(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施形態に係る丁合装置10の構成を示す斜視図である。
図2は、
図1の丁合装置10による丁合動作を示す模式図である。丁合装置10は、新聞販売店等で使用される。丁合装置10は、それぞれ広告束が折り込まれた4つ折りの新聞束を作成する。以下では、A地区に配達する新聞を所定部数(例えば200部=50部×4束)作成し、それに続けてB地区に配達する新聞を所定部数(例えば280部=60部×4束+40部×1束)作成する場合を例に説明する。また、以下では、各地区に配達する新聞束を作成する処理を「ジョブ」と呼ぶ。
【0013】
丁合装置10は、用紙束作成部11と、方向変換部12と、用紙束区分け部13と、を備える。用紙束作成部11は、4つ折りされた新聞の最終折り目を開き、その間に広告束を折り込む。以下、広告束を新聞に折り込む処理を「丁合」とも呼ぶ。用紙束作成部11は、操作部41と、新聞積載部14と、新聞給紙部42(
図1、2では不図示)と、広告束積載部15と、広告束給紙部16と、搬送部17と、開き部18と、広告挿入部19と、を備える。
【0014】
操作部41は、入力部(例えばタッチパッド)と一体形成された表示部(例えば液晶パネル)を備える。操作部41の表示部には、例えばジョブに関する設定をするための画面が表示される。作業者は、この画面を介して、ジョブに関する設定、すなわち丁合を行う新聞の「部数」と「区分け部数」とを入力する。「区分け部数」とは、何部ごとの束に分かれるように新聞束を作成するかを意味する。例えばA地区用のジョブ設定では「部数=200部」、「区分け部数=50部」を入力する。この場合、50部の新聞を含む束が4つ作成される。また、例えばB地区用のジョブ設定では「部数=280部」、「区分け部数=60部」を入力する。この場合、60部の新聞を含む束が4つと、40部の新聞を含む束が1つ作成される。
【0015】
新聞積載部14には、4つ折りされた複数の新聞が積載される。新聞給紙部42は、新聞積載部14の下方に設けられる。新聞給紙部42は、新聞積載部14から新聞を1部ずつ取り出し、搬送部17に送り出す。搬送部17は、周回するチェーン20とそれに連結された搬送コマ21を有する。搬送部17は、この搬送コマ21により新聞を押して、開き部18、そして広告挿入部19へ搬送する。
【0016】
開き部18は、外周面に吸着パッド22が設けられたロータ23と、ロータ23の下流側に設けられたガイド24と、を有する。搬送部17から送り込まれた新聞は、吸着パッド22によりその搬送方向先端側の上端部が開く。搬送コマ21がさらに進行することによって、新聞の開かれた部分にガイド24が入り込み、新聞は開かれた状態が維持される。
【0017】
広告束積載部15は、複数の広告を配達単位に2つ折り広告で挟んだ複数の広告束を積載する。広告束積載部15は前面板25と、積載台26とを有し、複数の広告束は前面板25にもたれかかるようにして積載台26に積載される。特に、複数の広告束は、その2つ折り広告の折り目を下方にして積載される。
【0018】
広告束給紙部16は、前面板25の下方に設けられる。広告束給紙部16は、広告束積載部15から広告束を1部ずつ取り出し、広告挿入部19に送り出す。広告挿入部19では、広告束給紙部16から送り出された広告束が、ガイド24によって開かれた状態の新聞の間に挿入される。広告束を挟んだ新聞は、搬送コマ21に押されて方向変換部12に送られる。
【0019】
方向変換部12は、新聞の搬送方向を90度変換する。本実施の形態では、方向変換部12は、長手方向(最終折り目と平行な方向)に搬送された新聞を、短手方向(最終折り目と直交する方向)に搬送する。搬送方向が変換された新聞は、チェーン27に固定されたプッシャー28により押し出され、用紙束区分け部13に送り出される。
【0020】
用紙束区分け部13は、リフトアップコンベア29と、用紙束積載部30と、スタックコンベア31と、を備える。リフトアップコンベア29は、方向変換部12から送り出された新聞を持ち上げて、用紙束積載部30の上部に搬送する。
【0021】
用紙束積載部30は、仮受け部32と、用紙束受け部33と、ベルト34と、情報シートフィーダ35と、満杯センサ(不図示)と、を有する。用紙束受け部33は櫛歯状を有する。用紙束受け部33は、新聞が積載される度にその新聞の厚み分だけ下降する。例えば駆動機構(不図示)によって下降されるよう構成される。これにより、積載された新聞の束の最上位面を略一定の位置に維持する。
【0022】
用紙束受け部33は、作業者によって指定された「区分け部数」(A地区のジョブの場合は50部、B地区のジョブの場合は60部)の新聞を積載すると、この新聞の束をスタックコンベア31に送り出す。具体的には、積載された新聞が所定数に達すると、積載された新聞束の上に仮受け部32の4本のローラ36が進出し、用紙束受け部33の代わりに新聞を受ける(
図2参照)。この間に、用紙束受け部33が下降してその櫛歯の歯部と歯部の間にベルト34が入り込み、ベルト34に新聞束が積載される。続いて、ベルト34が駆動されて新聞束はスタックコンベア31に送り出される。
【0023】
用紙束受け部33は、スタックコンベア31に新聞の束を送り出すと上昇する。するとローラ36は、ローラ36上に積載されていた新聞を用紙束受け部33に渡すとともに、用紙束受け部33の上方から退避する。ローラ36の退避後は、リフトアップコンベア29から送られてくる新聞は、用紙束受け部33に積載される。以降、仮受け部32と用紙束受け部33によるこの一連の処理を「排出処理」と呼ぶ。
【0024】
満杯センサは、用紙束受け部33が満杯になる(例えば100部の新聞が用紙束受け部33に積載される)と、その旨を検知する。満杯センサは、例えば用紙束受け部33が所定位置まで下降するとONとなる光センサで構成される。満杯センサによって用紙束受け部33が満杯になったことが検知された場合にも、排出処理が実行される。
【0025】
また、ジョブの最終の新聞束が用紙束受け部33に積載された場合にも、排出処理が実行される。この場合は、用紙束受け部33が満杯になっていなくても、用紙束受け部33に積載された新聞が「区分け部数」に達していなくても、排出処理が実行される。
【0026】
情報シートフィーダ35は、情報シートを後述するように新聞束の上に送り出す。ここで、新聞販売店では「手板」とも呼ばれる情報シートが地区別に用意される。各情報シートには、その地区のその日の配達数が記載される。本実施の形態では、作業者は、あるジョブの実行中に、この情報シートを参照して次のジョブに関する設定をする。例えば、A地区のジョブの実行中に、B地区の情報シートを参照してB地区のジョブに関する設定をする。また、本実施の形態では、作成された新聞束の地区ごとの区切りが一目で地区の区切りがわかるように、その情報シートをその地区の丁合の最終の新聞束の上(A地区の場合は4つ目の新聞束の上、B地区の場合は5つ目の新聞束の上)に置く。
【0027】
図3は、情報シートフィーダ35とその周辺の構成を示す。情報シートフィーダ35は、フィード板37と、フィードローラ対38と、搬送ベルト対39と、を含む。例えば、A地区のジョブの実行中に、作業者は、B地区の情報シートSbを参照して、B地区のジョブに関する設定をする。ジョブの設定後にその情報シートSbをフィード板37の上に載せると、情報シートSbはフィード板37上を滑り、その先端がフィードローラ対38に当たって停止する。フィードローラ対38の下流側に配置された搬送ベルト対39には、実行中のA地区のジョブの情報シートSaが待機している。A地区のジョブが終了し、最終の新聞が用紙束受け部33上の新聞束の上に積載されると、搬送ベルト対39が駆動して情報シートSaが送り出され、用紙束受け部33上の新聞束の上に情報シートSaが載置される。その後、フィードローラ対38を駆動してB地区の情報シートSbが搬送ベルト対39に送られ、B地区のジョブが終了するまでそこで待機させる。
【0028】
情報シートフィーダ35のフィード板37、フィードローラ対38および搬送ベルト対39で構成される一連の搬送路は、略直線状であることが望ましい。情報シートはクリアファイル等に入れられて管理される場合があるところ、搬送路が略直線状であれば、クリアファイル等に入れたままフィード板37に積載し、これを送り込んで新聞の束の上に載置することができる。
【0029】
なお、情報シートフィーダ35に代えて印字装置を設け、その地区の番号あるいは地区名と、必要に応じてその地区の部数等を印字した用紙を、その地区の最後の束の上に送り出すようにしてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、情報シートフィーダ35は、用紙束受け部33上に積載された新聞の束の上に情報シートを送り出しているが、これに限られず、例えばリフトアップコンベア29に合流させるように設け、地区の最終の新聞の通過後に送り込むようにしてもよい。つまり、丁合を終えた束の搬送経路のどこに合流させるように設けてもよい。
【0031】
図1、2に戻り、スタックコンベア31には多数のコロ40が並べて設けられている。新たな新聞束が用紙束積載部30から送り出されると、既に送り出されて並んでいた複数の新聞の束が押されてコロ40上を移動する。
【0032】
また、丁合装置10は、1つのメインモータ43(
図1、2では不図示)を有する。駆動伝達機構、電磁クラッチ、電磁ブレーキ等(いずれも不図示)を介して、このメインモータ43から、新聞給紙部42および広告束給紙部16、チェーン20、ロータ23、チェーン27、リフトアップコンベア29、ベルト34へ、適宜駆動が伝達される。
【0033】
図4は、本実施の形態に係る丁合装置10の機能構成を示すブロック図である。丁合装置10は、受付部50と、表示部制御51と、制御部52と、判定部53と、記憶部54と、をさらに備える。これら各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
図10についても同様である。
【0034】
受付部50は、操作部41を介してユーザが入力した情報を受け付ける。受付部50は、ジョブ情報受付部55と、次回ジョブ情報受付部56と、含む。ジョブ情報受付部55は、ジョブが未実施のときに、これから実施するジョブに関する情報を受け付ける。具体的には、ジョブ情報受付部55は、丁合する新聞の部数を受け付け、これを「今回部数Na1」として今回部数記憶部57(後述)に登録する。ジョブ情報受付部55は、区分け部数が入力されている場合はこれも受け付け、「今回区分け部数Nb1」として今回区分け部数記憶部59(後述)に登録する。
【0035】
次回ジョブ情報受付部56は、ジョブの実行中に、次に実施するジョブに関する情報を受け付ける。具体的には、次回ジョブ情報受付部56は、丁合する新聞の部数を受け付け、これを「次回部数Na2」として次回部数記憶部58(後述)に登録する。次回ジョブ情報受付部56は、区分け部数が入力されている場合はこれも受け付け、「次回区分け部数Nb2」として次回区分け部数記憶部60(後述)に登録する。
【0036】
表示部制御51は、各種画面を操作部41を介してユーザに提供する。例えば、ジョブに関する情報を設定をするための画面を提供する。
【0037】
制御部52は、用紙束作成部11、方向変換部12および用紙束区分け部13を制御して、広告束が折り込まれた新聞の束を作成させる。
【0038】
判定部53は、丁合された部数が、今回部数Na1に達しているか否かを判定する。丁合された部数が今回部数Na1に達している場合は、判定部53は、次に実行するジョブに関する情報が入力されているかどうかを判定する。
【0039】
記憶部54は、今回部数記憶部57と、次回部数記憶部58と、今回区分け部数記憶部59と、次回区分け部数記憶部60と、部数カウンタ61と、区分け部数カウンタ62と、を含む。今回部数記憶部57は、今回部数Na1を記憶する。次回部数記憶部58は、次回部数Na2を記憶する。区分け部数記憶部59は、今回区分け部数Nb1を記憶する。次回区分け部数記憶部60は、次回区分け部数Nb2を記憶する。部数カウンタ61は、ジョブが開始されてからそれまでに丁合された新聞の部数を部数カウント値Naとして記憶する。区分け部数カウンタ62は、区分け部数に達してから(ジョブの開始時にあってはジョブが開始されてから)、それまでに丁合された新聞の部数を区分け部数カウント値Nbとして記憶する。
【0040】
以上のように構成された丁合装置10の動作を説明する。
図5は丁合装置10の今回部数受付処理を示すフローチャートである。作業者は、これから実行するジョブに関する情報として、今回部数Na1を操作部41において入力する(S10)。作業者は、今回区分け部数Nb1を入力してもよい(S10)。受付部50は、今回部数Na1および今回区分け部数Nb1を受付け(S12)、今回部数記憶部57および今回区分け部数記憶部59にそれぞれ登録する(S14)。
【0041】
図6は丁合装置10の次回部数受付処理を示すフローチャートである。この処理は、
図6で後述する処理を行っている間に行われる。作業者は、次に実行するジョブに関する上方として次回部数Na2を操作部41において入力する(S20)。作業者は、次回区分け部数Nb2を入力してもよい(S20)。受付部50は、次回部数Na2および次回区分け部数Nb2の入力を受付け(S22)、次回部数記憶部58および次回区分け部数記憶部60にそれぞれ登録する(S24)。
【0042】
図7は丁合装置10の丁合処理を示すフローチャートである。
図5の今回部数受付処理の実施後にユーザによるスタート操作を受け付けると、この丁合処理が開始される。
制御部52はメインモータ43を起動させる(S30)。また、制御部52は、部数カウント値Naと、区分け部数カウント値Nbをゼロにクリアする(S32、S34)。続いて、制御部52は、用紙束作成部11を制御して新聞を1部丁合し、これを用紙束区分け部13の用紙束受け部33に積載する(S36)。
【0043】
新聞を1部丁合すると、制御部52は、部数カウント値Naと区分け部数カウント値Nbを1増加させる(S38、S40)。判定部53は、部数カウント値Naが、今回部数Na1に達しているかを判定する(S42)。今回部数Na1に達している場合(S42のY)、判定部53は、情報シートフィーダ35に情報シートを送り出させる(S44)。また、判定部53は、次回部数Na2が入力されているかどうか判定する(S46)。
【0044】
次回部数が入力されている場合(S46のY)、制御部52は、用紙束積載部30に排出処理を実施させる(S48)。また、制御部52は、次回部数Na2を今回部数Na1に更新する(S50)。次回区分け部数Nb2が入力されている場合は、その次回区分け部数Nb2を今回区分け部数Nb1とする(S52)。S32に戻って次のジョブを実施する。次回部数が入力されていない場合(S46のN)、制御部52は、用紙束積載部30に排出処理を実施させ(S54)、メインモータ43を停止する(S56)。このように、ジョブの実行中に次のジョブに関する情報(次回部数Na2)が入力されていた場合には、連続的に、あるいはアイドリング(メインモータ43は回転しているが、新聞給紙部42および広告束給紙部は動作していない状態)を挟んで次のジョブが実行され、入力されていなければ停止する。なお、次のジョブに関する情報が入力されていない場合でもメインモータを停止させず、アイドリング状態で次のジョブが入力されるのを待機するようにしてもよい。そして、アイドリング状態で次のジョブに関する情報入力を受付け、入力後にスタート操作により次回の丁合処理を開始するようにしてもよい。
【0045】
S42において、部数カウント値Naが今回部数Na1に達していない場合は(S42のN)、判定部53は、区分け部数カウント値Nbが今回区分け部数Nb1に達しているかどうかを判定する(S58)。今回区分け部数Nb1に達している場合は(S58のY)、用紙束積載部30に排出処理を実施させる(S60)とともに、S34に戻って丁合を継続する。今回区分け部数Nb1に達していない場合は(S58のN)、S36に戻り丁合を継続する。
【0046】
なお、今回区分け部数Nb1が入力されていない場合は、S58の代わりに、満杯センサが満杯を検知したかを判定する。満杯を検知した場合はS58のYに進み、満杯を検知していない場合はS58のNに進む。
【0047】
以上、第1の実施の形態に係る丁合装置10について説明した。本実施の形態に係る丁合装置10によると、ジョブの実行中に次のジョブに関する情報(次回部数Na2)を入力することができる。そのため、連続的に、あるいはアイドリングを経て迅速に次のジョブに移行できる。連続的にとは、ジョブの最終束と次のジョブの最初の束の丁合処理の間隔が、ジョブ実行中の丁合の繰り返しにおける1部の丁合処理同士の間隔と略同一の間隔であるということで、複数ジョブ全体の処理時間が短縮できる。また、若干のアイドリングを挟むことによって、ユーザがジョブの区切りであることをはっきりと認識できるようになる。また、本実施の形態に係る丁合装置10によると、作業者が入力した区分け部数ごと、あるいは満杯ごとの束に分けられ、かつ、他の地区の新聞束との境目も一目で認識できるため、連続的あるいは短時間のアイドリングで次回部数分の丁合に移行しても、確実にジョブごとの区分けを行うことができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
図8は第2の実施の形態に係る丁合装置110を示す斜視図である。
図9は、
図8の丁合装置110の断面図である。丁合装置110は新聞広告の配達単位の束を作成する装置であるが、新聞広告に限らず、印刷後の製本作業等に用いてもよい。
【0049】
丁合装置110は、各種入力と表示を行う操作部125を有する。作業者の、この操作部125を介して、ジョブに関する情報を入力する。
【0050】
丁合装置110は複数の給紙部111を有し、各給紙部111は1枚ずつ広告を送り出し、縦搬送路112で搬送しながら先端が揃うように重ねる。
【0051】
折り給紙部113から送られた用紙は先端をストッパ114に当接させて、縦搬送路112の下端を塞ぐように停止する。その後、折りナイフ115が進入して折りローラ116で二つ折りされ、その二つ折りの内側に縦搬送路112によって搬送されてきた広告が挟まれ、広告束が作成される。この広告束は排出口117から排出され、蓄積部118のベルト121(後述)上に蓄積される。
【0052】
蓄積部118は、ベルト121と、満杯センサ119と、を有する。満杯センサ119は、蓄積部118に積み上がった広告束が満杯になると、それを検知する。ベルト121は、広告束が所定の区分け数に達するか満杯に達すると駆動し、広告束をリフトアップ部120のエレベータ板122(後述)に移動する。
【0053】
リフトアップ部120は、蓄積部118に隣接して設けられている。リフトアップ部120は、丁合された広告束を取り出しやすいように、操作者の腰の位置程度まで広告束を持ち上げる。リフトアップ部120は、エレベータ板122と、エレベータ機構123と、センサ124と、を有する。エレベータ機構123は、エレベータ板122を支持し、これを上下方向に移動させる。広告束がエレベータ板122に載置されたことをセンサ124が検知すると、エレベータ機構123は、エレベータ板122を上昇させる。
【0054】
操作者によってエレベータ板122から広告束が取り出されたことをセンサ124が検知すると、エレベータ機構123はエレベータ板122を下降させて次の広告束の受け入れに備える。
以降、蓄積部118とリフトアップ部120によるこの一連の処理を「排出処理」と呼ぶ。
【0055】
ベルト121が駆動している間は、後続の広告束が排出口117から蓄積部118に排出されないように丁合装置110はアイドリング状態となり、給紙動作は一時的に停止する。ベルト121による搬出が完了し、エレベータ板122が下降して次の広告束を受け入れる状態になり次第、後続の丁合動作を開始する。
【0056】
また、丁合装置110は、1つのメインモータ143(
図8、9では不図示)を有する。駆動伝達機構、電磁クラッチ、電磁ブレーキ等(いずれも不図示)を介して、このメインモータ143から、複数の給紙部111、折り給紙部113、折りローラ116、リフトアップ部120、ベルト121、エレベータ機構123へ、適宜駆動が伝達される。
【0057】
図10は、丁合装置110の機能構成を示すブロック図である。丁合装置110は、受付部50と、表示部制御51と、制御部152と、判定部53と、記憶部54と、をさらに備える。制御部152は、給紙部111、折り給紙部113、リフトアップ部120、蓄積部118、エレベータ機構123を制御して、広告束を作成させる。
【0058】
制御部152は、ベルト121とエレベータ機構123を制御し、これらによるリフトアップによって排出処理を実行する。つまり、排出処理の具体的な内容は、第1の実施の形態と異なる。しかしながら、受付部50、表示部制御、判定部、および記憶部54の動作は第1の実施の形態と同様であり、丁合装置110の動作は、
図5〜7のフローチャートで表すことができる。
【0059】
以上、第2の実施の形態に係る丁合装置110について説明した。本実施の形態に係る丁合装置110によれば、第1の実施の形態に係る丁合装置10によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。
【0060】
(第3の実施の形態)
図11は第3の実施の形態に係る製本システム210の構成を示す斜視図である。製本システム210は、丁合装置212と、方向変換装置214と、折り装置216と、中綴じ装置218と、小口断裁装置220と、天地断裁装置222と、ベルトスタッカ224と、統合制御装置226と、を備える。製本システム210は、すでに画像が記録された用紙に、丁合、折り、綴じ、断裁などの後処理を施す後処理装置として機能する。
【0061】
本実施の形態では、製本システム210は、3つの丁合装置212を有する。丁合装置212はそれぞれ、用紙収容部である複数の棚を有する。丁合装置212は、複数の棚のそれぞれから用紙を給紙しながら用紙を重ね合わせる。3つの丁合装置212は直列に配置されており、上流側に配置された丁合装置212によって作成された用紙束に下流側に配置された丁合装置212によって作成された用紙束を重ね合わせることが可能となっている。以下、3つの丁合装置212のそれぞれを、下流側から第1丁合装置212A、第2丁合装置212B、および第3丁合装置212Cと呼ぶ。
【0062】
方向変換装置214は、用紙搬送手段として機能し、長手方向に搬送された用紙を、搬送方向を90度変換して短手方向に搬送し、折り装置216に搬出する。このような方向変換装置の構成は公知であるため説明を省略する。以下、用紙搬送方向を単に「搬送方向」といい、搬送方向と垂直且つ水平な方向を「幅方向」という。
【0063】
折り装置216は、丁合装置212によって重ね合わされた用紙を折りたたむ。具体的には、折り装置216は、鞍(図示せず)、搬送機構(図示せず)、および一対の折りローラ(図示せず)を有する。鞍は、頂部が上方に位置する傘状の断面を有する。一対の折りローラは、鞍の頂部周辺において、軸が鉛直方向を向き且つ幅方向に並ぶよう配置される。搬送機構は、幅方向中央が頂部を通過するよう鞍の上において用紙または用紙束を搬送することにより、用紙または用紙束の幅方向の略中央を逆V字状に折り曲げる。一対の折りローラは、逆V字状に折り曲げられたその用紙または用紙束の幅方向の略中央を当該幅方向に挟持しながら搬送することで、折り目が搬送方向と平行となるよう折りたたむ。このような折り装置216の構成は公知であるため説明は省略する。丁合装置212で用紙が重ね合わされ、用紙束が搬送されてきた場合、折り装置216は、用紙が重なった状態を維持したままその用紙束を折りたたむ。
【0064】
折り装置216は、折りたたみ且つ重ね合わせて作成した1セットの用紙束を中綴じ装置218に搬出する。中綴じ装置218は、折り装置216で折りたたまれた用紙を、製本すべき1冊の冊子を構成する1セットの用紙束となるまで積載して重ね合わせる。したがって中綴じ装置218は、折りたたまれた用紙を積載して1セットの用紙束を作成する用紙積載機構としても機能する。また、製本システム210はその全体が、用紙を重ね合わせて用紙束を作成する丁合装置として機能する。中綴じ装置218は、作成された用紙束を折り目で綴じる綴じ処理を実行し、中綴じ折り冊子を作成する。以下、中綴じ折り冊子を単に「冊子」という。
【0065】
小口断裁装置220は、搬入された冊子の小口を断裁し、天地断裁装置222に搬出する。天地断裁装置222は、搬入された冊子の天地を断裁し、ベルトスタッカ224に搬出する。ベルトスタッカ224は、作成された冊子を順次蓄積する。ベルトスタッカ224は1対のベルト241を有し、1部排出されるたびに所定量駆動することにより、出来上がった冊子をうろこ状に並べる。
【0066】
図12は、このベルトスタッカ224上の区分けの形態を示す図である。
図12は、ベルトスタッカ224を上方から見た図である。ベルトスタッカ224には進退自在のプッシャ243を有する区分け装置242が設けられている。ベルトスタッカ224は、排出されて並べられる冊子を1冊単位でプッシャ243で押し出せるようになっている。押し出された冊子はAに示すように1冊だけ傾斜してはみ出す。このはみ出しを所定部数排出ごとに行うことによって、一定部数ごとの取出しを容易にしている。また、1冊排出されたときのベルトの駆動量を通常よりも大きくすれば、Bに示すようにその回だけは冊子の重なり量が変化する。
【0067】
このAまたはBの区分けを、所定部数ごとの区切りに加えて、ジョブの区切りの際にも行うことによって、次のジョブを連続的に開始しても、ジョブの区切りが分かるようにすることができる。また、第1の区分けに対し、AまたはBのいずれか一方を、第2の区分けに対して他方を行うことによって、第1、第2のどちらの区分けであるのかを一目で分かるようにしてもよい。
【0068】
本実施の形態に係る製本システム210によれば、第1の実施の形態に係る丁合装置10によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。
【0069】
以上、実施の形態に係る丁合装置や製本システムについて説明した。これらの実施の形態は例示であり、各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、実施の形態同士の組み合わせも可能である。
【0070】
(変形例1)
第1、第2の実施の形態において、作業者が指定した「区分け部数」による区分けあるいは満杯時の排出機能による区分け(以下、「第1の区分け」と呼ぶ)と、ジョブの区切りの区分け(以下、「第2の区分け」と呼ぶ)とが区別できるようにしてもよい。
【0071】
例えば、用紙束区分け部13に報知部を設け、第2の区分けの場合は、報知部がアラーム音を報知するようにしてもよい。また例えば用紙束区分け部13のスタックコンベア31にLED表示灯を設け、第1の区分けまたは第2の区分けのいずれか一方の場合のみ、LED表示等を点灯させるようにしてもよい。あるいは、第1の区分けの場合と、第2の区分けの場合とで、点灯色、点灯/点滅等、点灯形態を変えるように構成し、目視で第1の区分けか、第2の区分けかが分かるようにしてもよい。なお、点灯・点滅のタイミングは、第1の実施の形態の場合は、スタックコンベア31に最終束が押し出される瞬間が望ましい。第2の実施の形態の場合は、エレベータ板122の上昇とともに点灯するのが望ましい。ユーザがその点灯に応じて取出し動作を開始すれば、スムーズに作業が進むからである。もちろんこれらのタイミングに限られず、第1の実施の形態の場合は、例えば、最終束が積載された用紙束受け部33が下降したときや、次回部数の最初の新聞束がスタックコンベア31に送り出されたときに点灯させてもよい。第2の実施の形態の場合は、例えば、ベルト121から搬出されたときに点灯させてもよい。
【0072】
(変形例2)
第1の実施の形態では、用紙束作成部11に操作部41(以下、「第1の操作部」と呼ぶ)が設けられる場合について説明したが、これに限られない。第1の操作部に加えて、例えば新聞束の取り出し側に第2の操作部を設けてもよい。
【0073】
第2の操作部は、少なくとも次回部数の入力を可能とする。すなわち第2の操作部は、次回部数の入力に必要なキーやタッチパネル画面等を有する。この場合、新聞積載部14への新聞の積載および広告束積載部15への広告束の積載に携わる作業者と、スタックコンベア31に送り出された新聞束を取り出す作業者との二人体制で作業をする場合に、取り出す側の作業者が次回部数を入力することもできる。
【0074】
第2の操作部は、例えば用紙束積載部30の筐体やスタックコンベア31の側部等に設けられてもよい。また、第1の操作部と第2の操作部は、次回部数の入力をどちらで行うか予め設定しておき、いずれか一方のみでその入力が可能なようにしてもよい。
【0075】
また、第2の操作部を持ち運び可能なパネルとし、有線または無線で第1の操作部との通信が可能としてもよい。また、丁合装置の操作アプリケーションをインストールしたタブレットやスマートフォンによって次回部数を入力可能としてもよい。同様に、第1の操作部を取り外し可能とし、有線又は無線で制御系と通信するようにしてもよい。
【0076】
また、第2の操作部には、入力されている部数と、完了部数(あるいは残部数)と、丁合対象の地区を識別できるID等を表示してもよい。これにより、取り出し側の作業者が、ジョブの進行状況を確認しながら作業することができる。タブレットやスマートフォンに部数進行状況を無線送信し、表示させるようにしてもよい。
【0077】
また、第2の実施の形態においても、第2の操作部を設けてもよい。この場合、第2の操作部は、例えば、エレベータ機構123に設けられてもよい。
【0078】
(変形例3)
第1、第2の実施の形態では特に言及しなかったが、ジョブの最後の束と、次ジョブの最初の束との間に挟むアイドリングの長さを調整できるようにしてもよい。
【0079】
(変形例4)
第2の実施の形態では特に言及しなかったが、次回部数の入力を行ったとき、現在実行中の丁合内容と、次回部数の丁合内容が異なることがある。この場合、次回部数とともに、「オンオフ設定」や「間引き設定」ができるようにして、次のジョブでは、その設定に基づいた動作をするようにしてもよい。なお、「オンオフ設定」とは、広告を送り出す給紙部を設定することをいう。また「間引き設定」とは、特定の給紙部については、次回部数のうち指定された部数または割合に相当する部数のみ送り出すよう、その給紙部による給紙を途中停止または数回の丁合に1回の割合で給紙する設定をいう。
【0080】
(変形例5)
第1〜第3の実施形態では、ジョブの実行中に、次のジョブで丁合する部数を入力する場合について説明したが、これに代えて、予め複数の地区のジョブと、各ジョブで作成する新聞や広告束等の部数と、各ジョブの丁合実行順序と、を設定記憶しておき、あるジョブの実行中に、次に実行するように設定されたジョブの部数を呼び出して表示し、そのジョブを現在のジョブに続けて実行する連続実行を行うか否かを設定するようにしてもよい。連続実行を行うと設定した場合は、第1〜第3実施形態において、次回部数の入力を行った場合と同様の動作を行う。連続実行を行うことを設定しなかった場合は、次回部数の入力を行わなかった場合と同様の動作を行う。すなわち装置がいったん停止するか、ユーザの次ジョブのスタート操作があるまでアイドリング状態となる。
【0081】
また、複数設定されているジョブのいずれかを選択して、次回ジョブとして連続実行できるように設定可能としてもよい。さらに、連続実行設定の際に、次回ジョブの部数を修正可能としてもよい。
【0082】
配達戸数は契約により常に変動し、また、旅行等で一時的に配達を止めるケースもある。さらに販売店の配達要員や、地区ごとの広告内容の都合(広告内容が同一の地区は連続実行した方が効率が良い)等によって、ジョブの実行順序を変更したり、予め設定されている配達部数を変更したりするケースがある。本変形例によれば、予め記憶させている複数のジョブから次ジョブを選択でき、しかもその設定内容を変更することができるので、より効率的な作業が可能となる。
【0083】
また、第2実施形態の場合は、ジョブごとに上述のオンオフ設定や間引き設定等を行っておき、その設定を自動的に反映させることもできる。