(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態における航空用コンテナ1の外観を示す斜視図、
図2は、航空用コンテナ1の開閉扉6を開いた状態を示す斜視図である。
【0018】
航空用コンテナ1は、常温コンテナに相当するコンテナ本体2と、本発明の第1実施形態における収蔵庫補助装置7と、を備えている。
【0019】
[コンテナ本体]
コンテナ本体2は、略直方体形の箱体である。本実施形態におけるコンテナ本体2は、規格がLD3型のものであり、略直方体形状における所定の一辺付近が三角柱形状に欠けた形状をなしている。なお、以下の説明の便宜上、コンテナ本体2における
図1中のA1方向を上方向、A2方向を下方向、B1方向を前方向、B2方向を後方向、C1方向を左方向、C2方向を右方向、と称することにする。特に、本実施形態においては、コンテナ本体2の左側の下部が欠けているものとする。また、C1及びC2方向をまとめて左右方向あるいは水平方向と称する場合がある。
【0020】
コンテナ本体2の前方の側面に開閉扉6が設けられており、開閉扉6を開くことによって搬入口4が開放される。搬入口4は矩形の開口であり、搬入口4の水平幅は、床面の水平幅に等しく、搬入口4の上下幅はコンテナ本体2の収納スペースの上下幅に等しく設定されている。また、コンテナ本体2内の床面における搬入口側端部に段部5が形成されている。段部5は、コンテナ本体2内の床面から数cm上方に延びている。
【0021】
図3は、コンテナ本体2の外観を示す斜視図である。コンテナ本体2の内部には、支持金具20が設置されている。支持金具20には、各種の金具を固定することが可能である。例えば、支持金具20に、荷物固定ベルトの取付金具を引っ掛けるための金属リングを備えた金具が固定されることにより、荷物固定ベルトを用いてコンテナ本体2内の荷物が移動しないように固定することができる。
【0022】
図4は、支持金具20の外観を示す斜視図、
図5は、支持金具20の配置を示す内部平面図である。支持金具20は、本体部20aと、スリット部20bと、拡幅部20cと、孔部20dと、からなる。
【0023】
本体部20aは、帯板状の金属部材における長尺方向に沿って延びている両端部に90度の曲げを2箇所に施すことによって、端面形状が略C字形に形成された筒状の部材である。スリット部20bは、本体部20aにおける長尺方向に沿った両端部の間に形成された直線状の隙間である。
【0024】
拡幅部20cは、スリット部20bの複数箇所(本実施形態によれば6箇所)に形成されているスリット幅が広い部分である。この拡幅部20cは、円弧状に形成されている。ここで、スリット部20b及び拡幅部20cが形成された本体部20aの側面を正面視した場合、本体部20aの中心軸とスリット部20bの中心線とは一致し、本体部20aの中心軸上に円弧状の拡幅部20cの中心が位置付けられる。
【0025】
孔部20dは、支持金具20をコンテナ本体2に固定するために用いるねじ21を挿入するものである。孔部20dは、本体部20aにおける拡幅部20cに対向する部位に3箇所形成されている。
【0026】
支持金具20は、
図5に示すように、コンテナ本体2における左側面の下部、右側面の下部及び後側面の下部、言い換えれば床面の近傍に、3つずつ並んで固定されている。この時、3つの支持金具20のスリット部20bは、前後方向に沿って延びるように配置され、ねじ21によってコンテナ本体2に固定される。このとき、ねじ21の頭部が孔部20dの内部に入り込むことにより、支持金具20の内面とねじ21の頭部の上面が面一になる。
【0027】
[第1実施形態の収蔵庫補助装置]
図6は、本発明の第1実施形態における収蔵庫補助装置7の構成を示す説明図である。収蔵庫補助装置7は、フック体10、10と、滑車12、12と、ワイヤ14と、ターンバックル16と、を備えている。
【0028】
収蔵庫補助装置7は、
図2に示すコンテナ本体2の内部の床面に載置された収蔵庫100がコンテナ本体2の床面上で移動しないように、収蔵庫100をコンテナ本体2に固定するものである。
【0029】
フック体10、10は、コンテナ本体2の左側面における搬入口4側(前側)及び搬入口4に対して奥側(後側)に配置される。滑車12、12は、コンテナ本体2の右側面における搬入口4側(前側)及び搬入口4に対して奥側(後側)に配置される。そして、ワイヤ14が、後側に配置されているフック体10に引っ掛けられ、このフック体10から収蔵庫100の上部に掛け渡され、後側に配置されている滑車12を通り、更に前側に配置されている滑車12を通り、この滑車12から収蔵庫100の上部に掛け渡されて、他端部が、ターンバックル16を介して前側に配置されているフック体10に引っ掛けられる。そして、作業員がターンバックル16を操作することにより、収蔵庫100がワイヤ14によって締め付けられ、コンテナ本体2に固定される。
【0030】
このように、左側面における搬入口4に対して奥側(後側)に配置されるフック体10が第1のフック体、左側面における搬入口4側(前側)に配置されるフック体10が第2のフック体、右側面における搬入口4に対して奥側(後側)に配置される滑車12が第1の方向切替部材、右側面における搬入口4側(前側)に配置される滑車12が第2方向切替部材、にそれぞれ相当する。
【0031】
図7は、フック体10及びフック体10を支持金具20に固定するための部品を示す説明図である。収蔵庫補助装置7は、矩形板11と、連結金具18と、を更に備えている。
フック体10は、金属製であり、リング部10aとリング部10aの一部からフック状に延在するフック部10bと、からなる。
矩形板11は、矩形の金属板からなり、中央にリング部10aの内径と同じ径の孔部11aが形成されている。
連結金具18は、支持金具20に挿入自在なスライド板18aと、ボルト18bと、ボルト18bに螺合するナット18cとによって構成されている。
【0032】
スライド板18aは、金属板18dと、突起部18e、18eと、孔部18fと、を備えている。
【0033】
金属板18dは、矩形板からなり、支持金具20に挿入された場合に2つの拡幅部20cが対向する大きさを有する。突起部18e、18eは、金属板18dにおける2つの拡幅部20cが対向する部位に形成され、拡幅部20cに嵌合可能な円環状の突起である。孔部18fは、一対の突起部18e、18eの間に形成されており、この孔部18fにボルト18bが挿入される。孔部18fは、スリット部20bのスリット幅と同じ直径である。また、孔部18fは、金属板18dが支持金具20に挿入された場合にスリット部20bに対向する。なお、金属板18dを正面視した場合に、一対の突起部18e、18eにおける孔部18fに含まれる領域が削除されている。本実施形態においては、一対の突起部18e、18eが互いに接近している領域の一部が削除されており、突起部18e、18eの間に、ボルト18bの雄ねじ部18gが通る円柱状の空間が形成される。
【0034】
ボルト18bは、孔部18fに挿入される雄ねじ部18gと、この雄ねじ部18gの基端部に形成された頭部18hと、からなる。雄ねじ部18gは、スリット部20bのスリット幅より小さい直径の略円柱形状であり、スリット部20bに挿入可能である。頭部18hは、スリット部20bのスリット幅より大きい直径の円板形状である。ボルト18bは、金属板18dにおける突起部18e、18eが配置された平面の反対面側から孔部18fに挿入され、頭部18hが孔部18fの周縁に当接し、雄ねじ部18gの先端部が突起部18e、18eの間から突出する。本実施形態においては、雄ねじ部18gが一対の突起部18e、18eの間を通るため、一対の突起部18e、18eによってボルト18bが支持され、ボルト18bは傾くことなく、突起部18e、18eの間から突出した状態で維持される。
【0035】
なお、フック体10におけるリング部10aの内径及び矩形板11における孔部11aの径は、ボルト18bが挿入可能な大きさに設定されている。また、矩形板11は、スライド板18aの突起部18e、18eを覆うことが可能な大きさに設定されている。
【0036】
そして、作業員が、スライド板18aを支持金具20に挿入し、ボルト18bをスリット部20bにおける隣合う2つの拡幅部20c、20cの中央に位置付け、突起部18e、18eを2つの拡幅部20c、20cに対向させて、ボルト18bを引っ張ることにより、
図8に示すように、スライド板18aの突起部18e、18eが拡幅部20c、20cに嵌合する。これにより、支持金具20に対するスライド板18aのスライド移動が規制されるとともに、支持金具20からボルト18bが突出した状態で維持される。
【0037】
更に、作業員が、ボルト18bの先端部に、矩形板11の孔部11aを通し、フック体10のリング部10aを通し、ナット18cを締め付けて突起部18e、18eと矩形板11とフック体10とを密着させることにより、
図8に示すように、フック体10が支持金具20に固定される。
【0038】
ターンバックル16は、
図9に示すように、一端部がフック形状に形成されており、他端部にねじ山が切られている一対のフック部材16a、16aと、フック部材16a、16aに螺合する2つのネジ穴を有する環状の本体部材16bと、からなる。一対のフック部材16a、16aのねじ山は互いに逆ねじなっている。また、本体部材16bの2つのネジ穴のねじ溝も互いに逆ねじなっている。そして、一対のフック部材16a、16aを本体部材16bの2つのネジ穴のねじ溝に螺合させた場合に、フック部材16a、16aは同軸上に配置され、本体部材16bの内側で、ねじ山が切られたボルト部分の端部同士が互いに対向する。このような構成により、本体部材16bの回転に応じてフック部材16a、16a同士が離れたり近づいたりする。
【0039】
ターンバックル16の一方のフック部材16aは、コンテナ本体2における左側面の前側の支持金具20に固定されたフック体10に掛けられる。他方のフック部材16aは、
図6に示すようにワイヤ14の端部が掛けられる。
【0040】
図10は、滑車12及び滑車12を支持金具20に固定するための部品を示す説明図である。
【0041】
滑車12は、中央に中心孔12aを備えており、外周面にはリング状の溝12bが形成されている。また、滑車12は、矩形板11と、連結金具18と、フランジ体19とを用いて支持金具20に固定される。
【0042】
矩形板11及び連結金具18については上述した通りである。
フランジ体19は、円筒部19aと、この円筒部19aの片方の端部から中心軸に対して直角方向に延びる鍔部19bと、によって構成されている。円筒部19aの内径は、矩形板11の孔部11aと同じであり、ボルト18bを通すことが可能な大きさである。円筒部19aの外径は滑車12の中心孔12aの内径よりも若干小さく設定されている。すなわち、円筒部19aを滑車12の中心孔12aに通すことが可能である。
【0043】
そして、上述したフック体10の支持金具20への固定と同様に、作業員が、スライド板18aを支持金具20に挿入し、ボルト18bをスリット部20bにおける隣合う2つの拡幅部20c、20cの中央に位置付け、突起部18e、18eを2つの拡幅部20c、20cに対向させて、ボルト18bを引っ張ることにより、
図11に示すように、スライド板18aの突起部18e、18eを拡幅部20c、20cに嵌合させる。
【0044】
更に、作業員が、ボルト18bの先端部に矩形板11の孔部11aを通し、更に、滑車12の中心孔12aにフランジ体19の円筒部19aを通してから、ボルト18bに円筒部19aを通す。そして、ボルト18bの先端部にナット18cを取り付け、このナット18cを締め付けて突起部18e、18eと矩形板11と円筒部19aとを密着させる。これにより、
図11に示すように、滑車12がフランジ体19の円筒部19aを軸として回転可能な状態で支持金具20に固定される。
【0045】
[保冷機能を有する収蔵庫]
図12は、収蔵庫100の構成を示す斜視図である。収蔵庫100は、コンテナ本体2内の収納空間より若干小さい直方体形の箱体である。収蔵庫100は、前面に観音開きの開閉扉110を備えており、この開閉扉110を開くことにより、収蔵庫100に対して物品の収納、取り出しが可能になる。
【0046】
収蔵庫100の内部の壁面には、図示しないが複数の保冷剤を収納するための収納部が設けられており、この収納部に複数の保冷剤を並べて収納することにより、収蔵庫100の内部の壁面に保冷剤が敷き詰められる。これにより、収蔵庫100は、保冷機能を備えるようになる。
【0047】
[航空用コンテナ]
図13は、航空用コンテナ1に収蔵庫100を収納した状態を示す斜視図である。
【0048】
作業員は、コンテナ本体2に収蔵庫100を収納する前に、
図6〜
図11に示すように、フック体10、10及び滑車12、12を、対応する支持金具20に固定する。具体的に、フック体10、10は、コンテナ本体2の左側面における搬入口4側(前側)及び搬入口4に対して奥側(後側)の支持金具20に連結金具18によってそれぞれ固定される。滑車12、12は、コンテナ本体2の右側面における搬入口4側(前側)及び搬入口4に対して奥側(後側)の支持金具20に連結金具18によってそれぞれ固定される。つまり、フック体10、10及び滑車12、12は、左右の側面において、床面の四隅の近傍に配置されている支持金具20に固定される。
【0049】
次に、リング状に形成されたワイヤ14の一端部を、
図6に示すように、後方のフック体10に引っ掛ける。そして、ワイヤ14を上方に延ばし、例えば、コンテナ本体2の天井の左側から右側に這わせ、コンテナ本体2の右側壁面に沿って降ろして、後方の滑車12に巻き付ける。そして、ワイヤ14を前方の滑車12の直下に延ばして、ワイヤ14の他端部を外部に引き出しておく。この時、ワイヤ14は弛んだ状態であってもよい。また、コンテナ本体2の天井に這わせたワイヤ14は、粘着テープ等で仮止めしておくとよい。
【0050】
そして、コンテナ本体2に収蔵庫100を収納した後、作業員は、ワイヤ14を手前に引っ張って、ワイヤ14に張力を加える。これにより、ワイヤ14は、粘着テープから外れて収蔵庫100の上部の後方側に当接するともに、後方の滑車12に密着する。更に作業員は、ワイヤ14を、前方の滑車12に巻き付けてから上方に延ばし、収蔵庫100の上部の前方において右側から左側に向かって延ばし、コンテナ本体2の左側壁面に沿って降ろす。そして、リング状に形成されてワイヤ14の他端部と、前方のフック体10とを、ターンバックル16によって連結する。最後に、ターンバックル16の本体部材16bを回転させて、ワイヤ14の他端部を下方に降ろすことによって、ワイヤ14による収蔵庫100への締め付けを強化する。これにより、収蔵庫100が、コンテナ本体2内を移動しないように、収蔵庫補助装置7によって固定される。
【0051】
なお、コンテナ本体2に収納した収蔵庫100にワイヤ14を掛ける手順は、上述した手順以外でもよい。また、ワイヤ14が通る収蔵庫100の角部に、
図12に示すような、案内板102を取り付けて、収蔵庫100の角部を保護してもよい。
図12において、案内板102は、滑面を有する金属板にプレス加工を施すことによって、所定の曲率のL字形に形成された部材であり、ワイヤ14が摺接する滑面部102aと、この滑面部102aの両側部に形成され、ワイヤ14が案内板102から外れることを防止するリブ部102b、102bとを備えている。
【0052】
このように構成した第1実施形態によれば、作業員が、ターンバックル16を操作することによって、ワイヤ14によってコンテナ本体2に収容された収蔵庫100が移動しないように、強固に固定することが可能になる。また、コンテナ本体2の外部から作業員が、コンテナ本体2と収蔵庫100との隙間に手を伸ばしてターンバックル16を操作することができるため、ワイヤ14の締め付け作業及び緩める作業を容易に行うことが可能になる。
【0053】
なお、第1実施形態によれば、滑車12は、ワイヤ14の移動とともに回転自在であるが、滑車12を回転させずに、矩形板11とナット18cとの間に固定してもよい。また、滑車12の代わりにL字形の金具を用いて、ワイヤ14の方向を直角方向に変えてもよい。
【0054】
[第2実施形態の収蔵庫補助装置]
ところで、収蔵庫100は、コンテナ本体2の収納スペースに近い大きさであるため、収蔵庫100をコンテナ本体2に対して搬入、搬出する作業は容易ではない。例えば、収蔵庫100が搬入、搬出の際に斜めになってしまった場合には、収蔵庫100がコンテナ本体2の内部に当接して、収蔵庫100を押し込むことが困難になるおそれがある。
【0055】
次に説明する第2実施形態の収蔵庫補助装置8は、このような問題点について鑑みなされたものであり、コンテナ本体2に対する収蔵庫100の搬入、搬出を補助するものである。なお、第2実施形態の収蔵庫補助装置8において、第1実施形態の収蔵庫補助装置7における部材と同一の部材については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0056】
収蔵庫補助装置8は、
図14に示すように、コンテナ本体2の内部の床面に固定され、収蔵庫100を載置するものである。
【0057】
図15は、本発明の第2実施形態における収蔵庫補助装置8の構成を示す説明図であり、収蔵庫補助装置8は、複数の固定金具30と、レール体34と、係合部材に相当するビス36と、を備えている。
【0058】
図16は固定金具30の詳細な構成を示す説明図であり、固定金具30は、レール体34を支持する支持台31と、第1実施形態において用いた連結金具18とからなる。
【0059】
支持台31は、四角筒形の金属部材であり、コンテナ本体2の床面の左方及び右方側の端部に配置される。レール体34は、支持台31の上面に載置かつ固定される。ここで、レール体34は、コンテナ本体2の前方から搬入口4を視認した場合に、搬入口4の範囲内に配置される。また、段部5の最上部位とレール体34a、34aの表面とが同じ高さになる。
【0060】
支持台31において、コンテナ本体2の左側面又は右側面に対向する側面に、ボルト18bの雄ねじ部18gが挿入可能な孔部31aが形成されている。また、この側面に対向する側面における孔部31aの対向部位に孔部31bが形成されている。この孔部31bは、孔部31aよりも大径であり、ナット18c、及びナット18cを回転させる工具等が挿入可能に形成されている。
【0061】
そして、作業員が、スライド板18aを支持金具20に挿入し、ボルト18bをスリット部20bにおける隣合う2つの拡幅部20c、20cの中央に位置付け、突起部18e、18eを2つの拡幅部20c、20cに対向させて、ボルト18bを引っ張ることにより、
図17に示すように、スライド板18aの突起部18e、18eが拡幅部20c、20cに嵌合する。これにより、支持金具20に対するスライド板18aのスライド移動が規制されるとともに、支持金具20からボルト18bが突出した状態で維持される。
【0062】
更に、作業員が、ボルト18bの先端部に支持台31の孔部31aを通し、ナット18cを締め付けて突起部18e、18eと支持台31とを密着させることにより、支持台31がコンテナ本体2に固定される。このように支持台31は、コンテナ本体2の床面に、前後方向に延びる2本の長辺に沿って3個ずつ計6個固定される。
【0063】
また、
図15に示すように、3本のレール体34は、断面L字形の長尺部材である。3本のレール体34の表面は、摩擦が少ない平滑面である。
【0064】
3本のレール体34は、コンテナ本体2の床面における左右の端部に配置される2本のレール体34a、34aと、コンテナ本体2の床面における後方側の端部に配置されるレール体34bとからなる。
【0065】
2本のレール体34a、34aは、3個の支持台31上に平ねじ等によって固定される。なお、平ねじの頭部がレール面から突出しないように、平ねじの挿入用として2本のレール体34a、34aに形成されたねじ孔の上部にテーパ状の凹部が形成されている。
【0066】
レール体34bには、後側面に固定された支持金具20に対向する部位に、ボルト18bが挿入可能な孔部34c(
図15参照)が形成されている。レール体34bをコンテナ本体2に取り付ける際には、作業員が、支持金具20にスライド板18aを挿入して、支持金具20からボルト18bを延出させ、このボルト18bにレール体34bの孔部34cを通してからナット18cで締め付ける。これにより、レール体34bがコンテナ本体2の後側面に固定される。
【0067】
なお、支持金具20は、6つの拡幅部20cを有しており、6つの拡幅部20c中のどの拡幅部20cに突起部18e、18eを嵌合させるかについては適宜選択可能である。ここで、収蔵庫補助装置8に対して前方に大きな力が加わった場合に、収蔵庫補助装置8が支持金具20から外れてしまうことを確実に防止するのであれば、支持金具20において最も後方に位置する2つの拡幅部20cに突起部18e、18eを嵌合させることが望ましい。つまり、突起部18e、18eが支持金具20から外れるまでには、4つの拡幅部20cを乗り越える必要があるため、収蔵庫補助装置8がコンテナ本体2の外部に移動することがなくなる。
【0068】
このようにコンテナ本体2の内部に設置された3本のレール体34a、34a、34b上に収蔵庫100が載置される。
【0069】
また、コンテナ本体2に収蔵庫補助装置8が固定された場合において、支持金具20の6つの拡幅部20cの中で連続した2つの拡幅部20cが空いている場合には、その空いた2つの拡幅部20cを利用して、第1実施形態における収蔵庫補助装置7を設置することも可能である。
【0070】
[保冷機能を有する収蔵庫]
図18は、収蔵庫100の構成を示す斜視図である。収蔵庫100は、コンテナ本体2内の収納空間より若干小さく、3本のレール体34上に載置可能サイズの直方体形の箱体である。収蔵庫100は、前面に観音開きの開閉扉110を備えており、この開閉扉110を開くことにより、収蔵庫100に対して物品の収納、取り出しが可能になる。
【0071】
収蔵庫100の下面における前後方向に延びる2本の長辺部分には、収蔵庫100の移動の際にレール体34a、34a(
図15参照)の上面に摺接する摺動レール120、120が固定されている。この摺動レール120、120の長さは、レール体34a、34a(
図15参照)の長さと略同じであり、収蔵庫100に固定された摺動レール120、120の前方側の端部が、収蔵庫100の下部から突出している。
【0072】
また、
図14、
図15に示すように、レール体34bの前方側の端部に孔部34dが形成されており、
図15に示すように、摺動レール120の前方側の端部に孔部120aが形成されている。そして、収蔵庫100がコンテナ本体2に収納された状態では、孔部34dと孔部120aとが一致する。この孔部120aにビス36を挿入することによって、レール体34bと摺動レール120とが係合して、収蔵庫100がコンテナ本体2に固定される。
【0073】
[航空用コンテナ]
図19は、航空用コンテナ50に収蔵庫100を収納する前の状態を示す斜視図、
図20は、航空用コンテナ50に収蔵庫100を収納した状態を示す斜視図である。
【0074】
航空用コンテナ50は、
図19に示すように、コンテナ本体2の床面に収蔵庫補助装置8を固定することによって構成される。
【0075】
コンテナ本体2の床面に収蔵庫補助装置8を固定する際には、まず、作業員が、連結金具18(
図16参照)を用いてコンテナ本体2に支持台31を固定してから、支持台31にレール体34aを固定する。なお、レール体34aに支持台31を固定してから、コンテナ本体2に支持台31を固定してもよい。更に、作業員は、連結金具18を用いてコンテナ本体2にレール体34b(
図15参照)を固定する。
【0076】
収蔵庫100を航空用コンテナ50に搬入する際には、まず、作業員が、収蔵庫100における摺動レール120、120の後方側の端部を、レール体34a、34aの前方側の端部に載せる。そして、収蔵庫100を後方に押し込むことにより、収蔵庫100がレール体34a、34aに沿って航空用コンテナ50の内部に移動し、収蔵庫100の後方側の下部がレール体34bに載った時点で収蔵庫100は停止する。そして、作業員は、孔部120aにビス36を挿入することによって、収蔵庫100をコンテナ本体2に固定する。これにより、
図20に示すように、収蔵庫100が、航空用コンテナ50内に収納される。
【0077】
なお、収蔵庫100に入れる物品は、航空用コンテナ50に収蔵庫100を収納する前に、収蔵庫100に入れてもよいし、航空用コンテナ50に収蔵庫100を収納した後に、収蔵庫100を収納してもよい。また、コンテナ本体2の床面における3本のレール体34に囲まれた領域に、パレットを挿入して、3本のレール体34及び支持台31にかかる負荷を軽減させてもよい。
【0078】
[第3実施形態の収蔵庫補助装置]
図21は、本発明の第3実施形態における収蔵庫補助装置9を備える航空用コンテナ52の外観を示す説明図である。
図22は、本発明の第2実施形態における収蔵庫補助装置9の外観を示す斜視図である。
図23は、
図22の平面図である。なお、
図21〜
図23に示す第2実施形態の収蔵庫補助装置9において、
図1〜
図13に示す第1実施形態の収蔵庫補助装置7における部材、及び
図14〜
図20に示す第2実施形態の収蔵庫補助装置8における部材と同一の部材については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0079】
図21に示すように、航空用コンテナ52は、コンテナ本体3と、収蔵庫補助装置9と、を備えている。コンテナ本体3は、
図2、
図19に示すコンテナ本体2から段部5を削除した構成である。収蔵庫補助装置9は、コンテナ本体3の床面に載置された状態で、コンテナ本体3に固定される。
【0080】
収蔵庫補助装置9は、
図22及び
図23に示すように、フレーム体40と、2本の補強棒42、42と、2枚の支持板44、44と、固定金具46と、係合部材に相当するビス49と、を備える。
【0081】
フレーム体40は、四角筒の棒状部材40a、40a、40b、40bを矩形に組み合わせたものであり、フレーム体40における左右方向に延びる棒状部材40b、40bの長さは、コンテナ本体3の床面の左右方向の長さから2つの支持金具20の突出分をだけ短い長さであり、前後方向に延びる棒状部材40a、40aの長さは、コンテナ本体3の床面の前後方向の長さから1つの支持金具20の突出分だけ短い長さに設定されている。また、フレーム体40には、
図22に示すように、孔部40c、40dが形成されている。
【0082】
図24は、
図23に示すA付近の構成を示す一部断面を含む平面図である。また、収蔵庫補助装置9が、コンテナ本体3の床面に載置された状態において、棒状部材40aにおける支持金具20に対向する部位には、ボルト18bが遊挿可能な孔部40cが形成されている。また、棒状部材40a、40aにおけるフレーム体40の内側の面において孔部40c、40cに対向する部位には、孔部40cより大きい孔部40dが形成されている。すなわち、棒状部材40a、40aには、それぞれ孔部40c及び大きい孔部40dが三箇所形成されている。
【0083】
また、
図22及び
図23に示すように、補強棒42は、フレーム体40を構成する棒状部材40a、40bよりも高さが低い四角筒の棒状部材からなる。2本の補強棒42、42は、フレーム体40の内側に、棒状部材40b、40bと平行になるように前後方向に並べて配置され、両端部が、棒状部材40a、40aに固定される。ここで、補強棒42は、棒状部材40a、40aに対して下方寄りに固定されており、棒状部材40a、40aの上面と補強棒42の上面とによって段差が形成される。
【0084】
2本の支持板44、44は、帯状板からなり、フレーム体40の内側に、棒状部材40a、40aと平行になるように左右方向に並べて補強棒42上に配置され、両端部が、棒状部材40b、40bに固定される。支持板44の厚さは、棒状部材40a、40aの上面と補強棒42の上面との段差の高さに設定されている。このため、フレーム体40の上面と2本の支持板44、44の上面とは面一となる。なお、フレーム体40の上面及び2本の支持板44、44の上面は、摩擦が少ない平滑面として形成されている。
【0085】
また、支持板44には、前後方向に複数のベアリングが並べられてなるベアリング部48が固定されている。
【0086】
固定金具46は、
図24に示すように、スライド板47と、第1実施形態において用いたボルト18b及びナット18cとによって構成されている。
【0087】
スライド板47は、金属板47aと、突起部47b、47bと、孔部47cと、を備えている。
【0088】
金属板47aは、棒状部材40aと同じ長さでかつ支持金具20に挿入自在な帯状の矩形板である。金属板47aにおける長尺方向の長さ以外の寸法は、
図7に示す金属板18dと同一である。突起部47b、47b及び孔部47cは、
図7に示す突起部18e、18e及び孔部18fと同一形状である。
【0089】
突起部47b、47b及び孔部47cは、金属板47aに3箇所設けられている。具体的には、金属板47aが3つの支持金具20に挿入された場合に、突起部47b、47bが各支持金具20における2つの拡幅部20c、20cに対向するように、金属板47aにおける突起部47b、47b及び孔部47cの位置が設定されている。
【0090】
ボルト18bは、金属板47aにおける突起部47b、47bが配置された平面の反対面側から孔部47cに挿入され、頭部18hが孔部47cの周縁に当接し、雄ねじ部18gが突起部47b、47bの間から突出する。
【0091】
そして、棒状部材40aにおける3つの孔部40cにそれぞれボルト18bを挿入し、更に、ボルト18bの先端部にナット18cを螺合させることにより、スライド板47、47が棒状部材40aに取り付けられる。なお、ナット18cは、スライド板47、47が左右方向にスライド移動可能になる程度にボルト18bに螺合させる。
【0092】
フレーム体40をコンテナ本体3の床面に載置する際には、作業員が、フレーム体40の先端部をコンテナ本体3の前方の床面に載置し、スライド板47、47を支持金具20に対向させた状態で、フレーム体40を後方に押し込む。そして、フレーム体40は、後方の棒状部材40bが、コンテナ本体3の後側面の下部に配置された支持金具20に当接するまで移動する。これにより、スライド板47、47が3つの支持金具20に挿入された状態で、フレーム体40が、
図25に示すように、コンテナ本体3の床面に載置される。
【0093】
この時、左側面の下部及び右側面の下部に3つずつ配置された支持金具20における2つの拡幅部20c、20cに、それぞれ突起部47b、47bが対向しており、ナット18cを締め付けることにより、拡幅部20c、20cに突起部47b、47bが嵌合して、収蔵庫補助装置9がコンテナ本体3に装着される。これにより、航空用コンテナ52が構成される。
【0094】
収蔵庫100を航空用コンテナ52に収納する際には、まず、作業員が、収蔵庫100における摺動レール120、120の後方側の端部を、フレーム体40の前方側の端部に載せてから、収蔵庫100を後方に押し込む。これにより、収蔵庫100が棒状部材40a、40a及び支持板44、44に摺接しながらコンテナ本体3の内部に移動する。すなわち、棒状部材40a、40aは、
図14に示す第2実施形態におけるレール体34a、34aと同等の機能を奏する。また、ベアリング部48は、収蔵庫の下面に当接して収蔵庫の移動方向に沿って回転する。
【0095】
そして、収蔵庫100が航空用コンテナ52の後面に当接した時点で収蔵庫100は停止する。この状態で、収蔵庫100は航空用コンテナ52に収納され、開閉扉6を閉じることが可能になる。なお、
図14に示す第2実施形態と同様に、フレーム体40の前方側の端部に孔部40eが形成されており、摺動レール120の前方側の端部に孔部120aが形成されている。そして、収蔵庫100が航空用コンテナ52に収納された状態において、孔部40dと孔部120aとが一致する。作業員が、この孔部120aにビス49を挿入することによって、摺動レールとフレーム体40とが係合して、収蔵庫100がコンテナ本体3に固定され、
図26に示すように、航空用コンテナ52内に、収蔵庫100が収納される。
【0096】
なお、コンテナ本体2に収蔵庫補助装置9が固定された場合において、支持金具20の6つの拡幅部20cの中で連続した2つの拡幅部20cが空いている場合には、その空いた2つの拡幅部20cを利用して、第1実施形態における収蔵庫補助装置7を合わせて設置することも可能である。
【0097】
以上、説明したように構成された第1〜第3実施形態によれば、既存の常温コンテナであるコンテナ本体2、3の内部に設けられている支持金具20を利用して、コンテナ本体2、3の内部に特別機能を有する収蔵庫100を安定して固定することが可能になる。このため、常温コンテナの収納空間の寸法に近い保冷機能を有する収蔵庫を、常温コンテナに設置することが容易になり、常温コンテナを、保冷機能を有するコンテナとして使用することが可能になる。
【0098】
また、第2、第3実施形態によれば、6つの拡幅部20cを有する支持金具20の中の隣合う2つの拡幅部20cに、2つの突起部18e(47b)を嵌合させて、収蔵庫補助装置8(9)をコンテナ本体2(3)に固定しているため、収蔵庫補助装置8(9)に対して前方に大きな力が加わったとしても、収蔵庫補助装置8(9)が支持金具20から外れることを確実に防止することが可能になる。特に、第2実施形態の収蔵庫補助装置8によれば、段部5が形成されているため、仮に、ボルト18bが破損して支持台31と支持金具20とが分離したとしても、支持台31が段部5に当接するため、支持台31及びレール体34aの落下を防止することが可能になる。第2、第3実施形態によれば、収蔵庫100をコンテナ本体2(3)に固定するためにビス36(49)を用いているが、摺動レール120がレール体34又はフレーム体40に係合させることが可能であれば、他の部材を用いてもよい。
【0099】
なお、第1〜第3実施形態によれば、収蔵庫100は、保冷機能を有する収蔵庫であるが、それに限らす保湿機能や保温機能を有する収蔵庫であってもよい。これにより、常温コンテナを、保冷機能以外の別の機能を有するコンテナとして使用することが可能になる。また、本実施形態によれば、コンテナ本体2、3は、規格がLD3型のものであるが、それ以外の規格のコンテナに適用することも可能である。また、本実施形態によれば、6つの拡幅部20cの中の隣合う2つの拡幅部20cに、2つの突起部18e(47b)を嵌合させているが、突起部18e(47b)の数は3つあるいはそれ以上であってよい。