(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記強度が前記所定の強度以上である前記情報端末装置を複数検出した場合、最も強度が強い前記情報端末装置の前記識別情報に対応する前記設定モード情報に基づいた設定を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記強度が前記所定の強度未満であると判定した際、前記強度が前記所定の強度以上である強度の他の情報端末装置を前記通信部により検出した場合、該他の情報端末装置の前記設定モード情報に基づいた設定を行う
請求項8に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0013】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.MFP装置の構成]
図1に示すようにMFP(Multifunction Printer)装置1は、プリンタ、イメージスキャナ、ファクシミリ、コピー等の機能がまとめられた、いわゆる複合機であり、制御部10、記憶部12、操作表示部14、通信部16、画像読取部18、画像形成部20及び電力供給部22により構成されており、これらの各部がアドレス/データバス23により接続されている。
【0014】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)24及びプログラム用ROM(Read Only Memory)28により構成されている。CPU24は、プログラム用ROM28から所定のプログラムを読み出して実行することにより、MFP装置1全体のシステム制御や画像情報の流れの管理等を行い、MFP装置1を統轄制御する。またCPU24はタイマ26を内蔵しており、プログラム用ROM28内に格納された制御プログラムデータに基づき、所定時間の計測が可能となっている。
【0015】
記憶部12は、データ蓄積用メモリ30及び装置設定情報格納用メモリ32により構成されている。データ蓄積用メモリ30は、画像情報を格納するためのメモリである。装置設定情報格納用メモリ32は、MFP装置1の動作に関する情報を格納するためのメモリである。CPU24は、必要な情報をアドレス/データバス23を介して装置設定情報格納用メモリ32に対し読み出し及び格納をする。
【0016】
装置設定情報格納用メモリ32には、
図2に示すように装置設定情報IMSが格納されている。この装置設定情報IMSには、MFP装置1を使用するユーザ毎に固有の情報であるユーザ毎装置設定情報IUMSが、該ユーザの分だけ格納されている。ユーザ毎装置設定情報IUMSは、ユーザが携帯するホスト機器60毎に固有な識別情報であるユーザ識別情報IUIDと、該ユーザ識別情報IUIDに対応した装置設定モード情報ISMとを有している。ユーザ識別情報IUIDは、ユーザ番号IID、ホスト名IHT、IP(Internet Protocol)アドレスIIP及びMAC(Media Access Control)アドレスIMACにより構成されている。装置設定情報格納用メモリ32に格納されたユーザ識別情報IUIDが割り当てられたユーザが携帯するホスト機器60には、該ユーザ識別情報IUIDと同様の情報が登録されている。装置設定モード情報ISMは、コピー、スキャンやプリント等の動作モードと、各動作モードでの解像度、用紙設定や両面モード等に関する設定の情報である。装置設定情報IMSは、印刷を行う前に予め設定され、装置設定情報格納用メモリ32に格納される。
【0017】
操作部としての操作表示部14(
図1)は、操作パネル部36及び操作パネルインターフェース部34により構成されている。操作パネル部36は、LCD(Liquid Crystal Display)表示部38及び操作キー部40を有しており、MFP装置1とユーザとの間でマンマシンインターフェースの役割を行う。LCD表示部38は、ユーザが入力する情報やMFP装置1内部の制御状態等を表示するディスプレイである。操作キー部40は、ユーザが所望する制御内容等を入力するキーボードスイッチである。操作パネルインターフェース部34は、アドレス/データバス23と操作パネル部36との間に配置され、信号の送受信を行うインターフェース回路である。ユーザは、操作キー部40を操作することにより、該ユーザが携帯するホスト機器60を識別する固有の情報であるユーザ識別情報IUID(ユーザ番号IID、ホスト名IHT、IPアドレスIIP、MACアドレスIMAC等)と、該ユーザが印刷を行う際にMFP装置1において該ユーザが普段使用する機能及び設定を示す装置設定モード情報ISMとを設定可能となっている。CPU24は、ユーザからの設定情報を操作パネルインターフェース部34を介して認識し、その設定内容を装置設定情報IMSとして装置設定情報格納用メモリ32に格納する。
【0018】
通信部16は、ホストインターフェース部42により構成されている。CPU24は、ホストインターフェース部42を介し、ホストとなるホスト機器60との通信処理が可能となっている。このホストインターフェース部42は、無線LAN(Local Area Network)(IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g/n/ac)の規格のインターフェースであり、該規格に従い、ホスト機器60との間で画像情報や機器情報の送受信を行う。情報端末装置としてのホスト機器60は、MFP装置1と同様に無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n/ac)の規格のインターフェースを内蔵した、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレット等の可搬型のモバイル機器であり、ユーザにより携帯される。
【0019】
画像読取部18は、スキャナユニット50及びスキャナインターフェース部48により構成されている。スキャナユニット50は、原稿を読み取り画像情報に変換する。スキャナインターフェース部48は、CPU24の指示に従って、スキャナユニット50から画像情報を転送したり制御信号の送受信を行ったりするインターフェース回路である。
【0020】
画像形成部20は、プリンタエンジン54及びプリンタエンジンインターフェース部52により構成されている。プリンタエンジン54は、受信した画像情報に基づいて、印刷用の用紙に印刷を行う。プリンタエンジンインターフェース部52は、CPU24の指示に従って、画像情報をプリンタエンジン54に転送したり、制御信号の送受信を行ったりするインターフェース回路である。
【0021】
電力供給部22は、電源部58及び電源制御部56により構成されている。電源部58は、電源制御部56の制御に基づいて装置内の各部に電力を供給する。電源制御部56は、電源部58に対してMFP装置1内への電力供給オン/オフを制御するものであり、電力供給オン/オフ設定は操作パネル部36より設定可能である。
【0022】
[1−2.印刷設定処理手順]
次に、MFP装置1による印刷設定処理の具体的な処理手順について、
図3のフローチャートを用いて説明する。MFP装置1のユーザにより電源が投入されると、CPU24はプログラム用ROM28から印刷設定処理プログラムを読み出して実行することにより印刷設定処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
【0023】
ステップSP1においてCPU24は、電源制御部56を制御することにより、MFP装置1内の各部へ電源部58により電力を供給し、ステップSP2へ移る。ステップSP2においてCPU24は、各周辺LSI(Large Scale Integration)の初期設定や各メモリの初期化等の初期設定を行う。このときCPU24は、プリンタエンジンインターフェース部52を介してプリンタエンジン54の印刷準備制御を行い、スキャナインターフェース部48を介してスキャナユニット50の原稿読取準備制御を行い、ホストインターフェース部42に対してホスト機器60との通信を可能とする。
【0024】
初期設定を行うとCPU24はステップSP3へ移り、ホスト機器60が発生させた無線LANの電波の検出をホストインターフェース部42により定期的に行い、無線LANの電波を検出するまで待機し、無線LANの電波を検出したか否かを判定する。ステップSP3において肯定結果が得られると、このことは、これからMFP装置1を使用する可能性があるユーザがMFP装置1に近付いてきたことを表し、このときCPU24は、ステップSP4へ移る。
【0025】
ステップSP4においてCPU24は、検出した無線LANの電波からデータ(データパケット内のヘッダ及びデータ)を解析し、その中からユーザ識別情報IUID(ホスト名IHT、IPアドレスIIP、MACアドレスIMAC等)をホストインターフェース部42を介して取得する。続いてCPU24は、ホスト機器60から取得したユーザ識別情報である取得ユーザ識別情報と、装置設定情報格納用メモリ32内に予め格納されているユーザ識別情報である登録ユーザ識別情報とを照合し、取得ユーザ識別情報と登録ユーザ識別情報とが一致するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、予め装置設定情報格納用メモリ32に登録されているホスト機器60を携帯するユーザが、MFP装置1が無線LANの電波を検出可能な程度の距離である電波検出可能範囲内に存在することを表し、このときCPU24はステップSP5へ移る。一方ステップSP4において否定結果が得られると、無線LANの電波は検出したものの、該電波を発生している機器は、予め装置設定情報格納用メモリ32に登録されたものではないことを表し、このときCPU24はステップSP3へ戻り、無線LANの検出を待ち受ける。
【0026】
ステップSP5においてCPU24は、ホスト機器60からの電波強度をホストインターフェース部42を介して取得し、ステップSP6へ移る。ステップSP6においてCPU24は、取得した電波強度が、近傍閾値以上か否かを判定する。この近傍閾値は、ユーザがこれからMFP装置1を使用する可能性が高いと考えられる程に該ユーザがMFP装置1に近付いた場合、すなわちユーザがプリンタ近傍範囲内に存在する場合に、該ユーザが携帯するホスト機器60が発する無線LANの電波強度が該近傍閾値以上となるように設定されている。ここで肯定結果が得られると、このことは、予め装置設定情報格納用メモリ32に登録されたホスト機器60を携帯するユーザがMFP装置1の近傍に存在していることを表し、このときCPU24はステップSP7へ移る。一方ステップSP6において否定結果が得られると、このことは、予め装置設定情報格納用メモリ32に登録されたホスト機器60が発する無線LANの電波を検出はしたものの、該ホスト機器60を携帯するユーザはMFP装置1の近傍には存在していないことを表し、このときCPU24はステップSP3へ戻り、無線LANの検出を待ち受ける。以下では、予め装置設定情報格納用メモリ32に登録されており、且つ近傍閾値以上の電波強度が検出されたホスト機器60を、登録済近傍検出機器とも呼ぶ。
【0027】
ステップSP7においてCPU24は、複数の登録済近傍検出機器を検出したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、複数の登録済近傍検出機器を検出したため、該複数の登録済近傍検出機器のうちから選択登録済近傍検出機器として1台を選択する必要があることを表し、このときCPU24はステップSP8へ移り、検出した複数の登録済近傍検出機器から、電波強度が最も強い登録済近傍検出機器を選択登録済近傍検出機器として選択し、ステップSP9へ移る。一方ステップSP7において否定結果が得られると、このことは、検出した登録済近傍検出機器は1台のみであることを表し、このときCPU24は、検出した登録済近傍検出機器を選択登録済近傍検出機器として選択し、ステップSP8をパスしてステップSP9へ移る。
【0028】
ステップSP9においてCPU24は、タイマ26により時間を計測し、選択登録済近傍検出機器から取得した電波強度が、一定時間(例えば数秒間)以上近傍閾値以上を保つか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、選択登録済近傍検出機器を携帯するユーザがこれからMFP装置1を使用する可能性が極めて高いことを表し、このときCPU24は選択登録済近傍検出機器を確定登録済近傍検出機器として確定し、ステップSP9へ移る。一方ステップSP10において否定結果が得られると、このことは、選択登録済近傍検出機器を選択したものの、該選択登録済近傍検出機器を携帯するユーザがMFP装置1の近傍から離れたことを表し、このときCPU24はステップSP3へ戻り、無線LANの検出を待ち受ける。
【0029】
ステップSP10においてCPU24は、装置設定情報格納用メモリ32内に格納されている登録ユーザ識別情報のうち、確定登録済近傍検出機器に対応した登録ユーザ識別情報が付されたユーザ識別情報IUIDの装置設定モード情報ISMを読み出して該装置設定モード情報ISMに対応した装置設定モードに設定し、ステップSP11へ移り印刷設定処理手順RT1を終了する。
【0030】
[1−3.動作及び効果]
以上の構成においてMFP装置1は、該MFP装置1に予め登録されたホスト機器60の電波強度を検出し、該電波強度が一定時間以上近傍閾値以上であった場合、該ホスト機器60を携帯するユーザが該MFP装置1を使用するために該MFP装置1に近付いてきたと判断し、該ホスト機器60に応じた装置設定モードにMFP装置1を設定するようにした。これによりMFP装置1は、これから該MFP装置1を使用しようとしているユーザが普段使用する機能及び設定に自動的に切り替わるため、ユーザの手間を省くことができ、利便性を向上させることができる。
【0031】
また従来のMFP装置においては、ユーザに非接触ICカードを該MFP装置のカードリーダに近接させることにより、該ユーザを特定するものがあった。しかしながらそのようなMFP装置では、カードリーダを設ける必要があるため構成が複雑化してしまっていた。またそのようなMFP装置では、ユーザが該MFP装置近傍まで近付きカードリーダに非接触ICカードを直接近接させなければ該ユーザを特定することができないためユーザに煩雑な動作を強いることとなっていたと共に、ユーザが非接触ICカードを携帯する必要があった。
【0032】
これに対し本実施の形態によるMFP装置1は、ユーザが普段から携帯しているホスト機器60が発する電波を受信し、ユーザがMFP装置1に近付いて来る際に該ユーザを特定し、該ユーザが該MFP装置1を操作可能な位置まで近付いて来た際には、既に該ユーザに対応する装置設定モードに設定されているようにした。これによりMFP装置1は、ユーザに対し何ら操作を強いることがないと共に、非接触ICカードを携帯させる必要がないため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0033】
またMFP装置1は、ホスト機器60と通信を行うために従来からMFP装置1に備わっているホストインターフェース部42を用いてホスト機器60の無線LANの電波強度を検出するようにした。これによりMFP装置1は、従来のMFP装置1に対し特別に設備や部品を用意する必要がないため、構成を変化させることがなく、コストアップを防ぐことができる。
【0034】
またMFP装置に、例えば赤外線式の人感センサを設けることにより、ユーザが該MFP装置に近付いて来ていることを検出することも考えられる。しかしながら人感センサの場合、人間がMFP装置に近付いて来ていることは検出できるものの該人間がどのユーザであるかを特定することができないためユーザ毎に固有の装置設定モードに設定することはできないと共に、複数人のユーザがMFP装置を操作可能な範囲に存在した場合、どちらのユーザに応じた装置設定モードに設定すれば良いか判断できない。
【0035】
これに対しMFP装置1は、ホスト機器60から、該ホスト機器60に固有のユーザ識別情報IUIDを無線通信で取得するようにした。これによりMFP装置1は、該MFP装置1を使用しようとしているユーザを特定することができる。またMFP装置1は、人感センサを別途設ける必要がないため、構成が複雑化してしまうことを防止できる。
【0036】
またMFP装置1は、複数の登録済近傍検出機器を検出した場合、電波強度が最も強い登録済近傍検出機器を選択登録済近傍検出機器として選択するようにした。このためMFP装置1は、該MFP装置1の最も近傍に位置するユーザに対応した装置設定モードを設定することができる。これによりMFP装置1は、MFP装置1の近傍にそれぞれ登録済近傍検出機器を携帯する複数人のユーザが存在した場合であっても、該MFP装置1をこれから使用する可能性が最も高いユーザを優先して、該ユーザに対応した装置設定モードを設定することができる。
【0037】
さらにMFP装置1は、選択登録済近傍検出機器から取得した電波強度が、一定時間以上近傍閾値以上を保った場合、該選択登録済近傍検出機器を確定登録済近傍検出機器として確定するようにした。このためMFP装置1は、選択登録済近傍検出機器を携帯するユーザがMFP装置1の近傍から離れた際には該ユーザは該MFP装置1をこれから使用する可能性は低いため、該ユーザに対応した装置設定モードを設定しないようにでき、不適切な装置設定モードを設定しないようにできる。
【0038】
以上の構成によればMFP装置1は、ホスト機器60を識別する識別情報としてのユーザ識別情報IUIDと、該ホスト機器60に応じた設定モードを示す設定モード情報としての装置設定モード情報ISMとを対応付けて記憶する記憶部12と、ホスト機器60に記憶され該ホスト機器60を識別するユーザ識別情報IUIDを該ホスト機器60から無線信号で受信すると共に、該無線信号の強度を認識する通信部16と、受信した無線信号の強度が、所定の強度以上、すなわちホスト機器60がMFP装置1の近傍に位置すると判定される強度である近傍強度としての近傍閾値以上であると判定した場合、該無線信号を発するホスト機器60から受信したユーザ識別情報IUIDに対応する装置設定モード情報ISMを記憶部12から読み出し、該装置設定モード情報ISMに基づいた設定を行う制御部10とを設けるようにした。これによりMFP装置1は、ユーザに対し操作を行わせることなく、該ユーザが該MFP装置1を操作可能な範囲まで近付く前に、該MFP装置1を該ユーザに応じた装置設定モードに設定することができる。
【0039】
[2.第2の実施の形態]
[2−1.MFP装置の構成]
図1と対応する構成を同一符号で示す
図4に示すように、第2の実施の形態によるMFP装置101は、第1の実施の形態によるMFP装置1と比べて、電力供給部122が電力供給部22と、通信部116が通信部16と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0040】
電力供給部122は電力供給部22と比べて、それぞれ電源制御部56に替えて電源制御部156が、電源部58に替えて電源部158が設けられている。電源部158は、電源制御部156の制御に基づき、所定の電力を制御部10、記憶部12、操作表示部14、通信部116、画像読取部18及び画像形成部20へ供給する通常電力モードと、操作表示部14及び通信部116のみに電力を供給し制御部10、記憶部12、画像読取部18及び画像形成部20への電力の供給を遮断する省電力モードとの何れかの電力モードに切り替わる。このためMFP装置101は、省電力モードに設定されている場合、操作表示部14及び通信部116のみが動作するためユーザの操作受付及び無線LANの電波の受信のみに機能が制限されるものの、通常電力モードよりもMFP装置101全体の消費電力を抑え、省電力化することができる。
【0041】
通信部116は、通信部16と比べて、サブCPU44及びサブプログラム用ROM46が追加されているものの、それ以外は同様に構成されている。サブCPU44は、通常電力モードの場合、プログラム用ROM28から所定のプログラムを読み出して実行することにより、プリンタエンジンインターフェース部52を介して、モータ、各種センサ等、プリンタエンジン54の機構制御を行う。一方サブCPU44は、省電力モードの場合、サブプログラム用ROM46から所定のプログラムを読み出して実行することにより、ホストインターフェース部42を制御し、該ホストインターフェース部42を介してホスト機器60との通信処理を行う。このようにサブCPU44は、通常電力モードの場合はプリンタエンジン54の制御を行い、省電力モードの場合はホストインターフェース部42を制御する。このサブCPU44は、CPU24よりも低消費電力であり、省電力モードはMFP装置101における最少の消費電力を実現可能となっている。CPU24又はサブCPU44は、電源制御部56へ指示を行い、電源制御部56が電源部58を制御して各電力供給モードの切り替えを行う。
【0042】
操作表示部14内の操作キー部40には、省電力キースイッチ(図示せず)が設けられている。この省電力キースイッチは、省電力モードから通常電力モードへの復帰を指示するものであり、ユーザが操作可能となっている。CPU24及びサブCPU44は、操作パネルインターフェース部34を介して操作キー部40から操作指示を取得することにより、省電力キースイッチが操作されたことを認識する。
【0043】
[2−2.印刷処理手順]
次に、MFP装置101による印刷処理の具体的な処理手順について、
図5及び
図6のフローチャートを用いて説明する。以下では、印刷処理手順RT2において印刷設定処理手順RT1(
図3)と異なる処理を主に説明する。MFP装置101のユーザにより電源が投入されると、CPU24はプログラム用ROM28から印刷処理プログラムを読み出して実行することにより印刷処理手順RT2を開始し、ステップSP21へ移る。
【0044】
ステップSP21及びステップSP22においてCPU24は、ステップSP1及びステップSP2(
図3)と同様に、MFP装置101内の各部へ電源部158により電力を供給し、各周辺LSIの初期設定や各メモリの初期化等の初期設定を行う。このときサブCPU44は、プリンタエンジンインターフェース部52を介して印刷準備制御を行い、その後CPU24は、ホストインターフェース部42を介してホストとの通信を可能とし、MFP装置101は待機状態となる。この状態が通常電力モードである。
【0045】
初期設定を行うとCPU24はステップSP23へ移り、タイマ26に省電力モード移行時間計測タイマをリセットし起動させ、ステップSP24へ移る。この省電力モード移行時間計測タイマは、通常電力モードにおいて無線LANの電波を検出しない場合に省電力モードへ移行する時間である省電力モード移行時間を計測するものである。この省電力モード移行時間計測タイマの時間は、例えば1分から2時間程度に設定される。
【0046】
ステップSP24においてCPU24は、操作キー部40をユーザが操作したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、CPU24はステップSP25へ移り、操作指示に従い処理(例えばコピーやスキャン等)を行い、ステップSP23へ戻り、タイマ26に省電力モード移行時間計測タイマをリセットし起動させる。一方ステップSP24において否定結果が得られると、CPU24はステップSP26へ移る。
【0047】
ステップSP26においてCPU24は、ホストインターフェース部42を介して画像情報、すなわち印刷ジョブの受信を待ち受け、印刷すべき画像情報を受信したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、CPU24はステップSP27へ移る。ステップSP27においてCPU24は、受信した画像情報をプリンタエンジンインターフェース部52を介してプリンタエンジン54に転送し、該画像情報の印刷制御を行い、ステップSP23へ戻り、タイマ26に省電力モード移行時間計測タイマをリセットし起動させる。一方ステップSP26において否定結果が得られると、CPU24はステップSP28へ移る。
【0048】
ステップSP28においてCPU24は、ステップSP3(
図3)と同様に、無線LANの電波の検出をホストインターフェース部42により行い、無線LANの電波を検出したか否かを判定する。ステップSP28において肯定結果が得られると、このことは、これからMFP装置101を使用する可能性があるユーザがMFP装置101に近付いてきたことを表し、このときCPU24は、ステップSP30へ移る。一方ステップSP28において否定結果が得られると、CPU24は、ステップSP29へ移る。
【0049】
ステップSP29においてCPU24は、省電力モード移行時間計測タイマを監視し、該省電力モード移行時間計測タイマがタイムアウトしたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、省電力モード移行時間計測タイマがタイムアウトしたため省電力モードに移行することを表し、このときCPU24はステップSP39へ移る。一方ステップSP29において否定結果が得られると、このことは、省電力モード移行時間計測タイマがタイムアウトしていないため省電力モードに移行せず通常電力モードを維持することを表し、このときCPU24はステップSP24へ戻り、ユーザからの操作指示を待ち受ける。
【0050】
ステップSP30乃至ステップSP36においてCPU24は、ステップSP4乃至ステップSP10(
図3)と同様の処理を行い、ステップSP37へ移る。
【0051】
ステップSP37においてCPU24は、タイマ26により時間を計測し、確定登録済近傍検出機器から取得した電波強度が、一定時間以上近傍閾値未満を保つか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、確定登録済近傍検出機器を携帯するユーザがMFP装置101の近傍から離れたことを表し、このときCPU24はステップSP38へ移る。一方ステップSP37において否定結果が得られると、このことは、確定登録済近傍検出機器を携帯するユーザがMFP装置101の近傍から未だ離れていないことを表し、このときCPU24はステップSP28へ戻り、無線LANの検出を待ち受ける。
【0052】
ステップSP38においてCPU24は、現在MFP装置101の近傍から離れた確定登録済近傍検出機器以外に、他の登録済近傍検出機器が存在するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、確定登録済近傍検出機器を携帯するユーザがMFP装置101の近傍から離れたものの、他の登録済近傍検出機器は存在するため、省電力化モードに移行する必要はないことを表し、このときCPU24はステップSP31へ戻る。一方ステップSP38において否定結果が得られると、このことは、確定登録済近傍検出機器を携帯するユーザがMFP装置101の近傍から離れ、且つ他の登録済近傍検出機器も存在しないため、省電力化モードに移行する必要があることを表し、このときCPU24はステップSP39へ移る。
【0053】
ステップSP39においてCPU24は、MFP装置101を省電力モードへ移行させ、ステップSP40へ移る。すなわちCPU24は、サブCPU44に対し、サブプログラム用ROM46に格納されたプログラムに基づき初期化するよう設定し、ホストインターフェース部42の制御を中止して、サブCPU44をリセットする。その後、サブCPU44はサブプログラム用ROM46内のプログラムに格納されたプログラムに基づき立ち上がり、ホストインターフェース部42の制御を始める。その後サブCPU44は、電源制御部156を制御することにより、通信部116及び操作表示部14のみへ電力供給を行う一方、該通信部116及び操作表示部14以外の、制御部10、記憶部12、画像読取部18及び画像形成部20への電力供給を遮断する。
【0054】
ステップSP40においてサブCPU44は、操作キー部40を操作されるか、無線LANの電波を検出するか、又は画像情報を受信するまで待機する。このようにMFP装置101は、通常電力モードから省電力モードに一旦移行すると、無線LANの電波を検出するか、画像情報を受信するか、又は操作キー部40を操作されるまで省電力モードを維持することにより、機能は制限されるものの、通常電力モードよりもMFP装置101全体の消費電力を抑え、省電力化することができる。一方ステップSP40において、操作キー部40を操作されるか、無線LANの電波を検出するか、又は画像情報を受信すると、サブCPU44はステップSP41へ移る。
【0055】
ステップSP41においてサブCPU44は、MFP装置101を通常電力モードへ移行させ、ステップSP42へ移る。すなわちサブCPU44は、電源制御部156を制御することによりMFP装置101内の各部へ電力を供給する。これによりMFP装置101は、省電力モードよりも消費電力が増加する。その後、CPU24が起動して制御部10を初期化し処理可能な状態となると、該CPU24はサブCPU44と通信を行い、ホストインターフェース部42のデータ処理を引き継ぐ。CPU24は、サブCPU44から処理を引き継ぐと、該サブCPU44に対しプログラム用ROM28に格納されたプログラムに基づき初期化するよう設定し、該サブCPU44をリセットする。その後サブCPU44は、プログラム用ROM28内のプログラムに格納されたプログラムに基づき立ち上がり、プリンタエンジンインターフェース部52を介してプリンタエンジン54の印刷準備制御を始める。
【0056】
ステップSP42においてCPU24は、操作キー部40をユーザが操作したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、CPU24はステップSP25へ移り、操作指示に従い処理を行い、ステップSP23へ戻り、タイマ26に省電力モード移行時間計測タイマをリセットし起動させる。一方ステップSP42において否定結果が得られると、CPU24はステップSP43へ移る。
【0057】
ステップSP43においてCPU24は、ホストインターフェース部42を介して画像情報の受信を待ち受け、印刷すべき画像情報を受信したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、CPU24はステップSP27へ移る。ステップSP27においてCPU24は、受信した画像情報をプリンタエンジンインターフェース部52を介してプリンタエンジン54に転送し、該画像情報の印刷制御を行い、ステップSP23へ戻り、タイマ26に省電力モード移行時間計測タイマをリセットし起動させる。一方ステップSP43において否定結果が得られると、CPU24はステップSP28へ戻り、無線LANの検出を待ち受ける。
【0058】
[2−3.動作及び効果]
以上の構成においてMFP装置101は、該MFP装置101に予め登録されたホスト機器60の電波強度を検出し、該電波強度が一定時間以上近傍閾値未満であった場合、該ホスト機器60を携帯するユーザが該MFP装置101を使用し終わったために該MFP装置101から遠ざかったと判断し、通常電力モードから省電力モードに移行するようにした。これによりMFP装置101は、該MFP装置101が直ちには使用されない状態になった場合に、自動的に省電力モードに移行することにより、通常電力モードのまま待機する場合よりも消費電力を抑えることができる。
【0059】
またMFP装置101は、省電力モードにおいても通信部116及び操作表示部14のみは機能させておくことにより、ユーザの操作、無線LANの電波の検出、又は画像情報の受信を可能とし、該ユーザの操作、無線LANの電波の検出、又は画像情報の受信に応じて、省電力モードから通常電力モードへ速やかに復帰できる。
【0060】
またMFP装置に、例えば赤外線式の人感センサを設けることにより、ユーザが該MFP装置から遠ざかったことを検出することも考えられる。しかしながら人感センサの場合、ユーザがMFP装置から遠ざかったことは検出できるものの、複数人のユーザの内の1人だけがMFP装置から遠ざかった場合、どのユーザが遠ざかったかを特定するはできない。
【0061】
これに対しMFP装置101は、ホスト機器60から、該ホスト機器60毎に固有のユーザ識別情報IUIDを無線通信で取得するようにした。これによりMFP装置101は、複数人のユーザの内の1人だけがMFP装置101から遠ざかった場合、他の登録済近傍検出機器を携帯する他のユーザが該MFP装置101の近傍に存在するか否かを確認し、該他のユーザが存在すると判定した場合、速やかに該他のユーザに応じた装置設定モードを設定することができ、利便性を向上させることができる。このようにMFP装置101は、それぞれ固有のユーザ識別情報IUIDを有するホスト機器60を、ホスト機器60毎に個別に検出するため、複数人のユーザが該MFP装置101に近付いてきたり遠ざかったりしても、それらのユーザを個別に検出し、該ユーザに応じた装置設定モードに設定することができる。またMFP装置101は、人感センサを別途設ける必要がないため、構成が複雑化してしまうことを防止できる。
【0062】
以上の構成によればMFP装置101は、MFP装置101内の各部に電力を供給する通常電力モードと、MFP装置101内の一部に電力を供給する省電力モードとに切り替わる電力供給部122と、電波強度が近傍閾値未満であると判定した場合、電力供給部122を通常電力モードから省電力モードへ切り替える電力モード切替部としてのCPU24及びサブCPU44とを設けるようにした。これによりMFP装置101は、該MFP装置101が直ちには使用されない状態になった場合に、ユーザに対し操作を行わせることなく自動的に省電力モードに移行することにより、消費電力を抑えることができる。
【0063】
その他第2の実施の形態によるMFP装置101は、第1の実施の形態によるMFP装置1とほぼ同様の作用効果を奏する。
【0064】
[3.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、選択登録済近傍検出機器から取得した電波強度が一定時間以上近傍閾値以上を保った場合、該選択登録済近傍検出機器を確定登録済近傍検出機器として確定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、電波強度が一定時間以上近傍閾値以上を保つか否かを判定せずに、選択登録済近傍検出機器を確定登録済近傍検出機器として確定しても良い。又は、検出し始めてからの電波強度の積算値が最も大きいホスト機器や、電波強度の変化量が最も大きいホスト機器を、確定登録済近傍検出機器として確定しても良い。その場合、電波強度が近傍閾値以上であるか否かを判定しなくても良い。
【0065】
さらに、電波強度が同一であり一定時間以上近傍閾値以上の複数の登録済近傍検出機器を検出した場合は、早い時点で電波強度が近傍閾値以上になったホスト機器を選択登録済近傍検出機器として選択しても良く、又は前回以前の最も近い時点でMFP装置1を使用したユーザが携帯するホスト機器60を優先的に確定登録済近傍検出機器として確定しても良い。このようにMFP装置1は、現在の電波強度に加え、過去の電波強度も考慮して確定登録済近傍検出機器を確定しても良い。さらに、電波強度が同一であり一定時間以上近傍閾値以上の複数の登録済近傍検出機器を検出した場合、ユーザに操作表示部14を操作させることにより、これからMFP装置1を使用するユーザを選択させても良い。
【0066】
また複数人のユーザがMFP装置1の近傍に存在し、例えば一方のユーザはモノクロ印刷を行う予定であり、他方のユーザはカラー印刷を行う予定である場合、モノクロ印刷とカラー印刷とで共通する機能までは確定登録済近傍検出機器が確定する前に設定しておき、モノクロ印刷とカラー印刷とで異なる機能についてのみ、確定登録済近傍検出機器が確定した後に設定するようにしても良い。
【0067】
さらに上述した実施の形態においては、ホスト機器60から取得したユーザ識別情報と、予め装置設定情報格納用メモリ32内に記憶しているユーザ識別情報とを照合し、一致した場合、ユーザ識別情報のうち、確定登録済近傍検出機器に対応した登録ユーザ識別情報が付されたユーザ識別情報IUIDの装置設定モード情報ISMを読み出して該装置設定モード情報ISMに対応した装置設定モードに設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、予めユーザ識別情報IUID及び装置設定モード情報ISMを装置設定情報格納用メモリ32に記憶せず、MFP装置を使用したユーザが有しているホスト機器から受信した無線LANに基づき、ユーザ毎に利用する頻度が高い装置設定を学習するようにしても良い。
【0068】
さらに上述した第2の実施の形態においては、現在MFP装置101の近傍から離れた確定登録済近傍検出機器以外に、他の登録済近傍検出機器が存在する場合、通常電力モードを維持する場合について述べた。本発明はこれに限らず、他の登録済近傍検出機器でなくとも、無線LANの電波を検出可能なホスト機器60を検出した場合、通常電力モードを維持するようにしても良い。
【0069】
さらに上述した第2の実施の形態においては、確定登録済近傍検出機器から取得した電波強度が一定時間以上近傍閾値未満を保った場合、省電力モードに移行する場合について述べた。本発明はこれに限らず、電波強度が一定時間以上近傍閾値未満を保つか否かを判定せずに、電波強度が近傍閾値未満となった場合に省電力モードに移行しても良い。
【0070】
さらに上述した実施の形態においては、ホスト機器60から無線LANの電波を受信することにより該ホスト機器60を検出する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば赤外線通信等の種々の通信方法でも良く、要はホスト機器から、該ホスト機器を識別可能な無線信号を発する通信方法であれば良い。
【0071】
さらに上述した第2の実施の形態の印刷処理手順RT2(
図6)におけるステップSP40において、無線LANの電波を検出したと判定する閾値を、ステップSP28と異なるようにしても良い。
【0072】
さらに上述した第2の実施の形態においては、省電力モードの際に操作表示部14及び通信部116を機能させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、省電力モードの際に操作表示部14には電力を供給しなくても良い。この場合であっても、省電力モードの際に無線LANの電波を通信部116により受信すれば、通常電力モードへ移行することができる。
【0073】
さらに上述した実施の形態においては、操作表示部14に対するユーザの操作により設定された装置設定情報IMSを装置設定情報格納用メモリ32に記憶する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば通信部16を介し外部から設定された装置設定情報IMSを装置設定情報格納用メモリ32に記憶しても良い。
【0074】
さらに上述した第2の実施の形態においては、ホスト機器60から受信した無線LANの電波強度に応じて、通常電力モードと省電力モードとを切り替える場合について述べた。本発明はこれに限らず、要は2つ以上の任意のモードを有し、電波強度に応じてこれらのモードを切り替えれば良い。
【0075】
さらに上述した実施の形態においては、ユーザ識別情報IUIDをユーザ番号IID、ホスト名IHT、IPアドレスIIP及びMACアドレスIMACで構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、要は、ユーザが携帯するホスト機器60を個別に識別可能な、該ホスト機器60毎に固有の情報であれば良い。
【0076】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0077】
さらに上述した実施の形態においては、電子写真方式のMFP装置1及び101に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばコピー機、FAX機等、外部から印刷データやスキャン画像データ等を入力して画像を形成する種々の装置に本発明を適用しても良い。
【0078】
さらに上述した実施の形態においては、記憶部としての記憶部12と、通信部としての通信部16又は116と、制御部としての制御部10とによって、画像形成装置としてのMFP装置1又は101を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる記憶部と、通信部と、制御部とによって、画像形成装置を構成しても良い。