特許第6456317号(P6456317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456317
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】表示装置、および可撓性表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20190110BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20190110BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190110BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20190110BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20190110BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20190110BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   G09F9/30 330
   G09F9/30 348A
   G09F9/30 365
   G09F9/30 338
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   H05B33/06
   H05B33/22 Z
   H05B33/26 Z
   G02F1/1345
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-35351(P2016-35351)
(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公開番号】特開2017-151352(P2017-151352A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】安藤 直久
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 歴人
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−220489(JP,A)
【文献】 特開2013−015835(JP,A)
【文献】 特開2014−197181(JP,A)
【文献】 特開2015−180930(JP,A)
【文献】 特開2015−053137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−46
G02F 1/13−1/1335
1/13363−1/141
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上の表示領域と、
前記基材上に位置し、前記表示領域から前記表示領域の外側へ伸びる配線と、
前記基材上の一対の金属膜と、
前記一対の金属膜の間に位置する電源線と、
前記電源線と電気的に接続された補助電極を有し、
前記表示領域は画素を有し、
前記画素は、
ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極を有するトランジスタと、
第1の電極、前記第1の電極上の第2の電極、および前記第1の電極と前記第2の電極に挟まれた有機層を有する発光素子を含み、
前記電源線は前記第2の電極と電気的に接続され、
前記配線、前記ソース電極、および前記ドレイン電極は同一の層に存在し、
前記一対の金属膜、および前記補助電極が同一の層に存在し、
前記配線は前記一対の金属膜の間に位置する表示装置。
【請求項2】
前記表示領域は前記一対の金属膜の間に位置する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記配線と前記一対の金属膜は二つの絶縁膜に挟まれる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記配線と前記一対の金属膜は互いに異なる層に存在する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記画素は、容量を形成する一対の電極を有し、
前記一対の金属膜と前記一対の電極のうちの一方が同一の層に存在する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記一対の金属膜は、前記配線の延びる方向に対して交差する方向に突出する凸部を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
平面的に見て、前記凸部は前記配線と重畳している、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記一対の金属膜は電気的に浮遊している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
基材と、
前記基材上の表示領域と、
前記基材上に位置し、前記表示領域から前記表示領域の外側へ伸びる配線と、
前記基材の端部に位置し、前記配線と接続された端子と、
前記基材上の金属膜を有し、
前記基材は折り曲げられて湾曲した領域と、前記湾曲した領域を挟む二つの平坦な領域を与えるように構成され、
前記金属膜は、前記端子と前記表示領域との間に位置し、
前記金属膜は、前記湾曲した領域と前記二つの平坦な領域にわたって伸び、
平面的に見て、前記金属膜は前記配線と重畳する、表示装置。
【請求項10】
前記金属膜は、前記湾曲した領域の少なくとも一部を外周とする軸と交差するように配置される、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記金属膜は前記湾曲した領域の少なくとも一部を外周とする軸に交差する方向に伸びる、請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記金属膜は前記湾曲した領域の少なくとも一部を外周とする軸に沿って伸びる、請求項9に記載の表示装置。
【請求項13】
前記金属膜は、前記基材の辺に沿って配置され、
前記配線は、前記金属膜に沿って、前記辺とは反対の側に配置される、請求項9に記載の表示装置。
【請求項14】
前記金属膜は、前記配線の延びる方向に対して交差する方向に突出する凸部を有し
平面的に見て、前記凸部は前記配線と重畳する、請求項9に記載の表示装置。
【請求項15】
前記金属膜の少なくとも一部は、前記湾曲した領域に位置する、請求項9に記載の表示装置。
【請求項16】
前記金属膜は電気的に浮遊している、請求項9に記載の表示装置。
【請求項17】
前記基材は可撓性を有する、請求項1または9に記載の表示装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置、例えば、可撓性のEL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の代表例として、液晶素子や発光素子を各画素に有する液晶表示装置や有機EL(Electroluminescence)表示装置などが挙げられる。これらの表示装置は、基板上に形成された複数の画素内の各々に液晶素子あるいは有機発光素子(以下、発光素子)などの表示素子を有している。液晶素子や発光素子は一対の電極間に液晶あるいは有機化合物を含む層(以下、有機層)をそれぞれ有しており、一対の電極間に電圧を印加する、あるいは電流を供給することで駆動される。
【0003】
発光素子は全固体の表示素子であることから、表示装置に可撓性を付与して折り曲げたり湾曲させたりしても、原則的に表示品質に影響を与えない。この特性を利用し、可撓性の基板上に発光素子が作製された、いわゆるフレキシブルディスプレイ(シートディスプレイ)が作製されている。例えば特許文献1では、折り曲げ可能な可撓性有機EL表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−15835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高い信頼性を有する表示装置、例えば可撓性の有機EL表示装置を提供することを目的の一つとする。あるいは、変形した際に配線が破損して表示不良が発生することが抑制された、信頼性の高い可撓性有機EL表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、基材と、前記基材上の表示領域と、前記基材上に位置し、前記表示領域から前記表示領域の外側へ伸びる配線と、前記基材上の一対の金属膜を有し、前記配線は前記一対の金属膜の間に位置する表示装置である。
【0007】
本発明の一実施形態は、基材と、前記基材上の表示領域と、前記基材上に位置し、前記表示領域から前記表示領域の外側へ伸びる配線と、前記基材上の金属膜を有し、前記基材は折り曲げられて湾曲した領域と、前記湾曲した領域を挟む二つの平坦な領域を与えるように構成され、前記金属膜は、前記湾曲した領域と前記二つの平坦な領域にわたって伸びる表示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る表示装置の上面模式図。
図2】一実施形態に係る表示装置の断面模式図。
図3】一実施形態に係る表示装置の断面模式図。
図4】一実施形態に係る表示装置の斜視図、および上面図。
図5】一実施形態に係る表示装置の断面模式図。
図6】一実施形態に係る表示装置の断面模式図。
図7】一実施形態に係る表示装置の断面模式図。
図8】一実施形態に係る表示装置の上面模式図。
図9】一実施形態に係る表示装置の上面模式図。
図10】一実施形態に係る表示装置の上面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0011】
本発明において、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置を図1乃至図4を用いて説明する。
【0013】
本実施形態に係る表示装置100の上面図を図1に示す。表示装置100は、複数の画素106を備えた表示領域104、およびゲート側駆動回路(以下、駆動回路)108を基材102の一方の面(上面)に有している。画素106はマトリクス状に配置されている。表示領域104から配線110が基材102の側面(図中、表示装置100の短辺)に向かって伸びており、配線110は基材102の端部で露出され、露出部は端子112を形成する。端子112はフレキシブルプリント回路(FPC)などのコネクタ120と接続され、これにより、コネクタ120と表示領域104が配線110を通して電気的に接続される。本実施形態では駆動回路108は表示領域104を挟むように二つ設けられているが、駆動回路108は一つでもよい。また、駆動回路108は基材102上に設けず、異なる基板上に設けられた駆動回路を例えばコネクタ120上に形成してもよい。なお、図1では理解の促進のため、コネクタ120の一部は図示されていない。
【0014】
配線110を介して表示領域104はICチップ114とも電気的に接続される。外部回路(図示せず)から供給された映像信号が駆動回路108、ICチップ114を介して画素106に与えられて画素106の発光が制御され、映像が表示領域104上に再現される。なお図示していないが、表示装置100はICチップ114の替わりに例えばソース側駆動回路を表示領域104の周辺に有していてもよい。
【0015】
基材102に可撓性を有するフィルムなどを用いることで、表示装置100全体に可撓性を付与することができ、表示装置を折り曲げる、あるいは湾曲させることによって表示装置100を変形することができる。可撓性の基材102はベースフィルムとも呼ばれることもある。
【0016】
画素106の各々には発光素子が備えられている。各画素106に例えば赤色、緑色、あるいは青色で発光する発光素子を設けることでフルカラー表示を行うことができる。あるいは、全画素106で白色発光素子を用い、カラーフィルタを用いて画素106ごとに赤色、緑色、あるいは青色を取り出してフルカラー表示を行ってもよい。最終的に取り出される色は赤色、緑色、青色の組み合わせには限られず、例えば、赤色、緑色、青色、白色の4種類の色を画素106から取り出すこともできる。画素106の配列にも制限はなく、ストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列などを採用することができる。
【0017】
表示装置100はさらに電源線116を基材102上に有している。後述するように、各画素106に設けられる発光素子は有機層を挟持する一対の電極を有しており、一方の電極は有機層を覆うように形成され、その際、電源線116と電気的に接続される。電源線116も基材102の側面に向かって伸びており、端部でコネクタ120と電気的に接続される。
【0018】
表示装置100には、コネクタ120との接続に用いられる基材102の側面とは異なる側面(図中、表示装置100の長辺)に沿って、金属膜118が設けられている。本実施形態の金属膜118は対を形成するように二つ設けられており、配線110はこの一対の金属膜118に挟まれるように配置されている。また、電源線116も一対の金属膜118に挟まれるように配置されている。金属膜118は電気的に浮遊されてもよく、あるいは一定電位が与えられてもよい。図1に示すように金属膜118は、好ましくはコネクタ120との接続に用いられる基材102の側面に達するように設けられる。
【0019】
図1に示した直線A−B、C−Dに沿った断面模式図をそれぞれ図2、3に示す。図2の断面A−Bでは、表示領域104と、発光素子の一方の電極と電源線116との接続に用いられる領域(コンタクト領域)105が示されている。
【0020】
図2に示すように、表示領域104内の画素106にはトランジスタ122、容量124、発光素子126などの素子が設けられている。画素106中の各素子の構成はこのような構成に限られず、画素106は複数のトランジスタ、複数の容量を含有していてもよい。
【0021】
図2を参照すると、基材102上に下地膜130を介して半導体膜132が設けられる。基材102に用いることができる材料としては、ガラスや石英、金属などが挙げられる。表示装置100に可撓性を付与する場合には、基材102に例えばポリイミドやポリエステル、アクリル樹脂などの高分子材料を用いることができる。下地膜130は例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素などの無機材料を含むことができ、化学気相成長法(CVD法)やスパッタリング法などを用いて形成することができる。図2では下地膜130として三層構造を有する例が描かれている。この場合、例えば酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸化ケイ素膜の順で積層することによって下地膜130を形成すればよい。最下層の酸化ケイ素膜は基材との密着性向上のため、中層の窒化ケイ素膜は、外部から水などの不純物の侵入を防ぐブロック膜として、最上層の酸化ケイ素膜は、窒化ケイ素膜中に含有する水素原子がトランジスタ122などの素子へ拡散しないようにするブロック膜としてそれぞれ設けられるが、特にこの構造に限定するものではない。さらに他の層が積層されても良いし、単層あるいは二層構造の下地膜130を用いてもよい。
【0022】
半導体膜132は、シリコンや半導体特性を示す金属酸化物などを用い、CVD法やスパッタリング法などを適用して形成することができる。半導体膜132の結晶性には制限がなく、非晶質、多結晶、微結晶、単結晶、いずれの結晶状態を有していてもよい。
【0023】
表示装置100は半導体膜132上にゲート絶縁膜134を有している。ゲート絶縁膜134は酸化ケイ素や窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素などの無機化合物を用いることができ、CVD法やスパッタリング法などを適用して形成することができる。ゲート絶縁膜134上には第1の金属層が形成され、これをエッチング加工することによってトランジスタ122のゲート電極136、容量124の一方の電極138が画素106内に形成される。したがって、ゲート電極136や電極138は同一の層に存在する。
【0024】
第1の金属層は金属や合金を用い、スパッタリング法などを適用して形成することができる。金属としてはアルミニウムや銅、チタン、タングステン、モリブデン、タンタルなどを用いることができ、単層構造、あるいは積層構造で形成することができる。例えばチタンとアルミニウムの積層や、アルミニウムや銅などの導電性の高い金属をチタンやモリブデンなどの高融点金属で挟持した構造を採用することができる。ゲート電極136と電極138は同一の層に存在するため、両社とも同様の層構造を有し、同じ材料を含有する。
【0025】
半導体膜132は不純物がドープされたソース・ドレイン領域とチャネル領域を有していてもよい。この場合、ゲート電極136をマスクとして用いて不純物がドープされる。また半導体膜132は、チャネル領域とソース・ドレイン領域との間に、ソース・ドレイン領域よりも低濃度で不純物がドープされた領域(低濃度不純物領域)を有していてもよい。
【0026】
ゲート電極136や電極138の上には層間膜140が設けられている。層間膜140は、下地膜130やゲート絶縁膜134で用いることができる材料を用い、単層あるいは積層構造で形成することができる。例えば窒化ケイ素膜と酸化ケイ素膜の積層構造で層間膜140が形成される。層間膜140は、トランジスタ122を保護する機能を有しており、同時に容量124における誘電体膜としての機能も有している。
【0027】
表示装置100はさらに、層間膜140の上にソース電極142、ドレイン電極144を有している。ソース電極142、ドレイン電極144は、層間膜140、ゲート絶縁膜134に設けられた開口部で半導体膜132と電気的に接続されている。半導体膜132、ゲート絶縁膜134、ゲート電極136、ソース電極142、ドレイン電極144によってトランジスタ122が構成される。なお、ドレイン電極144は電極138の上にも形成されており、電極138、層間膜140、およびドレイン電極144のうち電極138と重なる部分によって容量124が構成される。ソース電極142、ドレイン電極144は層間膜140上に第2の金属層を形成した後にエッチング加工を施すことによって形成される。したがって、ソース電極142とドレイン電極144は同一の層に存在する。第2の金属層は第1の金属層で使用可能な材料を用い、CVD法やスパッタリング法などを適用して形成することができる。例えばアルミニウム膜をチタン膜で挟持した積層構造を採用することができる。
【0028】
なお、図1に示した配線110もソース電極142、ドレイン電極144と同時に形成することができる(図3参照)。したがって、配線110はソース電極142、ドレイン電極144と同一の層に存在することができる。
【0029】
ソース電極142とドレイン電極144の上には、トランジスタ122や容量124に起因する段差を吸収し、平坦な表面を与えるために平坦化膜146が設けられている。平坦化膜146はアクリル樹脂やポリイミド、ポリシロキサンなどの高分子材料を用い、スピンコート法やインクジェット法、印刷法、ディップコーティング法などを適用して形成することができる。図2に示すように、下地膜130、ゲート絶縁膜134、層間膜140、および平坦化膜146は表示領域104のみならず、コンタクト領域105にも設けられる。なお、本実施形態のコンタクト領域105には半導体膜132が含まれていないが、半導体膜132がコンタクト領域105に設けられていてもよい。
【0030】
表示装置100は平坦化膜146上に接続配線148、149を有している。コンタクト領域105において接続配線149は平坦化膜146の平坦な表面上に設けられる。表示領域104において、平坦化膜146中に設けられ、かつドレイン電極144に達する開口部を覆うように接続配線148が設けられる。図示しないが、開口部を形成する際、図1で示した端子112上の平坦化膜146も同時に除去される。接続配線148、149は、例えばインジウム―スズ酸化物(ITO)やインジウム―亜鉛酸化物(IZO)などの透光性を有する導電性酸化物を含む膜をスパッタリング法などを適用して平坦化膜146上に形成し、これをエッチング加工することによって形成することができる。したがって、接続配線148、149はいずれも同一の層に存在する。なお、接続配線148、149を形成する際、端子112上にも透光性を有する導電性酸化物が同時に形成される。これにより、端子112とコネクタ120との安定な電気的接続が可能となる。
【0031】
表示装置100はさらに、表示領域104内に容量配線150を、コンタクト領域105内に補助配線152を有している。これらは第3の金属層を形成した後にエッチング加工によって形成される。したがって、容量配線150と補助配線152は同一の層に存在する。コンタクト領域105において、補助配線152と接続配線149は互いに電気的に接続され、これらによって電源線116が構成される。第3の金属層はアルミニウム、銅、チタン、モリブデン、タングステン、タンタルなどの金属あるいはこれらの合金を用い、単層構造、あるいは積層構造で形成することができる。例えばモリブデン/アルミニウム/モリブデンの積層構造を適用することができる。接続配線148、149がITOやIZOなどの透光性を有する導電性酸化物で形成される場合、接続配線148、149は比較的抵抗が高く、コンタクト領域105において電圧降下を引き起こすが、補助配線152を形成することによって電圧降下を抑制することができる。なお、表示領域104内では接続配線148は必ずしも設置する必要はないが、設置することによって容量配線150や補助配線152の形成時にトランジスタ122のドレイン電極144を保護することができ、コンタクト抵抗の増大を防ぐことができる。
【0032】
表示装置100はまた、容量配線150や補助配線152の上に絶縁膜154を備えている。絶縁膜154は窒化ケイ素など、ゲート絶縁膜134や層間膜140に用いることができる材料を使用して形成することができる。絶縁膜154はトランジスタ122と発光素子126の電気的な接続を行うコンタクト部(すなわち、平坦化膜146の開口部に形成された接続配線148の底面)、電源線116の一部、および平坦化膜146の表面の一部を露出するための開口部を有している。
【0033】
表示装置100はさらに、発光素子126を構成する第1の電極158、有機層162、第2の電極164を有している。発光素子126からの発光を基材102を通して取り出す場合には透光性を有する材料、例えばITOやIZOなどの導電性酸化物を第1の電極158に用いることができる。一方、発光素子126からの発光を第2の電極164側から取り出す場合には、アルミニウムや銀などの金属、あるいはこれらの合金を用いることができる。あるいは上記金属や合金と導電性酸化物との積層、例えば金属を導電性酸化物で挟持した積層構造(例えばITO/銀/ITOなど)を採用することができる。なお、第1の電極158と容量配線150、およびこれらに挟まれた絶縁膜154によって付加的に容量が形成される。
【0034】
第2の電極164は、発光素子126からの発光を基材102を通して取り出す場合には、アルミニウムや銀などの金属あるいはこれらの合金を用いて形成することができる。一方、発光素子126からの発光を第2の電極164を通して取り出す場合には、上記金属や合金を用い、可視光を透過する程度の膜厚を有するように第2の電極164を形成すればよい。あるいは透光性を有する材料、例えばITOやIZOなどの導電性酸化物を用いて第2の電極164を形成してもよい。また、上記金属や合金と導電性酸化物との積層構造(例えばMg−Ag/ITOなど)を第2の電極164に採用することができる。
【0035】
ここで、第1の電極158の上には、第1の電極158の端部、ならびに平坦化膜146に設けられた開口部に起因する段差を吸収し、かつ、隣接する画素106の第1の電極158を互いに電気的に絶縁するための隔壁160が設けられている。隔壁160はバンク(リブ)とも呼ばれる。隔壁160は平坦化膜146で使用可能な材料を用いて形成することができる。隔壁160は、第1の電極158、および電源線116の一部を露出するように開口部を有しており、その端部はなだらかなテーパー形状となるのが好ましい。開口部の端部が第1の電極158に対して急峻な勾配を有すると、有機層162や第2の電極164のカバレッジ不良を招きやすい。平坦化膜146と隔壁160は、絶縁膜154に設けられた開口部の一つ156を通じて互いに接触する。このような構造を採用することにより、隔壁160形成後の熱処理等において、平坦化膜146から脱離する水蒸気などのガスを隔壁160を通じて解放することができる。
【0036】
図2では有機層162は単層の構造として描かれているが、有機層162は複数の層が積層された構造を有していてもよい。例えば有機層162は、電荷注入層、電荷輸送層、発光層、電荷阻止層、電荷発生層などの層を適宜含むことができる。全ての画素106で同一の構造を有する有機層162を採用してもよく、隣接する画素106間で構造の異なる有機層を用いてもよい。有機層162は蒸着法、インクジェット法、印刷法、スピンコート法などによって形成することができる。第1の電極158と第2の電極164からキャリア(電子、ホール)が有機層162に注入され、キャリアの再結合によって得られる励起状態が基底状態に緩和するプロセスを経て発光が得られる。したがって発光素子126のうち、有機層162と第1の電極158が互いに直接接している領域が発光領域である。
【0037】
発光素子126の第2の電極164はコンタクト領域105まで伸びており、接続配線149と電気的に接続される。したがって、トランジスタ122を通して供給された電流は、第1の電極158が陽極として機能する場合、第1の電極158、有機層162、第2の電極164、電源線116の順に流れる。
【0038】
表示装置100はさらに、第2の電極164上に保護膜166(パッシベーション層)を有している。保護膜166は発光素子126に対して外部からの水分の侵入を防止することを機能の一つとしており、保護膜166としてはガスバリア性の高いものが好ましい。例えば窒化ケイ素や酸化ケイ素、窒化酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素などの無機材料を用いて保護膜166を形成することが好ましい。あるいはアクリル樹脂やポリシロキサン、ポリイミド、ポリエステルなどを含む有機樹脂を用いてもよい。たとえば無機材料で形成した膜と有機樹脂を用いて形成した膜との積層構造を採用してもよい。具体的には、窒化ケイ素、酸化ケイ素、アクリル樹脂、窒化ケイ素の積層構造などが挙げられる。これらの各層は蒸着法やCVD法、スパッタリング法などを適用して形成することができる。
【0039】
任意の構成として、表示装置100は保護膜166上に対向基板を有していてもよい。対向基板は接着剤を用いて保護膜166を通して基材102と固定される。この時、表示装置100は対向基板と保護膜166の間の空間に不活性ガスを有していてもよく、あるいは樹脂などの充填材を有していてもよい。充填材を有する場合には、充填材は可視光に対して高い透明性を有することが好ましい。対向基板は、発光領域と重なる領域に開口部を有する遮光膜や、発光領域と重なる領域にカラーフィルタを有していてもよい。遮光膜は、クロムやモリブデンなど比較的反射率の低い金属、あるいは樹脂材料に黒色又はそれに準ずる着色材を含有させたものを用いて形成され、発光領域から直接得られる光以外の散乱光や外光反射等を遮断する機能を有する。カラーフィルタの光学特性は画素106毎に変え、例えば赤色、緑色、青色の発光を取り出すように形成することができる。遮光膜とカラーフィルタは下地膜を介して対向基板に設けられていても良いし、また、遮光膜とカラーフィルタを覆うようにオーバーコート層がさらに設けられていてもよい。
【0040】
表示装置100が対向基板を有する場合、発光素子126が対向基板と基材102で挟まれるように、表示領域の周辺に設けられる接着剤で対向基板と基材102が貼り合わされる。接着剤は対向基板と基材102の間の間隔を調整するためのスペーサーを含んでいてもよい。あるいは、表示装置100は表示領域内の画素106の間にスペーサーとなる構造体を有していてもよい。
【0041】
図3を参照すると、金属膜118は、トランジスタ122に設けられるゲート絶縁膜134上に設けられている。この金属膜118も第1の金属層をエッチング加工することによって形成することができる。したがって、金属膜118はトランジスタ122のゲート電極136や容量124の電極138と同一の層に存在する。具体的には、金属膜118、トランジスタ122のゲート電極136、容量124の電極138の一方は、二つの絶縁膜(ゲート絶縁膜134と層間膜140)の間に設けられる。上述したように、配線110は層間膜140上に設けられており、第2の金属層をエッチング加工することによって形成することができる。したがって、配線110はトランジスタ122のソース電極142、ドレイン電極144と同一の層に存在する。電源線116は平坦化膜146上に設けられており、この上に絶縁膜154、隔壁160、保護膜166が備えられている。
【0042】
上述したように、可撓性を有する基材102を用いることで表示装置100に可撓性を付与することができる。例えば図1に示す仮想の軸170を中心にして、図4(A)に示すように、表示領域104が外側に位置するように折り曲げることができる。ここで軸170は、湾曲した領域の少なくとも一部を外周とする軸である。この場合図4(A)に示すように、湾曲した領域と、それを挟む二つの平坦な領域が形成される。そして湾曲した領域が表示領域104とコネクタ120の間に位置し、二つの平坦な領域に表示領域104と端子がそれぞれ位置する。このように表示装置100を折り曲げた場合、最も負荷がかかる領域が湾曲した領域であるため、湾曲時にこの領域が破損されやすい。破損は基材102の端部で発生しやすく、図4(B)に示すように、軸170に近い領域において、基材102の端部からクラック180が発生する。クラック180は基材102の端部から内側に向かって成長し、電源線116や配線110の破損、断線を誘発する。
【0043】
本実施形態の表示装置100は一対の金属膜118を有しており、配線110や電源線116は一対の金属膜118に挟まれるように配置されている。また、金属膜118は表示装置100を折り曲げるときの軸170と重なるように、あるいは交差するように配置される。図1では、金属膜118は軸170に対して垂直な方向に伸びている。このような構成を有する表示装置100を折り曲げた際、金属膜118は平坦な領域のみならず、湾曲した領域にも含まれることになる。この場合、基材102の端部にクラック180が発生しても、金属膜118に達した段階でクラック180の成長が停止する、あるいは成長の速度が大幅に低下する。したがって、電源線116や配線110の破損、断線を防ぐことができ、その結果、表示装置100の信頼性を向上させることができる。
【0044】
(第2実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置を図5乃至図7を用いて説明する。第1実施形態と同様の構成については説明を割愛する。
【0045】
第1実施形態では、金属膜118は画素106に含まれるトランジスタ122のゲート電極と同じ層に存在し、一方コネクタ120と表示領域104を電気的に接続する配線110はトランジスタ122のソース電極142、ドレイン電極144と同じ層に存在する。本実施形態では、金属膜118、配線110、および電源線116が含まれる層の位置関係が、第1実施形態のそれと異なる。
【0046】
具体的には図5(A)に示すように、金属膜118は配線110と同じ層に存在することができ、トランジスタ122の層間膜140の上であり、かつ平坦化膜146の下に配置される。したがって、金属膜118はトランジスタ122のソース電極142、ドレイン電極144と同じ層に存在することができる。
【0047】
あるいは図5(B)に示すように、金属膜118と配線110は同じ層に存在するものの、トランジスタ122のゲート絶縁膜134の上、かつ層間膜140の下に配置することも可能である。したがって、金属膜118はトランジスタ122のゲート電極136と同一の層に存在することができる。
【0048】
あるいは図6(A)に示すように、金属膜118と配線110は互いに異なる層に存在するものの、金属膜118を層間膜140と平坦化膜146の間に、配線110をゲート絶縁膜134と層間膜140の間に配置することも可能である。つまり、金属膜118はトランジスタ122のソース電極142、ドレイン電極144と同じ層に存在することができる。
【0049】
あるいは図6(B)に示すように、金属膜118と配線110は互いに異なる層に存在するものの、金属膜118を平坦化膜146と絶縁膜154の間に配置することも可能である。つまり、金属膜118は電源線116、あるいは電源線116の補助配線152と同じ層に存在することができる。
【0050】
あるいは図7に示すように、金属膜118と配線110は互いに異なる層に存在するものの、金属膜118を平坦化膜146と絶縁膜154の間に位置し、かつ接続配線149と同じ層に存在するように配置することも可能である。
【0051】
第1実施形態と同様本実施形態の表示装置100は金属膜118を有しており、配線110や電源線116は金属膜118と比較して基材102の端部から遠い位置に配置されている。このため、基材102が可撓性を有する場合、表示装置100を変形させることによって基材102の端部にクラック180が発生しても、金属膜118に達した段階でクラック180の成長が停止する、あるいは成長の速度が大幅に低下する。したがって、電源線116や配線110の破損、断線を防ぐことができ、その結果、表示装置100の信頼性を向上させることができる。
【0052】
(第3実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置を図8を用いて説明する。第1、第2実施形態と同様の構成については説明を割愛する。
【0053】
本実施形態の金属膜118は、その平面形状が第1、第2実施形態と異なる。具体的には図8(A)中の楕円で囲った領域に示すように、金属膜118は配線110と交差する方向に凸部を有することができる。図8(A)では凸部は基材102の端部に対して反対方向に突き出た形状を有しているが、端部の方向に突き出るように凸部を有していてもよい。この時、凸部は基材102の端部に達していてもよい。また金属膜118は、基材102の端部へ伸びる方向と配線110へ伸びる方向の両方向に凸部を有していてもよい。
【0054】
あるいは図8(B)に示すように、金属膜118は、少なくともその一部が配線110や電源線116と交差するように設けられてもよい。この場合、金属膜118の一部が、配線110や電源線116あるいはその一部と直角に交差するように金属膜118を配置してもよい。また、図1で示した一対の金属膜118は互いに接続されていてもよい。あるいは図8(C)に示すように、金属膜118全体が配線110と交差方向に伸びていてもよく、配線110とや電源線116と直交するように設けてもよい。
【0055】
表示装置100を折り曲げることを意図する時、湾曲した領域を与える部分に本実施形態で示した形状の金属膜118を設けることにより、表示装置100を折り曲げる軸170に対して平行に金属膜を配置することができる。このため、湾曲した領域において基材102の端部にクラック180が発生しても、その成長を効果的に、かつ確実に防止することができ、信頼性の高い可撓性表示装置を提供することができる。
【0056】
(第4実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置を図9、10を用いて説明する。第1乃至第3実施形態と同様の構成については説明を割愛する。
【0057】
本実施形態の金属膜118は、その平面配置が第1乃至第3実施形態と異なる。具体的には図9に示すように、表示装置100には一対の金属膜118が表示領域104を挟むように設けられる。あるいは図10に示すように、配線110と表示領域104の両方が挟まれるように一対の金属膜118が配置される。
【0058】
通常表示領域104に映像を再現する時、表示領域104を折り曲げる頻度は比較的少ない。しかしながら、例えば意図せずに表示領域104が折れ曲がる、すなわち湾曲した領域に表示領域104が含まれるように表示装置100が折り曲げられた際、表示領域近傍の基材102の端部にクラックが発生してもその成長を停止させる、あるいは成長速度を低下させることができる。このため、配線110のみならず表示領域104の破壊を防止することができ、信頼性の高い可撓性表示装置を提供することが可能となる。
【0059】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0060】
本明細書においては、開示例として主にEL表示装置の場合を例示したが、他の適用例として、その他の自発光型表示装置、液晶表示装置、あるいは電気泳動素子などを有する電子ペーパ型表示装置など、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0061】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0062】
100:表示装置、102:基材、104:表示領域、105:コンタクト領域、106:画素、108:駆動回路、110:配線、112:端子、114:ICチップ、116:電源線、118:金属膜、120:コネクタ、122:トランジスタ、124:容量、126:発光素子、130:下地膜、132:半導体膜、134:ゲート絶縁膜、136:ゲート電極、138:電極、140:層間膜、142:ソース電極、144:ドレイン電極、146:平坦化膜、148:接続配線、149:接続配線、150:容量配線、152:補助配線、154:絶縁膜、156:開口部、158:第1の電極、160:隔壁、162:有機層、164:第2の電極、166:保護膜、170:軸、180:クラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10