(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(接続方法、及び接合体)
本発明の接続方法は、光照射工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記接続方法は、第1の回路部材の配線と、第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる接続方法である。
【0012】
本発明の接合体は、前記接続方法により製造される。
【0013】
<光照射工程>
前記光照射工程としては、前記第1の回路部材と、前記第2の回路部材との間に配置された光硬化性異方性導電フィルムに、前記第1の回路部材側から、前記第1の回路部材越しに光を照射する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0014】
<<第1の回路部材>>
前記第1の回路部材としては、光透過性基材上に配線を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配線基板、電子部品、フレキシブル配線基板(FPC)などが挙げられる。前記配線基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LCD基板、PDP基板、有機EL基板などが挙げられる。
【0015】
−光透過性基材−
前記光透過性基材としては、例えば、ガラス基材、プラスチック基材などが挙げられる。前記光透過性基材における光透過性は、前記光硬化性異方性導電フィルムに照射される光を透過可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、照射される光に対する前記光透過性基材の光透過率は100%である必要はない。
【0016】
前記光透過性基材における波長200nm〜750nmの光の透過率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50%〜100%が好ましく、70%〜100%がより好ましい。
【0017】
−配線−
前記第1の回路部材において、前記配線は、前記光透過性基材上に配されている。
前記配線は、開口を有する。
前記配線における前記開口の面積率は、5%〜70%である。
前記第1の回路部材における前記配線の幅は、400μm以上である。
【0018】
異方性導電接続において光硬化性異方性導電フィルムを光硬化するには、前記光硬化性異方性導電フィルムに光を照射する必要があるが、その光の照射は、回路部材越しに行われる。その場合、前記回路部材の基材には、通常、光透過性基材が使用されるが、前記光透過性基材上に配される配線は、通常、金属などであり、光を透過しない。そのため、前記配線の存在により、前記光硬化性異方性導電フィルムの一部において十分に光硬化が行われない場合がある。
【0019】
本発明者らは、前記配線の配置と、前記光硬化性異方性導電フィルムの光硬化との関係を検討した。その結果、前記配線の幅が狭い(400μm未満)場合には、前記配線により光が遮蔽されても、前記配線間から前記光硬化性異方性導電フィルムに照射された光が回折することにより、前記光硬化性異方性導電フィルムにおける前記配線の裏側の部分においても、異方性導電接続に十分な光硬化が行えることを見出した。言い換えれば、前記配線間から前記光硬化性異方性導電フィルムに照射された光が回折しても、前記配線の幅が広い(400μm以上)場合には、前記光硬化性異方性導電フィルムにおける前記配線の裏側の部分においては、異方性導電接続に十分な光硬化が行えないことを見出した。
【0020】
本発明者らは、更に検討した。その結果、前記配線の幅が広い(400μm以上)場合でも、前記配線に開口を設けることにより、前記配線越しに前記光硬化性異方性導電フィルムに光を照射することができることを見出した。ただし、前記配線に開口を設けすぎると、前記配線の導電性が低下する。一方、前記配線における開口が少ないと、前記光硬化性異方性導電フィルムにおける前記配線の裏側の部分の光硬化が不十分になる。したがって、本発明者らは、前記配線における開口の面積の割合に好適な範囲があって、それが5%〜70%であることを見出した。
【0021】
前記配線の幅としては、400μm以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記配線の幅の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,000μm、2,000μmなどが挙げられる。
ここで、前記配線の幅とは、平均値であるが、それは、前記第1の回路部材上に配されている全ての配線の幅の平均値を意味するのではなく、異方性導電接続される際に前記光硬化性異方性導電フィルムと接する配線部分における幅の平均値である。
【0022】
前記配線における前記開口の面積率は、5%〜70%であり、10%〜50%が好ましい。前記面積率が、好ましい範囲内であると、環境試験後の接続抵抗がより優れる。
前記開口の面積率は、以下の式で求めることができる。
開口の面積率(%)=(開口の総面積)/(配線の総面積)
ここで、開口の総面積は、異方性導電接続される際に前記光硬化性異方性導電フィルムと接する配線部分における開口の総面積である。配線の総面積は、異方性導電接続される際に前記光硬化性異方性導電フィルムと接する配線部分における配線の総面積である。
【0023】
前記配線における開口の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、矩形などが挙げられる。
前記開口の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フォトリソグラフィーなどが挙げられる。
【0024】
前記開口の幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜20μmが好ましく、2μm〜15μmがより好ましく、3μm〜9μmが特に好ましい。
前記開口の幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する導電性粒子の大きさとの関係で、前記開口の幅〔A(μm)〕と、前記導電性粒子の平均粒子径〔B(μm)〕とが、(A)/(B)≦4.0を満たすことが好ましい。(A)/(B)>4.0であると、異方性導電接続の際に潰れた前記導電性粒子が、前記開口に捕捉され、前記配線の導電性部分と接触しない結果、接続抵抗が低下することがある。
ここで、前記開口の幅とは、前記開口の内接円の直径を意味する。即ち、前記開口の形状が円形である場合には、その円の直径が、前記幅となる。前記開口の形状が正方形である場合には、その正方形の1辺の長さが、前記幅となる。前記開口の形状が長方形である場合には、その長方形の短辺の長さが、前記幅となる。
前記開口の幅は、50個の開口の平均値である。
【0025】
前記配線の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、金属酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記配線における導電性部分は、非光透過性であることが好ましい。前記導電性部分とは、前記配線において前記開口を除いた部分である。前記導電性部分が光透過性であると、前記配線に前記開口を設ける意義が低下する。
【0026】
前記第1の回路部材の大きさ、形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0027】
ここで、第1の回路部材の一例を図を用いて説明する。
図1は、第1の回路部材の一例の概略上面図である。
第1の回路部材1は、光透過性基材12と、光透過性基材12上に配された配線11とを有する。配線11においては、長方形の導電性部分12Bに等間隔で正方形の開口11Aが形成されている。
【0028】
図2は、第1の回路部材の他の一例の概略上面図である。
第1の回路部材1は、光透過性基材12と、光透過性基材12上に配された配線11とを有する。配線11においては、長方形の導電性部分12Bに等間隔で円形の開口11Aが形成されている。
【0029】
続いて、配線における開口の一例を図を用いて説明する。
図3は、配線の一例の概略上面図である。
配線11においては、導電性部分12Bに等間隔で正方形の開口11Aが形成されている。開口の1辺は、3μmであり、かつ隣接する開口間の間隔も3μmである。そのため、配線における開口の面積率は、
図3からも分かる通り、25%である。
【0030】
<<第2の回路部材>>
前記第2の回路部材としては、端子を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配線基板、電子部品、フレキシブル配線基板(FPC)などが挙げられる。
【0031】
前記配線基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LCD基板、PDP基板、有機EL基板、などが挙げられる。
【0032】
前記電子部品としては、例えば、ICチップ、ICチップを搭載したTABテープなどが挙げられる。
【0033】
前記第2の回路部材の大きさ、形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
<<光硬化性異方性導電フィルム>>
前記光硬化性異方性導電フィルムは、好ましくは、導電性粒子を含有し、更に必要に応じて、光硬化性樹脂、光硬化剤などのその他の成分を含有する。
前記光硬化性異方性導電フィルムは、前記第1の回路部材と、前記第2の回路部材との間に配置される。
前記光硬化性異方性導電フィルムを、前記第1の回路部材と、前記第2の回路部材との間に配置させる方法としては、例えば、前記第1の回路部材上に、前記光硬化性異方性導電フィルムを配置する第1の配置処理と、前記光硬化性異方性導電フィルム上に前記第2の回路部材を配置する第2の配置処理とを行う方法が挙げられる。
【0035】
−導電性粒子−
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。
【0036】
前記金属粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、半田などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ニッケル、銀、銅が好ましい。これらの金属粒子は、表面酸化を防ぐ目的で、その表面に金、パラジウムを施していてもよい。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
【0037】
前記金属被覆樹脂粒子としては、樹脂粒子の表面を金属で被覆した粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂粒子の表面をニッケル、銀、半田、銅、金、及びパラジウムの少なくともいずれかの金属で被覆した粒子などが挙げられる。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。低抵抗を考慮した接続の場合、樹脂粒子の表面を銀で被覆した粒子が好ましい。
前記樹脂粒子への金属の被覆方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無電解めっき法、スパッタリング法などが挙げられる。
前記樹脂粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−シリカ複合樹脂などが挙げられる。
【0038】
前記導電性粒子は、異方性導電接続の際に、導電性を有していればよい。例えば、金属粒子の表面に絶縁皮膜を施した粒子であっても、異方性導電接続の際に前記粒子が変形し、前記金属粒子が露出するものであれば、前記導電性粒子である。
【0039】
前記導電性粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましく、2μm〜25μmがより好ましく、2μm〜10μmが特に好ましい。
前記平均粒子径は、任意に10個の導電性粒子について測定した粒子径の平均値である。
前記粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。
【0040】
前記光硬化性異方性導電フィルムにおける前記導電性粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光硬化性異方性導電フィルムに対して、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
【0041】
−光硬化性樹脂−
前記光硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光ラジカル硬化性樹脂、光カチオン硬化性樹脂などが挙げられる。
【0042】
前記光ラジカル硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
前記光ラジカル硬化性樹脂としては、その他に、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。また、これらのアクリレートをメタクリレートにしたものも使用できる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記光カチオン硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、脂環式エポキシ樹脂、それらの変性エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
また、前記光ラジカル硬化性樹脂、及び前記光カチオン硬化性樹脂を混合などして、併用してもよい。
【0045】
前記光硬化性異方性導電フィルムにおける前記光硬化性樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光硬化性異方性導電フィルムに対して、20質量%〜60質量%が好ましく、30質量%〜50質量%がより好ましい。
【0046】
−光硬化剤−
前記光硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、波長領域200nm〜750nmの光によって活性なカチオン種又はラジカル種を発生させる硬化剤などが挙げられる。
【0047】
ラジカル種を発生する光ラジカル硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系重合開始剤、オシムエステル系光重合開始剤などが挙げられる。これらは、種々の前記光ラジカル硬化性樹脂を良好に硬化させることができる。
【0048】
カチオン種を発生する光カチオン硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩などが挙げられる。これらは、種々の光カチオン硬化性樹脂を良好に硬化させることができる。
【0049】
なお、前記波長領域200nm〜750nmの光により活性なカチオン種又はラジカル種を発生させる硬化剤としては、例えば、光ラジカル硬化剤(商品名:イルガキュア651、チバスぺシャリティーケミカルズ社製)、光カチオン硬化剤(商品名:イルガキュア369、チバスぺシャリティーケミカルズ社製)などが挙げられる。
【0050】
また、前記光ラジカル硬化剤、及び前記光カチオン硬化剤を混合などして、併用してもよい。
【0051】
前記光硬化性異方性導電フィルムにおける前記光硬化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光硬化性異方性導電フィルムに対して、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。
【0052】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、膜形成樹脂、ゴム、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0053】
−−膜形成樹脂−−
前記膜形成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。前記膜形成樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の点からフェノキシ樹脂が好ましい。
前記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される樹脂などが挙げられる。
前記フェノキシ樹脂は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0054】
前記光硬化性異方性導電フィルムにおける前記膜形成樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光硬化性異方性導電フィルムに対して、20質量%〜60質量%が好ましく、30質量%〜50質量%がより好ましい。
【0055】
−−ゴム−−
前記ゴムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。
【0056】
前記光硬化性異方性導電フィルムにおける前記ゴムの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光硬化性異方性導電フィルムに対して、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜8質量%がより好ましい。
【0057】
−−シランカップリング剤−−
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、チオール系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤などが挙げられる。
前記光硬化性異方性導電フィルムにおける前記シランカップリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0058】
前記光硬化性異方性導電フィルムの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜60μmが好ましく、5μm〜30μmがより好ましく、10μm〜20μmが特に好ましい。
【0059】
前記光照射工程においては、前記光硬化性異方性導電フィルムに、前記第1の回路部材側から、前記第1の回路部材越しに光が照射される。
【0060】
前記光としては、前記光硬化性樹脂を硬化可能な光である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長200nm〜750nmの光が好ましく、波長200nm〜400nmの光がより好ましい。
また、前記光を発する光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LED光源、UVランプ光源などが挙げられる。
【0061】
前記光の照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3秒間〜5.0秒間が好ましく、0.5秒間〜2.0秒間がより好ましい。
【0062】
前記光を照射する際には、更に前記第2の回路部材を押圧することが好ましい。押圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1MPa〜5MPaが好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
<光硬化性異方性導電フィルムの作製>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(品名:YP50、新日鉄住金化学株式会社製)40質量部
アクリレート(品名:M−315、東亞合成株式会社製)15質量部
ウレタンアクリレート(品名:M−1600、東亞合成株式会社製)25質量部
ゴム成分(品名:SG80H、ナガセケムテックス株式会社製)5質量部
リン酸アクリレート(品名:P−1M、共栄社化学株式会社製)1質量部
光ラジカル硬化剤(品名:Irgacure OXE02、BASF社製)3質量部
Ni/Auメッキアクリル樹脂粒子(平均粒子径5μm)5質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが10μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、光硬化性異方性導電フィルムを作製した。
【0065】
<接合体の製造>
以下の方法により接合体を製造した。
【0066】
−第1の回路部材−
第1の回路部材として、ITO/金属配線を有するPETフィルム(デクセリアルズ株式会社評価用基材、PETフィルム厚み0.5mm)を用いた。
この第1の回路部材は、幅590μmのITO/金属配線を有し、ITO/金属配線間のピッチは、600μm、かつL/S=59/1である。
また、ITO/金属配線には、フォトリソグラフィーにより、一辺が3μmの正方形の開口がメッシュ状に形成されている。開口の間隔は、3μmである。前記ITO/金属配線における開口の面積率は、25%である。
【0067】
−第2の回路部材−
第2の回路部材として、フレキシブル基板(チップオンフレックス:COF)(デクセリアルズ株式会社評価用基材、600μmP(ピッチ)、Cu12μmt(厚み)−Auめっき、L/S=59/1、PI(ポリイミド)25μmt(厚み)−S’perflex基材)を用いた。
【0068】
前記第1の回路部材上に、幅1.5mmにスリットした前記光硬化性異方性導電フィルムを配置した。配置する際、80℃、1MPa、1秒間で貼り付けた。続いて、その光硬化性異方性導電フィルム上に、前記第2の回路部材を、前記光硬化性異方性導電フィルムからはみ出さないように配置した。続いて、緩衝材(テフロン(登録商標)、厚み0.2mm)を介して、押圧ツール(幅1.5mm)により3MPaで圧力を加えつつ、前記第1の回路部材側から、前記第1の回路部材越しに、前記光硬化性異方性導電フィルムに180mW/cm
2(波長365nm)を1秒間で照射した。以上により、接合体を得た。
【0069】
<評価>
作製した接合体について、以下の評価を行った。結果を表1−1に示した。
【0070】
<<接続信頼性>>
デジタルマルチメーター(商品名:デジタルマルチメーター7561、横河電機(株)社製)を用いて、初期の接続抵抗(Ω)及び環境試験(60℃/95%RH/100hr)後の接続抵抗(Ω)の測定を行った。以下の評価基準で評価した。結果を表1−1に示した。
〔評価基準〕
○:接続抵抗値が、1Ω以下
△:接続抵抗値が、1Ω超10Ω以下
×:接続抵抗値が、10Ω超
【0071】
(実施例2〜11、及び比較例1〜4)
実施例1において、開口の間隔、開口1辺の長さ、及び開口面積率を、表1−1、及び表1−2に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、接合体を作製した。
得られた接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を、表1−1、及び表1−2に示した。
【0072】
【表1-1】
【0073】
【表1-2】
【0074】
配線の開口の面積率が、5%未満の場合には、配線の裏側の光硬化性異方性導電フィルムに光が十分に届かずに、環境試験前後の接続抵抗が不十分であった。
一方、配線の開口の面積率が、70%を超えると、配線における導電性部分が少なくなるために、環境試験後の接続抵抗が不十分であった。
【0075】
配線における開口の面積率が、10%〜50%であると、環境試験後の接続抵抗は、非常に優れていた。
【0076】
(実施例A−1〜A−4、及び比較例A−1〜A−4)
続いて、第1の回路部材における配線の幅(Line Width)と、配線の間隔(Space Width)とを変動させ、接続抵抗値、及び反応率を評価した。接合体の製造条件は、実施例1と同様の条件で行った。
結果を、表2−1〜2−4に示した。
【0077】
接続抵抗値は、実施例1と同様の方法により測定した。
反応率は、接合体からフレキシブル基板を引き剥がし、ACF圧着部分からサンプリングを行い、HPLC分析装置を用いて測定した。サンプル0.05mgをアセトニトリルに溶解し、これを分離カラム(10cm、40℃)に注入し、クロマトグラムを得た。分析条件は以下の通りとした。
アセトニトリル常温抽出−HPLC/DAD法
抽出:アセトニトリル 40μL
機器:UPLC(Waters社製)、Method: Hannouritu
グラジェント条件:A60%、B40%(1分間保持)→5分後にA1%、B99%(6分間保持)、Aは水、Bはアセトニトリル
解析波長:210−400nm
【0078】
比較例A−1〜A−4、及び実施例A−1〜A−4に用いた光硬化性異方性導電フィルムは、実施例1で用いた光硬化性異方性導電フィルムと同じである。
比較例A−1〜A−4において、第1の回路部材の配線に開口は設けていない。即ち、開口の間隔、開口1辺の長さ、及び開口面積率は比較例1と同じである。
実施例A−1〜A−4において、第1の回路部材の配線の条件は、実施例1の第1の回路部材の配線の条件と同じである。即ち、開口の間隔は3μm、開口1辺の長さは3μm、及び開口面積率は25%である。
【0079】
【表2-1】
【0080】
【表2-2】
【0081】
【表2-3】
【0082】
【表2-4】
【0083】
比較例A−1〜A−4より、配線の幅が400μm以上でなければ、配線に開口を設けなくても、良好な接続抵抗は優れたものとなった。これは、配線の幅が狭い場合には、光の回折により配線の裏側の光硬化性異方性導電フィルムまで光が届くためと考えられる。
実施例A−2〜A−4より、配線の幅が広い場合でも、配線に開口を設ければ、接続抵抗は、配線に開口を設けない場合に比べて良好になった。