特許第6456091号(P6456091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456091
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】プリンタ装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 11/00 20060101AFI20190110BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20190110BHJP
   B41J 13/00 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   B65H11/00 G
   G03G15/00 407
   B41J13/00
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-200205(P2014-200205)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-69141(P2016-69141A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 桂氏
(72)【発明者】
【氏名】大島 隆一
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−041341(JP,A)
【文献】 特開平05−004762(JP,A)
【文献】 特開2006−315797(JP,A)
【文献】 実開昭56−40546(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 11/00−11/02
B65H 1/00− 3/68
B65H 7/00− 7/20
B65H 43/00−43/08
B41J 13/00−13/32
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
用紙を配置する手差しトレイと、
給紙された用紙を当該画像形成装置の内部に取り込む給紙ローラーと、
前記手差しトレイに配置された用紙を前記給紙ローラーに対して押し付ける押し付け動作を行なう押付部と、
前記給紙ローラーから送られてきた用紙の位置を調整するレジストローラーと、
前記レジストローラーの近傍に配置され、用紙の先端が所定の位置に到達したことを検出するレジストローラー近傍センサと、
前記手差しトレイに配置される用紙が無くなっていることを検出する紙切れ検出センサと、
前記紙切れ検出センサが前記手差しトレイに配置される用紙が無くなっていることを検出するよりも早期に、前記レジストローラー近傍センサの検出結果に応じて、前記押付部による押し付け動作を解除することにより、次の用紙を配置することを可能とする制御部と、
を備えるプリンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置としてのプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、手差しで用紙を供給する場合、給紙を行う毎に送りローラーが自動的に用紙を押しつける自動押接方法と、手動で常時押しつけた状態で送りローラーが駆動するのを待つ待機押接方法がある。自動押接方法では、給紙毎の動作音や送りローラーの動作時間による遅延が問題であり、待機押接方法では、用紙セット時の操作の煩雑さが問題であった。
【0003】
上述の方法に対して、用紙の有無を確認し、用紙がある場合には用紙を常時押しつけ、用紙が無い場合には用紙を押しつけていた送りローラーが回転して用紙を装置内に送り込む技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示されたプリンタの供給装置は、手差し口に用紙が挿入されると手差しセンサにより用紙の挿入が検出され、送りローラーが回転して用紙をプリンタ内に吸収して、待機位置まで用紙の先端を送り込む。そして、ユーザーが自らの手で用紙を保持しなくても用紙が手差し口から落ちたりすることなく手差し印刷を行うことを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−4762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のプリンタの供給装置では、ユーザーが手差しで複数枚を連続して給紙したい場合、次の用紙が給紙可能となるまで時間が掛かり、迅速な手差し操作ができないという課題があった。
【0007】
本発明は、手差し操作において連続して用紙を迅速に給紙できるプリンタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプリンタ装置は、画像形成装置であって、用紙を配置する手差しトレイと、給紙された用紙を当該画像形成装置の内部に取り込む給紙ローラーと、前記手差しトレイに配置された用紙を前記給紙ローラーに対して押し付ける押し付け動作を行なう押付部と、前記給紙ローラーから送られてきた用紙の位置を調整するレジストローラーと、前記レジストローラーの近傍に配置され、用紙の先端が所定の位置に到達したことを検出するレジストローラー近傍センサと、前記レジストローラー近傍センサの検出結果に応じて、前記押付部による押し付け動作を解除する制御部と、を備える。
【0009】
本発明のプリンタ装置の一態様として例えば、前記手差しトレイに配置される用紙が無くなっていることを検出する紙切れ検出センサをさらに備え、前記制御部は、前記紙切れ検出センサの検出結果に応じて、前記押付部における押し付け動作を解除する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって得られるプリンタ装置は、レジストローラー近傍センサにより用紙の先端が所定の位置に到達したことを検出して、制御部の指令により押付部による給紙ローラーに対する押し付け動作を解除する。従って、連続して複数枚の用紙を手差しトレイから挿入する際に、一枚目の用紙が無くなることを検出するタイミングよりも早いタイミングで、次の用紙を手差しトレイに載置(セット)できるため、早めに用紙の手差しが可能となる。また、用紙を連続的に手差しトレイに配置する時間が短縮され用紙の挿入作業の効率化が図れる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るプリンタ装置の一例を示す要部断面図。
図2】本発明に係るプリンタ装置の電気構成の一例を示すブロック図。
図3】本発明に係るプリンタ装置の押付部の動作の一例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るプリンタ装置の好適な実施形態を、図1図3に基づいて詳述する。
【0013】
図1は、画像形成装置1としてのプリンタ装置10の一例を示す要部断面図である。画像形成装置1は、レーザーやインクジェット式のプリンタ装置10に限らず、複写機、ファクシミリ機であってもよい。
【0014】
プリンタ装置10は、画像形成装置1の本体ケージング2と、本体ケージング2内に用紙3を給紙するための自動給紙トレイ20と手差しトレイ30と、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部4を備えている。画像形成部4で画像を形成された用紙3は、本体ケージング2の上部に設けられた排紙トレイ5に積載される。
【0015】
自動給紙トレイ20は、本体ケージング2の底部に設置され複数枚の用紙3を積層状に積載し、自動的に用紙3を画像形成部4に送り込むために用いられる。また、手差しトレイ30は、本体ケージング2の側面に設置され、ユーザーが用紙3を一枚毎に手差しで供給するために用いられる。
【0016】
自動給紙トレイ20に積載された用紙3は、自動給紙トレイ20の前端上部に設けられたピックアップローラー21の駆動により自動給紙トレイ20の前方に配置された送りローラー22に送り出される。送り出された用紙3は、送りローラー22の下部に設けられた自動供給パッド23との間に挟まれ、最上位の一枚のみが他の用紙3から分離されて画像形成装置1の内部に取り込まれる。
【0017】
手差しトレイ30の先端近傍には、給紙ローラー31と、押付部32と、紙切れ検出センサ33と、分離パッド34とが設けられ、本体ケージング2内には、レジストローラー35と、レジストローラー近傍センサ36とが設けられている。
【0018】
手差しトレイ30に配置された用紙3は、手差しトレイ30の先端近傍に設置された給紙ローラー31の駆動により画像形成装置1の内部に取り込まれる。その際、用紙3は、給紙ローラー31と、手差しトレイ30に配置された用紙3を給紙ローラー31に対して押しつける押しつけ動作を行う押付部32との間で押し付けされている。本実施形態の押付部32は、本体ケージング2の内壁に駆動自在に設置され、給紙ローラー31に対して押し付けと押し付けを解除する動作を行う。
【0019】
押付部32は、上面が平坦形状をなす細長の平板として示されているが、回転するローラー形状でも良く形状に限定されない。また、押付部32の駆動方法は、モーターでも磁石でもバネ式でも良く、給紙ローラー31を押しつ付ける押しつけ動作および押しつけ動作を解除する動作を行う機構であれば駆動方法に限定されない。そして、押付部32は、手差しトレイ30と一体的に形成されていても良い。押付部32が押しつけ動作を解除する動作を行う際に、用紙3を持ち上げていた手差しトレイ30が自動的に下がる機構となり、それ以外は、押付部32が常時給紙ローラー31を押し付けていても良い。
【0020】
紙切れ検出センサ33は、手差しトレイ30の上部の本体ケージング2の内壁に設置され、手差しトレイ30に配置される用紙3の有無を検出する。
【0021】
給紙ローラー31の駆動により画像形成装置1の内部に取り込まれた用紙3は、例えば複数枚の用紙3が送り込まれた場合でも、分離パッド34で一枚の用紙3のみが分離される。送り込まれた用紙3は、自動給紙トレイ20と手差しトレイ30から送り込まれた用紙3が合流するレジストローラー35において、用紙3上に画像を正確に形成するために用紙3の位置が調整される。
【0022】
レジストローラー35の近傍に配置されたレジストローラー近傍センサ36で用紙3の先端がレジストローラー35に到達したか否かを検出する。
【0023】
画像形成部4は、感光体ドラム6と、感光体ドラム6の表面を正帯電する例えばスコロトロン型帯電器7と、露光するレーザー光8を備えている。露光された静電潜像が可視像化され用紙3に画像として形成される。
【0024】
図2は、プリンタ装置10の電気構成を示すブロック図である。
【0025】
プリンタ装置10は、制御部40と、CPU41と、ROM42と、RAM43と、ネットワークインターフェース(IF)44とを備えている。また、プリンタ装置10は、画像形成部4、紙切れ検出センサ33およびレジストローラー近傍センサ36の他に、操作部45や表示部46などを備えている。
【0026】
制御部40は、プリンタ装置10の全体を制御し、CPU41、ROM42およびRAM43を備えたマイクロプロセッサ構成を有していても良い。CPU41はプリンタ装置10の動作を制御し、ROM42はプリンタ装置10を動作させる各種プログラムやデータを記憶し、RAM43は、プログラム実行中のデータを一時的に記憶する。ネットワークインターフェース44は、例えばLANなどの通信回路に接続され、通信回路上に接続された端末装置50等との間の通信を行う。
【0027】
操作部45は、プリンタ装置10の電源のON/OFFや各種モード選択を行う。表示部46は、各種設定画面やプリンタ装置10の動作状態を表示する液晶パネルや有機ELパネル等のディスプレイであり、指やペンを接触させて各種の処理を行うUI(ユーザーインターフェース)型のタッチパネルであっても良い。
【0028】
図3を用いて、押付部32の動作を説明する。
【0029】
ユーザーがプリンタ装置10の電源を入れ、手差しトレイ30を使用可能な状態にすると押付部32が給紙ローラー31の外表面から離れ、給紙ローラー31と押付部32との間に用紙3が差し込める空間が形成される。次に、ユーザーが用紙3の先端を形成された空間内に差し込むと、紙切れ検出センサ33が用紙3を検出し、制御部40の指令により押付部32が給紙ローラー31に対して押し付け動作を行い、給紙ローラー31が回転する。尚、手差しトレイ30に最初の一枚目を載置する場合は、押付部32が給紙ローラー31の表面から離間しなくても良い。
【0030】
給紙ローラー31の回転に追従して、用紙3を給紙ローラー31に対して押付部32が押し付け、用紙3が画像形成装置1の本体ケージング2内に送り込まれる。送り込まれた用紙3の先端がレジストローラー35に到達すると、レジストローラー近傍センサ36により、用紙3の先端が所定の位置に到達した否かを検出する。
【0031】
用紙3の先端が所定の位置に到達したと制御部40が判定した場合、押付部32は制御部40の指令により、給紙ローラー31に対する押し付け動作を解除する(図3(b)参照)。押付部32の押し付け動作が解除されると、ユーザーは用紙3を手差しトレイ30に配置可能となる。複数枚の用紙3を連続的に手差しトレイ30に配置する時間が短縮され用紙3の挿入作業の効率化が図れる可能性がある。即ち、連続して用紙3を手差しトレイ30から挿入する際に、一枚目の用紙3が無くなることを検出するタイミングよりも早いタイミングで、次の用紙3を手差しトレイ30に載置(セット)できるため、早めに用紙3の手差しが可能となる。
【0032】
また、押付部32の押し付け動作の解除は、紙切れ検出センサ33が、手差しトレイ30に用紙3の有無を検出し、制御部40において用紙3が無いと判定した場合に行っても良い。そして、ユーザーは、レジストローラー近傍センサ36の検出結果により押付部32の押し付け動作が解除される制御モードと、紙切れ検出センサ33が用紙3の紙切れを検出するまで押付部32の押し付け動作を解除しない自動押し付けモードとを選択することが可能である。
【0033】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るプリンタ装置は、用紙の手差し挿入を効率よく行う画像形成装置の用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1:画像形成装置
2:本体ケージング
3:用紙
4:画像形成部
10:プリンタ装置
20:自動給紙トレイ
30:手差しトレイ
31:給紙ローラー
32:押付部
33:紙切れ検出センサ
34:分離パッド
35:レジストローラー
36:レジストローラー近傍センサ
40:制御部
図1
図2
図3