特許第6456388号(P6456388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6456388プラスチック材料製の容器のためのプリフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456388
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】プラスチック材料製の容器のためのプリフォーム
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/06 20060101AFI20190110BHJP
   B29C 49/12 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   B29C49/06
   B29C49/12
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-539551(P2016-539551)
(86)(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公表番号】特表2016-529142(P2016-529142A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014068944
(87)【国際公開番号】WO2015032897
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2017年8月22日
(31)【優先権主張番号】RM2013A000493
(32)【優先日】2013年9月5日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】503308405
【氏名又は名称】エス.アイ.ピー.エイ.ソシエタ’インダストリアリザッジオーネ プロゲッタジオーネ エ オートマジオーネ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】ガイオッティ・デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シグラー・ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ザネッテ・ディーノ・エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ヅォッパス・マッテオ
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第08857637(US,B2)
【文献】 特開2003−053823(JP,A)
【文献】 特表2013−543805(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/065162(WO,A1)
【文献】 特開2009−045877(JP,A)
【文献】 特開2013−078887(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0055369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
B29B 11/00−11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積1L未満、重量16g未満のPETボトルを延伸−ブロー成形動作によって生産するためのプラスチック材料製のプリフォームであって、前記プリフォームは、長手方向軸(X)を画定し、前記プリフォームの第1の端部に円筒形のネック(3)を備え、
− キャップをネジ留めするための、ネジ山付き端部分(8)と、
− 前記ネジ山付き端部分(8)の下の、ネックリング(9)と、
− 第1の所定の外径、および前記PETボトルにおける第1の円筒形の連結セグメントの壁の厚さと実質的に等しい第1の厚さ(t)を有する壁を有する、第1の円筒形の連結セグメント(10)と、
− 前記ブロー成形動作の前に加熱されることが意図された、プリフォーム本体と
を順に画定し、
前記プリフォーム本体は、
− 前記長手方向軸(X)に関して第1の角度(α)だけテーパ状になる外壁(21)、および前記長手方向軸(X)に関して第2の角度(β)だけテーパ状になる内壁(22)を有し、前記長手方向軸(X)上に所定の長さ(H)を有する、第2の連結セグメント(5)と、
− 前記第1の外径より小さい第2の外径および前記第1の厚さ(t)より大きい第2の厚さ(t)を有する、円筒形セグメント(4)と、
− 前記プリフォーム(2)の第2の端部を閉じる底部(6)と
を画定し、
前記第1の角度(α)は6から10°である、
前記プリフォームにおいて、
− 前記第2の厚さ(t)は1.4から1.7mmであり、
− 前記第2の角度(β)は9から13°であり、
− 前記長さ(H)は14から18.5mmである
ことを特徴とする、プリフォーム。
【請求項2】
総重量が5から10gである、請求項1に記載のプリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばブロー成形によって飲料用の小型の容器を作製するために用いられる、PETなどのプラスチック材料製または他の適切な材料製のプリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
費用対効果のため、PET容器製造者が従う方針とは、主に使い捨てであるという、容器そのものの技術的特徴を維持しながら、同時に、重量、したがって、使用する樹脂の量をできるだけ減らすことである。そうするために、必然的にますます軽いプリフォーム(中間の半完成品)が作製され、その重量はブロー成形された最終容器の重量に相当するはずである。
【0003】
飲料市場の大半を占める小型の容器、すなわち、例えば、容量1リットル未満のボトル、特に、容量25から100cl、つまり0.25から1リットル(L)の、小さいサイズのボトルの性能には、設計者らによって特に注意が払われる。具体的には、空の完成容器の最終重量が6から15gになるようなサイズを有し、COを収容せず、窒素を添加した水用ボトルにも添加しない水用ボトルにも、容器を形成する様々なゾーンに沿うように構造強度の限界まで延伸しなければならない熱可塑性材料をほとんど有さないという、満足させるのが難しい課題がある。このような容器の設計において不可欠な優先事項が、全体として、本体の壁が非常に薄い、このカテゴリーのブロー成形容器の技術的性能によって構成される。このような性能には、例えば:軸方向の負荷強度、窒素が添加されている場合は破裂強度、および径方向の変形強度が含まれる。
【0004】
最終容器およびその細部全ての適切な図面と、ブロー成形中のプラスチック材料の正確な分布を保証しなければならない、容器がブロー成形される初期プリフォームの注意深い設計とが、少量の熱可塑性材料で十分な設計性能を実現するために必要である。様々なゾーンにおける材料の特定の伸長に関する制限事項を満足させるために少量の材料をプリフォームに分布させなければならないので、最終容器、特に小型ボトルのための最終容器の正しい結果のために、プリフォームの設計も重要であることが明らかである。これが行われないと、容器の質が不良になるか、または材料の消費が過剰になる。これは、小型のボトル、すなわち、体積100cl未満、重量16g未満のボトルの場合は、最終製品の質は、壁厚の分布、特定セグメントの軸方向長さ、および壁の特定部分のテーパ角度など、プリフォームの設計パラメータまたはパラメータの組み合わせの影響を非常に受けやすいことを意味する。この種の容器については、このようなパラメータの変動は小さくても非常に重要である。さらに、これらのパラメータは、製造コスト、具体的にはブロー成形工程に関連する製造コストに有意に影響を及ぼす。
【0005】
PET製造技術では、ブロー成形されるプリフォームの形状と、ブロー成形された最終容器との間の理想的な精密なサイズ比は、最終容器の技術的性能が最高になるように考慮しなければならないことが知られている。具体的には、超えてはならないサイズ比がある:
− 軸方向延伸比(ASR)が3から3.4(限界値を含む);
− フープ延伸比(HSR)が3.8から4.4(限界値を含む);
− 総延伸比(TSR)が11.4から15.0(限界値を含む)であり、ここでTSR=ASR×HSRである。
【0006】
したがって、50clもしくは75clまたは同様の容量を有する、炭酸ガスなしの水用の容器を生産するために、必要なPETの量はボトル1つにつき約6〜10gである。その容器は、炭酸ガスなしの水用の容器である結果、非常に薄いボトル壁でもボトルが受けるストレスに耐えるのに十分であり、他の熱可塑性材料に対して非常に薄い厚さに達するまで延伸されるPETの特性を利用する。このような少量のPETの制限事項があると、ネックのサイズが、射出成形または射出圧縮成形の時点で既に最終容器のサイズであり、ブロー成形中に本体の残りの部分の延伸には関係しないことを考慮すると、使用される材料が少量なので、作製されるプリフォームは必ず、直径の狭い非常に小型で短い本体を有さなければならない;さらに、前述の延伸比は考慮される必要があるが、材料はこのような範囲の局限のゾーンで働く傾向があり、過度な延伸(最終製品の白濁を引き起こす)、材料分布の不良(ネックリングより下でありボトル底部の中央にあるゾーンで樹脂が望ましくない特定の厚さになること)、およびプリフォームをブロー成形するためのエネルギー消費の増大など、様々なタイプの瑕疵を製品に与えるリスクが大きくなる。
【0007】
さらに、利用できる材料が少量になる結果、プリフォーム本体の直径が小さくなると、ブロー成形ロッドはその十分な剛性を保証するために所与の直径を超えて小さくすることができないので、延伸−ブロー成形が難しくなる。実際に、ロッドの外径とプリフォームの内径との差が小さ過ぎる場合は、プリフォーム表面がロッドに貼り付いて、完成品が不合格になる。
【0008】
材料の量を等しい状態で内径を小さくしないために、ネックリングより下のプリフォーム壁はより薄くすべきであるが、この解決策は、現在の機械および型のせいで技術的に限界があり、このことにより、通常、本体の壁厚が2mm未満のプリフォームを射出することができない。
【0009】
実際に、従来のPET射出技術により、プリフォームのための以下のサイズ比(極値)を得ることが可能である:
a)L<100mmのときはL/t<45であり、
b)Lが100mm以上のときはL/t<50であり、
ここで、Lはmmで表すプリフォームの全長であり、tはmmで表すプリフォームの厚さである。
【0010】
射出によって壁厚2mm未満のプリフォームを得ようとすることは、射出成形型のキャビティ内で発達しPET自体の流れを妨害する摩擦力が高いので特に難しい。
【0011】
こうした摩擦力に打ち勝つために、工程のいくつかの典型的なパラメータは、所与の限度内で調節しなければならず、典型的には:
− 粘性を低下させるために所与の限度内で溶融PETの温度を上昇させること。しかし、このことは、不利な点として、プラスチック材料の腐食(decay)が進み、ボトルに収容された水の味を悪くするアセトアルデヒドを生成させること;時間サイクルを長くし機械の生産性を低下させる、冷却時間が長くなること;ばりを形成し型割り線を強調する傾向が強まること;を意味する。
− 射出圧力を上昇させること。しかし、このことは、機械的な点から、プレスベッドを閉じる力を含む、稼働中の全ての力が増大し、その結果、型も機械も摩耗および機械故障が増大することを意味する。製品の観点から、ばりを形成し型割り線を強調する傾向が強まる。最後に、化学的観点から、非常に望ましくないアセトアルデヒドの生成が大幅に増加し、その存在は最終容器にも見られる。
【0012】
このタイプの産業では、容器生産サイクルのより良いエネルギーバランスを絶え間なく探すことが非常に重要であるが、このようなサイズの小さいプリフォームを扱うことは、プリフォームから最終容器までの経過中により高い延伸比を扱うことを必要とし、エネルギー消費が高くなることを意味する。
【0013】
このように、前述の欠点を克服できる革新的なプリフォームを作製する必要性が考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の主な目的は、エネルギー利用がより少ない高品質の容器の最適なブロー成形を保証するような形状を有する、ブロー成形または延伸−ブロー成形によって容器、具体的には、小型のPETボトルを作製するための、プラスチック材料製のプリフォームを提供することである。
【0015】
本発明の別の非常に重要な目的は、射出成形型ではなく射出−圧縮成形型によって製造するための、最適により軽量に作製されるプリフォームを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明は、最終体積1l以下、重量16g未満のボトルを延伸−ブロー成形動作によって生産するように適合されたPET製のプリフォームであって、プリフォームは長手方向軸を画定し、その第1の端部に円筒形のネックを備え、
− キャップをネジ留めするための、ネジ山付き端部分と、
− 前記ネジ山付き端部分の下の、ネックリングと、
− 第1の所定の外径、および同じゾーンではブロー成形後のボトルの厚さと実質的に等しい厚さtの壁を有する、第1の円筒形の連結セグメントと、
− ブロー成形動作の前に加熱されることが意図された、プリフォーム本体と
を順に画定し、
プリフォーム本体は、
− 長手方向軸に関して第1の角度だけテーパ状になる外壁、および長手方向軸に関して第2の角度だけテーパ状になる内壁を有し、長手方向軸上に投影される所定の長さHを有する、第2の連結セグメントと、
− 前記第1の外径より小さい第2の外径および第1の厚さtより大きい第2の所定の厚さtを有する、円筒形セグメントと、
− プリフォームの第2の端部を閉じる、底部と
を画定する、
プリフォームにおいて、
− 第2の厚さtは1.9mm未満であり、
− 第1の角度は6から17°であり、
− 第2の角度は9から21°であり、
− 長さHは10から20mmである
ことを特徴とする、プリフォーム
を作製することによって前述の目的を達成する。
【0017】
有利なことに、既知のプリフォームに対して、特定のサイズのパラメータの革新的な組み合わせによって決定される本発明のプリフォームの形状により以下のことが可能になる:
− 適切な材料特性を従来技術と同等に維持しながら、既知の技術では重量10から20gであるボトルの最終容器の総重量を5から10グラムさらに減らすこと;
− 最適の設計プロセスの変化の影響をあまり受けずに良好なボトルの結果を得るように、ブロー成形のプロセスウィンドウがより広い、すなわち、パラメータの変動性の範囲がより広いこと;
− 延伸ロッドとプリフォーム本体の内側との間の干渉または接触のリスクが低くなること;
− ブロー成形前にプリフォームがとらなければならない温度がより低いので成形機の効率が高くなること;
− 真珠光沢および型割り線を大幅に低減させることによって最終容器の質が良くなること;
− 容器を生産するためのエネルギー消費が低くなること。
【0018】
従属請求項は本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0019】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら非限定的な例によって示される、プラスチック材料製のプリフォームの好ましいが排他的ではない実施形態の詳細な説明の点から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明によるプリフォームの側面図である。
図2図1のプリフォームの断面図である。
図3図2の断面の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図中の同じ参照番号は同じ要素を特定する。
【0022】
全体が参照番号1で示されている熱可塑性材料製のプリフォームの第1の実施形態が、図面を参照しながら示される。本明細書では以下に、図面に示されたプリフォームの配置に対してのみ、「上(up)」および「下(down)」ならびに「上側(upper)」および「下側(lower)」と記載する。これは本発明のより良い理解のためであり、本発明を全く限定するものではない。
【0023】
例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)製の、またはPETと同様の特性を有する任意の他の適切な熱可塑性材料製のプリフォーム1は、長手方向軸Xを画定し、ネック2を備える。ネック2は管状の円筒形部分3の上部で終端し、円筒形部分3はネジ山付き密閉キャップによってシールされるのに適している。その密閉キャップは、一般に知られるように、密閉キャップそのものと不正開封防止リングとから構成され、そのリングは切り込みの入った一連の接続継ぎ目によってキャップにつながっている。このような継ぎ目の機能は、キャップを完全にシールすることおよびボトルキャップの不正開封の可能性を無くすことを保証することである。
【0024】
円筒形の管状セグメント3は、ねじ山付きキャップがネジ留めされるネジ山付き端部分8と、環状リッジまたはネックリング9とを備える。ネックリング9は、当業者にはよく知られているように、適切な手段、例えば、それ自体が当業者には広く知られているグリッパを用いて取り扱うために把持および載置を保証する機能を有する。ネックリング9はさらに、長手方向のガイド上を摺動できるような形状になっており、そのガイドは、容器生産システムの下流に進む間にボトルを支持および保持するためにボトルのネックを両側で支持する。
【0025】
ネジ山付き端部分8のネジ山は、ネックの終端縁部を密閉キャップに設けられた環状の着座部に挿入して流体の放出または導入の場合に最適のシーリングを確保することが可能になるように、ネック2の開口端から所定の距離の位置で始まる。
【0026】
ネックリング9の下に円筒形部分10が配置される。円筒形部分10の機能は、上側部分でブロー成形型の厚さと嵌まり合うことと、ボトルがやはり長手方向の前進ガイドおよび搬送ガイド上を摺動可能になるように隙間を残すように環状リッジ9と協働することである。そのガイドは、ブロー成形後の容器製造システムの下流に配置することができる。
【0027】
より詳細には、この円筒形部分10は、実質的に円錐台の形状である移行セグメント5を有する状態で、ネックリング9と連結セクションの平面11との間に設けられる。
【0028】
ネックリング9の下面と連結セクションの平面11との間を測定した円筒形部分10の高さは、ブロー成形型の上側壁の厚さとシステム内で用いられる搬送ガイドの厚さとを足したものより大きい。円筒形部分10の内径dは、ネジ山付き端部分8の内径d以下である。
【0029】
ネック2、ネックリング9および円筒形セグメント10は、プリフォームのうちの、プリフォーム射出成形型の出口で既に最終ボトルに対応する最終サイズを呈しブロー成形中にそのサイズおよび形状を変化させない部分である。このようにして、円筒形セグメント10のうちの連結セクションの平面11に近い方の下側部分が加熱および軟化されるときにも、プリフォームを取り扱うことができることが保証される。
【0030】
円筒形セグメント10のゾーンでは、プリフォームは、容器のブロー成形を可能にする設計温度まで加熱しなければならない本体と、温度が周囲温度とほぼ等しいままのネックリング2の上側部分との間の境界ゾーンを有する。ブロー成形動作中は、円筒形パート10より下のプリフォーム本体は、約40バールに達することがある高圧空気の影響によって変形される。この圧力は、実質的に線11から始まってプリフォームの下側端部までプリフォーム本体を変形し、したがって、容器またはボトルのいずれかの形状になるまでプリフォームの本体4の壁を長くかつ薄くする。このブロー成形動作では、この円筒形セグメント10が存在することにより、確実に、熱は、できるだけ剛性を維持しなければならないネックリングおよびネックにあまり伝達されることはなく、ネックリングより下のプリフォームを囲繞するブロー成形型の上側壁にプリフォームの壁が沿うことを可能にしなければならず、そうすることで、プリフォームの壁には、図1から図3に示す位置から、本体4のゾーンがネック2の直径よりずっと大きい直径まで拡張したボトルの最終形状になるようなヒンジ様の動きを実行させる。このような円筒形パートの温度が、ネックの剛性が犠牲にされるような決まったレベルを超えるほど上昇することを妨げるように注意が払われるので、円筒形パート10の壁厚は大幅に減少することも伸長することもない。具体的には、連結セクション11は、移行セグメント5および管状の円筒形セグメント3の下側端部の境界を定める円形の線上に位置決めされる。円筒形セグメント3は外径(d+2t)を有し、ここで、tは円筒形部分10の厚さであり、t、アルファ角度、ベータ角度、およびHの値を固定したことによって幾何学的に明白に決まる。前記移行セグメント5は、内径および外径がそれぞれ環状部分10の内径dおよび外径(d+2t)に対して徐々に小さくなりながら下向きに延在する。その下側端部では、移行セグメント5は内径dおよび外径dを有する。
【0031】
上記で言及したように、良好な質の最終製品、すなわちボトルを実現するために、小型のボトルの場合、プリフォームの設計パラメータを注意深く選択することが非常に重要になる。有利には、最適のブロー成形を保証するためにプリフォームが有さなければならない特徴を、図3の断面図を参照しながら次に説明する:
− 移行セグメント5の外面21と環状部分10の外面の延長部分20との間の、軸Xを含む断面上に画定される角度αは、6から17°であり、
− 移行セグメント5の内面22と環状部分10の外面の延長部分20との間の、前記断面上に画定される角度βは、9から21°であり、
− 軸Xに沿った移行セグメント5の長さHは10と20mmとの間になるように構成される。
【0032】
以下のサイズを有するプリフォームがさらに有利である:
第2の厚さtは1.2から1.9mmであり、第1の角度(α)は6°から13.5°であり、第2の角度(β)は9°から16°であり、長さHは14から20mmである。
【0033】
また、以下のサイズを有するプリフォームがさらに有利である:第2の厚さtは1.4から1.7mmであり、第1の角度(α)は6°から10°であり、第2の角度(β)は9°から13°であり、長さHは14から18.5mmである。
【0034】
この2つの角度αおよびβならびに長さHを特別に選択することは、良好な材料の分布を伴うより効果的な加熱を実現することを可能にするので、特に小型のボトルにとって有利であることが分かっている。実際に、この角度はプリフォームの対称軸Xほど傾斜していないため、ネックリング9より下のゾーンにおいてプリフォーム2の側面に沿って配置される加熱ランプ(図示しないが、当業者にはよく知られている)は、従来技術のプリフォームよりプリフォームの表面に近くなる。それとは異なり、従来技術では、本体のうちネックリングより下の部分がよりテーパ状であり、したがって、ランプから離れている。プリフォームの表面に近くないと、本体を等しい温度にするようにプリフォームを加熱するために、加熱ランプの出力を上昇させる必要が生じることになり、エネルギーの浪費が大きくなる。このように、本発明のプリフォーム本体のネックリング5より下のゾーンの形状を選択することにより、加熱ランプの出力、具体的には、ネックリングの最も近くにあるランプの出力を低下させることが可能になり、できるだけ剛性を維持しなければならない円筒形のゾーン10およびネックリング9に過剰に熱を伝達するリスクが低下する。実際に、本体のゾーン5のテーパ状態を本発明のために選択することにより、プリフォーム2の加熱動作において20%のエネルギーを削減できることが分かっている。
【0035】
さらなる利点は、プリフォーム本体4の厚さtが1.9mm以下であり、好ましくは1.4から1.9mmであることである。この厚さtの選択は、必要な範囲内の延伸比を保証するので有利であることが分かっている。
【0036】
より詳細には、プリフォーム本体4は、連結セグメント5が終端する、ネックリング9から遠位にある線と、底部6が終端する、ネックリング9の近位にある線との間に構成される。プリフォーム本体4の壁厚tは一定であり、具体的には、下に向かうほどテーパ状になる連結セグメント5のうちネックリング9から遠位にある方の端部の厚さと比べると、最大厚さでもある。
【0037】
プリフォーム2の本体の壁厚を1.9mm未満にすることは、現在では射出圧縮システムおよび射出成形型によって実現され、この厚さによりプリフォーム本体の他の部分について上記で説明したサイズにすることが可能になる(従来の射出成形型では実現が難しい)。その射出成形型は、ALDとして知られる技術を用いて、1つまたは複数の合金ナノ層で被覆される。合金ナノ層により、例えば、型の壁にPETが貼り付くことを軽減し、したがって、こうした壁厚の値を実現することができる。
【0038】
軸Xに沿って測定したプリフォーム2の本体4の底部6の長さHは必ず、プリフォームのために用いられる材料の量から導き出され、その量は必ず、得る必要がある完成品容器の設計に従って定められる。底部6のゾーンの厚さは、好ましくは、厚さtに等しく、移行セグメント5の下側端部の内径dよりわずかに小さい内径dと、移行セグメント5の下側端部の外径dよりわずかに小さい外径d+2tが選択される。
【0039】
本発明によるプリフォームを選択することは、本明細書で説明する理由から、ブロー成形サイクルにおいてエネルギー削減も保証する。本体のサイズ、長さおよび直径がより大きく材料の重量が等しいプリフォームを扱うことにより、PETの前述の実現可能な範囲内に残りながらより小さい延伸比でブロー成形することが可能になる。延伸比がより小さいと、材料があまり冷却されず安定性がより高い状態で、プリフォーム本体の壁が速くブロー成形型の内壁に達することが可能になる。したがって、最終ボトルの壁はより薄くなり、用いられる加熱エネルギーは、急速に冷却されるゾーン、すなわち、スプルゾーンまたはボトル型の底部の中央のゾーンにおいても等しくなり、これらのゾーンでは、一般に、従来技術のボトルではPETの不要な蓄積が見られる。この利点により、同じ構造の特徴を有する同じサイズのボトルを得るための使用する材料を少なくすることができ、これは10%に達することがある材料の削減に相当する。必要な場合は、最終容器の構造の特徴のわずかな腐食(decay)を考慮に入れることによって、さらに30%を超える材料を削減することが可能である。より低い延伸比およびより薄いプリフォーム壁を扱うことは、第2のブロー成形段階で用いられる圧力が低くなることも意味し、その圧力は、26から32バールである代わりに、本発明によるプリフォームの場合は16から20バールである。
【0040】
出力がより大きいランプを使用すると、円筒形パート10のうちネックリング9から最も遠いゾーンを加熱して、材料がより低温のネックリングより下のゾーンを作り出すことになり、したがって、材料の淀みが大きくなり、そうなると、ボトルの肩部分でも型の壁に沿って材料の分布が不良になる。ネックリングより下のゾーンに残る材料が多すぎると、ボトル型の底部のプロフィルに沿って分布する材料が少なくなり、底部が薄くなり過ぎ、ボトル単体の重量に耐えるのに、さらに様々な高さに積まれるボトルの重量に耐えるのにあまり適さなくなるという不利点が生じる。その代わりに、円筒形パート10のゾーンに出力の小さい加熱ランプを使用することも、このゾーンがより良好に加熱され、したがって、連結セクションの平面11のゾーンでより良好な可塑化を実現して、ブロー成形の結果を改善し、ネックから最も遠い位置に配置されたボトルのゾーンでもより良好な材料の分布を実現するという有利な点を有する。
【0041】
エネルギー削減に対する別の寄与は、延伸ロッドが直径のより大きいプリフォーム本体に挿入され、したがって、不良の不合格品を増やすプリフォームの内壁との干渉が生じることで場合によっては貼り付くというリスクが低下することである。

図1
図2
図3