【実施例】
【0055】
(実施例1)
この実施例は、システム間の相違点がカラム粒径である、2つの分析規模でのシステム間の二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー法の効率的な移行を説明する。
【0056】
カフェイン(1)、カルバマゼピン(2)、ウラシル(3)、ヒドロコルチゾン(4)、プレドニゾロン(5)およびスルファニルアミド(6)を含むサンプル混合物が、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるBEH 2−EP(R)カラム(2.1×150mm、粒径1.7μm)を使用する、分析規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(ACQUITY(R)UPC
2、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手)で分離された。10% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用して、分離は均一濃度とし、1.4mL/分の流速および40℃において行われた。伝統的な手段を使用して、分離は最適化された。
図2aに示される最適化された分離(上段のクロマトグラフ)は、1,500psiのABPR設定を有した。圧力センサは、カラムの上流および下流に配置された。2つの圧力センサから算出された平均カラム圧は、3,694psiであった。
【0057】
次いで、その分離手法は、カラム固定相粒径以外は第1システムと同一の第2システムに移行された。第2システムは、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるBEH 2−EP(R)カラム(2.1×150mm、粒径5μm)を使用する、分析規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(ACQUITY(R)UPC
2、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手)からなる。第2カラムの粒径は、1.7μmとは対照的に、5μmであった。全ての他のシステム条件は同じにした。10% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用して、分離は均一濃度とし、1.4mL/分の流速および40℃において行われた。最初に、第2分離は、第1システムのABPR設定において、すなわち、1,500psiで行われた。ABPRは、システム出口圧を設定し、移動相の密度を維持する。一部の実施形態において、同じABPR設定が、第1分離の圧力状態を最初から繰り返すのに使用される。これは、1,752psiの第2システムにおける平均カラム圧をもたらした。
図2aに示される得られたクロマトグラフ(中段のクロマトグラフ)は、最適下限であった。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、10.3から15.7に増大した。
【0058】
第2システムにおける圧力設定は、第2システムについての平均カラム圧(すなわち、3,693psi)が第1システムの平均カラム圧(すなわち、3,694psi)と一致するように段階的に調整された。
図2aに示される最後のクロマトグラフ(下段のクロマトグラフ)は、第1システムにおいて最適化された分離に類似する分離を示した。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、比較できる(10.3 vs 9.2)−(図示せず)。
図2bは、平均密度一致の有無によるカラム長にわたる移動相密度のシミュレーションの比較を示す。
【0059】
ABPRの調整を行わない、より大きい5μmの粒径の使用は、最初の1.7μmでの分離に対してより低い圧力プロファイルをもたらし、異なる選択性および保持係数を生じる分離をもたらした。選択性の変化は、ピーク2および3の共溶出をもたらすほど十分劇的である。1.7μm分離と同様の分離圧プロファイルを提供するようにABPRが調整された場合、1.7μmの粒子での最初の分離に類似する選択性および保持係数を伴って、ピーク2および3の分離が回復する。5μm分離の効率(N、理論段数)は、1.7μm分離に対してより低い。このことは、より大きい粒径に予測され、従来のLC条件下において観察されるであろうものに類似する。
【0060】
(実施例2)
この実施例は、システム間の相違点がカラム粒径および流速である、2つの分析規模でのシステム間の二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー法の効率的な移行を説明する。
【0061】
実施例1で使用されたのと同じサンプル混合物が使用された。第1分離は、実施例1で使用されたのと同じ手法および分離システムを使用した。第1システムにおける第1分離は、
図3(上段のクロマトグラフ)に示される。粒径は、1.7μmとした。流速は、1.4mL/分とした。ABPRは、1,500psiに設定された。2つの圧力センサから算出された平均カラム圧は、3,694psiであった。
【0062】
次いで、その分離手法は、カラム粒径および流速の2つを除いて、第1システムと同一の第2システムに移行された。第2システムは、5μmの粒径を有するカラムと、0.48mL/分の流速を含んだ。流速は、最適な線速度を維持するように、粒径比に基づいて流速を調整することにより、粒径の差異を説明するために調整された。
【0063】
流速×(d
p1/d
p2)=1.4mL/分×(1.7μm/5μm)=0.48mL/分
最初に、第2分離は、第1システムのABPR設定において、すなわち、1,500psiで行われた。これは、1,572psiの第2システムにおける平均カラム圧をもたらした。
図3に示される得られたクロマトグラフ(中段のクロマトグラフ)は、最適下限であった。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、10.3から15.7に増大した。
【0064】
第2システムにおける圧力設定は、第2システムについての平均カラム圧(すなわち、3,688psi)が第1システムの平均カラム圧(すなわち、3,694psi)と実質的に一致するように段階的に調整された。
図3に示される最後のクロマトグラフ(下段のクロマトグラフ)は、第1システムにおいて最適化された分離に類似する分離を示した。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、比較できる(10.3 vs 9.2)。
【0065】
(実施例3)
この実施例は、システム間の相違点が流速である、3つの分析規模でのシステム間の二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー法の効率的な移行を説明する。
【0066】
実施例1で使用されたのと同じサンプル混合物が使用された。Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるBEH 2−EP(R)カラム(2.1×150mm、粒径5μm)を使用する、分析規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(ACQUITY(R)UPC
2、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手)で、混合物が分離された。10% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用して、分離は均一濃度とし、0.48mL/分の流速および40℃において行われた。伝統的な手段を使用して、分離が最適化された。
図4aに示される最適化された分離(上段のクロマトグラフ)は、3,600psiのABPR設定を有する。2つの圧力センサから算出した平均カラム圧は、3,688psiであった。
【0067】
平均カラム圧が一定に固定された場合に、異なる分離手法についての異なる流速およびABPR設定の影響を評価するのに、流速およびABPRが調整された。第1システム(3,688psi)と実質的に同様の平均カラム圧(すなわち、3,693psi)を達成するように、流速は、1.4mL/分に調整され、ABPRは、3,390psiに調整された。
図4aに示される得られたクロマトグラフ(中段のクロマトグラフ)は、第1システムにおいて最適化された分離に類似する分離を示した。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、比較できる(10.3 vs 9.2)。
【0068】
別の分離では、第1システム(3,688psi)と実質的に同様の平均カラム圧(すなわち、3,694psi)を達成するように、流速は、4.0mL/分に調整され、ABPRは、2,322psiに調整された。
図4aに示される得られたクロマトグラフ(下段のクロマトグラフ)は、第1システムおよび第2システムにおいて最適化された分離に類似する分離を示した。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、比較できる(10.3 vs 9.2 vs 8.7)。LC法について同様に観察されるように、分離効率(N)全体の低下が、最適線速度(この本構成では粒径5μmについて〜0.48mL/分)より速い流速で観察される。
図4bは、平均密度を一致させたカラム長にわたる移動相の密度シミュレーションの比較を示す。
【0069】
(実施例4)
この実施例は、分析規模での機器を使用して展開される二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー法の、調製用SFC機器への効率的な移行を説明する。
【0070】
実施例1で使用されたのと同じサンプル混合物が使用された。最初の分離は、実施例1で使用されたのと同じ手法および分離システムを使用した。
図5に示される最適化された分離(上段のクロマトグラフ)は、1,500psiのABPR設定を有する。2つの圧力センサから算出された平均カラム圧は、3,694psiであった。
【0071】
次いで、その分離手法は、カラム粒径および流速の2つ以外は、第1システムと同一の第2システムに移行された。第2システムは、5μmの粒径を有するカラムと、0.48mL/分の流速を含んだ(実施例3を参照のこと。)。
図5に示される
図3における最後のクロマトグラフ(中段のクロマトグラフ)は、第1システムにおいて最適化された分離に類似する分離を示した。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、比較できる(10.3 vs 9.2)。
【0072】
次いで、その分離手法は、第3システム、すなわち、調製規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるPrep100 SFC)に移行された。第3システムは、先の分離と同じカラム化学(BEH 2−EP(R))を使用したが、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できる、より大きい構成(19×150mm、粒径5μm)とした。6% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用して、分離は均一濃度とし、80g/分の流速および40℃において行われた。ほとんどの分析用機器は、体積に関する流速(mL/分)を測定するが、多くの調製用SFC機器は、g/分の単位を有する質量における流速を測定する。調製用クロマトグラフィーに使用された密度において、80g/分は、約83mL/分に相関する。調製用分離に使用された注入量240μLは、2つのシステムについてのカラム体積比により、分析用分離(注入量2μL)からの大きさとした。
【0073】
2μL注入×(体積2
19×150/体積1
3.0×50)=240μL注入
第3システムにおける圧力設定は、第3システムについての平均カラム圧(すなわち、3,678psi)が第1システムの平均カラム圧(すなわち、3,694psi)と実質的に一致するように段階的に調整された。
図5に示される第3システムについてのクロマトグラフ(下段のクロマトグラフ)は、第1システムおよび第2システムにおいて最適化された分離に類似する分離を示した。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、比較できる(10.3 vs 9.2 vs 7.9)。
【0074】
(実施例5)
この実施例は、分析規模での機器を使用して展開される二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー法の、調製用SFC機器への効率的な移行を説明する。
【0075】
実施例1で使用されたのと同じサンプル混合物が使用された。第1システムは、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるBEH 2−EP(R)カラム(3.0×50mm、粒径1.7μm)を使用する、分析規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(ACQUITY(R)UPC
2、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手)とした。6% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用して、分離は均一濃度とし、3.0mL/分の流速および40℃において行われた。注入量は、1μLとした。伝統的な手段を使用して、分離は最適化された。圧力センサが、カラムの上流および下流に配置された。
図6に示される最適化された分離(上段のクロマトグラフ)は、1,500psiのABPR設定を有し、3,576psiのカラム上流のシステム圧を有する。2つの圧力センサから算出された平均カラム圧は、2,538psiであった。
【0076】
次いで、その分離手法は、第2システム、すなわち、調製規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるPrep100 SFC)に移行された。LC法の移行についてのカラムと同様に、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できる、同じカラム化学、BEH 2−EP(R)(3.0×50mm、1.7μmのカラム規模から19×100mm、粒径5μmのカラム)を使用して、第2システムについて、粒径に対するカラム長の比(L/d
p)が維持された。
【0077】
6% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用して、分離は均一濃度とし、80g/分の流速および40℃において行われた。先の実施例と同様に、調製用分離についての注入量は、240μLの大きさにした。第2システムにおける圧力設定は、第2システムについての平均カラム圧(すなわち、2,531psi)が第1システムの平均カラム圧(すなわち、2,538psi)と実質的に一致するように段階的に調整された。
図6に示される第2システムについてのクロマトグラフ(下段のクロマトグラフ)は、第1システムにおいて最適化された分離に類似する分離を示した。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、比較できる(24.4 vs 26.9)。
【0078】
分析用条件から調製用条件への方法の移行について、2つのカラムについての粒径に対するカラム長の比(L/d
p)が維持された。これにより、分離についての同じ平均圧力プロファイルを維持する、ABPRの調整後の類似する選択性および保持係数がもたらされる。ただし、方法の移行について、カラム長/粒径比を一致させる必要はない。この比の維持は、分離間での同じ効率を生じさせる。本実施例では、100mmのカラムが、かなり良好な成功を伴って使用されているが、元の分離より効率が低い。観察された効率の差異は、分析用分離に対して調製用分析に使用された粒径の差異およびより速い線速度にある程度起因し得る。この能力は、調製用クロマトグラフィーへの最終的な方法の直接的な移行を伴って、より速い分析規模での方法の素早いスクリーニングを可能にする。これにより、時間および移動相のかなりの節約がもたらされる。
【0079】
(実施例6)
この実施例は、一定の平均カラム圧での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー法の分離能における注入量およびサンプル濃度の影響を説明する。
【0080】
実施例1で使用されたのと同じサンプル混合物が使用される。Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるBEH 2−EP(R)カラム(3.0×50mm、粒径1.7μm)を使用する、分析規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(ACQUITY(R)UPC
2、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手)で、混合物は分離された。6% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用して、分離は均一濃度とし、3.0mL/分の流速および40℃において行われた。注入量は、1μLとした。混合物中の各検体濃度は、0.2mg/mLとした。伝統的な手段を使用して、分離が最適化された。
図7に示される最適化された分離(下段のクロマトグラフ)は、1,500psiのABPR設定を有する。圧力センサは、カラムの上流および下流に配置された。2つの圧力センサから算出された平均カラム圧は、2,538psiであった。
【0081】
異なる分離手法を使用して、分離が繰り返された。濃度は、3.75mg/mLに調整された。平均カラム圧は、2,538psiで一定のままであった。
図7に示される得られた分離(中段のクロマトグラフ)は、同様の分離を示した。別の分離手法を使用した分離も繰り返された。注入量は、2μLに調整され、サンプル濃度はそれぞれ、3.75mg/mLに調整された。平均カラム圧は、2,538psiで一定のままであった。
図7に示される得られた分離(上段のクロマトグラフ)は、同様の分離を示した。注入量およびサンプル濃度における変化は、一定の平均カラム圧において、SFC法の分離能にほとんど影響を有さないと思われる。
【0082】
(実施例7)
この実施例は、二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー分離のための勾配分離についての平均カラム圧の算出を説明する。
【0083】
実施例1で使用されたのと同じサンプル混合物が使用される。Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるBEH 2−EP(R)カラム(3.0×50mm、粒径1.7μm)を使用する、分析規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(ACQUITY(R)UPC
2、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手)で、混合物は分離された。分離は、3分間にわたる勾配条件下において調整された、2−10% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用した。流速は、3.0mL/分とした。伝統的な手段を使用して、分離は最適化された。
図8に示される最適化された分離(上段のクロマトグラフ)は、1,500psiのABPR設定を有する。圧力センサは、カラムの上流および下流に配置された。システム圧測定値は、
図8(下段のトレース)に示される。最初の勾配条件、すなわち、2% 修飾剤において、カラム上流のシステム圧は、3,529psiであり、カラム下流のシステム圧は、1,500psiであった。最初の勾配条件における平均カラム圧は、2,514psiと算出された。この平均カラム圧は、3,529psiと1,500psiとの平均である。最終的な勾配条件、すなわち、10% 修飾剤において、カラム上流のシステム圧は、3,678psiであり、カラム下流のシステム圧は、1,500psiであった。最終的な勾配条件における平均カラム圧は、2,589psiと算出された。この平均カラム圧は、3,678psiと1,500psiとの平均である。その後、勾配分離についての平均カラム圧は、2,551psiであると算出された。この平均カラム圧は、2,514psiと2,589psiとの平均である。
【0084】
(実施例8)
この実施例は、一定の平均カラム圧における二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー法の勾配分離能における注入量およびサンプル濃度の影響を説明する。
【0085】
実施例1で使用されたのと同じサンプル混合物が使用される。Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるBEH 2−EP(R)カラム(3.0×50mm、粒径1.7μm)を使用する、分析規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(ACQUITY(R)UPC
2、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手)で、混合物は分離された。分離は、3分間にわたる勾配条件下において調整された、2−10% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用した。流速は、3.0mL/分とした。注入量は、1μLとした。混合物中の検体濃度はそれぞれ、0.2mg/mLとした。伝統的な手段を使用して、分離は最適化された。
図9に示される最適化された分離(下段のクロマトグラフ)は、1,500psiのABPR設定を有する。圧力センサは、カラムの上流および下流に配置された。
【0086】
異なる分離手法を使用して、分離が繰り返された。濃度は、3.75mg/mLに調整された。平均カラム圧は、一定のままであった。
図9に示される得られた分離(中段のクロマトグラフ)は、同様の分離を示した。別の分離手法を使用した分離も繰り返された。注入量は、2μLに調整され、サンプル濃度はそれぞれ、3.75mg/mLに調整された。
図9に示される得られた分離(上段のクロマトグラフ)は、同様の分離を示した。注入量およびサンプル濃度における変化は、一定の平均カラム圧において、勾配SFC法の分離能にほとんど影響を有さないと思われる。
【0087】
(実施例9)
この実施例は、分析規模での機器を使用して展開される勾配二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー法の、調製用二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器への効率的な移行を説明する。
【0088】
実施例1で使用されたのと同じサンプル混合物が使用された。最初の分離は、実施例7で使用されたのと同じ手法および分離システムを使用した。
図10に示される最適化された分離(上段のクロマトグラフ)は、1,500psiのABPR設定を有する。2つの圧力センサから算出された平均カラム圧は、2,551psiであった。
【0089】
次いで、その分離手法は、第2システム、すなわち、調製規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるPrep100 SFC)に移行された。第2システムは、先の分離と同じカラム化学(BEH 2−EP(R))を使用したが、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できる、より大きい構成(19×150mm、粒径5μm)とした。分離は、13.5分間にわたる勾配の2−10% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用した。13.5分の勾配時間は、約83mL/分の流速における勾配中での同じカラム体積の移動相を維持するために、元の条件(3mL/分において3分)から拡大された長さである。注入量は、240μLとした。第2システムにおける圧力設定は、第2システムについての平均カラム圧(すなわち、2,325psi)が第1システムの平均カラム圧(すなわち、2,551psi)とおおよそ一致するように段階的に調整された。
図10に示される第2システムについてのクロマトグラフ(下段のクロマトグラフ)は、第1システムにおいて最適化された分離に類似する分離を示した。スルファニルアミドについての保持係数は、例えば、比較できる(24.0 vs 16.6)。ここで、観察された保持係数の不一致は、主に、これらの評価において補正されなかった2つのシステム間のシステム体積全体の差異による。
【0090】
(実施例10)
この実施例は、一定のシステム圧を維持するシステムについてのk’対する流速の影響を説明する。
【0091】
実施例1に記載されたのと同じサンプル混合物および分離システムが使用された。低い背圧カラム(約300psiデルタ)および高い背圧カラム(約2,000psiデルタ)の両方を使用して、分離が行われた。各カラムについての結果は同じであった。
【0092】
各システムについて、3種類のシナリオで分離が行われた。第1シナリオは、流速が0.5mL/分から2mL/分に変動させられた際に、約2,500psiのポンプで一定圧力を維持した。一定値でシステム圧を維持するために、ABPR圧力設定が低下されて、より速い流速でより高い圧力に補償した。第2シナリオは、流速が0.5mL/分から2mL/分に変動させながら、約2,200psiのABPRで一定圧力を維持した。これらの条件下において、システム圧は、流速の増加の結果として増加された。第3シナリオは、流速が0.5mL/分から2mL/分に変動させられた際に、約2,350psiのカラムにわたる一定の平均圧力を維持した。結果は、
図11および
図12に示される。ピーク3(ウラシル)についてのk’値は、他の検体に対する性能の代表例である。示されるように、カラムにわたる平均圧力を一定に維持することにより、k’値は、ほぼ一定のままである。観察されたk’のバリエーションは、平均圧力では説明されない配管による圧力低下による可能性がある。システム、例えば、ポンプまたはABPRにおける一点のみにおいて圧力を一定に維持することにより、最初の2つの設定についてのシステム圧は、一定のままでない。
【0093】
種々の流速における各検体についてのk’を一定に維持することは、分離時間にわたる制御も可能にする。各検体についての一定のk’は、検体が互いに移動するのを避け、溶出順序を維持する。分離は、より素早く行われ得る。2つのシステム間の方法の移行もより早くなり得る。
【0094】
(実施例11)
この実施例は、システム圧における小さな変化に対する応答での検体保持における影響を説明する。システム圧におけるこれらの小さな変化は、システム間のバリエーションの結果であり得る。それらは、配管の内径または長さの変化により、故意に導入され得る。または、それらは、故意ではなく、多くの場合明らかでない場合がある。これは、システムに留まった汚染物質の結果であり得る。汚染物質の滞留は、動作圧の小さな上昇をもたらす流路の小さな制限を引き起こす。この制限は、動作圧全体の低下を引き起こす非常に小さな漏出の結果でもあり得る。多くの場合、これらの問題は、特定が困難であり、システム間または経時的なクロマトグラフィーの不一致をもたらし得る。
【0095】
平均密度または平均カラム圧のプロファイルを一致させる本方法を使用することは、システム圧におけるこれらの小さな変化による保持における変化を緩和し得る。
図13および
図14は、システム配管における変化に対するこの概念を説明する。内径0.007’’のカラム出口配管は、内径0.004’’の新たな配管に置き換えられた。配管内径の低下は、システム圧全体に400psiの上昇をもたらした。この圧力上昇の影響は、
図13に示され得る。同図において、より小さい内径の配管によるより高い圧力において収集されたピークは、より小さいk’値にシフトされる。保持におけるこのシフトは、
図14に示されるように、平均カラム圧を維持することにより緩和され得る。これにより、ほぼ同一の保持係数を有するピークをもたらされる。
【0096】
(実施例12)
この実施例は、システム密度における変化に対する応答での検体保持係数および選択性における影響を説明する。
【0097】
フラボン、カフェインおよびチミンを含むサンプル混合物は、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるBEH 2−EP(R)カラム(3.0×50mm、粒径1.7μm)を使用する、分析規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(ACQUITY(R)UPC
2、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手)で分離された。分離は、5% メタノール修飾剤を含む二酸化炭素移動相を使用し、4種類の流速、4種類の圧力および3種類の温度で行われた。合計48種類の条件が使用された。移動相の密度は、各セットの条件に対して決定された。検体の保持挙動をマップするのに、分離が使用された。
図15および
図16は、多数の検体についての密度変化における保持時間(
図15)および選択性(
図16)への影響を示す。
【0098】
これらの試験結果は、温度が密度におけるその独立した影響を有さないことを示唆している。このため、特定密度を達成するために、温度および圧力の両方に影響を及ぼすのに、コントローラが使用され得る。
【0099】
(実施例13)
本開示の方法および装置は、一連の分離中における移動相の平均圧力を制御するのに使用される。実験は、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手できるBEH 2−EP(R)カラム(3.0×50mm、粒径1.7μm)を備える、分析規模での二酸化炭素ベースのクロマトグラフィー機器(すなわち、ACQUITY(R)UPC
2、Waters Technologies Corporation(Milford、MA)から入手)を含む。
図1Aまたは
図1Bに示されるように、システムは、少なくとも2つの圧力センサおよび一式の命令を含むコントローラも含む。検体混合物、例えば、カフェイン(1)、カルバマゼピン(2)、ウラシル(3)、ヒドロコルチゾン(4)、プレドニゾロン(5)およびスルファニルアミド(6)を含むサンプル混合物の分離が行われる。平均カラム圧は、第1セットの条件/第1システム(すなわち、所定カラム圧)下において、この混合物の最適化された分離に対して決定される。第2セットの条件/第2システム下におけるその後の分離が行われる。この場合、所定の平均カラム圧を達成するように、平均カラム圧が(反復的または動的に)調整される。これは、第1最適化分離の品質を再現する第1選択の近似である。更なる最適化の努力は、より容易であるか、または、努力が減らされる。
【0100】
平均カラム圧は、サンプル注入前に達成される。サンプル注入後および第2セットの条件/第2システム下におけるその後の分離が進行するのと同時では、平均カラム圧は変化し得る。平均カラム圧は、数多くの要因、例えば、存在する温度勾配、二酸化炭素源からの二酸化炭素圧の低下(すなわち、タンクが減少している場合がある。)のために変化する場合があり、または、移動相は、第2セットの条件に対して非線形応答を受ける。本開示の方法および装置は、第2分離中の平均カラム圧を調整して、所定のカラム圧に戻すまたは同カラム圧を維持するのに使用される。調整は、ABPRに対して、約1秒未満であり得る間隔においてなされる。第2分離中の平均カラム圧は、第2分離全体を通して、所定の平均圧の約5%以内に保持される。