【実施例】
【0022】
図1は本発明に係る植物成長促進装置の一実施例を示す斜視図、
図2は回転体内の永久磁石の配置例を示す(A)は平面図、(B)は側面図である。
【0023】
本発明の植物成長促進装置は、平盤状の回転体1と、この回転体1に回転軸2aを介して連結されたモータ2とから成り、回転体1の内部には、複数の永久磁石1aを任意の間隔をおいて固定されている。
【0024】
永久磁石1aは回転体1の円周に沿って等間隔に配置する。本実施例では、永久磁石1aのS極、N極を上下に積層したものを平盤状回転体1に複数個(4か所)配置している。尚、磁石1aは、それぞれN極とS極とが交互に位置するように配置しても良いし、
図3に示すように、同極同士が隣接するように配置しても良い。配置する個数も任意である。回転体1は、モータ2に連結された回転軸2aにより高速回転する。尚、本実施例においてモータ2の電源は商用電源3としたが、太陽光、水力、風力等の自然界のエネルギーを用いて電源とすることが有益なことは言うまでもない。
【0025】
[実験例]
イチゴのビニールハウス圃場にて実験を行なった。実験条件と結果を下記に示す。
圃場所在地:宮崎市大字加江田地区
圃場面積: 20アール
生産物: イチゴ(品種名:さがほのか)
初回は、平成20年5月12日〜5月15日、二回目は平成20年5月20日以降、植物成長促進装置を稼動させた。
【0026】
[駆除対象害虫]
アザミウマ(スリップ類):発生状況は平年より遅く、個体数は平年の約2割程度であった。
コナジラミ:ほとんど発生しない。個体数は平年の約1割程度であった。
ダニ:発生が確認できなかった。
【0027】
[農薬散布状況]
同年5月7日:有機リン系殺虫剤であるマラソン(商品名:住友化学株式会社製)を2000倍に水で希釈したもの、シフルメトフェトン水和剤であるダニサラバ(商品名:大塚化学株式会社製)を1000倍に水で希釈したものを散布する必要があった。しかしながら、同年5月31日時点では、アブラムシやハモグリカビの駆除剤であるアセタミプリドを主成分とするモスピラン(商品名:日本農薬株式会社製)を水で4000倍に希釈したものを散布するだけで済んだ。これも通常は2000倍に希釈して散布している農薬である。
【0028】
以上、本発明装置の導入により、従来に比較して糖度が高い色彩を鮮やかなイチゴが収穫されたばかりでなく、害虫の発生も著しく抑制され、使用する農薬の量も極めて削減できる顕著な効果が見られた。このため、当該圃場においては、農薬のコストを約4分の一程度に抑えることができた。また、圃場主からは、新芽が葉水を掲げるのが顕著になった。圃場内の空気が爽やかになったという副次的良好な効果も報告されている。
【0029】
また、本発明装置に、上端を平盤状回転体1に近接して配されると共に、下端が地中に埋設された電磁誘導体(金属棒)4を設けることにより、良好な作物9の育成状態が得られることが判明した。これは、作物の根に対する交磁場の影響であると推察される。尚、回転体1では極反転が起こるため、電磁誘導体(金属棒)4は少なくとも一対設けるのが好ましい。また、
図3乃至
図5に示すように、回転体1が生成する交磁場中心から南極方向に沿って圃場8の四隅に金属帯体5を埋設し、空気振動の伝播を起こすことでさらに育成雰囲気が向上することが分かった。また、大気への振動の伝播、土中への振動の伝播(土中害虫の駆除)、振動を獲得した交番・パルス磁束が大気を介して受動鉄板に作用し、自己磁力線を交番磁界と、干渉磁力線をパルス磁界と、SとS、NとNの反発磁力線をパルスと解釈すれば、植物の育成に良好な影響を与える南極指向の地球の磁場を積極的に作出できる。
【0030】
ところで、植物は、含有炭素一般式Cn(H
2O)mと解され、栄養素を多く含み、それら蔬菜の水分含有率は、その殆どが数十%以上である。水は「水素」と「酸素」からなる化合物で、一個の酸素原子と2個の水素原子からなり、「H
2O」で表される。水分子は、Oを中心として、くの字型に折れ曲がり、そのため、くの字の曲がり角部分が幾分負(−)に帯電し、両端部分が幾分正(+)に帯電して、分子全体において電気的極性を持ち、この分極により水分子は電気的に結びつき特有のネットワーク構造を作り出すのである。通常の水はバラバラの分子の集まりではなく、「クラスター」と呼ばれる分子集団として存在している。ある条件下では、正12面体の「かご型」構造を作ることさえあるという。
【0031】
本装置は、上述のような水(H
2O)の分子体を活性化した磁化水によって植物の鮮度伸長を図る。また、一次的二次的、若しくは間接的に物資の反応性を高めることによる食味向上を図る。すなわち、農作物が含有する下記のような成分を活性化させて食味向上するものと推測される。
[フルクトース](C
12H
22O
11):二糖類の一つ
ブドウ糖(C
6H
12O
6):デンプン、グリコーゲンの加水分解により得られる。
水に溶けて還元性を示す遊離の状態で甘い果実の中に多量に分布、動植物のエネルギー代謝の中心に位置する重要な物質。(D−グルコース)。
[麦芽糖](C
12H
22O
11):マルトースとも言われ、ブドウ糖が2分子α―1・4結合した還元性二糖類。植物の葉、麦芽、蜂蜜などに含まれる。デンプンをアミラーゼで加水分解すると得られ、また、マルターゼや酸でさらに加水分解すれば、2分子のブドウ糖になる。吸収の良いカロリー源でもある。
[デンプン](多糖類の一つ):ブドウ糖(D−グルコース)の重合体。約20%は直鎖状重合体のアミローズで、約80%は多くの分岐部を持つアミロペクチンで構成される。緑色植物の葉緑体中で光合成で造られる。
[アミラーゼ]:デンプン、グリコーゲンを主に麦芽糖とデキストリンに加水分解する酵素の総称。作用様式によりα−型、β−型、糖化型に分かれる。
アミノ酸:塩基性のアミノ基−NH2と酸性のカルボキシル基−COOHとを持つ有機化合物の総称。タンパク質の構成単位で、タンパク質を加水分解して得る。
[タンパク質]:生物体の構成成分として重要な含有窒素有機化合物、20種のL−α−アミノ酸がペプチド結合(−CO−NH−)により多数縮合したポリペプチドで、一次から四次までの構造をとる。各種のホルモンや抗体など、いずれも生命現象に本質的な役割を果す。