特許第6456925号(P6456925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456925
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】ボロン酸中間体の調製のための方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20190110BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20190110BHJP
【FI】
   C07F5/02 F
   !C07B61/00 300
【請求項の数】17
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-512308(P2016-512308)
(86)(22)【出願日】2014年5月5日
(65)【公表番号】特表2016-522820(P2016-522820A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】EP2014059023
(87)【国際公開番号】WO2014180752
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年12月18日
(31)【優先権主張番号】13166587.9
(32)【優先日】2013年5月6日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306021192
【氏名又は名称】エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ, トシュテン
(72)【発明者】
【氏名】ノネンマッハー, ミヒャエル
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0269523(US,A1)
【文献】 Heaney, H. et al.,Synlett,1998年,vol.6,p.640-642
【文献】 Desbene, P. L. et al.,Journal of Heterocyclic Chemistry,1984年,vol.21 no.5,p.1313-1319
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07B
C07C
C07D
C07F
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
の化合物又はその塩若しくはエステルの調製のための方法であって、
a)式(II)
[式中、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物を、100℃を超える沸点を有する極性非プロトン性有機溶媒に式(III)
[式中、HalはF、Cl、Br又はIである]
の化合物と固定化酸性触媒が入った溶液に添加して、
式(IV)
の化合物を形成する工程、及び
b)式(IV)の化合物と式(V)
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物との混合物を、メタル化試薬を用いて極性非プロトン性有機溶媒中−90℃から−95℃の温度で反応させ、
式(VI)
の化合物を得る工程、及び
c)式(VI)の化合物を加水分解して式(I)
の化合物又はその塩若しくはエステルを産生させる工程
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒が120℃から130℃の範囲の沸点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒がn−ブチルアセテートである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)中の極性非プロトン性有機溶媒がTHFである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
固定化酸性触媒が固体ポリマー樹脂である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
固定化酸性触媒が固体マクロレティキュラーポリマー樹脂である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
固定化酸性触媒が固体マクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
固定化酸性触媒が固体の、強酸性の、マクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
固定化酸性触媒が架橋スチレンジビニルベンゼンコポリマーに基づいている、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
固定化酸性触媒が、使用前にn−ブチルアセテートで一回又は複数回洗浄されている、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式(II)の化合物がn−ブチルアセテート中に溶解している、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
HalがBrである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
メタル化試薬がn−ブチルリチウムである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
、R及びRがイソプロピルである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物;及びメタル化試薬が交互に投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物;及びメタル化試薬が同時に投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
投与が−95℃から−90℃の温度で行われる、請求項15又は16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)
の2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸又はその塩若しくはエステルの調製のための改善した方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸は、WO2008/070740に記載されるような腫瘍性疾患の治療のために使用される純粋な医薬品有効成分(API)の調製のための重要なビルディングブロックである。
【0003】
ボロン酸は、主に鈴木カップリング中の化学的ビルディングブロック及び中間体として有機化学において広く使用されている。鈴木カップリングは、有機ボロン酸とハロゲン化物との間のパラジウム触媒クロスカップリングである(N. Miyaura, Tyanagi and A. Suzuki, Synth. Commun., 1981, 11, 513; Wikipedia)。アリールトリフレートもまた効果的なカップリングパートナーである(T. Ohe, N. Miyaura and A. Suzuki J. Org. Chem. 1993, 58, 2201)。調製を容易にする一つにはそのようなボロン酸の高安定性及び低毒性があり、現在、そのようなボロン酸及び鈴木カップリングにおけるそれらの使用の適用について、広範な関心がある。
【0004】
有機アリールボロン酸及びヘテロアリールボロン酸並びにそれらの誘導体は、異なる合成経路:ビス(ピナコラート)ジボロン(Bpin)のアリールハロゲン化物及びビニルハロゲン化物とのクロスカップリング(宮浦ボリレーション反応)により、又はアリールリチウム若しくはアリールマグネシウム化合物のボロン酸トリアルキルエステルでの変換とその後の酸加水分解(T. Leermann, F. R. Leroux, F. Colobert, Org. Lett., 2011, 13, 4479-4481)により、得ることができる。
【0005】
有機アリールボロン酸及びヘテロアリールボロン酸の調製のための上記の合成手法は、用いられる反応条件と互換性のないいくつかの官能基の存在に主に関連する、いくつかの制限を有する。そのため、例えば、アミノ基の存在は、有機金属化合物の形成を妨げる。この妨害は、反応のプロセス及び精密検査の費用に関する悪影響について、試薬の大幅な過剰分を使用して、理論的には克服され得る。
【0006】
異なるアミノ保護基を使用して、アミノアリール及びアミノヘテロアリールボロン酸並びにエステルの調製にいくつかの追加の合成戦略が適用された。
【0007】
中国特許出願CN102367260は、ブロモヘテロアリールアミン化合物の二炭酸ジ−tert−ブチル誘導体(t−BOC誘導体)を使用する可能性について記載している。
【0008】
中国特許出願CN102399235は、2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸を介した2−アミノ−5−ピリミジン−ボロン酸 ピナコールエステルの調製における二炭酸ジ−tert−ブチル誘導体(t−BOC誘導体)の使用を記載している。
【0009】
更に、文献において、代替的な手法として、水素化により除去され得る官能基であるN、N−ジベンジル誘導体のようなアミノ基の保護(US7196219)又は水分的に不安定なN、N−トリメチルシリル誘導体(Tetrahedron Letters, 44(42), 7719-7722; 2003)を使用する可能性も記載されている。
【0010】
化合物は非常に毒性があり、可燃性であり、水分的に不安定であり、扱いにくいため、これらの合成手法のスケールアップはいくつかの重要な欠点を有する。
【0011】
カルボニル化合物との縮合、続く適切なボロン化合物との反応を介して、それにより、保護基の再生及び除去後に、対応するボロン酸、無水物又はそのボロン酸エステルが得られる、置換されていてもよいアミノアリール若しくはアミノヘテロアリール化合物がイミン誘導体として窒素部位で保護されているアミノアリール及びアミノヘテロアリールボロン酸の調製について、US2008/0269523は記載している。特に、いくつかのアミノアリール若しくはアミノヘテロアリール化合物に関しては、反応条件(例えば水の存在)下のアミノ基の低反応性、そのような前駆体分子の溶解度の問題及び中間体イミン誘導体の低安定性により、中間体イミン誘導体の調製は可能ではないか又はある程度可能であるのみである。これは、例えば、反応がトルエン中で行われる場合の2−アミノ−5−ブロモピリミジン等のブロモヘテロアリールアミン化合物に特に当てはまる。加えて、イミン誘導体の最終アミノアリール又はアミノヘテロアリールボロン酸への変換の収量は、非常に低かった。スケールアップの場合、反応の全収量は特に低く、反応時間は非常に長い。いくつかの場合において、プロセスは再現性の問題を示す。
【0012】
本発明の目的は、アミノ基の低反応性の問題、前駆体分子の溶解度の問題、中間体イミン誘導体の安定性の問題、及び安全な、非毒性の、扱いやすい反応物を使用することによるイミン誘導体の最終アミノアリー又はアミノヘテロアリールボロン酸への変換の低収量を克服する、2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸の調製のための改善したプロセスである。
【発明の概要】
【0013】
本発明は以下のように詳述され得る。
【0014】
式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルの調製のための方法であって、
(a)式(II)

[式中、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物を、100℃を超える沸点を有する極性非プロトン性有機溶媒に式(III)

[式中、HalはF、Cl、Br又はIである]
の化合物と固定化酸性触媒が入った溶液に添加して、
式(IV)

の化合物を形成する工程、及び
(B)式(IV)の化合物と式(V)

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物との混合物を、メタル化試薬を用いて極性非プロトン性有機溶媒中−90℃から−95℃の温度で反応させ、
式(VI)

の化合物を得る工程、及び
(C)式(VI)の化合物を加水分解して式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルを産生させる工程
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0015】
工程a)において、式(III)の2−アミノ−5−ハロゲン−ピリミジンは、式(II)の極めて反応性に富むケータル(アセタール)化合物との縮合を通じて保護される。保護基を導入し式(IV)のイミノ化合物を形成することにより、アミン機能は後に続くメタル化工程において脱プロトン化されることはできない。
【0016】
本発明の一実施態様において、工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒は、110℃を超える沸点を有する。本発明の一実施態様において、工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒は、110℃−180℃の沸点を有する。本発明の一実施態様において、工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒は、120℃−130℃の沸点を有する。本発明の一実施態様において、工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒は、125℃−129℃の沸点を有する。本発明の一実施態様において、工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒は、126−128℃の沸点を有する。本発明の一実施態様において、工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒は、127℃の沸点を有する。
【0017】
一実施態様において、工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒はn−ブチルアセテートである。n−ブチルアセテートを溶媒として使用することにより、驚くべきことに、前駆体分子の分解は有意に低減し、反応はよりよく制御可能になる。
【0018】
一実施態様において、工程b)中の極性非プロトン性有機溶媒はTHFである。
【0019】
一実施態様において、工程a)中の極性非プロトン性有機溶媒はn−ブチルアセテートであり、工程b)中の極性非プロトン性有機溶媒はTHFである。
【0020】
本発明の一実施態様において、R及びRはメチルである。
【0021】
本発明の一実施態様において、HalはBr又はIである。
【0022】
本発明の一実施態様において、HalはBrである。
【0023】
本発明の一実施態様において、R、R及びRはイソプロピルである。
【0024】
本発明の一実施態様において、固定化酸性触媒は固体ポリマー樹脂である。
【0025】
本発明の一実施態様において、固体ポリマー樹脂は、固体の、マクロレティキュラーポリマー樹脂である。
【0026】
本発明の一実施態様において、固体の、マクロレティキュラーポリマー樹脂は、固体の、マクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂である。
【0027】
本発明の一実施態様において、固体の、マクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂は、固体の、強酸性のマクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂である。
【0028】
本発明の一実施態様において、固体の、マクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂は、固体の、強酸性の、スルホン酸のマクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂である。
【0029】
本発明の一実施態様において、固体の、マクロレティキュラーポリマー樹脂は、固体の、強酸性の、スルホン酸のマクロレティキュラーポリマー樹脂である。
【0030】
本発明の一実施態様において、固体の、強酸性の、マクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂は、架橋スチレンジビニルベンゼンコポリマーに基づく。
【0031】
本発明の一実施態様において、固体の、強酸性の、マクロレティキュラーポリマー樹脂は、架橋スチレンジビニルベンゼンコポリマーに基づく。
【0032】
本発明の一実施態様において、固体の、強酸性の、スルホン酸の、マクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂は、架橋スチレンジビニルベンゼンコポリマーに基づく。
【0033】
本発明の一実施態様において、固体の、強酸性の、スルホン酸の、マクロレティキュラーポリマー樹脂は、架橋スチレンジビニルベンゼンコポリマーに基づく。
【0034】
本発明の一実施態様において、固体の、強酸性の、マクロレティキュラーポリマーイオン交換樹脂は、AmberlystTMである。
【0035】
本発明の一実施態様において、固体の、強酸性の、マクロレティキュラーポリマー樹脂は、AmberlystTMである。
【0036】
本発明の一実施態様において、AmberlystTMはH形態である。
【0037】
本発明の一実施態様において、AmberlystTMはAmberlystTM15WET又はAmberlystTM15DRYである。
【0038】
本発明の一実施態様において、AmberlystTMはAmberlystTM15WETである。
【0039】
本発明の一実施態様において、AmberlystTMはAmberlystTM15DRYである。
【0040】
本発明の一実施態様において、AmberlystTMはAmberlystTM15 DRY(H形態)である。
【0041】
驚くべきことに、そのような固定化酸性触媒を使用することにより、遊離体の分解は有意に低減される。
【0042】
本発明の一実施態様において、固定化酸性触媒は、使用前にn−ブチルアセテートで一回又は複数回洗浄されている。
【0043】
本発明の一実施態様において、固定化酸性触媒は、使用前に沸騰したn−ブチルアセテートで一回又は複数回洗浄されている。
【0044】
本発明の一実施態様において、AmberlystTMは、使用前にn−ブチルアセテートで一回又は複数回洗浄されている。
【0045】
本発明の一実施態様において、AmberlystTMは、使用前に沸騰したn−ブチルアセテートで一回又は複数回洗浄されている。
【0046】
本発明の一実施態様において、AmberlystTM15 DRYは、使用前に沸騰したn−ブチルアセテートで一回又は複数回洗浄されている。
【0047】
本発明の一実施態様において、AmberlystTM15 WETは、使用前に沸騰したn−ブチルアセテートで一回又は複数回洗浄されている。
【0048】
本発明の一実施態様において、式(II)の化合物はn−ブチルアセテート中に溶解されている。試薬の添加は、ポンプ投薬システムを使用して行われ得る。一実施態様において、式(II)の化合物とn−ブチルアセテートとの混合物は、使用前に1時間撹拌され、均質な溶液にされる。
【0049】
本発明の一実施態様において、式(II)の化合物の式(III)の化合物との反応は、110℃から120℃の温度で行われる。本発明の一実施態様において、式(II)の化合物の式(III)の化合物との反応は114−120℃の温度で制御された方法で行われる。
【0050】
本発明の一実施態様において、蒸留物(主にメタノール)は、収量を増加させるために上の反応混合物から除去される。
【0051】
式(II)のジアルキルケータル誘導体は、例えば、Greene T.W. et al. Protecting groups in Organic synthesis, Wiley, Third Editionに記載される方法等の当該技術分野で公知の方法に従って得ることができ、又は市販の供給源から購入できる。
【0052】
驚くべきことに、適用される反応条件下で、式(IV)の中間体イミン誘導体は非常に安定している。
【0053】
本発明の一実施態様において、式(IV)の化合物は、沈殿及び結晶化等の当業者によく知られた精製手法を使用することにより単離され得る。
【0054】
前述のプロセスを使用することにより、以下の反応を行うのに不可欠な非常に純粋な形態の式(IV)のイミン誘導体を得ることが可能である。
【0055】
工程b)は、メタル化及び好適なホウ酸エステル、例えばホウ酸トリ−イソプロピルとの反応を介した、保護された式(IV)の2−アミノ−5−ハロゲン−ピリミジン誘導体の保護された式(VI)の化合物への変換に関する。
【0056】
本発明の一実施態様において、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物は、乾燥THF中で調製される。本発明の一実施態様において、混合物全体の20−25%はリザーバーに充填され、前駆体溶液の75−80%は以下に記載されるように添加される。
【0057】
本発明の一実施態様において、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物;及びメタル化試薬は交互にリザーバーに投薬される。
【0058】
本発明の一実施態様において、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物;及びメタル化試薬は同時にリザーバーに投薬される。
【0059】
本発明の一実施態様において、同時投薬は、リザーバー中の式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物の20−25%で反応が開始され、且つそのような混合物の余剰分ができる限り長く維持される方法でなされる。
【0060】
本発明の一実施態様において、交互投薬は、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物の20%で、続いてメタル化剤の20%で反応が開始され、各工程でそのような混合物とメタル化剤の20%がそれぞれリザーバーへ交互に投薬されることが継続される方法でなされる。
【0061】
驚くべきことに、前述の投薬制御反応を使用して、前駆体分子の沈殿及び副反応は有意に低減されるか又は避けられ得る。
【0062】
一実施態様において、投薬は−90℃未満の温度で行われる。本発明の一実施態様において、投薬は−95℃から−90℃の温度で行われる。本発明の一実施態様において、投薬は−90℃の温度で行われる。
【0063】
本発明の一実施態様において、式(V)のホウ酸エステルはホウ酸トリ−イソプロピルである。
【0064】
本発明の一実施態様において、工程b)中のメタル化試薬は、第一級若しくは第二級アルキルリチウム化合物、例えばブチルリチウム、ヘキシルリチウム又はシクロヘキシルリチウムである。
【0065】
本発明の一実施態様において、工程b)中のメタル化試薬はn−ブチルリチウム(n−BuLi)である。
【0066】
本発明の一実施態様において、工程1c)は、式(VI)の化合物を単離せずに行われる。この工程において、B−原子に結合された保護基及びエステル基は、加水分解により除去される。
【0067】
本発明の一実施態様において、加水分解は水性酸の使用により達成される。本発明の一実施態様において、加水分解は、硫酸水溶液又は塩酸水溶液を使用することによる加水分解により達成される。本発明の一実施態様において、加水分解は、塩酸水溶液を使用することによる加水分解により達成される。
【0068】
本発明の一実施態様において、加水分解は1から2のpHで行われる。本発明の一実施態様において、加水分解は1.2から1.5のpHで行われる。
【0069】
本発明の一実施態様において、2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸は塩として単離される。本発明の一実施態様において、塩は硫酸水素塩又は塩酸塩である。本発明の一実施態様において、化合物は内塩として単離される。
【0070】
一実施態様において、MTBEは、精密検査段階中の工程a)、b)又はc)の一又は複数の工程において使用される。
【0071】
本発明の一実施態様は、式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルの調製のための方法であって、
(a)式(II)

[式中、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物を、n−ブチルアセテートに式(III)

[式中、ここでHalはBrである]
の化合物と強酸性の、スルホン酸の、マクロレティキュラーポリマー樹脂が入った溶液に添加して、式(IV)

の化合物を形成する工程、及び
(B)式(IV)の化合物と式(V)

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物との混合物を、メタル化試薬を用いてTHF中−90℃から−95℃の温度で反応させ、式(VI)

の化合物を得る工程、及び
(C)式(VI)の化合物を加水分解して式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルを産生させる工程
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0072】
本発明の一実施態様は、式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルの調製のための方法であって、
(a)式(II)

[式中、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物を、n−ブチルアセテートに、式(III)

[式中、HalはBrである]
の化合物と強酸性の、スルホン酸の、マクロレティキュラーポリマー樹脂が入った溶液に添加して、式(IV)

の化合物を形成する工程、及び
(B)式(IV)の化合物と式(V)

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物との混合物を、メタル化試薬を用いてTHF中−90℃から−95℃の温度で反応させ、式(VI)

の化合物を得る工程、及び
(C)式(VI)の化合物を加水分解して式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルを産生させる工程を含むことを特徴とし、そのようなポリマー樹脂が、使用前に沸騰したn−ブチルアセテートで一回又は複数回洗浄されている、方法に関する。
【0073】
本発明の一実施態様は、式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルの調製のための方法であって、
(a)式(II)

[式中、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物を、n−ブチルアセテートに式(III)

[式中HalはBrである]
の化合物と強酸性の、スルホン酸の、マクロレティキュラーポリマー樹脂が入った溶液に添加して、式(IV)

の化合物を形成する工程、及び
(B)式(IV)の化合物と式(V)

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物との混合物を、メタル化試薬を用いてTHF中−90℃から−95℃の温度で反応させ、式(VI)

の化合物を得る工程、及び
(C)式(VI)の化合物を加水分解して式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルを産生させる工程を含むことを特徴とし、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物;及びメタル化試薬が交互にリザーバーに投薬される、方法に関する。
【0074】
本発明の一実施態様は、式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルの調製のための方法であって、
(a)式(II)

[式中、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物を、n−ブチルアセテートに式(III)

[式中、HalはBrである]
の化合物と強酸性の、スルホン酸の、マクロレティキュラーポリマー樹脂が入った溶液に添加して、式(IV)

の化合物を形成する工程、及び
(B)式(IV)の化合物と式(V)

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物との混合物を、メタル化試薬を用いてTHF中−90℃から−95℃の温度で反応させ、式(VI)

の化合物を得る工程、及び
(C)式(VI)の化合物を加水分解して式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルを産生させる工程を含むことを特徴とし、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物;及びメタル化試薬が同時にリザーバーに投薬される、方法に関する。
【0075】
本発明の一実施態様は、式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルの調製のための方法であって、
(a)式(II)

[式中、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物を、n−ブチルアセテートに式(III)
[式中、HalはBrである]
の化合物と強酸性の、スルホン酸の、マクロレティキュラーポリマー樹脂が入った溶液に添加して、式(IV)

の化合物を形成する工程、及び
(B)式(IV)の化合物と式(V)

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物との混合物を、メタル化試薬を用いてTHF中−90℃から−95℃の温度で反応させ、式(VI)

の化合物を得る工程、及び
(C)式(VI)の化合物を加水分解して式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルを産生させる工程を含むことを特徴とし、そのようなポリマー樹脂が、使用前に沸騰したn−ブチルアセテートで一回又は複数回洗浄されており、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物;及びメタル化試薬が交互に投薬されるか又は、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物;及びメタル化試薬が同時に投薬される、方法に関する。
【0076】
本発明の一実施態様において、投薬は−90℃未満の温度で行われる。
【0077】
工程b)及びc)の一般的な手順に関し、当業者に公知の方法が使用され得、分子の他の部分に影響を及ぼすことなく適用される反応条件下で使用され得る(US2008/0269523, US7196219B2, Brown, H. C.; Cole, T. E. Organometallics 1983, 2, 1316-1319, Seaman, W. et al. J. Am. Chem. Soc. 1931, 53, 711-723.)。
【0078】
必要に応じて、反応は、窒素又はアルゴン等の乾性不活性ガス下で実施され得る。
【0079】
所望される場合、式(I)のボロン酸誘導体は、アルコールでのエステル化により、反応混合物から式(I)の対応するエステルに直接変換され得る。典型的には、式(I)のボロン酸エステルは、7.0から8.5を含むpHでのピナコール、1,2−エタンジオール、及び1,4−ブタンジオールから選択されるアルコールとの式(I)のボロン酸の反応により調製される。典型的には、アルコールはピナコールである。
【0080】
ボロン酸(I)及び対応するエステルは、沈殿及び結晶化等の従来の精製手法により単離され得る。本発明の一実施態様において、それは非極性溶媒中の結晶化により単離される。好適な非極性溶媒の例は、飽和又は不飽和の炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、好ましくはヘプタンである。
【0081】
驚くべきことに、対応する保護された式(IV)化合物を形成するための式(III)の2−アミノ−5−ハロゲン−ピリミジンの反応は、式(II)のジアルキルケータル(アセタール)が使用される場合に最善であることが発見された。
【0082】
驚くべきことに、固定化酸性触媒、例えばマクロレティキュラーポリマー樹脂の使用は、副反応及び遊離体の分解を妨げることが発見された。
【0083】
N−ブチルアセテートの使用は、プロセス、特に大規模プロセスの安全性を有意に増加させた。
【0084】
加えて、驚くべきことに、プロセスが上記のように行われた場合、2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸を形成するための式(V)のホウ酸エステルとの式(IV)の化合物の反応の収量は、17%から81%に増加することが発見された。
【0085】
上に記載した新たなプロセスに従って、公知の手順に対する以下の優位性が提供され得る:
a)ジアルキルケータル(アセタール)を介した保護基の導入は、高価な有機金属塩基を要せず、保護されたアミノ基は必要とされる反応条件下でのメタル化に対して不活性である。
b)使用される溶媒は、全ての化合物を高度に溶解し、容易に除去可能である。
c)簡潔で、費用効率の高い、効率的なプロセスが、アミノ−ブロモ−ピリミジンを対応するボロン酸に変換するために開発された。
d)プロセスは容易に制御可能であり、ロバストであり、測定可能である。
e)プロセスの中間体は、高純度で産生され得、容易に分析され得る。
f)ボロン酸化合物(I)は、高純度及び高収量で得ることができる。
g)ポリマー触媒は容易に除去され得る。
【0086】
特許請求されたプロセスは、反応率がより高く、プロセスは容易に制御可能であり、且つ副産物の量が低いという優位性を有する。
【0087】
したがって、本発明の改善したプロセスは、APIの技術的産生において使用可能である。
【0088】
本発明は、式(I)
の化合物又はその塩若しくはエステルの調製のための方法であって、
(a)式(II)

[式中、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物を、式(III)

[式中、HalはF、Cl、Br又はIである]
の化合物と共に酸の存在下で式(IV)

の化合物に反応させる工程、及び
(B)式(IV)の化合物を、メタル化試薬及び式(V)

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキルである]
の化合物を用いて、少なくとも二の有機溶媒の混合物中で式(VI)

の化合物に反応させる工程、及び
(C)式(VI)の化合物を加水分解して式(I)

の化合物又はその塩若しくはエステルを産生させる工程
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0089】
工程a)において、式(III)の2−アミノ−5−ハロゲン−ピリミジンは、式(II)の極めて反応性に富むケータル(アセタール)化合物との縮合を通じて保護される。保護基を導入し式(IV)のイミノ化合物を形成することにより、アミン機能は後に続くメタル化工程において脱プロトン化されることはできない。
【0090】
本発明の一実施態様において、R及びRはメチルである。
【0091】
本発明の一実施態様において、HalはBr又はIである。本発明の一実施態様において、HalはBrである。
【0092】
本発明の一実施態様において、R、R及びRはイソプロピルである。
【0093】
式(II)のジアルキルケータル誘導体は、例えば、Greene T.W. et al. Protecting groups in Organic synthesis, Wiley, Third Editionに記載される方法等の当該技術分野で公知の方法に従って得ることができる。
【0094】
本発明の一実施態様において、式(II)の化合物は、酸の存在下で式(IIa)の対応するベンゾフェノン化合物をトリアルキルオルトホルメートと反応させることにより、反応混合物中でin situで産生される。
【0095】
本発明の式(II)のジアルキルケータル誘導体は単離され得、更なる精製をせずに次の工程でそのまま使用され得る。
【0096】
本発明の一実施態様において、式(II)の前記ジアルキルケータル誘導体は単離されないが、蒸留による潜在的に未反応の出発物質及び溶媒の除去後に、前記ジアルキルケータル誘導体は式(III)の化合物と直接縮合される。
【0097】
本発明の一実施態様において、トリアルキルオルトホルメートはトリメチルオルトホルメートである。
【0098】
上の反応に使用される酸は、硫酸、塩酸、並びにp−トルエンスルホン酸一水和物又はp−トルオールスルホン酸第二鉄等のスルホン酸から選択される。
【0099】
本発明の一実施態様において、酸はp−トルエンスルホン酸一水和物である。
【0100】
本発明の一実施態様において、式(IIa)のベンゾフェノンの式(II)のジアルキルケータル(アセタール)への変換は、エタノール又はメタノール中のp−トルエンスルホン酸一水和物の存在下で行われる。
【0101】
本発明の一実施態様において、式(IIa)のベンゾフェノンの式(II)のジアルキルケータル(アセタール)への変換は、メタノール中のトリメチルオルトホルメート及びp−トルエンスルホン酸一水和物を使用して行われる。
【0102】
本発明の一実施態様において、式(IV)の保護化合物を産生するための式(II)の化合物の式(III)の化合物との反応は、THF、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、1,4−ジオキサン又はそれらの混合物からなる群より選択される溶媒中で行われる。
【0103】
本発明の一実施態様において、式(IV)の保護化合物を産生するための式(II)の化合物の式(III)の化合物との反応は、1,4−ジオキサン中で行われる。驚くべきことに、1,4−ジオキサンの使用は、式(III)の化合物に関する溶解度の問題を克服する。本発明の一実施態様において、酸はp−トルエンスルホン酸一水和物である。
【0104】
驚くべきことに、適用される反応条件下で、式(IV)の中間体イミン誘導体は非常に安定している。
【0105】
本発明の一実施態様において、式(IV)の化合物は、沈殿及び結晶化等の当業者によく知られた精製手法を使用することにより単離され得る。
【0106】
工程b)は、メタル化及び好適なホウ酸エステル、例えばホウ酸トリ−イソプロピルとの反応を介した、保護された式(IV)の2−アミノ−5−ハロゲン−ピリミジン誘導体の保護された式(VI)の化合物への変換に関する。
【0107】
本発明の一実施態様において、式(V)のホウ酸エステルは、メタル化試薬の前に混合物に添加される。
【0108】
本発明の一実施態様において、式(V)のホウ酸エステルはホウ酸トリ−イソプロピルである。
【0109】
本発明の一実施態様において、工程b)中のメタル化試薬は、第一級若しくは第二級アルキルリチウム化合物、例えばブチルリチウム、ヘキシルリチウム若しくはシクロヘキシルリチウム又は触媒の存在下の金属リチウムである。
【0110】
本発明の一実施態様において、工程b)中のメタル化試薬はn−ブチルリチウム(n−BuLi)である。
【0111】
本発明の一実施態様において、メタル化及びホウ酸エステルとの反応は、−50℃から−90℃の温度範囲で行われる。本発明の一実施態様において、温度は−70℃から−90℃の範囲である。本発明の一実施態様において、そのような温度は−75℃である。本発明の一実施態様において、そのような温度は−85℃である。本発明の一実施態様において、そのような温度は−90℃である。
【0112】
本発明の一実施態様において、少なくとも二の有機溶媒の混合物中に使用される有機溶媒は、非プロトン性有機溶媒である。少なくとも二の有機溶媒の混合物中に利用され得る有機溶媒は、THF、メチルテトラヒドロフラン、トルエン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,2−ジオキサン、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタンからなる群より選択される。
【0113】
本発明の一実施態様において、二の有機溶媒の混合物が使用される。
【0114】
本発明の一実施態様において、使用される有機溶媒の一方はTHFであり、他方はトルエンである。
【0115】
本発明の一実施態様において、THFとトルエンの重量当たりの量の比は0.3−0.6の範囲である。本発明の一実施態様において、THFとトルエンの比は0.4−0.5である。本発明の一実施態様において、THFとトルエンの比は0.4−0.48である。本発明の一実施態様において、THFとトルエンの比は0.46である。
【0116】
本発明の一実施態様において、工程1c)は、式(VI)の化合物を単離せずに行われる。この工程において、B−原子に結合された保護基及びエステル基は、加水分解により除去される。両方の基は、同時に及び/又は続いて加水分解され得る。本発明の一実施態様において、両方の基は同時に加水分解される。本発明の一実施態様において、両方の基は続いて加水分解され、B−原子に結合したエステル基が初めに加水分解される。
【0117】
本発明の一実施態様において、加水分解は水性酸の使用により達成される。本発明の一実施態様において、加水分解は、硫酸水溶液又は塩酸水溶液を使用することによる加水分解により達成される。本発明の一実施態様において、加水分解は、塩酸水溶液を使用することによる加水分解により達成される。
【0118】
本発明の一実施態様において、加水分解は−50℃から+30℃の温度範囲で生じる。本発明の一実施態様において、加水分解は−30℃の温度で生じる。
【0119】
本発明の一実施態様において、2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸は塩として単離される。本発明の一実施態様において、塩は硫酸水素塩又は塩酸塩である。本発明の一実施態様において、化合物は内塩として単離される。
【0120】
一実施態様において、MTBEは、精密検査段階中の工程a)、b)又はc)の一又は複数の工程において使用される。
【0121】
工程b)及びc)の一般的な手順に関し、当業者に公知の方法が使用され得、分子の他の部分に影響を及ぼすことなく適用される反応条件下で使用され得る(US2008/0269523, US7196219B2, Brown, H. C.; Cole, T. E. Organometallics 1983, 2, 1316-1319, Seaman, W. et al. J. Am. Chem. Soc. 1931, 53, 711-723.)。
【0122】
必要に応じて、反応は、窒素又はアルゴン等の乾性不活性ガス下で実施され得る。
【0123】
所望される場合、式(I)のボロン酸誘導体は、アルコールでのエステル化により、反応混合物から式(I)の対応するエステルに直接変換され得る。典型的には、式(I)のボロン酸エステルは、7.0から8.5を含むpHでのピナコール、1,2−エタンジオール、及び1,4−ブタンジオールから選択されるアルコールとの式(I)のボロン酸の反応により調製される。典型的には、アルコールはピナコールである。
【0124】
ボロン酸(I)及び対応するエステルは、沈殿及び結晶化等の従来の精製手法により単離され得る。本発明の一実施態様において、それは非極性溶媒中の結晶化により単離される。好適な非極性溶媒の例は、飽和又は不飽和の炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、好ましくはヘプタンである。
【0125】
驚くべきことに、対応する保護された式(IV)化合物を形成するための式(III)の2−アミノ−5−ハロゲン−ピリミジンの反応は、そのような反応で使用される式(IIa)のベンゾフェノン化合物が反応混合物中in−situで式(II)のジアルキルケータル(アセタール)に変換される場合に、最善であることが発見された。加えて、驚くべきことに、少なくとも二の有機溶媒の混合物が使用される場合、2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸を形成するための式(V)のホウ酸エステルとの式(IV)の化合物の反応の収量は、17%から65−75%に増加することが発見された。最も驚くべきことには、トルエンとTHFとの混合物を使用した際に最善の結果が得られた。
【0126】
上に記載した新たなプロセスに従って、公知の手順に対する以下の優位性が提供され得る:
a)ジアルキルケータル(アセタール)を介した保護基の導入は、高価な有機金属塩基を要せず、保護されたアミノ基は必要とされる反応条件下でのメタル化に対して不活性である。
b)使用される溶媒は、全ての化合物を高度に溶解し、容易に除去可能である。
c)簡潔で、費用効率の高い、効率的なプロセスが、アミノ−ブロモ−ピリミジンを対応するボロン酸に変換するために開発された。
d)プロセスは容易に制御可能であり、ロバストであり、測定可能である。
e)プロセスの中間体は、高純度で産生され得、容易に分析され得る。
f)ボロン酸化合物(I)は、高純度及び高収量で得ることができる。
g)プロセスは、プロセスの最後で再使用のためにベンゾフェノンの回収を可能にする。
【0127】
本明細書中で使用される単数(「a」若しくは「an」)の実体(entity)という句は、一又は複数のその実体を表し、例えば、a compoundとは、一又は複数の化合物又は少なくとも一つの化合物のことをいう。そのようなものとして、「a」(又は「an」)、「一又は複数(one or more)」、及び「少なくとも一つ(at least one)」という用語は、本明細書において互換的に使用することができる。
【0128】
本明細書において使用する場合、請求項の移行句中であろうと本文中であろうと、「含む(comprise(s))」及び「含んでいる(comprising)」という用語は非限定的意味を有するものと解釈すべきである。即ち、これらの用語は、「少なくとも有する」又は「少なくとも含む」という語句と同義であると解釈すべきである。方法の文脈で使用する場合、「含んでいる(comprising)」という用語は、その方法が列挙された工程を少なくとも含むが、更なる工程を含み得ることを意味する。化合物又は組成物の文脈で使用する場合、「含んでいる(comprising)」という用語は、その化合物又は組成物が列挙された特徴又は成分を少なくとも含むが、更なる特徴又は成分も含み得ることを意味する。
【0129】
本明細書において使用する場合、別途指示がない限り、用語「又は」は「及び/又は」の「包括的な」意味において使用され、「〜か/又は」の「排他的な」意味において使用されるものではない。
【0130】
「独立に」という用語は、ある可変基が、同じ化合物内の同じか又は異なる定義を有する可変基の存在又は非存在にかかわらず、いずれか一つの場合に適用されることを示すために本明細書では使用される。したがって、R”が2回出現し、かつ「独立に炭素又は窒素」として定義される化合物において、両方のR”が炭素であることも、両方のR”が窒素であることも、又は一方のR”が炭素であってそしてもう一方が窒素であることも可能である。
【0131】
「極性非プロトン性有機溶媒」とは、境界線の極性非プロトン性有機溶媒を含み、水素結合を受容し得、酸性の水素中心を有さない、有機塩を溶解する有機溶媒を意味する。極性非プロトン性有機溶媒は、強塩基を含む反応にしばしば不可欠である。そのような極性非プロトン性溶媒の例は、ダイグライム、n−ブチルアセテート、1,4−ジオキサン、DMF及びDMSOである。境界線の極性非プロトン性有機溶媒の例は、THF、ジクロロメタン及び酢酸エチルである。
【0132】
用語「マクロレティキュラー」ポリマー樹脂とは、二の連続する相−連続気孔相及び連続ゲル高分子相から作製される樹脂である。高分子相は、構造的には、クラスターを形成するために互いに凝集した小さな球状のミクロゲル粒子からなり、それらは接触面で互いに固定されており、相互接続気孔を形成する。表面積は、クラスターに互いに接着されたミクロゲルの露出面から生じる。マクロレティキュラーイオン交換樹脂は7から1500 m/gの範囲の異なる表面積及び50から1,000,000Aの範囲の平均気孔直径で作製され得る。例はAmberlystTM15 DRY及びAmberlystTM15 WETである。
【0133】
別に規定されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。当該技術分野で知られる様々な方法及び物質が本明細書中で言及される。薬理学の一般原理を明記する標準的な参考文献は、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001)を含む。当業者に知られている任意の適切な物質及び/又は方法は、本発明の実施において利用され得る。しかしながら、好ましい物質及び方法が記載される。以下の記載及び実施例で言及される物質及び試薬は、別段の記載がない限り、市販されている。
【0134】
本発明の化合物は、異なる互変異性形態でも存在し得、全てのそのような形態は本発明の範囲内に包含される。用語「互変異性体」又は「互変異性形態」とは、低いエネルギー障壁を介して相互変換可能な、異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトン移動互変異性体としても知られている)は、プロトンの移動を介する相互変換を包含する。原子価互変異性体は、結合電子のうちのいくつかの再編成による相互変換を包含する。
【0135】
2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸の調製のためのプロセスのための出発物質及び試薬は、一般的に市販されており、又は当業者によく知られた方法を使用して容易に調製される(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1-19, Wiley, N.Y. (1967-1999 ed.)、又はBeilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer-Verlag, Berlin(追補を含む)(Beilsteinオンラインデータベースを介しても入手可能)に一般的に記載される方法により調製される)。
【0136】
本発明の一実施態様において、式Iの化合物は、式(VII)

[上式中、
XはO又はSであり;

であり;
mは0又は1であり;
及びRは、それらが結合するN原子と共に、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、オキサゾリジノン、モルホリン及びチオモルホリンから選択される基を形成し、その基は−C(=Y)Rで置換されていてもよく;
YはO又はSであり;
はOHで置換されていてもよい−C1−12アルキルである]
の化合物の調製のために使用される。
【0137】
本発明の一実施態様において、上記のプロセスが使用され、ここで、式Iの化合物は、式VII

[上式中、
XはO又はSであり;

であり;
mは0又は1であり;
及びRは、それらが結合するN原子と共に、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、オキサゾリジノン、モルホリン及びチオモルホリンから選択される基を形成し、その基は−C(=Y)Rで置換されていてもよく;
YはO又はSであり;
はOHで置換されていてもよい−C1−12アルキルである]
の化合物の調製のための鈴木−カップリング反応に使用される。
【0138】
そのような鈴木−カップリング反応は、例えばWO2014/056955に開示されている。
【0139】
本明細書及び特許請求の範囲で、以下の略語が使用される:
【実施例】
【0140】
スキーム1

スキーム1は、本発明のプロセスに関する一例を要約する。
【0141】
AmberlystTM15 DRYのような固定化酸性触媒の存在下で、ジアルキルケータル(アセタール)誘導体を2−アミノ−5−ハロ−ピリミジン化合物と反応させることにより、アミノ保護化合物を調製した。ハロゲン(Hal)は典型的にはBrであった。保護イミン化合物をホウ酸エステル及びメタル化剤と反応させた。典型的には、n−ブチルリチウム等のアルキルリチウム化合物をそのようなメタル化に使用した。使用したホウ酸エステルは、典型的にはホウ酸トリ−イソプロピルであった。
【0142】
以下のスキーム、スキーム2−9は、式(I)の2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸ピリミジン並びに特定の中間体及び試薬の合成のための化学反応、プロセス、方法を更に説明する。
【0143】
スキーム2
p−トルエンスルホン酸一水和物のような酸触媒の存在下で、式(II)のジアルキルケータル(アセタール)誘導体を式(III)の2−アミノ−5−ハロ−ピリミジン化合物と反応させることにより、一般式(IV)のアミノ保護化合物を調製した。ハロゲン(Hal)は典型的にはBrであった。
【0144】
スキーム3
酸触媒の存在下で、式(IIa)のベンゾフェノン化合物をトリアルキルオルトホルメートと反応させることにより、式(II)のジアルキルケータル(アセタール)化合物を反応混合物中in situで典型的に調製した。典型的には、トリメチルオルトホルメートをp−トルエンスルホン酸一水和物の存在下で使用した。典型的には、ハロゲン(Hal)はBrであった。典型的には、第一の反応工程はメタノール中で行われ、第二の反応ステップは1,4−ジオキサン中で行われた。
【0145】
スキーム4
式(IV)の保護イミン化合物は、二段階反応において調製され得る。工程1において、メタノール中のp−トルエンスルホン酸一水和物の存在下で式(IIa)のベンゾフェノン化合物をトリメチルオルトホルメートと反応させ、ジアルキルケータル(アセタール)(II)を形成する。工程2において、式(II)のジアルキルケータル(アセタール)化合物を1,4−ジオキサン中の2−アミノ−5−ブロモ−ピリミジンと反応させる。
【0146】
スキーム5

式(IV)の保護イミン化合物をホウ酸エステル(V)及びメタル化剤と反応させた。典型的には、n−ブチルリチウム等のアルキルリチウム化合物をそのようなメタル化に使用した。使用したホウ酸エステル(V)は、典型的にはホウ酸トリ−イソプロピルであった。少なくとも二の有機溶媒の混合物中で前述の反応を行った。典型的には、THFとトルエンとの混合物を使用した。THFとトルエンの典型的な比は、0.3−0.6の範囲であった。反応の温度は、典型的には−50℃から−100℃の範囲であった。典型的には、ホウ酸エステル(V)をメタル化剤の前に反応混合物に添加する。
【0147】
スキーム6

式(IV)の保護イミン化合物をメタル化剤としてのn−ブチルリチウムと反応させた。典型的には、メタル化試薬を式(V)のホウ酸トリ−イソプロピルの後に添加した。THFとトルエンの混合物中で変換を行った。THFとトルエンの典型的な比は、0.3−0.6の範囲であった。反応の温度は典型的には−50℃から−100℃の範囲、典型的には−90℃であった。
【0148】
スキーム7

式(VI)の保護イミン化合物を加水分解し、2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸(I)を形成した。この工程において、保護基及びボロン酸エステル基を加水分解により、典型的には硫酸水溶液又は塩酸水溶液を使用して開裂させた。
【0149】
スキーム8

式(IV)の保護イミン化合物をメタル化剤としてのアルキルリチウムと反応させた。少なくとも二の有機溶媒の混合物中で変換を行った。典型的には、ホウ酸エステルをメタル化剤の前に反応混合物に添加し、式(VI)の保護ボロン酸メチルエステルを形成した。典型的にはTHFとトルエンの混合物中で変換を行った。THFとトルエンの典型的な比は、0.3−0.6の範囲であった。反応の温度は典型的には−50℃から−100℃、典型的には−90℃である。典型的には、式(VI)の化合物は、式(I)の化合物の加水分解の前に単離されなかった。式(VI)の保護イミン化合物を加水分解し、2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸(I)を形成した。この工程において、保護基及びボロン酸エステル基を加水分解により、典型的には硫酸水溶液又は塩酸水溶液を使用して開裂させた。
【0150】
スキーム9


式(IV)の保護イミン化合物をメタル化剤としてのn−ブチルリチウムと反応させた。典型的には、メタル化試薬を式(V)のホウ酸トリ−イソプロピルの後に反応混合物に添加した。少なくとも二の有機溶媒の混合物中で変換を行った。THFとトルエンの混合物中で変換を行った。THFとトルエンの典型的な比は、0.3−0.6の範囲であった。反応の温度は典型的には−50℃から−100℃、典型的には−90℃であった。典型的には、式(VI)の化合物は、式(I)の化合物の加水分解の前に単離されなかった。式(VI)の保護イミン化合物を加水分解し、2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸(I)を形成した。この工程において、保護基及びボロン酸エステル基を加水分解により、典型的には硫酸水溶液又は塩酸水溶液を使用して開裂させた。
【0151】
実施例1
ベンズヒドリデン−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミン

蒸留装置を備えた、清潔な、乾燥した、ジャケット付き反応器(不活性処理済)中に、200gの2−アミノ−5−ブロモ−ピリミジンと5.43gの洗浄済AmberlystTM15(H形態)を室温で充填し、751gのn−ブチルアセテート中に懸濁させる。撹拌器をおよそ300rpmで電源を入れる。弱流の窒素を注入チューブを介して混合物へ吹き込む。好適なガラス製ベッセル中、294gのジメトキシジフェニルメタンを2253gのn−ブチルアセテートに溶解させる。溶液をリザーバーベッセルに移す。ジャケット温度を調整し、反応器中の内部温度を114−120℃に維持する。続いて、事前に調製した溶液の添加を開始する。添加には約5から6時間かかる。内部温度は114℃から120℃の間にとどめておくべきである。蒸留物を回収する。反応完了後、バッチを所定の温度で撹拌し、完全な変換が達成されるまで、蒸留物を回収する。生成物比:前駆体>99:1。合計で731gの蒸留物を回収する。内部温度を75から85℃に調整する。得られた薄い懸濁液を、研磨濾過カートリッジを介して第二の乾燥した清潔な反応器(不活性処理済)に移し、触媒残留物を除去する。澄んだ黄色の溶液を得、その温度を75℃に維持する。反応器をn−ブチルアセテートでパージし、目視制御の後、溶液を反応器中に戻す。続いて、生成物の結晶化が生じる間、温度を60から70℃に下げる。減圧を適用し(およそ130mbar)、合計量1530gの第二の蒸留物を回収する。粗い結晶性懸濁液が得られる。ベッセルを窒素で大気にし、バッチを室温(18−22℃)に冷却する。撹拌を更に30分間継続し、続いて、標準的な磁器フィルターヌッチェを使用して生成物を濾過する。粗ウェットケーキを箱型乾燥機中40−50℃、100から200mbarで20時間乾燥させる。329gの黄色の結晶性粗生成物(85%に相当)を得る。粗物質を清潔な乾燥した不活性の反応器に充填し、3600gのトルエンを添加する。薄い懸濁液が形成されるまで、混合物を25から30℃の温度で90から120分間撹拌する。それを、カーボンブラックを充填したカートリッジを使用して別の乾燥した清潔な反応器中に濾過する。澄んだ明黄色の溶液が得られる。減圧を適用し(130−140mbar)、温度を50から55℃に調整して蒸留物を回収する。合計で3029gの第三の蒸留物を回収する。残留物中、濃懸濁液が形成される。ベッセルを窒素で大気にし、混合物を室温(18から22℃)に冷却する。得られた懸濁液を磁器フィルターを使用して濾過する。316gの湿った純粋な生成物を得、これを箱型乾燥機中40−50℃、100から200mbarで20時間乾燥させる。最終的に、291gの無色から明黄色の細かい結晶性固体を得る(75%)。
H−NNR(400MHz、dmso−d6)
δ=7.15−7.73(m、10H)、8.73(s、2H)
MP:162−165℃
MS(El+):M/Z=337
【0152】
実施例2
2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸

機械撹拌、電子温度計及び二つのリザーバー(滴下漏斗)を備えた、乾燥した、清潔なジャケット付き反応器(不活性、窒素雰囲気処理済)に、804gの乾燥THFを充填し、−95℃に冷却した。一方のリザーバー(R1)中で、172gのベンズヒドリデン−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミン、115gのホウ酸トリイソプロピル(1.2当量)及び追加の1609gのTHFの溶液を調製する。第二の滴下漏斗(R2)を155gのn−ブチルリチウム(2.5M、1.1当量)で充填する。その後、R1から、568gの溶液(0.3当量)を滴下し、−90℃未満に温度を維持する。続いて、R2(0.15当量)から21.1gのn−ブチルリチウム溶液を添加し、再び−90℃未満に温度を維持する。次いで、R1(0.15当量)から更に284gの溶液を添加し、続いてR2(0.15当量)から21.1gのn−BuLiを添加する。R1(0.15当量)からの284gの溶液の添加、続いてR2(0.15当量)からの21.2gのn−BuLiの添加まで、手順を再び繰り返す。変換をHPLCによりモニターする。R1(0.15当量)からの284.0gの溶液の添加、続いてR2(0.15当量)からの21.1gのn−BuLiの添加を継続する。この時点で、合計で0.75当量の前駆体及び0.6当量のn−BuLiが添加されている。R1(0.15当量)からの追加の284.0gの溶液、続いて21.1gのn−BuLi(0.15当量)を添加する。変換をHPLCにより再び検査する。R1(0.1当量)からの追加の190gの溶液及び35.3gのn−BuLi(0.25当量)を添加する。バッチをHPLCで再び分析する。多くの場合、更に14.1gのn−BuLi(0.1当量)を追加で添加する必要がある。バッチを−60℃に温め、1540gの水中にクエンチする。反応混合物を室温に温めるようにし、少なくとも30分間撹拌する。1125gのトルエンを添加し、バッチを更に15分間撹拌する。層を分離し、510gのトルエンで再び水分を抽出する。水性生成物層に、563gのMTBEを添加し、約200gの20%塩酸の添加により、pHを約1.3に調整する。その後、バッチを少なくとも4時間撹拌するようにし、続いて層を分離する。水層を563gのMTBEで抽出し、層の分離後、65.0gの33%苛性ソーダ溶液を使用してpHをおよそ7.5に調整する。得られたスラリーを室温で一時間撹拌し、濾過する。残留水分を含有する126gの白色の粗生成物を得る。それを395gの水及び95.0gのイソプロパノール中で再度スラリーにする。混合物を50℃に温め、この温度で少なくとも一時間撹拌する。バッチを室温に冷却し、細かい生成物を濾過する。湿った細かい生成物を得、これを箱型乾燥機中40℃から45℃、100から200mbarで乾燥させ、57.6gの白色の、細かい結晶性ボロン酸(81%)が残る。
H−NNR(400MHz、dmso−d6+DO)
δ=6.82(s、2H)、H−D交換のため、NH、B(OH)は未観察。
MP:186−188°C
【0153】
実施例3
ベンズヒドリデン−5−(ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミン

蒸留ブリッジを備えた好適なフラスコ中で、200gのベンゾフェノン(1,1mol、1.2当量)を1860gのメタノール(2350ml)に撹拌しながら添加した。反応混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(4g、21mmol)を室温で撹拌しながら添加した。反応物を還流温度(65℃)に温めた。2時間以内にトリメチルオルトホルメート(175g、1,65mol)を撹拌しながら添加し、その間メタノールとメチルホルメートとの混合物を蒸留した。約190から210gの蒸留物をヘッド温度58℃で回収した。添加完了後、混合物を更に60分間撹拌した。続いて、温度をゆっくりと100℃に上げ、更なる蒸留物(3040g)を回収し、並行して1,4−ジオキサン(3200g、3100ml)を添加した。反応混合物を80℃に冷却し、160g(0.92mol)の2−アミノ−5−ブロモ−ピリミジンを撹拌しながら添加した。2−アミノ−5−ブロモ−ピリミジンの添加後、反応混合物を100℃に温め、メタノールと1,4−ジオキサンとの混合物を蒸留した。反応フラスコの充填レベルを継続して検査し、必要に応じて1,4−ジオキサンを添加して充填レベルを一定に保つ。反応完了後(変換が安定しておよそ16時間後)、更なる1,4−ジオキサンを蒸留し(正味1440gの溶媒を混合物から除去する)、懸濁液が形成される間、バッチを冷却する。およそ60℃でMTBE(480g、650ml)を添加し、スラリーをゆっくりと室温(20−25℃)に冷却する。固体を濾過し、残留物を80gのMTBEで洗浄した。箱型乾燥機中40℃、200mbarで終夜乾燥させた後、246.9g(80%)の純度98−99%を有する粗生成物を得た。
H−NNR(400MHz、dmso−d6)
δ=7.15−7.73(m、10H)、8.73(s、2H)
MP:162−165℃
MS(El+):M/Z=337
目視:白色からベージュ色の固体
【0154】
実施例4
2−アミノ−ピリミジン−5−ボロン酸

好適なフラスコ中、ベンズヒドリデン−5−(ブロモ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル)−アミン(25g、74mmol)、THF(139g、158ml)及びトルエン(302g、343ml)を混合し、−90℃に冷却した。この混合物にホウ酸トリイソプロピル(15.3g、81mmol)を一度に添加した。2時間かけてゆっくりと、n−BuLi(24.7g、89mmol)を添加し、−90℃未満の温度を維持した。完全な変換を確認した後、反応混合物を−30℃に温め、213gの水を含有する、20から25℃の第二のフラスコに移した。二相性混合物を更に30分間撹拌し、続いて層を分離した。水性相を37%HClを添加することにより、pH1に設定した。水性相をMTBE(それぞれ、80g、108ml)で二度抽出し、得られた水性相を33%水性NaOHを適用してpH7.5に設定し、粗生成物を沈殿させた。濾過後、15gの水で洗浄し、乾燥室で乾燥させ、7.1g(51mmol、69%)の最終生成物を得る。
H−NNR(400MHz、dmso−d6+DO)
δ=6.82(s、2H)、H−D交換のため、NH、B(OH)は未観察。
MP:186−188°C
目視:白色からオフホワイト色の固体
【0155】
前述の発明は、明確な理解の目的のために例示及び実施例によってある程度詳細に説明されてきたが、これらの説明や例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、全ての適切な改変及び等価物は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると考えることができる。本明細書に引用されるすべての特許及び科学文献の開示は、その内容全体が出典明示により援用される。