特許第6456739号(P6456739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456739
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20190110BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20190110BHJP
【FI】
   B32B27/20 A
   B32B7/02 103
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-62021(P2015-62021)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-179645(P2016-179645A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】510114125
【氏名又は名称】株式会社エフコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】近本 悠
(72)【発明者】
【氏名】桃井 香奈
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−246961(JP,A)
【文献】 特開2014−181424(JP,A)
【文献】 特開2009−208367(JP,A)
【文献】 特開2013−226788(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0142371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B32B 1/00−43/00
E04F13/00−13/30
DB名 DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層、及び着色層が積層された積層体であって、
上記ベース層は、隠蔽率が90%以下、可視光反射率が30%以上68%以下である可視光反射層であり、
上記着色層は、結合材、及び希土類酸化物粒子を含む光変色層であり、該希土類酸化物粒子の含有量が、該結合材の固形分100重量部に対して、60〜1000重量部であることを特徴とする積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、装飾材等に用いる材料は、色彩的な要求が多様化している。このような要求をもとに、照射する光(光源)により色相変化を演出するような装飾材が検討されている。例えば、紫外線を照射することにより発光する蛍光顔料や、特定波長の光を照射すると色相変化が生じ、光照射を停止すると元の色相に戻るフォトクロミック材料を用いた装飾材等、特定の光源と組み合わせた装飾材がある。
【0003】
また、昼間の太陽光線や蛍光灯などの外部光源の種類に応じてその色が可逆的に変化する装飾材も検討されている。例えば、特許文献1には、合成樹脂シートの表面に、演色性を示す希土類酸化物微粒子を配合した印刷部を有する可逆的変色性の化粧シートが記載されている。しかしながら、希土類酸化物微粒子の演色性変化は、淡い色の変化であるため目視により視認することは難しく、演出効果が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−191459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、太陽光線や蛍光灯などの外部光源の種類に応じてその色が可逆的に変化し、かつその色変化が明瞭である積層体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討の結果、特定のベース層、及び希土類酸化物微粒子を含む着色層が積層された積層体に想到し、本発明を完成させるに到った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.ベース層、及び着色層が積層された積層体であって、
上記ベース層は、隠蔽率が90%以下、可視光反射率が30%以上68%以下である可視光反射層であり、
上記着色層は、結合材、及び希土類酸化物粒子を含む光変色層であり、該希土類酸化物粒子の含有量が、該結合材の固形分100重量部に対して、60〜1000重量部であることを特徴とする積層体。

【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体は、特定のベース層、及び希土類酸化物微粒子を含む着色層が積層されたものであり、太陽光線や蛍光灯などの外部光源の種類に応じてその色が可逆的に変化し、明瞭な色変化(演色性)を視認することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明の積層体は、ベース層、及び着色層が積層されたものである。
【0010】
[ベース層]
本発明のベース層は、可視光反射性を有し、隠蔽率が90%以下(好ましくは30%以上80%以下、より好ましくは40%以上75%以下)、可視光反射率が30%以上(好ましくは40%以上80%以下、より好ましくは45%以上68%以下)の層である。
【0011】
この作用機構は明確ではないが、着色層側から入射した光のうち、着色層で吸収されずに透過した光は、ベース層で拡散・反射され、着色層に再度照射される。このようにベース層内部で光の拡散・反射を繰り返すことにより、着色層において光の吸収率が高まり、明瞭な色変化(演色性)が視認できると推察される。このような効果は、ベース層の隠蔽率が低く、可視光を効率的に反射することによって、高まるものと推察される。ここで言う「隠蔽率」は、JIS K 5600−4−1:1999の方法B(隠蔽率試験紙)に従い、Y/Yを百分率で算出した値である。なお、本発明において隠蔽率の測定値は、乾燥厚みが80μmの場合の値である。また、ここで言う「可視光反射率」とは、JIS K5602:2008に準じて求めた380nm以上780nm以下の可視光域における反射率のことをいう。
【0012】
また、ベース層は、その厚みが、好ましくは30μm以上(より好ましくは60μm以上1000μm以下、さらに好ましくは80μm以上600μm以下)である。このようなベース層を積層することにより、着色層の色変化をより一層明瞭に視認することができる。
【0013】
本発明のベース層は、上記を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、結合材、及び粉粒体を含むものが好ましい。
【0014】
結合材としては、無機質材料、及び/または有機質材料が使用でき、無機質材料としては、例えば、ガラス、水ガラス、低融点ガラス、シリコン樹脂、アルコキシシラン、シランカップリング材、等が挙げられる。また、有機材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂等が挙げられ、水分散タイプ、水可溶タイプ、弱溶剤タイプ、強溶剤タイプ、NADタイプ、粉末タイプ等特に限定されない。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明の結合材としては、透明被膜を形成するものが好ましい。
【0015】
粉粒体としては、例えば、屈折率2未満(好ましくは1.4以上1.9以下)、平均粒子径0.5〜100μm(好ましくは1〜50μm)の粉粒体(a)(以下「(a)成分」ともいう。)、屈折率2以上(好ましくは2.1以上3以下)、平均粒子径0.1〜2μm(好ましくは0.2〜1μm)の粉粒体(b)(以下「(b)成分」ともいう。)等が挙げられる。なお、本発明において「〜」とは、「以上・以下」を示すものである。
【0016】
上記(a)成分としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪石粉、珪藻土等の体質顔料等が挙げられる。また、上記(a)成分としては、白色度50以上95以下(好ましくは70以上94以下)のものが好ましい。上記(b)成分としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空樹脂粒子等が挙げられる。また、上記(b)成分としては、白色度95超(好ましくは96以上)のものが好ましい。本発明では、上記(a)成分、(b)成分から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。なお、「屈折率」とは、アッベ屈折計を用いて測定される値である。また、「白色度」とは、酸化マグネシウムの白色度を100、暗闇の状態を0とした場合の白色計(ケット式光電管白色時計)による比較値である。
【0017】
上記粉粒体の含有量は、本発明の効果を満たすように適宜設定すればよいが、結合材の固形分100重量部に対して、好ましくは10〜1000重量部(より好ましくは50〜900重量部、さらに好ましくは120〜800重量部)である。本発明では、上記(a)成分を10〜1000重量部(より好ましくは50〜900重量部、さらに好ましくは120〜800重量部)、上記(b)成分を80重量部以下(より好ましくは0〜50重量部)とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明のベース層は、本発明の効果を阻害しない限り、その他の成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、可塑剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、着色顔料、繊維等が挙げられる。本発明のベース層は、上述の成分を含むベース層用組成物によって形成することができる。
【0019】
[着色層]
本発明の着色層は、希土類酸化物粒子を含む光変色層であり、太陽光線や種々の外部光源を照射することによって、演色性を示すものである。演色性は、希土類酸化物粒子が可視光領域に複数の吸収ピークを有することに由来するものである。
【0020】
本発明の着色層は、結合材、及び希土類酸化物粒子を含むものが好ましい。結合材としては、上記ベース層で使用するものと同様のものが挙げられる。希土類酸化物粒子としては、例えば、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ネオジウム(Nd)、酸化エルビウム(Er)、酸化プラセオジウム(Pr)等が挙げられる。
【0021】
具体的に、酸化ホルミウム(Ho)は、太陽光線を照射すると淡黄色、通常型蛍光灯(昼白色)の光を照射すると白色乃至薄肌色、三波長域蛍光灯を照射すると橙色乃至濃い桃色を呈する。
酸化ネオジウム(Nd)は、太陽光線を照射すると薄藤色、通常型蛍光灯(昼白色)の光を照射すると水色、三波長域蛍光灯を照射すると薄水色を呈する。
酸化エルビウム(Er)は、太陽光線を照射すると薄桃色、通常型蛍光灯(昼白色)の光を照射すると白色乃至極薄桃色、三波長域蛍光灯を照射すると濃桃色を呈する。
【0022】
希土類酸化物粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01〜50μm(より好ましくは0.1〜45μm、さらに好ましくは0.5〜30μm)である。このような場合、高い演色性を示すことができる。
【0023】
希土類酸化物粒子の含有量は、結合材の固形分100重量部に対して、好ましくは10〜1000重量部(より好ましくは60〜600重量部、さらに好ましくは120〜500重量部)である。また、着色層の厚みは、好ましくは130μm以下(より好ましくは1μm以上80μm以下、さらに好ましくは5μm以上50μm以下、最も好ましくは10μm以上48μm以下)である。この場合、いっそう明瞭な演色性を発揮することができる。特に、上記含有量と厚みを兼備する場合、すなわち単位体積当たりの希土類酸化物粒子の含有量が高めである場合、よりいっそう明瞭な演色性を発揮することができる。
【0024】
さらに、本発明の着色層は、着色剤を配合することができる。これにより、希土類酸化物粒子の呈する色と着色剤の組み合わせにより、様々な色相を呈することができる。着色剤としては、公知の着色顔料あるいは染料等が挙げられ、特に透明性の高い有機着色顔料を配合することが好ましい。また、着色剤の含有量は、希土類酸化物微粒子に対して、好ましくは10重量%未満(より好ましくは8重量%以下)である。この場合、希土類酸化物粒子の演色性を阻害することなく、優れた色相を呈することができる。
【0025】
本発明の着色層は、必要に応じ、その他の成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、可塑剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。本発明の着色層は、上述の成分を含む着色層用組成物によって形成することができる。
【0026】
本発明の積層体は、意匠性、表面保護性等を高める目的で、上記着色層の上に、装飾層及び/または透明保護層を積層することもできる。
【0027】
[装飾層]
本発明の装飾層としては、着色層の効果を阻害せず意匠性を付与するものであれば特に限定されないが、例えば、結合材、及び着色粒子を含むものが好ましい。結合材としては、上記ベース層で使用するものと同様のものが挙げられる。着色粒子としては、例えば、ホタル石、珪砂、石英等の天然素材;陶磁器粉砕物、天然石粉砕物、マイカ(雲母)片、着色樹脂フレーク、金属フレーク等を挙げることができ、なかでも、高意匠外観性の観点から、マイカ(雲母)片、着色樹脂フレーク、金属フレーク等の鱗片状粒子が好ましい。
【0028】
着色粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01〜20mm(より好ましくは0.05〜10mm)である。また鱗片状粒子の場合は、その長径が、好ましくは0.01〜20mm(より好ましくは0.05〜10mm)であり、そのアスペクト比(最長径と最短径との比率)としては、好ましくは1.5〜100である。
【0029】
装飾層における着色粒子の含有量は、結合材固形分100重量部に対し、好ましくは0.1〜100重量部(より好ましくは0.5〜50重量部)である。この場合、優れた意匠性を付与することができる。装飾層の厚みは、好ましくは1μm以上10mm以下(より好ましくは5μm以上5mm以下)である。
【0030】
本発明の装飾層は、必要に応じ、その他の成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、可塑剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。本発明の装飾層は、上述の成分を含む装飾層用組成物によって形成することができる。
【0031】
[透明保護層]
本発明の透明保護層としては、例えば、透明ガラス板、透明プラスチック板、または、透明コーティング材層等が挙げられる。また、本発明の効果を阻害しない程度に、着色されたものでもよい。このような透明保護層を積層することにより、耐衝撃性、不燃性、耐擦傷性、防汚性等の物性を向上させることができる。透明保護層の厚みは、好ましくは1μm以上10mm以下(より好ましくは2μm以上8mm以下)である。
【0032】
さらに本発明の積層体は、ベース層の下(裏面)に、基材を積層することもできる。
[基材]
本発明の基材としては、ベース層及び着色層を支持することができるものが好ましく、例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、紙、合成紙、セラミックペーパー、不織布、織布、金属板、合成樹脂板、コンクリート、モルタル、石膏ボード、珪酸カルシウム板、セメント系板、磁器タイル、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、硬質フォーム板、ガラスクロス、メッシュ等、が挙げられる。基材層は、これら材料の1種からなる単層でもよいし、2種以上を組み合わせた複層であってもよい。また、基材層は、着色層の意匠を阻害しない程度に着色されたものであってもよいが、好ましくは白色乃至淡彩色であることが好ましい。
【0033】
[製造方法]
本発明積層体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、
・ベース層用組成物を塗付、乾燥後、次いで着色層用組成物を塗付、乾燥する方法、
・予めベース層用組成物、着色層用組成物をフィルム状、板状等に成形したベース層、着色層を接着剤等を介して積層する方法、
等が挙げられる。
【0034】
上記ベース層用組成物、または着色層用組成物を塗付する際には、例えば、スプレー、ローラー、こて、レシプロ、コーター、流し込み等の手段を用いることができる。また、上記ベース層用組成物、または着色層用組成物の乾燥は、常温で行ってもよいし、加熱することも可能である。
【0035】
上記ベース層用組成物、または着色層用組成物をフィルム状、板状等に成形する際には、公知の成形方法で行えばよく、例えば、型枠成形、射出成形、注型成形等が挙げられる。また、基材上に、ベース層、及び着色層を接着剤等を介して積層する場合、本発明の効果を阻害しないような透光性の接着剤、粘着剤、粘着テープ等を使用することができる。
【0036】
また、装飾層、透明保護層を積層する場合、積層方法は、特に限定されないが、例えば、
・装飾層用組成物、透明コーティング材等を塗付する方法、
・予め装飾層用組成物をフィルム状、板状等に成形した装飾層、透明ガラス板、透明プラスチック板等の透明保護層を接着剤等を介して積層する方法、
等が挙げられる。
【0037】
[使用方法]
本発明の積層体は、太陽光線や蛍光灯などの外部光源に応じて可逆的に色が変化するものであり、着色層側に上記の光が照射されるように設置すればよい。例えば、外部光源、着色層、ベース層の順になるように配置されればよい。
【0038】
本発明の積層体は、多様な産業上の分野、例えば玩具類、筆記具類、雑貨・日用品、教習材、インテリア類、装飾品類、あるいは建築物の内壁・外壁、間仕切り、扉、天井等の建材等に適用が可能である。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0040】
(ベース層用組成物1〜7)
表1に示すようにアクリルスチレン樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、粉粒体、添加剤(造膜助剤、分散剤、消泡剤等)、水を常法にて混合し、ベース層用組成物1〜7を作製した。
【0041】
(隠蔽率測定)
隠蔽率試験紙の上に、作製したベース層用組成物1〜7をそれぞれ乾燥膜厚が80μmとなるように塗付し、24時間乾燥させた試験体を用い、試験体における黒地上被膜と白地上被膜の視感反射率を、色彩色差計を用いて測定し隠蔽率(%)を算出した。なお、塗付、乾燥はすべて温度23℃・湿度50%環境下(以下「標準状態」という)で行った。結果は表1に示した。
【0042】
(可視光反射率)
アルミニウム板(40mm×40mm×0.6mm)上に黒色塗料(ウレタン樹脂100重量部(固形分)に対してカーボンブラック20重量部混合)を塗付厚が150μmとなるように塗付、乾燥・硬化させた後、作製したベース層用組成物1〜7をそれぞれ乾燥膜厚が所定の厚みとなるように塗付、乾燥させた試験体を用い、波長領域380nm以上780nm以下の可視光領域における反射率を分光光度計(「UV−3100」:株式会社島津製作所製)で測定した。なお、塗付、乾燥はすべて標準状態で行った。
【0043】
(着色層用組成物1〜6)
表3に示すようにアクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、希土類酸化物粒子、添加剤(造膜助剤、分散剤、消泡剤等)、水を常法にて混合し、着色層用組成物1〜6を作製した。
【0044】
なお、原料としては下記のものを使用した。
・粉粒体1:重質炭酸カルシウム(白色度94、平均粒子径2μm)
・粉粒体2:重質炭酸カルシウム(白色度94、平均粒子径30μm)
・粉粒体3:酸化チタン(白色度97、平均粒子径0.3μm)
・希土類酸化物粒子1:酸化ネオジウム(平均粒子径5μm)
・希土類酸化物粒子2:酸化ホルミウム(平均粒子径5μm)
・着色顔料1:ベンズイミダゾロン系イエロー顔料
・着色顔料2:Co−Al系ブルー顔料
【0045】
(実施例1〜6、比較例1)
(積層体の作製)
基材(不織布)の片面に、表3に示すベース層用組成物を乾燥膜厚が80μmとなるように塗付、乾燥させベース層を形成した。次いで、着色層用組成物1を乾燥膜厚が35μmとなるように塗付、乾燥させ着色層を形成し積層体を得た。なお、塗付、乾燥はすべて標準状態で行った。
【0046】
(変色性評価)
得られた積層体の着色層側に、太陽光線、通常型蛍光灯(昼白色)、三波長域蛍光灯をそれぞれ照射し、変色性を目視で評価した。評価基準は、色変化が明瞭に視認されるものを「◎」、色変化がほとんど視認されないものを「×」として4段階(◎>○>△>×)で評価した。結果は表3に示した。
【0047】
(実施例7〜14、比較例2〜3)
表4に示すように、ベース層用組成物、着色層用組成物を乾燥膜厚が所定厚みとなるように塗付、乾燥させ、実施例1と同様の方法で積層体を作製し、変色性評価を実施した。その結果は表4に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
(実施例15)
実施例3で得られた積層体の着色層の上に、アクリルシリコン樹脂(固形分50重量%)200重量部に対し、着色粒子[カラーマイカ(長径3mm、アスペクト比50)15重量部、光輝性粒子(酸化チタン被覆樹脂フレーク、粒子径1mm)0.2重量部]、添加剤(造膜助剤、分散剤、消泡剤等)を常法にて混合した装飾層用組成物を、乾燥膜厚が100μmとなるように塗付、乾燥させ装飾層を形成し積層体を得た。なお、塗付、乾燥はすべて標準状態で行った。得られた積層体は、着色粒子により意匠性が付与され、かつ変色性評価においても「◎」であった。