【実施例】
【0023】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、各種物性値、測定、および評価は以下の方法に従った。また、実施例および比較例において、質量部は単量体混合物の総量100質量部に対する質量部を表し、質量%は単量体混合物(総量100質量%)中における含有割合を表す。
【0024】
(1)転化率
重合体溶液に含まれる単量体量を下記方法により定量し、転化率を算出した。
重合体溶液3gと内部標準物質のビフェニル0.01gをアセトン35gに溶解させ、分析試料を調製した。試料をガスクロマトグラフ(GC)により下記条件で分析し、内部標準法により定量した。
GC装置:(株)島津製作所製、GC−2014
検出器:FID
インジェクション温度:200℃
検出器温度:250℃
カラム温度:50℃10分保持、毎分10℃昇温、250℃10分保持
カラム:アジレント・テクノロジー(株)製、DB−17(内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)
そして、原料の物質収支および残存単量体量から単量体の転化率(%)を算出した。
【0025】
(2)重合体の重量平均分子量(Mw)、多分散度(Mw/Mn)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により、下記条件で求めた。
GPC装置:東ソー(株)製、HLC−8220
カラム:昭和電工(株)製、Shodex KF−805L
溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:ポリスチレン
【0026】
また実施例中の略号は以下のとおりである。
PGMEA:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
GMA:メタクリル酸グリシジル
MAA:メタクリル酸
EMA:メタクリル酸エチル
DCPMA:メタクリル酸ジシクロペンタニル
TCP:ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート(商品名:パーロイルTCP、日油(株)製)
V−65:2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製)
MSD:α−メチルスチレンダイマー(商品名:ノフマーMSD、日油(株)製)
パーオクタND:1,1,3,3−テトラメチルブチル−パーオキシネオデカネート(日油(株)製:純度70%品)
【0027】
(実施例1)
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン191.1g(60質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA63.7g(20質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、TCP44.6g(14質量部)を2時間かけて分割投入した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は84.9%であった。また共重合体のMwは10,000であり、Mw/Mnは1.8であった。
【0028】
(実施例2)
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA654g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン196.1g(60質量%)、GMA65.4g(20質量%)、MAA65.4g(20質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、TCP19.6g(6質量部)を2時間かけて分割投入した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は80.8%であった。また得られた共重合体のMwは50,000であり、Mw/Mnは2.5であった。
【0029】
(実施例3)
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA625g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン187.5g(60質量%)、GMA62.5g(20質量%)、MAA62.5g(20質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、TCP62.5g(20質量部)を2時間かけて分割投入した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は86.6%であった。また得られた共重合体のMwは5,100であり、Mw/Mnは1.7であった。
【0030】
(実施例4)
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部%)を導入し、65℃に昇温後、スチレン191.1g(60質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA47.8g(15質量%)、EMA15.9g(5質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、TCP44.6g(14質量部)を2時間かけて分割投入した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は85.2%であった。また得られた共重合体のMwは9,800であり、Mw/Mnは1.8であった。
【0031】
(実施例5)
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン191.1g(60質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA47.8g(15質量%)、DCPMA15.9g(5質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、TCP44.6g(14質量部)を2時間かけて分割投入した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は84.3%であった。また得られた共重合体のMwは9,800であり、Mw/Mnは1.8であった。
これら実施例で得られた共重合体溶液および共重合体を評価した結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
(比較例1)
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA627g(193質量部)、MSD3.2g(1質量部)を導入し、70℃に昇温後、スチレン194.8g(60質量%)、GMA32.5g(10質量%)、MAA64.9g(20質量%)、EMA32.5g(10質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、V−65の22.7g(7質量部)をPGMEA22g(7質量部)に溶解した開始剤溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は68.0%であった。また得られた共重合体のMwは11,000であり、Mw/Mnは2.5であった。
【0034】
(比較例2)
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA622g(192質量部)、MSD3.2g(1質量部)を導入し、70℃に昇温後、スチレン194.2g(60質量%)、GMA32.4g(10質量%)、MAA64.7g(20質量%)、EMA32.4g(10質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、V−65の25.9g(8質量部)をPGMEA22g(7質量部)に溶解した開始剤溶液を2時間かけて滴下した。終了後2時間熟成した後、さらに追加的にV−65の3.2g(1質量部)をPGMEA3g(1質量部)に溶解した開始剤溶液を滴下し、さらに2時間熟成して共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は81.8%であった。また得られた共重合体のMwは25,000であり、Mw/Mnは3.5であった。
【0035】
(比較例3)
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン191.1g(60質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA63.7g(20質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、パーオクタND44.6g(14質量部)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は72.7%であった。また得られた共重合体のMwは9,000であり、Mw/Mnは1.9であった。
これら比較例で得られた共重合体溶液および共重合体を評価した結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表1に示される結果から、本発明の製造法に係る実施例によれば、残存単量体量が少なく、転化率が高い重合反応が行われており、多分散度の低い共重合体が効率よく得られていることが分かる。
【0038】
一方、表2に示される結果から、本発明で用いられる開始剤以外の開始剤を用いた比較例1および3では、残存単量体が多く、重合反応の転化率が低くなることが分かる。また、開始剤を追加して二段階で重合反応を行なった場合(比較例2)、転化率は向上するものの、多分散度の高い共重合体が得られることが分かる。