することが提案される。たとえば、RBAフィールドに、無効なリソース割当であるすべて「1」をセットすることによって、基地局は、チャネル品質フィードバック/CQI報告を無効にし得る。ユーザ機器は、それでも、シグナリングされた通りに下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)を(非)アクティブ化するが、新たにアクティブ化されたコンポーネント・キャリアのチャネル品質フィードバック/CQI情報を送信しない。
【0252】
チャネル品質報告を抑制するもう1つの実現性は、上りリンク・リソース割当フォーマットを区別するためのCIFフラグの使用(上で
図13および
図14に関連して説明した)に関係する。複数のCIFコードポイントが必要ではない可能性があるので、2つのコードポイントを、上りリンク・リソース割当のフォーマットを示すために予約することができる。この2つのコードポイントの一方は、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を含む上りリンク・リソース割当を示すために定義され得、新たにアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアに関するチャネル品質を報告するようにモバイル端末に要求する。一方、2つのコードポイントの他方は、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化に関する情報を含む上りリンク・リソース割当を示すために定義され得、新たにアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアに関するチャネル品質を報告しないようにモバイル端末に要求する。
【0253】
下りリンク・コンポーネント・キャリア(非)アクティブ化シグナリングに十分な耐性を提供するために、本発明のもう1つの実施形態では、上りリンク・リソース割当によって割り当てられる上りリンク・リソース上の送信(下りリンク・コンポーネント・キャリア(非)アクティブ化に関する情報を含む)が、上りリンク・リソース割当の受信の肯定応答として働くことを提案する。したがって、チャネル品質が、割り当てられた上りリンク・リソース上で報告される場合に、基地局でのこのチャネル品質情報の受信時に、基地局は、上りリンク・リソース割当(下りリンク・コンポーネント・キャリア(非)アクティブ化に関する情報を含む)がモバイル端末によって正しく受信されたと仮定することができる。
【0254】
図15に、本発明の実施形態による例示的な3GPPベースの通信システムで下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化する手順を例示する。キャリア・アグリゲーションのために構成された2つの下りリンク・コンポーネント・キャリア(DL CC1およびDL CC2)および1つの上りリンク・コンポーネント・キャリア(UL CC1)があると例示的に仮定する。まず、DL CC2が非アクティブ化され、DL CC1およびUL CC1だけがアクティブである(UL CC1およびDL CC1は、ユーザ機器がRRC接続モードで少なくとも1つのアクティブな上りリンクおよび下りリンクのコンポーネント・キャリアを常に有する必要があるので、常にアクティブである)。
【0255】
時刻T1、たとえばDLトラフィック需要が増える時に、eノードBは、DL CC2のアクティブ化を開始するCC−RNTIを用いてスクランブルされた上りリンク・リソース割当(UL PDCCH)を送信することによって、ユーザ機器のためにDL CC2をアクティブ化する。ユーザ機器での上りリンク・リソース割当の受信時に、ユーザ機器は、DL CC2をアクティブ化し、たとえば、対応するPDCCH/PDSCHの監視を開始し、DL CC2のチャネル品質(CQI情報)を測定する。CQIのフォーマットを、たとえばeノードBによって事前に構成することができ、その結果、ユーザ機器は、広帯域CQIまたは周波数選択的CQIのどちらを報告すべきなのかを知る。ユーザ機器は、時刻T2に、時刻T1に受信された上りリンク・リソース割当によって上りリンク(UL CC1)に割り当てられたPUSCHリソース上で、計算されたCQI情報を送信する。CQI情報は、3GPP LTE(リリース8/9)で予見された実施態様と同様に、時刻T1に受信された上りリンク・リソース割当の受信から4ms後に送信される。
【0256】
eノードBがアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアDL CC1、DL CC2上のいくつかのサブフレームで下りリンク・データを送信したそのいくつかのサブフレームの後に、eノードBは、DL CC2を非アクティブ化すると判断する。したがって、eノードBは、時刻T3に、CC−RNTIおよびDL CC2の非アクティブ化を示す対応するビットマスクを用いてスクランブルされたもう1つの上りリンク・リソース割当(UL PDCCH)を送信する。非アクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアのCQI情報は有用ではない可能性があるので、eノードBは、CQI送信を無効にするために、RBAフィールドにすべて「1」をセットすることができる。
【0257】
時刻T1およびT3の上りリンク・リソース割当が、それぞれ下りリンク・コンポーネント・キャリアDL CC2のアクティブ化または非アクティブ化に使用されるので、eノードBが、同時に、下りリンク・コンポーネント・キャリアを(非)アクティブ化し、アンカ・キャリアすなわちDL CC1上で下りリンク・データを送信できることにも留意されたい。
【0258】
上で述べたいくつかの実施形態によれば、チャネル品質フィードバックは、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)をアクティブ化する上りリンク・リソース割当によって割り当てられたPUSCHリソース上で上りリンクでCQI情報すなわち非周期的CQIによって提供された。さらなる実施形態では、新たにアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)について報告されるチャネル品質情報に加えて、モバイル端末は、オプションで、さらに、アクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)にリンクされた上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)上でサウンディング基準信号(1つまたは複数)(SRS)および/または新たにアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)にリンクされた上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のパワー・ヘッドルーム報告(PHR)情報を送信することができる。PHR情報は、上りリンク・リソース割当によって割り当てられた上りリンク・リソース上で送信される。SRSおよびPHR情報は、たとえば、PUSCH送信を効率的にスケジューリングするためにeノードBにとって有用である。
【0259】
したがって、本発明のこの実施形態によれば、基地局は、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)をアクティブ化する時に、PHR送信および/またはSRSをスケジューリングし得る。それゆえ、新しい提案されるプリンク・リソース割当によって割り当てられた上りリンク・リソース上でのアクティブ化された下りリンク・コンポーネント・キャリアのチャネル品質の報告の代わりにまたはそれに加えて、モバイル端末は、SRSおよび/またはPHR報告などのスケジューリング関連情報を基地局にシグナリングすることもできる。
【0260】
図16に示された例示的シナリオでは、UL CC2のパワー・ヘッドルーム情報が、UL CC1上で送信される。ユーザ機器がUL CC2のパワー・ヘッドルームを計算しなければならないサブフレームのUL CC2上での上りリンク・リソース割当がないので、本発明のさらなる態様および実施形態によれば、UL CC2のパワー・ヘッドルームの計算は、3GPP LTE(リリース8/9)と比較して再定義される。3GPP LTE(リリース8/9)では、パワー・ヘッドルーム報告は、ユーザ機器がPUSCH上での送信のための上りリンク割当(トランスポート・ブロック)を有するサブフレーム内でのみ送信され得る。というのは、パワー・ヘッドルームが、ユーザ機器の公称最大送信電力とPUSCH上の割り当てられた上りリンク送信の推定電力との間の差を示すからである。パワー・ヘッドルームが報告される上りリンク・コンポーネント・キャリア上に上りリンク割当がないケースのために、パワー・ヘッドルームが判定されなければならないサブフレームの上りリンク・リソース割当を有しない上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームが、事前に構成された基準上りリンク・リソース割当を使用することによって計算されることを提案する。本質的に、パワー・ヘッドルームは、ユーザ機器の公称最大送信電力と事前に構成された基準上りリンク・リソース割当による上りリンク送信の推定電力との間の差で示してある。事前に構成された基準上りリンク・リソース割当は、たとえば、無線リソース制御(RRC)シグナリングによってユーザ機器にシグナリングされ得る。
【0261】
事前に構成された基準上りリンク・リソース割当を使用する、上りリンク割当を伴わない上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームの計算に関する本発明の詳細な実施形態は、後で説明する。
【0262】
同様に、チャネル品質報告に関して、それぞれSRSまたはPHRの送信も、すべての場合に有益/必要なわけではない。したがって、上で説明した実施形態と同様に、基地局は、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)をアクティブ化しまたは非アクティブ化する時に、SRSおよび/またはPHR報告をイネーブル/ディスエーブルすることもできる。これは、チャネル品質フィードバックの抑制に関して上で説明したものに類似する機構によって達成することができる。したがって、上りリンク・リソース割当に特殊なフラグを含めることまたは上りリンク・リソース割当のCIFフィールドもしくはRBAフィールド内で特殊なコードポイントを定義することを使用して、SRSおよび/またはPHR報告を送信することが要求されるかどうかをモバイル端末に示すことができる。
【0263】
代替案では、所定のルールが、SRS/PHR情報を送信すべきかどうかを定義することができる。たとえば、モバイル端末は、リンクされた上りリンク・コンポーネント(1つまたは複数)がまだアクティブではない場合、すなわち、PUSCH/PUCCH送信がリンクされた上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)上でモバイル端末によって行われなかった場合に限って、リンクされた上りリンク・コンポーネント・キャリア上でSRSを送信し、かつ/またはリンクされた上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のPHR情報を送信する。
【0264】
ユーザ機器の構成の例として
図8に示されたシナリオを考慮しつつ、下りリンク・コンポーネント・キャリア・アクティブ化の場合のSRS/PHRの送信を、
図16に関して次で明らかにする。前提は、DL CC1およびUL CC1だけが、現在アクティブ化されており、eノードBが、時刻T1にDL CC2およびDL CC3をアクティブ化すると判断することである。eノードBは、これらのDL CC2およびDL CC3をアクティブ化することを示す、提案される上りリンク・リソース割当をユーザ機器にシグナリングする。さらに、上りリンク・リソース割当は、新たにアクティブ化される下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)にリンクされた上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)すなわちこの例ではUL CC1およびUL CC2のPHR情報をも送信すること、および、リンクされた上りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)上でSRSを送信することを、ユーザ機器に指令する。
【0265】
新しく提案される上りリンク・リソース割当の受信時の、本発明の一実施形態によるユーザ機器の挙動は、次の通りである。ユーザ機器は、DL CC2およびDL CC3をアクティブ化する。さらに、ユーザ機器は、2つの新たにアクティブ化されたDL CC上でCQI情報を測定し、時刻T2に、上りリンク・リソース割当によって割り当てられたUL CC1上の上りリンク・リソース上でDL CC2およびDL CC3のCQI報告を送信する。さらに、ユーザ機器は、アクティブ化されたDL CC3がリンクされたUL CC2なので、UL CC1上で割り当てられたリソース上でUL CC2のパワー・ヘッドルーム情報を送信する。さらに、ユーザ機器は、UL CC2上でのSRSの送信を開始する。これを、上りリンク・コンポーネント・キャリアの暗黙のアクティブ化/非アクティブ化と称することもできる。すなわち、下りリンク・コンポーネント・キャリアのアクティブ化/非アクティブ化によって、リンクされた上りリンク・コンポーネント・キャリアも、周期的SRS送信および/またはPHR送信ならびにPUSCH送信について暗黙のうちにそれぞれアクティブ化されまたは非アクティブ化される。したがって、それぞれDLコンポーネント・キャリアまたは下りリンクSCellのアクティブ化/非アクティブ化コマンドによって、周期的SRS報告を、それぞれ対応するリンクされたULコンポーネント・キャリアまたはUL SCell上でイネーブル/ディスエーブルすることができる。用語「リンクされた」は、たとえば、下りリンクおよび上りリンクのセル/コンポーネント・キャリアの間のSIB2リンキングまたは下りリンクおよび上りリンクのコンポーネント・キャリア/セルの間のスケジューリング関係を指す。
【0266】
本発明のさらなる実施形態によれば、SRS送信の構成パラメータは、上位レイヤのシグナリングすなわちRRCシグナリングを介してユーザ機器にシグナリングされる。たとえば、キャリア・アグリゲーションのために下りリンクおよび上りリンクのコンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の組を用いてユーザ機器を構成する時に、構成メッセージは、特定の上りリンク・コンポーネント・キャリアのSRS構成パラメータをも含み得る。これらの構成パラメータは、たとえば、サブフレーム構成すなわち、SRSが無線フレーム内で送信されるサブフレームの組、周期性、およびサウンディング帯域幅(sounding bandwidth)を含み得る。同様に、下りリンク・コンポーネント・キャリア上のチャネル品質測定に関連する構成すなわち送信モードおよび報告モードをも、コンポーネント・キャリア構成メッセージ内でシグナリングし得る。
【0267】
本発明のもう1つの実施形態は、3GPPベースの通信システム、たとえば3GPP LTE−A(リリース10)での下りリンク・コンポーネント・キャリアの改善された非アクティブ化機構に関する。上で概要を示したように、ユーザ機器がコンポーネント・キャリアの非アクティブ化に応答してCQI情報を報告する時は、それは必ずしも必要/有益であるわけではない。たとえば、非アクティブ化の場合に、非アクティブ化されたばかりの下りリンク・コンポーネント・キャリアのCQI情報を送信するよい動機付けがあるとは思われない。したがって、上りリンク・リソース割当内の上りリンク・リソース割当関連フィールドすなわちRBAフィールド、MCSフィールド、ULホッピング・フラグ、およびDMRSフィールドは、他の目的に使用することができる。
【0268】
ユーザ機器がPDCCHを監視する時には、モバイル端末がPDCCHを誤って検出する確率(誤警報率(false alarm rate))がいつもあり、PDCCHのCRC検査は、PDCCHがこのユーザ機器宛ではない場合であっても正しくなり得る。すなわち、CRCは、RNTI不一致(意図されないユーザ)がある場合であっても合格する。このいわゆる誤警報は、無線チャネルによって引き起こされる送信誤りとRNTI不一致との2つの影響がお互いに打ち消し合う場合に発生する可能性がある。偽陽性に復号されるPDCCHの確率は、CRC長に依存する。CRC長が長いほど、CRC保護されたメッセージが誤って正しく復号される確率が下がる。16ビットのCRCサイズを用いると、誤警報確率は、1.5・10
−5になる。
【0269】
ユーザ機器が、ある下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の非アクティブ化を示す上りリンク・リソース割当を有するPDCCHを誤って検出する場合に、そのユーザ機器は、それらの示された下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のPDCCH/PDSCHの監視を止め、CQI測定値の報告をも止める。したがって、そのようなユーザ機器挙動の深刻な結果を考慮すると、誤警報確率を下げることが望ましい。許容できるレベルまで誤警報率を下げる、この実施形態で提案される1つの手段は、16ビットCRCを拡張するために「仮想CRC」を使用することである。すなわち、RBAフィールド、MCSフィールド、ULホッピング・フラグ、およびDMRSフィールドなど、下りリンク・コンポーネント・キャリア非アクティブ化に有用ではないPDCCH上でシグナリングされる上りリンク・リソース割当のDCIフィールドのうちの1つまたは複数に固定された既知の値をセットすることによって、CRCフィールドの長さを、仮想的に拡張することができる。ユーザ機器は、これらのフィールド内の値が正しくない(すなわち、既知の値に対応していない)場合には、下りリンク・キャリア非アクティブ化に関する上りリンク・リソース割当を含むPDCCHを無視しなければならない。上りリンク・リソース割当関連のDCIフィールドは、本質的に、下りリンク・コンポーネント・キャリア非アクティブ化の場合に必要ではないので、これらのフィールドを使用して、CRCを仮想的に拡張し、これによって誤警報確率を下げることができる。説明されたような誤警報率をさらに下げるためにCRC長を仮想的に拡張するための機構に類似する機構を、DLコンポーネント・キャリア・アクティブ化のケースに適用することもできる。
【0270】
本発明のもう1つの態様は、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化のための上りリンク・リソース割当を送信するのに使用されるHARQプロセスのHARQプロトコル動作に関する。これが、下りリンク・コンポーネント・キャリア(非)アクティブ化を示す上りリンク・リソース割当によってスケジューリングされる上りリンク共有チャネル(UL−SCH)上の送信(トランスポート・ブロック)がある場合、たとえば、PHR情報が上りリンク共有チャネル上での送信のためにスケジューリングされる場合にのみあてはまることに留意されたい。これは、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)上の非周期的CQIの送信と対照的であり、用いられるトランスポート・ブロック送信がない、すなわち、PUSCH上の物理レイヤ送信のみであることに留意されたい。通常はHARQプロセス管理に使用されるNDI(すなわち、トグルされたNDIは、初期送信を示す)は、いくつかの実施態様で下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)のアクティブ化状態の表示ために再利用できるので、いくつかの新しいユーザ機器挙動が、これらの実施態様のために定義される必要があるかもしれない。
【0271】
本発明の実施形態による1つの手法は、ユーザ機器が、NDIが以前の送信内の値と比較してトグルされたかどうかを判定する時に、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化を示す上りリンク・リソース割当を無視することである。
【0272】
その代わりに、本発明のもう1つの実施形態では、ユーザ機器は、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化を示すリソース割当の送信に使用されるHARQプロセスのNDI値にある事前定義の値、たとえば0/1をセットする。eノードBは、この挙動を知っているので、HARQ状況情報のNDI値に、下りリンク・コンポーネント・キャリア(1つまたは複数)の(非)アクティブ化を示すリソース割当を送信するのに使用されるHARQプロセスの事前定義の値をセットすることもできる。これは、このHARQプロセスのさらなる初期/再送信のための正しいHARQプロセス管理を可能にする。
【0273】
上の議論について、下りリンクSCellの(非)アクティブ化コマンドが、PDCCHを使用して物理レイヤ・シグナリングによって送信されると仮定した。しかし、その代わりにMAC制御シグナリングを使用して、(非)アクティブ化コマンドを送信することができる。
【0274】
下りリンクSCellの(非)アクティブ化の種類が、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルーム報告に関する本発明の実施形態に影響しないことにも留意されたい。言い替えると、仮想パワー・ヘッドルームの計算および報告は、通信システムがコンポーネント・キャリア・アグリゲーションを使用する限り、コンポーネント・キャリアのアクティブ化または非アクティブ化に使用されるシグナリングの種類とは独立である。
【0275】
特定の規制要件(SEM、ACRLなど)に基づいて、最大電力削減の値は、たとえば、割り当てられたリソース・ブロックの個数およびチャネル帯域幅に依存する。1つの電力増幅器を用いる連続キャリア・アグリゲーションについて、MPR値は、異なるコンポーネント・キャリア上の割り当てられたリソース・ブロックの間の距離にも依存する。
【0276】
複数のコンポーネント・キャリアが上りリンク送信のためにスケジューリングされている時の特定のコンポーネント・キャリアのMPRの判定は、LTEリリース10での新しい問題である。リリース8/9では、1つのコンポーネント・キャリアだけがあり、したがって、MPRは、ユーザ機器ごとに計算される。基本的に、MPRに関して複数のコンポーネント・キャリアをどのように扱うべきかに関する2つのオプションがある。すなわち、特定のコンポーネント・キャリアについて他のコンポーネント・キャリアの影響を考慮するか、各コンポーネント・キャリアを独立に考慮するかのいずれかがある。
【0277】
手法1: 他のコンポーネント・キャリアを考慮する時には、MPR(MPR
CC#1&CC#2)が、各コンポーネント・キャリア固有最大送信電力(P
cmax_c)に適用される。総最大送信電力は、ユーザ機器の電力クラスの最大電力と同一の最大送信電力である。
図25にこの手法を示し、
図25をより詳細に説明する。別々に計算される時の両方のキャリアの最大電力削減(
図26と比較して)を、MPR
CC#1およびMPR
CC#2と表す。MPRは、他のコンポーネント・キャリア送信を考慮する時に、より大きく、MPR
CC#1&CC#2と表される。MPR
CC#1&CC#2は、異なるコンポーネント・キャリアの間で同一であり、MPR
CC#1&CC#2の値は、Rel−8 MPR要件と比較してはるかに大きい可能性がある。
【0278】
手法1に基づくMPRを使用する時に、計算されるパワー・ヘッドルームは、実際の残り電力により近くなる可能性がある。しかし、1つの懸念は、このパワー・ヘッドルームが、上りリンク・スケジューリングの変化を正確に反映しない可能性があることである。たとえば、2つのアクティブ・キャリアを仮定すると、コンポーネント・キャリア1およびコンポーネント・キャリア2のパワー・ヘッドルームが報告される。少数のサブフレームの後に、第1のコンポーネント・キャリア1だけがスケジューリングされる。すなわち、コンポーネント・キャリア2上の上りリンク送信がない場合には、eNBは、新しいパワー・ヘッドルーム報告がトリガされるまで、コンポーネント・キャリア1の「古い」パワー・ヘッドルーム報告を使用する。しかし、前記ケースでは、コンポーネント・キャリア1のパワー・ヘッドルームは、実際にはもはや存在しない第2のコンポーネント・キャリア上の上りリンク送信を考慮する。したがって、eノードBは、コンポーネント・キャリア1のユーザ機器の増加したパワー・ヘッドルームの潜在能力全体を利用しにくい。
【0279】
手法2:他のコンポーネント・キャリアを考慮しない時に、MPRは、コンポーネント・キャリアごとに別々に計算され(MPR1、MPR2)、コンポーネント・キャリア固有最大送信電力(P
cmax_c)に適用される。複数のコンポーネント・キャリアに起因するMPRが、その後、ユーザ機器の総最大送信電力に適用される。
図26にこの手法を示し、
図26をより詳細に説明する。
【0280】
MPRがコンポーネント・キャリアごとに別々に計算される場合には、LTEリリース8要件を再利用することができる。したがって、各コンポーネント・キャリアは、2dBまでの最大値を有することができるそれ自体のMPR値を有する。
図26に示されているように、MPR
CC#1は、コンポーネント・キャリア1の最大電力削減を指し、MPR
CC#2は、コンポーネント・キャリア2の最大電力削減を指す。
【0281】
手法2すなわちMPRがコンポーネント・キャリアごとに別々に計算される利益は、パワー・ヘッドルームが他のコンポーネント・キャリアの存在によって影響されないので、eノードBが、各コンポーネント・キャリアのスケジューリングおよび電力調整潜在能力をよりよく理解できることである。たとえば、あるコンポーネント・キャリアの割り当てられたリソース・ブロックが、第2のコンポーネント・キャリアのリソース・ブロック割当よりはるかに少ない場合、第1のコンポーネント・キャリアは、送信電力増加のためにより大きい余地を得る。したがって、各コンポーネント・キャリアのMPRが別々に計算される場合には、eノードBは、コンポーネント・キャリアの間の差ポテンシャルを簡単に知る。
【0282】
本発明の次の実施形態は、eノードBによる上りリンク・リソース割当を有しない上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルーム報告に言及するものである。上で既に述べたように、前記スケジューリングされない上りリンク・コンポーネント・キャリアの基準サブフレーム内に上りリンク・リソース割当/許可を有することなく上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルーム情報を送信することに関する提案を、下に示す。
【0283】
通常、そのようなケースでは、パワー・ヘッドルームは、前記コンポーネント・キャリアのために可能ではない。というのは、3GPP LTE rel. 8/9によれば、パワー・ヘッドルーム報告は、UEがPUSCH上の送信のための上りリンク・リソース割当を有するサブフレーム内でのみ送信できるからである。パワー・ヘッドルームは、ユーザ機器の最大送信電力とPUSCH上に割り当てられた上りリンク送信の推定電力との間の差を示す。明らかに、割り当てられたリソース・ブロックまたは使用すべき変調および符号化方式などのような、送信フォーマットはない。上りリンク送信がない場合には、パワー・ヘッドルームを計算し、報告することはできない。
【0284】
本発明の実施形態によれば、事前に構成された基準上りリンク・リソース割当が、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームを計算するためにユーザ機器によって使用される。したがって、パワー・ヘッドルームは、本質的に、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの最大送信電力と、事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当による上りリンク送信の推定電力との間の差を示している。
【0285】
ユーザ機器での事前に構成された基準上りリンク・リソース割当は、事前に定義され、パワー・ヘッドルーム報告のためにのみ使用される。すなわち、上りリンク・コンポーネント・キャリア上での実際のデータの送信には使用されない。したがって、以下では、これを、事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当と呼ぶ場合もある。このパワー・ヘッドルームは、実際の上りリンク送信に関係しないので、以下では、これを仮想パワー・ヘッドルームと呼ぶ。
【0286】
eノードBは、ユーザ機器が仮想パワー・ヘッドルーム計算の基礎を置く、事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当に関する情報をも有する。事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当は、ユーザ機器のスタートアップ時に、ユーザ機器とeノードBとの間で取り決めることができる。これは、たとえば無線リソース制御(RRC)シグナリングによってユーザ機器にシグナリングされてもよい。その代わりに、これを仕様でユーザ機器内で固定に設定してもよく、その場合、RRCシグナリングを不要にすることができる。
【0287】
構成された上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームの計算および報告がトリガされた時に、ユーザ機器は、事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当を使用することによって、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームをも計算する。仮想パワー・ヘッドルームは、その後、スケジューリングされている上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルーム情報と一緒にeノードBに送信される。仮想パワー・ヘッドルームが計算されるスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの他の基準サブフレームの欠けている上りリンク・リソース割当に鑑みて、仮想パワー・ヘッドルームは、異なる上りリンク・コンポーネント・キャリア上で送信される。仮想パワー・ヘッドルームは、MAC制御要素としてトランスポートされ得る。
【0288】
スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームをeノードBに送信することによって、eノードBは、ユーザ機器の電力状況に関するおよびスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力状況にも関する重要な情報を知ることができる。これは、eノードBが、前記上りリンク・コンポーネント・キャリア上の将来の上りリンク送信をよりよくスケジューリングすることを可能にする。仮想パワー・ヘッドルーム情報がなければ、eノードBは、前記上りリンク・コンポーネント・キャリアを介する上りリンク送信をスケジューリングすると判断した後に、上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力状況を粗く推定する必要があり、あるいは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリア上の将来の上りリンク送信をブラインドでスケジューリングする必要がある。
【0289】
仮想パワー・ヘッドルームに基づいて、eノードBは、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力状況を知り、スケジューリング効率を高めるためにこの情報を使用することができる。
【0290】
より詳細な実施形態を以下で説明するが、以下では、基本的に、仮想パワー・ヘッドルームをどのように計算すべきかに関する2つの代替案がある。仮想パワー・ヘッドルームをどのように計算すべきかについてある手法では、eノードBが受信した仮想パワー・ヘッドルームから正確に何を知ることができるのかを判断する。
【0291】
第1の代替案によれば、コンポーネント・キャリア固有最大送信電力P
cmax,cには、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームを計算するために、ある事前定義の固定値がセットされる。eノードBは、ユーザ機器によって使用される事前に構成された最大送信電力P
cmax,cを知っていなければならない。P
cmax,cには任意の値をセットすることができるが、好ましくは、2つの限界P
cmax_LとP
cmax_Hとの間でセットされる。
【0292】
基準PUSCHフォーマットすなわち事前に構成された仮想上りリンク・リソース割当を、次の例に従ってセットすることができる。リソース・ブロックの個数には1がセットされ、これは、10log
10(M
PUSCH(i))が0dBであることを意味する。さらに、ΔTFには0dBがセットされる。
【0293】
上の例示的な事前に構成された上りリンク・リソース割当の場合に、パワー・ヘッドルームを計算する公式は、
PH(i)=P
CMAX−{10・log
10(M
PUSCH(i))+P
O_PUSCH(j)+α(j)・PL+Δ
TF(i)+f(i)}
であるが、これを
vPH(i)=P
CMAX_preconf−{P
O_PUSCH(j)+α(j)・PL+f(i)}
に換算することができる。
【0294】
仮想パワー・ヘッドルーム(vPH)を計算するための残りのパラメータは、ユーザ機器に既知である。経路損(PL)、受信されたTPCコマンド(f(i))、およびP
O_PUSCH(i)またはαなどの他のコンポーネント・キャリア固有定数の値は、上りリンク・データ送信を有しない場合であっても、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについて利用可能である。
【0295】
P
cmax_preconfのために事前に構成された固定値を使用して、ユーザ機器は、上の公式に従って、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームを計算することが可能となる。計算された仮想パワー・ヘッドルームは、たとえばスケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアを介してMAC制御要素内で、eNodeに送信される。
【0296】
それぞれ上述した基準PUSCHフォーマットまたは対応する電力制御パラメータは、非MIMOケースについてのみ考慮された。上りリンク単一ユーザMIMOの場合、たとえば、それぞれ基準PUSCHフォーマットまたは対応する電力制御パラメータを、いくつかのMIMO固有パラメータによって拡張することができる。これらのパラメータを、非MIMOケースと同一の形で事前に構成することができる。
【0297】
P
cmax_preconfigのeノードBの知識に基づいて、PL、すなわちこのスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについてユーザ機器によって測定された経路損、に関するある情報を取り出すことが可能である。したがって、仮想パワー・ヘッドルームは、より効率的な無線リソース管理のためにeノードBによって使用し得る、対応する上りリンク・コンポーネント・キャリアの経路損状況に関するある情報を明らかにする。たとえば、eノードBは、アグリゲートされたコンポーネント・キャリアの間の大きい経路損差を検出することができる。大きい経路損差は、回避されなければならず、eノードBは、ユーザ機器の観点から類似する経路損特を有するコンポーネント・キャリアをアグリゲートしなければならない。
【0298】
経路損状況が、通常はユーザ機器の速度に依存して非常にゆっくり変化し、したがって、仮想パワー・ヘッドルームに基づいて計算される経路損値が、かなり長い間有効なままになり得、eノードBが、将来の上りリンク送信スケジューリングについて基本的に同一の経路損状況を仮定できることに留意されたい。
【0299】
eノードBは、対応する上りリンク・コンポーネント・キャリアのリソース・ブロックあたりの電力(P
O_PUSCH(j)+α(j)・PL+f(i))を計算することもでき、したがって、eノードBが、現在はスケジューリングされていないその上りリンク・コンポーネント・キャリア上の将来の上りリンク送信を効率的にスケジューリングすることが可能になる。たとえば、eノードBは、このコンポーネント・キャリア上の上りリンク送信をスケジューリングすべきか否かを判断するために、この情報を使用することができる。電力スペクトル密度が大きすぎる値を有する場合には、ユーザ機器が電力制限される危険性があるので、eノードBは、このコンポーネント・キャリアのスケジューリングを控える。同一の形で、eノードBは、アグリゲートされたコンポーネント・キャリアの間の大きいPSD差を検出することができる。コンポーネント・キャリアの間のPSD差が大きい場合には、ユーザ機器によって複数のコンポーネント・キャリア上で同時に送信することが不可能であるか、それが電力増幅器のダイナミック・レンジに影響するのでユーザ機器の複雑さを大幅に増やすかのいずれかである。
【0300】
既に述べたように、第1の代替案について、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアのユーザ機器の構成された最大送信電力には、固定された事前に構成された値をセットすることができる。たとえば、これにP
cmax_Hをセットすることができ、このP
cmax_HはP
CMAX_H=min(P
EMAX,P
PowerClass)である。P
EMAXは、ネットワークによってシグナリングされる値であり、P
PowerClassも、ネットワークによって知られているので、eノードBは、P
cmax_Hを知っている。P
cmaxにP
cmax_Hをセットすることは、対応するスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについて考慮されるMPR/A−MPRに起因する電力削減がないことを意味し、これは、例示的な基準PUSCHフォーマットに従って複数のリソース・ブロックに関する電力に0がセットされるので、穏当と思われる。
【0301】
代替案では、P
cmaxにP
cmax_Lをセットすることができ、このP
cmax_Lは、
P
CMAX_L=min(P
EMAX−ΔT
C,P
PowerClass−MPR−AMPR−ΔT
C)
である。
【0302】
ユーザ機器の最大電力削減は、eNodeによって知られてはいないが、電力クラス3のユーザ機器について背景技術セクションの表1に従い、送信フォーマットに基づいてユーザ機器によって選択される。たとえば、eノードBは、ユーザ機器が最大値で適用できる最大電力削減が1dB未満でなければならないことだけを判定することができる。したがって、eノードBは、特定のユーザ機器の最大電力削減がどの値であるのかを知らない。ユーザ機器によって使用される実際の電力削減は、ユーザ機器によって構成された最大電力削減より小さい可能性がある。
【0303】
しかし、eノードBは、通常、ユーザ機器が特定の上りリンク送信について適用できる最大電力削減を知らない。eノードBがeノードBの最大電力削減についてそれでも知るために、仮想パワー・ヘッドルームを計算し、事前に構成されたP
cmax_preconfigとしてP
cmax_Lを使用する時に、ユーザ機器が、仕様(たとえば、背景技術セクションの表1)で定義される最大の可能なすなわち最も控えめなMPR値を使用すると定義することができる。P
cmax_Lをどのようにして計算するのかを取り決めることによって、eノードBが、仮想パワー・ヘッドルームの計算でユーザ機器によって使用されるP
cmax_preconfigを知ることが可能になり、したがって、eノードBは、上で説明したように経路損/リソース・ブロックあたりの電力を推論することができる。
【0304】
一般に、この第1の代替実施形態による仮想パワー・ヘッドルーム定義は、特に有益であるが、MPRが上りリンク・コンポーネント・キャリアごとに別々に計算されるMRP計算(
図26に関連する上述の手法2を参照されたい)に限定されない。より具体的には、eNBは、スケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアの受信された対応するパワー・ヘッドルーム報告に基づいて、前記スケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアのリソース・ブロックあたりの電力を粗く推定することができる。eノードBは、使用されるコンポーネント・キャリア固有最大送信電力P
cmax_cを正確には知らないが、使用される電力削減は、電力クラス3のユーザ機器について表1に例示されているように仕様からの変調オーダー、リソース割当などに関するMPR要件から、eノードBによって粗く推定され得る。有利なことに、eノードBは、たとえば、スケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアのP
cmax_cを判定するために、最も控えめな(最大の)MPR値を常に仮定することができる。したがって、受信した仮想パワー・ヘッドルーム報告および通常のパワー・ヘッドルーム報告に基づいて、eノードBは、将来の送信についてユーザ機器の総電力状況を推定することができる。
【0305】
上の解決策とは異なるさらなる代替解決策によれば、仮想PUSCH電力には、0dBがセットされ、P
cmaxは、任意の他のコンポーネント・キャリアについて通常通りにユーザ機器によって計算される。
【0306】
これによれば、仮想パワー・ヘッドルームは、次の公式を用いて計算される。
vPH(i)=P
CMAX−{0}
上りリンク送信に関するすべてのパラメータには、0dBがセットされる。これは、このスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームに影響する送信、経路損、または電力コマンドがないと仮定されることを意味する。仮想パワー・ヘッドルームは、本質的に、ユーザ機器のスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアのコンポーネント・キャリア固有最大送信電力を報告する。
【0307】
既に述べたように、P
cmaxは、通常の手順すなわち、スケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアと同一の手順に従って、ユーザ機器によって計算される。したがって、ユーザ機器の電力削減は、上りリンク許可を有する他のコンポーネント・キャリアの通常のパワー・ヘッドルーム報告と同一の形で、仮想パワー・ヘッドルームのために考慮される。
【0308】
第2の代替案は、MPR計算が他の上りリンク・コンポーネント・キャリア上の上りリンク送信を考慮する時(手法1、
図25を参照されたい)に特に有利であるが、明白になるように、これに限定されない。前記ケースでは、第2の代替案は、eノードBが、仮想パワー・ヘッドルームが実際に送信されるスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力削減を知ることを可能にするだけではなく、eノードBは、これにより、残りのスケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアの電力削減をも知ることができる。手法1によれば、電力削減(MPR
CC#1&CC#2)は、すべてのコンポーネント・キャリアについて同一である。したがって、eノードBがスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアについて受信された仮想パワー・ヘッドルームから判定する電力削減も、ユーザ機器が他のスケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリア上の上りリンク送信に適用するものと同一の電力削減である。
【0309】
報告された仮想パワー・ヘッドルームおよびそのように獲得された電力削減値に基づいて、eノードBは、他のスケジューリングされた上りリンク・コンポーネント・キャリアの、それぞれ絶対送信電力またはリソース・ブロックあたりの電力を計算することができる。したがって、eノードBは、UEの総送信電力状況を正確に計算でき、これは、将来の上りリンク送信の正確なスケジューリングを可能にする。
【0310】
この特定の利益は、MPR計算の手法2について可能ではない。というのは、MPRが、コンポーネント・キャリアごとに別々に計算され、したがって、コンポーネント・キャリアごとに異なるMPR値をも有するからである。
【0311】
本発明のもう1つの実施形態によれば、上で提示されたスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアのパワー・ヘッドルームを報告する2つの代替案を組み合わせることができる。より詳細には、ユーザ機器は、両方の代替実施形態に従って仮想パワー・ヘッドルームを計算でき、シナリオに応じて1つの代替案を選択する。たとえば、通信システム内で、MPR値が、通常は他の上りリンク・コンポーネント・キャリア上の上りリンク送信を考慮して計算される(手法1、
図25を参照されたい)時には、ユーザ機器は、好ましくは、第2の代替案を使用し得、ここで、PUSCH上りリンク送信電力には、0がセットされ、P
cmax_cは、ユーザ機器によって適用される電力削減を考慮して計算される。eノードBは、ユーザ機器から受信された仮想パワー・ヘッドルーム値を正しく解釈するために、ユーザ機器によって仮想パワー・ヘッドルームの計算にどの代替案が選択されるかを知る。
【0312】
逆に、ユーザ機器は、通信システム内でMPRがコンポーネント・キャリアごとに別々に計算される時には、事前に構成されたP
cmax_c(たとえば、P
cmax_H)および事前に構成された上りリンク・リソース割当を使用して仮想パワー・ヘッドルームを計算することができる。代替案では、ユーザ機器は、仮想パワー・ヘッドルーム計算の一方または他方の方法を使用するように、eノードBによって構成されることができる。この構成は、たとえば、RRCなどの上位レイヤ・シグナリングによってシグナリングされ得る。
【0313】
次に、仮想パワー・ヘッドルームをどのように計算するのかに関する上の2つの代替解決策に関する他の態様を、以下で議論する。
【0314】
多くのシナリオについて、eノードBが、通常のPHRと本発明の実施形態による仮想PHRとを区別できることが有利である。たとえば、PDCCH(上りリンク・リソース割当)が失われる場合、対応する上りリンク・コンポーネント・キャリアは、ユーザ機器の観点からはスケジューリングされないままになるが、eノードBの観点からはスケジューリングされる。したがって、トリガされた時に、ユーザ機器は、上で論じた2つの代替案のうちの1つに従って、対応するスケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアの仮想パワー・ヘッドルームを計算するが、eノードBは、ユーザ機器に以前に送信した上りリンク・リソース割当に従って、標準仕様によって定義される通りに計算されたパワー・ヘッドルームを期待する。前記ケースでは、eノードBは、受信したパワー・ヘッドルーム値を誤って解釈し、これによりユーザ機器の電力状況の判定に悪影響を及ぼし、それゆえ、非効率的なスケジューリングにつながる。
【0315】
これおよび類似する状況を回避するために、仮想パワー・ヘッドルーム報告を通常のパワー・ヘッドルーム報告から区別するために、仮想パワー・ヘッドルーム報告をしかるべくマークすることができる。1ビット・フラグを、前記の点で使用することができる。たとえば、
図27に示されているように、パワー・ヘッドルームMAC制御要素に対応するMAC PDUサブヘッダ内の2つの予約済みビットのうちの1つを使用することができる。図からわかるように、LCID=11010は、パワー・ヘッドルームであることを特定し、「PHRタイプ」フラグは、パワー・ヘッドルームが「仮想」パワー・ヘッドルームを表しているか否かを示す。すなわち、スケジューリングされていない上りリンク・コンポーネント・キャリアに関するか否かを示す。
【0316】
代替案では、パワー・ヘッドルームに関するMAC制御要素(
図22を参照されたい)内の予約済みビットのうちの1つを使用して、パワー・ヘッドルームのタイプを識別することができる。
【0317】
既に説明したように、パワー・ヘッドルームが報告できる範囲は、Rel. 8/9仕様に従って6ビットに制限され、具体的には+40dBから−23dBまでの値に制限される。仮想パワー・ヘッドルームは送信が実際には実施されない上りリンク・コンポーネント・キャリア上で報告するので、仮想パワー・ヘッドルームは定義された範囲を超えることがあり得る。たとえば、第1の代替案に従って計算される仮想パワー・ヘッドルームは、少ない経路損を有するユーザ機器について、頻繁に上限すなわち40dBを超える可能性がある。したがって、パワー・ヘッドルームに対して上で示した範囲(40〜−23dB)を使用すると、仮想パワー・ヘッドルームが正しく示されない場合がある。
【0318】
この問題を解決するために、仮想パワー・ヘッドルームが絶対に負になり得ないので、負の値を再定義することによって正の範囲を拡大することができる。前記ケースでは、仮想パワー・ヘッドルームの範囲を、64dBから0dBまでになるように定義することができる。
【0319】
代替案では、範囲外の仮想パワー・ヘッドルーム値が可能範囲内にオフセットされるように、仮想パワー・ヘッドルームを計算する時に、あるオフセット値を考慮することができる。詳細には、50dBと計算された仮想パワー・ヘッドルーム値は、40dBから−23dBまでというRel. 8/9の範囲外の値になる。仮想パワー・ヘッドルームの計算にオフセット値を使用することによって、たとえば20dBのオフセットを使用することによって、報告される仮想パワー・ヘッドルーム値を、6ビット範囲によって表すことができる。オフセット値は、仮想パワー・ヘッドルームの計算に使用されるPUSCH電力に既に加算されているものとすることができる。どの場合でも、使用されるオフセット値およびそれをどのように適用するのかが、eノードBによって知られなければならず、これにより、eノードBは、受信した仮想パワー・ヘッドルーム値から実際の仮想パワー・ヘッドルーム値を正しく計算することができる。
【0320】
仮想パワー・ヘッドルーム計算の第2の代替案すなわち、仮想パワー・ヘッドルームがコンポーネント・キャリアの最大送信電力を報告する場合にも、範囲をRel. 8/9仕様と比較して再定義する必要がある。vPHはvPH(i)=P
CMAX−{0}なので、vPHは、通常のパワー・ヘッドルーム報告に関してdBm単位であってdB単位ではなく、値を変更しなければならない。また、範囲が異なる、すなわち、範囲は、たとえば使用可能な6ビットに関するより微細な粒度を有する23dBmから20dBmまででなければならない。
【0321】
本発明のもう1つの実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアを使用する、上で説明されたさまざまな実施形態の実施に関する。本発明のさまざまな実施形態を、コンピューティング・デバイス(プロセッサ)を使用して実施しまたは実行できる。コンピューティング・デバイスまたはプロセッサは、たとえば、汎用プロセッサ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイスなどとすることができる。本発明のさまざまな実施形態を、これらのデバイスの組合せによって実行しまたは実施することもできる。
【0322】
さらに、本発明のさまざまな実施形態を、プロセッサによってまたは直接にハードウェアで実行される、ソフトウェア・モジュールによって実施することもできる。また、ソフトウェア・モジュールとハードウェア実装との組合せが可能である。ソフトウェア・モジュールを、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、たとえばRAM、EPROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、レジスタ、ハード・ディスク、CD−ROM、DVD、その他に格納することができる。
【0323】
さらに、本発明の異なる実施形態の個々の特徴を、個別にまたは任意の組合せで別の発明の主題にすることができることに留意されたい。
【0324】
当業者は、幅広く説明された本発明の趣旨または範囲から逸脱しない限り、特定の実施形態に示された本発明に対して多数の変更および/または修正を行うことができることを了解するであろう。したがって、本実施形態は、すべてにおいて例示的であり、制限的ではないと考えられなければならない。