【文献】
British Journal of Cancer, 1999, vol.80, No.8, p.1223-1230
【文献】
Cancer Chemother. Pharmacol., 2011, vol.67, p.1167-1178
【文献】
Blood, [online], 2011, vol.118,[2017/1/23に検索],URL,http://www.bloodjournal.org/content/118/21/1521
【文献】
Mol. Cell. Biochem., 2009, vol.330, p.9-22
【文献】
Mol. Nutr. Food Res., 2011, vol.55, p.1572-1581
【文献】
Pharmaceutical Research, 2002, vol.19, No.10, p.1509-1515
【文献】
Pharmaceutical Research, 2004, vol.21, No.12, p.2261-2269
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)治療有効量の第一活性成分、ここで第一活性成分は、イソチオシアネート系化合物であって、フェネチルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン付加物、ベンジルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネートからなる群から選ばれる;および
(B)治療有効量の第二活性成分、ここで第二活性成分は、DNAに作用または影響する抗癌薬であって、前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、下記群:ブレオマイシン、トポテカン、ベンダムスチン、ロムスチン、ネララビン、ダカルバジン、フルダラビン、シクロホスファミド、カバジタキセル、カルボプラチン
から選ばれる;
を含むことを特徴とする、癌細胞の生長の抑制、または、癌の予防もしくは治療のための組成物。
(A)イソチオシアネート系化合物を含有する第一製剤であって、フェネチルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン付加物、ベンジルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネートからなる群から選ばれる前記第一製剤、
(B)DNAに作用または影響する抗癌薬を含有する第二製剤、
ここで前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、下記群:ブレオマイシン、トポテカン、ベンダムスチン、ロムスチン、ネララビン、ダカルバジン、フルダラビン、シクロホスファミド、カバジタキセル、カルボプラチン
から選ばれる、および
(C)使用説明書、
を含むことを特徴とする、癌細胞の生長の抑制、または、癌の予防もしくは治療のためのキット。
請求項1に記載の組成物の使用であって、前記組成物が、癌細胞を抑制する薬物、保健食品または食品の製造、あるいは抗癌薬の製造に用いられることを特徴とする、前記使用。
前記癌が、骨癌、胃癌、子宮頸癌、脳癌、肝臓癌、前立腺癌、腎臓癌、肺癌、乳癌、大腸直腸癌、結腸癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮内膜癌、卵巣癌、皮膚癌、白血病、非ホジキンリンパ癌、リンパ癌または悪性黒色腫から選ばれることを特徴とする請求項8に記載の使用。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、癌治療のための組成物、キットおよび活性成分の組み合わせ、ならびにその癌治療薬の製造における使用を提供し、二つの活性成分の相乗効果を利用し、癌治療の効果を増強する。
【0009】
本発明の第一は、
(A)イソチオシアネート系化合物またはその誘導体である、治療有効量の第一活性成分と、
(B)DNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬である、治療有効量の第二活性成分と、
を含むことを特徴とする組成物を提供する。
【0010】
もう一つの好適な例において、前記組成物は、(A)イソチオシアネート系化合物またはその誘導体である、治療有効量の第一活性成分と、(B)DNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬である、治療有効量の第二活性成分とからなる。
もう一つの好適な例において、第一活性成分の含有量の範囲は、組成物の活性成分の合計重量に対し、0.01%〜99.99%、好ましくは0.1%〜99.9%、より好ましくは1%〜99%、より好ましくは10%〜99%、より好ましくは20%〜99%、より好ましくは30〜99%、より好ましくは40〜99%である。
【0011】
もう一つの好適な例において、第二活性成分の含有量の範囲は、組成物の活性成分の合計重量に対し、0.01%〜99.99%、好ましくは0.1%〜99.9%、より好ましくは1%〜99%、より好ましくは1%〜90%、より好ましくは1%〜80%、より好ましくは1〜70%、より好ましくは1〜60%である。
もう一つの好適な例において、前記第一活性成分は、式(I)で表される化合物または式(II)で表される誘導体である。
A−NCS (I)
(式(I)において、
NCSは、イソチオシアネート基である。
Aは、−XR
1または−CR
2R
3R
4で、ここで、Xは−(CH
2)n−で、nは0〜6の整数である。
R
1は、メチル基、t−ブチル基、イソプロピル基、メチルチオ基、メトキシ基、アリル基、メタリル基、シクロヘキシル基、メチルスルフィニル基、ナフチル基、メチルシクロヘキシル基、モルホリル基、ジエチルアミノ基、ベンゾイル基、エトキシカルボニル基、t−オクチル基、塩素原子、トリメチルシリル基、置換または無置換のフェニル基である。
【0012】
前記の「置換」とは、基における一つまたは複数のHが、ハロゲン、メチル基、ブロモメチル基、エチル基、メトキシ基、ニトロ基、アジド基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、メチルチオ基、シアノ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、t−ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されることである。
R
2、R
3、R
4は、それぞれ独立にH、フェニル基またはC
1−3アルキル基である。)
【化1】
(式(II)において、
Aは、式(I)で定義される通りである。
R
5は、水素または硫黄原子を介して
【化2】
の炭素原子と連結する、N−アセチルシステイン、グルタチオン、システイン(C
1−6アルキル)エステル、システイニルアミノ酸およびシステイニルアミノ酸(C
1−6アルキル)エステルから誘導される基である。)
【0013】
もう一つの好適な例において、前記アミノ酸は、グリシン、グルタミン酸、アラニンまたはメチオニンから選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記第一活性成分は、イソチオシアネート、イソチオシアネートのN−アセチルシステイン付加物、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。ここで、前記イソチオシアネートは、フェニルイソチオシアン酸エチル、イソチオシアン酸シクロヘキシル、4−メトキシベンジルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジル、フェニルプロピルイソチオシアネート、4−フェニルブチルイソチオシアネート、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート、トリベンジルイソチオシアネート、1−イソチオシアナト−4−メチルスルフィニルブタン(スルフォラファン)、イソチオシアン酸α−メチルベンジル、イソチオシアン酸ヘキシル、イソチオシアン酸メチルシクロヘキシル、1−ナフチルイソチオシアネート、2−クロロフェニルイソチオシアネート、2−ブロモフェニルイソチオシアネート、3−クロロフェニルイソチオシアネート、3−ブロモフェニルイソチオシアネート、3−ニトロフェニルイソチオシアネート、4−アジドフェニルイソチオシアネート、4−フルオロフェニルイソチオシアネート、4−クロロフェニルイソチオシアネート、4−ブロモフェニルイソチオシアネート、4−ニトロフェニルイソチオシアネート、エトキシカルボニルイソチオシアネート、t−オクチルイソチオシアネート、
【0014】
p−トリルイソチオシアネート、ベンゾイルイソチオシアネート、o−トリルイソチオシアネート、m−トリルイソチオシアネート、2,3,4−トリフルオロフェニルイソチオシアネート、2,5−ジメトキシフェニルイソチオシアネート、2−(4−モルホリル)エチルイソチオシアネート、2−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、2−(ジフルオロメトキシ)フェニルイソチオシアネート、2−(メチルチオ)フェニルイソチオシアネート、2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、3−(4−モルホリル)プロピルイソチオシアネート、3−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、3−(ジエチルアミノ)プロピルイソチオシアネート、3−(メチルチオ)プロピルイソチオシアネート、3−(メチルチオ)フェニルイソチオシアネート、3−シアノフェニルイソチオシアネート、4−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、4−(トリフルオロメトキシ)フェニルイソチオシアネート、4−(トリフルオロメチルチオ)フェニルイソチオシアネート、4−(ジフルオロメトキシ)フェニルイソチオシアネート、
【0015】
4−(メチルチオ)フェニルイソチオシアネート、4−シアノフェニルイソチオシアネート、4−ブロモ−2−フルオロフェニルイソチオシアネート、4−メトキシフェニルイソチオシアネート、メタリルイソチオシアネート、2−(4−イソチオシアナトフェノキシ)トルエンスルホン酸エチル、イソチオシアン酸2−クロロエチル、イソチオシアン酸(2−フルオロフェニル)、イソチオシアン酸(3−フルオロフェニル)、イソチオシアン酸ブチル、イソチオシアン酸トリメチルシリル、イソチオシアン酸プロピル、イソチオシアン酸エチル、イソチオシアン酸−t−ブチル、イソチオシアン酸イソプロピル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸メチル、イソチオシアン酸フェネチル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸フェニル、2,4,5−トリクロロイソチオシアン酸フェニル、2,4,6−トリクロロイソチオシアン酸フェニル、2,4−ジフルオロイソチオシアン酸フェニル、2,5−ジフルオロイソチオシアン酸フェニル、2,6−ジフルオロイソチオシアン酸フェニル、2,6−ジメチルイソチオシアン酸フェニル、2−エチルイソチオシアン酸フェニル、2−クロロ−4−ニトロイソチオシアン酸フェニル、3−メトキシイソチオシアン酸フェニル、4−(ブロモメチル)イソチオシアン酸フェニル、4−エチルイソチオシアン酸フェニル、5−クロロ−2−メチルイソチオシアン酸フェニル、
【0016】
1,4−ジジチオイソシアナトブタン、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)イソチオシアン酸フェニル、2−メトキシ−4−ニトロイソチオシアン酸フェニル、3,4,5−トリメトキシイソチオシアン酸フェニル、3−(トリフルオロメチルチオ)イソチオシアン酸フェニル、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)イソチオシアン酸フェニル、4−メチル−3−(トリフルオロメチル)イソチオシアン酸フェニル、2,3−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2,4−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2,5−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2,6−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2−(4−クロロフェニル)エチルイソチオシアネート、2−(エトキシカルボニル)フェニルイソチオシアネート、2−メトキシ−5−メチルフェニルイソチオシアネート、2−メトキシフェニルチオイソシアネート、2−メトキシエチルチオイソシアネート、3,4−ジクロロフェニルイソチオシアネート、3,5−ジクロロフェニルイソチオシアネート、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、4−イオドフェニルイソチオシアネート、3−イソチオシアノ安息香酸−t−ブチル、4−イソチオシアノ安息香酸−t−ブチル、イソチオシアン酸ジフェネチルからなる群から選ばれる。
【0017】
好ましくは、イソチオシアネート、イソチオシアネートのN−アセチルシステイン付加物、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。ここで、前記イソチオシアネートは、フェネチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、L−フェニルイソチオシアン酸エチル、シクロヘキシルイソチオシアネート、4−メトキシベンジルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジル、フェニルプロピルイソチオシアネート、4−フェニルブチルイソチオシアネート、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート、トリベンジルイソチオシアネート、スルフォラファンまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0018】
もう一つの好適な例において、前記第一活性成分は、フェネチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、L−フェニルイソチオシアン酸エチル、シクロヘキシルイソチオシアネート、4−メトキシベンジルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジル、フェニルプロピルイソチオシアネート、4−フェニルブチルイソチオシアネート、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート、トリベンジルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン付加物、スルフォラファンまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0019】
第一活性成分は、動物体、植物体、化学合成または半化学合成由来のものである。
もう一つの好適な例において、前記第二活性成分は、DNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬である。
もう一つの好適な例において、前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、アルキル化剤系抗癌薬、DNAを損傷する金属化合物の抗癌薬、DNAインターカレーターまたはDNA損傷抗生物質系の抗癌薬、トポイソメラーゼ阻害によるDNA修復阻害系抗癌薬、DNAポリメラーゼ阻害系抗癌薬、チューブリンに対する作用による有糸分裂阻害系の抗癌薬からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
もう一つの好適な例において、前記アルキル化剤系抗癌薬は、ベンダムスチン、シクロホスファミド、ロムスチン、ダカルバジン、テモゾロマイド、チオテパ、カルムスチン、ストレプトゾシン、ソブゾキサン、ブスルファンを含む。
【0020】
もう一つの好適な例において、前記DNAを損傷する金属化合物の抗癌薬は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、エロキサチン、シッフ塩基金属錯体、有機スズ金属錯体を含む。
もう一つの好適な例において、前記DNAインターカレーターまたはDNA損傷系抗生物質の抗癌薬は、ブレオマイシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、アクラシノマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンを含む。
もう一つの好適な例において、前記トポイソメラーゼ阻害によるDNA修復阻害系抗癌薬は、トポテカン、イリノテカン、ヒドロキシカンプトセシンを含む。
【0021】
もう一つの好適な例において、前記DNAポリメラーゼ阻害系抗癌薬は、シタラビン、フルダラビン、ゲムシタビンを含む。
もう一つの好適な例において、前記チューブリンに対する作用による有糸分裂阻害系の抗癌薬は、カバジタキセル、ドセタキセル(タキソテールとも呼ばれる)、パクリタキセル、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチンを含む。
もう一つの好適な例において、前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、ベンダムスチン、シクロホスファミド、ロムスチン、ダカルバジン、テモゾロマイド、カルムスチン、ストレプトゾシン、チオテパ、ソブゾキサン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、エロキサチン、シッフ塩基金属錯体、有機スズ金属錯体、ブレオマイシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、アクラシノマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシン、トポテカン、イリノテカン、ヒドロキシカンプトセシン、シタラビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ネララビン、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチンからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0022】
もう一つの好適な例において、前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、ベンダムスチン、シクロホスファミド、ロムスチン、ダカルバジン、テモゾロマイド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、トポテカン、フルダラビン、ゲムシタビン、ネララビン、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチンからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
もう一つの好適な例において、前記キナーゼ阻害剤系抗癌薬は、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ阻害剤、多標的キナーゼ阻害剤、セリン・スレオニンプロテインキナーゼ阻害剤、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤、ラパマイシン(PI3K−AKTmTOR)シグナル経路阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、細胞周期依存性プロテインキナーゼ阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、26Sプロテアーゼの阻害剤、三酸化二ヒ素からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0023】
もう一つの好適な例において、前記受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、クリゾチニブを含む。
もう一つの好適な例において、前記多標的キナーゼ阻害剤は、アキシチニブ、イマチニブ、ソラフェニブ、バンデタニブ、スニチニブ、パゾパニブ、スーテント、セディラニブ、ドビチニブ、モテサニブ、ミドスタウリンを含む。
もう一つの好適な例において、前記非受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、ボスチニブ、ニロチニブ、ダサチニブを含む。
もう一つの好適な例において、セリン・スレオニンプロテインキナーゼ阻害剤は、ベムラフェニブ(Vemurafenib)、ヘスペラジン(Hesperadin)、MK0457、ZM447439を含む。
【0024】
ここで、ヘスペラジンの構造式は、
【化3】
で、MK0457の構造式は、
【化4】
でZM447439の構造式は、
【化5】
である。
【0025】
もう一つの好適な例において、前記ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤は、ウォルトマンニン、レイノウトリン誘導体を含む。
もう一つの好適な例において、前記ラパマイシン(PI3K−AKTmTOR)シグナル経路阻害剤は、エベロリムス、シロリムスを含む。
もう一つの好適な例において、前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、ロミデプシン、ボリノスタットを含む。
【0026】
もう一つの好適な例において、前記26Sプロテアーゼの阻害剤は、ボルテゾミブを含む。
もう一つの好適な例において、前記マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤は、バチマスタット、タマノマスタット、マリマスタット、プリノマスタットを含む。
もう一つの好適な例において、前記細胞周期依存性プロテインキナーゼ阻害剤は、フラボピリドール(Flavopiridol)、スタウロスポリン(Staurosporine)、ロスコビチン(Roscovitine)、インジルビン誘導体を含む。
【0027】
ここで、フラボピリドールのCAS番号は、146426-40-6で、構造式は、
【化6】
である。
スタウロスポリンのCAS番号は、62996-74-1で、構造式は、
【化7】
である。
ロスコビチンのCAS番号は、186692-46-6で、構造式は、
【化8】
である。
【0028】
もう一つの好適な例において、前記キナーゼ阻害剤系抗癌薬は、アキシチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、ボスチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、スニチニブ、バンデタニブ、スーテント、セディラニブ、ドビチニブ、モテサニブ、ミドスタウリン、ベムラフェニブ、ヘスペラジン、MK0457、ZM447439、エベロリムス、シロリムス、ロミデプシン、ボリノスタット、三酸化二ヒ素、ボルテゾミブ、ウォルトマンニン、フラボピリドール、スタウロスポリン、ロスコビチン、レイノウトリン誘導体、インジルビン誘導体からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0029】
もう一つの好適な例において、前記キナーゼ阻害剤系抗癌薬は、アキシチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、エベロリムス、三酸化二ヒ素、ボルテゾミブ、ロミデプシン、ボリノスタット、ベムラフェニブからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0030】
もう一つの好適な例において、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、性腺刺激ホルモン系薬物、抗アンドロゲン物質系薬物、抗副腎腺分泌物薬および抗副腎皮質ホルモン薬、エストロゲン・プロゲスチン薬、5α−還元酵素阻害剤、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤、CYP450c17阻害剤からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
もう一つの好適な例において、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、LHRH類似体、LHRH拮抗剤、抗アンドロゲン物質系薬物、CYP450c17阻害剤、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
もう一つの好適な例において、前記LHRH類似体は、ロイプロリド、ゴセレリン、ブセレリン、トリポレリンを含む。
【0031】
もう一つの好適な例において、前記LHRH拮抗剤は、セトロレリクス、アバレリクスを含む。
もう一つの好適な例において、前記抗アンドロゲン物質系薬物は、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドを含む。
もう一つの好適な例において、前記エストロゲン・プロゲスチン薬は、スチルベストロール、シプロテロン、メゲステロールを含む。
【0032】
もう一つの好適な例において、前記アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤は、エンザルタミドを含む。
もう一つの好適な例において、前記CYP450c17阻害剤は、アビラテロンを含む。
もう一つの好適な例において、前記抗副腎腺分泌物薬および抗副腎皮質ホルモン薬は、ケトコナゾール、アミノグルテチミド、プレドニゾン、プレドニンを含む。
【0033】
もう一つの好適な例において、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、ロイプロリド、ゴセレリン、ビカルタミド、フルタミド、エンザルタミド、プレドニゾン、アビラテロン、上記薬物の薬学的に許容される誘導体または類似体からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
もう一つの好適な例において、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、ロイプロリド、ビカルタミド、フルタミド、エンザルタミド、アビラテロンからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0034】
もう一つの好適な例において、前記第一活性成分と前記第二活性成分の質量比は、1:10000〜10000:1、好ましくは1:1000〜1000:1、より好ましくは1:500〜500:1、より好ましくは1:100〜100:1、より好ましくは10:90〜100:1である。
もう一つの好適な例において、前記組成物は、癌細胞を抑制する薬物、保健食品または食品の製造、あるいは抗癌薬の製造に用いられる。
【0035】
本発明の第二は、
(A)イソチオシアネート系化合物またはその誘導体を含有する第一製剤と、
(B)DNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬、あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬を含有する第二製剤と、
(C)使用説明書と、
を含むキットを提供する。
もう一つの好適な例において、前記イソチオシアネート系化合物またはその誘導体は、式(I)で表される化合物または式(II)で表される誘導体である。
【0036】
もう一つの好適な例において、前記イソチオシアネート系化合物またはその誘導体は、フェネチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、4−メトキシベンジルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジル、フェニルプロピルイソチオシアネート、4−フェニルブチルイソチオシアネート、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート、トリベンジルイソチオシアネート、スルフォラファン、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン付加物またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0037】
もう一つの好適な例において、前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、アルキル化剤系抗癌薬、DNAを損傷する金属化合物の抗癌薬、DNAインターカレーターまたはDNA損傷抗生物質系の抗癌薬、トポイソメラーゼ阻害によるDNA修復阻害系抗癌薬、DNAポリメラーゼ阻害系抗癌薬、チューブリンに対する作用による有糸分裂阻害系の抗癌薬からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0038】
もう一つの好適な例において、前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、ベンダムスチン、シクロホスファミド、ロムスチン、ダカルバジン、テモゾロマイド、カルムスチン、ストレプトゾシン、チオテパ、ソブゾキサン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、エロキサチン、シッフ塩基金属錯体、有機スズ金属錯体、ブレオマイシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、アクラシノマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシン、トポテカン、イリノテカン、ヒドロキシカンプトセシン、シタラビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ネララビン、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチンからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0039】
もう一つの好適な例において、前記キナーゼ阻害剤系抗癌薬は、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ阻害剤、多標的キナーゼ阻害剤、セリン・スレオニンプロテインキナーゼ阻害剤、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤、ラパマイシン(PI3K−AKTmTOR)シグナル経路阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、細胞周期依存性プロテインキナーゼ阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、26Sプロテアーゼの阻害剤、三酸化二ヒ素からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0040】
もう一つの好適な例において、前記キナーゼ阻害剤系抗癌薬は、アキシチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、ボスチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、スニチニブ、バンデタニブ、スーテント、セディラニブ、ドビチニブ、モテサニブ、ミドスタウリン、ベムラフェニブ、ヘスペラジン、MK0457、ZM447439、エベロリムス、シロリムス、ロミデプシン、ボリノスタット、三酸化二ヒ素、ボルテゾミブ、ウォルトマンニン、フラボピリドール、スタウロスポリン、ロスコビチン、レイノウトリン誘導体、インジルビン誘導体からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
もう一つの好適な例において、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、LHRH類似体、LHRH拮抗剤、抗アンドロゲン物質系薬物、CYP450c17阻害剤、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0041】
もう一つの好適な例において、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、ロイプロリド、ビカルタミド、フルタミド、エンザルタミド、アビラテロンからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
もう一つの好適な例において、前記の使用説明書には、前記第一製剤と第二製剤を併用することによって、腫瘍細胞の生長を抑制するか、または癌を治療することが明記されている。
もう一つの好適な例において、前記第一製剤、第二製剤は、腫瘍細胞の生長に対する抑制または癌治療において、同時に投与するか、別々に投与するか、または順に投与する。
【0042】
本発明の第三は、活性成分の組み合わせであって、
(A)イソチオシアネート系化合物またはその誘導体である、第一活性成分と、
(B)DNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬、あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬である、第二活性成分と、
を含むか、あるいは上記成分を組み合わせてなる組み合わせを提供する。
もう一つの好適な例において、前記組み合わせでは、前記第一活性成分と前記第二活性成分の質量比の範囲は、1:10000〜10000:1である。
もう一つの好適な例において、前記組み合わせは、癌細胞を抑制する薬物、保健食品または食品の製造、あるいは抗癌薬の製造に用いられる。
【0043】
本発明の第四は、本発明の第一に記載の組成物または本発明の第三に記載の組み合わせの使用であって、癌細胞を抑制する薬物、保健食品または食品の製造、あるいは抗癌薬の製造に用いられる使用を提供する。
もう一つの好適な例において、前記癌は、骨癌、胃癌、子宮頸癌、脳癌、肝臓癌、前立腺癌、肺癌、乳癌、大腸直腸癌、結腸癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮内膜癌、卵巣癌、皮膚癌、白血病、非ホジキンリンパ癌、リンパ癌または悪性黒色腫から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記前立腺癌は、アンドロゲン非依存性前立腺癌およびアンドロゲン依存性前立腺癌を含む。
【0044】
もう一つの好適な例において、前記癌細胞は、ヒト骨癌Saos−2細胞、ヒト胃癌AGS細胞、ヒト卵巣癌OVCAR−3細胞、ヒト子宮頸癌HeLa細胞、ヒト白血病HL−60細胞、ヒト肺癌A549細胞、ヒト膵臓癌PANC−1細胞、ヒト脳癌U251細胞、ヒトリンパ癌JurkatE6−1細胞、悪性黒色腫SK−MEL−28細胞、ヒト前立腺癌DU145細胞、ヒト乳癌MDA−MB−231細胞、ヒト前立腺癌PC−3細胞、ヒト前立腺癌LNCaP、ヒト腎臓癌786−O細胞、ヒト結腸癌HT29細胞を含む。
もう一つの好適な例において、前記組成物または医薬組成物を使用する前に、同時にまたはその後に、併せてほかの癌を治療する活性物質を使用するか、癌に対する外科手術を実施するか、または癌に対する放射線治療を与えるか、あるいは遺伝子治療と併用するか、あるいは生物調節剤と併用する。
もう一つの好適な例において、ほかの癌を治療する活性物質は、エトポシド、5-フルオロウラシルである。
【0045】
本発明の第五は、癌治療に使用される医薬組成物であって、
(A)イソチオシアネート系化合物またはその誘導体である、治療有効量の第一活性成分と、
(B)DNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬である、治療有効量の第二活性成分と、
(C)薬学的に許容される担体と、を含み、
かつ前記第一活性成分と前記第二活性成分の質量比は、1:10000〜10000:1である、
医薬組成物を提供する。
本発明の第六は、体外で非治療的に癌細胞の生長を抑制する方法であって、本発明の第一に記載の組成物または本発明の第三に記載の活性成分の組み合わせまたは本発明の第五に記載の医薬組成物を使用し、癌細胞の生長を抑制する工程を含む方法を提供する。
【0046】
もう一つの好適な例において、前記方法は、第一活性成分および第二活性成分と癌細胞の存在下で、癌細胞を培養し、癌細胞の生長を抑制する工程を含む。
もう一つの好適な例において、前記方法は、
(1)癌細胞を20〜30時間培養する工程と、
(2)前記の第一活性成分および第二活性成分を入れた後、培養を1〜100時間続ける工程と、
(3)細胞の生存率を測定し、コンポジットインデックスCI値を計算する工程と、
を含む。
【0047】
本発明の第七は、癌の予防または治療方法であって、必要な対象に、本発明の第一に記載の組成物または本発明の第三に記載の活性成分の組み合わせまたは本発明の第五に記載の医薬組成物を施用する工程を含む方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の癌は、骨癌、胃癌、子宮頸癌、脳癌、肝臓癌、前立腺癌、肺癌、乳癌、大腸直腸癌、結腸癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮内膜癌、卵巣癌、皮膚癌、白血病、非ホジキンリンパ癌、リンパ癌または悪性黒色腫から選ばれる。
【0048】
もう一つの好適な例において、前記の対象は、哺乳動物(例えばヒト)である。
もう一つの好適な例において、前記組成物の一日あたりの施用量は、0.1mg〜2000mg(好ましくは1mg〜1500mg)である。
もう一つの好適な例において、前記第一活性成分の一日あたりの施用量は、0.1mg〜1000mg(好ましくは1mg〜500mg)で、前記第二活性成分の一日あたりの施用量は、0.01mg〜1500mg(好ましくは0.1mg〜1500mg、より好ましくは1mg〜1500mg、より好ましくは1mg〜500mg)である。
【0049】
前記施用量は好適に1kg体重あたりで計算することが好ましい。
もう一つの好適な例において、前記施用は、前後で順に第一活性成分および第二活性成分を施用すること、または同時に第一活性成分および第二活性成分を施用することを含む。
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(例えば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組合せ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明者は、幅広く深く研究したところ、意外にもイソチオシアネート系化合物またはその誘導体をDNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬と併用すると、癌に協同的に作用することを見出した。ここで、イソチオシアネート系化合物またはその誘導体を内分泌療法のホルモン系抗癌薬と併用すると、ホルモン依存性前立腺癌およびホルモン非依存性前立腺癌に協同的に作用する。併用治療の効果は、両者の単独使用よりも顕著に優れる。これに基づき、本発明を完成させた。
【0051】
第一活性成分
本発明に係る第一活性成分は、イソチオシアネート系化合物またはその誘導体で、前記の第一活性成分は式(I)で表される化合物または式(II)で表される誘導体、あるいはこれらの組み合わせである。
A−NCS (式I)
(式Iにおいて、
NCSは、イソチオシアネート基である。
Aは、−XR
1または−CR
2R
3R
4で、ここで、
Xは−(CH
2)n−で、nは0〜6の整数である。
R
1は、メチル基、t−ブチル基、イソプロピル基、メチルチオ基、メトキシ基、アリル基、メタリル基、シクロヘキシル基、メチルスルフィニル基、ナフチル基、メチルシクロヘキシル基、モルホリル基、ジエチルアミノ基、ベンゾイル基、エトキシカルボニル基、t−オクチル基、塩素原子、トリメチルシリル基、置換または無置換のフェニル基である。
【0052】
前記の「置換」とは、基における一つまたは複数のHが、ハロゲン、メチル基、ブロモメチル基、エチル基、メトキシ基、ニトロ基、アジド基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、メチルチオ基、シアノ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、t−ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されることである。
R
2、R
3、R
4は、それぞれ独立にH、フェニル基またはC
1−3アルキル基である。)
【化9】
(式IIにおいて、
Aは、一般式Iで定義される通りである。
R
5は、水素または硫黄原子を介して
【化10】
の炭素原子と連結する、N−アセチルシステイン、グルタチオン、システイン(C
1−6アルキル)エステル、システイニルアミノ酸およびシステイニルアミノ酸(C
1−6アルキル)エステルから誘導される基である。)
【0053】
もう一つの好適な例において、前記アミノ酸は、グリシン、グルタミン酸、アラニン、またはメチオニンから選ばれる。
1種類の好適な第一活性成分は、イソチオシアネート、イソチオシアネートのN−アセチルシステイン付加物、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0054】
ここで、前記イソチオシアネートは、フェニルイソチオシアン酸エチル、イソチオシアン酸シクロヘキシル、4−メトキシベンジルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジル、フェニルプロピルイソチオシアネート、4−フェニルブチルイソチオシアネート、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート、トリベンジルイソチオシアネート、1−イソチオシアナト−4−メチルスルフィニルブタン(スルフォラファン)、イソチオシアン酸α−メチルベンジル、イソチオシアン酸ヘキシル、
【0055】
イソチオシアン酸メチルシクロヘキシル、1−ナフチルイソチオシアネート、2−クロロフェニルイソチオシアネート、2−ブロモフェニルイソチオシアネート、3−クロロフェニルイソチオシアネート、3−ブロモフェニルイソチオシアネート、3−ニトロフェニルイソチオシアネート、4−アジドフェニルイソチオシアネート、4−フルオロフェニルイソチオシアネート、4−クロロフェニルイソチオシアネート、4−ブロモフェニルイソチオシアネート、4−ニトロフェニルイソチオシアネート、エトキシカルボニルイソチオシアネート、t−オクチルイソチオシアネート、
【0056】
p−トリルイソチオシアネート、ベンゾイルイソチオシアネート、o−トリルイソチオシアネート、m−トリルイソチオシアネート、2,3,4−トリフルオロフェニルイソチオシアネート、2,5−ジメトキシフェニルイソチオシアネート、2−(4−モルホリル)エチルイソチオシアネート、2−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、2−(ジフルオロメトキシ)フェニルイソチオシアネート、2−(メチルチオ)フェニルイソチオシアネート、2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、3−(4−モルホリル)プロピルイソチオシアネート、3−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、3−(ジエチルアミノ)プロピルイソチオシアネート、3−(メチルチオ)プロピルイソチオシアネート、3−(メチルチオ)フェニルイソチオシアネート、3−シアノフェニルイソチオシアネート、4−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、4−(トリフルオロメトキシ)フェニルイソチオシアネート、4−(トリフルオロメチルチオ)フェニルイソチオシアネート、4−(ジフルオロメトキシ)フェニルイソチオシアネート、
【0057】
4−(メチルチオ)フェニルイソチオシアネート、4−シアノフェニルイソチオシアネート、4−ブロモ−2−フルオロフェニルイソチオシアネート、4−メトキシフェニルイソチオシアネート、メタリルイソチオシアネート、2−(4−イソチオシアナトフェノキシ)トルエンスルホン酸エチル、イソチオシアン酸2−クロロエチル、イソチオシアン酸(2−フルオロフェニル)、イソチオシアン酸(3−フルオロフェニル)、イソチオシアン酸ブチル、イソチオシアン酸トリメチルシリル、イソチオシアン酸プロピル、イソチオシアン酸エチル、イソチオシアン酸−t−ブチル、イソチオシアン酸イソプロピル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸メチル、イソチオシアン酸フェネチル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸フェニル、
【0058】
2,4,5−トリクロロイソチオシアン酸フェニル、2,4,6−トリクロロイソチオシアン酸フェニル、2,4−ジフルオロイソチオシアン酸フェニル、2,5−ジフルオロイソチオシアン酸フェニル、2,6−ジフルオロイソチオシアン酸フェニル、2,6−ジメチルイソチオシアン酸フェニル、2−エチルイソチオシアン酸フェニル、2−クロロ−4−ニトロイソチオシアン酸フェニル、3−メトキシイソチオシアン酸フェニル、4−(ブロモメチル)イソチオシアン酸フェニル、4−エチルイソチオシアン酸フェニル、5−クロロ−2−メチルイソチオシアン酸フェニル、
【0059】
1,4−ジジチオイソシアナトブタン、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)イソチオシアン酸フェニル、2−メトキシ−4−ニトロイソチオシアン酸フェニル、3,4,5−トリメトキシイソチオシアン酸フェニル、3−(トリフルオロメチルチオ)イソチオシアン酸フェニル、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)イソチオシアン酸フェニル、4−メチル−3−(トリフルオロメチル)イソチオシアン酸フェニル、2,3−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2,4−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2,5−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2,6−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2−(4−クロロフェニル)エチルイソチオシアネート、2−(エトキシカルボニル)フェニルイソチオシアネート、2−メトキシ−5−メチルフェニルイソチオシアネート、2−メトキシフェニルチオイソシアネート、2−メトキシエチルチオイソシアネート、3,4−ジクロロフェニルイソチオシアネート、3,5−ジクロロフェニルイソチオシアネート、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート、4−イオドフェニルイソチオシアネート、3−イソチオシアノ安息香酸−t−ブチル、4−イソチオシアノ安息香酸−t−ブチル、イソチオシアン酸ジフェネチルからなる群から選ばれる。
【0060】
好ましくはイソチオシアネート、イソチオシアネートのN−アセチルシステイン付加物またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
ここで、前記イソチオシアネートは、フェネチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、4−メトキシベンジルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジル、フェニルプロピルイソチオシアネート、4−フェニルブチルイソチオシアネート、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート、トリベンジルイソチオシアネート、スルフォラファンまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0061】
もう一つの好適な例において、前記第一活性成分は、フェネチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、4−メトキシベンジルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジル、フェニルプロピルイソチオシアネート、4−フェニルブチルイソチオシアネート、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート、トリベンジルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン付加物、スルフォラファンまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
上記イソチオシアネート系化合物またはその誘導体は、単独で使用してもよく、あるいは2種類またはそれ以上の種類の形態で組み合わせて使用してもよいが、組み合わせて使用する場合、治療の目的が達成できれば、各化合物の質量比は特に限定されない。
【0062】
本発明において、イソチオシアネート系化合物を得る方法に特に限定せず、たとえば、天然の植物(たとえばカラシナやダイコン)からの抽出、化学合成または半化学合成を使用する方法などによって製造することができる。本発明で使用されるイソチオシアネート系化合物は市販品として得られ、たとえばSigma-Aldrich社から購入することができる。
【0063】
第二活性成分
本発明に係る第二活性成分はDNAに作用または影響する抗癌薬でもよいが、前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、アルキル化剤系抗癌薬、DNAを損傷する金属化合物の抗癌薬、DNAインターカレーターまたはDNA損傷抗生物質系の抗癌薬、トポイソメラーゼ阻害によるDNA修復阻害系抗癌薬、DNAポリメラーゼ阻害系抗癌薬、チューブリンに対する作用による有糸分裂阻害系の抗癌薬からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0064】
もう一つの好適な例において、前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、ベンダムスチン、シクロホスファミド、ロムスチン、ダカルバジン、テモゾロマイド、カルムスチン、ストレプトゾシン、チオテパ、ソブゾキサン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、エロキサチン、シッフ塩基金属錯体、有機スズ金属錯体、ブレオマイシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、アクラシノマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシン、トポテカン、イリノテカン、ヒドロキシカンプトセシン、シタラビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ネララビン、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチンからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0065】
もう一つの好適な例において、前記DNAに作用または影響する抗癌薬は、ベンダムスチン、シクロホスファミド、ロムスチン、ダカルバジン、テモゾロマイド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、トポテカン、フルダラビン、ゲムシタビン、ネララビン、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチンからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0066】
本発明に係る第二活性成分はキナーゼ阻害剤系抗癌薬でもよいが、前記キナーゼ阻害剤系抗癌薬は、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ阻害剤、多標的キナーゼ阻害剤、セリン・スレオニンプロテインキナーゼ阻害剤、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤、ラパマイシン(PI3K−AKTmTOR)シグナル経路阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、細胞周期依存性プロテインキナーゼ阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、26Sプロテアーゼの阻害剤、三酸化二ヒ素からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0067】
もう一つの好適な例において、前記キナーゼ阻害剤系抗癌薬は、アキシチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、ボスチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、スニチニブ、バンデタニブ、スーテント、セディラニブ、ドビチニブ、モテサニブ、ミドスタウリン、ベムラフェニブ、ヘスペラジン、MK0457、ZM447439、エベロリムス、シロリムス、ロミデプシン、ボリノスタット、三酸化二ヒ素、ボルテゾミブ、ウォルトマンニン、レイノウトリン誘導体、フラボピリドール、スタウロスポリン、ロスコビチン、インジルビン誘導体からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0068】
もう一つの好適な例において、前記キナーゼ阻害剤系抗癌薬は、アキシチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、エベロリムス、三酸化二ヒ素、ボルテゾミブ、ロミデプシン、ボリノスタット、ベムラフェニブからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
本発明に係る第二活性成分は内分泌療法のホルモン系抗癌薬でもよいが、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、性腺刺激ホルモン系薬物、抗アンドロゲン物質系薬物、抗副腎腺分泌物薬および抗副腎皮質ホルモン薬、エストロゲン・プロゲスチン薬、5α−還元酵素阻害剤、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤、CYP450c17阻害剤からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0069】
もう一つの好適な例において、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、LHRH類似体、LHRH拮抗剤、抗アンドロゲン物質系薬物、CYP450c17阻害剤、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
もう一つの好適な例において、前記LHRH類似体は、ロイプロリド、ゴセレリン、ブセレリン、トリポレリンを含む。
もう一つの好適な例において、前記LHRH拮抗剤は、セトロレリクス、アバレリクスを含む。
【0070】
もう一つの好適な例において、前記抗アンドロゲン物質系薬物は、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドを含む。
もう一つの好適な例において、前記エストロゲン・プロゲスチン薬は、スチルベストロール、シプロテロン、メゲステロールを含む。
もう一つの好適な例において、前記アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤は、エンザルタミドを含む。
【0071】
もう一つの好適な例において、前記CYP450c17阻害剤は、アビラテロンを含む。
もう一つの好適な例において、前記抗副腎腺分泌物薬および抗副腎皮質ホルモン薬は、ケトコナゾール、アミノグルテチミド、プレドニゾン、プレドニンを含む。
もう一つの好適な例において、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、ロイプロリド、ゴセレリン、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、プレドニゾン、上記薬物の薬学的に許容される誘導体、代謝物、類似体からなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0072】
もう一つの好適な例において、前記内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、ロイプロリド、ビカルタミド、フルタミド、エンザルタミド、アビラテロンからなる群から選ばれる1種類または複数種類である。
【0073】
組成物、キット、活性成分の組み合わせおよび医薬組成物
本発明に係る組成物は、医薬組成物(薬品)、食品または保健食品でもよく、前記組成物は、
(A)治療有効量の第一活性成分と、
(B)治療有効量の第二活性成分とを含み、
かつ前記第一活性成分と前記第二活性成分の質量比は、1:10000〜10000:1、好ましくは1:1000〜1000:1である。
本発明の医薬組成物において、第一活性成分の含有量の範囲は、組成物の活性成分の合計重量に対し、0.01%〜99.99%である。好ましくは0.1%〜99.9%、より好ましくは20%〜99%である。第二活性成分の含有量の範囲は、組成物の活性成分の合計重量に対し、0.01%〜99.99%である。好ましくは1%〜99%、より好ましくは1%〜90%である。
【0074】
必要な場合、前記組成物は、さらに、薬学、食品学、保健食品学的に許容される担体を含んでもよい。ここで用いられるように、「薬学、食品学、保健食品学的に許容される」成分とは、ヒト及び/又は動物に適用する場合、過度の不良な副反応(例えば毒性、刺激とアレルギー反応)がない、すなわち、合理的なベネフィット/リスク比を持つ物質である。ここで用いられる場合、用語「有効量」とは、ヒト及び/又は動物に機能や活性があり、且つヒト及び/又は動物にとって許容可能な量である。
ここで用いられる場合、用語「薬学的に許容される担体」とは、治療剤の投与のための担体で、各種の賦形剤と希釈剤を含む。この用語は、それ自体が必要な活性成分ではなく、かつ使用後過度の毒性がない薬剤の担体のことを指す。適切な担体は、当業者に熟知されている。
【0075】
本発明に係る第一活性成分、第二活性成分、またはこれらの誘導体、代謝物を含む薬品、食品、保健食品組成物は、経口投与に適する様々な剤形のほか、外用投与製剤またはほかの胃腸管外投与製剤でもよい。たとえば、本発明に係る外用投与製剤は、さらに界面活性剤、経皮吸収促進剤、防腐剤、溶媒、抗酸素剤、保湿剤、pH調整剤、着色剤、香料などの補助剤を添加することによって、リニメント剤、チンキ剤、油剤、軟膏剤、硬膏剤、ペースト剤、加熱押圧剤、湿布剤、粘着シート剤、塗膜剤、膜剤、ゲル剤、パップ剤、経穴付着剤、噴霧剤、エアゾール剤、埋込剤、乳剤などとしてもよいが、これらに限定されない。癌に対し、好適な剤形は、経口投与に適する様々な剤形、埋込剤、注射剤を含む。
【0076】
本発明の組成物に添加される補助剤は、製剤の分野でよく使用されるもので、その種類、使用方法、由来は当業者によく知られる。
また、本発明は、活性成分の組み合わせであって、
(A)イソチオシアネート系化合物またはその誘導体である、第一活性成分と、
(B)DNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬、あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬である、第二活性成分と、
を含むか、あるいは上記成分を組み合わせてなる組み合わせを提供する。
前記組み合わせにおいて、前記第一活性成分と前記第二活性成分の質量比は、1:10000〜10000:1である、
【0077】
また、本発明は、
(A)イソチオシアネート系化合物またはその誘導体を含有する第一製剤と、
(B)DNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬、あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬を含有する第二製剤と、
(C)使用説明書と、
を含むキットを提供する。
前記の使用説明書には、前記第一製剤と第二製剤を併用することによって、腫瘍細胞の生長を抑制するか、または癌を治療することが明記されている。
本発明の組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物、キット、食品および保健食品は、いずれも通常の方法および設備で製造することができる。
【0078】
組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物、キットの使用および投与形態
本発明は、上記組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物の使用であって、癌細胞を抑制する薬物、保健食品または食品の製造、あるいは抗癌の薬物、保健食品または食品の製造、あるいは抗癌薬の製造に用いられる使用を提供する。
【0079】
本発明によって提供される組成物、キット、活性成分の組み合わせおよび医薬組成物は、骨癌、胃癌、子宮頸癌、脳癌、肝臓癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、大腸直腸癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮内膜癌、卵巣癌、皮膚癌、白血病、非ホジキンリンパ癌などの癌細胞の抑制に相乗効果が生じる。理論に限らず、本発明に係る組成物、キット、活性成分の組み合わせおよび医薬組成物の癌細胞の生長および転移に対する抑制作用の機序は多レベルかつ多標的のものであり得る。癌細胞に対する抑制は、数種類の異なる機序および経路で実現される。たとえば、毒物除去遺伝子であるグルタチオンS−転移酵素P1(GSTP1)の発現の回復、細胞周期の停止の誘導、アポトーシスの誘導が可能になる。また、細胞周期の停止の誘導は、数種類の経路で実現され、細胞周期停止蛋白Cdk1の誘導や細胞分裂周期蛋白Cdc25Cの分解が挙げられる。アポトーシスの誘導は、BakおよびBax蛋白の仲介、アポトーシス阻害蛋白XIAPおよびSurvivinの発現の降下、酸化リン酸化の抑制による活性酸素の活性化、さらにP53の発現の促進やAP−1の活性化などによって実現される。
【0080】
本発明の組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物およびキットを使用する前に、同時にまたはその後に、併せてほかの癌を治療する活性物質(たとえばエトポシド、5−フルオロウラシルなどの抗癌活性物質)を使用するか、癌に対する外科手術を実施するか、または癌に対する放射線治療を与えるか、あるいは遺伝子治療と併用するか、あるいは生物調節剤と併用してもよい。
【0081】
本発明のキットにおける第一製剤および第二製剤を併用する場合、第一製剤および第二製剤は、同時に投与するか、別々に投与するか、または順に投与してもよい。第一製剤の活性成分の安全有効の一日あたりの使用量は、通常、0.1mg〜2000mg、好ましくは1mg〜500mg、より好ましくは1mg〜300mgで、第二製剤の活性成分の安全有効の一日あたりの使用量は、通常、0.01mg〜1500mg、好ましくは0.1mg〜1500mg、より好ましくは1mg〜1500mgで、より好ましくは1mg〜500mgである。投与形態は、併用の場合、第一製剤は経口投与してもよく、外用投与またはほかの胃腸管外投与でもよく、第二製剤は経口投与してもよく、外用投与またはほかの胃腸管外投与でもよい。
【0082】
併用の過程において、薬物の相互作用は、薬物の併用の時の効果によって、相加作用、相乗作用、拮抗作用に分かれ、相乗作用とは併用の薬物の併用の時の効果が単独使用よりも数倍も大きいことで、相加作用とは併用の薬物の併用の時の効果が単独使用に相当することで、拮抗作用併用の薬物の併用の時の効果が単独使用よりも小さいことである。本発明において、初めて、第一製剤および第二製剤の併用は、相乗作用があることが見出された。
【0083】
また、本発明は、癌の予防または治療方法であって、必要な対象に、本発明の組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物およびキットを施用する工程を含む方法を提供する。ここで、一日あたりの活性成分の施用量は1mg〜10gである。前記の対象は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
癌細胞の生長の抑制または癌の予防・治療の場合、本発明の施用形態は、前後で順に第一活性成分および第二活性成分を施用すること、または同時に第一活性成分および第二活性成分を施用することを含む。
【0084】
本発明の組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物を施用する場合、安全有効量の本発明の組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物を哺乳動物に施用し、ここで、第一活性成分の安全有効の一日あたりの使用量は、通常、約0.1mg以上で、かつほとんどの場合約2000mg以下である。好ましくは、その使用量は、1mg〜500mgである。第二活性成分の安全有効量は、通常、約0.01mg以上で、かつほとんどの場合約1500mg以下である。好ましくはその使用量の範囲は0.1mg〜1500mgである。(ここで、第一活性成分の安全有効量は、通常、約2000mg/kg体重以下である。好ましくはその使用量は約100μg/kg体重〜約1000mg/kg体重である。第二活性成分の安全有効量は、通常、約2000mg/kg体重以下である。好ましくはその使用量は約10μg/kg体重〜約1000mg/kg体重である。)勿論、具体的な投与量は、さらに投与の形態、患者の健康状況などの要素を考えるべきで、すべて熟練の医者の技能範囲以内である。前後で順に第一活性成分および第二活性成分を施用する場合、施用の間隔時間は特に限定されない。本発明の組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物およびキットにおける第一活性成分および第二活性成分は、それぞれ同様の経路または異なる経路によって同時または前後して投与し、経口投与、注射投与、腫瘍内投与、埋込投与、腔内投与、肛門投与、経皮投与、内用および外用を含むが、これらに限定されない。
【0085】
好適な注射投与は、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、腔内注射を含む。
また、本発明は、体外で非治療的に癌細胞の生長を抑制する方法であって、本発明の組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物を使用し、癌細胞の生長を抑制する、すなわち、第一活性成分および第二活性成分と細胞の存在下で、癌細胞を培養し、癌細胞の生長を抑制する工程を含む方法を提供する。
【0086】
前記方法は、具体的に、
(1)癌細胞を20〜30時間培養する工程と、
(2)前記の第一活性成分および第二活性成分の組み合わせを入れた後、培養を1〜100時間続ける工程と、
(3)細胞の生存率を測定し、コンポジットインデックスCI値を計算する工程と、
を含む。
【0087】
既存技術と比べ、本発明の組成物、活性成分の組み合わせ、医薬組成物およびキットの主な利点は以下の通りである。
(1)本発明は、細胞生物学の方法を運用し、イソチオシアネート系化合物またはその誘導体が有効に癌細胞の生長を抑制することを実証した。
(2)本発明は、イソチオシアネート系化合物またはその誘導体をDNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬と併用すると、癌細胞に協同的に作用し、癌の治療効果を増強することを見出した。また、同様の治療効果に達するDNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬の使用量を有効に減少し、治療の毒性・副作用を軽減し、患者の生活品質を向上させる。よって、癌の予防・治療に新規な薬物を提供した。
(3)本発明は、有効に癌の発生を緩和・遅延させることができる。患者の寿命を伸ばし、死亡率を低下させる。
【0088】
本発明で説明された上記特徴、或いは実施例で説明された特徴は任意に組み合わせることができる。本願明細書で開示されたすべての特徴は任意の組み合わせの形態で併用することができ、明細書で開示された各特徴は、相同、同等或いは類似の目的の代替的特徴に任意に替えることができる。そのため、特に説明しない限り、開示された特徴は同等或いは類似の特徴の一般的な例にすぎない。
【0089】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、或いは製造業者の推奨の条件で行われた。特に断らない限り、%と部は、重量で計算される。
【0090】
別の定義がない限り、本文に用いられるすべての専門用語と科学用語は、本分野の技術者に知られている意味と同様である。また、記載の内容と類似或いは同等の方法及び材料は、いずれも本発明の方法に用いることができる。ここで記載の好ましい実施方法及び材料は例示のためだけである。
【0091】
試験一、共通の実験材料と方法
フェネチルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、スルフォラファン(Sulforaphane)、トリベンジルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート-N-アセチルシステイン付加物(PEITC-NAC)、4-フェニルブチルイソチオシアネート(PBITC)、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート(PHITC)、3−フェニルプロピルイソチオシアネート(3-phenylpropyl ITC)、イソチオシアン酸4−クロロベンジル、L-フェニルイソチオシアン酸エチル(L-alpha-methylbenzyl)、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、4−メトキシベンジルイソチオシアネート、 ブレオマイシン(Bleomycin)、ベンダムスチン(Bendamustine)、シスプラチン(Cisplatin)、シクロホスファミド(Cyclophosphamide)、カルボプラチン(Carboplatin)、アドリアマイシン(Doxorubicin)、ダカルバジン(Dacarbazine)、トポテカン(Topotecan)、フルダラビン(Fludarabine)、ゲムシタビン(Gemcitabine)、ロムスチン(Lomustine)、ネララビン(Nelarabine)、ダウノルビシン(Daunorubicin)、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、メトトレキセート。
【0092】
細胞培養:HeLa細胞、JurkatE6−1細胞、OVCAR−3細胞、Saos−2細胞、AGS細胞、A549細胞、PANC−1細胞、U251細胞、HL−60細胞、SK−MEL−28細胞、DU145細胞、MDA−MB−231細胞、PC−3細胞は、上海美迪西生物医薬有限公司によって提供され、37℃、5%CO
2のインキュベーターに置き、それぞれ10%FBSのDMEM培地(Saos−2細胞、U251細胞、HeLa細胞、A549細胞、PANC−1細胞、SK−MEL−28細胞、MDA−MB−231細胞)、10%FBSのDMEM培地(A549細胞、PANC−1細胞)、20%FBSのIMDM培地(HL−60細胞)、20%FBSのRPMI1640培地(OVCAR−3細胞)、10%FBSのF12培地(AGS、DU145細胞)、10%FBSのF12k培地(PC−3細胞)、10%FBSのRPMI1640培地(Jurkat E6−1細胞)で培養した。
【0093】
試験二、共通の実験材料と方法
フェネチルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、、アキシチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、エベロリムス、三酸化二ヒ素、ボルテゾミブ、ロミデプシン、ボリノスタット、ベムラフェニブ、メトトレキセート。
【0094】
細胞培養:786−O細胞、PANC−1細胞、HL−60細胞、A549細胞、Saos−2細胞、JurkatE6−1細胞、SK−MEL−28細胞、HT29細胞は、上海美迪西生物医薬有限公司によって提供され、37℃、5%CO
2のインキュベーターに置き、それぞれ10%FBSのRPMI1640培地(786−O細胞、JurkatE6−1細胞)、10%FBSのDMEM培地(A549、PANC−1、SK−MEL−28、HT29細胞)、20%FBSのIMDM培地(HL−60細胞)で培養した。
【0095】
試験三、共通の実験材料と方法
フェネチルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4-クロロベンジル、スルフォラファン(Sulforaphane)、トリベンジルイソチオシアネート(Trityl)、フェネチルイソチオシアネート-N-アセチルシステイン付加物(PEITC-NAC)、4−フェニルブチルイソチオシアネート(PBITC)、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート(PHITC)、3−フェニルプロピルイソチオシアネート(3-phenylpropyl ITC)、フェニルプロピルイソチオシアネート(PPITC)、イソチオシアン酸4−クロロベンジル(4-chlorobenzyl)、L-フェニルイソチオシアン酸エチル(L-alpha-methylbenzyl)、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、4−メトキシベンジルイソチオシアネート、アビラテロン、エンザルタミド、ロイプロリド、ビカルタミド。
【0096】
細胞培養:ヒトアンドロゲン依存性前立腺癌細胞LNCaPは、上海美迪西生物医薬有限公司によって提供され、37℃、5%CO
2のインキュベーターに置き、10%FBSのRPMI1640培地で培養した。ヒトアンドロゲン非依存性前立腺癌細胞DU145は、上海美迪西生物医薬有限公司によって提供され、37℃、5%CO
2のインキュベーターに置き、10%FBSのF12培地で培養した。
【0097】
薬物作用細胞のIC50の検出:イソチオシアネート系化合物またはその誘導体とDNAに作用または影響する抗癌薬、キナーゼ阻害剤系抗癌薬あるいは内分泌療法のホルモン系抗癌薬は、それぞれ単独でまたは併用でヒト癌細胞に作用させた。細胞を384ウェルプレートに接種し、CO
2インキュベーターで続いて24時間培養した後、投与し、薬物をDMSOに溶解させ、まず96ウェルプレートで9つの濃度の段階希釈を行い、さらに384ウェルプレートにおけるDMSO濃度が1%未満となるように対応する細胞の384ウェルプレートに入れた。各濃度は、それぞれ、繰り返しウェルを3つ設けた。細胞に投与した後、CO
2インキュベーターで続いて72h培養した後、CellTiter-Glo(登録商標)試薬および発光検出装置で細胞の生存率を検出した。そして各投与群のIC
50値を算出した。
【0098】
薬物の相乗効果の計算:
2つの薬物の間の相互作用(協同、相加、拮抗)はコンポジットインデックスCI値で定義する。
CI値は式:CI=(Am)
50/(As)
50+(Bm)
50/(Bs)
50で計算した。
(Am)
50は、薬物Aの併用の場合の50%抑制率(IC
50)に必要な濃度を表す。
(As)
50は、薬物Aの単独の場合の50%抑制率(IC
50)に必要な濃度を表す。
(Bm)
50は、薬物Bの併用の場合の50%抑制率(IC
50)に必要な濃度を表す。
(Bs)
50は、薬物Bの単独の場合の50%抑制率(IC
50)に必要な濃度を表す。
CI値>1は拮抗作用を、CI値=1は相加作用を、CI値<1は相乗効果を表す。
【0099】
(Am)
50と(Bm)
50の計算方法:
薬物Aは9つの濃度の勾配(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9)を、薬物Bは9つの濃度の勾配(B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9)を設け、それぞれの濃度をもう一つの濃度と高濃度から低濃度まで1対1で対応させ、AとBを併用で対応する細胞の384ウェルプレートに投与し、細胞ウェル1に薬物(A1+B1)を、細胞ウェル2に薬物(A2+B2)を、細胞ウェル3に薬物(A3+B3)を、…細胞ウェル9に薬物(A9+B9)を入れた。各併用投与細胞ウェルは繰り返しウェルを3つ設けた。
【0100】
投与後、CO
2インキュベーターでさらに72h培養した後、CellTiter-Glo(登録商標)試薬および発光検出装置で細胞の生存率を検出した。薬物Aの濃度または濃度の対数および相応の細胞ウェルの細胞抑制率から曲線を作成、IC
50、すなわち、(Am)
50を算出し、薬物Bの濃度または濃度の対数および対応する細胞ウェルの細胞抑制率から曲線を作成、IC
50、すなわち、(Bm)
50を算出した。
【0101】
(As)
50の計算方法:
薬物Aは9つの濃度の勾配(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9)を、単独で相応の細胞の384ウェルプレートに投与し、各投与濃度は繰り返しウェルを3つ設けた。投与後、CO
2インキュベーターで続いて72h培養した後、CellTiter-Glo(登録商標)試薬および発光検出装置で細胞の生存率を検出した。薬物Aの濃度または濃度の対数および相応の細胞ウェルの細胞抑制率から曲線を作成、IC
50、すなわち、(As)
50を算出した。
【0102】
(Bs)
50の計算方法:
薬物Bは9つの濃度の勾配(B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9)を、単独で相応の細胞の384ウェルプレートに投与し、各投与濃度は繰り返しウェルを3つ設けた。投与後、CO
2インキュベーターで続いて72h培養した後、CellTiter-Glo(登録商標)試薬および発光検出装置で細胞の生存率を検出した。薬物Bの濃度または濃度の対数および相応の細胞ウェルの細胞抑制率から曲線を作成、IC
50、すなわち、(Bs)
50を算出した。
【0103】
試験一:
実施例1:DNAに作用または影響する抗癌薬とイソチオシアネート系化合物は癌細胞の生長の抑制において相乗効果がある
【表1】
表1から、ブレオマイシン(Bleomycin)はフェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、またはシクロヘキシルイソチオシアネートとHeLa細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0104】
【表2】
表2から、ベンダムスチン(Bendamustine)はフェネチルイソチオシアネートまたはシクロヘキシルイソチオシアネートとJurkatE6−1細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0105】
【表3】
表3から、シスプラチンはフェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネートまたはシクロヘキシルイソチオシアネートとHeLa細胞またはOVCAR−3細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0106】
【表4】
表4から、シクロホスファミドはフェネチルイソチオシアネートとOVCAR−3細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0107】
【表5】
表5から、カルボプラチンはフェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジルまたはL−フェニルイソチオシアン酸エチルとOVCAR−3細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0108】
【表6】
表6から、アドリアマイシンはフェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネートまたはシクロヘキシルイソチオシアネートとSaos−2細胞、AGS細胞またはOVCAR−3細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0109】
【表7】
表7から、ダカルバジン(Dacarbazine)はフェネチルイソチオシアネートとSK−MEL−28細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0110】
【表8】
表8から、トポテカン(Topotecan)はフェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネートまたはシクロヘキシルイソチオシアネートとHeLa細胞またはOVCAR−3細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0111】
【表9】
表9から、フルダラビン(Fludarabine)はフェネチルイソチオシアネートとHL−60細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0113】
【表10-2】
表10から、ゲムシタビン(Gemcitabine)はフェネチルイソチオシアネートなどのイソチオシアネート系化合物とA549細胞、OVCAR−3細胞またはPANC−1細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0114】
【表11】
表11から、ロムスチン(Lomustine)はフェネチルイソチオシアネートまたはシクロヘキシルイソチオシアネートとU251細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0115】
【表12】
表12から、ネララビン(Nelarabine)はフェネチルイソチオシアネートまたはシクロヘキシルイソチオシアネートとJurkatE6−1細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0116】
【表13】
表13から、ダウノルビシン(Daunorubicin)はフェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネートまたはシクロヘキシルイソチオシアネートとHL−60細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0117】
【表14】
表14から、カバジタキセルはフェネチルイソチオシアネートとヒト前立腺癌DU145細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0118】
【表15】
表15から、ドセタキセルはフェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネートまたはシクロヘキシルイソチオシアネートとヒト乳癌MDA−MB−231細胞に併用する場合、またはフェネチルイソチオシアネートとヒト胃癌AGS細胞に併用する場合、いずれも相乗効果があることがわかる。
【0119】
【表16】
表16から、パクリタキセルはフェネチルイソチオシアネートとヒト乳癌MDA−MB−231細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【表17】
表17から、硫酸ビンクリスチンはベンジルイソチオシアネートまたはシクロヘキシルイソチオシアネートとヒト白血病HL−60細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0120】
【表18】
表18から、硫酸ビンブラスチンはフェネチルイソチオシアネートとヒト白血病HL−60細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0121】
試験二:
実施例2:キナーゼ阻害剤系抗癌薬とイソチオシアネート系化合物は癌細胞の生長の抑制において相乗効果がある
【表19】
上記表から、キナーゼ阻害剤系薬物のアキシチニブ(Axitinib)は、フェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネートと腎臓癌細胞786−Oに併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0122】
【表20】
上記表から、キナーゼ阻害剤系薬物のエルロチニブ(Erlotinib)は、フェネチルイソチオシアネートと膵臓癌細胞PANC−1に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0123】
【表21】
上記表から、キナーゼ阻害剤系薬物のイマチニブは、フェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネートと白血病HL−60細胞に併用する場合、いずれも相乗効果があることがわかる。
【0124】
【表22】
上記表から、キナーゼ阻害剤系薬物のニロチニブは、フェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネートと白血病HL−60細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0125】
【表23】
上記表から、キナーゼ阻害剤系抗癌薬のパゾパニブは、フェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネートと腎臓癌細胞786−Oに併用する場合、いずれも相乗効果があることがわかる。
【0126】
【表24】
上記表から、キナーゼ阻害剤系抗癌薬のソラフェニブは、フェネチルイソチオシアネートと腎臓癌細胞786−Oに併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0127】
【表25】
上記表から、エベロリムス(Everolimus)は、フェネチルイソチオシアネートとU251細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0128】
【表26】
上記表から、三酸化二ヒ素は、フェネチルイソチオシアネートとHL−60細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0129】
【表27】
上記表から、ボルテゾミブ(Bortezomib)は、フェネチルイソチオシアネートとSaos−2細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0130】
【表28】
上記表から、ロミデプシンは、フェネチルイソチオシアネートとJurkatE6−1細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0131】
【表29】
上記表から、ボリノスタットは、フェネチルイソチオシアネートとJurkatE6−1細胞に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0132】
【表30】
上記表から、ベムラフェニブは、フェネチルイソチオシアネートとSK−MEL−28細胞に併用する場合、相加作用があることがわかる。
【0133】
試験三:
実施例3:イソチオシアネート系化合物と内分泌療法のホルモン系抗癌薬はホルモン依存性前立腺癌細胞の生長の抑制において相乗効果がある
【表31】
表31から、抗前立腺癌ホルモン系薬物のアビラテロンはフェネチルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジルとホルモン依存性前立腺癌細胞LNCaPに併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0134】
【表32】
表32から、抗前立腺癌ホルモン系薬物のエンザルタミドはフェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネートとホルモン依存性前立腺癌細胞LNCaPに併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0135】
【表33】
表33から、抗前立腺癌ホルモン系薬物のロイプロリドはフェネチルイソチオシアネートとホルモン依存性前立腺癌細胞LNCaPに併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0137】
表33から、抗前立腺癌ホルモン系薬物のビカルタミドはフェネチルイソチオシアネート、スルフォラファン、トリベンジルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン付加物、4−フェニルブチルイソチオシアネート、6−フェニルヘキシルイソチオシアネート、3−フェニルプロピルイソチオシアネート、フェニルプロピルイソチオシアネート、イソチオシアン酸4−クロロベンジル、フェニルイソチオシアン酸エチル、ベンジルイソチオシアネートとホルモン依存性前立腺癌細胞LNCaPに併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0138】
実施例4:イソチオシアネート系化合物と内分泌療法のホルモン系抗癌薬はホルモン非依存性前立腺癌細胞の生長の抑制において相乗効果がある
【表35】
【0139】
【表36】
表35および表36から、抗前立腺癌ホルモン系薬物のアビラテロンはフェネチルイソチオシアネートとホルモン非依存性前立腺癌細胞DU145、PC−3に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0141】
【表38】
表37および表38から、抗前立腺癌ホルモン系薬物のエンザルタミドはフェネチルイソチオシアネートとホルモン非依存性前立腺癌細胞DU145、PC−3に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0142】
【表39】
表39から、抗前立腺癌ホルモン系薬物のビカルタミドはフェネチルイソチオシアネートとホルモン非依存性前立腺癌細胞DU145に併用する場合、相乗効果があることがわかる。
【0143】
実施例5:フェネチルイソチオシアネートと内分泌療法の併用の末期前立腺癌患者に対する作用
(1)志願者、男、61歳
2011年3月末に前立腺癌末期、PSA145.4と診断された。
2011年4月からPEITC増強の内分泌治療:カソデックス(ビカルタミド)50mgを1回/日で経口投与し、PEITC60mgを3回/日で経口投与し、ゾラデックス(ゴセレリン)3.6mgを1回/28日で筋肉内注射した。
2011年7月7日から9月29日まで、放射線治療し、内分泌治療を中断した。
2011年9月30日に、PEITC増強の内分泌治療を再開した。
2012年6月14日に、tPSAが検出限界未満であった。
2011年3月30日の病理診断結果:前立腺穿刺13本で、1〜13本目では前立腺癌が見られ、グリソンスコアは4+5(合計9)で、一部ではわずかな印環細胞が見られた。腫瘍が占める比率は、1、2、4、5、8、12、13本目では2/3超で、3、6本目では1/3超で、7、9〜11本目では1/3未満であった。
【0144】
2012年9月13日の病理診断結果:前立腺穿刺13本で、前立腺組織に形態が不規則な小さい腺体が見られた。一部は細胞核が増大し、異型があり、免疫組織化学ではP504s(−)、M630+++と示された。内分泌治療後の組織は変性して基底細胞の増殖が伴ったと考えられ、被検組織に顕著な腫瘍組織が見られず、臨床を参照する必要がある。
免疫組織化学:1、2、3、4本目では、P504s(−),M630+++で、7、10、12本目では、P504s(−),M630+++,A/E1/3+++で、8本目では、P504s(−),PsAp+,M630++,CK7+−であった。
【0145】
(2)志願者、男、81歳
2010年4月に前立腺癌末期、G.S.(4+4)と診断された。
2010年4月から2012年3月まで、内分泌治療を行い、tPSAは1035から最低の0.48に下がった後、ゆっくり126に上がった。
2012年3月から化学治療を開始し、同時にPEITC 60mgを3回/日で経口投与した。
2012年6月では、tPSAが0.102に低下した。
【0146】
比較例1:DNAに作用または影響しない抗癌薬とイソチオシアネート系化合物は癌細胞の生長の抑制において相乗効果がない
【表40】
表40から、葉酸標的系抗癌薬のメトトレキセートとフェネチルイソチオシアネートは、肺癌細胞A549に併用する場合、拮抗作用であることがわかる。
【0147】
比較例2:非キナーゼ阻害剤系抗癌薬とイソチオシアネート系化合物は癌細胞の生長の抑制において相乗効果がない
【表41】
上記表から、葉酸標的系抗癌薬のプララトレキサートとフェネチルイソチオシアネートは、リンパ癌細胞JurkatE6に併用する場合、相乗効果がないことがわかる。
【0148】
【表42】
上記表から、ロイコボリンは、フェネチルイソチオシアネートとHT29に併用する場合、相乗効果がないことがわかる。
【0149】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、この分野の技術者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。