(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るサムネイル画像表示装置、サムネイル画像表示装置の制御方法及びコンピュータの制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、サムネイル画像表示装置100の斜視図の一例である。
【0016】
サムネイル画像表示装置100は、原稿台110及び表示装置120等を有する。本実施形態ではスキャナを例として、スキャン(撮像)した画像をサムネイル画像により選択する処理を中心に説明する。
【0017】
原稿台110は、撮像(スキャン)の対象となる複数枚の原稿を載置可能な台である。表示装置120は表示部の一例である。表示装置120は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0018】
図2は、サムネイル画像表示装置100の概略構成の一例を示す図である。
【0019】
サムネイル画像表示装置100は、前述した構成に加えて、入力装置130、撮像装置140、AFE(Analog Front End)150、画像メモリ160、インタフェース装置170、記憶装置180及びCPU(Control Processing Unit)190等を有する。
【0020】
入力装置130はユーザによる表示装置120に対する操作を検出し、検出した内容を所定間隔の信号として出力する。また、表示装置120及び入力装置130はタッチパネルのように一体化されて構成されてもよい。
【0021】
撮像装置140は撮像部の一例である。撮像装置140は、主走査方向に略直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)からなる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。この撮像センサは原稿を撮像し、RGB各色に対応するアナログの画像信号を生成して出力する。なお、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。
【0022】
AFE150は、撮像装置140から出力された各アナログ値をデジタル値に変換して画素データを生成し、生成した各画素データから構成される画像データを生成する。
【0023】
画像メモリ160は、不揮発性半導体メモリ、揮発性半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶装置を有する。画像メモリ160は、AFE150により生成された入力画像を保存する。
【0024】
インタフェース装置170は、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、外部のコンピュータ等と電気的に接続して画像データ及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置170の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信装置が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0025】
記憶装置180は記憶部の一例である。記憶装置180は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置180には、サムネイル画像表示装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置180にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等である。
【0026】
記憶装置180は、サムネイル画像データ及び画像データを対応付けて記憶する記憶領域185、及び、1つの表示画面に対応する表示用メモリ186を有する(記憶領域185及び表示用メモリ186は不図示)。なお、画像データはAFE150により生成された画像データであり、サムネイル画像データはAFE150により生成された画像データに基づいて生成されたサムネイル画像データであってもよい。
【0027】
CPU190は、予め記憶装置180に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU190に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてよい。また、CPU190に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0028】
CPU190は、入力装置130、表示装置120、撮像装置140、AFE150、画像メモリ160、インタフェース装置170及び記憶装置180等と接続され、これらの各部を制御する。CPU190は、撮像装置140の原稿読取制御、インタフェース装置170を介した外部のコンピュータ等とのデータ送受信制御等を行う。
【0029】
図3は、記憶装置180及びCPU190の概略構成の一例を示す図である。
【0030】
図3に示すように、記憶装置180には、検出プログラム181及び制御プログラム182等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU190は、記憶装置180に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、CPU190は、検出部191及び制御部192として機能する。
【0031】
図4は、識別子とサムネイル画像との対応表の一例を示す図である。
【0032】
図4に示すように、記憶装置180は、表示装置120に表示可能な複数のサムネイル画像と、各サムネイル画像に対応する識別子とを関連付けて記憶する。サムネイル画像は、サムネイル画像のファイル名によって識別される。識別子は、例えば撮像された複数枚の原稿のページ数を示す。
【0033】
なお、識別子は数字に限らず、文字、記号等であってもよい。また、サムネイル画像と識別子との対応付けは、表以外の方法、例えば、サムネイル画像のファイル名の本体(ファイル名が1.jpgの場合は“1”)を識別子として用いる方法により実現してもよい。
【0034】
図5は、表示装置120に表示される表示画面400の一例を示す図である。
【0035】
表示画面400は、タイトル表示域410、サムネイル画像表示域420、及びスクロール表示域430を含む。タイトル表示域410は、表示されている画面の処理内容等を表示する領域である。タイトル表示域410には終了ボタン411が設けられており、終了ボタン411が選択されるとサムネイル画像の表示処理は終了する。
【0036】
サムネイル画像表示域420は、サムネイル画像表示枠421及びサムネイル画像422を表示する領域であり、タイトル表示域410の下に配置される。1つのサムネイル画像表示枠421の中には1つのサムネイル画像422が表示される。サムネイル画像422及びサムネイル画像表示枠421は、1つの表示画面400に1つだけ表示されても複数表示されてもよく、
図5ではそれぞれ6つ表示されている。また、サムネイル画像表示枠421の中には、サムネイル画像422に対応する識別子をサムネイル画像422と対応付けて表示する識別子表示域423が配置される。
【0037】
スクロール表示域430は、スクロールバー431及びスライダ432を表示する領域であり、タイトル表示域410の下側且つサムネイル画像表示域420の右側に配置される。スクロールバー431は、選択可能な全てのサムネイル画像422に対応し、スライダ432は、現在表示されているサムネイル画像422が選択可能な全てのサムネイル画像422の中でどの位置にあるかを示す。
【0038】
なお、以後の説明において、表示画面400の左右方向をX方向、上下方向をY方向と称することがある。
【0039】
図5に示した表示画面400は、サムネイル画像422を表示して選択を開始する際の初期画面の例である。なお、サムネイル画像表示域420の左上に、識別子「7」、「10」に対応するサムネイル画像422等、「1」とは異なる識別子に対応するサムネイル画像422が表示されることもある。
【0040】
図6は、タッチ動作、パン動作及びフリック動作を示す図である。ユーザによる表示装置120に対するタッチ動作及びパン動作を含む動作は、入力装置130から所定間隔Aで出力される信号に基づいて、検出部191により検出される。
【0041】
<タッチ動作について>
タッチ動作とは、ユーザが表示装置120に指で触れる動作を指す。指で触れた位置をタッチ位置と称する。
【0042】
ユーザが指で表示装置120に初めて触れると(
図6(a))、入力装置130は最初のタッチ位置である第1タッチ位置301を示す座標値を含む信号を検出部191に出力する。これにより、検出部191はタッチの開始を検出する。次に入力装置130がタッチを検出する時点で、表示装置120上の指の位置が移動していると(
図6(b))、入力装置130は、次のタッチ位置である第2タッチ位置302を示す座標値を含む信号を検出部191に出力する。検出部191は、ユーザによるタッチ動作が継続していること、及び、第1タッチ位置301の座標値及び第2タッチ位置302の座標値が異なることから、第2タッチ位置302が第1タッチ位置301から移動したことを検出する。以後、入力装置130から出力される所定間隔Aの信号に基づいて、検出部191は新たなタッチ位置の検出を実行する。
【0043】
<パン動作について>
パン動作とは、指を表示装置120に触れたまま、最初のタッチ位置から所定距離以上離れた位置に移動させる動作を指す。パン動作は、指を表示装置120から離すと終了する。
【0044】
検出部191は、タッチ動作が継続していることを検出し、且つ、新たなタッチ位置である第3タッチ位置303が第1タッチ位置301から所定距離B以上移動したこと(
図6(c))を初めて検出すると、パン動作の開始を検出する。以後、タッチ動作が継続している限り、検出部191はパン動作が継続していると判定する。
【0045】
ユーザが位置304で表示装置120から指を離すと(
図6(d))、入力装置130は、指が離れたことを示す信号及び指が離れた位置304の座標を検出部191に出力する。信号を受信した検出部191は、ユーザによるタッチ動作及びパン動作が終了したことを検出する。
【0046】
<フリック動作について>
フリック動作とは、指を表示装置120に触れた状態から離し、且つ、離れた際の指の移動速度(表示装置120の面に平行な方向の移動速度)が所定速度以上である動作を指す。
【0047】
ユーザが第3タッチ位置303において表示装置120に指で触れ、位置304で表示装置120から指を離し(
図6(d))、且つ、指が離れたときの移動速度が所定速度D以上の場合、検出部191はフリック動作が行われたことを検出する。移動速度が所定速度D以上の場合とは、1つ前の第3タッチ位置303(所定間隔Aで通知された1つ前の座標)から指が離れた位置304までの移動距離が所定距離C以上の場合である。
【0048】
本実施形態において、入力装置130が信号を出力する所定間隔A、制御部192がパン動作の開始を検出する所定距離B、及び制御部192がフリック動作を検出する所定距離C・所定速度Dは、それぞれ表1に示す通りである。なお、本実施形態においてパン動作及びフリック動作等が行われる表示装置120の画面サイズは、幅:272ピクセル、高さ:460ピクセルとする。
【0050】
図7はサムネイル画像表示処理の動作の一例を示すフローチャートであり、
図8は
図7のステップS207の詳細の一例を示すフローチャートである。また、
図9はパン動作に伴う表示画面400の遷移の一例を示す図であり、
図10はフリック動作に伴う表示画面400の遷移の一例を示す図である。以下、
図7及び
図8に示したフローチャート及び
図9及び
図10に示した表示画面400の遷移を示す図を参照しつつ、サムネイル画像表示処理の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置180に記憶されているプログラムに基づき主にCPU190によりサムネイル画像表示装置100の各要素と協働して実行される。
【0051】
最初に、制御部192は、記憶装置180に記憶されているサムネイル画像データを使用して、画像データを選択するための表示画面400のうち初期画面を表示装置120に表示する(ステップS201。初期画面の例は
図5参照)。
【0052】
入力装置130がユーザによる操作を検出した結果に基づいて、検出部191は、ユーザによるサムネイル画像表示域420に対するタッチ動作の開始を検出する(ステップS202)。検出部191は、タッチ動作の開始を検出すると、タッチ動作の開始を検出した際の座標値であるタッチ位置を記憶装置180に記憶する(ステップS203)。
【0053】
次に、検出部191はタッチの状態を検出する(ステップS204)。検出部191がタッチ動作の継続及びステップS202のタッチ位置からの所定距離B以上の移動を検出した場合(ステップS205のY)、制御部192は、識別子440を表示装置120に表示する(ステップS206)。ここで、制御部192は、表示装置120に表示されていたサムネイル画像422を変更せずに、表示されていたサムネイル画像422の何れかに対応する識別子440を表示する。所定距離Bについては、表1参照。また、ステップS205がYになった場合、検出部191はパン動作の開始を検出する。
【0054】
ステップS206において表示装置120に表示される表示画面400の例を
図9(b)に示す。
図9(b)の例では、サムネイル画像表示域420の中央部の矩形の中に、一番目のサムネイル画像に対応する識別子440が表示されている。識別子440の背景は透過色であり、元から表示されていたサムネイル画像422等は識別子440の背景部分から視認可能である。制御部192は、例えば表示装置120の有する複数レイヤの多重表示機能を用いてこの表示を行う。なお、識別子440の大きさをサムネイル画像表示域420より小さくすることにより、識別子の変更時における画面表示の更新処理の演算処理量を減らすことが可能である。また、識別子440の背景を非透過色としても良い。
【0055】
次に、制御部192は、検出部191の検出したタッチ動作が終了するまで、タッチの状態に基づいてフリック動作が発生したか否かの判定、及び、パン動作及びフリック動作に伴う表示画面400の表示内容の変更を行う(ステップS207)。この判定及び変更の詳細については
図8を用いて後述する。
【0056】
ステップS207の実行後の状態は以下の3つの場合に分類される。
(1)ステップS206で表示された識別子440と異なる識別子440が表示され、それに伴い、ステップS207の実行後に表示されるサムネイル画像422は、ステップS204で表示されていなかった新たなサムネイル画像422を含む場合。
(2)ステップS206で表示された識別子440と異なる識別子440が表示されたが、ステップS207の実行後に表示されるサムネイル画像422は、ステップS204で表示されていたサムネイル画像422と同一である場合。
(3)ステップS206で表示された識別子440と同一の識別子440が表示されたため、ステップS207の実行後に表示されるサムネイル画像422は、ステップS204で表示されていたサムネイル画像422と同一である場合。
【0057】
(1)の場合、すなわち、新たなサムネイル画像422を表示装置120に表示する場合(ステップS208のY)、制御部192は、表示画面400に含まれるサムネイル画像の画像データを記憶装置180の記憶領域185から表示用メモリ186にロードする。そして、制御部192は、表示用メモリ186にロードされたデータを用いて、新たな表示画面400を表示装置120に表示する(ステップS209)。例えば、ステップS207で検出部191がパン動作の終了を検出した場合、制御部192は、表示装置120に表示されている識別子440に対応するサムネイル画像422を記憶装置180から読み出して表示装置120に表示する。また、ステップS207で制御部192がフリック動作による識別子440の変更表示を終了した場合、表示装置120に表示されている識別子440に対応するサムネイル画像422を記憶装置180から読み出して表示装置120に表示する。
【0058】
(2)及び(3)の場合、すなわち、新たなサムネイル画像を表示画面400に表示しない場合(ステップS208のN)、制御部192は、上述したステップS209の動作を行わない。
【0059】
なお、(2)の一例は、識別子440の値が記憶された識別子全体の末尾又は先頭に近いため、識別子440の値を変更しても、ステップS204で表示されていたものと同一のサムネイル画像422の組がステップS209において表示される場合である。例えば、ステップS204〜S206で表示されるサムネイル画像422の組は識別子「25」〜「30」に対応し、ステップS206で表示される識別子は「25」であり、ステップS207の実行の結果、表示される識別子が「25」から「30」に変更され、「30」が表示された状態で指が離された場合である。この場合、識別子440は変更されても、ステップS207の実行後に表示されるサムネイル画像422は、識別子の値「25」〜「30」に対応するサムネイル画像422のままである。
【0060】
次に、制御部192は、識別子440を非表示とし(ステップS210)、処理はステップS202のタッチの開始の検出に戻る。
図7のステップS207でパン動作が実行された後、ステップS210において表示装置120に表示される表示画面400の例を
図9(d)に示す。
図7のステップS207でフリック動作が実行された後、ステップS210において表示装置120に表示される表示画面400の例を
図10(e)に示す。
【0061】
ステップS202〜ステップS204の処理の後、ステップS205の判定結果がNの場合、制御部192は、検出部191がタッチ動作の終了を検出したか否かを判定する(ステップS211)。ステップS205の判定結果がNの場合とは、ステップS202のタッチ位置からの所定距離B以上の移動を検出しない場合である。所定距離Bについては、表1参照。
【0062】
検出部191がタッチ動作の終了を検出していない場合(ステップS211のN)、処理はステップS204に戻り、検出部191はタッチの新たな状態を検出する。
【0063】
タッチ動作の終了を検出した場合(ステップS211のY)、制御部192はステップS202におけるタッチ位置とステップS204における最後のタッチ位置とが同一のサムネイル画像表示枠421の内部にあるか否かを判定する(ステップS212)。
【0064】
ステップS202におけるタッチ位置とステップS204における最後のタッチ位置とが同一のサムネイル画像表示枠421の内部にない場合(ステップS212のN)、処理はステップS202に戻り、検出部191はタッチ動作の開始を検出する。
【0065】
ステップS202のタッチ位置とステップS204の最後のタッチ位置とが同一のサムネイル画像表示枠421の内部にある場合(ステップS212のY)、制御部192はサムネイル画像表示枠421内部のサムネイル画像422が選択されたと判定する。そして、制御部192は、サムネイル画像422に対応する画像データを記憶装置180から表示用メモリ186に読み込み、表示装置120に表示する(ステップS213)。これにより一連のステップを終了する。
【0066】
図9(d)の表示画面400が表示装置120に表示された状態で、ステップS213において識別子「10」に対応するサムネイル画像422を選択したときに表示装置120に表示される表示画面400の例を
図9(e)に示す。
【0067】
また、
図10(e)の表示画面400が表示装置120に表示された状態で、ステップS213において識別子「14」に対応するサムネイル画像422を選択したときに表示装置120に表示される表示画面400の例を
図10(f)に示す。
【0068】
図8は、
図7のステップS207の詳細を示すフローチャートである。以下、
図8に示したフローチャートを参照しつつ、フリック動作が発生したか否かの判定、及び、パン動作及びフリック動作に伴う表示画面400の表示内容の変更の動作を説明する。
【0069】
最初に、検出部191がステップS202のタッチ位置から所定距離E以上の移動を検出した場合(ステップS301のY)、検出部191はステップS202のタッチ位置からの移動方向と移動距離を検出し、制御部192は識別子440を変更する(ステップS302)。すなわち、制御部192は、検出部191がステップS202でタッチ動作を検出してからステップS205のYでパン動作を検出した場合、パン動作の移動方向及び移動距離に応じて識別子440を変更して表示装置120に表示する。ステップS302において表示装置120に表示される表示画面400の例を
図9(c)に示す。
図9(c)の例では、
図9(b)でユーザが上方向にパン動作を行うことにより識別子440が1→2→3→…と増加し、10が表示されている。所定距離Eについては、表1参照。
【0070】
ステップS302において、制御部192は、
図9(a)の表示画面400においてスライダ432が移動可能な方向の成分(Y方向の成分)のみに基づいて移動方向を判定してもよく、また、移動距離を算出してもよい。また、指の移動方向と識別子440の増減との関係は、タッチした指を上方に動かしたときに識別子440の値を減少させ、下方に動かしたときに識別子440の値を増加させる関係でもよい。また、タッチした指を右に動かすと識別子440の値が増加し、左に動かすと減少するなど、識別子440の値の増加及び減少をタッチ位置の左右方向の移動に対応付けてもよい。
【0071】
次に、検出部191はタッチの状態を検出する(ステップS303)。検出部191がタッチ動作の終了を検出しなかった場合 (ステップS304のN)、処理はステップS301に戻る。
【0072】
検出部191がタッチ動作の終了を検出した場合、すなわち、指が離れた場合(ステップS304のY)、制御部192は、指が離れる直前に検出部191から通知されたタッチ位置から指が離れた位置までの移動量を元に算出した移動速度が所定速度Dより遅いか否かを判定する(ステップS305)。移動速度が所定速度Dより遅い場合(ステップS305のY)、検出部191はパン動作の終了を検出し、ステップS207の処理は終了する。所定距離Dについては、表1参照。
【0073】
移動速度が所定速度D以上の場合(ステップS305のN)、検出部191は、パン動作の終了及びフリック動作を検出し、制御部192は識別子440を変更する(ステップS306)。すなわち、制御部192は、検出部191がステップS202でタッチ動作を検出してからステップS305でフリック動作を検出した場合、フリック動作の移動方向及び移動速度に応じて識別子440を変更して表示装置120に表示する。ステップS302において表示装置120に表示される表示画面400の例を
図10(c)に示す。
図10(c)の例では、
図10(b)でユーザが上方向にフリック動作を行うことにより識別子440が1→2→3→…と増加し、10が表示されている。なお、フリック動作は、パン動作に引き続いて検出される場合も、パン動作を検出することなく検出される場合もある。
【0074】
次に、検出部191はタッチの状態を検出する(ステップS307)。検出部191がサムネイル画像表示域420へのタッチ動作を検出した場合(ステップS308のY)、制御部192はフリック動作に伴う識別子440の変更処理を終了し(ステップS309)、処理はS303に戻る。フリック動作に伴う識別子440の変更処理はステップS310の説明として後述する。ステップS309においては、フリック動作の検出後、タッチ動作を検出した時点までの識別子440の変更を有効とする。
【0075】
検出部191がサムネイル画像表示域420へのタッチ動作を検出しなかった場合 (ステップS308のN)、制御部192は、所定時間G毎に識別子440を自動的に変更し、識別子440を変更する速度も変更する(ステップS310)。識別子440を変更する速度については後述する。
図8のステップS310において表示装置120に表示される表示画面400の例を
図10(c)に示す。所定距離Dについては、表1参照。
【0076】
ステップS310において変更された新たな変更速度が0より大きい場合(ステップS311のN)、処理はステップS307に戻る。新たな変更速度が0以下の場合(ステップS311のY)、制御部192は識別子440の変更を終了する。識別子440の変更を終了した際に表示装置120に表示される表示画面400の例を
図10(d)に示す。
図10(d)の例では、
図10(c)の後に識別子440が自動的に変更され、変更速度が0以下になったときには14が表示されている。
【0077】
以上のようにステップS207の処理は実行され、
図7及び
図8に示したフローチャートにより、サムネイル画像の表示処理が実現される。特に、ステップS302及びステップS306により、新たなサムネイル画像422を表示することなく識別子440のみが変更され、識別子440の変更が終了した後に新たなサムネイル画像422が表示される。このため、パン動作又はフリック動作による識別子440の変更中に、表示される識別子440に対応するサムネイル画像を記憶装置180からロードする必要がなく、メモリ容量が少なくてもサムネイル画像の表示を良好に行うことが可能となった。
【0078】
なお、本実施形態ではパン動作及びフリック動作の両方を検出する例について記載したが、これに限らず、パン動作のみ、又はフリック動作のみを検出してもよい。
【0079】
また、本実施形態では、パン動作において識別子を変更する際の移動内容として移動方向及び移動距離を使用したが、これに限らず、移動方向のみ又は移動距離のみを使用してもよい。同様に、本実施形態では、フリック動作において識別子を変更する際の移動内容として移動方向及び移動速度を使用したが、これに限らず、移動方向のみ又は移動速度のみを使用してもよい。
【0080】
また、ステップS207でパン動作が終了したとき、又は、フリック動作による識別子440の変更表示が終了したときに表示されていた識別子440に対応するサムネイル画像の表示位置は、左上に限らずその他の位置でもよい。例えば、奇数の識別子に対応するサムネイル画像は左、偶数の識別子に対応するサムネイル画像は右に表示する規則に基づいて、
図9(d)の左上に識別子「9」に対応するサムネイル画像、右上に識別子「10」に対応するサムネイル画像を表示してもよい。また、パン動作が終了したとき、又は、フリック動作による識別子440の変更表示が終了したときに表示されていた識別子440より前の識別子に対応するサムネイル画像が表示されてもよい。
【0081】
また、ステップS306における識別子440の変更は、以下(a)及び(b)の計算方法に基づいて実行される。
(a)識別子の増減方向:指が離れる直前のタッチ位置から指が離れた位置への移動において、Y方向の成分が減少すれば識別子の値を増加させ、増加すれば識別子の値を減少させる。
(b)識別子の値:指が離れる直前のタッチ位置から指が離れた位置へのY方向の移動量に基づき指の移動速度を算出し、さらに所定倍率Fを乗じた値に基づいて、自動表示変更(慣性移動)の初速(所定時間Gに何ピクセル移動するか)を決定する。ここで、変更速度(初速及び減速率(=所定ピクセル数H/所定時間G)により求めた速度)と経過時間とにより累積の移動距離を求め、この移動距離から識別子の値の算出が可能である。所定倍率F、所定時間G、及び所定ピクセル数Hについては、表1参照。
【0082】
また、ステップS310の処理は、例えば、制御部192が、所定時間G毎に、速度(所定時間Gに何ピクセル移動するか)を算出するためのピクセル数から所定ピクセル数Hを減少させることにより実行してもよい。これにより、フリック操作後、ユーザが表示装置120に新たにタッチすることなく、識別子440の変更を終了できる。所定時間G、所定ピクセル数Hについては、表1参照。
【0083】
<第2実施形態>
図11は、パン動作に伴う表示画面400の遷移の他の一例を示す図である。以下に説明する点を除き、原則第2実施形態の処理は第1実施形態の処理と同じである。
【0084】
図11(a)は、
図7のステップS201における初期画面の例を示す。
図11(a)の表示画面400には、
図9(a)のスクロール表示域430、スクロールバー431及びスライダ432が存在しない。
【0085】
図11(b)は、
図7のステップS206における表示画面400の例を示す。ステップS206において、制御部192は、
図11(b)のサムネイル画像表示域420を、
図11(a)のサムネイル画像表示域420より暗くして表示する。
【0086】
また、制御部192は、
図11(b)の識別子440及び背景バー451をサムネイル画像表示域420に重ねて表示装置120に表示する。この際、制御部192は、
図7のステップS204で検出したタッチ位置と重ならないように、識別子440及び背景バー451の位置を決定する。識別子440は、表示装置120に表示されているいずれかのサムネイル画像422に対応する識別子である。背景バー451は、記憶装置180に記憶された複数の識別子のそれぞれに対応する位置が割り当てられた図形である。本実施形態では、背景バー451の最上部に識別子「1」が、最下部に識別子「30」が割り当てられている。
【0087】
図11(c)は、
図8のステップS302における表示画面400の例を示す。ステップS302において、制御部192は、パン動作の移動方向及び移動距離に応じて変更した識別子440を、背景バー451の図形内の対応する位置に表示することにより、この表示画面400を生成する。
【0088】
また、制御部192は、パン動作の移動方向及び移動距離に応じて変更した識別子440を、表示装置120の画面内の固定位置に表示し、背景バー451の図形をパン動作の移動方向及び移動距離に応じて移動させて表示する。例えば、制御部192は、
図11(b)の状態で指のタッチ位置の上方への移動を検出した場合、識別子440の値を移動距離に応じて1から10に増加させ、背景バー451の位置を上方に移動する。この際、識別子440の位置は
図11(b)における位置と同じであり、背景バー451の識別子「10」に対応する位置に識別子440が配置される。また、背景バー451の移動範囲をサムネイル画像表示域420の範囲より小さくすることにより、識別子440の変更時における画面表示の更新処理の演算処理量を減らすことが可能である。
【0089】
図11(d)は、
図7のステップS207でパン動作が実行された後、ステップS210において表示装置120に表示される表示画面400の例を示す。この例では、
図11(c)で表示されていた識別子「10」に対応するサムネイル画像を含む6つのサムネイル画像422が表示されている。
【0090】
図11(e)は、
図11(d)の表示画面400が表示装置120に表示された状態で、ステップS213において識別子「10」に対応するサムネイル画像422を選択したときに表示装置120に表示される表示画面400の例を示す。
【0091】
図12は、フリック動作に伴う表示画面400の遷移の一例を示す図である。
【0092】
図12(c)は、
図8のステップS310における表示画面400の例を示す。フリック動作の移動方向及び移動速度に応じて背景バー451が移動する点が、
図11(c)の表示画面400と異なる。その他の表示方法は
図11と同一である。
【0093】
以上詳述したように、第2実施形態で示した内容に従って動作することによっても、サムネイル画像表示装置100は、パン動作又はフリック動作を行っているときに表示される識別子440に対応するサムネイル画像を、記憶装置180からロードする必要がない。これにより、メモリ容量が少なくてもサムネイル画像の表示を良好に行うことが可能である。また、第2実施形態は、識別子440の表示の際に、識別子440の値に応じてスライド可能な背景バー451を表示している点において、第1実施形態と異なる。
【0094】
<第3実施形態>
図13は、パン動作に伴う表示画面400の遷移の一例を示す図である。以下の点を除き、第3実施形態の処理は第1実施形態の処理と同じである。
【0095】
図13(a)は、
図7のステップS201における初期画面の例を示す。この画面は
図9(a)の画面と同一である。
【0096】
図13(b)は、
図7のステップS206における表示画面400の例を示す。ステップS206において、制御部192は、ステップS205の移動を検出した際に表示装置120に表示されていたサムネイル画像の表示を、サムネイル画像に対応する識別子440のみの表示に切り替えて表示装置120に表示する。すなわち、サムネイル画像表示枠421の中に表示されていたサムネイル画像422及び識別子表示域423を、サムネイル画像に対応する識別子440に切り替えて表示する。
【0097】
図13(c)は、
図8のステップS302における表示画面400の例を示す。ステップS302において、制御部192は、タッチ動作を検出してからパン動作を検出した場合、パン動作の移動方向及び移動距離に応じて識別子440を変更して表示装置120に表示する。例えば、制御部192は、指のタッチ位置の上方への移動を検出した場合、それぞれのサムネイル画像表示枠421内に表示される識別子440の値を、移動距離に応じて増加させる。また、制御部192は、移動距離に応じてスライダ432の表示位置を変更してもよい。
【0098】
図13(d)は、
図7のステップS207でパン動作が実行された後、ステップS210において表示装置120に表示される表示画面400の例を示す。この例では、
図13(c)で表示されていた識別子「9」〜「14」に対応する6つのサムネイル画像422が表示されている。
【0099】
図13(e)は、
図13(d)の表示画面400が表示装置120に表示された状態で、ステップS213において識別子「9」に対応するサムネイル画像422を選択したときに表示装置120に表示される表示画面400の例を示す。
【0100】
図14は、フリック動作に伴う表示画面400の遷移の一例を示す図である。
【0101】
図14(c)は、
図8のステップS310における表示画面400の例を示す。フリック動作の移動方向及び移動速度に応じて、各サムネイル画像表示枠421内に表示される識別子440の値が変化する点が、
図13(c)の表示画面400と異なる。その他の表示方法は
図13と同じである。
【0102】
以上詳述したように、第3実施形態で示した内容に従って動作することによっても、サムネイル画像表示装置100は、パン動作又はフリック動作を行っているときに表示される識別子440に対応するサムネイル画像を、記憶装置180からロードする必要がない。これにより、メモリ容量が少なくてもサムネイルの表示を良好に行うことが可能である。また、第3実施形態は、サムネイル画像422を消して識別子440の表示及び変更を行う点において、第1実施形態と異なる。
【0103】
<第4実施形態>
図15は、他のサムネイル画像表示装置600の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0104】
サムネイル画像表示装置600は、表示装置120、入力装置130、記憶装置180、検出回路611及び制御回路612等を有する。表示装置120、入力装置130及び記憶装置180は、サムネイル画像表示装置100の表示装置120、入力装置130及び記憶装置180と同様な機能を実行する装置である。
【0105】
検出回路611及び制御回路612は、サムネイル画像表示装置100のCPU190の代わりに用いられる回路である。
【0106】
検出回路611は、検出部の一例であり、検出部191と同様の機能を有する。検出回路611は、入力装置130からの信号を検出し、パン動作及びフリック動作等を検出する。
【0107】
制御回路612は、制御部の一例であり、制御部192と同様の機能を有する。制御回路612は、検出回路611からの信号を検出し、記憶装置180に記憶されたサムネイル画像422等のデータを用いてサムネイル画像422及び/又は識別子440の表示を含む表示画面400のデータを生成し、表示装置120へ送信する。
【0108】
以上詳述したように、サムネイル画像表示装置は、検出回路611及び制御回路612を用いる場合も、メモリ容量が少なくてもサムネイルの表示を良好に行うことが可能である。
【0109】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、サムネイル画像表示装置100はスキャナに限られず、電子カメラ及びスマートフォン等の組込機器など、サムネイル画像に基づいて画像を選択する処理を行う機器であればよい。