特許第6456904号(P6456904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456904
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】ガス浮上ワーク支持装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 49/06 20060101AFI20190110BHJP
   B65G 51/03 20060101ALI20190110BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20190110BHJP
   F16C 32/06 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   B65G49/06 Z
   B65G51/03 E
   H01L21/68 A
   F16C32/06 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-237359(P2016-237359)
(22)【出願日】2016年12月7日
(62)【分割の表示】特願2015-39050(P2015-39050)の分割
【原出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2017-89894(P2017-89894A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2016年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】谷川 貞夫
【審査官】 星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−076170(JP,A)
【文献】 特開2007−051001(JP,A)
【文献】 特開2006−266351(JP,A)
【文献】 特開2008−310249(JP,A)
【文献】 特開平09−082784(JP,A)
【文献】 特開2004−325217(JP,A)
【文献】 特開平04−102347(JP,A)
【文献】 特表2005−528586(JP,A)
【文献】 特開2004−279335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/00−49/08
B65G 51/03
H01L 21/67−21/683
F16C 32/00−32/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光が照射されるワークを搬送するためのガス浮上ワーク支持装置であって、
取り付けベースと、
前記取り付けベース上に配置された、第1のガス上方噴出部および第2のガス上方噴出部と、
前記取り付けベース上に配置され、前記第1のガス上方噴出部および前記第2のガス上方噴出部の間に位置する第3のガス上方噴出部と、
前記第3のガス上方噴出部の鉛直上方に配置された、第1のガス下方噴出部および第2のガス下方噴出部を含み、
前記第1および第2のガス下方噴出部は対向するように配置され、
前記第1および第2のガス下方噴出部の間を通して前記レーザ光が前記ワークに照射可能であり、
前記レーザ光の照射領域と前記第3のガス上方噴出部は平面視において重なり、
前記ワークは、前記第1〜第3のガス上方噴出部上において、前記第1〜第3のガス上方噴出部から噴出される上方ガスによって浮上し、
前記ワークは、前記第3のガス上方噴出部上において、前記第1および第2のガス下方噴出部から噴出される下方ガスによって下方に圧力を受け、
前記ワークは、前記第3のガス上方噴出部上において、前記上方ガスおよび前記下方ガスによって支持されるガス浮上ワーク支持装置。
【請求項2】
前記第1および第2のガス上方噴出部の鉛直上方には、他のガス下方噴出部が存在しない請求項1記載のガス浮上ワーク支持装置。
【請求項3】
前記第1および第2のガス下方噴出部と前記第3のガス上方噴出部は平面視において重なる位置に配置されている請求項1または2に記載のガス浮上ワーク支持装置。
【請求項4】
前記ワークは、前記第3のガス上方噴出部上において、前記第1および第2のガス上方噴出部上においてよりも高精度に浮上量を制御可能である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス浮上ワーク支持装置。
【請求項5】
前記第1〜第3のガス上方噴出部は前記上方ガスが噴出される多孔質体を有し、
前記第1および第2のガス下方噴出部は前記下方ガスが噴出される多孔質体を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス浮上ワーク支持装置。
【請求項6】
前記ワークはガラス基板である請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス浮上ワーク支持装置。
【請求項7】
前記第1および第2のガス下方噴出部と前記ワークの距離を調整可能な位置調整部を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス浮上ワーク支持装置。
【請求項8】
前記上方ガスおよび前記下方ガスの流量を調整可能なガス流調整部を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のガス浮上ワーク支持装置。
【請求項9】
前記ワークの高さ位置を検知する検知部を有し、前記検知部の検知結果に基づいて前記上方ガスまたは前記下方ガスの流量を制御する請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス浮上ワーク支持装置。
【請求項10】
前記取り付けベース上に配置された、第1の台座および第2の台座と、
前記取り付けベース上に配置され、前記第1の台座および前記第2の台座の間に位置する第3の台座を有し、
前記第1〜第3のガス上方噴出部は、それぞれ前記第1〜第3の台座上に配置されている請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス浮上ワーク支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガラス基板などの板状ワークをガスの噴射によって非接触で浮上させるガス浮上ワーク支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板などの板状ワークをガス噴射で浮上させる装置は、これまでにいくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1では、図7(A)に示すように、ベース上に正圧を発生する多孔質ブロック51と負圧を発生させる吸引ブロック52とをそれぞれ設けた浮上吸引混合部50が提案されている。多孔質ブロック51では、エアを供給して、多孔質体の上面からエアを噴出させてガラス基板からなる板状ワーク100を非接触状態で保持する。それと同時に、吸引ブロック52で吸引力を作用させて、ガラス基板100を浮上吸引混合部50の上面側に引き寄せている。この吸引力と、前述した浮上力との調和により、ガラス基板100は、浮上吸引混合部50の上面に対し、略一定した浮上量で浮上し、安定した浮上状態が得られるものとしている。
【0003】
また、特許文献2では、図8(A)に示すように、浮上ユニット60の上方で浮上された板状ワーク100は、図示しない搬送装置でチャックして矢印方向に搬送される。この浮上ユニット60では、多孔質板61の全面から空気が噴出して、多孔質板61の全面がエアベアリング面となるため、板状ワーク100に反りを発生させずに浮上させて、多孔質板61と非接触で搬送することが可能となる。また、吸引孔62では板状ワーク100を吸引する力を発生させる。この吸引力は、多孔質板61から噴出した空気によって浮上した板状ワーク100の浮上量を規制するものである。従って、この吸引力を制御することによって、板状ワーク100の浮上量を制御することが可能になるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−266351号公報
【特許文献2】特開2008−110852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で示される装置では、正圧を発生するエリアと負圧を発生するエリアが別のブロックになっているので、正圧エリアでは浮上力、負圧エリアでは吸引力が単独に発生する。このため、正圧発生ブロック上と負圧発生ブロック上の基板の浮上量を比べた場合、ある程度浮上量の差が発生し、実際には図7(B)に示すようにガラス基板全体で見ると平面度が低くなる。これにより、この装置では、基板の全面もしくは基板の一部分に対して加工を行うプロセスにおいて、基板の全面もしくは基板の一部分の平面度が高い必要がある場合に、その条件を満足できない問題がある。
【0006】
また、特許文献2で示される装置では、正圧発生エリア(多孔質板)上と負圧発生エリア(吸引孔)上で内部構造的に浮上量に差がでないような工夫がなされているが、実際のところ、大型のガラス基板が複数の浮上ユニット上にまたがって浮上している際には、浮上ユニットの並べ方によっては、図8(B)に示すようにガラス基板の中央部でエアが抜けにくくなる。これにより、多孔質板から発生した正圧によりエア溜りが発生し、基板中央部が盛り上がり、ガラス基板全体の平面度が低くなるという現象が発生する。これを解消するためには、吸引孔をガラス基板の中央部に多く配置する方法が挙げられるが、ガラスは搬送されるため、中央部が一定ではないこと、また、ガラスサイズにより、最適な吸引孔のレイアウトが変わってしまうことが問題となる。
【0007】
この発明は上記のような従来のものの課題を解決するためになされたもので、ガラス基板などの板状ワーク全面の浮上量を均一にして、板状ワークの平面度を高くすることができるガス浮上ワーク支持装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の一形態のガス浮上ワーク支持装置は、レーザ光が照射されるワークを搬送するためのガス浮上ワーク支持装置であって、取り付けベースと、前記取り付けベース上に配置された、第1のガス上方噴出部および第2のガス上方噴出部と、前記取り付けベース上に配置され、前記第1のガス上方噴出部および前記第2のガス上方噴出部の間に位置する第3のガス上方噴出部と、前記第3のガス上方噴出部の鉛直上方に配置された、第1のガス下方噴出部および第2のガス下方噴出部を含み、
前記第1および第2のガス下方噴出部は対向するように配置され、前記第1および第2のガス下方噴出部の間を通して前記レーザ光が前記ワークに照射可能であり、前記レーザ光の照射領域と前記第3のガス上方噴出部は平面視において重なり、前記ワークは、前記第1〜第3のガス上方噴出部上において、前記第1〜第3のガス上方噴出部から噴出される上方ガスによって浮上し、前記ワークは、前記第3のガス上方噴出部上において、前記第1および第2のガス下方噴出部から噴出される下方ガスによって下方に圧力を受け、前記ワークは、前記第3のガス上方噴出部上において、前記上方ガスおよび前記下方ガスによって支持されることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記本発明において、前記第1および第2のガス上方噴出部の鉛直上方には、他のガス下方噴出部が存在しないことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記本発明のいずれかにおいて、前記第1および第2のガス下方噴出部と前記第3のガス上方噴出部は平面視において重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記本発明のいずれかにおいて、前記ワークは、前記第3のガス上方噴出部上において、前記第1および第2のガス上方噴出部上においてよりも高精度に浮上量を制御可能であることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記本発明のいずれかにおいて、前記第1〜第3のガス上方噴出部は前記上方ガスが噴出される多孔質体を有し、前記第1および第2のガス下方噴出部は前記下方ガスが噴出される多孔質体を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記本発明のいずれかにおいて、前記ワークはガラス基板であることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記本発明のいずれかにおいて、前記第1および第2のガス下方噴出部と前記ワークの距離を調整可能な位置調整部を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記本発明のいずれかにおいて、前記上方ガスおよび前記下方ガスの流量を調整可能なガス流調整部を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記本発明のいずれかにおいて、前記ワークの高さ位置を検知する検知部を有し、前記検知部の検知結果に基づいて前記上方ガスまたは前記下方ガスの流量を制御することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記本発明のいずれかにおいて、前記取り付けベース上に配置された、第1の台座および第2の台座と、前記取り付けベース上に配置され、前記第1の台座および前記第2の台座の間に位置する第3の台座を有し、前記第1〜第3のガス上方噴出部は、それぞれ前記第1〜第3の台座上に配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、ガスを上方に噴出するガス上方噴出部と、前記ガス上方噴出部の上方側に位置してガスを下方に噴出するガス下方噴出部とを有し、
前記ガス下方噴出部は、前記ガス上方噴出部から噴出される前記ガスで浮上支持される板状ワークに対し、前記板状ワークの上方から前記ガスを下方に噴射して圧力を加える位置に設置されていることを特徴とする。
【0019】
上記形態によれば、上方からのガス噴出と、下方からのガス噴出とによって板状ワークが挟み込まれ、板状ワークを安定して非接触で支持することができ、板状ワークの平面度を高めることができる。
【0020】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記ガス下方噴出部の一部または全部が、前記ガス上方噴出部が設置された領域の全部または一部に合わせて設置されていることを特徴とする。
【0021】
上記形態によれば、ガス上方噴出部に合わせてガス下方噴出部を配置でき、またはガス下方噴出部に合わせてガス上方噴出部を配置でき、所望のエリアでガスによる板状ワークの挟む込みを良好に行って、板状ワークの平面度を上げることができる。
【0022】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記板状ワークに対する加工エリアを除外して前記ガス下方噴出部が設置されていることを特徴とする。
【0023】
上記形態によれば、加工エリア以外にガス下方噴出部を配置することで、所定の加工を円滑に行うことができる。
また、板状ワークの加工方法(プロセス)によってワークの浮上量、浮上剛性を調節することができる。
【0024】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記板状ワークに対する加工エリアを挟んで、前記ガス上方噴出部が設置された領域の一部に合わせて前記ガス下方噴出部が設置されていることを特徴とする。
【0025】
上記形態によれば、加工エリアにある板状ワークを両側からガスで挟み込むことで加工エリアでの板状ワークの平面度を高め、精密な加工を可能にする。
板状ワークの一部分に対して加工を行うプロセスにおいては、全面だけでなく、加工点付近を本発明の構造とすることで、板状ワークの一部分に対して、均一な浮上量を得られる構造とすることができる。このときの浮上量と浮上剛性は、ガス下方噴出部からの加圧気体の流量や圧力及びガス上方噴出部からの加圧気体の流量や圧力を調節することで任意に設定できる。また、板状ワークに対して上下方向から圧力が加わるので、加工エリア付近で特に板状ワークを平坦に矯正する力が発生する。
【0026】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記ガス上方噴出部に設けられた複数のガス上方噴出穴と、前記ガス下方噴出部に設けられた複数のガス下方噴出穴の一方または両方に対し、一部または全部で吹き出し位置の調整する位置調整部を有することを特徴とする。
【0027】
上記形態によれば、位置調整部による吹き出し位置の調整によって板状ワークに加わる圧力の調整や浮上位置を変更することができる。
【0028】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記位置調整部は、位置調整可能な噴出穴を個別に、または所定の個数毎に位置調整可能であることを特徴とする。
【0029】
上記形態によれば、一部の噴出穴に対する調整により板状ワークの反りや曲がりを精密に修正することができる。
【0030】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記ガス上方噴出部に設けられた複数のガス上方噴出穴と、前記ガス下方噴出部に設けられた複数のガス下方噴出穴の一部または全部に対し、ガスの吹き出し流量および/または圧力を調整するガス流調整部を有することを特徴とする。
【0031】
上記形態によれば、ガス流調整部による吹き出し流量およびまたは圧力の調整によって板状ワークに加わる圧力の調整や浮上位置を変更することができる。
【0032】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記ガス流調整部は、ガス流調整可能な噴出穴を個別に、または所定の個数毎にガスの吹き出し流量および/または圧力を調整可能であることを特徴とする。
【0033】
上記形態によれば、一部の噴出穴に対する調整により板状ワークの反りや曲がりを精密に修正することができる。
【0034】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記板状ワークの浮上支持に際し前記位置調整部の調整量を制御する制御部を有することを特徴とする。
【0035】
上記形態によれば、制御部の動作によって位置調整部の調整を動的に行うことができる。
【0036】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記板状ワークの浮上支持に際し前記ガス流調整部の調整量を制御する制御部を有することを特徴とする。
【0037】
上記形態によれば、制御部の動作によってガス流調整部の調整を動的に行うことができる。
【0038】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記板状ワークの高さ位置を検知する検知部を有し、前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記調整量を制御することを特徴とする。
【0039】
上記形態によれば、板状ワークの状態に従って、位置調整部やガス流調整部を制御して、安定支持と高い平面度を得ることができる。
【0040】
他の形態のガス浮上ワーク支持装置は、前記形態において、前記ガス下方噴出部に設けられた複数の下方噴出穴は、前記ガス上方噴出部に設けられた複数の上方噴出穴に対し、互いの吹き出し方向で一部または全部が重なっていることを特徴とする。
【0041】
上記形態によれば、下方噴出穴の位置を情報噴出穴の位置に吹き出し方向で重なるようにしたことで、上下の圧力で板状ワークの挟む込みが良好に行われる。
【0042】
他の形態の非接触ワーク支持方法は、板状ワークの上方と下方からそれぞれ前記板状ワークに向けてガスを噴出し、前記板状ワークを前記ガスで挟み込みつつ非接触で浮上支持することを特徴とする。
【0043】
他の形態の非接触ワーク支持方法は、前記形態において、前記板状ワークに対するガスの噴出位置のギャップ量と、前記ガスの流量の一方または両方を調整することで、前記板状ワークの反りおよび曲がりを矯正して平坦化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
すなわち、本発明によれば、板状ワークの任意の面(全面または一部分)に対して上下方向からガスを噴出することで浮上させるため、板状ワークの任意の面に均等な力が加わり、板状ワークの任意の面全面において同等の浮上量が得られ、更に、この力により、板状ワークの任意の面の反りや曲りを矯正し、平坦にする効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態のガス浮上ワーク支持装置を示す図である。
図2】同じく、ガス上方噴射部と板状ワーク下面の距離と、ガス上方噴射部のガス噴射による単位体積当たりの力および単位面積当たりの板状ワークの荷重との関係を示すグラフである。
図3】同じく、ガス下方噴射部と板状ワーク上面の距離と、ガス下方噴射部のガス噴射による単位体積当たりの力との関係を示すグラフである。
図4】同じく、ガス上方噴射部と板状ワーク下面の距離と、ガス上方噴射部のガス噴射による単位面積当たりの力とガス下方噴射部のガス噴射による単位面積当たりの力との関係を示すグラフである。
図5】本発明の実施形態2のガス浮上ワーク支持装置を示す図である。
図6】本発明の実施形態3のガス浮上ワーク支持装置を示す図(図A)および浮上ユニット2Eの部分拡大図(図B)である。
図7】特許文献1における浮上装置を示す(A)図および該浮上装置の課題を示す(B)図である。
図8】特許文献2における浮上装置を示す(A)図および該浮上装置の課題を示す(B)図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(実施形態1)
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
ガス浮上ワーク支持装置1は、上部側の浮上ユニット2Aと、下部側の浮上ユニット2Bとが上下に間隔を置いて向かい合わせに設置されている。
【0047】
浮上ユニット2Aは、下面に多数の穴が開口した多孔質体からなるガス下方噴出部3Aと、その上方に位置する台座4Aとを有しており、台座4Aは、その上方に位置するユニット取り付けベース5Aに取り付けられている。ガス下方噴出部3Aの各穴が本発明のガス下方噴出穴に相当する。
浮上ユニット2Bは、上面に多数の穴が開口した多孔質体からなるガス上方噴出部3Bとその下方に位置する台座4Bとを有しており、台座4Bは、その下方に位置するユニット取り付けベース5Bに取り付けられている。ガス上方噴出部3Bの各穴が本発明のガス上方噴出穴に相当する。
【0048】
ユニット取り付けベース5A、5Bを上下方向に配置することで、浮上ユニット2A、2Bそれぞれの噴出部の表面が向かい合うような構成とする。これにより、ガス下方噴出穴は、ガス上方噴出穴と吹き出し方向で重なっている。
【0049】
なお、ユニット取り付けベース5Aは、Z軸ステージに沿って移動可能な高さ調整機構6に取り付けられており、高さ位置の調整が可能になっている。高さ調整機構6の調整によってガス下方噴出部3Aの高さ位置、すなわち吹き出し位置が変更される。高さ調整機構6は、本発明の位置調整部に相当する。この操作により、浮上ユニット2A、2B間のギャップLを調整することができる。
【0050】
台座4Aでは、ガス下方噴出部3Aに連通する給気管7Aが接続されており、給気管7Aは、流量制御弁8Aを介して図示しない加圧気体供給部に接続されている。流量制御弁8Aは、給気管7Aを通してガス下方噴出部3Aに供給されるガスの流量および圧力を調整することができる。すなわち、流量制御弁8Aは、本発明のガス流調整部に相当する。
また、台座4Bでは、ガス上方噴出部3Bに連通する給気管7Bが接続されており、給気管7Bは、流量制御弁8Bを介して図示しない加圧気体供給部に接続されている。流量制御弁8Bは、給気管7Bを通してガス上方噴出部3Bに供給されるガスの流量および圧力を調整することができる。すなわち、流量制御弁8Bは、本発明のガス流調整部に相当する。
【0051】
なお、給気管7A、7Bからガスの供給を受けるガス下方噴出部3A、ガス上方噴出部3Bでは、全面のガス下方噴出穴、ガス上方噴出穴から加圧気体を噴出するように流路が切られている。ガス下方噴出部3A、ガス上方噴出部3Bは、全面から均等に加圧気体を噴出する必要があるため、多孔質体が望ましいが、同等の性能を持つ噴出部であればその限りではない。
【0052】
また、ガス浮上ワーク支持装置1では、高さ調整機構6、流量制御弁8A、8Bを制御する制御部9を有している。制御部9は、CPUとこれを動作させるプログラム、不揮発メモリー、RAMなどの記憶部によって構成されている。制御部9は、初期設定によって高さ調整機構6、流量制御弁8A、8Bを調整してもよく、また、非接触支持中にこれらを動的に調整する制御を行ってもよい。さらに、図示しない高さ検知部による、非接触支持する板状ワーク100に対する検知結果に基づいて、高さ調整機構6、流量制御弁8A、8Bを調整する制御を行ってもよい。
【0053】
上下の浮上ユニット2A、2Bの間に板状ワーク100を設置する。本実施形態では板状ワークはガラス基板として記述する。なお、本実施形態1での板状ワーク100のサイズは、浮上ユニット2A、2Bのガス上方噴出部3B上面の範囲内に収まるサイズである。
ここで、上下の浮上ユニット2A、2Bへ給気管7A、7Bを通して加圧気体を供給する。この実施形態1では、加圧気体は、空気、クリーンドライエアー、Nなどの気体を用いることができる。本発明としては、特に気体の種類は限定されない。
【0054】
上下の浮上ユニット2A、2Bに供給される加圧気体は、それぞれ流量制御弁8A、8Bにて圧力・流量を制御することができる。上下の浮上ユニット2A、2Bに加圧気体を供給すると、流量制御弁8A、8Bにより圧力・流量が調整され、ガス下方噴出部3A、ガス上方噴出部3Bより任意の圧力・流量の加圧気体が噴出する。上の浮上ユニット2Aのガス下方噴出部3Aから噴出した加圧気体は、板状ワーク100の上面に噴き付けられる。下の浮上ユニット2Bのガス上方噴出部3Bから噴出した加圧気体は、板状ワーク100の下面に噴き付けられる。この板状ワーク100の上面と下面に噴き付けられた加圧気体の噴き付け力がバランスして板状ワーク100は全面において均一に浮上する。
【0055】
以下に加圧気体の噴き付け力と浮上量の関係について説明する。
図2は、図1の浮上ユニット2Aに、任意の印加圧力Pu[kPa]を加えた場合、浮上ユニット2Aと板状ワーク100であるガラス基板間のギャップLuと、浮上ユニット2Aのガス下方噴射部3Aから噴き付ける加圧気体がガラス基板の上面に与える単位面積当りの力Fu[gf/cm]との関係を表したものである。なお、グラフの傾きや切片、また流量Qu[L/min]は、多孔質体の種類(気孔径や気孔率)により変わる。またガラス基板の単位面積当たりの荷重をFgとすると、最終的に浮上ユニット2B側からガラス基板の下面への噴き付け力とバランスする力の大きさはFu+Fg[gf/cm]となる。以降、重力方向の力Fu+Fgと呼ぶ。
【0056】
図3は、図1の浮上ユニット2Bに任意の印加圧力Pd[kPa]を加えた場合、浮上ユニット2Bと板状ワーク100であるガラス基板間のギャップLd[μm]と、浮上ユニット2Bのガス上方噴射部3Bから噴き付ける加圧気体がガラス基板の下面に与える単位面積当りの力Fd[gf/cm]との関係を表したものである。グラフの傾きや切片、また流量Qd[L/min]は、多孔質体の種類(気孔径や気孔率)により変わる。以降、反重力方向の力Fdと呼ぶ。
【0057】
重力方向の力Fu+FgとFdの力が等しくなったとき、バランスしてガラス基板は浮上する。
浮上ユニット1A、1B間のギャップをL、ガス下方噴出部3Aの下面とガラス基板の上面とのギャップをLu、ガス上方噴出部3Bの上面とガラス基板の下面とのギャップをLd、ガラス基板の厚さをLgとすると、
|L|=|Lu|+|Lg|+|Ld|
で表わされる。
【0058】
ここで、重力方向の力Fu+Fgはガラス基板の上面に加わり、反重力方向の力Fdはガラス基板の下面に加わる。
|Lu|≦|L|−|Lg|=|Lu|+|Ld|
|Ld|≦|L|−|Lg|=|Lu|+|Ld|
となる。
【0059】
よって、反対方向の力が同じ範囲に加わると見なせるので、反重力方向を正方向とすると、図2を反転し、図3を重ね合わせた図4において、重力方向の力(Fu+Fg)のグラフと反重力方向の力Fdのグラフの交点のX軸の値が浮上量となり、この浮上量は、ガラス基板全面について同じ、すなわち浮上量は一定となる。
さらに、交点のY軸の値を見ると、ガラス基板の上下面の単位面積に与える力となっており、上下からこの力で板状ワークを押さえつけている状態になる。つまりガラス基板は、上下面全面を空気でプレスされている状態となっており、これがガラス基板を平坦に矯正する基板矯正力となる。
【0060】
また、一時的な外乱によって浮上量が変化してしまう場合、例えば、浮上量が小さくなった場合はFu+Fgは小さくなり、Fdは大きくなる。よって、反重力方向の力>重力方向の力となり、ガラス基板を押し上げ、バランス点まで戻る。浮上量が大きくなった場合はFu+Fgは大きくなり、Fdは小さくなる。よって、重力方向の力>反重力方向の力となり、ガラス基板を押し下げ、バランス点まで戻る。このバランス点に戻ろうとする力すなわち浮上剛性はバランス点における重力方向の力と反重力方向の力のグラフの交差角度θによって変わる。交差角度θが大きいほど浮上剛性が強く、小さいほど浮上剛性が弱い。
【0061】
本実施形態では、浮上ユニットに印加する圧力ギャップ、また浮上ユニットの種類を変更することで、浮上ユニットと板状ワークとの距離、ガス噴射の流量、圧力が変わり、上述した浮上量、基板矯正力、浮上剛性を任意に設定することができる。
なお、上記実施形態では、ガス下方噴射部3Aとガス上方噴射部3Bとで、それぞれ給気管7A、7Bを接続して、それぞれでガス流量と圧力を調整可能としたが、ガス下方噴射部3Aとガス上方噴射部3Bのそれぞれで、複数のエリアに分けてそれぞれエリア毎にガス流量と圧力を調整可能としてもよく、また、個別の噴射穴毎にガス流量と圧力を調整できるようにしてもよい。また、ガス流量と圧力の調整はいずれか一方のみを行う構成としてもよい。
【0062】
(実施形態2)
上記実施形態1では、ガス上方噴射部の全部に合わせてガス下方噴射部を設置したが、ガス上方噴射部の一部に合わせてガス下方噴射部を設置するものであってもよい。この実施形態2を図5に基づいて説明する。なお、その際に、ガス下方噴出部の一部に合わせてガス上方噴出部を設置しているものであってもよい。
実施形態2では、板状ワーク100に対する加工エリアWを設け、加工エリアWを回避するように、ガス下方噴射部を設けている。
この実施形態2では、浮上ユニット2B側は実施形態1と同様の構成を有しており、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
一方、上方では、加工エリアWを避けるように、浮上ユニット2Cと浮上ユニット2Dとが、浮上ユニット2Bと対向するように設けられている。
【0063】
浮上ユニット2Cは、加工エリアWの一側方に位置し、下面に多数の穴が開口した多孔質体からなるガス下方噴出部3Cとその上方に位置する台座4Cとを有しており、台座4Cは、その上方に位置するユニット取り付けベース5Cに取り付けられている。ガス下方噴出部3Cの各穴が本発明のガス下方噴出穴に相当する。
浮上ユニット2Dは、加工エリアWの他側方に位置し、下面に多数の穴が開口した多孔質体からなるガス下方噴出部3Dとその上方に位置する台座4Dとを有しており、台座4Dは、その上方に位置するユニット取り付けベース5Dに取り付けられている。ガス下方噴出部3Dの各穴が本発明のガス下方噴出穴に相当する。
【0064】
なお、図では示していないが、ユニット取り付けベース5Cとユニット取り付けベース5Dは連結され、Z軸ステージに沿って移動可能な高さ調整機構6に取り付けられており、高さ位置の調整が可能になっている。高さ調整機構6の調整によってガス下方噴出部3Cおよびガス下方噴出部3Dの高さ位置、すなわち吹き出し位置が変更される。この操作により、浮上ユニット2Bと、浮上ユニット2C、2Dとの間のギャップLを調整することができる。
なお、ここでは、ユニット取り付けベース5Cとユニット取り付けベース5Dが連結されて高さ調整機構6に取り付けられているものとして説明したが、それぞれ独立した高さ調整機構に取り付けられて互いに独立して高さ調整できる構成としてもよい。
【0065】
台座4Dでは、ガス下方噴出部3Dに連通する給気管7Dが接続されており、給気管7Dは、流量制御弁8Dを介して図示しない加圧気体供給部に接続されている。流量制御弁8Dは、給気管7Dを通してガス下方噴出部3Dに供給されるガスの流量および圧力を調整することができる。すなわち、流量制御弁8Dは、本発明のガス流調整部に相当する。
また、台座4Cでは、ガス下方噴出部3Cに連通する給気管7Cが接続されている。給気管7Cは、給気管7Dに連結することで流量制御弁8Dによってガスの流量や圧力を調整することができる。
なお、給気管7Cを給気管7Dに連結せず、流量制御弁8Dとは別の流量制御弁(図示しない)を給気管7Cに介設して、給気管7C側のガス流量や圧力を給気管7D側とは独立して調整できるようにしてもよい。
【0066】
また、ガス浮上ワーク支持装置1Aでは、高さ調整機構6、流量制御弁8Dを制御する制御部9を有している。制御部9は、CPUとこれを動作させるプログラム、不揮発メモリー、RAMなどの記憶部によって構成されている。制御部9は、初期設定によって高さ調整機構6、流量制御弁8Dを調整してもよく、また、非接触支持中にこれらを調整する制御を行ってもよい。
また、この実施形態2では、加工領域Wに板状ワークの高さを検知する高さ検知部10、11が加工領域Wの両側に位置するように設置されている。高さ検知部10、11は、光センサやレーザなどを用いて板状ワーク100の高さ位置を検知する。高さ検知部10、11の検知結果は、制御部9に送信されており、高さ検知部10、11による、板状ワーク100に対する検知結果に基づいて、高さ調整機構6、流量制御弁Dを調整する制御を行ってもよい。
【0067】
この実施形態2では、加工エリアWを通して、例えばガラス基板へのレーザ照射や露光等の加工を行うことができる。このとき、エリアBでは、浮上ユニット2Bからの反重力方向の力しか加わらず、板状ワーク100に対する矯正力は得られない。しかし、板状ワーク100はエリアAとエリアCで平坦に矯正され浮上しており、さらに板状ワーク100には剛性があるためエリアB部分だけ板状ワーク100が大きく盛り上がることはなく、エリアBにおいても加工に悪影響を及ぼさない程度に均一な浮上量が確保できる。
【0068】
(実施形態例3)
上記実施形態2では、加工エリアを除いて、ガス上方噴射部に合わせてガス下方噴射部を設置しているが、加工エリアの近傍にのみガス下方噴射部を設置するようにしてもよい。この実施形態3を図6に基づいて説明する。
実施形態3では、下方側に浮上ユニット20B、20C、20Dが板状ワーク100の搬送方向に沿って配置されている。板状ワーク100は,搬送装置15によって、図示搬送方向に非接触状態で搬送される。
【0069】
浮上ユニット20Bは、上面に多数の穴が開口した多孔質体からなるガス上方噴出部23Bとその下方に位置する台座24Bとを有しており、浮上ユニット20Cは、上面に多数の穴が開口した多孔質体からなるガス上方噴出部23Cとその下方に位置する台座24Cとを有しており、浮上ユニット20Dは、上面に多数の穴が開口した多孔質体からなるガス上方噴出部23Dとその下方に位置する台座24Dとを有している。台座24B、24C、24Dは、その下方に位置するユニット取り付けベース5Bに共通して取り付けられている。ガス上方噴出部23B、23C、23Dの各穴が本発明のガス上方噴出穴に相当する。
【0070】
一方、上方側では、加工エリアWを挟んだ位置で、浮上ユニット20Cの領域に合わせて浮上ユニット2Eと浮上ユニット2Fとが設置されている。
浮上ユニット2Eは、加工エリアWの一側方に位置し、下面に開口した多孔質体からなるガス下方噴出部3Eとその上方に位置する台座4Eとを有しており、台座4Eは、その上方に位置するユニット取り付けベース5Eに取り付けられている。ガス下方噴出部3Eの各穴が本発明のガス下方噴出穴に相当する。
浮上ユニット2Fは、加工エリアWの他側方に位置し、下面に開口した多孔質体からなるガス下方噴出部3Fとその上方に位置する台座4Fとを有しており、台座4Fは、その上方に位置するユニット取り付けベース5Fに取り付けられている。ガス下方噴出部3Fの各穴が本発明のガス下方噴出穴に相当する。
【0071】
なお、図では示していないが、ユニット取り付けベース5Eとユニット取り付けベース5Fは連結され、Z軸ステージに沿って移動可能な高さ調整機構6に取り付けられており、高さ位置の調整が可能になっている。高さ調整機構6の調整によってガス下方噴出部3Eおよびガス下方噴出部3Fの高さ位置、すなわち吹き出し位置が変更される。この操作により、浮上ユニット20Cと浮上ユニット2E、2F間のギャップLを調整することができる。
なお、ここでは、ユニット取り付けベース5Eとユニット取り付けベース5Fが連結されて高さ調整機構6に取り付けられているものとして説明したが、それぞれ独立した高さ調整機構に取り付けられて独自に高さ調整できる構成としてもよい。
台座4E、4Fでは、ガス下方噴出部3E、3Fに連通する図示しない給気管が接続されている。給気管では、前記実施形態と同様に、流れ調整部である流量制御弁を設けることができ、台座4E、4F毎に給気管と流量調整部を設けて個別にガス流量および圧力を調整できるようにしてもよい。
【0072】
また、ガス浮上ワーク支持装置1Bでは、高さ調整機構6、流量制御弁を制御する制御部を設けて動作を制御するようにしてもよい。その際に、加工領域Wに板状ワークの高さを検知する高さ検知部を設け、高さ検知部の検知結果を制御部に送信して上記制御を行ってもよい。
実施形態3では、板状ワーク100を加工点付近の領域のみ平坦に矯正し、精度の高い浮上を実現することができる。
なお、実施形態3では、上記したように板状ワーク100を図示搬送方向に沿って搬送する搬送装置15を有している。搬送装置15は、例えば、板状ワーク100の一部を把持して搬送方向に沿った移動力を与えたり、搬送方向の後方からの押し出し、搬送方向の前方からの引っ張りなどによって行ったりすることができる。また、ガスの圧力によって板状ワーク100を搬送する機構としてもよい。本発明としては搬送装置の構成が特に限定されるものではなく、ガス浮上した被搬送物を搬送できる構成であればよい。
【0073】
板状ワーク100は、浮上ユニット20Bの上を図6示の搬送方向に沿って非接触で搬送される。
このとき、搬送方向の上流側では、板状ワーク100は、浮上ユニット20Bから噴出する加圧気体により浮上しているだけなので、平坦に矯正されず、板状ワーク100の浮上量は低精度である。
その後、板状ワーク100は、浮上ユニット20B上を下流側に搬送され、浮上ユニット2E、20C間に突入する。このとき、板状ユニット100が浮上ユニット2E、20C間に突入しやすいように、浮上ユニット2Eのガス下方噴出部3Eの搬送方向上流側に、上流端ほど板状ワーク100との距離が大きくなるようにテーパ加工部Tなどの加工をしておいてもよい。これにより、板状ワーク100が浮上ユニット2E、20C間に突入した際に、上方からの圧力の変動を小さくして板状ユニット100の揺れなどを小さくすることができる。また、ガス下方噴出部3Eの搬送方向上流側で、その下流側よりもガスの流量や圧力を小さくしておくことで同様の作用を得ることができる。
【0074】
板状ワーク100は、浮上ユニット2E、20C間の領域では、実施形態1に示した浮上原理により、高精度の浮上量が得られる。搬送が進むと、板状ワーク100は、浮上ユニット2E、20C間の領域から浮上ユニット20Dのみで浮上支持される。この領域でも矯正は行われず、低精度の支持がなされる。
本実施形態3によれば、加工点付近(加工を目的とする領域)は高精度に浮上させることができ、それ以外の領域(搬送のみを目的とする領域)は、板状ワークが浮上ユニット20B、20Dから噴出される加圧気体によりに浮上ユニットに接触なく搬送できる程度に浮上させることができ、装置構造を簡略にして装置コストを低減できる。この実施形態3では、板状ユニットのサイズに拘わらず、非接触で支持して搬送することができる。
【0075】
以上、本発明について、上記各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは上記実施形態に対する適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 ガス浮上ワーク支持装置
1A ガス浮上ワーク支持装置
1B ガス浮上ワーク支持装置
2A 浮上ユニット
2B 浮上ユニット
2C 浮上ユニット
2D 浮上ユニット
2E 浮上ユニット
2F 浮上ユニット
3A ガス下方噴出部
3B ガス下方噴出部
3C ガス下方噴出部
3D ガス下方噴出部
3E ガス下方噴出部
3F ガス下方噴出部
6 高さ調整機構6
7A 給気管
8A 流量制御弁
7B 給気管
8B 流量制御弁
8D 流量制御弁
9 制御部
10 高さ検知部
11 高さ検知部
15 搬送装置
20B 浮上ユニット
20C 浮上ユニット
20D 浮上ユニット
23B ガス上方噴出部
23C ガス上方噴出部
23D ガス上方噴出部
W 加工エリア
T テーパ加工部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8