【実施例】
【0094】
以下、本発明を合成例、実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら合成例、実施例に限定されるものではない。なお、合成例、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。ここで、部は特に断りのない限り重量部を表す。
【0095】
○重量平均分子量:GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、下記条件下で測定されたポリスチレン換算、重量平均分子量を算出した。
【0096】
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF−G LF−804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0097】
○エポキシ当量:JIS K7236に記載の方法で測定した。
○酸価:JIS K2501に記載の方法で測定した。
○粘度:東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
○
1H−NMR:日本電子株式会社製 JNM−ECS400を用いて、重クロロホルム溶媒で測定した。
【0098】
合成例1;分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン33部、1%ヘキサクロロ白金酸・6水和物のテトラヒドロフラン溶液0.03部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を80℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま1時間反応させた。
得られた反応液に窒素ガスを吹き込みながら、110℃で減圧濃縮し、テトラヒドロフランと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンを除去することで、分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)36部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は190g/eq、粘度は2800mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0099】
合成例2;エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物であって、シクロヘキシルエポキシを有するアルコキシケイ素とシラノール末端シリコーンオイルの縮合物の製造例
ガラス製2000ml四つ口フラスコに、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン394部、シラノール末端ポリジメチルジフェニルシリコーンオイル(重量平均分子量1700、シラノール当量850、フェニル基含有量33wt%のシラノール末端シリコーンオイル)475部、5重量%KOHメタノール溶液4部、イソプロピルアルコール36部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、10時間反応させた。
【0100】
その後、メタノール656部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液173部を60分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
さらにその後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を17.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン780部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物であるエポキシ基含有ポリシロキサン(EP−2)731部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は491g/eq、重量平均分子量は2090、粘度は3328mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0101】
合成例3;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、ビスフェノールAの水素添加物を、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製1000mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、A
1がプロピルオキシエチレン基、A
2がメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を294部、水素化ビスフェノールAを42部、リカシッド(商品名)MH−T(新日本理化株式会社製、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)を164部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を80〜90℃に保ち、3時間反応させた。その後、内温を100〜110℃に昇温し、4時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−1)489部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は19700mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0102】
合成例4;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、トリシクロデカンジメタノールを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製2000mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、A1がプロピルオキシエチレン基、A2がメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を501部、トリシクロデカンジメタノールを63部、リカシッドMH−Tを286部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を40〜50℃に保ち、4時間反応させた。その後、内温を70〜80℃に昇温し、4時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−2)833部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は8450mPa・s、酸価は111mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0103】
合成例5;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、ジオキサングリコールを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製1000mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、A
1がプロピルオキシエチレン基、A
2がメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を59部、ジオキサングリコールを7.9部、リカシッドMH−Tを33.2部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を70〜80℃に保ち、4時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−3)98部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は12390mPa・s、酸価は113mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0104】
合成例6;ハイドロシリレーション触媒に、白金固定化触媒であるFibrecat(商標)4003(和光純薬工業社製)を用いて、分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン32.3部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.023部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を80℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま10時間反応させた。反応液の
1H−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0105】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンを除去することで、分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)36.7部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は184.3g/eq、粘度は5601mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0106】
合成例7;式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が91モル%、ヘキシル基が9%である、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン29.1部、1−ヘキセン2.2部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.047部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を50〜58℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま10時間反応させた。その後、内温を80℃まで上昇させさらに6時間反応させた。反応液の
1H−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0107】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンと1−ヘキセンを除去することで、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−4)35.9部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は198.6g/eq、粘度は3799mPa・s、外観は無色透明液体であった。また、
1H−NMR分析の結果、式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が91モル%、ヘキシル基がモル9%であった。
【0108】
合成例8;式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が81モル%、ヘキシル基が19%である、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン29.1部、1−ヘキセン4.3部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.047部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を50〜58℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま37時間反応させた。その後、内温を80℃まで上昇させさらに4時間反応させた。反応液の
1H−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0109】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンと1−ヘキセンを除去することで、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−5)35.0部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は213.5g/eq、粘度は1423mPa・s、外観は無色透明液体であった。また、
1H−NMR分析の結果、式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が81モル%、ヘキシル基が19モル%であった。
【0110】
合成例9;式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が76モル%、ヘキシル基が24%である、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン22.5部、1−ヘキセン6.5部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.047部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を50〜58℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま24時間反応させた。反応液の
1H−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0111】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンと1−ヘキセンを除去することで、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−6)34.7部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は229.9g/eq、粘度は840mPa・s、外観は無色透明液体であった。また、
1H−NMR分析の結果、式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が76モル%、ヘキシル基が24モル%であった。
【0112】
合成例10;シリコーン変性エポキシ樹脂の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン32.3部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.023部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を80〜85℃に保ち、そこに1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン13.4部を40分間かけて滴下し、そのまま5時間反応させた。反応液の
1H−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0113】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンを除去することで、分子内に2つのエポキシ基を有する(EP−7)36.3部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は193.8g/eq、粘度は840mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0114】
合成例11;エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物であって、シクロヘキシルエポキシを有するアルコキシケイ素とシラノール末端シリコーンオイルの縮合物の製造例
2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン111部、分子量1700(GPC測定値)のシラノール基をもつポリジメチルジフェニルシロキサン100部、5%KOHメタノール溶液1部、イソプロピルアルコール8部を反応容器に仕込み、75℃に昇温した。昇温後、還流下にて10時間反応させた。反応後、メタノールを120部追加後、50%蒸留水メタノール溶液48.6部を60分かけて滴下し、還流下さらに10時間反応させた。反応終了後、5%第1水素ナトリウムリン酸水溶液で中和後、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、MIBK174部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することによりエポキシ樹脂(EP−8)174部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は411g/eq、重量平均分子量は3200、粘度は15140mPa・s、外観は無色透明であった。
【0115】
合成例12;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸と無水グルタル酸を使用した多価カルボン酸樹脂の合成例
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、リカビノールHB(新日本理化社製、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)18.2g、無水グルタル酸20.1g、KF−6000(信越化学工業社製、両末端カルビノール変性シリコーンオイル、前記式(7)中A
1がプロピルオキシエチレン基、A
2がメチル基、pが7.5である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)122.7g、リカシッドMH−T(新日本理化社製、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)39.0g、トルエン200gを仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを130℃加熱しトルエンが還流している状態で8時間反応させた。反応終了後、GPCで反応液を確認したところ、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのピークは消失していた。得られた反応液を減圧下、トルエンを留去することにより、多価カルボン酸樹脂(B−4)195gが得られた。多価カルボン酸樹脂(B−4)の酸価は113.4mgKOH/g、粘度は2780mPa・s、GPC測定によるポリスチレン換算重量平均分子量は1264、外観は無色透明液体であった。
【0116】
合成例13;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、トリシクロデカンジメタノールを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、2,4−ジエチルグルタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、A
1がプロピルオキシエチレン基、A
2がメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を91.8部、トリシクロデカンジメタノールを45.7部、YH1120(2,4−ジエチルグルタル酸、三菱化学社製)を112.5部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を95〜105℃に保ち、6時間反応させた。その後、内温を115〜120℃に昇温し、7時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−5)248部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は7219mPa・s、酸価は146mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0117】
合成例14;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、2,4−ジエチルグルタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製1000mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、A
1がプロピルオキシエチレン基、A
2がメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を397.5部、リカビノールHB(新日本理化社製、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)を149部、YH1120(2,4−ジエチルグルタル酸、三菱化学社製)を353.6部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を95〜105℃に保ち、4時間反応させた。その後、内温を115〜120℃に昇温し、18時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−6)895部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は7859mPa・s、酸価は123mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0118】
合成例15;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを、(b);分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、2,4−ジエチルグルタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、A
1がプロピルオキシエチレン基、A
2がメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を36.8部、PD−9(協和発酵ケミカル社製、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール)を16.0部、YH1120(2,4−ジエチルグルタル酸、三菱化学社製)を47.2部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を115〜120℃に昇温し、8時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−7)98部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は1797mPa・s、酸価は155mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0119】
合成例16;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、トリシクロデカンジメタノールを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、2,4−ジエチルグルタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、A
1がプロピルオキシエチレン基、A
2がメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を109.9部、トリシクロデカンジメタノールを36.6部、YH1120(2,4−ジエチルグルタル酸、三菱化学社製)を103.5部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を95〜105℃に保ち、14時間反応させた。その後、内温を115〜120℃に昇温し、1時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−8)247部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は3077mPa・s、酸価は136mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0120】
実施例1;合成例1で得られた分子内に4のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレートであるERL−4221(ダウケミカル株式会社製)、合成例3で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0121】
実施例2〜3;合成例1で得られた分子内に4のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)、その他のエポキシ樹脂として合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレートであるERL−4221(ダウケミカル株式会社製)、合成例2で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0122】
実施例4;合成例1で得られた分子内に4のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレートであるERL−4221(ダウケミカル株式会社製)、合成例4で得られた多価カルボン酸樹脂(B−2)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0123】
実施例5〜6;合成例1で得られた分子内に4のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)、その他のエポキシ樹脂として合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、合成例4で得られた多価カルボン酸樹脂(B−2)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0124】
実施例7;実施例4の多価カルボン酸樹脂を、合成例5で得られた(B−3)に変えた他は実施例1と同様にし、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0125】
実施例8〜9;実施例5〜6の多価カルボン酸樹脂を、合成例5で得られた(B−3)に変えた他は実施例1と同様にし、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0126】
比較例1;合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレートであるERL−4221(ダウケミカル株式会社製)、合成例3で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0127】
比較例2;合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、合成例4で得られた多価カルボン酸樹脂(B−2)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0128】
比較例3;合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、合成例5で得られた多価カルボン酸樹脂(B−3)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0129】
(評価試験)
実施例1〜9、比較例1〜3で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物の配合比とその粘度、硬化物の、硬さ、Tg、透過率、引っ張り伸び率、LED試験としてそのリフロー試験後のクラック、耐硫化性の結果を表1に示す。表1における試験は以下のように行った。
【0130】
(1)粘度
東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
(2)硬さ
JIS K7215に記載の方法でデュロメータA硬さを測定した。
【0131】
(3)Tg(ガラス転移温度)
実施例1〜9、比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。
得られた硬化物を幅5mm長さ25mmに成形し、下記条件にてDMA(Dynamic Mechanical Analysis)を測定し、Tg(ガラス転移温度)を読み取った。
【0132】
<DMA測定条件>
メーカー:セイコーインスツル株式会社
機種:粘弾性スペクトロメータ EXSTAR DMS6100
測定温度:−50℃〜150℃
昇温速度:2℃/min
周波数:10Hz
測定モード:引張振動
DMA法により測定したガラス転移温度(Tg):
DMAを測定した際の、貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E”)の商で表される損失係数(tanδ=E”/E’)の極大点の温度を読み取った。
【0133】
(4)硬化物透過率
実施例1〜9、比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。得られた試験片を下記条件にて400nmの光線透過率を測定した。
【0134】
<分光光計測定条件>
メーカー:株式会社日立ハイテクノロジーズ
機種:U−3300
スリット幅:2.0nm
スキャン速度:120nm/分
【0135】
(5)引っ張り伸び率
実施例1〜9、比較例1〜3で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、50mm×30mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの試験片を得た。得られた試験片を、幅5mm、長さ50mmに加工し、各硬化物について5本ずつの試験片を下記条件にて引っ張り伸び率を測定し、その平均値を算出した。
【0136】
<引っ張り試験測定条件>
メーカー:株式会社エー・アンド・デイ
機種:テンシロン万能材料試験機 RTG−1210
チャック間距離:15mm
試験速度:5.0mm/min
試験片が破断した際のチャック移動距離により伸び率を算出した。
【0137】
(6)耐硫化試験
実施例1〜9、比較例1〜3で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.0mm×1.4mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
封止した表面実装型LEDの照度をあらかじめ測定し、硫黄固体2gを入れた直径9cmのガラス製シャーレと共に170mm×170mm×50mmtのガラス製密閉容器に入れ、80℃恒温槽にて放置した。放置3時間後に再度照度を測定し、試験前照度からの変化率を算出した。
【0138】
なお、LEDの照度は以下のように測定した。
試験に用いる表面実装型LEDパッケージを25℃、65%RH下で積分球(FOIS−1、オーシャンオプト社製)の壁面に設置し、20mAの定電流を流して光測定装置(Wavelength Calibration USB4000シリーズ、オプトシリウス社製)で放射束(W)を測定した。
【0139】
(7)リフロー試験
実施例1〜9、比較例1〜3で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.0mm×1.4mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
得られた表面実装型LEDパッケージを各サンプル3つずつ、150℃のオーブンで24時間乾燥後、30℃、70%RHの恒温恒湿槽に168時間放置した後、熱風循環式リフロー試験装置を1回通過させ、その後の外観観察を行い、封止材硬化物にクラック(ひび割れ)が確認された個数を数えた。
【0140】
<リフロー条件>
メーカー:株式会社タムラ製作所
機種:TNR15−225LH−M
雰囲気:大気中
温度プロファイル:25℃の室温から180℃まで4℃/秒で昇温させ、180〜200℃で120秒保持し、その後260℃まで4℃/秒で昇温させ、260℃で10秒保持した後、室温(25℃)まで放冷した。
【0141】
【表1】
【0142】
表1に示す結果から明らかなように、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用していない、比較例(1)、(3)は耐硫化試験において照度が大きく低下し、比較例(2)、(3)はリフロー試験においてクラックが入った。さらに比較例(1)〜(3)は引っ張り伸び率が小さく、機械強度が劣ることが分かった。
一方で、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用した、実施例(1)〜(9)は適度な粘度、硬さ、Tgであることに加え、硬化物透過率、引っ張り伸び率に優れた。さらに耐硫化試験においても高い照度保持率であり、リフロー試験においてもクラックが入らず、光透明性が求められる分野、特に光半導体封止用樹脂組成物として好適である。
【0143】
実施例10;合成例6で得られた分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)、合成例11で得られた多価カルボン酸樹脂(B−4)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表2に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0144】
実施例11;実施例10のEP−3を、合成例7で得られた分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−4)に変えた他は、実施例10と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0145】
実施例12;実施例10のEP−3を、合成例8で得られた分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−5)に変えた他は、実施例10と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0146】
実施例13;実施例10のEP−3を、合成例9で得られた分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−6)に変えた他は、実施例10と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0147】
(評価試験)
実施例10〜13で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物の配合比とその粘度、硬化物の、硬さ、透過率、引っ張り伸び率、LED試験としてそのリフロー試験後のクラック、長期点灯試験時の照度保持率の結果を表2に示す。表2における試験は以下のように行った。
【0148】
(1)粘度
東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
(2)硬さ
JIS K7215に記載の方法でデュロメータA硬さを測定した。
【0149】
(3)硬化物透過率
実施例10〜13で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。得られた試験片を下記条件にて400nmの光線透過率を測定した。
【0150】
<分光光計測定条件>
メーカー:株式会社日立ハイテクノロジーズ
機種:U−3300
スリット幅:2.0nm
スキャン速度:120nm/分
【0151】
(4)引っ張り伸び率
実施例10〜13で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、50mm×30mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの試験片を得た。得られた試験片を、幅5mm、長さ50mmに加工し、各硬化物について5本ずつの試験片を下記条件にて引っ張り伸び率を測定し、その平均値を算出した。
【0152】
<引っ張り試験測定条件>
メーカー:株式会社エー・アンド・デイ
機種:テンシロン万能材料試験機 RTG−1210
チャック間距離:15mm
試験速度:5.0mm/min
試験片が破断した際のチャック移動距離により伸び率を算出した。
【0153】
(5)リフロー試験
実施例10〜13で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する2.3mm×0.4mm×1.4mmt(封止部0.4mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
【0154】
得られた表面実装型LEDパッケージを各サンプル3つずつ、150℃のオーブンで24時間乾燥後、30℃、70%RHの恒温恒湿槽に168時間放置した後、熱風循環式リフロー試験装置を1回通過させ、その後の外観観察を行い、封止材硬化物にクラック(ひび割れ)が確認された個数を数えた。
【0155】
<リフロー条件>
メーカー:株式会社タムラ製作所
機種:TNR15−225LH−M
雰囲気:大気中
温度プロファイル:25℃の室温から180℃まで4℃/秒で昇温させ、180〜200℃で120秒保持し、その後260℃まで4℃/秒で昇温させ、260℃で10秒保持した後、室温(25℃)まで放冷した。
【0156】
(6)長期点灯試験時の照度保持率
実施例10〜13で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する2.3mm×0.4mm×1.4mmt(封止部0.4mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
得られた表面実装型LEDパッケージを、各2つずつ初期照度を測定し、100℃に保ったオーブン中で、20mAの定電流を流し600時間点灯させた。その後、オーブンから取り出し試験後の照度を測定し、初期照度からの保持率を算出し、その平均を長期点灯試験時の照度保持率とした。
【0157】
なお、LEDの照度は以下のように測定した。
試験に用いる表面実装型LEDパッケージを25℃、65%RH下で積分球(FOIS−1、オーシャンオプト社製)の壁面に設置し、20mAの定電流を流して光測定装置(Wavelength Calibration USB4000シリーズ、オプトシリウス社製)で放射束(W)を測定した。
【0158】
【表2】
【0159】
表2に示す結果から明らかなように、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用した実施例10〜13のエポキシ樹脂組成物は、適度な粘度であり、その硬化物の硬さ、透過率、引っ張り伸び率に優れた。さらにリフロー試験においてもクラックが入らず、長期点灯試験においても高い照度保持率であり、光透明性が求められる分野、特に光半導体封止用樹脂組成物として好適である。特に、式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が91モル%以上である、EP−3、EP−4を含有する実施例10、11の長期点灯試験は優れた照度保持率であり、長期信頼性に優れる。
【0160】
実施例14;合成例6で得られた分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)、合成例10で得られたシリコーン変性エポキシ樹脂(EP−7)、合成例13で得られた多価カルボン酸樹脂(B−5)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表3に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0161】
実施例15;実施例14の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例14で得られた多価カルボン酸樹脂(B−6)に変えた他は、実施例14と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0162】
実施例16;合成例6で得られた分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)、合成例15で得られた多価カルボン酸樹脂(B−7)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表3に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0163】
実施例17;実施例16の分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)を、一部合成例10で得られたシリコーン変性エポキシ樹脂(EP−7)に変えた他は、実施例16と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0164】
実施例18;実施例14の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例16で得られた多価カルボン酸樹脂(B−8)に変えた他は、実施例14と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0165】
比較例4;合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、合成例11で得られたエポキシ樹脂(EP−8)、合成例13で得られた多価カルボン酸樹脂(B−5)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表3に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0166】
比較例5;比較例4の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例14で得られた多価カルボン酸樹脂(B−6)に変えた他は、比較例4と同様に行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0167】
比較例6;比較例4の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例15で得られた多価カルボン酸樹脂(B−7)に変えた他は、比較例4と同様に行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0168】
比較例7;比較例4の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例16で得られた多価カルボン酸樹脂(B−8)に変えた他は、比較例4と同様に行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0169】
(評価試験)
実施例14〜18、比較例4〜7で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物の配合比とその粘度、硬化物の透過率、引っ張り伸び率、LED試験としてその耐硫化性、リフロー試験後のクラックの結果を表3に示す。表3における試験は以下のように行った。
【0170】
(1)粘度
東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
(2)硬化物透過率
実施例14〜18、比較例4〜7で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。得られた試験片を下記条件にて400nmの光線透過率を測定した。
【0171】
<分光光計測定条件>
メーカー:株式会社日立ハイテクノロジーズ
機種:U−3300
スリット幅:2.0nm
スキャン速度:120nm/分
【0172】
(3)引っ張り伸び率
実施例14〜18、比較例4〜7で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、50mm×30mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの試験片を得た。得られた試験片を、幅5mm、長さ50mmに加工し、各硬化物について5本ずつの試験片を下記条件にて引っ張り伸び率を測定し、その平均値を算出した。
【0173】
<引っ張り試験測定条件>
メーカー:株式会社エー・アンド・デイ
機種:テンシロン万能材料試験機 RTG−1210
チャック間距離;15mm
試験速度;5.0mm/min
試験片が破断した際のチャック移動距離により伸び率を算出した。
【0174】
(4)耐硫化試験
実施例14〜18、比較例4〜7で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.0mm×1.4mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
封止した表面実装型LEDの照度をあらかじめ測定し、硫黄固体2gを入れた直径9cmのガラス製シャーレと共に170mm×170mm×50mmtのガラス製密閉容器に入れ、80℃恒温槽にて放置した。放置6時間後に再度照度を測定し、試験前照度からの変化率を算出した。
【0175】
なお、LEDの照度は以下のように測定した。
試験に用いる表面実装型LEDパッケージを25℃、65%RH下で積分球(FOIS−1、オーシャンオプト社製)の壁面に設置し、20mAの定電流を流して光測定装置(Wavelength Calibration USB4000シリーズ、オプトシリウス社製)で放射束(W)を測定した。
【0176】
(5)リフロー試験
実施例14〜18、比較例4〜7で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.0mm×1.4mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
得られた表面実装型LEDパッケージを各サンプル3つずつ、150℃のオーブンで24時間乾燥後、30℃、70%RHの恒温恒湿槽に168時間放置した後、熱風循環式リフロー試験装置を1回通過させ、その後の外観観察を行い、封止材硬化物にクラック(ひび割れ)が確認された個数を数えた。
【0177】
<リフロー条件>
メーカー:株式会社タムラ製作所
機種:TNR15−225LH−M
雰囲気:大気中
温度プロファイル:25℃の室温から180℃まで4℃/秒で昇温させ、180〜200℃で120秒保持し、その後260℃まで4℃/秒で昇温させ、260℃で10秒保持した後、室温(25℃)まで放冷した。
【0178】
【表3】
【0179】
表3に示す結果から明らかなように、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用していない、比較例(4)〜(7)は耐硫化試験において照度が大きく低下し、また、リフロー試験においてクラックが入った。さらに比較例(4)〜(7)は引っ張り伸び率が小さく、機械強度が劣ることが分かった。
一方で、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用した、実施例(14)〜(18)は引っ張り伸び率に優れた。さらに耐硫化試験においても高い照度保持率であり、リフロー試験においてもクラックが入らず、光透明性が求められる分野、特に光半導体封止用樹脂組成物として好適である。
【0180】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本願は、2013年10月16日付で出願された日本国特許出願(2013−215442)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。