【実施例】
【0017】
図1は実施例の延反システム2を示し、4は延反機で、原反ロール8からのシート材9を、延反手段6により延反する。延反手段6は、シート材9を延反機4の延反テーブル17上に繰り出し、所定の長さで切断して積層する。延反手段6は、ラインセンサ等の認識手段10により、シート材9の欠点を認識する。延反手段6はさらに、原点マーク付与手段12とカッター14とを備え、原点マーク付与手段12は、所定の位置に原点ラベルを貼り付ける。なお原点マークは手動で延反した積層体上に作業者が貼り付けても良い。あるいはまた原点マークを用いなくても良い。
【0018】
カッター14は、延反機4の幅方向(y方向)に往復移動して、所定の位置でシート材9を切断する。ラベラー16は、延反手段6内をy方向に往復移動して、不足パーツを補うため追加して延反したシート材上に、パーツのIDなどのラベルを貼り付ける。ラベラー16は延反手段と別体でも良く、またxyの双方向に移動可能にしても良い。なお、ラベラー16を用いず、後述の裁断機20上で、追加裁断されたシート材に対し、不足パーツのIDなどをプロジェクターで投射して作業者に示すようにしても良い。さらにはラベラー16あるいはプロジェクターなどを設けず、追加マーキングデータに不足パーツのIDなどを追加したものを、プリンタから出力するようにしても良い。
【0019】
延反機4では、原反ロール8からのシート材9が延反手段6により繰り出され、延反手段6は延反機4の搬送方向(図のx方向)に往復動して、所定の長さだけシート材9を繰り出して、カッター14により切断し、シート材9を積み重ねた積層体18とする。積層体18の厚さは例えば最大で100mm程度である。x方向がシート材の長さ方向、y方向がシート材の幅方向である。
【0020】
延反機4には、好ましくは裁断機20が接続され、延反テーブル17のコンベヤと裁断テーブル21のコンベヤとにより、積層体18が延反機4から裁断機20へ搬送される。なお裁断機20は、延反システム2の一部でも一部でなくても良い。
【0021】
裁断ヘッド22は、裁断テーブル21上を図のy方向とx方向とに沿って移動し、刃物24と、原点マークを認識するためのカメラ26とを備えている。そしてカメラ26により原点マークを認識することにより、積層体18及び追加して延長したシート材の裁断機20に対する原点位置を認識する。原点マークが無い場合、カメラ26等により積層体18の先端位置を求めれば良い。裁断機20には積層体18を裁断するためのマーキングデータが供給され、刃物24により積層体18をマーキングデータ及び追加マーキングデータに従って裁断することにより、パーツを裁断する。
【0022】
図2に、延反システム2の制御系を示す。マーキングデータ生成手段40は積層体18に対するマーキングデータを生成し、マーキングデータはパーツの内側にパーツの縫い代を含んでいるが、縫い代が無いこともある。またマーキングデータ生成手段40は、延反システム2に設けても、あるいは裁断機20に設けても、さらにはこれら以外のコンピュータに設けても良い。
【0023】
認識手段10は、例えばラインセンサから成り、シート材9に貼られた傷テープを検出して、欠点の位置とその範囲を認識する。シート材9の欠点の認識は、ラインセンサによる傷テープの検出に限らず、例えば画像認識などにより欠点を直接認識しても良い。
【0024】
認識手段10が認識した欠点の位置と範囲は判別手段42に入力され、マーキングデータと比較される。そしてパーツの縫い代よりも内側に欠点が及ぶ場合、即ちマーキングデータの輪郭から縫い代分以上の距離まで内側に欠点が及ぶ場合、不足パーツとして判別する。マーキングデータでのパーツの内部に縫い代が含まれていない場合、欠点がマーキングデータでのパーツの内部に及ぶと不足パートして判別する。
【0025】
判別手段42は、不足パーツのIDと積層体18での何層目のシート材に不足パーツがあるのかのデータを、記憶手段44に出力する。パーツのIDは、例えばパーツの番号などである。そして記憶手段44は、不足パーツのIDと何層目のシート材での不足であるのかのデータをリストして記憶する。ただし、何層目のシート材での不足であるのかは記憶しなくても良い。
【0026】
積層体18毎に、あるいは不足パーツが所定の条件を満たすまで蓄積される毎に、追加マーキングデータ生成手段46により、追加マーキングデータを生成する。追加マーキングデータ生成手段46は、マーキングデータ生成手段40と同じものでも良い。追加マーキングデータに伴う延反でも、認識手段10は欠点を認識し、判別手段42は追加マーキングデータと欠点の位置及び範囲とを比較し、補充する不足パーツの内側に欠点が及ぶ場合、その旨を追加マーキングデータ生成手段46へ出力する。これに応じて追加マーキングデータ生成手段46は追加マーキングデータを生成する。なお欠点の位置情報を先に得てから追加マーキングデータを生成すると、追加マーキングデータの変更が不要になる。
【0027】
コントローラ48は、追加マーキングデータに従って延反手段6を制御し、シート材9を追加延反する。追加延反でも、認識手段10により欠点を監視し、欠点がパーツの縫い代よりも内側に及ぶと、追加マーキングデータを修正する。そしてラベラー16により、追加マーキングデータでのパーツに対しラベルを貼付し、原点マーク付与手段12により原点マークを貼付する。不足パーツに基づいて最初に追加マーキングデータを生成し、追加マーキングデータ分のシート材を延反しカットすると、延反時に欠点を検出してマーキングデータを再生成する場合に、カット済みのシート材では長さが不足することがある。そこで好ましくは、シート材を延反しながら追加マーキングデータを生成し、パーツがシート材に収まることが確定してからシート材をカットする。
【0028】
図3に、マーキングデータ60及び追加マーキングデータ62と、積層体18及び追加シート63とを模式的に示す。64は原点マーク、66はラベルで、これらの位置に原点マークやラベル66が付与されることを示し、マーク64,ラベル66は、追加マーキングデータの一部ではない。ラベル66は、追加シート63のパーツの外側に貼付しても、パーツの内部に貼付しても良い。追加シート63は、追加マーキングデータ62に対応して延反する、少なくとも1枚のシートである。
【0029】
マーキングデータ60内に多数のパーツが配置され、原点位置が原点マーク64で指定される。原点マーク64により、シート材上の位置とマーキングデータ上の位置とが対応し、シート材の欠点がパーツと重なるか、さらに、重なる場合にどのパーツが不足パーツとなるかを判別できる。また原点マーク64を貼り付ける代わりに、シート材の頂点位置をラインセンサあるいは画像認識等により検出し、頂点位置から所定の向きへ所定の距離だけシート材の内側へシフトした位置を原点としても良い。
【0030】
1個の積層体18には多数層のシート材9が積層され、シート材の欠点により生じる不足パーツを集めてマーキングしたものが、追加マーキングデータ62である。追加マーキングデータ62は、積層体18毎に生成しても、あるいは複数の積層体18での欠点が所定の条件を充たす毎に生成しても良い。
図3では5個の不足パーツを補充するように追加マーキングデータ62が配置されている。
【0031】
図4に、1回分の積層アルゴリズムと、追加延反のアルゴリズムとを示す。1回分の積層アルゴリズムは積層体18を形成するアルゴリズムで、コントローラにより延反機を駆動し、所定の長さずつシート材を繰り出し切断し、複数層のシート材を積層する(ステップS1)。認識手段によりシート材の欠点の位置と範囲とを認識し(ステップS2)、判別手段に入力する。判別手段ではマーキングデータと、欠点の位置及び範囲を比較し、欠点がパーツの縫い代より内側に現れるか否かを判別する(ステップS3)。そしてパーツの縫い代より内側に欠点が現れるものが不足のパーツとなる。不足パーツを補充するため、不足パーツのIDと積層体での層番号とを記憶手段に順次記憶し、記憶を不足パーツ毎に蓄積していく(ステップS4)。ただし傷テープが貼られている場合は不足パーツであることを認識できるので、不足パーツの層番号を記憶しなくても良く、また不足パーツのID等をラベルで貼り付けなくても良い。
【0032】
追加延反のアルゴリズムは、積層体毎に追加シートを延反するか、所定の条件を満たすまで不足パーツが蓄積されるのを待つかにより異なる。
図4ではこの処理をステップS5として示すが、積層体毎に追加延反するか否かは、延反システム毎に固定のものとして、ステップS5を省略しても良い。追加延反条件としては、例えば不足パーツの個数、不足パーツが生じた積層体の数、不足パーツの合計面積などがある。そしてステップS6で、追加延反の条件を満たすか否かを判別し、満たす場合にはステップS7へ移行する。なお積層体毎に追加延反する場合、積層体に不足パーツが生じれば、ステップS7へ移行する。ステップS6で追加延反の条件を満たさない場合、結合子Aから1回分の積層へ戻る。
【0033】
ステップS7で追加延反の対象となる不足パーツに対する、追加マーキングデータを生成する。追加マーキングデータは、シート材の方向性、柄合わせなども考慮しながら、最短のシート材に不足パーツを配置できるように生成する。そして追加延反に対してもステップS1及びステップS2を実行し、ステップS3では通常のマーキングデータに代えて追加マーキングデータと比較し、不足パーツが生じるか否かを判別する。ステップS8では、不足パーツが生じる場合の処理を行い、この場合追加マーキングデータを変更して、欠点がマーキングデータの内側に現れないようにする。なお追加延反しながら追加マーキングデータを生成するようにステップ7〜8を変更しても良い。ステップS9では、原点マークとラベルとを貼付し、必要長だけシート材を延反し追加シートとする。追加シートの搬送方向に沿った長さは、積層体の長さよりも短く、追加マーキングデータを配置できる最小限の長さである。
【0034】
実施例には以下の特徴がある。
(1) 複数の追加パーツを一括して追加延反することにより、シート材のロスを最小にできる。
(2) 欠点が縫い代より内側に及ぶ場合にのみ不足パーツとするので、パーツ表面に現れない欠点の影響を受けない。
(3) 追加シートにも原点マークを付与するので、欠点が追加マーキングデータでのパーツの内側に及ぶかを判別できる。
(4) 追加シートのパーツに、ラベラーでパーツのIDや積層体の何層目に充当すべきものかなどを記載したラベルを添付する。これによって、どのパーツを補充するのかが直ちに分かる。なお、プロジェクターでも同様の表示を行うことができ、またプリンタで同様のデータを出力しても良い。
(5) 追加シートからは不足分を補充するためのパーツ以外のものは生じず、不完全な形状のパーツも生じない。
(6) 不足パーツを含む積層体毎に追加延反すると、後工程では不足パーツを直ちに補充できる。
(7) 所定の条件を満たすまで不足パーツが蓄積した際に追加延反すると、シート材のロスが最小になる。また追加裁断回数を少なくでき、効率が良い。