(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機ケイ素化合物は、メチルトリエトキシシラン、ソジウムメチルシリコネート、メチルトリメトキシシラン、ポタシウムメチルシリコネート、ブチルトリメトキシシラン、及びビニルトリメトキシシランの中から選択される一種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の無機バインダーを用いた中子の製造方法。
前記原砂供給段階は、鋳物砂原砂保管用の上部ホッパーから設定された用量に計量し、砂計量下部ホッパーに原砂を供給する段階と、前記砂計量下部ホッパーから混練機に原砂を供給する段階とからなることを特徴とする、請求項1に記載の無機バインダーを用いた中子の製造方法。
前記混練段階は、前記砂計量下部ホッパーから混練機に前記鋳物砂原砂の供給を受け、10〜60秒間原砂を混練する段階と、バインダー供給装置から前記混練機にさらに無機バインダーの供給を受け、30〜120秒間混練して混練砂を製造する段階とを備えてなることを特徴とする、請求項4に記載の無機バインダーを用いた中子の製造方法。
前記砂補給段階は、前記混練砂ホッパーから、前記混練砂ホッパーの下部に位置するブロイングヘッドに混練砂を補給し、前記補給された混練砂は、ブロイングヘッド内部下端に位置する混練砂流動ガイド(Mixed Sand Flow Guider)により、ブロイングノズルプレート上端に混練砂を分配することを特徴とする、請求項1に記載の無機バインダーを用いた中子の製造方法。
前記ブロイングヘッドは、内部下端に混練砂流動ガイド(Mixed Sand Flow Guider)を備え、前記混練砂流動ガイドの下端に、ブロイングノズルが設けられたブロイングノズルプレートをさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載の無機バインダーを用いた中子の製造システム。
【背景技術】
【0002】
韓国において、鋳物鋳造産業は、造船、自動車部品、産業機械、工作機械など、あらゆる産業に大いに貢献してきた。鋳物鋳造産業は、国家の産業発展になくてはならない重要な基幹産業であるが、近年において、鋳物鋳造産業を取り巻く環境問題、副資材のコスト変動、政策、人力不足など、その周辺環境はあまりよくない。何よりも環境問題は、鋳物鋳造産業が解決しなければならない第一課題に設定されている。現在、鋳造産業の現場では、金属の溶解、中子製造、鋳造工程で発生する環境汚染物質の排出を遮断するために、鋳造現場の環境汚染を改善しているものの、Muskle法、京都議定書などにより、地球温暖化ガスの排出に関する規制がかかっているため、根本的に汚染物質の排出を中断できる方法と、エネルギー低減及び作業環境の改善、製造現場でのグリーンテクノロジ応用方法が強く求められている。
【0003】
一般的に、鋳造産業に用いられる中子(Core)は、砂(Sand)及び有機バインダー(Organic binder)を混合し、中子機及び金型を用いて硬化させて生産する。
図1は、このような従来の有機バインダーを用いて中子及び鋳造品を製造する工程を流れ図で示したものである。
【0004】
しかしながら、
図1に示したように、有機バインダーを用いて中子を製造する場合、有機バインダーによる環境汚染の問題と、単にヒーターを用いた硬化工程を行うのでエネルギー消耗が激しく、そのために金型の寿命が短いといった問題があった。また、有機バインダーを用いて製造された中子で鋳造を行う場合、鋳造時に生じる中子ガスによって鋳造品の品質低下、金型の寿命減少、環境汚染などの問題がある。
【0005】
そこで、鋳造品の品質向上、価格競争力確保、環境規制の強化要請に応じて、従来の有機バインダーに代える新たなバインダーの開発必要性が求められており、近年では、ハイクオリティー、低コスト、環境に優しい物質である無機バインダー(Inorganic binder)を開発しようとする研究が進められている。
【0006】
しかしながら、無機バインダーを用いて中子を製造する場合、低温で硬化が可能であり、有害物質が用いられないために作業環境が良好であり、中子製造及び鋳造工程におけるガスの発生量が少ないので鋳造の欠陥が減少するのみならず、それに関する環境汚染防止施設の設置を必要としないため、生産コストを低減できるが、前記無機バインダーは、吸湿性及び焼着現象によって中子の品質を低下させるといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明者は、前述のような点に関する技術的課題を解決するために鋭意努力した結果、工程を改善し、耐水性、強度、鋳造性などの物性が向上された無機バインダーを用い、吸湿性及び焼着現象が改善された中子及び鋳造品を製造する方法を見出し、本発明を完成させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、無機バインダーを用いた中子の製造方法を提供することを技術的解決課題とする。
【0009】
また、本発明は、前記製造方法によって製造された中子を提供することを他の解決課題とする。
【0010】
また、本発明は、前記無機バインダーを用いた中子で鋳造品を製造する方法を提供することをさらに他の解決課題とする。
【0011】
また、本発明は、前記方法で製造された鋳造品を提供することをさらに他の解決課題とする。
【0012】
また、本発明は、無機バインダーを用いた中子の製造システムを提供することをさらに他の解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記技術的課題を解決するための本発明の第1の側面によると、
【0014】
混練機に鋳物砂原砂を供給する、原砂供給段階と、
【0015】
混練機で前記鋳物砂原砂と、水ガラスを含む液状の無機バインダーとを混合及び混練して混練砂を製造する、混練段階と、
【0016】
前記混練機から前記混練砂を混練砂ホッパーに移送する、排砂段階と、
【0017】
前記混練砂ホッパーから、前記混練砂ホッパーの下部に位置するブロイングヘッド(blowing head)に、前記混練砂を補給する、砂補給段階と、
【0018】
前記ブロイングヘッド内に補給された混練砂を中子金型内部に吹き込む、ブロイング段階と、
【0019】
前記中子金型内部を排気して減圧する、排気段階と、
【0020】
前記中子金型を予熱した後、前記ブローされた中子内部を硬化及び塑性する、硬化段階と、
【0021】
前記中子金型を分離し、前記硬化された中子を取り出す、取り出し段階と、を備え、
【0022】
前記無機バインダーは、水ガラス40〜
92.4重量部、ナノシリカ
3〜35重量部、Li系耐水性添加剤0.1〜10重量部、有機ケイ素化合物0.1〜10重量部、及び焼着防止添加剤1〜10重量部を含むことを特徴とする、無機バインダーを用いた中子の製造方法を提供する。
【0023】
好ましくは、前記無機バインダーは、鋳物砂原砂に対して1〜6重量%の量で混合されることを特徴とする。
【0024】
また好ましくは、前記Li系耐水性添加剤は、リチウムカーボネート、リチウムシリケート、リチウムヒドロキシド、リチウムスルフェート、リチウムブロミド、及びリチウムアセテートの中から選択される一種以上であることを特徴とする。
【0025】
また好ましくは、前記有機ケイ素化合物は、メチルトリエトキシシラン、ソジウムメチルシリコネート、メチルトリメトキシシラン、ポタシウムメチルシリコネート、ブチルトリメトキシシラン、及びビニルトリメトキシシランの中から選択される一種以上であることを特徴とする。
【0026】
また好ましくは、前記焼着防止添加剤は、単糖類、多糖類、及び二糖類の中から選択される一種以上であることを特徴とする。
【0027】
また好ましくは、前記原砂供給段階は、鋳物砂原砂保管用の上部ホッパーから設定された用量に計量し、砂計量下部ホッパーに原砂を供給する段階と、前記砂計量下部ホッパーから混練機に原砂を供給する段階とからなることを特徴とする。
【0028】
また好ましくは、前記混練段階は、前記砂計量下部ホッパーから混練機に前記鋳物砂原砂の供給を受け、10〜60秒間原砂を混練する段階と、バインダー供給装置から前記混練機にさらに無機バインダーの供給を受け、30〜120秒間混練して混練砂を製造する段階とを備えてなることを特徴とする。
【0029】
また好ましくは、前記砂補給段階は、前記混練砂ホッパーから、前記混練砂ホッパーの下部に位置するブロイングヘッドに混練砂を補給し、前記補給された混練砂は、ブロイングヘッド内部下端に位置する混練砂流動ガイド(Mixed Sand Flow Guider)により、ブロイングノズルプレート上端に混練砂を分配することを特徴とする。
【0030】
また好ましくは、前記硬化段階は、前記中子金型を100〜200℃に予熱する段階と、前記ブローされた中子内部を硬化及び塑性する段階とを備えてなることを特徴とする。
【0031】
また、前記他の課題を解決するための本発明の第2の側面によると、前記中子の製造方法によって製造された、無機バインダーを用いて製造された中子を提供する。
【0032】
好ましくは、前記中子は、絶対湿度20〜30g/m
3の環境条件下、3時間露出された際に、初期抗折強度に対して60%以上の抗折強度を示すことを特徴とする。
【0033】
さらに好ましくは、前記中子の初期抗折強度は、150N/cm
2以上であることを特徴とする。
【0034】
また、前記他の課題を解決するための本発明の第3の側面によると、
【0035】
前記中子の製造方法で製造される無機バインダーを用いた中子を保管する段階と、
【0036】
前記保管された中子を用いて所定の材質の溶湯を所定の形状の鋳型に注ぎ、製品を製造する鋳造段階と、
【0037】
前記鋳造段階に用いられた中子をとり除く機械的脱砂段階と、
【0038】
前記脱砂された製品の水焼入れ(water quenching)工程を含んで熱処理する、熱処理段階と、を備え、
【0039】
前記熱処理段階中、水焼入れ工程の際に化学的分解液を添加し、前記機械的脱砂後の中子に残存する無機バインダーを分解する、化学的脱砂が行われることを特徴とする、無機バインダーを用いた中子で鋳造品を製造する方法が提供される。
【0040】
好ましくは、前記化学的分解液は、ソジウムシリケート、ソジウムメタシリケートを含むシリケート溶液、またはソジウムホスフェート、ジソジウムホスフェートを含むホスフェート溶液であることを特徴とする。
【0041】
また、前記他の課題を解決するための本発明の第4の側面によると、前記無機バインダーを用いた中子で鋳造品を製造する方法で製造されることを特徴とする鋳造品が提供される。
【0042】
また、前記他の課題を解決するための本発明の第5の側面によると、
【0043】
鋳物砂原砂を保管する上部ホッパーと、
【0044】
前記上部ホッパーの下部に結合され、前記上部ホッパーから鋳物砂原砂の供給を受け、設定された用量に計量し、混練機に供給する砂計量下部ホッパーと、
【0045】
保管された無機バインダーを設定された用量で混練機に供給する、無機バインダー供給装置と、
【0046】
前記砂計量下部ホッパー及び前記混練機と結合され、前記砂計量下部ホッパーから供給された鋳物砂原砂と、前記無機バインダー供給装置から供給された無機バインダーとを混合及び混練する混練機と、
【0047】
前記混練機から混練砂の供給を受け、ブロイングヘッドに混練砂を補給する混練砂ホッパーと、
【0048】
前記混練砂ホッパーの下部に位置し、前記混練砂ホッパーから混練砂を補給され、中子金型内部に吹き込むブロイングヘッドと、
【0049】
前記ブロイングヘッドからブローされた混練砂を硬化及び塑性させる中子金型と、を備え、
【0050】
前記無機バインダーは、水ガラス40〜
92.4重量部、ナノシリカ
3〜35重量部、Li系耐水性添加剤0.1〜10重量部、有機ケイ素化合物0.1〜10重量部、及び焼着防止添加剤1〜10重量部を含むことを特徴とする、無機バインダーを用いた中子の製造システムが提供される。
【0051】
好ましくは、前記ブロイングヘッドは、内部下端に混練砂流動ガイド(Mixed Sand Flow Guider)を備え、前記混練砂流動ガイドの下端に、ブロイングノズルが設けられたブロイングノズルプレートをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0052】
前記本発明である無機バインダーを用いた中子の製造方法によると、鋳造作業が容易であるばかりか、前記鋳造作業によって製造された鋳造品の脱砂が容易であり、焼着現象が生じなくなる効果がある。
【0053】
また、本発明である無機バインダーを用いた中子の製造方法によって製造された鋳造品は、優れた表面品質及び造形性を示すばかりか、向上された強度及び充填性を奏することができる。
【0054】
また、本発明によると、低温で硬化が可能であり、有害物質が用いられないために作業環境が良好であり、中子製造及び鋳造工程におけるガス発生量が少ないので鋳造欠陥が減少するのみならず、それに関する環境汚染防止施設の設置を必要としないため、生産コストが低減される効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明の好ましい実施例について添付図面を参照し、より詳しく説明する。この過程において、図面に示された線の厚さや構成要素のサイズなどは、説明の明瞭性及び便宜のために誇張されて示されている場合がある。
【0057】
図2は、本発明による無機バインダーを用いた中子及び鋳造品の製造工程を模式化して示したものである。
図2を参照すると、本発明は、無機バインダー及び鋳物砂原砂を混合し、金型熱を利用することで、無機バインダーを用いて中子を製造するようになり、製造された中子は、鋳造品の製造時の機械的脱砂のみならず、熱処理の際に化学的脱砂を経るようにすることで、中子を完璧にとり除いて鋳造品を製造する。
【0058】
具体的に、本発明の無機バインダーを用いた中子の製造方法は、
【0059】
混練機に鋳物砂原砂を供給する、原砂供給段階と、混練機で前記鋳物砂原砂と、水ガラスを含む液状の無機バインダーとを混合及び混練して混練砂を製造する、混練段階と、前記混練機から前記混練砂を混練砂ホッパーに移送する、排砂段階と、前記混練砂ホッパーから、前記混練砂ホッパーの下部に位置するブロイングヘッドに、前記混練砂を補給する、砂補給段階と、前記ブロイングヘッド内に補給された混練砂を中子金型内部に吹き込む、ブロイング段階と、前記中子金型内部を排気して減圧する、排気段階と、前記中子金型を予熱した後、前記ブローされた中子内部を硬化及び塑性する、硬化段階と、前記中子金型を分離し、前記硬化された中子を取り出す、取り出し段階と、を備え、前記無機バインダーは、水ガラス40〜
92.4重量部、ナノシリカ
3〜35重量部、Li系耐水性添加剤0.1〜10重量部、有機ケイ素化合物0.1〜10重量部、及び焼着防止添加剤1〜10重量部を含む。
【0060】
図3は、本発明の一実施例による無機バインダーを用いた中子の製造のための設備構成を示したものであり、これを参照し、段階を分けて具体的に説明する。
【0061】
まず、原砂の供給段階は、混練機に鋳物砂原砂を供給する段階であって、
図3に示したように、設備の最上部にある鋳物砂原砂保管用の上部ホッパーが設けられ、前記上部ホッパーで設定された用量に計量し、砂計量下部ホッパーに原砂が供給され、さらに砂計量下部ホッパーから混練機に原砂を供給する。
【0062】
このとき、前記上部ホッパーの最上面には、原砂に混入され得る異物を除くためのろ過網が設けられてもよく、好ましくは、AFS20以上のメッシュろ過網が設けられるようにする。
【0063】
また、前記上部ホッパーの内部は、鋳物砂原砂のこぼれ防止のための上部レベルセンサと、下部には、鋳物砂原砂の不足を感知する下部レベルセンサで構成される。
【0064】
また、前記砂計量下部ホッパーは、設定された用量で混練機に原砂を供給するための砂計量ボタンが設けられ、所望の原砂の用量を選択できるようにプログラムされている。従って、砂計量ボタンを押して作動させると、原砂補給用量によって約20〜60秒程度の時間が所要され、前記砂計量下部ホッパーの内部にある計量パイプを介して20〜70kgの原砂が供給される。原砂補給後、混練機に原砂を供給するためのゲートが下部に装着されており、下部ゲートのオン/オフボタンが設けられ、下部ゲートの開閉を調節することで混練機に原砂が供給される。
【0065】
次に、混練段階は、混練機で前記鋳物砂原砂と、水ガラスを含む液状の無機バインダーとを混練して混練砂を製造する段階である。
【0066】
具体的に、前記混練機は、混練機と、前記混練機に無機バインダーを供給できる無機バインダー供給装置とを備え、前記混練機は、無機バインダー供給のためのオン/オフボタン、原砂及び無機バインダーを入れて混練することができる混練容器、無機バインダー及び原砂を等しく交ぜるためのインペラ、インペラを回すモータ、モータの駆動及び停止をコントロールできるオン/オフボタン、並びに混練機のRPMを調節できるボリュームゲージで構成されている。
【0067】
また、前記無機バインダー供給装置には、定量供給のための定量吐出モータが設置されており、無機バインダーが配管内で静置されることによって固まりが生じるのを防ぐため、配管循環システムを構築してもよい。また、前記無機バインダー供給装置は、原砂と無機バインダーとの含有量及び特性に応じて、混練時間及び速度の調節ができるようにプログラム及びRPM調節ダイヤルが構築されている。
【0068】
また、前記混練機の上部には、原砂及び無機バインダーを補給することができるゲートが設けられており、混練機内部の掃除と内部確認のために開/閉形式の蓋が設置されており、混練機の側面には、製造された混練砂を混練砂ホッパーに供給するための混練砂排砂ゲートが装着されており、排砂オン/オフボタンが設けられている。
【0069】
このとき、排砂ゲートの下部には、製造された混練砂を混練砂ホッパーに供給する際に、混練砂が外部に露出されるか、あるいは流出されないように、移動通路を作る。以下では、これを「排砂シュート」と言う。前記排砂シュートの下部には、排砂時に混練砂が停滞されることなく補給されるようにバイブレーター(振動器)が設置されており、排砂ONボタンを押している間のみ作動し、連続(自動)動作の際にはバイブレーターの時間を設定できるようにプログラムされる。
【0070】
このような混練機を用いた混練段階では、まず、混練機が60〜150RPMで回転し、混練時には、まず砂計量下部ホッパーゲートが開かれ、混練機に原砂が補給されると同時にインペラが回転する。好ましくは10〜60秒間、原砂が均等に広がるように1次混練を行う。次に、前記1次混練を経った後、続けてインペラを回転させながら、無機バインダー供給ONボタンを押し、無機バインダー供給装置から液状無機バインダーを砂量に対して1〜6重量%の量で供給し、バインダー含有量によって30〜120秒間、液状無機バインダー及び原砂が均等に混合されるように2次混練を行う。
【0071】
このとき、前記無機バインダーは、水ガラス40〜
92.4重量部、ナノシリカ
3〜35重量部、Li系耐水性添加剤0.1〜10重量部、有機ケイ素化合物0.1〜10重量部、及び焼着防止添加剤1〜10重量部を含むことを特徴とするため、前記無機バインダーは、水ガラスにナノシリカ、Li系耐水性添加剤、有機ケイ素化合物、及び焼着防止添加剤を含んで高温・多湿な気候でも適するように中子の強度及び耐水性を補うのはもちろん、流動性、脱砂、及び焼着において改善された特徴を示す。
【0072】
具体的に、前記ナノシリカは、5〜20ナノメートルサイズの粒子及び構造を有する二酸化ケイ素(SiO
2)粒子であって、微細な気孔が粒子表面と平行にできているか、あるいは気孔の方向が不規則であるため、外部物質が内部へ容易に接近できないという性質がある。また、水ガラスと合成の際には、Siの含有量を高めて強度を向上させるばかりか、ナノシリカ粒子の構造によってバインダー組成物の耐水性及び撥水性を向上させることができる。このとき、前記ナノシリカは、35重量部より多く含まれる場合は、無機バインダーの流動性を低下させ、過量のシリカ粒子によって硬化が阻害されるといった問題点があるので、好ましくは5〜35重量部の量で含むようにする。
【0073】
本発明において、前記Li系耐水性添加剤は、リチウムカーボネート、リチウムシリケート、リチウムヒドロキシド、リチウムスルフェート、リチウムブロミド、及びリチウムアセテートの中から選択される一種以上であるものであって、前記Li系耐水性添加剤は、SiO
2の濃度が水ガラスほど高く、モル比が8に近い場合であっても、室温で安定しており、粘度が低いという特徴を有する。また、前記Li系耐水性添加剤は、水ガラス中のNaイオンと混合アルカリ効果を奏することによって、完成された無機バインダーの化学的耐久性を強化させると共に、耐水性を向上させることができる。この際、前記Li系耐水性添加剤は、10重量部より多く含まれる場合、無機バインダーの網目構造が崩れることによって、却って化学的耐久性及び耐水性を低下させるようになるので、前記Li系耐水性添加剤は、本発明の無機バインダーに0.1〜10重量部の量で含むことが好ましい。
【0074】
本発明において、前記有機ケイ素化合物は、同一分子中に有機材料と化学結合する有機官能基、及び無機材料と反応できる加水分解基を有しており、有機材料及び無機材料を結合させる機能を果たすことができる。これによって、本発明の無機バインダー組成物の機械的強度及び耐水性を向上させて品質を改良するため、疎水性を与える役割を果たす。好ましくは、前記有機ケイ素化合物は、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ソジウムメチルシリコネート、メチルトリメトキシシラン、ポタシウムメチルシリコネート、ブチルトリメトキシシラン、及びビニルトリメトキシシランの中から選択される一種以上であることを特徴とする。より好ましくは、前記有機ケイ素化合物は、本発明の無機バインダーに0.1〜10重量部の量で含まれるようにする。これは、前記有機ケイ素化合物が10重量部より多く含まれる場合に、無機バインダーのコスト上昇と共に、最終完成した無機バインダー組成物の物性が却って低下され兼ねないためである。
【0075】
本発明において、焼着防止添加剤は、単糖類、多糖類、及び二糖類の中から選択される一種以上であることを特徴とする。好ましくは、前記単糖類は、ブドウ糖、フルクトース、マンノース、ガラクトース、グルコース、及びリボースの中から選択される一種以上であるもので、前記多糖類は、スターチ、グリコーゲン、セルロース、キチン、及びペクチンの中から選択される一種以上であるものであり、前記二糖類は、麦芽糖、砂糖、乳糖、マルトース、及びラクトースの中から選択される一種以上である。
【0076】
また、前記無機バインダーは、水ガラスに添加剤として、ナノシリカ、Li系耐水性添加剤、有機化合物、及び糖類を含むことで、バインダー組成間の結合力を高め、バインダーの強度と、バインダー組成物の耐水性及び撥水性を向上させると共に、水との結合力を高めて水溶性溶液状に完全に溶解させることができるので、前記鋳物砂原砂と混合する際に、砂との結合力を向上させると共に、強度及び耐水性に優れ、焼着が防止される中子を製造することができる。
【0077】
また、前記2次混練後に、追加的に中子特性に適した添加剤を投入する前記2次混練工程を繰り返し行うこともできる。このとき、前記添加剤供給のための供給装置をさらに設置することができる。
【0078】
このとき、前記添加剤としては、無機添加剤または硬化剤を投入し、中子の強度、柔軟性、及び硬度をさらに向上させることができる。この際、前記硬化剤としては、ソジウムヒドロキシド、ソジウムカーボネート、ポタシウムヒドロキシド、ポタシウムカーボネート、ソジウムホスフェート、ジソジウムホスフェート、トリソジウムホスフェート、及びソジウムスルフェートの中から選択される一種以上であることが好ましい。また、前記硬化剤の添加量が過多な場合、無機バインダーの水との親和力を高めて無機バインダーの耐水性を低下させるため、前記無機バインダー組成物の全重量に対して、前記硬化剤は、0.1〜5.0重量部の量で含まれることがより好ましい。
【0079】
次に、排砂段階は、前記混練段階で製造された混練砂を混練砂ホッパーに移送する段階である。混練砂の量によって、30〜60秒程度の時間が所要される。
【0080】
このとき、前記混練砂ホッパーの構成設備としては、混練砂を一定量保管することができる混練砂保管箱と、混練砂ホッパー内部には、混練砂不足を感知して再補給命令を出すレベルセンサ、混練砂ホッパー上部には、混練砂補給時に開閉できる混練砂ホッパーゲート、混練砂ホッパー側面には、混練砂ホッパーからブロイングヘッドに混練砂を補給する際に、補給が容易であり、混練砂の停滞を防ぐためのバイブレーター、混練砂ホッパーの下部には、補給された混練砂をブロイングヘッドに再補給するための砂ゲートで構成されてもよい。
【0081】
具体的に、前記混練機において、混練砂排砂前に、混練砂ホッパーゲートを開放するオープンボタンを押して混練砂ホッパーゲートを開き、混練機で排砂ボタンを押すと、混練機にある排砂ゲートが開かれ、混練機のバイブレーターと混練砂ホッパーにあるバイブレーターとが同時に振動し、排砂シュートを介して混練砂が補給される。混練砂を混練砂ホッパーに補給した後、排砂ゲートを閉めて混練砂ホッパーゲートを閉じる。補給が終了すると、バイブレーターは振動を止める。
【0082】
次に、砂補給段階は、前記排砂段階で混練砂ホッパーに補給された混練砂をブロイングヘッドに補給する段階である。
【0083】
このとき、前記ブロイングヘッドは、混練砂を金型内部に、適正圧力を用いて金型内部にブローする設備であって、前記ブロイングヘッドに混練砂を補給する際に、混練砂ホッパーの下部の砂ゲート、及びブロイングヘッド上端の混練砂ゲートが開かれ、混練砂ホッパーのバイブレーターが振動することで、ブロイングヘッドに混練砂が補給される。適正量が補給された後、ブロイングヘッド上部に設置されているリミットセンサによって閉まる。
【0084】
また、前記ブロイングヘッドは、内部下端に混練砂流動ガイド(Mixed Sand Flow Guider)を備え、前記混練砂流動ガイドの下端に、ブロイングノズルが設けられたブロイングノズルプレートをさらに備える。
【0085】
従って、前記砂補給段階は、前記混練砂ホッパーから、前記混練砂ホッパーの下部に位置するブロイングヘッドに混練砂を補給し、前記補給された混練砂は、ブロイングヘッド内部下端に位置する混練砂流動ガイド(Mixed Sand Flow Guider)により、ブロイングノズルプレート上端に分配される。混練砂の量によって、2〜10秒の工程が必要であってもよい。
【0086】
次に、ブロイング段階は、前記ブロイングヘッド内部に補給された混練砂を、所望の形状を有する中子金型内部に吹き込む段階である。
【0087】
このとき、前記ブロイングヘッドは、一定の温度を維持するために内部に冷却水を循環させる構造であってもよい。この場合、主な構成としては、冷却水を供給するための冷却水ノズル、混練砂補給時に開閉できる混練砂ゲート、混練砂補給時に零れるか、あるいは不足しないように感知してくれるセンサ、一定の圧力で特定の空間に混練砂を金型内部に吹き込むためのブロイングノズル、ブロイング時のノズル端部の破損を防ぐためのノズルゴム、及びブロイング時に混練砂の特性に応じてブロイング圧力調節ができるように設置されたレギュレーターで構成されてもよく、吸入量調節のためにブロイング時間調節が可能なようにプログラムされる。
【0088】
また、前記ブロイング段階において、ブロイングヘッドは、混練砂補給が可能になるように混練砂ホッパーの下部に位置しており、混練砂補給が終了すると、中子金型に移動する。中子金型上部に移動したブロイングヘッドは、下降して金型上部のブロイングホールにノズルが適正の高さで挿入され、一定の圧力で金型内部に混練砂をブローする。
【0089】
次に、排気段階は、一定の圧力で混練砂を金型内部にブローした後、内部圧力を下げるための段階である。このとき、排気時の高圧による騷音除去のためのサイレンサーが設置されてもよく、排気時間を調節できるようにプログラムされる。
【0090】
次に、硬化段階は、前記中子金型を予熱した後、前記ブローされた中子内部を硬化及び塑性する段階である。具体的には、前記中子金型を100〜200℃に予熱する段階、及び前記ブローされた中子内部を硬化及び塑性する段階を備えてなる。
【0091】
従って、適正の温度に予熱できるように金型にヒーティングシステムが構成されてもよく、各金型の間に温度センサを装着して一定の温度を維持するように構成してもよく、塑性時間を選択できるようにプログラムされる。
【0092】
次に、取り出し段階は、前記硬化段階が終了することによって、ブローされた混練砂が硬化されて中子として生産され、最終製品を取り出す段階である。具体的に、上型と下型、または左/右金型で構成された金型が分離され、金型下部に設置された取り出しピンで中子を取り出しが容易な位置に移動させた後、機械や手で生産された中子を取り出すことができる。
【0093】
前記取り出された中子は、無機バインダーを用いて製造されることで耐水性及び強度が向上されるといった特徴を有する。
【0094】
従って、前述した方法による無機バインダーを用いて製造された本発明の中子は、特に、本発明は、夏季の高い温度及び湿度でも耐水性及び強度を満たすことができるので、絶対湿度20〜30g/m
3の環境条件下、3時間露出された際に、初期強度に対して60%以上の抗折強度を示すことができる。本発明の一実施例によると、温
図30〜40℃、相対湿度60〜70%(絶対湿度20〜30g/m
3)で3時間耐湿後、初期強度に対して60%以上の強度を示しており、特に、本発明の中子は、初期強度が150N/cm
2以上であることが示され、前記絶対湿度20〜30g/m
3の環境条件下、3時間耐湿後にも、抗折強度が150N/cm
2以上を維持することが示された。
【0095】
このように、本発明によると、環境に優しい無機バインダーを用いて中子を製造し、これを用いて鋳造品を製造するため、具体的に、本発明の無機バインダーを用いた中子で鋳造品を製造する方法は、前述の中子の製造方法で製造される無機バインダーを用いた中子を保管する段階と、前記保管された中子を用いて所定の材質の溶湯を所定の形状の鋳型に注ぎ、製品を製造する鋳造段階と、前記鋳造段階に用いられた中子をとり除く機械的脱砂段階と、前記脱砂された製品の水焼入れ(water quenching)工程を含んで熱処理する、熱処理段階と、を備え、前記熱処理段階中、水焼入れ工程の際に化学的分解液を添加し、前記機械的脱砂後の中子に残存する無機バインダーを分解する、化学的脱砂が行われることを特徴とする。
【0096】
具体的に、前記保管段階は、前述した方法によって製造されて取り出され終わった中子を一定の温度・湿度を維持すると共に、密閉された空間に中子を保管する段階である。好ましくは、前記温度は、10〜30℃であり、前記湿度は、10〜50%がよい。
【0097】
次に、鋳造段階は、前記保管した中子を用いて所望の材質の溶湯(原材料をとかして液状とした状態を意味する。)を、所定の形状を有する鋳型に注ぎ、製品を作製する段階である。
【0098】
次に、機械的脱砂段階は、前記製品内部の中子に一定の圧力または振動、回転を与え、製品鋳造に用いられた中子をとり除く段階である。
【0099】
次に、熱処理段階は、前記脱砂された製品の機械的、物理的特性を補うために熱処理を施す熱処理段階であって、特に熱処理段階の中に水焼入れ(Water Quenching)工程を含み、前記水焼入れ工程において、前記無機バインダーの化学的分解液を水に添加し、化学的分解によって前記機械的脱砂後の中子に残っている無機バインダーを完全に分解することで脱砂を促進する化学的脱砂が行われる。すなわち、前記水焼入れ(Water Quenching)工程で、機械的脱砂以後に鋳造品内部の硬化された残留砂を、化学的分解液を添加した水槽に装入し、化学的に脱砂する工程を遂行する。
【0100】
このとき、前記化学的分解液としては、ソジウムシリケート、ソジウムメタシリケートを含むシリケート溶液、またはソジウムホスフェート、ジソジウムホスフェートを含むホスフェート溶液を用いることができ、その濃度は、1〜30mol%が好ましい。
【0101】
このように、前記無機バインダーを用いた中子で製造される鋳造品は、優れた表面品質を及び造形性を示すばかりか、向上された強度及び充填性を示すことができる。
【0102】
また、本発明によると、環境に優しい無機バインダーを用いて中子を製造することができるため、本発明の無機バインダーを用いた中子の製造システムは、鋳物砂原砂を保管する上部ホッパーと、前記上部ホッパーの下部に結合され、前記上部ホッパーから鋳物砂原砂の供給を受け、設定された用量に計量し、混練機に供給する砂計量下部ホッパーと、保管された無機バインダーを設定された用量で混練機に供給する、無機バインダー供給装置と、前記砂計量下部ホッパー及び前記混練機と結合され、前記砂計量下部ホッパーから供給された鋳物砂原砂と前記無機バインダー供給装置から供給された無機バインダーとを混合及び混練する混練機と、前記混練機から混練砂の供給を受け、ブロイングヘッドに混練砂を補給する混練砂ホッパーと、前記混練砂ホッパーの下部に位置し、前記混練砂ホッパーから混練砂を補給され、中子金型内部に吹き込むブロイングヘッドと、ブロイングヘッドからブローされた混練砂を硬化及び塑性させる中子金型と、を備える。このとき、前記ブロイングヘッドは、内部下端に混練砂流動ガイド(Mixed Sand Flow Guider)を備え、前記混練砂流動ガイドの下端に、ブロイングノズルが設けられたブロイングノズルプレートをさらに備えてもよい。
【0103】
以下、本発明について実施例を挙げて詳しく説明するが、これによって、本発明の権利範囲が限定されるものではない。
【0104】
<実施例1>無機バインダーの製造
水ガラスにLi系耐水性添加剤、ナノシリカ、及び有機ケイ素化合物を添加・合成して無機バインダーを製造し、無機バインダーの吸湿性をバインダーの残存率で評価した。下記表1に、無機バインダーの組成及び吸湿性の評価結果を示した。
【0106】
前記表1を参照すると、試料1〜4では、Li系耐水性添加剤の含有量が高いほど、バインダーの残存率及び粘度が増加することを確認できるため、Li系耐水性添加剤の含有量が増加するほど、耐水性が向上し、粘度が増加することを確認することができる。
【0107】
また、試料5〜8では、ナノシリカの含有量が高いほど、無機バインダーを構成するケイ素の含有量が増加することにつれてバインダーの残存率及び粘度が増加することを確認することができる。これは、ナノシリカの含有量が増加するほど、耐水性が向上し、粘度が増加することを意味する。
【0108】
また、前記試料9〜12では、有機ケイ素化合物の含有量変化によるバインダーの残存率の変化が少ないほど、有機ケイ素化合物は、無機バインダーの耐水性改善には大して寄与しないが、有機ケイ素化合物の含有量が増加するほど、粘度が低くなることを確認することができた。
【0109】
<実施例2>無機バインダーを用いた中子の製造
前記実施例1で製造された無機バインダー試料1〜12を、下記表2に示したように、Li系耐水性添加剤、ナノシリカ、有機ケイ素化合物が全て含まれるように投入し、焼着防止添加剤として、二糖類、多糖類、及び単糖類1〜10%をさらに添加して混合することで、Li系耐水性添加剤、ナノシリカ、有機ケイ素化合物、及び焼着防止添加剤が全て含まれた無機バインダーを製造し、これを用いて中子を製造した。
【0110】
製造された無機バインダーの組成は、下記表2に示した。
【0112】
このとき、前記中子の製造過程は、次のとおりである。
【0113】
まず、混合機に、AFS55ベトナム砂と、前記AFS55乾燥砂に対して1〜6%の液状の無機バインダーを混合し、100〜160秒間混練して混練砂を製造した。
【0114】
次に、130〜150℃に加熱された金型に1〜10barの圧力で前記混練砂を注入し、硬化させることで、中子を製造した。
【0115】
次に、前記製造された中子を取り出して常温で冷却した。
【0116】
本実施例による中子の製造工程、中子製造設備、及び製造条件は、
図2、
図3、及び下記表3に示した。
【0118】
<実施例3>鋳造品の製造
本実施例では、前記実施例2で取り出し及び冷却が終了した中子を、除湿庫(温度:10〜30℃、湿度:10〜50%)に保管した後、前記中子を用い、アルミニウム材質の溶湯を所定の形状を有する鋳型に注ぎ、製品を鋳造した。次に、前記製品内部の中子をとり除くために機械的脱砂を遂行した。以後、鋳造された製品の機械的、物理的特性の補完のために熱処理を行い、前記熱処理中、水焼入れ(Water Quenching)工程の際に、ソジウムシリケート溶液を水に添加することで、化学的分解によって脱砂後の中子に残っているバインダーを完全に分解して結合力をとり除く評価を行った。その結果、バインダーが完全に除去されることが確認された。その結果、
図9のようにバインダーが完全に除去されることが確認された。
【0119】
<実施例4>中子の物性評価1
前記実施例2で製造された、無機バインダーの組成による中子の抗折強度について評価した。比較例として、従来常用化されて用いられているA社−無機バインダー1及びA社−無機バインダー2を用いて製造された中子についても評価した。
【0120】
具体的に、無機バインダーの中子試片を生産した後、恒温恒湿器に投入せず、常温で1時間待機した後、抗折評価を行った結果を
図4に示した。
【0121】
図4を参照すると、従来、常用化されて用いられている無機バインダー(A社−バインダー1)より、本発明による添加剤を投入して製造された無機バインダーの抗折強度がさらに優れることが示されたが、これは、本発明に用いられる無機バインダーが、各添加剤の組成によって相互補完され、中子の強度を向上させたためと判断される。
【0122】
また、
図5には、前記Core4の製造時に用いられた無機バインダーを用い、1min、2min、50minで無機バインダー中子試片を生産した後、恒温恒湿器に投入せず、常温でその時間ごとに冷却後、抗折評価を行い、吸湿1hr、吸湿3hrの条件は、恒温恒湿器の温度38度・湿度65%・絶対湿度約30g/m
3の条件下、その時間ごとに露出した後、抗折強度を測定した結果をまとめて示した。
【0123】
図5を参照すると、無機バインダー中子の1minに該当する初期強度は、ほぼ同じであるが、2minの強度向上効果が他の無機バインダーに比べて高く、最大強度は、商用化無機バインダー(A社−バインダー2)と同等の水準を示した。
【0124】
しかしながら、吸湿後の強度評価結果、商用化無機バインダーは、吸湿強度が著しく低下されることが示された一方で、本発明による無機バインダーは、最も高い吸湿強度を示しており、3時間経過後にも初期強度を維持することが確認された。また、吸湿強度の低下程度も緩やかな傾斜を示すことが確認されるので、吸湿に対する耐湿性が最も優れることが確認された。これから、夏季(雨季)を有する韓国の気候条件を考慮したところ、最も使用上容易であることと判断される。
【0125】
<実施例5>中子の物性評価2
前記実施例2で製造された中子について、中子造形及び鋳造に分けて物性評価を行い、その結果は、
図6〜9と、下記表4に示した。
【0126】
図6は、造形性評価結果を示したものであり、これを参照すると、造形性は良好であり、商用化無機バインダーを用いた場合に比べても、品質表面において大差がないことが確認された。
【0127】
図7は、流動性評価結果を示したものであり、これを参照すると、混練砂を混練砂ホッパーからブロイングヘッドに充填する際に、内部で詰まることなく排砂され、ブロイングヘッド内部に充填された混練砂安息角を確認する際に、混練砂が三角形状で均等に分布されていることが確認された。これは、混練砂がノズルの端部まで充填され、流動性部分で問題がないことを意味する。
【0128】
また、鋳造評価結果、鋳造時の初期ハントリング強度が良好であり、鋳造後の表面砂落及びコアプリント破損が認められなかった。また、外形形状に不良がないことが確認された。
【0129】
図8は、前記実施例によって製造された中子を用いて鋳造をして生産した最終製品の外形図面を示したものであり、脱砂及び焼着評価の結果、脱砂後の鋳造品内部に混練砂が発見されておらず、焼着も認められなかった。
【0130】
図9は、前記
図6に示した、前記実施例によって製造された中子を用いて製品を鋳造して生産した場合において、
図8のような形状の鋳造品が得られ、
図8の表示のように切断した時の内部形状の一部を示したものであり、機械的脱砂及び化学的脱砂のいずれにおいても焼着が認められないことが確認された。これは、無機バインダーの物性によって焼着が改善された効果を示していることを意味する。
【0133】
また、前記表4を参照すると、実施例3によって中子を製造する際、流動性、充填性、強度、耐湿性などの中子造形面でも、さらに、鋳造性、脱砂性(焼着)などの鋳造面でも全て優れていることが示されているので、鋳造時に作業性が容易であると共に、優れた品質の中子を製造できることが分かる。
【0134】
以上のように、本発明は、限定された実施例によって説明されたが、本発明は、これによって限定されるものではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術思想と添付の特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形ができるのは当然である。