特許第6456746号(P6456746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456746
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】ボトル用首掛け袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/14 20060101AFI20190110BHJP
   B65D 30/14 20060101ALI20190110BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   B65D33/14 A
   B65D30/14 K
   B65D25/20 C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-67280(P2015-67280)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-185821(P2016-185821A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2018年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 洋平
(72)【発明者】
【氏名】平 太輔
【審査官】 西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4712085(JP,B2)
【文献】 特開2011−116431(JP,A)
【文献】 特開2006−232287(JP,A)
【文献】 特開2009−227291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D23/00−25/56
B65D30/00−33/38
B65D75/56
G09F1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納する収納部と、
ボトルの首部に嵌め込まれる装着部と、
を備えるボトル用首掛け袋であって、
前記装着部は、シートの長手方向の一方側に形成され、前記ボトルの首部を挿通させる孔を有し、
前記収納部は、
前記シートの長手方向の他方側に形成され、前記装着部側に開口部が形成された袋部と、
前記収納部を前記装着部側に折り曲げた場合に前記装着部と対向する前記袋部表面の前記開口部の縁部に形成された接着部と、
を備え、
前記接着部は、前記収納部を前記装着部側に折り曲げ前記装着部と接着されることで前記開口部を封緘した場合に前記孔から少なくともその一部が外部に露出する露出部を有し、前記露出部は、前記装着部を前記首部に嵌め込んだ場合に前記首部と接着されることで前記首掛け袋の移動を規制する
ことを特徴とするボトル用首掛け袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル用首掛け袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清涼飲料水や酒、調味料等の商品の広告宣伝のため、ボトルの首部に掛けるボトル用首掛け袋が用いられている。ボトル用首掛け袋は、主としてボトルの首部に嵌め込まれる装着部と、試供品や景品を収納する収納部から構成され、種々の提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、印刷層を有する基材と粘着層及び剥離シートから構成され、剥離シートに粘着層を露出する切り抜き部が設けられた首掛けラベルが記載されている。
【0004】
特許文献2には、首掛け穴部が内容物装填袋部の高さ方向に対して横方向に延びて形成され、首掛け穴部の位置が内容物装填袋部の高さ方向の上端から下端の範囲内に設けられ、内容物装填袋部に外力が印加された場合に内容物装填袋部から封緘部に外力が印加されず、封緘が外れることのない位置に封緘部を設けた容器用首掛け袋が記載されている。
【0005】
特許文献3には、首掛け部を2枚重合フィルムの間に厚手の熱可塑性樹脂シート芯材を挿入した三重構造とし、首掛け部の中央部を細首栓付き瓶の首径の寸法より大きい貫通穴形状を熱刃で溶断して、首掛け部の区分熱シール線上を底辺とする略蒲鉾型の貫通穴を形成した細首付き瓶用首かけ袋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−75790号公報
【特許文献2】特開2011−6119号公報
【特許文献3】特許第4712085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ボトル用首掛け袋は、ボトルの首部に掛けた場合に不必要に垂れ下がってボトル本体の商品表示等の邪魔になることを防止すると同時に、ボトル搬送時やボトル陳列時等において首部の回りで回転移動しないことが望まれるところ、上記特許文献1〜3ではこれらの課題を十分に満足するには至っていない。例えば、特許文献3では、ボトルの首部に掛けた場合に袋体部をボトルの肩部に自立させることでぐらつきを抑制するとしているが、当該自立状態を維持することは困難で、首部回りの回転移動の規制が十分でない。
【0008】
本発明の目的は、ボトルの首部に掛けた場合に不必要に垂れ下がってボトル本体の商品表示等の邪魔にならないようにすると同時に、ボトル搬送時やボトル陳列時等に首部の回りで不必要に回転移動することがなく、所望の首掛け位置を維持し、例えば商品デザインの正面に合わせて袋を首掛けできるボトル用首掛け袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内容物を収納する収納部と、ボトルの首部に嵌め込まれる装着部とを備えるボトル用首掛け袋であって、前記装着部は、シートの長手方向の一方側に形成され、前記ボトルの首部を挿通させる孔を有し、前記収納部は、前記シートの長手方向の他方側に形成され、前記装着部側に開口部が形成された袋部と、前記収納部を前記装着部側に折り曲げた場合に前記装着部と対向する前記袋部表面の前記開口部の縁部に形成された接着部とを備え、前記接着部は、前記収納部を前記装着部側に折り曲げ前記装着部と接着されることで前記開口部を封緘した場合に前記孔から少なくともその一部が外部に露出する露出部を有し、前記露出部は、前記装着部を前記首部に嵌め込んだ場合に前記首部と接着されることで前記首掛け袋の移動を規制することを特徴とする。
【0010】
本発明の1つの実施形態では、前記装着部に形成される前記孔は、円形状であり、前記接着部の前記露出部は、半月形状である。
【0011】
本発明の他の実施形態では、前記接着部のうち、前記露出部は相対的に低粘着力であって残りの部分は相対的に高粘着力である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、収納部が不必要に垂れ下がってボトル本体の商品表示等の邪魔になることを防止し、これとともに、ボトル搬送時やボトル陳列時等に首部の回りで不必要に回転移動することを防止できる。本発明では、所望の首掛け位置を維持し、例えば商品デザインの正面に合わせて袋を首掛けできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態のボトル用首掛け袋の製袋説明図である。
図2】実施形態のボトル用首掛け袋の使用説明図である。
図3】実施形態の首掛け時の斜視図である。
図4】実施形態の他の首掛け時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本実施形態におけるボトル用首掛け袋の製袋説明図を示す。図1(a)は、収納袋を構成するシート10の平面図である。シートは略長方形であり、例えばポリプロピレン系やポリエステル系等のプラスチックシートである。
【0016】
シート10の長手方向の一方側(図における上側)に、2つの円孔12,14が長手方向に沿って間隔をあけて形成される。2つの円孔12,14は、当該収納袋が製袋された場合にボトルの首部に挿通される円孔として機能する。円孔12,14は、基本的には同形及び同サイズであり、ボトルの首部に挿通し得るサイズである。
【0017】
また、シート10の長手方向の他方側(図における下側)であって裏面側の端部には、接着部16が形成される。接着部16は、その幅がシート10の全幅に延在し、その長さ(シート10の長手方向の長さ)は所定長であって2つの円孔12,14との位置関係で規定される。接着部16の接着層は、ゴム系、アクリル系、シリコン系等の公知の接着層が用いられる。
【0018】
シート10の長手方向の一方側は、円孔12と円孔14とが互いに重なるように、円孔12と円孔14の間の折り曲げ線100で折り畳まれる。
【0019】
また、シート10の長手方向の他方側は、接着部16が表面側となるように折り曲げ線200で折り畳まれる。
【0020】
図1(b)は、シート10の長手方向の一方側を折り曲げ線100で折り曲げ、円孔12と円孔14を互いに重ね、その間に同形及び同サイズの円孔が形成された合成紙21を介在させてシート10の周縁部を超音波等で接合し、シート10の長手方向の他方側を折り曲げ線200で折り畳んでその側部を接合した状態を示す。
【0021】
円孔12,14を有し、合成紙21を介在させてその端部が超音波シール部18で接合されたシート10の一方側は、ボトル用首掛け袋の装着部20として機能する。
【0022】
また、シート10の他方側は、折り畳んで側部を接合することで袋体が構成され、装着部20に対向する端部は接合されず開口部23が形成される。図1(a)においてシート10の長手方向他方側の裏面端部に形成された接着部16は、折り畳まれることで表面側に出現し、開口部23の縁部に位置するようになる。開口部23を有する袋体及び接着部16を有する他方側は、ボトル用首掛け袋の収納部22として機能する。
【0023】
収納部22の端部、具体的には開口部23及び接着部16が形成された端部と反対側の端部には、販促品を取り出すための切取線24を形成してもよい。但し、切取線24は必須ではない。
【0024】
図1(c)は、図1(b)において収納部22を装着部20側に折り曲げた状態を装着部20側から見た斜視図である。収納部22の接着部16は、装着部20側に対向しており、接着部16が装着部20に当接して装着部20と接着されると、収納部22の開口部23は封緘される。
【0025】
このとき、接着部16は、円孔12,14から少なくともその一部が外部に露出するように形成される。すなわち、接着部16の長さは、収納部22を装着部20側に折り曲げたときに、少なくともその一部が円孔12,14に重なる程度に設定される。図において、接着部16のうち円孔12,14から露出する露出部16aを半月形状として示す。この露出部16aは、収納部22の開口部23を封緘するための接着部として機能するのではなく、装着部20をボトルの首部に掛けた場合に首部に接着するための接着部として機能する。
【0026】
以上のように、一枚のシート10からボトル用首掛け袋の装着部20及び収納部22が形成される。
【0027】
図2は、ボトル用首掛け袋の製袋状態斜視図である。装着部20と収納部22は接着部16で接着され、収納部22の開口部23が封緘される。従って、開口部23を封緘するに先立って開口部23から試供品あるいは景品等の販促品50を袋体に入れ、接着部16により開口部23を封緘することで販促品50を収納部22に収納できる。
【0028】
また、収納部22のうち、装着部20に対向する面には接着部16の一部である露出部16aが露出する。この状態で、装着部20の円孔12,14をボトルの首部に挿通することで、ボトル用首掛け袋をボトルの首部に嵌め込む。
【0029】
図3は、ボトル用首掛け袋をボトルPの首部に嵌め込んだ状態を示す。装着部20と収納部22は接着部16により接着されており、図に示すように、収納部22は首掛け時に開口部23が下向きでボトルPの肩部に自立した状態となり、装着部20と収納部22が略V字の形状をなす。
【0030】
収納部22は、接着部16の接着力により装着部20側に接着されて装着部20とのなす角度、すなわち略V型の形状が維持されるため、収納部22が不必要に垂れ下がってボトルP本体の商品表示等を邪魔することはない。
【0031】
さらに、既述したように、接着部16の一部である露出部16aが装着部20側に露出しているため、首掛け状態において露出部16aがボトルPの首部に対向することとなり、図中矢印300で示すように収納部22の外表面側から露出部16aに力を印加することで露出部16aがボトルPの首部に当接し接着される。従って、この露出部16aの接着によりボトル用首掛け袋の首回りの回転移動が規制され、ボトルPの搬送時や陳列時においても所望の首掛け位置、例えばボトルPの商品デザインとの関係において販促効果が高いと期待される位置に維持される。
【0032】
このように、本実施形態においては、収納部22に形成された接着部16(露出部16aを含む)は、
(1)収納部22の袋体の開口部23を封緘する機能
(2)ボトルPの首掛け状態において収納部22がボトルPの肩部に自立し、装着部20との間に略V字形状を形成してその形状を維持する機能
(3)ボトルPの首掛け状態においてボトルPの首部回りの回転移動を規制して収納部22をボトルPの所望位置に維持する機能
の3機能を同時に達成するものである。
【0033】
特に、露出部16aを収納部22の外表面側から若干の力で押すだけで首部回りの回転移動を規制できるので、例えばコンビニエンスストアにおける販売スタッフ等、必ずしも商品陳列に習熟していない者であっても、極めて簡単にボトルの首に掛けて止めることができる。
【0034】
なお、本実施形態のボトル用首掛け袋は、基本的には図3に示すように装着部20と収納部22が略V字型の形状をなすようにボトルPの首部に嵌め込まれるが、収納部22の長さや販促品50の内容によっては装着部20と収納部22が逆V字型の形状をなすようにボトルPの首部に嵌め込まれてもよい。
【0035】
図4は、ボトル用首掛け袋をボトルPの首部に嵌め込んだ他の状態を示す。装着部20と収納部22は接着部16により接着されており、図に示すように、収納部22は首掛け時に開口部23が下向きでボトルPの肩部から垂れ下がる状態となり、装着部20と収納部22が逆V字の形状をなす。
【0036】
収納部22は、接着部16により装着部20側に接着されて逆V型の形状が維持されるので、収納部22が不必要に垂れ下がってボトルP本体の商品表示等を邪魔することはない。
【0037】
さらに、接着部16の一部である露出部16aが装着部20側に露出しているため、首掛け状態において露出部16aがボトルPの首部に対向することとなり、図中矢印300で示すように収納部22の外表面側から露出部16aに力を印加することで露出部16aがボトルPの首部に当接し接着される。従って、露出部16aの接着によりボトル用首掛け袋の首回りの回転移動が規制され、ボトルPの搬送時や陳列時においても所望の首掛け位置、例えば商品デザインの正面に合わせた首掛け位置が維持される。
【0038】
このような首掛け状態においても、収納部22に形成された接着部16(露出部16aを含む)は、
(1)収納部22の袋体の開口部23を封緘する機能
(2)ボトルPの首掛け状態において収納部22がボトルPの肩部から垂れ下がった略逆V字形状を維持する機能
(3)ボトルPの首掛け状態においてボトルPの首部周りの回転移動を規制して収納部22をボトルPの所望位置に維持する機能
の3機能を同時に達成できる。
【0039】
図3図4の首掛け状態は任意に選択でき、首掛けすべきボトルの種類や大きさ、収納されるべき販促品の種類や大きさ等に応じて適宜選択できる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず種々の変形が可能である。
【0041】
例えば、本実施形態において、露出部16aは接着部16の一部であって同一の接着層から構成されるが、接着部16のうち露出部16aの部分とその他の部分とで接着層が異なるものであっても良い。具体的には、露出部16aは開口部23の封緘に寄与せず首掛け状態においてボトルPの首部と接着されて回転移動を規制するものであるからその機能を達成するために必要な粘着力を有すればよく、接着部16のうち露出部16a以外の部分は封緘を行うために必要な粘着力を有すればよい。すなわち、
(露出部16aの粘着力)<(その他の部分の粘着力)
であってもよい。
【0042】
また、露出部16aは外部から容易に視認できるように他の接着部と異なる色で着色されていてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、装着部20の孔を円孔12,14としているが、孔の形状は必ずしも円である必要はなく、多角形でもよく、孔の周囲に放射状に複数の切り込みを設けてもよい。孔はボトルPの首部に挿通可能なサイズであればよく、本実施形態では露出部16aにより回転移動が規制されるため孔のサイズの自由度が従来よりも高いといえる。
【0044】
また、本実施形態では、接着部16の露出部16aを半月形状としているが、これは円孔12,14の形状と接着部16の形状との相対的な関係から規定されるものであり、例えば孔の形状を変えることで露出部16aの形状も変化することは言うまでもなく、露出部16aの形状は任意でよい。
【0045】
また、本実施形態では、接着部16の全体形状を図1に示すように矩形状あるいは帯状としたが、これに限定されるものではなく、例えば矩形状の本体部と突出した円弧状の露出部から構成されていてもよい。また、本体部と露出部は必ずしも連続している必要はなく、互いに離間して形成されていてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、接着部16の露出部16aで首回りの回転移動を規制しているが、必ずしも首回りの移動を規制する必要がない場合には、露出部16aを形成しないことも考えられる。この場合においても、例えば図3のような首掛け状態では、
(1)収納部22の袋体の開口部23を封緘する機能
(2)ボトルPの首掛け状態において収納部22がボトルPの肩部に自立し、装着部20との間に略V字形状を形成してその形状を維持する機能
の2つの機能を同時に達成することができる。
【0047】
さらに、シート10は、プラスチック(PP、PE、PET、ナイロン等)に限られず、紙やアルミ箔等を用いてもよく、単層に限らず積層したものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 シート、12,14 円孔、16 接着部、16a 露出部、18 超音波シール部、20 装着部、21 合成紙、22 収納部、23 開口部、24 切取線。
図1
図2
図3
図4