(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
我が国の学校から他国の学校への留学や他国の学校から我が国の学校への留学といった双方向の留学を円滑に進めるための仕組みの一つとして交換留学が挙げられる。交換留学とは、外国からの留学生を自校(例えば、日本の学校A)で一定数受け入れるかわりその留学生の出身校(例えば、外国の学校B)に自校の留学生を一定数だけ受け入れてもらう制度を言う。
【0005】
交換留学は、例えば姉妹校など旧来から交流のあった学校間で行われることが多く、歴史の浅い学校や新設校では、交換留学の制度が設けられていないことが多い。例えば、アニメーションやコンピュータゲームは我が国の有力な輸出物の一つとなりつつあり、アニメータやゲームデザイナなどの養成を目的とした学科や学校が多数新設されているが、これらの学校には交換留学の制度が設けられていないことが多い。また、新設校等における事務担当者が、交換留学の相手先となる学校を新たに見つけようとしても、海外のどの学校がどのような学生を受け入れ可能であるかについての体系化された情報はなく、その探索には多大な手間を要するといった問題もあった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、多大な手間を要することなく交換留学の相手先を見つけることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、以下の交換留学支援装置を提供する。この交換留学支援装置は、複数の学校の各々から、留学生を受け入れ可能な学科および受け入れ可能な人数を示す留学受け入れ情報とその学校を一意に示す学校識別子とを電気通信回線を介して受信する。また、この交換留学支援装置は、以下の記憶部と制御部とを有する。記憶部には、学校識別子に対応づけてその学校識別子の示す学校の属する国を示す情報とその学校に関する学校情報とが予め記憶されている。制御部は、複数の端末装置の各々から送信されてくる留学受け入れ情報を受信する毎に、その留学受け入れ情報に含まれている学校識別子を当該学校識別子の示す学校の学校情報に置き換え、当該学校の属する国とは異なる国に属する各学校へ当該置き換え後の留学受け入れ情報を転送する。
【0008】
本発明によれば、上記複数の学校の各々における留学担当者は自校についての留学受け入れ情報を交換留学支援装置へ送信するだけで、交換留学の相手校となり得る他国の学校へ留学受け入れ情報を伝達することができ、また、他国の学校から送られた留学受け入れ情報を入手することができる。このため、本発明によれば、多大な手間を要することなく交換留学の相手先を見つけることが可能になる。
【0009】
より好ましい態様においては、留学受け入れ情報には、留学生を受け入れ可能な学科を示す学科識別子と学科毎の受け入れ可能人数を示す情報とが含まれる。また、さらに好ましい態様においては、交換留学支援装置の記憶部には、学校識別子に対応付けてその学校識別子の示す学校からの留学先として希望されている学科を示す希望学科識別子が予め記憶されており、同交換留学支援装置の制御部は、置き換え後の留学受け入れ情報を転送する際に、転送先の学校の学校識別子に対応付けられている希望学科識別子と同じ学科を示す学科識別子を含む留学受け入れ情報のみを転送する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による交換留学支援装置20を含む交換留学支援システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、交換留学支援システム1は、交換留学支援装置20の他に、端末装置10J_n(n=1〜3)と端末装置10F_m(m=1〜3)とを含む。端末装置10J_n(n=1〜3)および端末装置10F_m(m=1〜3)の各々と交換留学支援装置20は、何れもパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置である。
【0012】
端末装置10J_n(n=1〜3)および端末装置10F_m(m=1〜3)の各々と交換留学支援装置20は、インターネットなどの電気通信回線30に有線接続されている。本実施形態では、端末装置10J_n(n=1〜3)および端末装置10F_m(m=1〜3)の各々と交換留学支援装置20とが電気通信回線30に有線接続されている場合について説明するが無線接続であっても良い。端末装置10J_n(n=1〜3)および端末装置10F_m(m=1〜3)の各々と、交換留学支援装置20とは、電気通信回線30を介して、所定の通信プロトコル(例えばTCP/IP)にしたがったデータ通信を行う。
【0013】
端末装置10J_n(n=1〜3)の各々は我が国(日本)の学校に設置されており、端末装置10F_m(m=1〜3)の各々は外国の学校に設置されている。端末装置10J_n(n=1〜3)の各々を区別する必要が無い場合には「端末装置10J」と表記し、同様に端末装置10F_m(m=1〜3)の各々を区別する必要がない場合には「端末装置10F」と表記する。また、端末装置10Jと端末装置10Fを区別する必要が無い場合には「端末装置10」と表記する。
【0014】
端末装置10の設置先となる学校には、交換留学支援装置20の運用管理者(例えば、留学の仲介を生業とする業者や非営利団体など:以下、「交換留学コンシェルジュ」と呼ぶ)によって各学校を一意に識別する学校識別子が割り当てられている。そして、端末装置10には自装置の設置先の学校に割り当てられている学校識別子が予め記憶されている。学校識別子の一例としては、交換留学コンシェルジュに対して交換留学支援システム1の利用申請を行った順に割り振られる1から連番の所定桁数のコード情報が挙げられる。また、端末装置10の各々には、電気通信回線30を介したデータ通信における通信相手(本実施形態では交換留学支援装置20)の通信アドレス(例えば、IPアドレス)が予め記憶されている。
【0015】
端末装置10は、その設置先の学校において留学担当の事務員等(以下、留学担当者)によって操作される。留学担当者は、端末装置10の操作部(例えば、キーボードやマウス:
図1では図示略)を操作することで、自校にて受け入れ可能な留学生に関する各種情報を入力することができる。より詳細に説明すると、本実施形態では、留学担当者は、自校において留学生を受け入れ可能な学科を示す学科識別子および受け入れ可能な留学生の人数を学科毎に入力し、交換留学支援装置20へのこれらの情報の送信を指示する。学科識別子とは、交換留学コンシェルジュによって予め割り当てられたコード情報である。このような学科識別子の割り当てを行うのは、学科の名称やその学科で扱う学問内容については学校毎に異なることが考えられるため、交換留学に関する取り決めの締結後に無用な争いが発生しないようにするためである。
【0016】
このような送信指示が与えられると、端末装置10は、留学受け入れ情報を生成して交換留学支援装置20へ送信する。留学受け入れ情報には、その送信元である端末装置10に記憶されている学校識別子、留学担当者により入力された学科識別子および受け入れ可能人数を示す情報、が含まれている。
【0017】
図1では詳細な図示を省略したが、交換留学支援装置20は、通信インタフェース部と、制御部と、記憶部と、を含む。通信インタフェース部は、LANケーブルなどの通信線を介して電気通信回線30に接続されている。通信インタフェース部は、電気通信回線30から受信したデータを制御部に引き渡す一方、制御部から与えられたデータを電気通信回線30へ送出する。制御部は例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部は揮発性記憶部と不揮発性記憶部とを含む(
図1では何れも図示略)。
【0018】
揮発性記憶部は例えばRAM(Random Access Memory)である。揮発性記憶部は各種プログラムを実行する際のワークエリアとして制御部によって利用される。不揮発性記憶部は例えばハードディスクである。不揮発性記憶部には、本実施形態の特徴を顕著に示す交換留学支援処理を制御部に実行させる交換留学支援プログラムと、学校管理テーブルが予め格納されている。
【0019】
図2は、学校管理テーブルを構成するレコードの一例を示す図である。
図2に示すように学校管理テーブルを構成するレコードには、端末装置10の各々の通信アドレス、当該通信アドレスを割り当てられた端末装置の設置されている学校の学校識別子、所属国フラグ、学校情報、および希望学科識別子が含まれている。
図1および
図2では詳細な図示を省略したが、本実施形態の学校管理テーブルは、端末装置10J_n(n=1〜3)および端末装置10F_m(m=1〜3)の各々に対応する合計6個のレコードから構成されている。
【0020】
所属国フラグ、学校情報および希望学科識別子の内容は以下の通りである。
所属国フラグは、その所属国フラグに対応付けて学校管理テーブルに格納されている学校識別子の示す学校が所属する国を示す情報である。例えば端末装置10Jについては所属国フラグに日本国を示す値(例えば、1)がセットされており、端末装置10Fについては所属国フラグに日本国以外の国を示す値(例えば、0)がセットされている、といた具合である。学校情報には、学校の名称を表す文字列、およびその学校の校風や所在地等に関する紹介文を表す文字列等が含まれる。この紹介文については、各学校の留学担当者が用意しても良く、交換留学コンシェルジュが用意しても良い。交換留学コンシェルジュが用意する態様であれば、第三者の目から見た客観的な紹介文を用意することができる。学校情報の記述言語として何を用いるかについては種々の態様が考えられるが、本実施形態では、英語が採用されている。また、学校の業績や卒業生の進路等に関する第三者から見た客観的な評価を示す情報を上記学校情報に含めても良い。希望学科識別子とは、当該希望学科識別子を対応づけられた学校識別子の示す学校からの留学先として当該学校によって希望されている学科を示す情報であり、前述した学科識別子と同様のコード情報である。この学校管理テーブルの格納内容は交換留学支援処理の実行過程で参照される。
【0021】
交換留学支援装置20の制御部は、電源(図示略)の投入或いはリセットを契機として不揮発性記憶部から揮発性記憶部へ交換留学支援プログラムを読み出し、当該プログラムの実行を開始する。この交換留学支援プログラムにしたがって作動している制御部は留学受け入れ情報の受信を待ち受け、留学受け入れ情報を受信する毎に
図3に示す交換留学支援処理を実行する。
【0022】
図3は交換留学支援処理の流れを示すフローチャートである。
交換留学支援処理のステップSA100では、制御部は、受信した留学受け入れ情報に含まれる学校識別子を、当該学校識別子と同じ学校識別子を含むレコードに含まれている学校情報に置き換える。ステップSA100に後続するステップSA110では、制御部は、上記受信した留学受け入れ情報の送信元の通信アドレスと学校管理テーブルの格納内容とから、我が国の学校に設置された端末装置(すなわち、端末装置10J)から送信された留学受け入れ情報であるか否かを判定する。具体的には、制御部は、上記受信した留学受け入れ情報の送信元の通信アドレスと同じ通信アドレスを含むレコードに含まれている所属国フラグを参照し、その値が1であれば端末装置10Jから送信された留学受け入れ情報であると判定する。
【0023】
ステップSA110の判定結果が“Yes”である場合、制御部は、ステップSA100による置き換え処理を経た留学受け入れ情報を、我が国以外の国の学校に設置されている端末装置(本実施形態では、端末装置10F)のうちの該当するものへ転送する(ステップSA120)。より詳細に説明すると、制御部は、値が0の所属国フラグを含むレコードを学校管理テーブルから読み出し、さらに、当該レコードのうちから上記受信した留学受け入れ情報に含まれている学科識別子と同じ学科を示す希望学科識別子を含むレコードを抽出する。そして、制御部は、このようにして抽出したレコードに含まれている通信アドレスの示す端末装置10Fへ、上記置き換え後の留学受け入れ情報を転送する。
【0024】
ステップSA110の判定結果が“No”である場合、制御部は、ステップSA100による置き換え処理を経た留学受け入れ情報を我が国の学校に設置されている端末装置(すなわち、端末装置10J)のうちの該当するものへ転送する(ステップSA130)。より詳細に説明すると、制御部は、値が1の所属国フラグを含むレコードを学校管理テーブルから読み出し、さらに、当該レコードのうちから上記受信した留学受け入れ情報に含まれている学科識別子と同じ学科を示す希望学科識別子を含むレコードを抽出する。そして、制御部は、このようにして抽出したレコードに含まれている通信アドレスの示す端末装置10Jへ上記置き換え後の留学受け入れ情報を転送する。
【0025】
以上説明したように本実施形態の交換留学支援システム1によれば、各学校の留学担当者は自校についての留学受け入れ情報を交換留学支援装置20へ送信するだけで、交換留学の相手校となり得る他国の学校へ留学受け入れ情報を伝達することができ、また、他国の学校から送られた留学受け入れ情報を入手することができる。このため、設立からの歴史の浅い学校や新設校など、他校との交流チャネルを有さない学校であっても交換留学の相手校を多大な手間を要することなく見つけることが可能になる。上記学校情報に第三者の評価を示す情報を含めておく態様であれば、留学担当者はその情報を参考に交換留学の相手校を選択することができる。
【0026】
以上本発明の一実施形態について説明したが、この実施形態を以下のように変形しても勿論良い。
(1)上記実施形態では、3台の端末装置10Jが交換留学支援システム1に含まれていたが、交換留学支援システム1に含まれる端末装置10Jの数は3台の限定されるものでは無く1台または2台であっても良いし、4台以上であっても良い。同様に交換留学支援システム1に含まれる端末装置10Fの数も3台の限定されるものでは無く1台または2台であっても良いし、4台以上であっても良い。また、交換留学支援システム1に複数の端末装置10Fが含まれている場合、それらは全て同じ国に設置されている必要はなく、複数の国(日本以外の外国)に分散して設置されていても良い。
【0027】
また、上記実施形態では、我が国以外の学校については、全て我が国から見て他国の学校と扱うといった具合に、我が国の学校と他国の学校の区別のみを行ったが、他国の学校の各々にその所属国固有の所属国フラグ(例えば、アメリカについては0、フランスにはついては2、ドイツについては3といった具合)に割り当て、他国の学校についてもその所属国を詳細に区別しても良い。要は、留学受け入れ情報を受信する毎に、その留学受け入れ情報に含まれている学校識別子を当該学校識別子の示す学校の学校情報に置き換え、当該学校の属する国とは異なる国に属する各学校へ当該置き換え後の留学受け入れ情報を転送する処理を交換留学支援装置20の制御部に実行させる態様であれば良い。
【0028】
(2)希望学科識別子の設定は必須ではなく省略しても良い。希望学科識別子の設定を省略した場合には、交換留学支援処理のステップSA120ではステップSA100による置き換え処理を経た留学受け入れ情報を全ての端末装置10Fに転送すれば良く、交換留学支援処理のステップSA130ではステップSA100による置き換え処理を経た留学受け入れ情報を全ての端末装置10Jに転送すれば良い。
【0029】
(3)上記実施形態における交換留学支援装置20を単体で提供しても良く、また、交換留学支援装置20に記憶されている交換留学支援プログラムを単体で提供しても良い。交換留学支援プログラムの提供態様としては、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に上記交換留学支援プログラムを書き込んで配布する態様や、電気通信回線経由のダウンロードにより上記交換留学支援プログラムを配布する態様が考えられる。
【0030】
(4)学校管理テーブルを構成する各レコードに過去の留学生受け入れ実績を示す情報(例えば、年あたりの留学生受け入れ人数を示す情報)を含めておいても良く、この場合、受信した留学受け入れ情報の示す受け入れ可能人数と等しいかそれ以上の受け入れ実績を有する学校のみに上記置き換え後の留学生受け入れ情報を転送しても良い。交換留学では、学校間の平等性を担保するために双方の受け入れ人数が略等しいことが前提となることが多いからである。
【0031】
また、例えば端末装置10F_1から送信された留学受け入れ情報の転送を行う際に、端末装置10J_1および端末装置10J_2の各々の設置先の学校における受け入れ実績が上記留学受入れ情報の示す受け入れ可能人数に満たない場合であっても、端末装置10J_1および端末装置10J_2の各々の受け入れ実績の和が受け入れ可能人数以上となるのであれば、両校による共同受け入れを提案するようにしても良い。具体的には、端末装置10J_1の設置先の学校には、端末装置10J_2の設置先の学校についての学校情報を共同受け入れ先の学校を示す情報として付加して転送する一方、端末装置10J_2の設置先の学校には端末装置10J_1の設置先の学校についての学校情報を共同受け入れ先の学校を示す情報として付加して転送する、といった具合である。
【0032】
(5)上記実施形態では、学校情報の記述言語として英語を用いる場合について説明したが、複数の言語で記述した学校情報を用意しておき、留学受け入れ情報の転送先の学校の所属国における公用語で記述した学校情報による置き換えをその転送先の学校毎に行うようにしても良い。また、学校情報に学校の紹介文や所在地の紹介文の他に、留学生向けの語学学校の紹介文や留学生向けの住居の紹介文等を含めておいても良い。