特許第6456724号(P6456724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456724
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び定着装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20190110BHJP
【FI】
   G03G15/20 535
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-38664(P2015-38664)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-161673(P2016-161673A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100090620
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 宣幸
(72)【発明者】
【氏名】角田 茂
【審査官】 岡▲崎▼ 輝雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−168909(JP,A)
【文献】 特開2012−203291(JP,A)
【文献】 特開2013−218053(JP,A)
【文献】 特開2012−083667(JP,A)
【文献】 特開2009−198818(JP,A)
【文献】 特開2011−118298(JP,A)
【文献】 特開昭62−164071(JP,A)
【文献】 特開昭63−253387(JP,A)
【文献】 特開昭62−050866(JP,A)
【文献】 特開平02−148077(JP,A)
【文献】 実開昭60−078057(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に現像剤を定着させる定着装置を備える画像形成装置において、
前記定着装置は、
加熱部材と、
前記加熱部材に加熱される無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材を張架する張架部材と、
前記ベルト部材を介して圧接ニップ部を形成する加圧部材と、
前記加圧部材を支持する支持部材と、
前記加圧部材と前記ベルト部材を押圧する押圧部材と、
前記加圧部材と前記ベルト部材を押圧する定着部材と、
前記圧接ニップ部の方向へ前記媒体の移動を案内する媒体ガイドと、
前記加圧部材の位置を、前記支持部材内で移動させる加圧部材移動機構と
を有し、
前記加圧部材移動機構を介して、前記加圧部材の位置を制御する制御部をさらに備え、
前記加圧部材の移動前後でも前記定着部材の移動は発生しない構成となっており
前記加圧部材移動機構は、前記加圧部材の位置を、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、
前記第2の位置は、前記第1の位置よりも所定量前記媒体ガイド側の位置であり、
前記加圧部材は前記ベルト部材の外側に配置されており、
前記押圧部材は、前記ベルト部材の内側に配置されており、
前記押圧部材を前記加圧部材側に押圧するバネ部材をさらに備え、
前記定着部材は前記ベルト部材の内側に配置されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記媒体の厚さに応じて、前記加圧部材の位置を移動させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記媒体の厚さが所定以上の厚さの厚紙であると認識した場合に、前記加圧部材の位置を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記媒体の種類に応じて、前記加圧部材の位置を移動させることを特徴とする請求項のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記圧接ニップ部開始点と前記媒体ガイドとの間で前記媒体が成す第1の面と、前記ベルト部材が前記張架部材と前記押圧部材との間で成す第2の面とが成す角度が、前記加圧部材の位置が前記第1の位置にある場合よりも、前記第2の位置にある場合の方が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加圧部材は前記加圧部材を前記定着部材の方向に加圧するレバーに支持されており、前記定着部材は前記レバー外部の軸に支持されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記加圧部材移動機構は、前記加圧部材を、前記媒体が搬送される方向と並行に移動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
媒体に現像剤を定着させる定着装置において、
前記加熱部材に加熱される無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材を張架する張架部材と、
前記ベルト部材を介して圧接ニップ部を形成する加圧部材と、
前記加圧部材を支持する支持部材と、
前記加圧部材と前記ベルト部材を押圧する押圧部材と、
前記加圧部材と前記ベルト部材を押圧する定着部材と、
前記圧接ニップ部の方向へ前記媒体の移動を案内する媒体ガイドと、
前記加圧部材の位置を、前記支持部材内で移動させる加圧部材移動機構とを有し、
前記加圧部材の移動前後でも前記定着部材の移動は発生しない構成となっており、
前記加圧部材移動機構は、前記加圧部材の位置を、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、
前記第2の位置は、前記第1の位置よりも所定量前記媒体ガイド側の位置であり、
前記加圧部材は前記ベルト部材の外側に配置されており、
前記押圧部材は、前記ベルト部材の内側に配置されており、
前記押圧部材を前記加圧部材側に押圧するバネ部材をさらに備え、
前記定着部材は前記ベルト部材の内側に配置されている
ことを特徴とする定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び定着装置に関し、例えば、プリン夕、複写機、ファクシミリ、複合機等の電子写真方式を利用した画像形成装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式を利用した画像形成装置は、感光体ドラムの表面を帯電ローラによって一様に帯電した後、LED(Light Emitting Diode)ヘッド等の露光手段によって感光体ドラムの表面を露光して画像情報に応じた静電潜像を形成し、静電潜像に現像ローラ上で薄層化されたトナーを付着させてトナー像を形成する。その後、給紙装置から給紙された用紙に対して、転写ローラ等によりトナー像が転写される。そしてその後、定着装置で用紙上のトナー像が用紙に定着させられる。
【0003】
従来の定着装置を備えた電子写真方式の画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載された装置がある。特許文献1に記載された画像形成装置では、無端ベルトからなる定着ベルトをヒータにより加熱し、定着ローラを定着ベルト介して対向する加圧ローラで押圧してニップを形成させ、そのニップで搬送された用紙を挟んで、加熱および加圧によりトナー像を用紙上に定着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−073121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のベルト加熱方式の定着装置を備える画像形成装置では、通常、ニップ入口側にベルトを内側から押圧するパッドを備えている。そして、従来の画像形成装置では、厚紙、グロス紙、ラベル紙、フィルム等の剛性の高い用紙を定着する際、用紙のニップ噛み込み時に、当該パッドにより押圧された定着ベルト側に近づき過ぎる場合があった。この場合、用紙のトナーは過剰に溶けてグロスムラ状となる不具合が発生するおそれがあった。つまり、従来の画像形成装置の定着装置では、用紙がニップ部に進入する際に、当該用紙によっては、良好な印刷品位を得られないおそれがあった。
【0006】
そのため、媒体の種類によらず安定的に媒体上に形成された現像剤像を定着させることができる画像形成装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、媒体に現像剤を定着させる定着装置を備える画像形成装置において、(1)前記定着装置は、(1−1)加熱部材と、(1−2)前記加熱部材に加熱される無端状のベルト部材と、(1−3)前記ベルト部材を張架する張架部材と、(1−4)前記ベルト部材を介して圧接ニップ部を形成する加圧部材と、(1−5)前記加圧部材を支持する支持部材と、(1−6)前記加圧部材と前記ベルト部材を押圧する押圧部材と、(1−7)前記加圧部材と前記ベルト部材を押圧する定着部材と、(1−8)前記圧接ニップ部の方向へ前記媒体の移動を案内する媒体ガイドと、(1−9)前記加圧部材の位置を、前記支持部材内で移動させる加圧部材移動機構とを有し、(2)前記加圧部材移動機構を介して、前記加圧部材の位置を制御する制御部をさらに備え、(3)前記加圧部材の移動前後でも前記定着部材の移動は発生しない構成となっており、(4)前記加圧部材移動機構は、前記加圧部材の位置を、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、(5)前記第2の位置は、前記第1の位置よりも所定量前記媒体ガイド側の位置であり、(6)前記加圧部材は前記ベルト部材の外側に配置されており、(7)前記押圧部材は、前記ベルト部材の内側に配置されており、(8)前記押圧部材を前記加圧部材側に押圧するバネ部材をさらに備え、(9)前記定着部材は前記ベルト部材の内側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明は、媒体に現像剤を定着させる定着装置において、(1)加熱部材と、(2)前記加熱部材に加熱される無端状のベルト部材と、(3)前記ベルト部材を張架する張架部材と、(4)前記ベルト部材を介して圧接ニップ部を形成する加圧部材と、(5)前記加圧部材を支持する支持部材と、(6)前記加圧部材と前記ベルト部材を押圧する押圧部材と、(7)前記加圧部材と前記ベルト部材を押圧する定着部材と、(8)前記圧接ニップ部の方向へ前記媒体の移動を案内する媒体ガイドと、(9)前記加圧部材の位置を、前記支持部材内で移動させる加圧部材移動機構とを有し、(10)前記加圧部材の移動前後でも前記定着部材の移動は発生しない構成となっており、(11)前記加圧部材移動機構は、前記加圧部材の位置を、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、(12)前記第2の位置は、前記第1の位置よりも所定量前記媒体ガイド側の位置であり、(13)前記加圧部材は前記ベルト部材の外側に配置されており、(14)前記押圧部材は、前記ベルト部材の内側に配置されており、(15)前記押圧部材を前記加圧部材側に押圧するバネ部材をさらに備え、(16)前記定着部材は前記ベルト部材の内側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体の種類によらず安定的に媒体上に形成された現像剤像を定着させる画像形成装置及び定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る定着装置の概略側面図である。
図2】実施形態に係るプリンタの概略断面図である。
図3】実施形態に係るプリンタにおける定着装置に関連する制御系の構成について示したブロック図である。
図4】実施形態に係る定着装置の概略斜視図である。
図5】実施形態に係る定着装置における加圧ローラの移動について示した説明図である。
図6】実施形態に係る面ヒータを分解した状態で示す斜視図である。
図7】実施形態に係るプリンタの動作について示したフローチャートである。
図8】実施形態に係る定着装置において、加圧ローラの移動に伴うニップ部の変化について示した説明図である。
図9】実施形態に係る定着装置におけるニップ部内の圧力分布の変化について示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による画像形成装置及び定着装置の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の画像形成装置及び定着装置をプリンタに適用した例について説明する。
【0012】
(A−1)実施形態の構成
図2は、この実施形態のプリンタ1の全体構成を示すブロック図である。
【0013】
プリンタ1は、カラー画像を印刷する電子写真方式のカラープリンタである。
【0014】
図2に示すように、プリンタ1には、装置筐体内の下部に普通紙等の印刷用媒体としての用紙Pを収容する用紙カセット2が脱着自在に装着され、その外部の上面に画像が印刷された用紙Pを集積するスタッカ3が配置されており、これらの間は図2に破線で示す概ねS字状に形成された用紙搬送路4(搬送ベルト9の平行部の上面部を含む搬送路)で接続されている。
【0015】
用紙搬送路4と用紙カセット2との接続部には、用紙カセット2から用紙Pを1枚ずつに分離して用紙搬送路4へ繰り出す給紙機構として、給紙ローラ5a、5b及び分離片6が配置されている。
【0016】
また、給紙ローラ5bから見て、用紙Pの搬送方向(以下、「用紙搬送方向」と呼ぶ)の下流側には、上述の給紙機構により繰り出された用紙Pを挟持して搬送する搬送ローラ7、搬送された用紙Pの斜行を修正して搬送するレジストローラ8が配置されている。
【0017】
レジストローラ8の下流側には用紙Pを搬送する搬送ベルト9が配置されている。
【0018】
搬送ベルト9の平行部の上方向には、搬送ベルト9の軌道に沿って複数の画像形成部11が配置される。
【0019】
各画像形成部11の上方には静電潜像を形成するための露光ヘッド12が配置されている。また、各画像形成部11に対して、搬送ベルト9上面部を挟んだ反対側に、画像形成部11で形成されたトナー像を用紙P上に転写する転写ローラ13が配置されている。搬送ベルト9の用紙搬送方向の下流側には、転写されたトナー像を用紙P上に定着させる定着装置14が配置されている。また、定着装置14の用紙搬送方向の下流側には、定着装置14から排出された用紙Pを上部カバー15上のスタッカ3へ挟持して搬送する複数の排出ローラ16a、16bが配置されている。
【0020】
また、プリンタ1には、それぞれに設定された設定色つまりブラック(k)、シアン(c)、マゼンダ(m)、イエロー(y)の現像剤としてのトナーTを収容した4つの独立した画像形成部11k、11c、11m、11yが配置されている。画像形成部11k、11c、11m、11yは、用紙搬送方向に沿ってトナー像を形成する順に配置されている。これらの4つの画像形成部11は同一の構造であるため以下に1つの画像形成部11について説明する。
【0021】
画像形成部11は露光ヘッド12によって静電潜像が形成される感光体ドラム18、感光体ドラム18を一様に帯電させる帯電ローラ19、感光体ドラム18上の静電潜像にトナーTを付着させて現像する現像ローラ20、現像ローラ20にトナーTを供給する供給ローラ21、設定色のトナーTを収容したトナーカートリッジ22、転写後に感光体ドラム18上に残留したトナーTを掻きとって除去するクリーニングブレード23等を備えている。また、各画像形成部11はそれぞれ一体的に構成されており、プリンタ1に脱着自在に装着されている。このためプリンタ1の上部カバー15は開閉可能に構成されている。
【0022】
露光手段としての露光ヘッド12は上部カバー15によって支持されて、感光体ドラム18の上方に対向配置されて、LED光やレーザ光等の発光体を備えており、画像情報に基づいて感光体ドラム18の表面上に静電潜像を形成する。転写手段としての転写ローラ13は印加された転写電圧によって、搬送ベルト9によって搬送される用紙P上に感光体ドラム18上に形成されたトナー像を転写する。
【0023】
この実施形態の定着装置14は、ベルト加熱方式の装置であって、加圧部材としての加圧ローラ30と定着ベルトユニット31とを有している。定着装置14はプリンタ1に対して一体的に装着されても、プリンタ1から着脱可能に装着されてもよい。
【0024】
この実施形態のプリンタ1本体のレジストローラ8対に対向する位置には、用紙厚さ検出センサ261が取り付けられている。この用紙厚さ検出センサ261によってプリンタ1に通紙される用紙Pの厚さを測定することが出来る。用紙厚さ検出センサ261の出力は、プリンタ制御部50に入力される。
【0025】
次に定着装置14の詳細構成について説明する。
【0026】
図1はこの実施形態における定着装置14の主要な構成について示した概略側面図である。図4はこの実施形態に係る定着装置14の主要な構成について示した概略斜視図である。図3はこの実施形態におけるプリンタ1が備える定着装置14に係る制御系の構成を示すブロック図である。
【0027】
以下では、定着装置14を図4の方から見た場合の手前側をL側(左側)と呼び、図4の方から見た場合の奥側をR側(右側)と呼ぶものとする。
【0028】
図1に示すように、定着装置14では、定着ベルトユニット31と、加圧ローラ30との圧接により圧接ニップ部としてのニップ部Nが形成されている。
【0029】
定着ベルトユニット31には、ベルト部材としての定着ベルト33の内側に、定着部材としての定着ローラ32、加熱部材としてのヒータ34、定着ベルト33のガイドを兼ねるヒータホルダ35およびベルトガイド37が配置されている。さらに、定着ベルトユニット31には、定着ローラ32の回転方向(用紙搬送方向)の上流側に隣接して、押圧部材としてのパッド40と、定着ベルト33寄り規制手段としての図示しない環状フランジ部材が配置されている。定着ベルト33は、定着ローラ32、パッド40、ベルトガイド37とともに張架されて回転可能に支持されている。また、定着ベルト33は、ヒータホルダ35、及びベルトガイド37に沿って回転(摺動)可能である。なお、定着ベルトユニット31の定着ローラ32、及びパッド40の各々は、定着ベルト33を介して、加圧部材としての加圧ローラ30と対向かつ平行に配置されている。
【0030】
この実施形態では、ヒータホルダ35及びベルトガイド37等により、定着ベルト33を張架する張架部材が構成されている。
【0031】
加圧ローラ30は、図4に示す加圧ローラレバー46(1対の加圧ローラレバー46L、46Rにより構成されるレバー)を用いた押圧機構により、加圧ローラスプリング49(1対の加圧ローラレバースプリング49L、49Rにより構成されるスプリング)の所定の押圧力にて定着ローラ32を押圧している。加圧ローラレバー46は図示しないサイドフレームに回転支点(加圧ローラレバー回転支点孔462)を介して回転可能に接続されている。そして、加圧ローラ30は、加圧ローラスプリング49の反力によって、定着ローラ32中心方向(回転軸の方向)へ加圧ローラ30を押圧する。なお、加圧部材としての加圧ローラ30は回転することは必須ではなく、摩擦係数の低い材料で表面を覆った固定ガイドでも構わないが、この実施形態では定着ベルト33に従動して回転する回転体を用いている。また、パッド40はネ部材としてのパッドスプリング41によって定着ベルト33を介して加圧ローラ30を押圧する方向に付勢されている。パッドスプリング41としては、例えば圧縮コイルスプリング等を用いることができる。
【0032】
以上により、定着ベルトユニット31と加圧ローラ30の間には、用紙搬送方向に所定の幅からなるニップ部Nが形成される。
【0033】
次に、ヒータ34の構成例について図1図6を用いて説明する。
【0034】
図6は、ヒータ34を分解した状態で示す斜視図である。
【0035】
加熱部材としてのヒータ34は、例えば、図6に示すように、ステンレスやセラミックなどの基板34a上にガラス等からなる電気絶縁層34bを設け、その上に電極34cを有する抵抗発熱体34dを形成し、それを保護層34eで保護した面状ヒータで構成することができる。このような抵抗発熱体34dとしては、例えば、ニッケル−クロム合金、銀−パラジウム合金などの材料を用いることができる。また、保護層34eには、耐圧ガラスによるガラスコーティングを施してあるものとする。
【0036】
ヒータホルダ35は、加圧ローラ30の反対側で定着ローラ32から離間して、定着ローラ32に対向して配置される。このヒータホルダ35は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)などの耐熱性の高い樹脂、または、良熱伝導性を有する銅、アルミニウム合金等の金属で構成することができる。
【0037】
ヒータホルダ35には、定着ベルト33の内周面に対向する面に、ヒータ34と略同一幅となる溝が設けられており、その溝部にヒータ34が配設されている。ヒータ34は、ヒータホルダ35の溝部に長手方向に沿って耐熱性グリースを隙間に充填された状態で固定支持されている。また、ヒータホルダ35は図示しない押圧機構により定着ベルト33を張架する方向にヒータスプリング42の所定の押圧力にて付勢されている。またヒータ34の発熱面に対向する面に、ヒータ34とヒータスプリング42の間に挟む形で、加圧プレート351が設けられている。
【0038】
図1に示すように、ベルトガイド37は半円状に成形されている。ベルトガイド37は、例えばLCP、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等で構成することができる。ベルトガイド37において、定着ベルト33との摺擦面は、接触面積を減らすためにリブ形状等を設けて、定着ベルト33から奪う熱を小さくすることが望ましい。
【0039】
パッド40は、支持基材401と、支持基材401に接着固定された耐熱性弾性材402とを有している。また、弾性材402の表面には摩擦抵抗の少ない摺動層を設けることが望ましい。支持基材401は、例えば、鉄、アルミニウム合金等の金属を用いて構成することができる。弾性材401は定着ベルト33を介して加圧ローラ30の曲率と同じとなるように円弧面で形成されている。弾性材402の摺動層は定着ベルト33の内周面との摩擦抵抗を下げるために用いられる。
【0040】
パッドスプリング41は、パッド40の長手方向に複数配置されており、その長手方向圧力が均一になるように配置設定している。なお、ニップ部Nの幅は、パッド40の円弧面の長さを変更することによって、変更することが可能である。
【0041】
定着ベルト33としては、例えば、耐熱ニッケル(Ni)電鋳、ポリイミド(PI)、ステンレス(例えば、SUS304)などの材料で形成された円筒状のベルト基材の外周面に、シリコーンゴム、フッ素樹脂等の耐熱性弾性層を設け、弾性層の外周面に、フッ素樹脂等から成る離型層が形成された可とう性を有する部材を用いることができる。この定着ベルト33は、定着ローラ32の回転に伴うニップ部Nにおける摩擦力によって、定着ローラ32に従動回転し、ヒータ34によって加熱される。
【0042】
定着ローラ32は、例えば、芯金321(例えば、鉄、アルミニウム合金等の金属製のパイプまたはシャフト)と、弾性層322(例えば、シリコーンゴム、フッ素樹脂等の耐熱性の層)で構成することができる。また、定着ローラ32は、図示しない軸受けによって回転可能に支持されており、芯金321に設けた図示しない定着ローラギアに定着モータ381(図2参照)から伝達される駆動力によって、用紙搬送方向(図1に矢印Zで示す方向)に用紙Pを搬送する方向に回転するように駆動される。
【0043】
加圧ローラ30は、例えば、芯金301(例えば、鉄、アルミニウム合金等の金属製のパイプまたはシャフト)と、弾性層302(例えば、シリコーンゴム、フッ素樹脂等の耐熱性の層)と、離型層303(例えば、フッ素樹脂等の層)とで構成することができる。図4に示すように加圧ローラ30は、加圧ローラ軸端部形状304にスリーブ48を介してボールベアリング47によって回転可能に加圧ローラレバー46に保持されているものとする。すなわち、加圧ローラ30は、ボールベアリング47を含む支持部材により支持されている。
【0044】
ここで、加圧ローラ30は、定着ローラ32の回転に伴うニップ部Nにおける摩擦力によって従動回転する定着ベルト33の回転に伴って、従動回転する。
【0045】
トナーが転写された用紙Pは、用紙ガイド39に沿って搬送され、用紙ガイド39先端部分を乗り越えるようにして、ニップ部Nに進入する。用紙ガイド39は、ニップ部Nへ用紙Pの移動を案内する媒体ガイドとして構成されている。
【0046】
定着ベルト33の内周面に摺接して内周面の温度を検出する温度検出手段(ベルト温度検出手段)として、ベルトガイド37上(定着ベルト33の内周面に摺接する部分)にベルト温度センサ36が配置されている。言い換えると、ベルト温度センサ36は、定着装置14のヒータ34とニップ部Nとの間の、定着ベルト33回転方向上流側近傍に配置されている。ベルト温度センサ36は定着ベルト33の内周面に当接するように配置されており、定着ベルト33内面の温度を検知する。ベルト温度センサ36としては、例えば、サーミスタ等を適用することができる。
【0047】
この実施形態の例では、ヒータホルダ35は、アルミニウムA6063を押出し成型した一体ホルダであり、加圧プレート351は、材質をアルミニウムA5052、板厚1mmとして構成しているものとする。
【0048】
この実施形態の例では、加圧ローラ30は、芯金301を直径33.6mm、厚さ0.7mm、長さ330mmの鉄(例えば、機械構造用炭素鋼鋼管(STKM))からなるパイプとし、その外周面に弾性層302として厚さ1mmの発泡シリコーンゴム(スポンジ)層が形成されているものとする。そして、この実施形態の例では、弾性層302の表面に、離型層303として厚さ30μmのパーフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂チューブが被覆されているものとする。すなわち、この実施形態の例では、加圧ローラ30は、外径45mmのローラとなる。また、この実施形態の例では、加圧ローラ30のローラ製品硬度はASKER−C75として構成した。
【0049】
この実施形態の例では、定着ローラ32は、芯金321を直径21mm、厚さ1.5mm、長さ330mmの鉄(例えば、機械構造用炭素鋼鋼管(STKM))からなるパイプとする。また、芯金321の表面に、弾性層322として厚さ2mmの発泡シリコーンゴム(スポンジ)層が形成されているものとする。したがって、この実施形態の例では、定着ローラ32は、外径22mmのローラとなる。また、この実施形態の例では、定着ローラ32のローラ製品硬度はASKER−C70として構成した。
【0050】
この実施形態の例では、定着ローラ32は、加圧ローラ30との長手方向における圧力分布が均一となるように、中央部が両端に対して外径が0.3mm大きくなるクラウン形状とした。
【0051】
この実施形態の例では、パッド40は、支持基材401をアルミニウム合金(A6063)として、弾性材402はシリコーンゴムで形成し、パッド40表面(摺動層)として厚さ30μmのグラファイト含有シリコーン系樹脂をコーティングして構成し、円弧面の円弧長さを6mmに設定している。また、この実施形態の例では、弾性材402に用いるシリコーンゴム硬度は、JISA40とした。さらに、この実施形態の例では、パッド40は、加圧ローラ30との長手方向における圧力分布が均一となるように、円弧面には、中央部が両端に対して0.2mm凸になるようなクラウン形状とした。なお、この実施形態の例では、パッド40表面(摺動層)はコーティングとして構成したが、シート状のフッ素樹脂で、弾性層401を覆うように構成してもよい。
【0052】
この実施形態の例では、ニップ部Nのパッド40と定着ローラ32との間隙は約1mmに設定されているものとする。なお、この実施形態の例では、パッド40のニップ部Nを円弧形状で形成したが、平面形状で形成してもよい。
【0053】
この実施形態の例では、定着ベルト33は、ベルト基材として、厚さ80μmのポリイミド(PI)樹脂製の円筒部材を用い、弾性層として厚さ200μmのシリコーンゴム層を設け、離型層として厚さ20μmのPFA樹脂層を形成した無端ベルトであるものとする。また、定着ベルト33の内径は、ベルト周長が長くなると昇温時間が長くなり、短いとスペースが不足して、ニップ幅の確保に必要な定着ローラの外径、パッド基材サイズでの配置が不可となる。そのため、この実施形態の例では、前述の定着ローラ32とパッド40の構成に対して、定着ベルト33の内径を45mm、長さ330mmとしている。
【0054】
この実施形態の例では、加圧ローラ30は、図4示す加圧ローラレバー46を用いた押圧機構により加圧ローラスプリング49の所定の押圧力によって片側15kgf、両側で30kgfの総押圧力で定着ローラ32を押圧するように設定されているものとする。さらに、この実施形態の例では、パッド40は総荷重10kgfにて、それぞれ加圧ローラ30を押圧するように設定されているものとする。
【0055】
この実施形態の例では、以上のような構成により、通常時(後述する通常ポジション時)、加圧ローラ30と定着ローラ32のなすニップ幅が6mm、加圧ローラ30とパッド401のなすニップ幅が5mmとなるものとして説明する。したがって、この実施形態の例では、ニップ部Nの幅は、概ね11〜12mmになるものとする。
【0056】
次に、加圧ローラ30の位置を変更する構造について、図4図5を用いて説明する。
【0057】
図5は、定着装置14において加圧ローラ30の位置を変更する構造(加圧部材移動機構の構造)について示した説明図である。図5(a)、図5(b)は、それぞれ、定着装置14の各状態における概略側面図である。
【0058】
なお、図4図5では、定着装置14の内部についてL側(図4図5の方から見た場合の手前側)の構成を中心に図示しているが、R側(図4図5の方から見た場合の奥側)の構成についてもL側と同様(対照的な構成)であるため、R側の構成の一部については図示を省略している。具体的には、図4図5では、加圧ローラ軸端部形状304、加圧ローラ移動カム44、加圧ローラテンションスプリング45、加圧ローラレバー回転支点孔462、スリーブ48、ボールベアリング受け孔461、ボールベアリング47のそれぞれのL側の部分(端部)について、304L、44L、45L、48L、461L、47Lと図示しているが、R側も同様の構成(対照的な構成)となっているため図示を省略している。
【0059】
また、図5(a)では、加圧ローラ30が第1の位置(後述する「通常ポジション」の位置)にある場合の加圧ローラ移動カム44L、加圧ローラテンションスプリング45L、及びボールベアリング47Lの位置を、それぞれ44L−1、45L−1、47L−1と図示している。また、図5(b)では、加圧ローラ30が第2の位置(後述する「厚紙ポジション」の位置)にある場合の加圧ローラ移動カム44L、加圧ローラテンションスプリング45L、及びボールベアリング47Lの位置を、それぞれ44L−2、45L−2、47L−2と図示している。
【0060】
図5(a)に示すように加圧ローラレバー46は、加圧ローラ軸端部304を回転可能に保持するボールベアリング47を支持する受け孔形状461を有する。
【0061】
加圧ローラレバー46のボールベアリング受け孔461は、図5中のY方向にボールベアリング47外径と同一幅で形成され、さらに、図5中のX方向(用紙搬送方向の上流側;用紙ガイド39の方向)にはボールベアリング47外径+1mmの幅となる略楕円形状にて形成されている。ボールベアリング受け孔461に嵌め込まれたボールベアリング47の中心(加圧ローラ30と同一中心)を通るX方向軸上に加圧ローラ移動カム44と加圧ローラテンションスプリング45が配設されている。
【0062】
加圧ローラ移動カム44は、図4に示す加圧ローラレバー46L、46Rを貫通する加圧ローラ移動カムシャフト441両端が結合されており、加圧ローラレバー46L、46Rの外側面に配置される。なお、図4図5では、L側の加圧ローラ移動カム44Lのみ図示しているが、加圧ローラ移動カムシャフト441のR側の端部にも同様の加圧ローラ移動カム44Rが配置されている。
【0063】
加圧ローラ移動カムシャフト441および加圧ローラ移動カム44L、44Rは、加圧ローラ移動モータ382により駆動されることで一体的に回転可能に加圧ローラレバー46L、46Rに支持される。
【0064】
図5(a)に示すように、加圧ローラテンションスプリング45Lは、加圧ローラ移動カム44Lがボールベアリング47L外径面に当接しない位置において、−X方向にテンションを掛けることで、ボールベアリング47Lを加圧ローラレバー46Lの用紙P搬送方向下流側に突き当てておくように作用する(47L−1位置)。以下では、加圧ローラ30が、図5(a)のように位置している状態を「通常ポジション」(第1の位置)と呼ぶものとする。
【0065】
加圧ローラ移動カム44Lが加圧ローラ移動モータ382により44L−1の位置から44L−2の位置へ180°移動(回転)すると、図5(b)に示すようにボールベアリング47Lは47L−1から47L−2の位置へカム44Lの押込み量だけM1方向へ移動する。
【0066】
この実施形態の例では、ボールベアリング受け孔461のカム44L側面から加圧ローラテンションスプリング45側面へ突き当たる位置(1mm分)まで移動するものとする。カム44Lおよび44Rはシャフト441によって同位相の動きとなるため、加圧ローラレバー46L、46R内において、加圧ローラ30は上記位置へ平行移動が可能となる。以下では、加圧ローラ30が、図5(b)のように位置している状態を「厚紙ポジション」(第2の位置)と呼ぶものとする。
【0067】
加圧ローラ移動カム44L−2の位置から44L−1の位置へ戻ると、加圧ローラテンションスプリング45L−2から45L−1へ変位することで、ボールベアリング47Lは47L−2から47L−1の位置へ移動(−M1方向へ移動)して、通常ポジションへ戻ることができる。
【0068】
次に、定着装置14に関連する制御系の構成について図3を用いて説明する。
【0069】
図3では、定着装置14に関連する制御系の構成として、プリンタ制御部50、記憶部51、高圧電源部52、定着制御部53、用紙厚さ検出センサ261、定着モータ381、加圧ローラ移動モータ382、ベルト温度センサ36、及びヒータ34を図示している。また、図3に示すように定着制御部53は、駆動制御部271及び温度制御部272を有している。プリンタ1では、プリンタ制御部50及び定着制御部53により、定着装置14に係る制御を行う制御部が構成されている。
【0070】
プリンタ制御部50は、プリンタ1の制御手段で有り、例えば、図示しない通信回線を介してパーソナルコンピュータ等の上位装置と接続しており、プリンタ1内の各部を制御して印刷処理等を実行する機能、上位装置とのデータ通信を制御する機能等に対応している。
【0071】
記憶部51は、プリンタ1の記憶部であり、プリンタ制御部50が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータ、プリンタ制御部50による処理結果等が格納される。
【0072】
高圧電源部52は、高圧電源として機能するものであり、プリンタ制御部50の指令に基づいて、帯電ローラ19、現像ローラ20、供給ローラ21、転写ローラ13等に電圧を印加する。また、帯電ローラ19、現像ローラ20、供給ローラ21等は、画像形成部11がプリンタ1に装着されたときに、高圧電源部52と電気的に接続される。
【0073】
定着制御部53は、定着装置14を制御する機能を担っており、プリンタ制御部50からの指令に基づいて、給電回路54から、定着装置14のヒータ34へ加熱用の電力を供給すると共に、定着モータ38へ電力を供給して定着ローラ32を用紙搬送方向に回転させる。また、定着制御部53には、ベルト温度センサ36によって検出された定着ベルト33の温度、および加圧ローラ温度センサ37によって検出された加圧ローラ30の表面温度等が入力される。そして、プリンタ制御部50は、定着制御部53へ入力された定着ベルト33の温度を基に定着制御部53(定着温度制御部272)によってヒータ34へ供給する電力をON、OFFさせ、定着ベルト33の表面温度を所定の定着温度に保つように制御する。
【0074】
次に、定着装置14に係る制御構成について説明する。
【0075】
定着ベルト33は、ヒータ34の発熱によって加熱される。このとき定着ベルト33の表面温度は、ベルト温度センサ36によって検出され、図3に示す温度制御部272に入力されて、予め設定されている温度に保持するように制御される。定着ローラ32は、芯金321端部に結合されたギアに定着モータ381から駆動力を受けることによって回転する。定着モータ381は、駆動制御部271によって制御される。
【0076】
プリンタ制御部50は、例えば、上位装置(PC)からの指示信号やユーザからの操作(操作信号)に基づき、定着装置制御開始を指示する。
【0077】
この実施形態のプリンタ1本体のレジストローラ8対に対向する位置にある用紙厚さ検出センサ261によって、プリンタ1に通紙される用紙Pの厚さを測定することが出来る。用紙厚さ検出センサ261の具体的な構成については限定されないものであるが、例えば、機械的に用紙Pの厚さを計測(例えば、用紙Pを図示しないレバーで挟み込んで厚さを計測)する構成としてもよいし、光学的に用紙Pの厚さを計測(例えば、用紙Pの光の透過度合いに応じて厚さを計測)する構成としてもよい。
【0078】
用紙厚さ検出センサ261の出力は、プリンタ制御部50に入力される。また、この実施形態では、ヒータ34の出力は1100Wに設定されるものとする。さらに、この実施形態の例では、通常の用紙P(厚紙でない用紙P)として80g/m用紙を適用し、この用紙Pをプリンタ1において、横送り(用紙搬送方向と、A4用紙の短手方向が平行となる向き)で印刷する場合について説明する。さらにまた、この実施形態の例では、プリンタ1では上述の用紙P(厚紙でない用紙P)を50ppm(Page Per Minute)で印刷する例について説明する。
【0079】
また、この実施形態の例では、プリンタ制御部50は、用紙秤量300g/m以上に相当する厚さの用紙Pについては厚紙と認識するものとして説明する。そして、この実施形態の例において、プリンタ制御部50は、厚紙と認識した用紙Pについては、定着動作時の設定速度を18ppmとし、定着ベルト33の目標温度を160℃とする制御を行うものとする。
【0080】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態のプリンタ1の動作を説明する。
【0081】
[プリンタ全体の動作概要]
まず、プリンタ1の印刷動作における各部の動作概要について説明する。
【0082】
プリンタ1のプリンタ制御部50は、印刷命令(例えば、図示しないコンピュータ等の上位装置からの印刷命令)を受信すると、その印刷命令に従った印刷を開始する。
【0083】
まず、プリンタ制御部50は、用紙カセット2に収容された用紙Pを、給紙ローラ5a、5b及び分離片6によって1枚ずつに分離して用紙搬送路4へ繰り出し、搬送ローラ7、レジストローラ8によって、搬送ベルト9へ搬送させる。
【0084】
これと並行してプリンタ制御部50は、高圧電源部52によって、それぞれの画像形成部11の各ローラおよび転写ローラ13へ予め設定された所定の電圧を印加させ、各画像形成部11の帯電ローラ19に印加した帯電電圧によって各感光体ドラム18の表面を一様に帯電させる。
【0085】
さらに、プリンタ制御部50は、印刷命令に基づく画像情報に従って各露光ヘッド12を発光させ、各感光体ドラム18の表面を露光してそれらの表面上に静電潜像を形成させ、供給ローラ21から供給されたトナーTを現像ローラ20によって感光体ドラム18の静電潜像に付着させて現像させる。これにより、感光体ドラム18の表面上に各色のトナー像が形成される。
【0086】
その後、用紙Pが搬送ベルト9により画像形成部11まで搬送されてくると、その用紙Pが感光体ドラム18と転写ローラ13との間を通過する際に、転写ローラ13に印加されている転写電圧によりブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色のトナー像が用紙P上に順次転写され、カラーのトナー像が形成される。
【0087】
トナー像が転写された用紙Pが定着装置14に搬送されると、定着装置14によってトナー像を用紙P上に定着させ、トナー像が定着された用紙Pは、排出ローラ16aによって搬送された後に排出ローラ16bによって上部カバー15上のスタッカ3へ排出されて集積される。
【0088】
以上のように、プリンタ1では印刷動作が行われる。
【0089】
[定着装置の動作概要]
次に、定着装置14内部の定着動作について説明する。
【0090】
まず、プリンタ1における印刷動作の開始に伴って、プリンタ制御部50は、定着制御部53によって定着モータ381を回転させ、定着ローラ32のローラギアを、プリンタ1の本体に配設された図示しないギア列を介して用紙搬送方向に回転させる。これにより、定着ローラ32の回転によって発生するニップ部Nにおける摩擦力で、定着ベルト33が従動回転する。
【0091】
また、プリンタ制御部50は定着制御部53によって、ヒータ34へ図示しない給電回路から電力を供給させて発熱させ、定着ベルト33を内周側から加熱する。このヒータ34によって加熱された定着ベルト33の温度は、ベルト温度センサ36によって検出されて定着制御部53に入力される。定着制御部43は、検出された定着ベルト33の温度に基づいて、ヒータ34をON、OFF(図示しない給電回路からヒータ34へ供給する電力をON、OFF)して、定着ベルト33の表面温度を所定の定着温度に保つように制御する。この定着ベルト33の表面温度が所定の温度に保たれた状態において、トナー像が転写された用紙Pが搬送されてくると、その用紙Pは定着ベルト33を介して、パッド40、定着ローラ32と加圧ローラ30とで形成されたニップ部Nで挟持される。これにより、トナー像が転写された用紙Pに、定着ベルト33による所定の定着温度での熱と、所定の押圧力での圧力が加えられ、用紙Pにトナー像が定着する。
【0092】
なお、この実施形態では、定着ベルト33の過昇温防止の点から、定着ローラ32の回転開始タイミングはヒータONから時間を空けずに、回転開始することが望ましい。そのため、この実施形態の例では、ヒータONと同時に定着ローラ32の回転を開始するものとする。また、この実施形態の例では、定着ベルト33の目標温度は160℃に設定され、ヒータ34のON後に定着ベルト33の温度は、定着実行時にこの目標温度を中央値とした所定の温度範囲となるように制御されるものとして説明する。
【0093】
[定着装置に係る制御詳細]
次に、プリンタ制御部50及び定着制御部53が行う定着装置14に対する制御詳細について、図7のフローチャートを用いて説明する。図7では、用紙Pの厚さに応じてプリンタ制御部50及び定着制御部53が定着装置14を制御する動作を中心に示している。なお、ここでは、当初加圧ローラ30は、通常ポジションに設定されているものとする。
【0094】
図7に示すように、まずプリンタ制御部50は、印刷動作開始後、用紙厚検出センサ261から、給紙(通紙)された用紙Pの厚さを取得する(S1)。
【0095】
そして、プリンタ制御部50は、取得した用紙Pの厚さに応じて、当該用紙Pを厚紙と認識するか否かを判断し(S2)、厚紙と判断した場合には後述するステップS3から動作し、そうでない場合には後述するステップS4から動作する。
【0096】
例えば、用紙Pの厚さが閾値以上である場合に、プリンタ制御部50は、当該用紙Pを厚紙と判定し、そうでない場合には当該用紙Pを厚紙でない(通常の用紙)と判定するようにしてもよい。
【0097】
上述のステップS2で用紙Pを厚紙と判断した場合、プリンタ制御部50は定着制御部53に指示して、加圧ローラ移動モータ382を駆動させて加圧ローラ移動カム44を回転させ、さらに、加圧ローラ30を厚紙ポジションへ移動させる(S3)。
【0098】
次に、プリンタ制御部50は、定着制御部53に対して、用紙Pの厚さに適した定着温度と用紙搬送速度の設定を行う(S4)。
【0099】
各パラメータの設定後、定着制御部53は、温度制御部272からヒータ34への通電を開始させる(S5)。
【0100】
また、このとき、定着制御部53(駆動制御部271)は、定着モータ381を設定回転(ステップS4の設定に基づく回転速度)で定着ローラ32の駆動を開始させる(S6)。なお、この実施形態のプリンタ制御部50(定着制御部53)では、上述の通り、厚紙ポジションの場合、定着動作時の設定速度が18ppmで、定着ベルト33の目標温度が160℃に設定されるものとする。
【0101】
その後、定着制御部53(温度制御部272)は、定着ベルト温度検出ベルト温度センサ36の検出温度が定着ベルト33の目標温度(例えば、厚紙ポジションの場合160℃)に保たれるようにヒータ34の制御を行う(S7)。
【0102】
以上のような制御により、プリンタ制御部50及び定着制御部53は、定着装置14を、画像定着動作(用紙Pに定着処理を行う動作)の開始が可能な状態に制御する(S8)。
【0103】
画像定着動作を開始し、ニップ部Nに用紙Pが突入すると、定着制御部53は、少なくとも用紙Pがニップ部Nを通過するまでの間(用紙Pが定着装置14から排出されるまでの間)、定着ベルト33が目標温度に保たれるようにヒータ34の制御を行いつつ、厚紙用紙Pの搬送排出制御(定着モータ381の回転制御)を行う(S9、S10)。
【0104】
用紙Pがニップ部Nを通過した後(用紙Pが定着装置14から排出された後)、定着制御部53は、ヒータ34をOFFし、さらに定着モータ381を停止させることで、定着ローラ32の回転を停止させる(S11)。
【0105】
その後、定着制御部53は、加圧ローラ移動モータ382を駆動して、加圧ローラ移動カム44を回転させ、加圧ローラ30を通常ポジション(初期位置、デフォルトの位置)へ戻す(S12)。なお、加圧ローラ30が元々通常ポジションの状態である場合(厚紙ポジションでない場合)には、定着制御部53は、加圧ローラ30のポジション変更する処理を行わない。
【0106】
[加圧ローラ30のポジション変化に伴うニップ部の変化]
次に、加圧ローラ30のポジション変化に伴うニップ部Nの変化について図8を用いて説明する。図8(a)〜図8(c)は、それぞれ定着装置14においてニップ部Nを拡大して示す断面図である。
【0107】
図8(a)は、加圧ローラ30が通常ポジションにあるときのニップ部Nについて示している。
【0108】
図8(a)では、加圧ローラレバー46のボールベアリング受け孔461において、ボールベアリング47が、図5(a)における47L−1の位置(通常ポジション)にある状態のニップ部Nを示している。このとき、用紙Pが用紙ガイド39の最も高い位置(用紙ガイド39の用紙搬送方向下流側の端部)を通って、パッド40と加圧ローラ30によるニップ開始位置(ニップ部Nの用紙搬送方向上流側の端部)に入った面と、ベルトガイド37からパッド40へ進入する定着ベルト33の面とが成す角度を「θ1」とする。
【0109】
このとき、θ1の大きさによって定まる、用紙Pのトナーが転写された面(以下、「トナー面」と呼ぶ)と定着ベルト33の位置関係によっては、用紙Pのトナー面がニップ部Nへの進入前の定着ベルト33へ近づき過ぎることで、定着ベルト33の熱が用紙Pのトナー面に伝わり、過剰に用紙Pのトナー面が加熱されることになる。この場合、用紙Pのトナー面のトナーは、ニップ部Nを通過する際、過剰に溶けてグロスムラ状となる不具合が発生するおそれがある。
【0110】
図8(b)では、加圧ローラレバー46のボールベアリング受け孔461において、ボールベアリング47の位置が47L−2の位置(47L−1の位置からM1方向へ移動した位置)に移動した直後のニップ部Nの状態について示している。このとき定着ローラ32の軸位置は固定したままのため、加圧ローラ30が用紙ガイド39へ近づく方向へ移動すると、定着ローラ32と加圧ローラ30とのの間のニップ量(ニップオーバーラップ量)は図8(a)の状態(通常ポジションの場合)よりも減少した関係となる。
【0111】
図8(c)は、加圧ローラレバー46のボールベアリング受け孔461において、ボールベアリング47が、図5(a)における47L−2の位置へ移動後、加圧ローラ30が定着ローラ32へ通常のニップ量(ニップオーバーラップ量)まで戻った状態のニップ部Nである。加圧ローラ30は、加圧ローラレバー46の回転支点462を介して加圧ローラレバースプリング49により、定着ローラ32に押圧(M2の方向へ押圧)されている。このため、47L−2の位置への移動によるオーバーラップ減少分はスプリング49のテンションにより発生するレバー荷重(F1)により、定着ローラ32と加圧ローラ30の硬度関係から決まる位置関係(オーバーラップ位置)へ戻る。
【0112】
このとき加圧ローラ30が用紙ガイド39側へ近づいたことで、パッド40は加圧ローラ30によって押し込まれる方向(M3の方向)に移動する。これによって、パッド40のバネ作用長が短くなることでパッド荷重(F2)は大きくなる。このとき用紙Pが用紙ガイド39の最も高い位置を通って、パッド40と加圧ローラ30によるニップ開始位置入った面と、ベルトガイド37からパッド40へ進入する定着ベルト33の面とが成す角度をθ2とする。θ2の用紙トナー面と定着ベルト33の位置関係では、θ1<θ2の関係となるため、ニップN部への進入前の定着ベルト33との距離を良化できる(図8(a)の状態よりも当該距離を長くできる)。これにより、図8(c)の状態では、図8(a)の状態よりも、用紙Pのトナー面のトナーが過剰に溶けることを防ぎ、グロスムラ状となる不具合が抑制できる。
【0113】
[加圧ローラ30の移動に伴うニップ部Nの圧力分布の変化]
次に、加圧ローラ30の移動に伴うニップ部Nの圧力分布(用紙Pに加わる圧力の分布)の変化について図9を用いて説明する。
【0114】
図9では、縦軸が各区間における圧力を示し、横軸がニップ部N上の位置(ニップ部Nの用紙搬送の上流側の端から下流側の端までの区間)を表している。
【0115】
図9では、L1が図8(a)の状態(加圧ローラ30の移動前の状態)のニップ部Nの圧力分布を示しており、L2が図8(b)の状態(加圧ローラ30の移動後の状態)のニップ部の圧力分布を示している。
【0116】
図9では、定着ローラ32と加圧ローラ30による圧力を区間Cとして図示している。また、図9では、パッド40による圧力を区間Aと図示している。さらに、図9では、区間Aと区間Cの隙間(区間Aの下流側の端と、区間Cの上流側の端との間)の区間を区間Bと図示している。
【0117】
図9に示すように、加圧ローラ30が移動した場合でも、区間Cの圧力分布には影響がなかった。すなわち、加圧ローラ30が移動しても区間Cの圧力には影響がなく同等のままとなる。これは、上述の図8に示すように、加圧ローラ30が移動しても、定着ローラ32と加圧ローラ30との位置関係は、定着ローラ32と加圧ローラ30との硬度関係から決まる位置関係に復元するためである。したがって、この実施形態における加圧ローラ30が移動しても、ニップ部Nの圧力分布を大きく変えるものではない(すなわち、用紙Pに加わる圧力に大きな変化がない)ものといえる。加圧ローラ30の移動に伴ってニップ部Nの圧力分布が大きく変わる場合、定着処理にも影響があるため、ニップ部Nの圧力分布が大きく変動しない範囲で、加圧ローラ30を移動させることで、プリンタ1全体の調整(例えば、目標温度や印刷速度等のパラメータ設定)が容易となる。また、例えば、加圧部材を、回転体(加圧ローラ30)ではなく、摩擦係数の低い材料で表面を覆った固定ガイドに置き換えた場合でも、定着ローラ32と上述の固定ガイドとの硬度関係を調整することにより、加圧ローラ30が移動しても、区間Cの圧力分布に影響がない状態とすることもできる。
【0118】
そして、図9に示すように、加圧ローラ30の移動に伴って、パッド40への加圧ローラ30の押込みが増える分、区間Aの圧力に上昇が発生した。これにより、パッド40による定着ベルト33を張架する力(テンション)を強め、上述の図8(c)に示すθ2について、θ2>θ1の関係とすることができる。これにより、用紙Pが厚紙等の剛性(コシ)の強い用紙である場合でも、用紙Pのトナー面がニップ部Nへの進入前の定着ベルト33へ近づき過ぎることを抑制し、定着性を向上させることができる。
【0119】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0120】
この実施形態のプリンタ1では、用紙Pに応じて加圧ローラを用紙ガイド側へ移動可能とすることで、用紙Pが厚紙等の剛性(コシ)の強い用紙である場合でも、用紙Pのトナー面がニップ部Nへの進入前の定着ベルト33へ近づき過ぎを抑制することができる。また、これにより、プリンタ1では、用紙Pが剛性の高い厚紙でも、グロスムラの発生を防ぎ十分な定着性が得られ、印刷品位を良好とする効果を得られる。さらに、プリンタ1では、用紙Pが高湿環境下にて多くの水分を吸収した薄紙であっても、加圧ローラ30の位置を通常の位置(通常ポジション)に戻すことで、定着処理時のシワ等の発生を効果的に抑制し、搬送性やスタック性を良好とする(安定的な用紙Pの搬送や排紙を実現する)ことができる。すなわち、この実施形態のプリンタ1では、薄紙(厚さの薄い用紙P)の良好な搬送性やスタック性を確保しつつ、厚紙(厚さの厚い用紙P)については従来よりも良好な画像品位を実現することもできる。
【0121】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0122】
(B−1)本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。また、明細書全文に表れる部材の内容はあくまで例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0123】
(B−2)上記の実施形態では、本発明の画像形成装置をカラープリンタに適用する例について説明したが、本発明の画像形成装置は、カラープリンタ限らず、電子写真方式を採用したモノクロプリン夕、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用するようにしてもよい。
【0124】
(B−3)上記の各実施形態では、印刷(画像形成)の媒体(用紙)として、普通紙を用いる例について説明したが、本発明の画像形成装置で用いられる媒体は普通紙に限定されないものである。例えば、本発明の画像形成装置では、OHPシート、カード、葉書、秤量が350g/m相当以上の厚紙、封筒、熱容量の大きいコート紙等の特殊紙を適用するようにしてもよい。
【0125】
(B−4)上記の実施形態において、定着装置14の加熱部材(熱源)として、面状のヒータ34を用いる例について説明したが、定着ベルト33との摺接面が定着ベルト33と同程度の曲率を有するものであってもよい。例えば、定着装置14の加熱部材(熱源)として、円筒状のヒータを用いるようにしてもよい。また、定着装置14の加熱部材(熱源)としては、ハロゲンヒータを用いるようにしてもよい。また、電磁誘導可能な材料で定着装置14を構成することで誘導加熱とすることも可能であり、加熱部材(ヒータ)の種類や形状は限定されるものではない。
【0126】
さらに上記の実施形態では、ヒータ34は、定着ベルト33の内側に配置するとして説明したが、定着ベルト33の外側であってもよい。
【0127】
(B−5)上記の実施形態では、加圧ローラ移動カム44の駆動源に専用の加圧ローラ移動モータ382を設けたが、定着モータ381等の他のモータから、クラッチ等を用いて駆動力をON/OFFすることでカム44の駆動を行うようにしてもよい。すなわち、加圧ローラ移動カム44、他の用途と共通のモータにて駆動される構成であっても良い。
【0128】
(B−6)上記の実施形態では、加圧ローラ移動カム44、加圧ローラ移動モータ382等を用いて、加圧ローラ30を移動させる加圧部材移動機構を構成していたが、加圧部材移動機構の具体的構成は上述の構成に限定されるものではない。すなわち、加圧部材移動機構は、加圧ローラ30を所定量、所定の方向に移動させることがでれば具体的な構成は限定されないものである。例えば、加圧ローラ移動カム44、及び加圧ローラ移動モータ382に替えて、ソレノイド等の駆動部材を用いて、加圧ローラ30を移動させるようにしてもよい。
【0129】
また、上記の実施形態では、加圧ローラ30を2つの位置(通常ポジション、厚紙ポジション)のいずれかに移動させるものとして説明したが、加圧ローラ30の移動可能な位置の数は限定されないものである。例えば、加圧ローラ30を3つ以上の位置(ポジション)のいずれかに移動可能とし、プリンタ制御部50(定着制御部53)が、用紙Pの種類(例えば、厚さ、材質、剛性等)に応じた位置に移動させるようにしてもよい。
【0130】
(B−7)上記の実施形態では、プリンタ制御部50(定着制御部53)は、用紙厚さ検出センサ261を用いて用紙Pの厚さを取得しているが、例えば、ユーザの操作や設定に応じて、用紙Pの厚さを取得するようにしてもよい。すなわち、プリンタ制御部50(定着制御部53)において用紙Pの厚さを取得する方法は限定されないものである。
【0131】
また、上記の実施形態では、用紙Pの厚さに応じて、加圧ローラ30の位置を調整しているが、用紙Pの厚さ以外にも用紙Pの種類や仕様に応じて、加圧ローラ30の位置を調整してもよい。例えば、普通紙については加圧ローラ30を通常ポジションとし、OHPシート、カード、葉書、秤量が350g/m相当以上の厚紙、封筒、熱容量の大きいコート紙等の特殊紙については加圧ローラ30を厚紙ポジションとするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1…画像形成装置、2…用紙カセット、3…スタッカ、4…用紙搬送路、5a、5b…給紙ローラ、6…分離片、7…搬送ローラ、8…レジストローラ、9…搬送ベルト、11、11k、11c、11m、11y…画像形成部、12…露光ヘッド、13…転写ローラ、14…定着装置、15…上部カバー、16a、16b…排出ローラ、18…感光体ドラム、19…帯電ローラ、20…現像ローラ、21…供給ローラ、22…トナーカートリッジ、23…クリーニングブレード、261…用紙厚さ検出センサ、381…定着モータ、382…加圧ローラ移動モータ、50…プリンタ制御部、51…記憶部、52…高圧電源部、53…定着制御部、N…ニップ部、P…記録用紙、T…トナー、30…加圧ローラ、301…芯金、302…弾性層、303…離型層、304、304L…加圧ローラ軸端部形状、31…定着ベルトユニット、32…定着ローラ、321…芯金、322…弾性層、33…定着ベルト、34…ヒータ34a…基板、34b…電気絶縁層、34c…電極、34d…抵抗発熱体、34e…保護層、35…ヒータホルダ、351…加圧プレート、36…ベルト温度センサ、37…ベルトガイド、39…用紙ガイド、40…パッド、401…芯金、402…弾性層、41…パッドスプリング、42…ヒータスプリング、44、44L…加圧ローラ移動カム、441…加圧ローラ移動カムシャフト、45、45L…加圧ローラテンションスプリング、46、46L、46R…加圧ローラレバー、461、461L…ボールベアリング受け孔、462、462L…加圧ローラレバー回転支点孔、47、47L…ボールベアリング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9