(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態に係る電子部品内蔵多層配線基板及びその製造方法を詳細に説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の一実施形態に係る電子部品内蔵多層配線基板1の構造を示す断面図、
図2は電子部品内蔵多層配線基板1の製造工程を示すフローチャートである。また、
図3は、電子部品内蔵多層配線基板1における電子部品内蔵モジュール基板100の製造工程を示すフローチャート、
図4は電子部品内蔵多層配線基板1における積層体200の製造工程を示すフローチャートである。
【0022】
また、
図5は、電子部品内蔵多層配線基板1における電子部品内蔵モジュール基板100の製造工程を示す断面図、
図6は電子部品内蔵多層配線基板1における積層体200の製造工程を示す断面図である。更に、
図7は、電子部品内蔵多層配線基板1における積層体200の分解斜視図、
図8は電子部品内蔵多層配線基板1の製造工程を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、第1の実施形態に係る電子部品内蔵多層配線基板1は、多層配線基板としての電子部品内蔵モジュール基板100と、この電子部品内蔵モジュール基板100上に積層された積層体200とを備えている。電子部品内蔵多層配線基板1は、電子部品内蔵モジュール基板100と積層体200とを、例えば熱圧着により一括積層した構造を備えている。
【0024】
図1及び
図5に示すように、電子部品内蔵モジュール基板100は、例えば第1層プリント配線基板10、第2層プリント配線基板20、第3層プリント配線基板30及び第4層プリント配線基板40からなる。電子部品内蔵モジュール基板100を構成するプリント配線基板の数は、これに限定されるものではない。また、電子部品内蔵モジュール基板100は、例えば第3層プリント配線基板30に形成された第2の開口部290内に、第2の電子部品としての内蔵部品210を内蔵してなる。第2の開口部290は、内部に内蔵部品210を収容して封止可能な大きさ(高さ及び開口径)となるように形成されている。
【0025】
一方、
図1及び
図6に示すように、積層体200は、例えば第5層プリント配線基板50、第6層プリント配線基板60、第7層プリント配線基板70、第8層プリント配線基板80及び第9層プリント配線基板90からなる。積層体20を構成するプリント配線基板の数は、これに限定されるものではない。積層体200は、電子部品内蔵モジュール基板100上に実装された第1の電子部品としての実装部品105A、実装部品105B及びダミー部品106を、電子部品内蔵モジュール基板100と共に封止する第1の開口部としての封止用開口部110A、封止用開口部110B、封止用開口部110Cを有する。
【0026】
なお、電子部品内蔵モジュール基板100の第1層〜第4層プリント配線基板10〜40は、本発明における第1のプリント配線基板として機能する。また、積層体200の第5層〜第9層プリント配線基板50〜90は、本発明における第2のプリント配線基板として機能する。これら第1層〜第9層プリント配線基板は、一例としてFPC(Flexible Printed Circuit)により構成されている。また、第5層〜第9層プリント配線基板50〜90の絶縁層、配線層及び接着層は、第1層〜第4層プリント配線基板10〜40の絶縁層、配線層及び接着層と同一種類又は同一特性の材料で形成されている。
【0027】
図1及び
図5に示すように、電子部品内蔵モジュール基板100の第1層プリント配線基板10、第2層プリント配線基板20及び第4層プリント配線基板40は、例えば片面CCL(片面配線基板)からなる。そして、第3層プリント配線基板30は、例えば両面CCL(両面配線基板)からなる。また、積層体200の第5層〜第9層プリント配線基板50〜90は、例えば片面CCLからなる。これら第1層〜第9層プリント配線基板10〜90は、回路設計によって適宜片面CCL及び両面CCLを選択し得る。
【0028】
第1層〜第4層プリント配線基板10〜40は、それぞれ絶縁層である第1樹脂基材11、第2樹脂基材21、第3樹脂基材31及び第4樹脂基材41を備える。第1層プリント配線基板10、第2層プリント配線基板20及び第4層プリント配線基板40は、第1樹脂基材11、第2樹脂基材21及び第4樹脂基材41の一方の面(片面)に形成された配線パターン等の配線回路12、配線回路22、配線回路42を備える。これら配線回路12、配線回路22及び配線回路42は、配線層として機能する。
【0029】
第3層プリント配線基板30は、第3樹脂基材31の一方及び他方の面(両面)にそれぞれ形成された配線パターン等の配線回路32を備える。また、第3層プリント配線基板30は、第3樹脂基材31にレーザ加工やドリル加工等により貫通形成された第2の開口部290を備える。
【0030】
第1層プリント配線基板10、第2層プリント配線基板20及び第4層プリント配線基板40は、
図5に示すように、第1樹脂基材11、第2樹脂基材21及び第4樹脂基材41の配線回路12、配線回路22及び配線回路42側とは反対側に形成された接着層9a、接着層9b及び接着層9cを備える。接着層9a、接着層9b及び接着層9cは、例えばエポキシ系やアクリル系の接着剤など、揮発成分が含まれた有機系接着剤等からなる。
【0031】
更に、第1層プリント配線基板10、第2層プリント配線基板20及び第4層プリント配線基板40は、第1樹脂基材11、第2樹脂基材21並びに第4樹脂基材41及び接着層9a、接着層9b並びに接着層9cに形成された貫通孔内に導電性ペーストを充填して形成されたビア13、ビア23及びビア43を備える。また、第3層プリント配線基板30は、メッキのビア33を備えている。このメッキのビア33は、第3樹脂基材31の一方の面側の配線回路32を貫通させることなく、他方の配線回路32側からレーザやドリル等を用いて形成した貫通孔内にメッキを施した構造を備える。
【0032】
このビア33は、例えば銅メッキにより形成されている。ビア33が上記のようにメッキにより構成された場合、一方の配線回路32上には図示しないメッキ層が形成される。その他、ビア33は、図示は省略するが、第3樹脂基材31に形成された貫通孔内に導電性ペーストを充填して形成されてもよい。
【0033】
また、ビア33は、各配線回路32間を貫通するスルーホール(TH)内にメッキを施した構造のメッキスルーホールにより構成されてもよい。このように形成されたビア13、ビア23及びビア43は第1層〜第4層プリント配線基板10〜40の各配線回路12〜42間を電気的に層間接続し、ビア33は第3層プリント配線基板30の両面側に形成された配線回路32間を電気的に接続する。
【0034】
内蔵部品210は、電極210aが第2層プリント配線基板20のビア23と接続された状態で、第3層プリント配線基板30の第2の開口部290内に収容されている。内蔵部品210は、第2の開口部290内において、例えば熱圧着時に流動して流れ込んだ後述する接着層9b及び接着層9cにより封止されている。
【0035】
なお、電子部品内蔵モジュール基板100は、例えば
図5(c)に示すように、第4層プリント配線基板40における第4樹脂基材41の配線回路42側に形成された接着層49及びビア48を更に備えている。接着層49は、接着層9a、接着層9b及び接着層9cと同様の材料からなり、ビア48は部品実装用に形成されている。
【0036】
一方、
図1及び
図6に示すように、積層体200の第5層〜第8層プリント配線基板50〜80は、例えば両面CCLからなる。また、第9層プリント配線基板90は、例えば片面CCLからなる。第5層〜第9層プリント配線基板50〜90は、それぞれ絶縁層である第5樹脂基材51、第6樹脂基材61、第7樹脂基材71、第8樹脂基材81及び第9樹脂基材91を備える。
【0037】
また、第5層〜第8層プリント配線基板50〜80は、第5〜第8樹脂基材51〜81の一方及び他方の面(両面)に形成された配線パターン等の配線回路52、配線回路62、配線回路72及び配線回路82を備える。更に、第9層プリント配線基板90は、第9樹脂基材91の一方の面(片面)に形成された配線パターン等の配線回路92を備える。これら配線回路52〜92は、配線層として機能する。
【0038】
なお、第1の実施形態における積層体200の第9層プリント配線基板90の配線回路92は、例えば第9樹脂基材91の片面を塗り潰すようなベタパターンで形成されている。そして、その他の第5層〜第8層プリント配線基板50〜80の配線回路52〜82は、例えば積層方向に互いに重なる位置にパターン形成されている。
【0039】
積層体200は、第1の実施形態においては電子部品内蔵モジュール基板100上に、この電子部品内蔵モジュール基板100と電気的に非接続な状態で積層されている。また、積層体200における各配線回路52〜92は、互いに層間接続されていないダミー配線回路である。
【0040】
第5層〜第8層プリント配線基板50〜80は、
図6に示すように、それぞれ各樹脂基材51〜81の一方の面側に形成された接着層19a、接着層19b、接着層19c及び接着層19dを備える。第9層プリント配線基板90は、樹脂基材91の配線回路92側とは反対側に形成された接着層99を備える。これら接着層19a〜19d及び接着層99は、電子部品内蔵モジュール基板100の接着層9a〜9c及び接着層4
9と同一種類又は同一特性の材料からなる。
【0041】
図6及び
図7に示すように、積層体200の封止用開口部110A、封止用開口部110B及び封止用開口部110Cは、例えば次のように構成されている。すなわち、封止用開口部110Aは、第5層プリント配線基板50に貫通形成された開口孔110Aaと、第6層プリント配線基板60に貫通形成された開口孔110Abとを積層方向に組み合わせてなる。
【0042】
また、封止用開口部110Bは、第5層〜第8層プリント配線基板50〜80に貫通形成された開口孔110Ba、開口孔110Bb、開口孔110Bc及び開口孔110Bdを積層方向に組み合わせてなる。更に、封止用開口部110Cは、第5層プリント配線基板50に貫通形成された開口孔110Caからなる。
【0043】
すなわち、これら封止用開口部110A、封止用開口部110B及び封止用開口部110Cは、例えば実装部品105A並びに実装部品105B及びダミー部品106の電子部品内蔵モジュール基板100上の実装位置及び実装高さに合わせて、それぞれ貫通形成された各開口孔110Aa〜110Caを積層方向に組み合わせて構成されている。
【0044】
そして、封止用開口部110Aは、第5層プリント配線基板50及び第6層プリント配線基板60に貫通形成された開口孔110Aa及び開口孔110Abが、第7層プリント配線基板70により蓋をされることにより上方が閉じられた状態で形成されている。また、封止用開口部110Bは、第5層〜第8層プリント配線基板50〜80に貫通形成された開口孔110Ba、開口孔110Bb、開口孔110Bc及び開口孔110Bdが、第9層プリント配線基板90により蓋をされることにより上方が閉じられた状態で形成されている。更に、封止用開口部110Cは、第5層プリント配線基板50に貫通形成された開口孔110Caが、第6層プリント配線基板60により蓋をされることにより上方が閉じられた状態で形成されている。
【0045】
そして、封止用開口部110A内に収容された実装部品105Aは、封止用開口部110A内において、接着層4
9、接着層19a、接着層19b及び接着層19cにより封止されている。また、封止用開口部110B内に収容された実装部品105Bは、接着層4
9、接着層19a、接着層19b、接着層19c、接着層19d及び接着層99により封止されている。更に、封止用開口部110C内に収容されたダミー部品106は、接着層4
9、接着層19a及び接着層19bにより封止されている。
【0046】
電子部品内蔵モジュール基板100の第1層〜第4層プリント配線基板10〜40及び積層体200の第5層〜第9層プリント配線基板50〜90は、例えば次のように構成されている。すなわち、第1〜第9樹脂基材11〜91は、例えば樹脂フィルムにより構成されている。
【0047】
樹脂フィルムとしては、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオレフィン(PO)、液晶ポリマー(LCP)等からなる樹脂フィルムを用いることができる。また、その他の樹脂フィルムとしては、熱硬化性のエポキシ樹脂等からなる樹脂フィルムなどを用いることができる。
【0048】
配線回路12〜92は、例えば銅箔などの導電材をパターン形成してなる。また、ビア13、ビア23、ビア43及びビア48(ビア33が導電性ペーストからなる場合はビア33を含む)を構成する導電性ペーストは、少なくとも1種類の低電気抵抗の金属粒子と、少なくとも1種類の低融点の金属粒子とを含む。
【0049】
上述した低電気抵抗の金属粒子は、例えばニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等から選択される。また、上述した低融点の金属粒子は、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、鉛(Pb)等から選択される。
【0050】
そして、導電性ペーストは、上述したこれらの金属粒子に、エポキシ、アクリル、ウレタン等を主成分とするバインダ成分を混合したペーストからなる。このような導電性ペーストは、含有された低融点の金属が例えば200℃以下の温度で溶融し合金を形成することができる。この導電性ペーストは、特に、銅や銀などとは金属間化合物を形成することができる特性を備える。
【0051】
すなわち、詳細な図示は省略するが、例えば第1プリント配線基板10及び第2層プリント配線基板20を例に挙げ、これらを熱圧着した場合には、導電性ペーストからなるビア13の積層方向両端部と配線回路12及び配線回路22との接触部分(接続面)は、金属間化合物により合金化される。これにより、ビア13と配線回路12及び配線回路22とは、強固且つ確実に電気的に接続される。
【0052】
このように、ビア13、ビア23、ビア43及びビア48と配線回路12、配線回路22、配線回路32及び配線回路42との接触部分は、例えば一括積層の熱圧着時に金属間化合物により合金化される。また、同様に内蔵部品210の電極210aとビア23との接触部分は金属間化合物により合金化される。
【0053】
更に、実装部品105A及び実装部品105Bやダミー部品106を電子部品内蔵モジュール基板100上に実装した後の熱圧着時には、一例としてダミー部品106の電極106aとビア48との接触部分は、同様に合金化される。
【0054】
なお、導電性ペーストは、例えば粒子径がナノレベルの金、銀、銅、ニッケル等のフィラーが、上記のようなバインダ成分に混合されたナノペーストで構成することもできる。その他、導電性ペーストは、上記ニッケル等の金属粒子が、上記のようなバインダ成分に混合されたペーストで構成することもできる。
【0055】
この場合、導電性ペーストは、金属粒子同士が接触することで電気的接続が行われる特性となる。このような導電性ペーストの貫通孔内への充填方法としては、例えば印刷工法、スピン塗布工法、スプレー塗布工法、ディスペンス工法、ラミネート工法、及びこれらを併用した各種工法などを用いることができる。
【0056】
電子部品内蔵モジュール基板100に内蔵される内蔵部品210は、例えばトランジスタ、集積回路(IC)、ダイオード等の半導体素子からなる。電子部品内蔵モジュール基板100上に実装される実装部品105A及び実装部品105Bは、例えば抵抗器、コンデンサ、リレー、圧電素子等からなる。
【0057】
また、電子部品内蔵モジュール基板100上に実装されるダミー部品106は、電子部品内蔵多層配線基板1の強度や平坦性、或いは可撓性を調整するために用いられる。このダミー部品106は、例えばその電極106aが、第4層プリント配線基板40の他の配線回路42とは電気的に独立するように形成されたダミーの配線回路42上のビア48と接するように実装されている。従って、ダミー部品106は、電子部品内蔵モジュール基板100と電気的に非接続な状態で実装されている。
【0058】
電子部品内蔵多層配線基板1は、このように構成されることにより、樹脂封止やアンダーフィル等の工程を経ることなく、実装部品105A及び実装部品105Bやダミー部品106を第5層〜第9層プリント配線基板50〜90を積層した積層体200により内部に封止した状態で内蔵することができる。すなわち、電子部品内蔵モジュール基板100上における実装高さの異なる実装部品105A及び実装部品105Bやダミー部品106を、例えば別途金型を作製してモールド加工等することなく、熱圧着による一括積層で実装・封止・内蔵することができる。
【0059】
このように、積層体200を電子部品内蔵モジュール基板100上のモールドの代替として機能させることができる。また、電子部品内蔵モジュール基板100及び積層体200の各部材の材料を同一種類や同一特性のものとすれば、部材間の熱膨張係数をマッチングさせたり材料費を削減したりすることができる。従って、電子部品内蔵多層配線基板1の製造工程の簡略化及び構成材料の簡素化を図ることが可能となる。
【0060】
更に、各部材の熱膨張係数がマッチングされた上で、熱圧着による一括積層で電子部品内蔵多層配線基板1を製造することができるので、従来よりも熱履歴を少なくすることができる。これにより、電子部品内蔵多層配線基板1の全体の信頼性を向上させることが可能となる。
【0061】
また、電子部品内蔵モジュール基板100の配線回路12〜42の構成や、実装部品105A及び実装部品105B或いはダミー部品106の実装位置や実装高さ等に合わせて積層体200の構成を自在に選択することができる。すなわち、電子部品内蔵モジュール基板100の平坦性や可撓性に則した積層体200を構成して、モールドの代替として一括積層工程にて容易に実装することができる。このため、電子品内蔵多層配線基板1の全体の平坦性や可撓性を高めることが可能となる。
【0062】
次に、第1の実施形態に係る電子部品内蔵多層配線基板1の製造方法について、
図2〜
図4のフローチャートを参照しながら説明する。
図2に示すように、まず、複数の第1及び第2のプリント配線基板として、第1層〜第9層プリント配線基板10〜90を作製する(ステップS100)。なお、内蔵部品210や実装部品105A及び実装部品105B或いはダミー部品106は、別途予め準備又は作製しておくとよい。
【0063】
第3層プリント配線基板30を除く第1層〜第9層プリント配線基板10〜90については、まず、第1〜第9樹脂基材11〜91の一方の面にベタ状態(ベタパターン)の銅箔等からなる導体層が形成された片面CCLを準備する。一方、第3層プリント配線基板30については、第3樹脂基材の両面にベタ状態の銅箔等からなる導体層が形成された両面CCLを準備する。
【0064】
次に、第9樹脂基材の導体層を除く第1〜第8樹脂基材11〜81の導体層上に、例えばフォトリソグラフィによりエッチングレジストを形成してからエッチングを行って、
図1に示すような配線回路12〜82をパターン形成する。ここで、片面CCLは、例えば厚さ12μm程度の銅箔等からなる導体層に、厚さ20μm程度の樹脂基材を貼り合わせた構造からなる。
【0065】
導体層が銅からなる場合は、片面CCLとしては、例えば公知のキャスティング法により、銅箔にポリイミドのワニスを塗布してそのワニスを硬化させて作製されたものを用いることができる。その他、片面CCLとしては、ポリイミドフィルム上にシード層をスパッタリングにより形成し、メッキにより銅を成長させて導体層を形成したものや、圧延或いは電解銅箔とポリイミドフィルムとを接着剤により貼り合わせて作製されたものなどを用いることができる。
【0066】
なお、電子部品内蔵多層配線基板1に用いられる樹脂基材は、必ずしもポリイミドからなるものである必要はない。従って、上記のような液晶ポリマー等のプラスチックフィルムからなるものであってもよい。また、エッチングは、塩化第二鉄や塩化第二銅などを主成分とするエッチャントを用いることができる。
【0067】
配線回路12〜82を形成したら、第1樹脂基材11、第2樹脂基材21及び第4樹脂基材41の他方の面に接着剤を貼り合わせて接着層9a、接着層9b及び接着層9cを形成する。また、第5〜第9樹脂基材51〜91の一方の面に接着剤を貼り合わせて接着層19a、接着層19b、接着層19c、接着層19d及び接着層99を形成する。
【0068】
そして、第1樹脂基材11、第2樹脂基材21及び第4樹脂基材41については、接着層9a、接着層9b並びに接着層9c及び第1樹脂基材11、第2樹脂基材21及び第4樹脂基材1141をそれぞれ貫通して配線回路12、配線回路22及び配線回路42に到達する貫通孔を所定箇所に形成して、形成した貫通孔内にデスミア処理を施す。接着層9a〜9cとしては、例えば厚さ25μm程度のエポキシ系熱硬化性樹脂を半硬化状態とした接着剤を用いることができる。
【0069】
接着層9a〜9cの貼り合わせの際の加熱圧着には、例えば真空ラミネータが用いられる。すなわち、減圧下の雰囲気中にて接着層9a〜9cが硬化しない温度でプレスして、第1樹脂基材11、第2樹脂基材21及び第4樹脂基材41に接着層9a〜9cを貼り合わせる。なお、電子部品内多層配線基板1に用いられる各接着層9a〜9c、接着層19a〜19d、接着層49及び接着層99は、上記エポキシ系の熱硬化性樹脂のみならず、エポキシ系熱硬化性樹脂をガラス布等に塗布して半硬化状態としたプリプレグや、種々の樹脂等を用いることができる。
【0070】
また、貫通孔は、例えばUV−YAGレーザを用いて所定箇所に形成される。貫通孔は、その他、炭酸ガスレーザやエキシマレーザ等で形成してもよいし、ドリル加工や化学的なエッチング等により形成してもよい。デスミア処理は、プラズマデスミアの場合は、CF
4及びO
2(四フッ化メタン+酸素)の混合ガスにより行うことができる。また、Ar(アルゴン)等のその他の不活性ガスを用いることもできる。また、デスミア処理は、いわゆるドライ処理ではなく、薬液を用いたウェット処理としてもよい。
【0071】
貫通孔を形成したら、貫通孔内に例えばスクリーン印刷等により上述したような導電性ペーストを充填してビア13、ビア23及びビア43を形成する。これにより、
図5(a)に示すような第1層プリント配線基板10、第2層プリント配線基板20及び第4層プリント配線基板40を製造することができる。なお、第3層プリント配線基板30及び第5層〜第9層プリント配線基板50〜90についても同様に製造して準備しておく。
【0072】
ここで、内蔵部品210は、図示は省略するが、例えば次のように製造される。まず、無機絶縁層が形成されたダイシング前のウェハを準備する。そして、ウェハの表面に例えば再配線電極からなる電極210a等を形成し、絶縁層等を形成する。その後、検査を行ってから薄型化及びダイシングにより個片化することで、内蔵部品210を製造する。
【0073】
次に、こうして第1層〜第4層プリント配線基板10〜40及び内蔵部品210を製造したら、電子部品内蔵モジュール基板100を作製する(ステップS102)。ここで、電子部品内蔵モジュール基板100は、例えば
図3に示すように作製される。すなわち、
図3に示すように、所定の第1のプリント配線基板として、例えば第3層プリント配線基板30に第2の開口部290を形成する(ステップS200)。
【0074】
第2の開口部290は、貫通孔形成時と同様にUV−YAGレーザ等を用いて、第2の電子部品である内蔵部品210が内蔵される部分の配線回路32及び第3樹脂基材31を除去することにより、第3層プリント配線基板30に貫通形成される。そして、第1層〜第4層プリント配線基板10〜40及び内蔵部品210を
図5(a)に示すように位置合わせして積層し(ステップS202)、熱圧着を行って(ステップS204)、
図5(b)に示すように一括積層する。これにより、内蔵部品210を内蔵した電子部品内蔵モジュール基板100を作製することができる。
【0075】
なお、上記ステップS204における熱圧着は、仮圧着程度のものであってもよい。また、第1の実施形態においては、こうして作製した電子部品内蔵モジュール基板100の第4層プリント配線基板40上に、
図5(c)に示すように接着層49及びビア48を上述したような方法で形成しておく。
【0076】
こうして部品内蔵モジュール基板100を作製したら、積層体200を作製する(ステップS104)。ここで、積層体200は、例えば
図4に示すように作製される。まず、
図6(a)及び
図7に示すように、積層体200を構成する第5層〜第9層プリント配線基板50〜90のうち、所定の第2のプリント配線基板である第5層〜第8層プリント配線基板50〜80に、第1の開口部である封止用開口部110A、封止用開口部110B及び封止用開口部110Cを構成する開口孔110Aa、開口孔110Ab、開口孔110Ba、開口孔110Bb、開口孔110Bc、開口孔110Bd及び開口孔110Caを貫通形成する(ステップS300)。
【0077】
これら開口孔110Aa、開口孔110Ab、開口孔110Ba、開口孔110Bb、開口孔110Bc、開口孔110Bd及び開口孔110Caについても、第2の開口部290と同様にUV−YAGレーザ等を用いて形成することができる。なお、開口孔110Aa及び開口孔110Abは互いに積層方向に一致する。また、開口孔110Ba、開口孔110Bb、開口孔110Bc及び開口孔110Bdも互いに積層方向に一致する。
【0078】
こうして開口孔110Aa、開口孔110Ab、開口孔110Ba、開口孔110Bb、開口孔110Bc、開口孔110Bd及び開口孔110Caを形成した後に、例えば第5層〜第9層プリント配線基板50〜90を仮圧着(ステップS302)して積層する。これにより、
図65(b)に示すような封止用開口部110A、封止用開口部110B及び封止用開口部110Cを有する積層体200を作製することができる。
【0079】
なお、封止用開口部110A、封止用開口部110B及び封止用開口部110Cや第2の開口部290は、第1の実施形態においては矩形状の外形を有する実装部品105A及び実装部品105Bやダミー部品106の形状に合わせて矩形状に形成されている。その他、封止用開口部110A、封止用開口部110B及び封止用開口部110Cや第2の開口部290は、収容する部品の外形に合わせて円形や多角形等、種々の形状を採り得る。
【0080】
次に、部品内蔵モジュール基板100上に、第1の電子部品である実装部品105A、実装部品105B及びダミー部品106を実装する(ステップS106)。このステップS106においては、
図8(a)に示すように、実装部品105A、実装部品105B及びダミー部品106を、図示しない実装マウンタ装置等を用いて電子部品内蔵モジュール基板100上に位置合わせして実装する。なお、このステップS106における部品実装は、いわゆる仮実装程度のものであってもよい。
【0081】
こうして実装部品105A、実装部品105B及びダミー部品106を電子部品内蔵モジュール基板100上に実装したら、
図8(b)に示すように、電子部品内蔵モジュール基板100上に積層体200を配置する(ステップS108)。このステップS108においては、積層体200は、封止用開口部110A、封止用開口部110B及び封止用開口部110C内に実装部品105A、実装部品105B及びダミー部品106が確実に収まるように位置合わせして配置される。
【0082】
最後に、電子部品内蔵モジュール基板100及び積層体200に熱圧着を施すことにより(ステップS110)、電子部品内蔵モジュール基板100、実装部品105A、実装部品105B、ダミー部品106、及び積層体200を一括積層して、冷却硬化させ、
図1に示すような第1の実施形態に係る電子部品内蔵多層配線基板1を製造する。なお、上述したステップS102及びステップS104の工程は、その順序を問わない。また、上述したステップS106の工程は、ステップS102の工程の後であれば、ステップS104の工程に先立って行われてもよい。
【0083】
以上述べたように、第1の実施形態に係る電子部品内蔵多層配線基板1及びその製造方法によれば、製造工程の大幅な簡略化を図ることができると共に熱履歴を少なくして信頼性を高めることができる。また、基板の平坦性を高めることができると共に構成材料の簡略化を図ることができる。
【0084】
[第2の実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態に係る部品内蔵多層配線基板1Bの製造工程を示す断面図である。なお、
図9において、第1の実施形態と同一の構成要素に関しては同一の参照符号を付しているので、以下では重複する説明は省略する。
【0085】
図9に示すように、第2の実施形態に係る部品内蔵多層配線基板1Bでは、その製造過程において、例えば上述したステップS108の工程で部品内蔵モジュール基板100上に配置される積層体200が、第5層〜第9層プリント配線基板50〜90が互いに離れた状態で配置される。この点が、上述した第1の実施形態に係る部品内蔵多層配線基板1では、第5層〜第9層プリント配線基板50〜90が互いに仮圧着された積層体200となった状態で電子部品内蔵モジュール基板100上に配置されるのとは相違している。
このように製造しても、実装部品105A及び実装部品105Bやダミー部品106を積層体200の封止用開口部110A、封止用開口部110B及び封止用開口部110C内でモールドの代わりに封止するができるので、第1の実施形態における作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
[第3の実施形態]
図10は、本発明の第3の実施形態に係る部品内蔵多層配線基板の構造を示す断面図である。なお、
図10において、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付しているので、以下では重複する説明は省略する。
【0087】
図10に示すように、第3の実施形態に係る部品内蔵多層配線基板1Cでは、実装部品105A及び実装部品105Bやダミー部品106が実装される多層配線基板が、内蔵部品210を備えない(内蔵しない)タイプの一般的な多層プリント配線基板100Aで構成されている。この点が、上述した第1の実施形態の電子部品内蔵多層配線基板1では、多層配線基板が内蔵部品210を内蔵する電子部品内蔵モジュール基板100で構成されているのとは相違している。
このような構成であっても、実装部品105A及び実装部品105Bやダミー部品106を積層体200の封止用開口部110A、封止用開口部110B及び封止用開口部110C内でモールドの代わりに封止することができるので、第1の実施形態における作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0088】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。