特許第6456836号(P6456836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456836
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物およびその硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/20 20060101AFI20190110BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20190110BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20190110BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   C08G59/20
   C08G59/42
   H01L23/30 F
【請求項の数】7
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2015-542643(P2015-542643)
(86)(22)【出願日】2014年10月15日
(86)【国際出願番号】JP2014077470
(87)【国際公開番号】WO2015056723
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2017年4月13日
(31)【優先権主張番号】特願2013-215442(P2013-215442)
(32)【優先日】2013年10月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 直房
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智江
(72)【発明者】
【氏名】設楽 律子
(72)【発明者】
【氏名】舘野 将輝
【審査官】 大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/109768(WO,A1)
【文献】 特開2006−307128(JP,A)
【文献】 特開2012−184394(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/165147(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/060862(WO,A1)
【文献】 特開2011−102337(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/108588(WO,A1)
【文献】 特開2011−057617(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/137837(WO,A1)
【文献】 特開2014−145073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/20
C08G 59/42
H01L 23/29
H01L 23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)を含有する、エポキシ樹脂組成物であって、
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を、Xはエポキシ基を含有する有機基または炭素数1〜6の炭化水素基を、nは1〜3の整数をそれぞれ表す。式中に複数存在するR、Xはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。ただし、複数存在するX中、少なくとも2つはエポキシ基を含有する有機基である。)
エポキシ樹脂硬化剤(B)が、下記式(3)〜(6)および下記式(9)〜(12)のいずれかで表される化合物を一種以上含有する、エポキシ樹脂組成物。
【化2】

【化3】

(式(9)〜(12)中、Rは水素原子またはエチル基を表す。)
【請求項2】
式(1)のX中、90モル%以上が、エポキシ基を含有する有機基である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
さらにエポキシ樹脂硬化促進剤(C)を含有する、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
エポキシ樹脂硬化促進剤(C)が金属石鹸硬化促進剤である、請求項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる、光半導体封止用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項に記載の光半導体封止用樹脂組成物で光半導体素子を封止した光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特に光半導体封止用などの高い透明性が求められる部分に用いるのに好適な硬化性樹脂組成物、及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
白色光を発するLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)等の光半導体封止用の樹脂として、耐光透明性、耐熱透明性が優れることから、不飽和炭化水素基含有ジメチルポリシロキサンとオルガノハイドロジェンジメチルポリシロキサンを用いたシリコーン樹脂封止材が用いられてきた(特許文献1を参照)。
LEDを点灯させるための通電や光取り出し効率の向上のためにリードフレームとして導電率や光反射率の高い銀メッキが広く用いられている。銀メッキ部分は封止材に覆われているが、シリコーン樹脂封止材のガス透過性が高いために空気中に存在する硫化水素等の硫黄系ガスが透過し、銀メッキとの結合(銀の硫化)によりリードフレーム表面が黒く変色、光反射率が低下し、結果としてLED輝度低下を招いてしまう事が近年問題視されている。
【0003】
そこで、硫化耐性の改善として硫黄系ガスの透過性を下げるため、ジメチルシリコーン樹脂にフェニル基を導入し、硫化耐性を改善させたフェニルシリコーン樹脂封止材が用いられるようになってきている(特許文献2を参照)。
一方、最近になって液晶ディスプレイの薄型化などのために、LEDパッケージの薄型化も進んでいる。LEDパッケージの薄型化のためにその樹脂封止部も薄くなり、フェニルシリコーン樹脂封止材でも満足できる耐硫化性を得られなくなってきている。
さらに、表面実装型LEDパッケージは基板との固定のために、パッケージ全体が一時的に高温にさらされる鉛フローハンダリフロー工程を経由する必要があり、その工程において、封止材がパッケージから剥離してしまったり、クラック(ひび割れ)が入ってしまったりする問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許第4636242号公報
【特許文献2】日本国特許第4676735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は優れた透明性、適度な硬さ、優れた機械強度を有する硬化物を与え、光半導体を封止した際に、リフロー時にクラックが発生せず、さらには耐硫化性、長期点灯時の照度保持率にも優れる光半導体封止材を与えるエポキシ樹脂組成物およびその硬化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記した実状に鑑み、鋭意検討した結果、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する特定の構造の環状シロキサン化合物と、エポキシ樹脂硬化剤、任意に硬化促進剤を含有する硬化性樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記(1)〜(13)に関する。
(1)下記式(1)で表される、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)を含有する、エポキシ樹脂組成物。
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を、Xはエポキシ基を含有する有機基または炭素数1〜6の炭化水素基を、nは1〜3の整数をそれぞれ表す。式中に複数存在するR、Xはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。ただし、複数存在するX中、少なくとも2つはエポキシ基を含有する有機基である。)
(2)式(1)のX中、90モル%以上が、エポキシ基を含有する有機基である、(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)エポキシ樹脂硬化剤(B)が、多価カルボン酸樹脂である、(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)多価カルボン酸樹脂が、少なくとも(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物と(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物を反応させることによって得られる付加重合体である、(3)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(5)(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物が、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物およびジエチルグルタル酸無水物から選択される一種以上の化合物である、(4)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(6)エポキシ樹脂硬化剤(B)が、下記式(2)で表される多価カルボン酸である、(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、複数存在するQは、水素原子、メチル基、カルボキシル基の少なくとも1種を、Pは炭素数2〜20の鎖状および/または環状の構造を含む脂肪族基を、mは2〜4の整数をそれぞれ表す。)
(7)式(2)で表されるエポキシ樹脂硬化剤(B)が、下記式(3)〜(6)で表される化合物を、一種以上含有する(6)に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0012】
【化3】
【0013】
(8)エポキシ樹脂硬化剤(B)が、下記式(8)で表される多価カルボン酸である(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、P、mは前記式(2)と同じ意味を表し、Rは水素原子またはエチル基を表す。)
(9)式(8)で表されるエポキシ樹脂硬化剤(B)が、下記式(9)〜(12)で表される化合物を、一種以上含有する(8)に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0016】
【化5】
【0017】
(式(9)〜(12)中、Rは前記式(8)と同じ意味を表す。)
(10)さらにエポキシ樹脂硬化促進剤(C)を含有する、(1)〜(9)のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
(11)エポキシ樹脂硬化促進剤(C)が金属石鹸硬化促進剤である、(10)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(12)(1)〜(11)のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
(13)(1)〜(11)のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物からなる、光半導体封止用樹脂組成物。
(14)(13)に記載の光半導体封止用樹脂組成物で光半導体素子を封止した光半導体装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する特定の構造の環状シロキサン化合物と、エポキシ樹脂硬化剤、任意に硬化促進剤を含有する硬化性樹脂組成物は、高い透明性の硬化物を与え、耐硫化性、リフロー時の照度保持、長期点灯時の照度保持率に優れるため、高い透明性が求められる材料、特に光半導体(LEDなど)の封止用樹脂としてきわめて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の硬化性樹脂組成物は、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)を含有することを特徴とする。
【0020】
本発明における、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)は、下記式(1)で表される化合物である。
【0021】
【化6】
【0022】
式(1)において、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を、Xはエポキシ基を含有する有機基または炭素数1〜6の炭化水素基を、nは1〜3の整数をそれぞれ表す。式中に複数存在するR、Xはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。ただし、複数存在するX中、少なくとも2つはエポキシ基を含有する有機基である。
【0023】
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基が挙げられるが、硬化物の耐熱透明性の観点から、メチル基、フェニル基が好ましく、製造容易性の観点からメチル基が特に好ましい。
Xにおける有機基とは、C、H、N、O原子からなる化合物を表し、エポキシ基を含有する有機基の具体例としては、2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3―グリシドキシプロピル基が挙げられ、硬化物の耐熱透明性の観点から2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基が好ましい。ここで、有機基における炭素数は1〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましい。また、炭素数1〜5のアルキレン基を介して2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3―グリシドキシプロピル基が付加している基であることが好ましい。
【0024】
Xにおける炭素数1〜6の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基が挙げられるが、硬化物の耐熱透明性の観点から、メチル基、フェニル基が好ましく、製造容易性の観点からメチル基が特に好ましい。
分子内に複数存在するXの内、少なくとも2つはエポキシ基を含有する有機基であるが、式(1)で表される化合物のX中、平均で90モル%以上がエポキシ基を含有する有機基であることが、長期点灯時の照度保持率がより優れるため好ましく、96モル%以上が特に好ましい。
nは化合物の製造容易性から2が好ましい。
【0025】
式(1)で表される分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)は、環状ハイドロジェンシロキサン化合物と分子内にエポキシ基を有するオレフィン化合物とのハイドロシリレーション反応によって得ることができる。
環状ハイドロジェンシロキサン化合物の具体例としては、トリメチルトリシクロシロキサン、トリフェニルトリシクロシロキサン、テトラメチルテトラシクロシロキサン、テトラフェニルテトラシクロシロキサン、ペンタメチルペンタシクロシロキサン、ペンタフェニルペンタシクロシロキサン等が挙げられ、製造の容易性からテトラメチルテトラシロキサンが好ましい。
分子内にエポキシ基を有するオレフィン化合物としては、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−グリシドキシ−1,2−プロペン等が挙げられ、硬化物の耐熱透明性の観点から4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンが好ましい。
【0026】
ハイドロシリレーション反応は、その触媒として例えば、ロジウム、パラジウム、白金などの公知の金属錯体を用いることができる。具体的には、トリストリフェニルホスフィンロジウムクロリド、ヘキサクロロ白金酸・6水和物、ジビニルテトラメチルジシロキサン白金コンプレックス、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン白金コンプレックス、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金コンプレックス、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金コンプレックス等の他、FibreCat(商標)4001、FibreCat 4003(いずれも和光純薬工業製)等、市販されているポリエチレン等の溶剤不溶性の担持体に固定化された白金触媒が挙げられ、得られる分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)の透明性、硬化物の透明性の観点からヘキサクロロ白金酸・6水和物、ジビニルテトラメチルジシロキサン白金コンプレックス、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン白金コンプレックス、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金コンプレックス、FibreCat 4003が好ましい。
【0027】
ハイドロシリレーション反応に用いる触媒は、溶媒に溶解して溶液にして用いることが、作業性の観点から好ましい。用いうる溶媒は、触媒を溶解する溶媒であれば用いることができるが、溶解性、作業性の観点から、テトラヒドロフラン、トルエンが好ましい。
溶液として用いる場合、触媒を0.05〜50重量%に調整して反応液に添加することができる。
ポリエチレン等に固定化された触媒を用いる場合は、そのまま反応液に添加することができる。
触媒の添加量は、触媒に用いられている金属量として、通常、反応基質の0.1〜1000ppmの範囲で添加することが好ましい。得られる分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)の透明性、その硬化物の透明性の観点から、1〜100ppmがより好ましく、2〜20ppmが特に好ましい。添加量が0.1ppmを下回ると付加反応が遅くなる懸念があり、1000ppmより大きいとシリコーン変性エポキシ樹脂の着色がひどくなる懸念がある。
【0028】
ハイドロシリレーション反応の後は、水洗、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、吸着(活性炭、各種鉱物)など、公知の方法で精製することができる。
反応および/または精製に用いた溶媒は減圧蒸留等によって除去することができる。
【0029】
分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)のエポキシ当量(JIS K7236に記載の方法で測定)は180〜400g/eqが好ましく、190〜250g/eqが特に好ましい。
分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)の25℃における粘度は1500〜10000mPa・sが好ましく、2000〜8000mPa・sがさらに好ましく、3000〜7000mPa・sが特に好ましい。
【0030】
式(1)で表される分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)は、具体的には下記式(1−1)〜(1−6)で表される化合物が挙げられる。
【0031】
【化7】
【0032】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、前述した分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)の他にエポキシ樹脂を混合して用いることができる。
用いうる他のエポキシ樹脂としては、フェノール類化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、シリコーン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0033】
前記フェノール類化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂としては、例えば2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−ヒドロキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシノール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0034】
前記各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂としては、例えばフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノール類、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
【0035】
前記脂環式エポキシ樹脂としては、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環骨格を有する脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
前記脂肪族系エポキシ樹脂としては、例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのグリシジルエーテル類からなるエポキシ樹脂が挙げられる。
前記複素環式エポキシ樹脂としては、例えばイソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ樹脂が挙げられる。
前記グリシジルエステル系エポキシ樹脂としては、例えばヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のカルボン酸エステル類からなるエポキシ樹脂が挙げられる。
前記グリシジルアミン系エポキシ樹脂としては、例えばアニリン、トルイジン等のアミン類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
前記ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂としては、例えばブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
【0036】
エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体としては、市場から入手可能な製品ではマープルーフ(商品名)G−0115S、同G−0130S、同G−0250S、同G−1010S、同G−0150M、同G−2050M(日油(株)製)等が挙げられ、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物としては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド等が挙げられる。また他の重合性不飽和化合物の共重合体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0037】
前記エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物とは、例えばエポキシ基をもつアルコキシシラン化合物とメチル基やフェニル基を持つアルコキシシランとの加水分解縮合物や、エポキシ基をもつアルコキシシラン化合物とシラノール基をもつポリジメチルシロキサン、シラノール基をもつポリジメチルジフェニルシロキサン、シラノール基をもつポリフェニルシロキサンとの縮合物、またはそれらを併用し得られた縮合化合物のことである。エポキシ基をもつアルコキシシラン化合物としては、例えば2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。メチル基やフェニル基をもつアルコキシシラン化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が挙げられる。シラノール基をもつポリジメチルシロキサン、シラノール基をもつポリジメチルジフェニルシロキサンとしては、例えば市場から入手可能な製品では、X−21−5841、KF−9701(信越化学工業(株)製)BY16−873、PRX413(東レ・ダウコーニング(株)製)XC96−723、YF3804、YF3800、XF3905、YF3057(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)DMS−S12、DMS−S14、DMS−S15、DMS−S21、DMS−S27、DMS−S31、PDS−0338、PDS−1615(Gelest社製)等が挙げられる。
【0038】
シリコーン変性エポキシ樹脂とは分子内に2つ以上のエポキシ基を有し、シリコーン(Si−O)結合を主骨格とする化合物のことであり、例えば下記式(13)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物と、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン又は3−グリシドキシ−1,2−プロペンとのハイドロシリレーション反応によって得ることができる。
【0039】
【化8】
【0040】
式(13)中、Rは前記式(1)と同じ意味を表し、sは平均値で1〜100を表す。
【0041】
前記したエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
前記したエポキシ樹脂の中でも、透明性、耐熱透明性、耐光透明性の観点から、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、シリコーン変性エポキシ樹脂の併用は好ましい。その中でも、骨格にエポキシシクロヘキサン構造を有する化合物が好ましい。
【0042】
分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)と他のエポキシ樹脂を併用する場合には、全エポキシ樹脂に対して、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)の割合は30〜99重量部であることが好ましく、60〜97重量部が特に好ましい。30重量部を下回ると、耐硫化試験時の照度保持率やリフロー時のクラック耐性が劣る恐れがある。
【0043】
本発明のエポキシ樹脂組成物において分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を含む全エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤(B)の配合比率は、全エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.2当量の硬化剤を使用することが好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0044】
次にエポキシ樹脂硬化剤(B)について説明する。エポキシ樹脂硬化剤(B)はエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤であって例えば、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、多価カルボン酸樹脂、多価カルボン酸系硬化剤が挙げられ、そのうち酸無水物系硬化剤、多価カルボン酸樹脂、多価カルボン酸系硬化剤が好ましい。酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、2,4−ジエチルグルタル酸無水物などを挙げることができ、これらのうち、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びその誘導体が好ましい。
【0045】
次に、多価カルボン酸樹脂について説明する。
多価カルボン酸樹脂は少なくとも2つ以上のカルボキシル基を有し、脂肪族炭化水素基またはシロキサン骨格を主骨格とすることを特徴とする化合物である。本発明においては多価カルボン酸樹脂とは単一の構造を有する多価カルボン酸化合物だけでなく、置換基の位置が異なる、あるいは置換基の異なる複数の化合物の混合体、すなわち多価カルボン酸組成物も含包し、本発明においてはそれらをまとめて多価カルボン酸樹脂と称す。
【0046】
多価カルボン酸樹脂としては、特に2〜6官能のカルボン酸が好ましく、(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物と(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物との反応により得られた化合物がより好ましい。ここで、上記(a)及び(b)の反応物においては、さらに別のアルコール化合物を反応してもよく、(a)または(b)成分に該当する化合物を2種類以上使用しても良い。
【0047】
(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物としては、分子内に2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等のジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオール等のトリオール類、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等のテトラオール類、ジペンタエリスリトールなどのヘキサオール等、末端アルコールポリエステル、末端アルコールポリカーボネート、末端アルコールポリエーテル、シロキサン構造を有する多価アルコール、イソシアヌル酸トリスヒドロキシエチル、イソシアヌル酸トリスヒドロキシプロピル等のイソシアヌル環構造を有する多価アルコール化合物等が挙げられる。
【0048】
特に好ましいアルコール類としては炭素数が5以上のアルコールであり、特に1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等の化合物が挙げられ、中でも2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,4−ジエチルペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等の化合物等の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類がより好ましい。高い耐硫化性を付与する観点から、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等の化合物が特に好ましい。中でも、特に分岐鎖状構造においては、分岐鎖を2つ以上有することが好ましく、特に分岐鎖が異なる炭素原子から伸びていることが好ましい。ここで、当該分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類は炭素数が5〜25であることが好ましく、5〜20であることが特に好ましい。
【0049】
また、イソシアヌル酸トリスヒドロキシエチル、イソシアヌル酸トリスヒドロキシプロピルに例示されるイソシアヌル環構造を有する多価アルコール化合物は、硬化物の耐熱透明性、ガスバリア性、機械強度の観点から好ましい。
【0050】
シロキサン構造を有する多価アルコールは特に限定されないが、例えば下記式(7)で表されるシリコーンオイルを使用することができる。
【0051】
【化9】
【0052】
(式(7)中、Aはエーテル結合を介しても良い炭素総数1〜10アルキレン基を表し、Aはメチル基又はフェニル基を表す。また、nは繰り返し数であり平均値を意味し、1〜100である。)
【0053】
前記した、(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物は単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
得られる多価カルボン酸樹脂を液状で使用し、高い耐硫化性を付与するため、前述したシロキサン構造を有する多価アルコールと、炭素数が5〜25の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類を混合して用いることが好ましい。
シロキサン構造を有する多価アルコールと炭素数が5〜25の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類を混合して用いる場合、その使用量は全アルコール化合物中(シロキサン構造を有する多価アルコール)/(炭素数が5〜25の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類)は1〜20が好ましく、硬化物の耐熱透明性、多価カルボン酸樹脂の適度な粘度の観点から5〜15が好ましく、6〜10が特に好ましい。
【0054】
(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物としては特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、グルタル酸無水物、2,4−ジエチルグルタル酸無水物、コハク酸無水物等が好ましく、中でもメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、2,4−ジエチルグルタル酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。ここで、硬度を上げるためには、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物が好ましく、照度保持率を上げるためにはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸無水物が好ましく、多価カルボン酸樹脂の過度な粘度上昇を抑えるには2,4−ジエチルグルタル酸、グルタル酸が好ましい。
付加反応の条件としては特に指定はないが、具体的な反応条件の1つとしては酸無水物、多価アルコールを無触媒、無溶剤の条件下、40〜150℃で反応させ加熱し、反応終了後、そのまま取り出すという手法が挙げられる。ただし、本反応条件に限定されない。
【0055】
次に、多価カルボン酸系硬化剤について説明する。
多価カルボン酸しては、特に下記式(2)で表される化合物が好ましい。
【0056】
【化10】
【0057】
(式(2)中、複数存在するQは、水素原子、メチル基、カルボキシル基の少なくとも1種を表す。Pは分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物由来の炭素数2〜20の鎖状および/または環状の構造を含む脂肪族基である。mは2〜4の整数である。)
【0058】
式(2)で表される化合物の中でも、特に下記式(3)〜(6)で表される、ジカルボン酸化合物が硬化物の透明性、高い耐硫化性の観点から好ましい。
【0059】
【化11】
【0060】
また、多価カルボン酸樹脂としては、特に下記式(8)で表される化合物も好ましい。
【0061】
【化12】
【0062】
(式(8)中、P、mは前記式(2)と同じ意味を表し、Rは水素原子またはエチル基である。)
【0063】
式(8)で表される化合物の中でも、特に下記式(9)〜(12)で表されるジカルボン酸化合物が、硬化物の透明性、高い耐硫化性、低粘度であり作業性に優れるため好ましい。
【0064】
【化13】
【0065】
(式(9)〜(12)中、Rは前記式(8)と同じ意味を表す。)
【0066】
エポキシ樹脂硬化剤(B)の配合量は、全エポキシ基の合計1モルに対して、エポキシ基と反応性を有する官能基(酸無水物系硬化剤の場合には−CO−O−CO−で表される酸無水物基)が0.3〜1.0モルとなる量が好ましく、より好ましくは0.4〜0.8モルとなる量である。エポキシ基と反応性を有する官能基が0.3モル以上であれば、硬化物の耐熱性、透明性がより向上するため望ましく、1.0モル以下であれば硬化物の機械特性がより向上するため、好ましい。ここで、「エポキシ基と反応性を有する官能基」とは、アミン系硬化剤が有するアミノ基、フェノール系硬化剤が有するフェノール性水酸基、酸無水物系硬化剤が有する酸無水物基、多価カルボン酸樹脂や多価カルボン酸系硬化剤が有するカルボキシル基である。
【0067】
次に、エポキシ樹脂硬化促進剤(C)について説明する。
エポキシ樹脂硬化促進剤(C)としては分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)(および併用する場合のエポキシ樹脂)とエポキシ樹脂硬化剤(B)の硬化反応を促進する能力のあるものは何れも使用可能であるが、使用できる硬化促進剤(C)の例としては、アンモニウム塩系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、金属石鹸系硬化促進剤、イミダゾ−ル系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、ホスファイト系硬化促進剤、ルイス酸系硬化促進剤等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においてエポキシ樹脂硬化促進剤(C)の配合比率は、エポキシ樹脂組成物100重量部に対して0.001〜15重量部の硬化促進剤を使用することが好ましい。
【0068】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、使用できるエポキシ樹脂硬化促進剤(C)の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、および、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザ化合物およびそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラブチルアンモニュウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニュウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニュウムブロマイド等のアンモニュウム塩、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、オクチル酸スズ等の金属化合物等、およびこれら硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択される。
【0069】
これらの中でも、硬化物の透明性、耐硫化性の観点から、金属石鹸硬化促進剤が優れ、金属石鹸硬化促進剤の中でもカルボン酸亜鉛化合物が特に好ましい。
金属石鹸系硬化促進剤としては、例えばオクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、オクチル酸カルシウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸銀、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸リチウム、ウンデシレン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等が挙げられる。これら触媒は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
【0070】
透明性、耐硫化性に優れる硬化物を得るために、特にステアリン酸亜鉛、モンタン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等の炭素数10〜30のカルボン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の水酸基を有する炭素数10〜30のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩が好ましく使用できる。これらの中でも特に、ポットライフ、耐硫化性に優れる観点から、ステアリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の炭素数10〜20のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の水酸基を有する炭素数15〜20のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩が好ましく使用でき、さらに好ましくはステアリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛が使用でき、特に好ましくはステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛が使用できる。
【0071】
アンモニウム塩系硬化促進剤としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等が挙げられる。ホスホニウム塩系硬化促進剤としては、例えばエチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、メチルトリブチルホスホニウムジエチルホスフェート等が挙げられる。
【0072】
その他の汎用用途には、上記アンモニウム塩系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、金属石鹸系硬化促進剤の他、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、複素環化合物系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、ホスファイト系硬化促進剤、ルイス酸系硬化促進剤等が使用できる。
【0073】
前記したエポキシ樹脂硬化促進剤(C)は、室温(25℃)において固体の化合物でも液体の化合物でも使用することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物を光半導体封止用途に用いる場合で、室温(25℃)にて固体の化合物を硬化促進剤として使用する場合、予め樹脂に溶解させて使用することもできる。
【0074】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤を使用することで、組成物の粘度調整、硬化物の硬度を補完することが可能である。
使用できるカップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
これらカップリング剤は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
カップリング剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物において通常0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部が必要に応じて含有される。
【0075】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてナノオーダーレベルの無機充填材を使用することで、透明性を阻害せずに機械強度などを補完することが可能である。ナノオーダーレベルとしての目安は、平均粒径が500nm以下、特に平均粒径が200nm以下の充填材を使用することが透明性の観点では好ましい。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中において好ましくは0〜95重量%を占める量が用いられる。
【0076】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、蛍光体を添加することができる。蛍光体は、例えば、青色LED素子から発せられた青色光の一部を吸収し、波長変換された黄色光を発することにより、白色光を形成する作用を有するものである。蛍光体を、硬化性樹脂組成物に予め分散させておいてから、光半導体を封止する。蛍光体としては特に制限がなく、従来公知の蛍光体を使用することができ、例えば、希土類元素のアルミン酸塩、チオ没食子酸塩、オルトケイ酸塩等が例示される。より具体的には、YAG蛍光体、TAG蛍光体、オルトシリケート蛍光体、チオガレート蛍光体、硫化物蛍光体等の蛍光体が挙げられ、YAlO:Ce、YAl12:Ce、YAl:Ce、YS:Eu、Sr(POCl:Eu、(SrEu)O・Alなどが例示される。係る蛍光体の粒径としては、この分野で公知の粒径のものが使用されるが、平均粒径としては、好ましくは1〜250μm、特に2〜50μmが好ましい。これらの蛍光体を使用する場合、その添加量は、その樹脂成分に対して100重量部に対して、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは5〜60重量部である。
【0077】
本発明のエポキシ樹脂組成物に各種蛍光体の硬化時沈降を防止する目的で、シリカ微粉末(アエロジル(商品名)またはアエロゾルとも呼ばれる)をはじめとするチクソトロピック性付与剤を添加することができる。このようなシリカ微粉末としては、例えば、Aerosil(商品名)50、Aerosil 90、Aerosil 130、Aerosil 200、Aerosil 300、Aerosil 380、Aerosil OX50、Aerosil TT600、Aerosil R972、Aerosil R974、Aerosil R202、Aerosil R812、Aerosil R812S、Aerosil R805、RY200、RX200(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
【0078】
本発明のエポキシ樹脂組成物に着色防止目的のため、光安定剤としてのアミン化合物又は、酸化防止剤としてのリン系化合物およびフェノール系化合物を含有することができる。
前記アミン化合物としては、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−トトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−[5.1.11.2]−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダートアミン系化合物、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、特に好ましくは、ヒンダートアミン系化合物である。
【0079】
前記光安定剤であるアミン化合物として、次に示す市販品を使用することができる。
市販されているアミン系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、TINUVIN(商品名)765、TINUVIN 770DF、TINUVIN 144、TINUVIN 123、TINUVIN 622LD、TINUVIN 152、CHIMASSORB(商品名)944、ADEKA製として、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−77Y、LA−81、LA−82、LA−87などが挙げられる。
【0080】
前記リン系化合物としては特に限定されず、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−イソプロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられる。
【0081】
上記リン系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているリン系化合物としては特に限定されず、例えば、ADEKA製として、アデカスタブ(商品名)PEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135Aなどが挙げられる。
【0082】
前記フェノール系化合物としては特に限定はされず、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェノール、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−〔2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−ブチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル等が挙げられる。
【0083】
上記フェノール系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているフェノール系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製としてIRGANOX(商品名)1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1135、IRGANOX245、IRGANOX259、IRGANOX295、IRGANOX3114、IRGANOX1098、IRGANOX1520L、アデカ製としては、アデカスタブ(商品名)AO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−90、アデカスタブAO−330、住友化学工業製として、Sumilizer(商品名)GA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、Sumilizer GPなどが挙げられる。
【0084】
このほか、樹脂の着色防止剤として市販されている添加剤を使用することができる。例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、THINUVIN(商品名)328、THINUVIN 234、THINUVIN 326、THINUVIN 120、THINUVIN 477、THINUVIN 479、CHIMASSORB(商品名)2020FDL、CHIMASSORB 119FLなどが挙げられる。
【0085】
上記リン系化合物、アミン化合物、フェノール系化合物の中から少なくとも1種以上を含有することが好ましく、その配合量としては特に限定されないが、本発明のエポキシ樹脂組成物の全重量に対して、好ましくは0.005〜5.0重量%の範囲である。
【0086】
本発明のエポキシ樹脂組成物は前記各成分を常温もしくは加温下で均一に混合することにより得られる。例えば、押出機、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて均一になるまで充分に混合し、必要によりSUSメッシュ等によりろ過処理を行うことにより調製される。
【0087】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)(必要に応じて他のエポキシ樹脂)、エポキシ樹脂硬化剤(B)、および任意成分として硬化促進剤(C)、酸化防止剤、光安定剤等の添加物を充分に混合することにより調製することができ、封止材として使用できる。混合方法としては、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて常温または加温して混合することができる。
【0088】
このようにして得られた本発明のエポキシ樹脂組成物を光半導体封止用として用い、さらに室温(25℃)にて液状であることが求められる場合、その粘度は100〜20000mPa・sが作業性の観点から好ましく、2000〜12000mPa・sがさらに好ましく、3000〜10000mPa・sが特に好ましい。
【0089】
高輝度白色LED等の光半導体素子は、一般的にサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO等の基板上に積層させたGaAs、GaP、GaAlAs,GaAsP、AlGa、InP、GaN、InN、AlN、InGaN等の半導体チップを、接着剤(ダイボンド材)を用いてリードフレームや放熱板、パッケージに接着させてなる。電流を流すために金ワイヤー等のワイヤーが接続されているタイプもある。その半導体チップを、熱や湿気から守り、かつレンズ機能の役割を果たすためにエポキシ樹脂等の封止材で封止されている。本発明のエポキシ樹脂組成物はこの封止材に用いることができる。
【0090】
封止材の成形方式としては、光半導体素子が固定された基板を挿入した型枠内に封止材を注入した後に加熱硬化を行い成形する注入方式、金型上に封止材をあらかじめ注入し、そこに基板上に固定された光半導体素子を浸漬させて加熱硬化をした後に金型から離形する圧縮成形方式等が用いられている。
注入方法としては、ディスペンサー等が挙げられる。
加熱は、熱風循環式、赤外線、高周波等の方法が使用できる。加熱条件は例えば80〜230℃で1分〜24時間程度が好ましい。加熱硬化の際に発生する内部応力を低減する目的で、例えば80〜120℃、30分〜5時間予備硬化させた後に、120〜180℃、30分〜10時間の条件で後硬化させることができる。
【0091】
このようにして得られた本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物を光半導体封止用として用いる場合、その硬さはデュロメーターAで40〜80が好ましく、45〜75がさらに好ましい。デュロメーターAの値が40より小さいと、タック(べたつき)による製造工程時の作業性低下の懸念があり、80より大きいと例えば冷熱のヒートサイクル時にクラックが入ってしまうなど封止材としての信頼性に劣る懸念がある。
また硬化物のガラス転移点(Tg)は、DMA(Dynamic Mechanical Analysis)を用いた測定で、20〜60℃が好ましく、30〜50℃が特に好ましい。20℃を下回るとタック(べたつき)の懸念があり、60℃より大きいと例えば冷熱のヒートサイクル時にクラックが入ってしまうなど封止材としての信頼性に劣る懸念がある。
【0092】
また硬化物の透過率は、厚さ0.8mmの硬化物板において400nmの透過率は85%以上であることが好ましく、90%以上が特に好ましい。85%を下回ると光半導体素子からの光取り出し効率が低下する懸念がある。
また、硬化物の引っ張り伸び率は、100%以上であることが好ましい。100%を下回ると、LEDパッケージを実装する際のリフロー工程時にクラックが入ってしまう懸念があり封止材としての信頼性に劣る場合がある。
【0093】
本明細書において、比率、パーセント、部などは、特に断りのない限り、重量に基づくものである。本明細書において、「X〜Y」という表現は、XからYまでの範囲を示し、その範囲はX、Yを含む。
【実施例】
【0094】
以下、本発明を合成例、実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら合成例、実施例に限定されるものではない。なお、合成例、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。ここで、部は特に断りのない限り重量部を表す。
【0095】
○重量平均分子量:GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、下記条件下で測定されたポリスチレン換算、重量平均分子量を算出した。
【0096】
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF−G LF−804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0097】
○エポキシ当量:JIS K7236に記載の方法で測定した。
○酸価:JIS K2501に記載の方法で測定した。
○粘度:東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
H−NMR:日本電子株式会社製 JNM−ECS400を用いて、重クロロホルム溶媒で測定した。
【0098】
合成例1;分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン33部、1%ヘキサクロロ白金酸・6水和物のテトラヒドロフラン溶液0.03部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を80℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま1時間反応させた。
得られた反応液に窒素ガスを吹き込みながら、110℃で減圧濃縮し、テトラヒドロフランと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンを除去することで、分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)36部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は190g/eq、粘度は2800mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0099】
合成例2;エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物であって、シクロヘキシルエポキシを有するアルコキシケイ素とシラノール末端シリコーンオイルの縮合物の製造例
ガラス製2000ml四つ口フラスコに、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン394部、シラノール末端ポリジメチルジフェニルシリコーンオイル(重量平均分子量1700、シラノール当量850、フェニル基含有量33wt%のシラノール末端シリコーンオイル)475部、5重量%KOHメタノール溶液4部、イソプロピルアルコール36部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、10時間反応させた。
【0100】
その後、メタノール656部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液173部を60分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
さらにその後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を17.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン780部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物であるエポキシ基含有ポリシロキサン(EP−2)731部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は491g/eq、重量平均分子量は2090、粘度は3328mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0101】
合成例3;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、ビスフェノールAの水素添加物を、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製1000mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、Aがプロピルオキシエチレン基、Aがメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を294部、水素化ビスフェノールAを42部、リカシッド(商品名)MH−T(新日本理化株式会社製、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)を164部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を80〜90℃に保ち、3時間反応させた。その後、内温を100〜110℃に昇温し、4時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−1)489部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は19700mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0102】
合成例4;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、トリシクロデカンジメタノールを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製2000mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、A1がプロピルオキシエチレン基、A2がメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を501部、トリシクロデカンジメタノールを63部、リカシッドMH−Tを286部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を40〜50℃に保ち、4時間反応させた。その後、内温を70〜80℃に昇温し、4時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−2)833部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は8450mPa・s、酸価は111mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0103】
合成例5;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、ジオキサングリコールを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製1000mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、Aがプロピルオキシエチレン基、Aがメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を59部、ジオキサングリコールを7.9部、リカシッドMH−Tを33.2部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を70〜80℃に保ち、4時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−3)98部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は12390mPa・s、酸価は113mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0104】
合成例6;ハイドロシリレーション触媒に、白金固定化触媒であるFibrecat(商標)4003(和光純薬工業社製)を用いて、分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン32.3部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.023部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を80℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま10時間反応させた。反応液のH−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0105】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンを除去することで、分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)36.7部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は184.3g/eq、粘度は5601mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0106】
合成例7;式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が91モル%、ヘキシル基が9%である、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン29.1部、1−ヘキセン2.2部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.047部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を50〜58℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま10時間反応させた。その後、内温を80℃まで上昇させさらに6時間反応させた。反応液のH−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0107】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンと1−ヘキセンを除去することで、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−4)35.9部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は198.6g/eq、粘度は3799mPa・s、外観は無色透明液体であった。また、H−NMR分析の結果、式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が91モル%、ヘキシル基がモル9%であった。
【0108】
合成例8;式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が81モル%、ヘキシル基が19%である、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン29.1部、1−ヘキセン4.3部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.047部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を50〜58℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま37時間反応させた。その後、内温を80℃まで上昇させさらに4時間反応させた。反応液のH−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0109】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンと1−ヘキセンを除去することで、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−5)35.0部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は213.5g/eq、粘度は1423mPa・s、外観は無色透明液体であった。また、H−NMR分析の結果、式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が81モル%、ヘキシル基が19モル%であった。
【0110】
合成例9;式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が76モル%、ヘキシル基が24%である、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン22.5部、1−ヘキセン6.5部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.047部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を50〜58℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま24時間反応させた。反応液のH−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0111】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンと1−ヘキセンを除去することで、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−6)34.7部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は229.9g/eq、粘度は840mPa・s、外観は無色透明液体であった。また、H−NMR分析の結果、式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が76モル%、ヘキシル基が24モル%であった。
【0112】
合成例10;シリコーン変性エポキシ樹脂の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン32.3部、Fibrecat 4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.023部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を80〜85℃に保ち、そこに1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン13.4部を40分間かけて滴下し、そのまま5時間反応させた。反応液のH−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
【0113】
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat 4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンを除去することで、分子内に2つのエポキシ基を有する(EP−7)36.3部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は193.8g/eq、粘度は840mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0114】
合成例11;エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物であって、シクロヘキシルエポキシを有するアルコキシケイ素とシラノール末端シリコーンオイルの縮合物の製造例
2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン111部、分子量1700(GPC測定値)のシラノール基をもつポリジメチルジフェニルシロキサン100部、5%KOHメタノール溶液1部、イソプロピルアルコール8部を反応容器に仕込み、75℃に昇温した。昇温後、還流下にて10時間反応させた。反応後、メタノールを120部追加後、50%蒸留水メタノール溶液48.6部を60分かけて滴下し、還流下さらに10時間反応させた。反応終了後、5%第1水素ナトリウムリン酸水溶液で中和後、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、MIBK174部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することによりエポキシ樹脂(EP−8)174部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は411g/eq、重量平均分子量は3200、粘度は15140mPa・s、外観は無色透明であった。
【0115】
合成例12;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸と無水グルタル酸を使用した多価カルボン酸樹脂の合成例
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、リカビノールHB(新日本理化社製、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)18.2g、無水グルタル酸20.1g、KF−6000(信越化学工業社製、両末端カルビノール変性シリコーンオイル、前記式(7)中Aがプロピルオキシエチレン基、Aがメチル基、pが7.5である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)122.7g、リカシッドMH−T(新日本理化社製、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)39.0g、トルエン200gを仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを130℃加熱しトルエンが還流している状態で8時間反応させた。反応終了後、GPCで反応液を確認したところ、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのピークは消失していた。得られた反応液を減圧下、トルエンを留去することにより、多価カルボン酸樹脂(B−4)195gが得られた。多価カルボン酸樹脂(B−4)の酸価は113.4mgKOH/g、粘度は2780mPa・s、GPC測定によるポリスチレン換算重量平均分子量は1264、外観は無色透明液体であった。
【0116】
合成例13;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、トリシクロデカンジメタノールを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、2,4−ジエチルグルタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、Aがプロピルオキシエチレン基、Aがメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を91.8部、トリシクロデカンジメタノールを45.7部、YH1120(2,4−ジエチルグルタル酸、三菱化学社製)を112.5部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を95〜105℃に保ち、6時間反応させた。その後、内温を115〜120℃に昇温し、7時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−5)248部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は7219mPa・s、酸価は146mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0117】
合成例14;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、2,4−ジエチルグルタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製1000mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、Aがプロピルオキシエチレン基、Aがメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を397.5部、リカビノールHB(新日本理化社製、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)を149部、YH1120(2,4−ジエチルグルタル酸、三菱化学社製)を353.6部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を95〜105℃に保ち、4時間反応させた。その後、内温を115〜120℃に昇温し、18時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−6)895部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は7859mPa・s、酸価は123mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0118】
合成例15;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを、(b);分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、2,4−ジエチルグルタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、Aがプロピルオキシエチレン基、Aがメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を36.8部、PD−9(協和発酵ケミカル社製、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール)を16.0部、YH1120(2,4−ジエチルグルタル酸、三菱化学社製)を47.2部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を115〜120℃に昇温し、8時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−7)98部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は1797mPa・s、酸価は155mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0119】
合成例16;(a)分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物として、前記式(7)で表されるシリコーンオイルと、トリシクロデカンジメタノールを、(b)分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物として、2,4−ジエチルグルタル酸無水物を用いた多価カルボン酸樹脂の製造例
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、X22−160AS(前記式(7)中、Aがプロピルオキシエチレン基、Aがメチル基である信越化学工業株式会社製カルビノール末端シリコーンオイル)を109.9部、トリシクロデカンジメタノールを36.6部、YH1120(2,4−ジエチルグルタル酸、三菱化学社製)を103.5部仕込み、ジムロートコンデンサ、攪拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を95〜105℃に保ち、14時間反応させた。その後、内温を115〜120℃に昇温し、1時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−8)247部を得た。得られた多価カルボン酸樹脂の粘度は3077mPa・s、酸価は136mgKOH/g、外観は無色透明液体であった。
【0120】
実施例1;合成例1で得られた分子内に4のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレートであるERL−4221(ダウケミカル株式会社製)、合成例3で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0121】
実施例2〜3;合成例1で得られた分子内に4のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)、その他のエポキシ樹脂として合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレートであるERL−4221(ダウケミカル株式会社製)、合成例2で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0122】
実施例4;合成例1で得られた分子内に4のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレートであるERL−4221(ダウケミカル株式会社製)、合成例4で得られた多価カルボン酸樹脂(B−2)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0123】
実施例5〜6;合成例1で得られた分子内に4のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−1)、その他のエポキシ樹脂として合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、合成例4で得られた多価カルボン酸樹脂(B−2)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0124】
実施例7;実施例4の多価カルボン酸樹脂を、合成例5で得られた(B−3)に変えた他は実施例1と同様にし、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0125】
実施例8〜9;実施例5〜6の多価カルボン酸樹脂を、合成例5で得られた(B−3)に変えた他は実施例1と同様にし、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0126】
比較例1;合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレートであるERL−4221(ダウケミカル株式会社製)、合成例3で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0127】
比較例2;合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、合成例4で得られた多価カルボン酸樹脂(B−2)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0128】
比較例3;合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、合成例5で得られた多価カルボン酸樹脂(B−3)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0129】
(評価試験)
実施例1〜9、比較例1〜3で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物の配合比とその粘度、硬化物の、硬さ、Tg、透過率、引っ張り伸び率、LED試験としてそのリフロー試験後のクラック、耐硫化性の結果を表1に示す。表1における試験は以下のように行った。
【0130】
(1)粘度
東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
(2)硬さ
JIS K7215に記載の方法でデュロメータA硬さを測定した。
【0131】
(3)Tg(ガラス転移温度)
実施例1〜9、比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。
得られた硬化物を幅5mm長さ25mmに成形し、下記条件にてDMA(Dynamic Mechanical Analysis)を測定し、Tg(ガラス転移温度)を読み取った。
【0132】
<DMA測定条件>
メーカー:セイコーインスツル株式会社
機種:粘弾性スペクトロメータ EXSTAR DMS6100
測定温度:−50℃〜150℃
昇温速度:2℃/min
周波数:10Hz
測定モード:引張振動
DMA法により測定したガラス転移温度(Tg):
DMAを測定した際の、貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E”)の商で表される損失係数(tanδ=E”/E’)の極大点の温度を読み取った。
【0133】
(4)硬化物透過率
実施例1〜9、比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。得られた試験片を下記条件にて400nmの光線透過率を測定した。
【0134】
<分光光計測定条件>
メーカー:株式会社日立ハイテクノロジーズ
機種:U−3300
スリット幅:2.0nm
スキャン速度:120nm/分
【0135】
(5)引っ張り伸び率
実施例1〜9、比較例1〜3で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、50mm×30mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの試験片を得た。得られた試験片を、幅5mm、長さ50mmに加工し、各硬化物について5本ずつの試験片を下記条件にて引っ張り伸び率を測定し、その平均値を算出した。
【0136】
<引っ張り試験測定条件>
メーカー:株式会社エー・アンド・デイ
機種:テンシロン万能材料試験機 RTG−1210
チャック間距離:15mm
試験速度:5.0mm/min
試験片が破断した際のチャック移動距離により伸び率を算出した。
【0137】
(6)耐硫化試験
実施例1〜9、比較例1〜3で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.0mm×1.4mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
封止した表面実装型LEDの照度をあらかじめ測定し、硫黄固体2gを入れた直径9cmのガラス製シャーレと共に170mm×170mm×50mmtのガラス製密閉容器に入れ、80℃恒温槽にて放置した。放置3時間後に再度照度を測定し、試験前照度からの変化率を算出した。
【0138】
なお、LEDの照度は以下のように測定した。
試験に用いる表面実装型LEDパッケージを25℃、65%RH下で積分球(FOIS−1、オーシャンオプト社製)の壁面に設置し、20mAの定電流を流して光測定装置(Wavelength Calibration USB4000シリーズ、オプトシリウス社製)で放射束(W)を測定した。
【0139】
(7)リフロー試験
実施例1〜9、比較例1〜3で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.0mm×1.4mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
得られた表面実装型LEDパッケージを各サンプル3つずつ、150℃のオーブンで24時間乾燥後、30℃、70%RHの恒温恒湿槽に168時間放置した後、熱風循環式リフロー試験装置を1回通過させ、その後の外観観察を行い、封止材硬化物にクラック(ひび割れ)が確認された個数を数えた。
【0140】
<リフロー条件>
メーカー:株式会社タムラ製作所
機種:TNR15−225LH−M
雰囲気:大気中
温度プロファイル:25℃の室温から180℃まで4℃/秒で昇温させ、180〜200℃で120秒保持し、その後260℃まで4℃/秒で昇温させ、260℃で10秒保持した後、室温(25℃)まで放冷した。
【0141】
【表1】
【0142】
表1に示す結果から明らかなように、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用していない、比較例(1)、(3)は耐硫化試験において照度が大きく低下し、比較例(2)、(3)はリフロー試験においてクラックが入った。さらに比較例(1)〜(3)は引っ張り伸び率が小さく、機械強度が劣ることが分かった。
一方で、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用した、実施例(1)〜(9)は適度な粘度、硬さ、Tgであることに加え、硬化物透過率、引っ張り伸び率に優れた。さらに耐硫化試験においても高い照度保持率であり、リフロー試験においてもクラックが入らず、光透明性が求められる分野、特に光半導体封止用樹脂組成物として好適である。
【0143】
実施例10;合成例6で得られた分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)、合成例11で得られた多価カルボン酸樹脂(B−4)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表2に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0144】
実施例11;実施例10のEP−3を、合成例7で得られた分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−4)に変えた他は、実施例10と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0145】
実施例12;実施例10のEP−3を、合成例8で得られた分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−5)に変えた他は、実施例10と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0146】
実施例13;実施例10のEP−3を、合成例9で得られた分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−6)に変えた他は、実施例10と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0147】
(評価試験)
実施例10〜13で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物の配合比とその粘度、硬化物の、硬さ、透過率、引っ張り伸び率、LED試験としてそのリフロー試験後のクラック、長期点灯試験時の照度保持率の結果を表2に示す。表2における試験は以下のように行った。
【0148】
(1)粘度
東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
(2)硬さ
JIS K7215に記載の方法でデュロメータA硬さを測定した。
【0149】
(3)硬化物透過率
実施例10〜13で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。得られた試験片を下記条件にて400nmの光線透過率を測定した。
【0150】
<分光光計測定条件>
メーカー:株式会社日立ハイテクノロジーズ
機種:U−3300
スリット幅:2.0nm
スキャン速度:120nm/分
【0151】
(4)引っ張り伸び率
実施例10〜13で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、50mm×30mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの試験片を得た。得られた試験片を、幅5mm、長さ50mmに加工し、各硬化物について5本ずつの試験片を下記条件にて引っ張り伸び率を測定し、その平均値を算出した。
【0152】
<引っ張り試験測定条件>
メーカー:株式会社エー・アンド・デイ
機種:テンシロン万能材料試験機 RTG−1210
チャック間距離:15mm
試験速度:5.0mm/min
試験片が破断した際のチャック移動距離により伸び率を算出した。
【0153】
(5)リフロー試験
実施例10〜13で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する2.3mm×0.4mm×1.4mmt(封止部0.4mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
【0154】
得られた表面実装型LEDパッケージを各サンプル3つずつ、150℃のオーブンで24時間乾燥後、30℃、70%RHの恒温恒湿槽に168時間放置した後、熱風循環式リフロー試験装置を1回通過させ、その後の外観観察を行い、封止材硬化物にクラック(ひび割れ)が確認された個数を数えた。
【0155】
<リフロー条件>
メーカー:株式会社タムラ製作所
機種:TNR15−225LH−M
雰囲気:大気中
温度プロファイル:25℃の室温から180℃まで4℃/秒で昇温させ、180〜200℃で120秒保持し、その後260℃まで4℃/秒で昇温させ、260℃で10秒保持した後、室温(25℃)まで放冷した。
【0156】
(6)長期点灯試験時の照度保持率
実施例10〜13で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する2.3mm×0.4mm×1.4mmt(封止部0.4mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
得られた表面実装型LEDパッケージを、各2つずつ初期照度を測定し、100℃に保ったオーブン中で、20mAの定電流を流し600時間点灯させた。その後、オーブンから取り出し試験後の照度を測定し、初期照度からの保持率を算出し、その平均を長期点灯試験時の照度保持率とした。
【0157】
なお、LEDの照度は以下のように測定した。
試験に用いる表面実装型LEDパッケージを25℃、65%RH下で積分球(FOIS−1、オーシャンオプト社製)の壁面に設置し、20mAの定電流を流して光測定装置(Wavelength Calibration USB4000シリーズ、オプトシリウス社製)で放射束(W)を測定した。
【0158】
【表2】
【0159】
表2に示す結果から明らかなように、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用した実施例10〜13のエポキシ樹脂組成物は、適度な粘度であり、その硬化物の硬さ、透過率、引っ張り伸び率に優れた。さらにリフロー試験においてもクラックが入らず、長期点灯試験においても高い照度保持率であり、光透明性が求められる分野、特に光半導体封止用樹脂組成物として好適である。特に、式(1)のX中、エポキシ基を含有する有機基が91モル%以上である、EP−3、EP−4を含有する実施例10、11の長期点灯試験は優れた照度保持率であり、長期信頼性に優れる。
【0160】
実施例14;合成例6で得られた分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)、合成例10で得られたシリコーン変性エポキシ樹脂(EP−7)、合成例13で得られた多価カルボン酸樹脂(B−5)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表3に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0161】
実施例15;実施例14の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例14で得られた多価カルボン酸樹脂(B−6)に変えた他は、実施例14と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0162】
実施例16;合成例6で得られた分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)、合成例15で得られた多価カルボン酸樹脂(B−7)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表3に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0163】
実施例17;実施例16の分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(EP−3)を、一部合成例10で得られたシリコーン変性エポキシ樹脂(EP−7)に変えた他は、実施例16と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0164】
実施例18;実施例14の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例16で得られた多価カルボン酸樹脂(B−8)に変えた他は、実施例14と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0165】
比較例4;合成例2で得られたエポキシ樹脂(EP−2)、合成例11で得られたエポキシ樹脂(EP−8)、合成例13で得られた多価カルボン酸樹脂(B−5)、硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を、下記表3に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0166】
比較例5;比較例4の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例14で得られた多価カルボン酸樹脂(B−6)に変えた他は、比較例4と同様に行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0167】
比較例6;比較例4の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例15で得られた多価カルボン酸樹脂(B−7)に変えた他は、比較例4と同様に行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0168】
比較例7;比較例4の多価カルボン酸樹脂(B−5)を、合成例16で得られた多価カルボン酸樹脂(B−8)に変えた他は、比較例4と同様に行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0169】
(評価試験)
実施例14〜18、比較例4〜7で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物の配合比とその粘度、硬化物の透過率、引っ張り伸び率、LED試験としてその耐硫化性、リフロー試験後のクラックの結果を表3に示す。表3における試験は以下のように行った。
【0170】
(1)粘度
東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
(2)硬化物透過率
実施例14〜18、比較例4〜7で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。得られた試験片を下記条件にて400nmの光線透過率を測定した。
【0171】
<分光光計測定条件>
メーカー:株式会社日立ハイテクノロジーズ
機種:U−3300
スリット幅:2.0nm
スキャン速度:120nm/分
【0172】
(3)引っ張り伸び率
実施例14〜18、比較例4〜7で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、50mm×30mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作製したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの試験片を得た。得られた試験片を、幅5mm、長さ50mmに加工し、各硬化物について5本ずつの試験片を下記条件にて引っ張り伸び率を測定し、その平均値を算出した。
【0173】
<引っ張り試験測定条件>
メーカー:株式会社エー・アンド・デイ
機種:テンシロン万能材料試験機 RTG−1210
チャック間距離;15mm
試験速度;5.0mm/min
試験片が破断した際のチャック移動距離により伸び率を算出した。
【0174】
(4)耐硫化試験
実施例14〜18、比較例4〜7で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.0mm×1.4mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
封止した表面実装型LEDの照度をあらかじめ測定し、硫黄固体2gを入れた直径9cmのガラス製シャーレと共に170mm×170mm×50mmtのガラス製密閉容器に入れ、80℃恒温槽にて放置した。放置6時間後に再度照度を測定し、試験前照度からの変化率を算出した。
【0175】
なお、LEDの照度は以下のように測定した。
試験に用いる表面実装型LEDパッケージを25℃、65%RH下で積分球(FOIS−1、オーシャンオプト社製)の壁面に設置し、20mAの定電流を流して光測定装置(Wavelength Calibration USB4000シリーズ、オプトシリウス社製)で放射束(W)を測定した。
【0176】
(5)リフロー試験
実施例14〜18、比較例4〜7で得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.0mm×1.4mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
得られた表面実装型LEDパッケージを各サンプル3つずつ、150℃のオーブンで24時間乾燥後、30℃、70%RHの恒温恒湿槽に168時間放置した後、熱風循環式リフロー試験装置を1回通過させ、その後の外観観察を行い、封止材硬化物にクラック(ひび割れ)が確認された個数を数えた。
【0177】
<リフロー条件>
メーカー:株式会社タムラ製作所
機種:TNR15−225LH−M
雰囲気:大気中
温度プロファイル:25℃の室温から180℃まで4℃/秒で昇温させ、180〜200℃で120秒保持し、その後260℃まで4℃/秒で昇温させ、260℃で10秒保持した後、室温(25℃)まで放冷した。
【0178】
【表3】
【0179】
表3に示す結果から明らかなように、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用していない、比較例(4)〜(7)は耐硫化試験において照度が大きく低下し、また、リフロー試験においてクラックが入った。さらに比較例(4)〜(7)は引っ張り伸び率が小さく、機械強度が劣ることが分かった。
一方で、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)を使用した、実施例(14)〜(18)は引っ張り伸び率に優れた。さらに耐硫化試験においても高い照度保持率であり、リフロー試験においてもクラックが入らず、光透明性が求められる分野、特に光半導体封止用樹脂組成物として好適である。
【0180】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本願は、2013年10月16日付で出願された日本国特許出願(2013−215442)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明の硬化性樹脂組成物は、適度な粘度を有し、またその硬化物は、適度な硬さ、Tgを有し、光硬化物透過率、引っ張り伸び率にも優れることから、光透明性が求められる分野、特に光半導体封止用樹脂組成物として好適に使用することができる。