特許第6456898号(P6456898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456898
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】清掃用ドライシートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/16 20060101AFI20190110BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20190110BHJP
   D04H 1/435 20120101ALI20190110BHJP
   D04H 1/4374 20120101ALI20190110BHJP
【FI】
   A47L13/16 A
   B32B5/26
   D04H1/435
   D04H1/4374
   A47L13/16 C
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-213895(P2016-213895)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-68780(P2018-68780A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2018年4月23日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】新谷 尚己
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−188853(JP,A)
【文献】 特開2007−154359(JP,A)
【文献】 特開2005−074133(JP,A)
【文献】 特開2009−285316(JP,A)
【文献】 特開2003−230519(JP,A)
【文献】 特開2011−117095(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0366294(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0121626(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/16
B32B 5/26
D01H 1/435
D04H 1/4734
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の治具に装着されて使用され、複数層からなる清掃用ドライシートであって、表面層と裏面層とにそれぞれ設けられる繊維層と、これらの前記繊維層に挟まれる中間層に設けられる不織布層と、前記繊維層と前記不織布層とが交絡された交絡部とを備え、
前記交絡部には、前記表面層と前記裏面層とにおいて、低交絡部と、前記低交絡部よりも繊維密度が高く交絡され凹状に形成された高交絡部とが設けられ、
前記高交絡部は、前記表面層と前記裏面層との対応する略同一箇所に設けられており、
前記表面層及び裏面層の繊維は、
ポリエチレンテレフタレート繊維の配合率が80%以上であり、
前記ポリエチレンテレフタレート繊維の繊維径は、3.3dtex以上であり、
前記高交絡部は、前記表面層および前記裏面層の平面視における表面積に対して20−90%の面積率で形成されており、
前記高交絡部と前記低交絡部とは、前記清掃用ドライシートの拭き方向に対して略直角方向に延設され、
前記拭き方向に沿って交互に連続して形成され、
前記表面層側と前記裏面層側とで凹凸の配置が略同一であることを特徴とする清掃用ドライシートを製造する製造方法であって、
前記表面層側と、前記裏面層側との両側から、同一箇所に水流を当てて水流交絡を施すことで、当該水流交絡において水流を当てた箇所の両面に、前記高交絡部を形成することを特徴とする清掃用ドライシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用ドライシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製ネットに繊維を交絡させて繊維シートを形成した清掃用ドライシートが知られている。このような清掃用ドライシートには、表面ないし裏面に凹凸状のパターン形状を施したものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3537775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の清掃用ドライシートでは、凹凸形状を形成する際、清掃用ドライシートを凹凸形状に沿わせた状態でシート全体の繊維が交絡している。すなわち、凹凸形状の凹部と凸部とが表裏において一体となっているため、凸部も繊維の交絡の影響を受けてしまい、凹凸を形成する繊維の密度がシート全体に渡り略一様となっている。言い換えれば、シート全体の捕集性能および捕集特性が略一様であり、ごみやダストなどの被捕集物の重量や大きさによっては捕集性能に差が生じるという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、被捕集物の重量や形状によらず、優れた捕集性能を発揮することができる清掃用ドライシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、所定の治具に装着されて使用され、複数層からなる清掃用ドライシートであって、表面層と裏面層とにそれぞれ設けられる繊維層と、これらの前記繊維層に挟まれる中間層に設けられる不織布層と、前記繊維層と前記不織布層とが交絡された交絡部とを備え、前記交絡部には、前記表面層と前記裏面層とにおいて、低交絡部と、前記低交絡部よりも繊維密度が高く交絡され凹状に形成された高交絡部が設けられ、前記高交絡部は、前記表面層と前記裏面層との対応する略同一箇所に設けられており、前記表面層及び裏面層の繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維の配合率が80%以上であり、前記ポリエチレンテレフタレート繊維の繊維径は、3.3dtex以上であり、前記高交絡部は、前記表面層および前記裏面層の平面視における表面積に対して20−90%の面積率で形成されており、前記高交絡部と前記低交絡部とは、前記清掃用ドライシートの拭き方向に対して略直角方向に延設され、前記拭き方向に沿って交互に連続して形成され、前記表面層側と前記裏面層側とで凹凸の配置が略同一であることを特徴とする清掃用ドライシートを製造する製造方法であって、
前記表面層側と、前記裏面層側との両側から、同一箇所に水流を当てて水流交絡を施すことで、当該水流交絡において水流を当てた箇所の両面に、前記高交絡部を形成することを特徴とする
【0007】
請求項1記載の発明によれば、清掃用ドライシートにおいて、表面層と裏面層とにおいて、交絡部の中で低交絡部よりも繊維密度が高く交絡された高交絡部が設けられており、表面層及び裏面層の繊維を上記のように構成したので、清掃用ドライシートの表面層および裏面層に繊維密度の異なる箇所を有することとなる。
このため、繊維密度の異なる低交絡部と高交絡部のそれぞれの箇所において、捕集性能や捕集特性が異なり、様々な重量や大きさの被捕集物をそれぞれの箇所において好適に捕集することができる。
このため、清掃用ドライシートを嵩高にすることができ、捕集性能をより向上させることができる。
また、高交絡部は、表面層と裏面層との対応する略同一箇所に設けられているので、例えば、異なる箇所に高交絡部を設ける場合、片面側だけ水流交絡することとなるが、実際には反対面側も交絡されてしまい、想定する嵩高が得られないというおそれがない。すなわち、水流が当てられる箇所が両面ともに高交絡部となるので、低交絡部が過剰に交絡されるおそれがない。
また、疎水性繊維層を構成するポリエチレンテレフタレート繊維の繊維径が3.3dtex以上なので、繊維の剛性(クッション性)が向上し、軽い力でも操作できるようになる。また、3.3dtex以上の太い繊維径のポリエチレンテレフタレート繊維により、繊維間空隙が確保され、被捕集物を好適に捕集することができる。
また、高交絡部が表裏面の平面視における表面積に対して20−90%の面積率で形成されているので、繊維密度の異なる箇所の分布や比率を好適なものとすることができる。
また、高交絡部と低交絡部とが清掃用ドライシートの拭き方向に対して略直角方向に延設され、拭き方向に沿って交互に連続して形成されるので、清掃用ドライシートの繊維密度の高い箇所と低い箇所とで交互にごみやダストを捕集することができ、高交絡部と低交絡部とでそれぞれ異なったごみやダストを捕集することができ、複数の高交絡部と低交絡部とで交互にそれぞれ異なったごみやダストを捕集することができ、良好な捕集性能を発揮することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清掃用ドライシートは、被捕集物の重量や形状によらず、優れた捕集性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態における清掃用ドライシートを示す模式斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態における清掃用ドライシートを示す模式断面図である。
図3】本発明に係る実施形態における清掃用ドライシートを示す模式分解斜視図である。
図4】本発明に係る実施形態における清掃用ドライシートのパターニングを示す模式図である。
図5】本発明に係る実施例および比較例の試験方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態である清掃用ドライシートを詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0011】
本発明の実施形態に係る清掃用ドライシートについて、図1から4に基づいて説明する。
【0012】
図2(a)に示すように、清掃用ドライシート1は、不織布層としての内層2と、繊維層としての外層3と、を備えている。
内層2は、後述する外層3に挟まれた中間層であり、不織布により形成されている。また、内層2は、強度保持の観点からスパンボンド不織布が好ましく、具体的には、清掃用ドライシート1の清掃面における拭き方向(CD方向)において15(N/5cm)以上でかつ、CD方向に直角な方向(MD方向)において35(N/5cm)以上であることが好ましい。また、内層2の目付としては、13−20g/mの範囲に設定されるのが好ましい。
なお、内層2としては、パルプ、綿、麻などの天然繊維、および、レーヨン、アセテートなどのセルロース系化学繊維などが適用される。
ここで、清掃用ドライシートの清掃面における拭き方向とは、当該清掃用ドライシートを所定の治具に装着した際、治具本体の長手方向に直交する方向であり、清掃時の移動方向に沿う方向である。
【0013】
図2(b)に示すように、外層3は、清掃用ドライシート1の表面層と裏面層とを形成する層であり、主に疎水性繊維により層形成されている。具体的には、疎水性繊維は、外層3の総重量に対して50−99%の重量比率で含有されている。
外層3は、全面に20kPa未満の微弱な水圧で水を掛けてプレ交絡を施して内層2と一体にされ、その後、水圧20−30kPaの水圧で第1水流交絡が施され、その後、後述するパターニング部31となる箇所に60−80kPaの水圧で第2水流交絡を施すことで、凹凸のパターニングを有する形状が形成されている。
また、水流交絡は、清掃用ウェットシート1の表面層および裏面層の同一箇所に両側から水を当てて行う。すなわち、パターニング部31は、凹凸のパターニングが表面層と裏面層とにおいて、同一箇所に対応して形成されている。
外層3としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどを主成分とする化学繊維が適用される。
なお、ポリエチレンテレフタレート繊維の配合率は80%以上であることが好ましく、その繊維径は、3.3dtex以上であることが好ましい。
繊維径が3.3dtex以上とすることで、繊維の剛性(クッション性)が向上し、軽い力でも操作できるようになる。また、3.3dtex以上の太い繊維径のポリエチレンテレフタレート繊維により、繊維間空隙が確保され、ごみやダストなどの被捕集物を好適に捕集することができる。
【0014】
図2(c)に示すように、外層3は、高交絡部としてのパターニング部31と、低交絡部としての非パターニング部32とを備えている。
パターニング部31は、第1水流交絡により一体となった外層3に第2水流交絡を施すことで、第1水流交絡段階よりも繊維が絡まるようになっている。つまり、パターニング部31は、繊維密度が非パターニング部32よりも高くなっている。このため、パターニング部31は、非パターニング部32よりも凹状に窪んだ形状とされている。すなわち、パターニング部31は、窪みの底である底部311と、後述する非パターニング部32と底部311とを接続する傾斜面である傾斜部312と、を備えている。
【0015】
また、第2水流交絡では、表面層および裏面層の外層3が、対応する同一箇所において、両側から水流交絡される。すなわち、パターニング部31は、外層3の表面層と裏面層とでそれぞれ対応する同一箇所に形成されることとなっている。言い換えれば、表面層または裏面層のいずれかのみが水流交絡等の処理を受ける場合、反対側にも圧力が掛かり、交絡されていないにもかかわらず、圧力で繊維が押し潰されてしまい嵩高さが減少してしまうおそれがない。このため、清掃用ドライシート1の嵩高性が高い状態で確保できるようになっている。
【0016】
パターニング部31は、清掃用ドライシート1が使用される際、拭き方向(CD方向)となる向きに対して直角な方向(MD方向)に沿って延設されている。また、パターニング部31は、所定の間隔に離間して複数列に形成されている。また、これらのパターニング部31は、清掃用ドライシート1の表面ないし裏面の平面視における表面積に対して、20−90%の面積率となるように形成されている。具体的には、CD方向において、1つのパターニング部31の幅寸法と1つの非パターニング部32の幅寸法を単位長さとして面積率を算出している。例えば、パターニング部31の幅寸法が3mmであり、非パターニング部32の幅寸法が12mmの場合は、面積率は20%である。ここで、面積率とは、パターニング部31の平面視における表面積となるパターニング表面Aと、非パターニング部32の平面視における表面積となる非パターニング表面Bとの割合を示しており、面積率は、以下の式により算出されている。
面積率(%)=A/(A+B)×100・・・(式1)
なお、外層3は、パターニングの観点から片面の目付が20−25g/mの範囲が好
ましく、また、2種類以上の化学繊維(合成繊維)を組み合わせることが好ましい。
【0017】
非パターニング部32は、第2水流交絡が施されず、プレ交絡および第1水流交絡による繊維圧縮以外の圧縮を受けていない箇所であり、繊維密度がパターニング部31よりも低くなっている。言い換えれば、繊維自由度が高くなっている。この非パターニング部32は、清掃用ドライシート1の拭き動作の際、主に被清掃面と摺動することとなる。すなわち、清掃用ドライシート1の捕集性に大きく関与する箇所である。
【0018】
以上のように、清掃用ドライシート1は、外層3が繊維密度の高いパターニング部31と、繊維密度の低い非パターニング部32とが交互に配列された捕集面を備えることとなる。また、繊維密度が高い箇所は重量ごみに対する捕集性能が高く、繊維密度が低い箇所は軽量ごみに対する捕集性能が高い。
このため、1枚の清掃用ドライシート1で重量ごみと軽量ごみとの両方のごみの捕集に対応することができる。さらに、本発明では、パターニング部31と非パターニング部32との比率を20−80%の範囲とすることで、重量ごみの捕集性能と軽量ごみの捕集性能とのバランスを好適なものとしている。
【0019】
本実施形態によれば、清掃用ドライシート1において、表面層と裏面層とにおいて、他の箇所よりも繊維密度が高いパターニング部31が設けられているので、清掃用ドライシート1の表面層ないし裏面層が繊維密度の異なる箇所を有することとなる。
このため、繊維密度の異なるそれぞれの箇所において、捕集性能や捕集特性が異なり、様々な重量や大きさの被捕集物をそれぞれの箇所において好適に捕集することができる。
また、パターニング部31は、表面層と裏面層との対応する箇所に設けられているので、例えば、異なる箇所にパターニング部31を設ける場合、片面側だけ水流交絡することとなるが、実際には反対面側も交絡されてしまい、想定する嵩高が得られないというおそれがない。すなわち、水流が当てられる箇所が両面ともにパターニング部31となるので、非パターニング部32が過剰に交絡されるおそれがない。
このため、清掃用ドライシート1を嵩高にすることができ、捕集性能をより向上させることができる。
【0020】
また、本実施形態によれば、パターニング部31が表裏面に対して平面視において20−90%の面積率で形成されているので、繊維密度の異なる箇所の分布や比率を好適なものとすることができ、多様なごみに対して良好な捕集性能を発揮することができる。
【0021】
また、本実施形態によれば、拭き方向に対して垂直な方向にパターニング部31が延設されているので、清掃用ドライシート1のパターニング部31と非パターニング部32とで交互にごみやダストを捕集することができ、パターニング部31と非パターニング32とでそれぞれ異なったごみやダストを捕集することができ、良好な捕集性能を発揮することができる。
【0022】
また、本実施形態では、内層2にスパンボンド不織布を用いるので、従来のような樹脂製ネットを使用する場合のような清掃時に被清掃面を樹脂製ネットが傷つけてしまうようなおそれがない。
【0023】
本実施形態によれば、非パターニング部32とパターニング部31とをそれぞれプレ交絡とパターニング交絡により形成するので、いずれも水流交絡により形成することができ、簡易な方法により清掃用ドライシート1を製造することができる。
また、例えば、ヒートロールなどによりパターニング部31を形成するような場合、非パターニング部32もロールから圧力を受けるため、非パターニング部32までもが繊維が潰されることとなり、繊維密度の差異が小さくなってしまい捕集性能の多様性を確保できなくなってしまう。しかしながら、本実施形態では、パターニング交絡によりパターニング部31のみが高水圧を受けるため、そのようなおそれがない。
【0024】
なお、本発明は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、具体的な構造について適宜変更可能であるのは勿論である。
【実施例】
【0025】
〔実施例1〕
実施例1の清掃用ドライシート1は、外層3にはポリエチレンテレフタレートを主成分とする繊維ウェブを用い、内層2にはスパンボンド不織布を用いた。
また、疎水性繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどを主成分とする化学繊維が適用される。
具体的には、外層3は、疎水性繊維が100%で構成されており、疎水性繊維としてポリエチレンテレフタレートが90%含有され、バインダー繊維としてポリプロピレンとポリエチレンの芯鞘繊維が10%含有されている。また、ポリエチレンテレフタレート繊維は、繊度が3.3dtex、バインダー繊維は、繊度1.7dtexのものを用いた。
また、外層3に形成されたパターニング部31の幅寸法が、CD方向において3mmに形成されており、非パターニング部32の幅寸法がCD方向において12mmに形成されている。すなわち、パターニング部31が外層3の平面視における表面積に占める面積率が20%となっている。
【0026】
〔実施例2〕
実施例2の清掃用ドライシート1は、外層3に形成されたパターニング部31のパターニング部31の幅寸法が、CD方向において6mmに形成されており、非パターニング部32の幅寸法がCD方向において6mmに形成されている。すなわち、パターニング部31が外層3の平面視における表面積に占める面積率が50%となっている。
【0027】
〔実施例3〕
実施例3の清掃用ドライシート1は、外層3に形成されたパターニング部31のパターニング部31の幅寸法が、CD方向において12mmに形成されており、非パターニング部32の幅寸法がCD方向において3mmに形成されている。すなわち、パターニング部31が外層3の平面視における表面積に占める面積率が80%となっている。
【0028】
〔実施例4〕
実施例4の清掃用ドライシート1は、外層3に形成されたパターニング部31のパターニング部31の幅寸法が、CD方向において13mmに形成されており、非パターニング部32の幅寸法がCD方向において2mmに形成されている。すなわち、パターニング部31が外層3の平面視における表面積に占める面積率が87%となっている。
【0029】
〔比較例1〕
比較例1の清掃用ドライシート1は、外層3に形成されたパターニング部31のパターニング部31の幅寸法が、CD方向において15mmに形成されており、非パターニング部32の幅寸法がCD方向において0mmに形成されている。すなわち、パターニング部31(厳密には、この場合はパターニング部31ではなくパターニング交絡が施された施行部)が外層3の平面視における表面積に占める面積率が100%となっている。
【0030】
〔比較例2〕
比較例2の清掃用ドライシート1は、外層3に形成されたパターニング部31の幅寸法が、CD方向において0mmに形成されており、非パターニング部32の幅寸法がCD方向において15mmに形成されている。すなわち、パターニング部31が外層3の平面視における表面積に占める面積率が0%となっている。
【0031】
〔比較例3〕
比較例3の清掃用ドライシート1は、外層3に形成されたパターニング部31の幅寸法が、CD方向において2mmに形成されており、非パターニング部32の幅寸法がCD方向において14mmに形成されている。すなわち、パターニング部31が外層3の平面視における表面積に占める面積率が13%となっている。
【0032】
〔比較例4〕
比較例4の清掃用ドライシート1は、外層3を実施例と同様の繊維を用いて配合比率を変更して評価した。
すなわち、PET3.3 dtex70%、バインダー繊維1.7dtex 30%とする外層3に、実施例2
と同じように、パターニング部の幅寸法6mm、非パターニング部の幅寸法6mm(パターニング率50%)とした。
【0033】
以上の実施例1−4および比較例1−4の清掃用ドライシート1を用いたフロアワイピング試験を行った。
試験方法は、図示しない清掃用ドライシート1の取付用治具に清掃用ドライシート1を取り付けてアクリル板で形成した床面を摺動させて拭くこととした。
また、取付治具は、取っ手となる棒状部材の先端に平板部材が略全方向に回動可能に取り付けられており、この平板部材に清掃用ドライシート1を取り付けるようになっている。
また、平板部材には、450gの錘を取り付けて清掃用ドライシート1と床面との押圧力が一定になるようにした。
【0034】
捕集性の試験としては、アクリル板で形成した床面を拭き取り面として、ここに配置した各種捕集物をどの程度捕集することができたかを調べた。
拭き動作としては、清掃用ドライシート1を幅50cmの拭き取り面に対し、中央から右へ25cm、左へ50cm、再び右に25cm移動させて、拭き取り面を1往復するものとした。
捕集物としては、砂塵、重量ごみとしてのごま、軽量ごみとしての毛髪の3種類について試験を行った。
【0035】
具体的には、図5(a)(b)に示すように、毛髪Hは、拭き方向に沿って3本並べ、拭き方向に直角に2本並べたものを拭いた。ごまSは、拭き方向に直角に3粒、4粒、3粒の順に3列に並べたものを拭いた。
ダストは、JIS Z 8901試験用粉体1 No.7(関東ローム層)を200メッシュのふるいに掛けたものを0.2g採取し、床面に設けた5cm×15cmの枠内に配置し、拭き取れた砂塵の量を目視確認し、○×の評価を行った。
【0036】
また、実施例1−4および比較例1−4の清掃用ドライシート1を製造する際、製造された清掃用ドライシート1をロールによって巻き取る工程がある。そこで、この工程において、ロールに巻き取られた清掃用ドライシート1の非パターニング部32の繊維が押し潰されて繊維密度が高くなっていないかどうか目視により確認した。
以上、これらの試験評価の結果を表1に示した。
【表1】
【0037】
表1の結果より、実施例1−4は、重量ごみのごまSが10粒中4,5粒捕集でき、軽量ごみの毛髪Hが5本中4,5本(実施例4を除く)捕集できた。また、ダストに関してもいずれのものも良好に捕集できることが確認できた。すなわち、実施例1−4は、良好な捕集性を発揮することができ、特に実施例1−3は、より一層優れた捕集性を発揮することがわかった。
また、パターニング率が100%の比較例1では、ごまSが10粒中5,6粒捕集でき、実施例1−3と同等以上であったが、毛髪Hについては5本中0,1本とほとんど捕集性能を発揮できないことがわかった。
【0038】
また、パターニング率が0%である比較例2,3は、ごまSが10粒中1粒とほとんど捕集性能を発揮できなかったが、毛髪Hについては、5本中5本と良好な捕集性能を発揮した。さらに、比較例2では、ダストの捕集性が悪く、比較例3では、ダストの捕集性が良好であった。
また、3.3dtexPET繊維の配合が実施例より20%低く、パターニング率が50%である比較例4は、ごまSが10粒中1粒とほとんど捕集性能を発揮できず、毛髪Hも5本中1本となり、捕集性能は低かった。さらに、比較例4は、ダストの捕集性も悪かった。
【0039】
以上より、パターニング率が87%より大きい場合は、重量ごみに対して良好な捕集性能を発揮するが、軽量ごみに対しては捕集性能を発揮できないことがわかった。
また、パターニング率が20%よりも小さい場合は、軽量ごみに対して良好な捕集性能を発揮するが、重量ごみに対しては捕集性能を発揮できないことがわかった。
さらに、パターニング率が20−80%である場合は、重量ごみおよび軽量ごみともに良好な捕集性能を発揮できることがわかった。
【符号の説明】
【0040】
1 清掃用ドライシート
2 内層(不織布層)
3 外層(繊維層)
31 パターニング部(高交絡部)
32 非パターニング部(低交絡部)
311 底部
312 傾斜部
A パターニング表面
B 非パターニング表面
H 毛髪
S ごま
図1
図2
図3
図4
図5