(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つ又は2つ以上の追加のポリマー溶液を前記成形型に入れる前記工程は、前記ポリマー溶液を付勢することが前記第1のポリマー溶液及び前記1つ又は2つ以上のポリマー溶液を付勢することを含むように、付勢する前記工程の前に起こる、請求項8に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
全体を通して同じ参照番号が同じ要素を示す図面を詳細に参照すると、
図1A及び3Aでは、本開示の例示的な実施形態に従う、概して10と指定されるポリマーフィルム、及び概して18と指定される成形型が示されている。
【0023】
図1Aの実施形態を参照すると、フィルム10(例えば、ポリマーフィルム)は、第1の表面10aと、横断方向Tに沿って第1の表面の反対側にある第2の表面10bとを有する、可撓体11である。
図2にも図示されるように、可撓体11、ひいてはフィルム10は、横断方向Tに対して直角である横方向Aに沿って互いに離間する第1の側面10c及び反対側の第2の側面10d、並びに横断方向T及び横方向Aの両方に対して直角である長手方向Lに沿って互いに離間する第1の端部10e及び反対側の第2の端部10fを画定する。一実施形態に従って、フィルム10は、長手方向Lに沿う長さを画定するように長手方向Lに沿って伸長しており、横断方向Tに沿う厚さを画定し、横方向Aに沿う幅を画定する。側面10c及び10d並びに端部10e及び10fは、縁部を画定し得、組み合わせてフィルム10の外側周辺部13を画定し得る。
【0024】
本フィルムは、ポリマー材料などの生物学的に適合性の材料の少なくとも1つの層を画定し得る。一実施形態では、フィルム10は、生物学的に適合性の材料の単一の薄層から形成され得る。一実施形態では、フィルム10は、生物学的に適合性の材料の2つ又は3つ以上の層、例えば2つの層、3つの層、4つの層、最大7つの層からなる。ある特定の実施形態では、フィルム10は、接着剤層を備え得る。例えば、フィルム10の第1の表面10a若しくは第2の表面10b、又は第1の表面10a及び第2の表面10bの両方は、接着剤層が第1の表面10a及び第2の表面10bのうちの一方又は両方を画定するように、接着剤層を備え得る。例えば、フィルム10が単一層から形成されるとき、フィルム10の単一層は、接着剤の層がフィルム10の単一層によって画定され、かつ第1及び第2の表面のうちの一方又は両方が接着剤層を備え得るように、接着特性を有し得る。あるいは、フィルム10が複数(例えば、少なくとも2つ)の層を備えるとき、フィルム10の2つ又は3つ以上の層のうちの少なくとも1つは、フィルムの第1及び第2の表面10a及び10bのうちの一方又は両方に適用される接着剤の層を含み得る。ある特定の実施形態では、フィルム10の層のうちの1つ又は2つ以上は、薬物含有層及び/又は薬物放出のための速度制御層(その中に含有される薬物を有するか若しくは有しない)であり得る。別途記載のない限り、本明細書におけるフィルム10の1つ又は2つ以上の層への言及は、フィルム10が単一層から形成される実施形態、及び本フィルムが複数の層を備える実施形態の両方を含む。
【0025】
好ましい実施形態では、生物学的に適合性の材料はポリマー材料であり、更に好ましい実施形態では、ポリマー材料は生体再吸収性である。骨プレート12(
図2参照)などの医療デバイスと共に使用される実施形態、例えば本フィルムが骨プレート12の少なくとも一部を被覆する場合では、フィルム10は、いくつかの実施形態では、インビボで埋め込まれると経時的に溶解し、患者へと吸収され、骨プレート12のみを残す(骨プレート12も生体再吸収性材料で作製されていない場合など)。他の実施形態では骨プレート12も生体再吸収性材料で作製されてもよく、この場合、骨プレート12及びフィルム10の両方が最終的には溶解する。いくつかの実施形態では、フィルム10は、吸収性の骨プレート12から異なる速度(例えば、より速い又はより遅い速度)で吸収するように構成され得る。ある特定の実施形態では、使用中、フィルム10の第1の表面10aは骨プレート12に向いていてもよく、第2の表面10bは骨プレート12から離れる方向に向いていてもよく、かつ他の実施形態では、使用中、フィルム10の第2の表面10bは骨プレート12に向いていてもよく、第1の表面10aは骨プレート12から離れる方向に向いていてもよいことを理解されたい。本明細書において骨プレート12を参照するが、フィルム10は、筋骨格の修復に使用される任意の好適な整形外科用インプラントなどの、所望される任意の好適な医療用インプラントと組み合わせて使用されるように構成されること、かつ本明細書に別途記載のない限り、骨プレート12への参照は、他の医療用インプラントに対する同程度の重要性と共に適用されることを理解されたい。
【0026】
いくつかの実施形態では、生体再吸収性フィルム10は、例えば、高密度な線維組織で包まれるか若しくはその中に包埋されるか、又は長期の異物曝露に関連する他の問題を提示する場合がある、非再吸収性のメッシュに勝る利点を有する。いくつかの実施形態では、フィルム10は、部分的にのみ生体再吸収性である。
【0027】
生体再吸収性ポリマーは、明確な終点と共に抗生物質などの薬物の制御放出を提供するために使用され得る。抗生物質が連続的に長期間存在することは、抗生物質抵抗性バクテリアの発達のための条件をもたらし得るため、多くの場合望ましくない。一実施形態では、フィルム10の完全な分解は、所定かつ/又は選択可能な時間で薬物が完全に放出されることを確実にする。一実施形態では、薬物放出は、フィルム10が完全に吸収されない場合でも、完全に放出されるか、又は実質的に完全に放出されることができる。
【0028】
フィルム10の吸収はまた、連続放出段階の抗生物質の放出に影響し、かつ/又はそれを制御することができる。フィルム10が分解するにつれて、例えば、フィルムの透過性が上昇し得、より多くの薬物が放出され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、可撓性であり、十分に高い引張強度を有し、かつ溶液流延によって加工され得るフィルムを画定する。
【0029】
好ましい生体再吸収性ポリマーの具体的な種類の1つは、脂肪族ポリエステルを含有するものである。そのようなポリエステルの例としては、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン、ポリ(トリメチレンカーボネート)(TMC)、ポリヒドロキシアルカノエート、並びにそれらのコポリマー、誘導体、及び配合物が挙げられる。生体再吸収性ポリマー材料は、その分子量、多分散性、結晶化度、ガラス転移温度、及び分解速度において異なり得、これはフィルムの機械的特性を究極的に変更し得る。
【0030】
特に好ましい生体再吸収性ポリマーとしては、PGA、PLA、及びPCLを含有するコポリマー組成物が挙げられる。一実施形態によると、フィルム10は、約40重量%〜約95重量%、例えば約60%〜約75%、約60%〜約70%、約65%〜約75%、及び約68%〜約72%のグリコリド含有量を有するコポリマーからなる。別の実施形態によると、フィルム10は、約1重量%未満(0重量%を含む)〜約50重量%、例えば約5%パーセント〜約30%、約10%〜約40%、約10%〜約22%、約14%〜約18%、及び約30%〜約40%のカプロラクトン含有量を有するコポリマーからなる。更なる実施形態によると、フィルム10は、約1重量%未満(0重量%を含む)〜約15重量%、例えば約1%未満〜約10%、約1%未満〜約7.5%、約3%〜約7.5%、約1%未満〜約5%、及び約4%〜約7%のラクチド含有量からなる。
【0031】
一実施形態では、フィルム10は、4つのモノマー、グリコリド、ラクチド、カプロラクトン、及びトリメチレンカーボネートのうちの1つ又は2つ以上を含むコポリマーからなる。グリコリドが含まれてもよく、フィルム10の分解を加速する効果を有し得る。ラクチドが含まれてもよく、フィルム10の機械的強度を上昇させる効果を有し得る。カプロラクトン及びトリメチレンカーボネートが使用されてもよく、フィルム10の可撓性を上昇させる効果を有し得る。
【0032】
一実施形態では、生体再吸収性ポリマーは、PLA、PGA、PCL、ポリジオキサノン、TMC、及びこれらのコポリマーのうちの1つ又は2つ以上を含む。一実施形態では、生体再吸収性ポリマーは、グリコール酸、カプロラクトン、乳酸、及びトリメチレンカーボネートのコポリマーから生成される。一実施形態では、生体再吸収性ポリマーは、約60〜70%のグリコール酸、約17〜20%のカプロラクトン、約5〜10%の乳酸、及び約8〜10%のトリメチレンカーボネートのコポリマーから生成される。一実施形態では、生体再吸収性ポリマーは、L−乳酸、D−乳酸、L−ラクチド、D−ラクチド、D,L−ラクチド、グリコリド、ラクトン、ラクタム、トリメチレンカーボネート、環状カーボネート、環状エーテル、パラ−ジオキサノン、β−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、β−ヒドロキシ吉草酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される繰り返し単位を含有する。一実施形態では、生体再吸収性ポリマーは、L−乳酸、D−乳酸、L−ラクチド、D−ラクチド、D,L−ラクチド、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、パラ−ジオキサノン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される繰り返し単位を含有する。フィルム10は、同様に、又は別法として、アルギネート、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸塩、ゼイン、及びその他のものなどの天然バイオポリマーを含み得る。
【0033】
更に
図1Aを参照すると、フィルム10は、
図1A及び1Bに開口14を包囲するものとして図示される隆起縁14aを含まず、第1の表面10aと第2の表面10bとの間の横断方向Tに沿って測定される厚さh
3を含む、任意の好ましい寸法を有するように構成され得る。一実施形態では、フィルム10は、骨プレート12と、固定中にフィルム10及び骨プレート12を通して下層の骨へと駆動されるスクリューとの間の機械的連動に干渉しないように、十分に薄い(プレートとスクリューとの間にフィルムが捕捉される場合など)。いくつかの実施形態では、厚さh
3は、可能な限り最小化される。一実施形態では、フィルム10の厚さは、フィルム10の分解がプレート−スクリュー構造物などの骨プレート12への接続の著しいゆるみを引き起こさないように選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.05mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.05mm以下である。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.05mm未満、例えば約0.04mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.06mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.07mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.08mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.09mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.1mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.2mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.3mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.4mmである。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は約0.5mmである。
【0035】
一実施形態では、フィルム10の厚さh
3は、フィルム本体11全体にわたっておよそ均一である。いくつかの実施形態では、フィルム10は、外側周辺部13に沿って1つ又は2つ以上の縁部に向かって先細りしている。いくつかの実施形態では、フィルム10の厚さh
3は、各領域の強度又は薬物送達を制御するために、フィルム本体11の2つ又は3つ以上の部分において異なる。
【0036】
いくつかの実施形態では、フィルム10は、埋め込み、穿孔、及びスクリュー配置などの機械力に耐えるのに十分な強度をしている。他の実施形態では、フィルム10は、スクリュー又は他の固定要素がフィルムの一領域を通って貫通するとその領域が破断することを可能にする引張特性を有する。これは、潜在的にフィルムへの損傷を引き起こし、かつ固定要素の正しい配置を阻害する場合がある、フィルムが固定要素ともつれること、又はさもなければその周囲に巻き付けられることを防止する利点を有する。一実施形態では、フィルム10は、第1の平面方向における第1の引張強度、及び第1の平面方向に対して直角である第2の平面方向における第2の引張強度を有し、第1の引張強度は、第2の引張強度と実質的に等しい。一実施形態では、フィルム10は、以下の表1〜3に列挙される強度特質を有する。以下の表に列挙される6つの試料のそれぞれは、約70重量%のグリコリド、17重量%のカプロラクトン、8重量%のトリメチレンカーボネート、及び5重量%のラクチドを含有するコポリマーからなるフィルムであった。
【0040】
一実施形態では、フィルム10は、約2%〜約4%の降伏点における引張ひずみ(オフセット0.2%)及び/又は約3%の平均引張ひずみを有する。一実施形態では、フィルム10は、約9MPa〜約14MPaの降伏点における引張応力(オフセット0.2%)、及び/又は約12.5MPaの降伏点における平均引張応力を有する。一実施形態では、フィルム10は、約25MPa〜約30MPaの最大負荷における引張応力、及び/又は約27MPaの最大負荷における平均引張応力を有する。一実施形態では、フィルム10は、約30%〜約215%の破断点における引張ひずみ(標準)、及び/又は約89%の破断点における平均引張ひずみを有する。一実施形態では、フィルム10は、約430MPa〜約750MPaの自動ヤング率、及び/又は約590MPaの平均自動ヤング率を有する。フィルム10は、前述の特性のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせを特徴とする場合がある。
【0041】
図1A、1B、2、11K、及び11Lを参照すると、いくつかの実施形態では、フィルム10は、複数の開口、即ち開口14を含む。一実施形態では、開口14は、フィルム10を通る流体の通過又は移送を可能にする(例えば、生きている組織の付近に埋め込まれる場合)。いくつかの実施形態では、例えば、フィルム10と骨プレート12との間に「デッドスペース」を生じさせることを回避するために、スリーブの一方の側面から他方への(内側から外側への)流体の流動を可能にすることが重要である場合がある。更に、開口14は、ポリマーから材料が浸出するにつれて、そのような開口を有しないスリーブよりも均一な薬物又は生物剤の分散を、隣接する組織及び骨に有利に提供することができる。
【0042】
開口14は、同じポリマーフィルム内での偏差を含む、任意の大きさ及び形状になるように構成され得る。一実施形態では、開口14は、実質的に円筒状の側壁によって画定される。いくつかの実施形態では、開口14は、内向きに対向する凸面であるセグメントを有する側壁を有する。いくつかの実施形態では、内向きに対向する凸面は、実質的に放物線状である。開口14は、断面が完全に円形である必要はなく、いくつかの実施形態では、卵形、楕円形、星形、又はダイヤモンド形であり得る。いくつかの実施形態では、開口14は、1つ又は2つ以上の頂点まで延在する。一実施形態では、そのような頂点は、使用中のフィルム10の破断を促進する(例えば、開口によって弱点のゾーンが生じる場合)。一実施形態では、開口14は、シート12を完全に通って第1の表面10aから第2の表面10bまで延在する(
図4C参照)。一実施形態では、開口14のうちの1つ又は2つ以上は、薬物放出又はフィルム10の初期強度を制御するように、フィルム10を部分的にのみ通って、例えば、第2の表面10bから第1の表面10aに向かうがそこまでは延在しなくてもよい。ある特定の実施形態では、フィルム10は、開口14を有する第1の1つ又は2つ以上の領域、及び開口14を欠く第2の1つ又は2つ以上の領域を有し得る。フィルムの領域は、フィルム表面10a又は10bの総表面積の少なくとも10%の、実質的に楕円形又は四辺形のいずれかである、連続した任意の単一の領域として定義され得る。一実施形態によると、開口14を有する1つ又は2つ以上の領域は、開口14を有しない1つ又は2つ以上の領域によって分離され得る。別の実施形態によると、開口を有する領域は連続しており、更なる実施形態では、開口を有しない領域は連続している。例えば、フィルム10の周辺部が開口を有し得る一方でフィルムの残りは開口を欠くか、又は別法として、フィルム10の周辺部は開口を欠く一方でフィルムの残りが開口を有してもよい。分布パターンが、フィルム全体にわたる開口の均一又は規則的な分布を可能にすることに加えて、フィルムの任意の一領域により多くの又はより少ない開口を含むように、所望の通り構成され得ることを理解されたい。
【0043】
開口14は、フィルム10の任意の所望の多孔率を可能にするように構成され得る。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約1%〜約30%、別の実施形態では約5%〜約25%、別の実施形態では約10%〜約20%、好ましい実施形態では約15%の範囲である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約1%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約2%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約3%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約4%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約5%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約6%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約7%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約8%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約9%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約10%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約11%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約12%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約13%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約14%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約15%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約16%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約17%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約18%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約19%超である。一実施形態では、フィルム10の多孔率は約20%超である。
【0044】
図11Lを参照すると、一実施形態では、開口14は、約0.1mm〜約1.5mm、例えば約0.1mm〜1.0mm、0.1mm〜0.5mm、0.5mm〜1.5mm、0.5mm〜1.0mm、0.1mm〜0.75mm、0.5mm〜0.75mm、0.75mm〜1.0mm、及び0.75mm〜1.5mmなどの範囲内の平均最大断面長さ(例えば、直径)を有する。好ましい実施形態では、開口14は、約0.75mmの平均最大断面長さ(例えば、直径)を有する。一実施形態では、開口は、約0.5mm〜約5mm、例えば約0.5mm〜約2.5mm、2.5mm〜5.0mm、1.0mm〜2.0mm、1.5mm〜2.0mm、0.5mm〜1.0mm、0.5mm〜1.75mm、及び1.0mm〜1.75mmなどの範囲内で隣接する開口から離間している。特に好ましい実施形態では、開口は、0.75mmの平均最大断面長さを有し、約1.75mm離間している。好ましい実施形態では、開口14は、約1.75mm離間している。一実施形態では、開口14は、規則的な配列(例えば、
図11Kに図示される整列された段及び列)で配置される。一実施形態では、開口14は、不規則な配列で配置される。したがって、開口14は、フィルム10、骨インプラントの整列された骨固定孔、及び下層の骨を通して駆動される骨スクリューのねじ付きシャフトの直径が、開口14の断面寸法、及び隣接する開口14間の間隙の両方よりも大きいように概して構成され得、それにより、所与のスクリューシャフトが、1つより多い開口14を含むフィルム10の領域を通して駆動されるように構成される。骨固定スクリューのシャフトが、複数の開口14などの開口14のうちの少なくとも1つを通して、整列された骨インプラント孔を通して下層の骨へと駆動され得ることを理解されたい。開口14のうちの少なくとも1つ又は2つ以上を通してスクリューシャフトを駆動する工程は、開口14を欠くフィルム10の領域を通してスクリューシャフトを駆動する工程と比較して、無作為で予想不可能なフィルムの破断を減少させることができる。
【0045】
図1A、1B、及び4Cを参照すると、いくつかの実施形態では、第1の表面10aは、連続した平面部分15、並びに、連続した平面部分15及び開口14のそれぞれの1つを画定する1つ又は2つ以上の内面に隣接する、境界面(以下に記載されるように凝固したメニスカス17として構成され得る)を画定し得る。一実施形態に従って、メニスカス17のうちの1つ又は2つ以上は、横断方向Tに沿って、連続した平面部分15に対して外向きに(例えば、第2の表面10bから第1の表面10aに向かう方向に沿って)延在する、したがって第1の表面10aから外向きに延在する、隆起縁14aとして構成され得る。各開口14周囲の隆起縁14aの利益は、各開口14に補強材又はグロメットを提供し、隆起縁14aを欠く同様の穿孔フィルムに対してフィルム10の機械的強度を有効に増加することを含み得る。隆起縁14aの更なる利益は、第1の表面10a上の質感を含み得る。そのような質感は、触感のため、又は、例えば、第1の表面10aが別の表面と接触しているとき、フィルム10の第1の表面10aの摩擦を増加させる(若しくは低減させる)目的のための利点となり得る。一実施形態では、隆起縁14aは、フィルム10がインプラントの金属表面などの表面に接着する傾向を減少させ、フィルム10から作製されたスリーブを骨プレート12上に摺動させることをより容易にする。一実施形態では、縁14aは、骨プレート12とフィルム10との間にスタンドオフを提供し、それによって、骨プレート12と接触しているフィルム10の表面積を低減させる。
【0046】
一実施形態では、連続した平面部分15は、複数の隆起した突出縁14aの間に、例えば隆起縁14aのそれぞれから、その他の隆起縁14aまで延在する。一実施形態では、隆起縁14aは、実質的に衝突クレーターの外表面の形状をしている。一実施形態では、隆起縁14aは、連続的な凹状外表面を画定する。一実施形態では、凹状外表面は、放物線状の凹状面である。一実施形態では、縁14aのうちの1つ又は2つ以上(又はいくつかの実施形態では各縁14a)は、凹状外表面及び反対側の凸状内表面を有し、そのいずれか又は両方が放物線状の形状をしている。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.1mm〜約1.0mm隆起している縁部を有し得る。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.1mm隆起している縁部を有する。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.2mm隆起している縁部を有する。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.3mm隆起している縁部を有する。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.4mm隆起している縁部を有する。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.5mm隆起している縁部を有する。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.6mm隆起している縁部を有する。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.7mm隆起している縁部を有する。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.8mm隆起している縁部を有する。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約0.9mm隆起している縁部を有する。一実施形態では、縁14aはそれぞれ、第1の表面10aの連続した平面部分15から約1.0mm隆起している縁部を有する。
【0047】
一実施形態では、縁14aは、縁14aを欠く第2の表面10bの第2の触感とは異なる(例えば、外科用手袋を装着している外科医によって区別可能な)第1の触感を、第1の表面10aに付与する。一実施形態では、第1の表面10a上の1つ又は2つ以上の領域内の開口14はそれぞれ隆起縁14aによって境界されており、第1の表面10a上の1つ又は2つ以上の他の領域内の開口14はそのように境界されていない。一実施形態では、凝固したメニスカス17は、第2の表面10bから隆起縁14aの最も外側の端部までの高さh
4(
図4C参照)を画定し得る。高さh
4は隆起縁14aによって画定され得、一実施形態によると第1の表面10a全体にわたって均一であり得る。一実施形態では、隆起縁14aのうちの少なくとも1つは、他の隆起縁14aのうちの少なくとも1つの高さh
4と異なる高さh
4を有する。一実施形態では、1つ又は2つ以上の開口14は、第1の表面10a及び第2の表面10bの一方又は両方の上の縁14aによって境界される。
図1Aに図示されるものなどの実施形態は、各開口14を包囲する単一の連続的な縁14aを含み得る。連続的な縁は、任意の1つの開口に対して、又は開口14から開口14まで、厚さが実質的に均一であり、かつ/又は高さが実質的に均一であり得る。開口14は、フィルム10の全部又は少なくとも一部にわたって均一に離間していてもよい。他の実施形態では、フィルム10の少なくとも一部は、2つの異なるパターンの開口14を画定するように、少なくとも2つの異なる間隔構成で離間する開口14を特徴とする。
【0048】
いくつかの実施形態では、フィルム10は、体内の送達のための1つ若しくは2つ以上の薬物又は他の物質を含む。そのような薬物としては、抗菌剤、抗線維化剤、麻酔剤、及び抗炎症剤、並びにタンパク質、成長阻害剤などの生物剤を含む他の種類の薬物が挙げられるが、これらに限定されない。更なる実施形態では、フィルム10は、1つ又は2つ以上の生体適合性粒子を含み得る。該粒子は、一実施形態によると、骨再形成及び再生を助け得る。例えば、ある特定の実施形態では、粒子は、リン酸カルシウム又は硫酸カルシウム粒子などのカルシウム含有塩粒子である。これらのカルシウム塩は、骨再形成及び再生部位における使用のために周知である。他の潜在的な生体適合性粒子としては、例えば、シリコン、マグネシウム、ストロンチウム、及び亜鉛を含有する塩又は酸化物を挙げることができる。ある特定の実施形態では、該粒子は、ポリマーフィルム内で少なくとも部分的に不溶性であり、実質的に不溶性であり得る。該粒子がフィルム内で不溶性である実施形態では、該粒子は、ポリマーフィルム内の不均質な核生成部位を提供する。そのような核生成部位は、そのような核生成部位を有しないフィルムと比較して、フィルムの総合的な結晶化度を上昇させることに加えて、フィルムの結晶化の速度を上昇させることができる。ポリマーフィルムの結晶化度特性の変更は、弾性挙動の減少が好ましいときに望ましい場合がある。例えば、
図12及び13(以下により完全に説明される)は、不溶性の生体適合性粒子を組み込むと(この場合、不溶性ゲンタマイシン硫酸塩粒子を5%及び10%添加すると)、単味のポリマーフィルムの伸長及び降伏特性が減少することを示す。更に、結晶化度の上昇は、生分解性ポリマーフィルムの分解速度を潜在的に遅くする要因であり得る。
【0049】
一実施形態では、フィルム10は、薬物(単数又は複数)などの活性剤を含む。活性剤は、抗菌剤、例えば抗生物質、抗ウイルス剤、又は駆虫剤であり得るが、以前に言及されたように、例えば、抗炎症薬、ステロイド、鎮痛剤、オピオイド、成長因子などを含む、整形外科手術と共に典型的に使用される他の活性剤も、本開示の範囲内に企図されることを理解されたい。抗生物質を含む実施形態では、選択される抗生物質は、整形外科用インプラントに関連する感染に見出されるバクテリアの過半数に対して活性であり得る。これらは、主にブドウ球菌、及びグラム陰性桿菌を含む。
【0050】
一実施形態では、選択される薬物は、本フィルムを製作する製造プロセスの間、安定している。用いられる製造プロセス、本フィルムのポリマー製剤、好ましい薬物、及び好ましい薬物の製剤処方(例えば、用いられる具体的な薬学的塩)に応じて、該薬物は、ポリマー製剤に対して可溶性又は不溶性のいずれであってもよい。該薬物がポリマー中で少なくとも部分的に(「実質的に」を含む)不溶性である実施形態では、本フィルムは、薬物粒子を物理的に封入することができる。該薬物がポリマー中で少なくとも部分的に(「実質的に」を含む)可溶性である実施形態では、本フィルムは、該薬物と、かつそれに対して、化学的に接合することができる。ある特定の実施形態では、本フィルムは、該薬物と、かつそれに対して、物理的に封入すること、及び化学的に接合することの両方が可能である。
【0051】
一実施形態では、フィルム10はゲンタマイシン硫酸塩を含む。ゲンタマイシン硫酸塩は100℃超で熱的に安定しており、いくつかの実施形態で製造プロセスに使用されるDMSOを含む有機溶媒に対して安定している。ゲンタマイシン硫酸塩は、MRSA、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、並びにシュードモナス及びエンテロバクター種などのグラム陰性桿菌を含む黄色ブドウ球菌などの、整形外科感染に一般的に関連する多くのバクテリアに対して活性である。いかなる特定の理論にも束縛されることなく、金属性インプラントを含む骨折部位へのゲンタマイシンの局所送達は、骨折部位のゲンタマイシンの局所的により高い濃度が原因で、中等度である、又は全身レベルのゲンタマイシンに対して抵抗性があるいくつかのバクテリアによる感染を予防するのに有効であり得ると考えられる。
【0052】
図4A〜4Cを参照すると、一実施形態では、フィルム10は、以前に言及されたように薬物が不均質な核生成部位を提供する生体適合性粒子として機能し得るように、フィルム内で少なくとも部分的に不溶性であり、かつ実質的に不溶性であり得る薬物を含む。更なる実施形態では、フィルム10は、複数の個別の溶出薬物構成成分30を含む。一実施形態では、フィルム10は、埋め込み後の異なる期間で複数の個別の薬物構成成分30を溶出するように構成される。一実施形態では、薬物構成成分30(例えば、ゲンタマイシンなどの抗生物質)のインビボ溶出は、フィルム10が水又は体液に接触するとすぐにバースト放出が起こり、ポリマーの分解速度によって第2相が制御される、2相プロセスである。いくつかの実施形態では、初期埋め込みによる創傷部位のバクテリア汚染を低減するために、ゲンタマイシンの初期バースト放出を有し、次に、残存している一切のバクテリアの成長及び/又はバイオフィルム形成を防止するために、その後数日から数週間の期間にわたってより低いレベルのゲンタマイシンの放出を有することが望ましい。一実施形態では、フィルム10は、埋め込み後の初めの1時間以内に、薬物の最大約20パーセントを溶出するように構成される。別の実施形態では、フィルム10は、フィルム10が生きている組織と接触して埋め込まれた約1週間後に、フィルム10内に含有される薬物の最大約60パーセントを溶出するように構成される。別の実施形態では、フィルム10は、埋め込み後10日以内に、薬物の最大約100%を溶出するように構成される。一実施形態では、粒径とポリマー分解速度との組み合わせが薬物放出プロファイルを制御し、所望の2相放出をもたらす。一実施形態では、該薬物は、2〜3週間の期間にわたって放出される。他の実施形態では、該薬物は、より短い又はより長い時間枠にわたって放出される。
【0053】
該薬物がフィルムと不溶性である一実施形態では、これら2相の間に放出される薬物の相対量は、フィルム内の該薬物の粒径によって制御される。一実施形態では、薬物構成成分30は、フィルム10全体に均一に分散され、フィルム10の表面と接触しているいかなる薬物構成成分30も、フィルム10の表面と接触していない薬物構成成分30よりも急速に溶解される。一実施形態では、埋め込まれるとフィルム10の表面と接触するある量の薬物構成成分30は、埋め込まれると一気に放出するように構成される。一実施形態では、薬物構成成分30の大きさが大きいほど、表面と接触する薬物構成成分30の割合は高くなり、バースト放出は大きくなる。この理由のため、薬物構成成分30の大きさは、一実施形態では、直径10マイクロメートル未満に保たれ、これはバースト放出を合計薬物含有量の約20〜35%に低減させる。一実施形態では、薬物構成成分30は、直径20マイクロメートル未満である。
【0054】
一実施形態では、フィルム10は、いくつかは薬物を含有しない場合がある1つ又は2つ以上の独立した層から、複数の薬物を送達するように構成される。ある特定の実施形態では、該層のうちの1つ又は2つ以上は、薬物含有層及び/又は薬物放出のための速度制御層(その中に含有される薬物を有するか若しくは有しない)であり得る。別の実施形態では、フィルム10は、第1の薬物が、第2の薬物の第2の放出プロファイルと異なる第1の放出プロファイルに関連するように、それぞれがフィルム10からの異なる放出速度を特徴とする、複数の薬物構成成分を含み得る。
【0055】
本フィルムが、ある期間にわたってフィルムから手術部位環境へと放出することができる1つ又は2つ以上の抗生物質を含有する場合、抗生物質含有フィルムの存在が原因で、ある特定のバクテリア成長が生じ得ない阻害ゾーン(ZOI)がフィルムの周囲に形成され得る。本フィルムが中心軸又は中心点を画定する場合、ZOIは、バクテリアがコロニー形成しない、中心軸又は中心点から3次元で延在する半径方向距離として定義される。一実施形態によると、本フィルムは、少なくとも12mmのZOIを有する。本フィルムが抗生物質ゲンタマイシン(13重量%)を含む一実施形態によると、本フィルムは、少なくとも20mmのZOIを有し、バクテリアは、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌、若しくはエンテロバクタークロアカ、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0056】
したがって、フィルム10が、医療用インプラントと組み合わせて使用されるのに好適なカバーを画定する場合、該カバーは、有効であるためにインプラントの全表面積に重なり合う必要はなく、したがって、インプラントの一方又は両方の側面(例えば、骨対向側面、及び骨対向側面の反対側の側面)の表面積の少なくとも一部から最大でインプラントの一方又は両方の表面積の全体に重なり合うことができる。例えば、少なくとも1つのフィルム10が、骨プレート12などのインプラントを完全に被覆するように設計されるポリマーフィルムスリーブ31(例えば、
図11A〜J参照)として構成されたカバーを画定する場合では、フィルム10は、骨折整復及びプレーティングの間に破断若しくは損傷する場合があるか、又はさもなければインプラントの全表面を被覆しない。あるいは、スリーブは、インプラントの一部のみを被覆するように設計され得る。この様式で、外科医は、特定の手術部位及び/又は医療用インプラントに必要とされる適切な阻害ゾーンを決定し、それに従ってポリマーフィルムを用いること、例えば、適切な長さ及び/又は量のポリマーフィルムを用いることができる。
【0057】
図3A〜10を参照すると、本開示の例示的な実施形態に従ってフィルム10を製造する方法に使用されるデバイスが示されている。
【0058】
一実施形態では、1つの製造方法は、薬物送達のためのポリマーフィルム10を生成する。一実施形態では、フィルム10は、溶媒流延される。いくつかの実施形態では、溶媒流延方法は、吹込フィルム押出などの溶融プロセスの熱及び剪断によって潜在的に損傷し得る薬物構成成分30を含有するフィルム10の製作に有利である。パンチプレス(例えば、何百若しくは何千もの孔、又は複雑な幾何学的形状を有する孔を有する)を使用してフィルム10を生成することは、時間がかかり、高価である場合もある。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、薄いフィルム10及び開口14を単一工程で生成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、開口14の幾何学的形状及び配置を精確に所定通り制御し、フィルム10の厚さを精確に所定通り制御しながら、フィルム10及び本フィルムの周辺部内に数千の開口14を生成する。
【0060】
図3A〜3Gを参照すると、いくつかの実施形態では、フィルム10は、成形型18内に流延される。一実施形態では、成形型18は、成形型18の底部18aから延在する複数の突出部又は柱20を含む。ポリマー溶液が成形型18内に堆積されると、柱20は、ポリマー溶液が凝固してフィルム10になるときに開口14を画定する空間を占有する。一実施形態では、成形型18は、射出成形されたポリプロピレンからなる。成形型18は、ポリマー(
図3F参照)、ガラス、金属(
図3G参照)、又はセラミックを含む他の材料から製造されてもよい。一実施形態では、成形型18は、2つ又は3つ以上の材料からなる。例えば、成形型18の底部18aは、成形型への流延フィルムの接着を低減するため、かつ/又は柱20を形成するために、ポリマーコーティングを有する金属から作製されてもよい。成形型内の空洞は、流延プロセス、圧縮成形プロセス、射出成形プロセス、化学エッチングプロセス、又は機械加工プロセスによって形成され得る。
【0061】
一実施形態では、成形型18は、約0.25mの空洞深さを含む。一実施形態では、成形型18の底部から複数の柱20のそれぞれの頂部までの距離は、空洞深さ(即ち、周壁22の高さ)と等しく、その逆も同様である。一実施形態では、柱20は、フィルム10の所望の厚さよりも長い。一実施形態では、柱20は、成形型18の底部18aから0.3mm延在する。一実施形態では、柱20は、成形型18の底部18aから0.2mm延在する。一実施形態では、柱20は、成形型18の底部18aから0.25mm延在する。一実施形態では、柱20は、成形型18の底部18aから0.3mm延在する。一実施形態では、柱20は、成形型18の底部18aから0.35mm延在する。一実施形態では、柱20は、成形型18の底部18aから0.4mm延在する。一実施形態では、柱20は、成形型18の底部18aから0.45mm延在する。一実施形態では、柱20は、成形型18の底部18aから0.5mm延在する。
【0062】
一実施形態では、柱20は、上記の開口14の選択される所定の大きさ、形状、パターン、及び配置を生み出すように配置される。一実施形態では、成形型18の外周形状又は周壁22は、成形型総面積を画定し、複数の柱20は、最終的なフィルム10の多孔率と実質的に等しいか又は対応する面積を画定する。
【0063】
一実施形態では、成形型18は、成形型18の周壁22の周囲に少なくとも部分的に延在する谷部24を含む。一実施形態では、谷部24は、成形型18の周壁22全体の周囲に延在する。いくつかの実施形態では、谷部24は、周壁22の上に成形型の空洞から流動する又は付勢されるいかなる過剰のポリマーをも保持する。一実施形態では、成形型18は、成形型18の少なくとも1つの外縁部から外向きに延在するハンドルを画定し得る延長部40を含む。一実施形態では、延長部40は、成形型18内に配設されるポリマー溶液と接触することなく成形型18を把持及び操作するために提供される。
【0064】
本開示によると、ポリマー溶液を、成形型の底部から延在する複数の突出部を有する成形型に入れることを含む、ポリマーフィルムを生成する方法がある。ある特定の実施形態では、ポリマー溶液は、成形型全体にわたるポリマーの助力のない流動を阻害する粘度を特徴とする。本プロセスは、ポリマー溶液を複数の突出部のそれぞれの周囲に付勢することと、ポリマー溶液を凝固させることと、を更に含む。一実施形態では、成形型は、複数の突出部のそれぞれの高度と実質的に等しい高度まで延在する外周形状を含む。一実施形態では、付勢することは、ブレード、棒、スキージ、又はローラーなどの付勢器具で外周形状及び複数の突出部全体を延伸して、ポリマー溶液が実質的に均一な厚さを有するようにポリマー溶液を複数の突出部の周囲及び成形型全体に流動させることを含む。一実施形態では、突出部の外表面の少なくとも一部、例えば突出部の上部は、延伸後、ポリマー溶液を実質的に含まない。一実施形態では、ポリマー溶液を入れる工程は、ポリマー溶液の一部が外周形状及び突出部の高度を超えるように成形型にポリマー溶液を堆積させることを含む。また更なる実施形態では、方法工程のうちの1つ又は2つ以上は、本方法が、複数の層、例えば、2つの層、3つの層、4つの層、最大7つの層などの、2つ又は3つ以上の層を備えるフィルムを生成し得るように、繰り返されてもよい。ある特定の実施形態では、本方法は、1つ又は2つ以上の追加のポリマー溶液を、第1のポリマー溶液を覆うように成形型に入れる工程(例えば、追加のポリマー溶液を入れる工程、第2の追加のポリマー溶液を入れる工程、第3の追加のポリマー溶液を入れる工程、最大第6の追加のポリマー溶液を入れる工程)と、1つ又は2つ以上のポリマー溶液を複数の突出部のそれぞれの周囲に付勢する工程と、を更に含む。1つ又は2つ以上のポリマー溶液を成形型に入れる工程は、ポリマー溶液を凝固させる工程の前、間、又は後に起こり得る。したがって、本方法の一実施形態によると、成形型に入れられる1つ又は2つ以上のポリマー溶液のそれぞれは、成形型に次又はその後の追加のポリマー溶液を入れる工程(例えば、第2の追加の溶液を凝固させる前、間、若しくは後に、成形型に第3の追加のポリマー溶液を入れる工程、又は、第1のポリマー溶液を凝固させる前、間、若しくは後に、成形型に追加のポリマー溶液を入れる工程)の前、間、若しくは後に凝固し得る。別の実施形態によると、成形型に入れられるポリマー溶液の全ては、実質的に同時に凝固し得る。一実施形態によると、1つ又は2つ以上のポリマー溶液は、凝固して接着剤層になることができるポリマー溶液を含み、別の実施形態によると、1つ又は2つ以上のポリマー溶液は、薬物放出のための速度制御層を構成する。
【0065】
一実施形態では、ポリマー溶液28が形成される。ポリマー溶液28は、フィルム10を生成するように、成形型18の空洞に入れられる。該薬物がポリマー中で不溶性であるいくつかの実施形態では、溶媒及び薬物構成成分30がまず混合されて良好に分散された懸濁液を形成し、次にポリマーが溶媒/薬物懸濁液中に添加及び溶解される。他の実施形態では、ポリマーが溶媒中に溶解され、次に不溶性の薬物が所望の量で溶液に添加される。更に他の実施形態では、該薬物は、ポリマー/溶媒溶液中で可溶性である。脂肪族ポリエステルがポリマー製剤を構成する実施形態では、典型的には極性溶媒が使用される。好適な極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、アルコール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びギ酸を挙げることができる。一実施形態では、ポリマー材料は、昇温でジメチルスルホキシド(DMSO)中に4:1の溶媒対ポリマー比で溶解され、薬物であるゲンタマイシン硫酸塩が13重量%で添加される。一実施形態では、ポリマー溶液28は、90℃未満の温度で薬物単位30をポリマー/溶媒配合物に導入することによって形成される。一実施形態では、ポリマー溶液28は、ポリウレタン、ポリフマレート、ポリメタクリレートなどの架橋可能なプレポリマーを含む。
【0066】
図4A、6、及び8を参照すると、ポリマー溶液28が調製されると、ポリマー溶液28が、図示されるように片面成形型であり得る成形型18に入れられる。いくつかの実施形態では、ポリマー溶液28の粘度及び/又は柱20の密度は、成形型18全体にわたるポリマー28の助力のない流動を実質的に阻害する。一実施形態では、ポリマー溶液28を成形型18に加えた後、ポリマー溶液28の頂面は、成形型空洞及び柱20の高さh
1よりも大きい、成形型18の基部18aの上の高さh
2である。
【0067】
図4B、7、及び9を参照すると、ポリマー溶液28が成形型18に加えられた後、一実施形態では、ポリマー溶液28は、成形型18の空洞内の複数の柱20のそれぞれの周囲に付勢され得る。例えば、任意の好適な付勢器具26が、複数の柱20のそれぞれの周囲にポリマー溶液を付勢することができる。一実施形態では、ポリマー溶液28が実質的に均一な厚さを有するように、柱20の周囲及び成形型18全体にわたってポリマー溶液28を流動させるために、付勢器具26は、例えば、摺動するブレード、棒、スキージ、又はローラーであり得るか、又は成形型18が、付勢器具26に対して周壁22全体及び柱20の上を動かされる。一実施形態では、付勢器具26で成形型18全体を延伸することにより、付勢器具26が、柱20の頂面から過剰のポリマーフィルム材料を除去する。一実施形態では、1つ又は2つ以上の柱20の上面などの外表面は、延伸後、ポリマー溶液28を実質的に含まない。
【0068】
図4Cを参照すると、ポリマー溶液28が成形型18全体に延伸又は延展されると、ポリマー溶液28は凝固してフィルム10を形成する。一実施形態では、成形型18は、溶媒を除去し、薄い流延フィルムをもたらすために、昇温の溶媒乾燥オーブンに入れられる。一実施形態では、ポリマー溶液28は、UV放射、温度変化、重合触媒、可溶性架橋剤、又はそれらの組み合わせをポリマー溶液28に適用することにより、ポリマーを架橋することによって凝固する。一実施形態では、凝固させる工程は、ポリマー溶液28を含む成形型18を第2の溶媒に曝露することを含む。例えば、ポリマー溶液28が、ポリマー、薬物、及び第1の溶媒を含む一実施形態では、第1の溶媒は第2の溶媒中で可溶性であるが、ポリマー及び薬物構成成分は、第2の溶媒中で可溶性ではない。したがって、ポリマー溶液28を第2の溶媒に曝露することによって、第1の溶媒がポリマー溶液から除去され、残ったポリマー及び薬物生成物が凝固して、例えば、フィルムを形成する。
【0069】
一実施形態では、ポリマー溶液を凝固させることは、ポリマー溶液の厚さを、第1の厚さh
1から第2の厚さh
3に減少させる。一実施形態では、ポリマー溶液を凝固させることは、柱20に隣接するポリマー溶液の厚さを、第1の厚さh
1から第2の厚さh
4に減少させる。一実施形態では、柱20に隣接するフィルム10の厚さh
4は、柱20間のフィルム10の厚さh
1よりも大きい。一実施形態では、フィルム10を形成するためのポリマー溶液28の凝固の間に、柱20のそれぞれの周囲にメニスカスを形成するポリマー溶液が原因で、縁14aが生成され得る。一実施形態では、柱20の周りに形成されるメニスカスは、ポリマー溶液28が凝固したときに縁14aを画定する。一実施形態では、縁14aの高さh
4は、柱20の材料及び幾何学的形状を慎重に選択すること、又は、例えば、フルオロポリマー又はシリコーン離型剤などの潤滑性材料で柱20をコーティングすることによって制御され得る。一実施形態では、縁14aの高さh
4は、ポリマー溶液の濃度によって制御される。
【0070】
図4C〜4Eを参照すると、柱20を形成する材料は、開口14周囲の縁14aの形成などの、開口14と連続した平面部分15との間の凝固したメニスカス17の構成に影響し得る。連続した平面部分15に対する縁14aの高さは、h
4とh
3との間の差異であり、柱20の周囲で凝固するポリマー溶液28のメニスカスの結果であり得る。メニスカスは、柱20付近のポリマー溶液の上面の湾曲によって画定され得、ポリマー溶液28とそれぞれの柱20との間の表面張力によって引き起こされる。ポリマー溶液28は、柱20に凸状又は凹状のいずれかのメニスカスを有し得る。隆起縁14aを生み出す凹状メニスカスは、ポリマー溶液の水平面が柱20周囲で溶液全体よりも高くなるようにポリマー溶液の分子が柱20の材料に引きつけられるとき(一般に接着として知られる)に生じ得る。一実施形態によると、
図4Cに示されるように、柱20は、ポリマー溶液中に凹状メニスカスを生じさせるように構成された材料を含み、h
4はh
3よりも大きい。反対に、凸状メニスカスは、ポリマー溶液の分子が柱20の材料よりも互いに対して強い引力を有するとき(凝集として一般に知られる)に生じる。一実施形態に従って、
図4Dに示されるように、柱20は、ポリマー溶液中に凸状メニスカスを生み出すように構成された材料を含み、h
3はh
4よりも大きい。したがって、連続した平面部分15と開口14との間のメニスカス17は、上記の様式で第2の表面10bから外向きに延在する隆起縁14aとして構成され得るか、又は、第1の表面10aから第2の表面に向かう方向、連続した平面部分15から開口14のそれぞれのものに向かう方向に沿って、第2の表面10bへと陥没する陥凹部として構成され得ることを理解されたい。
図4Eに示される更なる実施形態によると、柱20は、メニスカス17においてh
4がh
3と実質的に等しくなるように、ポリマー溶液のメニスカスをほとんど生じさせないか、全く生じさせない(例えば、メニスカスが実質的にない)ように構成された材料を含む。
【0071】
図10を参照すると、ポリマー溶液28が凝固すると、フィルム10は、ポリマー溶液28の流延の間に形成されるメニスカスが、凝固したメニスカス17を画定するように、成形型18から剥がし出される。
【0072】
図5〜7を参照すると、フィルム10を生成する方法は、自動化された又は部分的に自動化された流延機械42を含み得る。一実施形態では、自動流延装置は、1つ又は2つ以上のプロセッサ及びメモリ(例えば、1つ又は2つ以上の不揮発性記憶デバイス)を有する1つ又は2つ以上のコンピュータ44を含む。いくつかの実施形態では、メモリ又はメモリのコンピュータ読取り可能記憶媒体が、本明細書に開示される様々なシステム並びに方法を制御及び実行するためのプロセッサのためのプログラム、モジュール、及びデータ構造体、又はそれらのサブセットを格納する。一実施形態では、プロセッサによって実行されると、本明細書に開示される方法のうちの1つ又は2つ以上を実行するコンピュータ実行可能命令を格納しているコンピュータ読取り可能記憶媒体。
【0073】
フィルム10は、代替的な方法によって製造されてもよい。一実施形態では、ポリマー溶液28は、裏張吸取紙層を有する穿孔フィルム材料上に流延され得、次に穿孔フィルムが吸取紙層から取り外され、流延シートに孔があったところの流延溶液を除去する。そのようなプロセスと上記のプロセスとの1つの差異は、いくつかの実施形態では、それが隆起縁14a及び開口14を生み出さないことである。
【0074】
別の実施形態では、多孔性のフィルム10は、凍結乾燥、即ちフリーズドライ法によって形成されてもよい。一実施形態では、ポリマー溶液の薄い固形フィルムが成形型内に流延され、次に成形型が溶液の凝固点未満の温度に冷やされ、次に真空下に置かれてフィルムから溶媒を除去する。いくつかの実施形態では、本プロセスはまた、上記の実施形態のうちのいくつかに記載される開口14よりも大幅に小さい微細な孔を生成する。
【0075】
一実施形態では、フィルム10に使用されるポリマー材料は、架橋可能なプレポリマー液体であり得、付勢又は延伸されて成形型を充填し、上記の様式で過剰の材料を除去し、次にUV放射、温度、触媒、又は他の手段によって適所に架橋される。一実施形態では、本プロセスは、流延フィルム10の最終的な厚さが成形型の深さと実質的に等しくなり得、かつ開口14周囲に縁14aがほとんど又は全くない状態になることを除いて、上記のものと非常に類似した最終的な生成品を生成することができる。
【0076】
別の実施形態では、フィルム10は、スクリーン印刷プロセスで薄い多孔性のフィルムとして生成され得る。一実施形態では、溶液の層が最終的なパターンでスクリーン印刷され、次に乾燥される。一実施形態では、これは大幅に薄い層を生成するが、ポリマーの複数の層を順に重ねてスクリーン印刷及び乾燥し、多層フィルムを画定し得る所望の厚さのフィルム10を構築することができる。
【0077】
別の実施形態では、同様の流延プロセスが、所望の開口の形状で、シリコーンなどの疎水性ポリマーから作製されるパターンを有するガラスプレートを使用して、上記のように実行されることができる。一実施形態では、ポリマー溶液の薄層がプレート上に流延されると、ガラスとパターン付きポリマーとの間の表面張力の差異が、溶液をガラス表面上に集中させ、パターン付き疎水性ポリマー表面から引き離させる。一実施形態では、次に溶液を乾燥させて、シリコーンポリマーと同じパターンの開口を有する固形フィルムを形成する。一実施形態では、本プロセスは、上記のように架橋可能プレポリマー液体を用いて実行されてもよい。
【0078】
別の実施形態では、薄い多孔性のポリマーフィルムは、両面成形型を使用して作製され、ポリマー溶媒溶液が成形型に射出され、冷却されて溶液を凝固させる。一実施形態では、次に成形型を開け、冷却された溶液を空洞側に残して片面を取り外す。一実施形態では、冷却された溶液側をオーブンに入れ、ポリマー溶液を乾燥させてフィルム10を形成する。
【0079】
本開示の一実施形態によると、本フィルムは、生体適合性であり、かつ本フィルムの少なくとも1つの表面を別の表面(例えば医療デバイスの外表面)に接着して固定することができる、接着剤層を更に備える。一実施形態では、本フィルムの第1若しくは第2の表面又はその両方の実質的に全てが、接着剤層を有する。別の実施形態では、本フィルムの第1若しくは第2の表面又はその両方の一部のみが、例えば、第1若しくは第2の表面又はその両方の周辺部に沿って、接着剤層を有する。接着剤層は、溶媒流延プロセスの間に本フィルムと一体的に形成され得る。そのようなプロセスでは、接着剤が成形型に適用され、その後ポリマー溶液が接着剤層の上に流延される場合がある。あるいは、ポリマー溶液がまず成形型に流延され、接着剤層がポリマーの上に適用されてもよい。ある特定の実施形態では、ポリマー溶液自体が接着剤層を構成することができる。当然ながら、本フィルムの両面に適用された接着剤を有することが所望される場合、接着剤層は両方の様式で適用され得る。また更に別の実施形態では、本フィルムは、溶液流延成形され、例えば、本フィルム上に接着剤を浸漬、噴霧、又はコーティングすることによって、成形型からの取り外しの後に適用される接着剤層を別々に有してもよい。
【0080】
本フィルムが以前に記載されたように表面接着剤層を含有する一実施形態によると、本フィルムの貯蔵、梱包、及び/又は出荷のためのフィルム貯蔵システムは、1)表面接着剤層を含有するフィルムと、2)表面接着剤層の上に配置されて、別の物体の表面、例えば、医療デバイス又は骨などの組織の表面などに本フィルムを接着して付着させることが所望されるようなときまで、接着剤層を保護及び遮蔽することができる、非接着性裏打ち材(例えば、ストリップ)と、を含み得る。そのようなとき、使用者、好ましくは外科医又は看護師は、非接着性裏打ち材を取り外し、所望の通り本フィルムを適用することができる。本フィルムが表面接着剤層を含有する別の実施形態によると、本フィルムの貯蔵、梱包、及び/又は出荷のためのフィルム貯蔵システムは、1)表面接着剤層を含有するフィルムと、2)フィルムが収集され得る収集器と、を含み得る。例えば、フィルム10は、円筒などの収集器の周囲に巻き付けられ、医療デバイスの表面又は組織の表面に本フィルムを接着して付着させることが所望されるようなときまで、巻かれた構成で収集及び貯蔵されることができる。そのようなとき、使用者、好ましくは外科医又は看護師は、同定されたある長さのフィルムを展開し、所望の長さのフィルムを円筒から切断又はさもなければ分離し、所望の通り本フィルムを適用することができる。
【0081】
他の実施形態では、フィルム10は、所望の解剖学的部位に適用され、接着剤層の使用を伴わずに、又は接着剤層と共に、当該部位で固定されることができる。例えば、ある特定の実施形態では、解剖学的部位におけるフィルム固定のためのフィルム固定システムは、1)フィルムと、2)フィルム固定要素と、を含み得、該固定要素は、解剖学的部位に本フィルムを安全に付着させ、好ましくは、解剖学的部位における医療デバイスに、又は、解剖学的部位における骨若しくは腱などの組織に、本フィルムを安全に付着させる。一実施形態によると、固定要素は、スクリュー、ピン、ワイヤ、縫合糸、止め金、糊、又はそれらの組み合わせである。更に、ポリマーフィルム(接着剤層を有するか又は有しない)は、医療デバイスの周囲に1回又は2回以上巻き付けられ得る。上記のように、ある特定の実施形態では、本フィルムの接着剤層がフィルム固定要素として機能し得ることを理解されたい。更に別の実施形態によると、フィルム固定のためのシステムは、医療デバイスと更に組み合わされて、1)整形外科用医療デバイスと、2)フィルム及びフィルム固定要素を含むフィルム固定システムと、を含む、治療のためのシステム、例えば骨折固定のためのシステムを提供することができる。
【0082】
医療デバイス又は組織にポリマーフィルムを付着させるための異なる可能性は、使用者に柔軟性を提供する。これらの実施形態のうちのある特定のものでは、使用者は、所望される又は必要とされる通りにポリマーの大きさ及び形状を決めることができ、医療デバイス表面又は組織の全部若しくは一部をポリマーフィルムで被覆することができる。例えば、インプラントの骨対向面のみにポリマーフィルムを選択的に付着させることができる。
【0083】
図2及び11A〜11Jを参照すると、フィルム10を生成した後、フィルム10は、医療用インプラントの表面上への、又はそれを覆う配置のために構成される活性生体適合性インプラントカバー25へと形成されることができる。生体適合性インプラントカバー25は、埋め込まれると活性生体適合性インプラントカバー25が1つ又は2つ以上の活性剤を送達するように、本明細書に記載される種類の1つ又は2つ以上の活性剤を単独又は組み合わせて含むという点で、活性であると称され得る。医療用インプラントは、髄内釘若しくは骨プレートなどの骨インプラント、又は任意の代替的な医療用インプラント(整形外科修復及び/又は筋骨格修復に使用されるためのインプラントなど)であり得、フィルム10は、骨プレート12の少なくとも一部又は実質的に全部の形状に適合するように全体的に対応するように成形及び造形される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフィルム10が、骨プレート12の少なくとも一部又は全体を受けるように構成されるスリーブ31(
図11A〜11J及び17A〜26H参照)として構成され得るカバー25、又は骨プレート12の1つ又は2つ以上の表面に接着して結合し得るストリップへと成形及び造形される。スリーブ31の1つ又は2つ以上の表面は、骨プレート12の1つ又は2つ以上の表面に接着して結合するような接着特性を有し得ることを更に理解されたい。
【0084】
図11A〜11J及び17A〜26Hを広く参照すると、スリーブ31は、第1のスリーブ部31a、及び横断方向Tに沿って第1のスリーブ部31aから離間する第2のスリーブ部31bを画定する、少なくとも1つのフィルム10を含む。第1のスリーブ部31aの開口14は、第2のスリーブ部31bの開口14と整列され得るか、又は、第1のスリーブ部31aの開口14のうちの少なくとも1つ又は2つ以上から最大でその全ては、横方向及び長手方向のいずれか又は両方に沿って第2のスリーブ部31bの他の開口の全てに対してオフセットであり得る。第1のスリーブ部31aは、内表面35a及び内表面35aの反対側の外表面37aを画定する。同様に、第2のスリーブ部31bは、内表面35b及び内表面35bの反対側の外表面37bを画定する。内表面35a及び35bは互いに対向し、外表面37a及び37bは、互いに反対側を向く。
【0085】
内表面35a及び35bのいずれか又は両方は、第1の表面10a又は第2の表面10bのうちの一方によって画定され得、外表面37a及び37bのいずれか又は両方は、第1の表面10a又は第2の表面10bのうちの他方によって画定され得る。したがって、メニスカス17(例えば、
図1A参照)は、内表面35a又は外表面37aのいずれかに配設され得、かつ内表面35b又は外表面37bに更に配設され得ることを理解されたい。一実施形態では、第1及び第2のスリーブ部31a及び31bは、メニスカス17が内表面35a及び35bの両方又は外表面37a及び37bの両方のいずれかの上に配設されるように、互いにモノリシックである。スリーブ31の少なくとも1つのフィルム10が可撓性であるため、スリーブ31は、第1及び第2のスリーブ部31a及び31b、特に内表面35a及び35bが、スリーブ31が第1及び第2のスリーブ部31aと31bとの間の開口部を画定しないように横断方向Tに沿って互いに直接隣接する、第1の閉鎖構成と、スリーブ31が第1及び第2のスリーブ部31aと31bとの間、特に内表面35aと35bとの間の開口部33を画定する、第2の開放構成との間を反復し得る。したがって、内表面35a及び35bは、インプラント対向面、又は骨プレート対向面と称され得る。
【0086】
開口部33は、第1及び第2のスリーブ部31aと31bとの間を画定した。開口部33は、開口部33内で受けられる骨プレート12のそれぞれの高さ及び幅と少なくとも等しいか、又はそれより大きい場合がある、横断方向Tの高さ及び横方向Aの幅を画定するような大きさであってもよい。開口部33は、開口部33が骨プレート12の少なくとも一部から最大全てを受けるように寸法決定されるように、骨プレート12の長さと等しいか、それ未満であるか、又はそれより大きい場合がある、長手方向Lに沿った長さを有し得る。したがって、スリーブ部31a及び31bのそれぞれは、骨プレート12の少なくとも1つの表面の少なくとも一部から最大で全部を被覆するように構成される。
【0087】
スリーブ31は、所望される任意の様式で構成されてもよい。例えば、フィルム10は、本明細書に記載される任意の様式で生成されてもよく、結果として生じるスリーブ31内で受けられることになる予め選択された骨プレート形状の形状に対応し得る成形フィルムを画定するように成形されてもよい。フィルム10が成形された後、結果として生じるフィルム10の材料が、予め選択された骨プレート形状の形状に対応し得る第1の成形フィルムを画定するように、取り外され得る。第1の成形フィルムと実質的に同一である第2の成形フィルムが、第1の成形フィルムを画定した同じフィルム10から、又は別個のフィルム10から生成されることができる。例えば、材料は、第2の成形フィルムを画定するようにそれぞれのフィルム10から取り外され得る。第1及び第2の成形フィルム10は、それらのそれぞれの外側周辺部が横断方向Tに沿って整列されるように互いに隣接して位置付けられ得る。第1及び第2のフィルムの外側周辺部の少なくとも一部は、第1の成形フィルムが第1のスリーブ部31aを画定し、第2の成形フィルムが第2のスリーブ部31bを画定するように、結合部又は別の方法で構成された密閉部などの密閉部16を画定するように、本明細書に記載される種類の結合方法のうちのいずれか1つによって互いに結合し得る。
【0088】
密閉部16は、スリーブ31の周辺部39の一部の周りに延在し得る。例えば、スリーブ31は、前端39a、及び前端39aに近接して配設される近位部43a、及び少なくとも長手方向Lに沿って前端から離間する後端39b(前端及び後端39a及び39bの少なくとも一部が横方向Aに沿って互いに更に離間し得る実施形態を含む)であって、後端39bに近接して配設される遠位端43bを画定する、後端39bを画定し得る。スリーブ31は、それぞれ少なくとも横方向Aに沿って互いに離間する第1及び第2の側面39c及び39d(第1及び第2の側面39c及び39dの少なくとも一部が長手方向Lに沿って互いに更に離間し得る実施形態を含む)を更に画定し得る。第1及び第2の側面39c及び39dは、前端39aと後端39bとの間に、例えば前端39aから後端39bまで延在する。端部39a及び39bは、側面39c及び39dと組み合わせて、スリーブ31の外側周辺部39を画定し得る。密閉部16は、第1のスリーブ部31aと第2のスリーブ部31bとの間の外側周辺部39における少なくとも1つの開口部41を画定するように、外側周辺部39の一部の周りに延在し得る。例えば、密閉部16は、単独又は組み合わせの両方で、後端39bの一部又は全体、第1及び第2の側面39c及び39dの一方又は両方の一部又は全体、並びに前端39aの一部又は全体に沿って、延在し得る。例えば、一実施形態では、第1及び第2の側面39c及び39d並びに後端39bは、スリーブ31が前端39aにおいて開口部41を画定するように結合する。あるいは又は更に、スリーブ31は、後端39bにおいて第2の開放端を画定し得る。あるいは又は更に、スリーブは、それぞれ側面39c及び39dの一方又は両方において第3又は第4の開口部を画定し得る。第1、第2、第3、及び第4の開口部のうちの1つ又は2つ以上は、互いに連続していてもよい。
【0089】
スリーブ31が開放構成にあるとき、開口部41は、骨プレート12が開口部41に挿入され、所望の場合はそこから取り外され、開口部33に出入りすることができるような寸法であってもよい。あるいは、骨プレート12は、第1及び第2のスリーブ部31aと31bとの間に配置され得、スリーブ31の周辺部の実質的な全体は、骨プレート12が開口部33内に配設され、かつフィルムから取り外し不可能になるようにスリーブによって実質的に封入されるように、密閉部16を画定し得、つまり、スリーブ31は、骨プレート12がスリーブ部31a及び31b又は密閉部16のいずれも突破することなくスリーブ31から取り外されるのに十分な大きさである、外側周辺部39における開口部を画定しない。骨プレート12が開口部内に配設されるとき、第1及び第2のスリーブ部31a及び31bが、骨プレート12のそれぞれの反対側の表面の少なくとも一部を被覆することを理解されたい。
【0090】
一実施形態に従って、密閉部16の内側周辺部又は他の密閉部によって画定され得るような、スリーブ31の外側周辺部39及び開口部33の外側周辺部のいずれか又は両方は、スリーブ31がシースを画定し得るように骨プレート12の外側周辺部に対して平行に延在し得る。したがって、密閉部は、開口部33の外側周辺部を画定する内側境界を有し、内側境界の少なくとも一部から最大で全部が、スリーブ31の外側周辺部39に対して平行であり得ることを理解されたい。少なくとも1つのフィルム10は、スリーブ31を画定するように所望される任意の好適な様式で成形されてもよいことを理解されたい。例えば、記載されるように、2つの成形フィルムが、スリーブの第1及び第2の部分31a及び31bを画定するように隣接してもよい。第1及び第2の成形フィルムは、それぞれの1つ又は2つの成形フィルム10を切断することによって生成され得る。あるいは、成形型の空洞が、スリーブ31の外側周辺部39を画定するように成形され得、成形されたままのフィルムが成形型から取り外され、したがって成形フィルムを画定してもよい。更に別法として、フィルム10は、密閉部16の内側周辺部が、結果として生じる開口部33が異なる形状の複数の骨プレート12を受けるような大きさであり、かつ密閉部16の内側周辺部が骨プレート12の外側周辺部に対して平行に延在しないような大きさ及び形状になるように、本明細書に記載される様式で結合し得る。
【0091】
上記のように、スリーブ31は、所望により結合部又は別の方法で構成された密閉部などの密閉部16を含み得る。例えば、所望の通り成形され得る単一のフィルム10は、折り目によって互いに分離されるスリーブ31の第1及び第2の部分31a及び31bをフィルムが画定するように、折り目に沿ってそれ自体に折り重ねられることができる。したがって、この折り目は、スリーブ31の外側周辺部39の部分で密閉部を画定すると言うことができる。折り目は、この折り目によって互いに分離される2つの対称領域をフィルム10が画定するように、例えばフィルム10の正中線に配設されてもよい。折り目が折り目線を画定してもよいし、又はフィルム10が円筒状に成形され、折り目の反対側のフィルムの2つの対向する縁部が組み合わさってスリーブ31の側面のうちの1つを確定してもよい。結果として生じるスリーブ31の外側周辺部39の開放部分は、所望により開放したままでもよいし、又は閉鎖しても、例えば上記の様式で結合してもよい。したがって、折り畳まれたフィルム10は、それ自体に少なくとも部分的に結合してもよい。例えば、フィルム10の自由端は、スリーブ31の第1及び第2の側面31c及び31dの一方において結合部を画定するように互いに結合し得、折り目は、第1及び第2の側面31c及び31dの他方を画定し得る。したがって、スリーブ31は、第1及び第2の側面31c及び31dの両方における密閉部16を含み得る。一実施形態では、第2の表面10bは、フィルム10の対向する縁部において第1の表面10aに重なり合い、それにより第1の表面10aは、フィルム10の対向する縁部が互いに結合するときに密閉部16の少なくとも1つの領域を画定するように、フィルム10の対向する縁部において内側スリーブ表面35a及び35bを画定する。あるいは、第1の表面10aが、フィルム10の対向する縁部において第2の表面10bに重なり合い、それにより第2の表面10aは、フィルム10の対向する縁部が互いに結合するときに密閉部16の少なくとも1つの領域を画定するように、フィルム10の対向する縁部において内側スリーブ表面35a及び35bを画定する。フィルム10の2つの対称領域は、例えば、上記の様式でフィルム10の材料を取り外すことによって、又は成形型の空洞を輪郭に沿って成形することによって、予め選択された骨プレート形状に対応するように成形され得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、結合部などの密閉部16は、
図11A、11B、11D、及び11Eに図示されるように第1及び第2のスリーブ部31a及び31bの少なくとも一方を通じて可視的であってもよいし、又は、例えば
図11C及び11F〜11Jに図示されるように第1及び第2のスリーブ部31a及び31bに隠されてもよいことを理解されたい。したがって、結合部などの密閉部16が可視的である実施形態は、結合部などの密閉部16が隠れるように構築されてもよく、したがって外側周辺部は、
図11C及び11F〜11Jに示されるように図示され得る。反対に、結合部などの密閉部16が隠れている実施形態は、結合部などの密閉部が可視的になるように構築されてもよく、したがって外側周辺部39は、
図11A、11B、11D、及び11Eに示されるように図示され得る。
【0093】
ここで
図11A〜11J及び
図17A〜26Hを参照すると、スリーブ31は、所望される任意の好適な大きさ及び形状を画定することができる。例えば、スリーブ31は、(密閉部16の内側周辺部が骨プレート12の外側周辺部に対して実質的に平行になるように)それぞれの開口部内で受けられることになる骨にぴったり適合するように構成される、所望される任意の好適な大きさ及び形状のシースとして構築されてもよい。
図11A〜11C及び17A〜19Hに図示されるように、スリーブ31は、横方向Aに沿った遠位部43bにおけるスリーブ31の断面寸法よりも大きい、横方向Aに沿った近位部43aにおける断面寸法を画定し得る。例えば、側面31c及び31dのうちの少なくとも1つは、後端39bから前端39aに向かう方向に沿って延在するにつれて、それぞれの側面の隣接する領域から横方向に延在し、それ故に後端39bから前端39aに向かう方向に沿って延在するにつれて、それぞれの側面の隣接する領域に対して反対側の側面から離れて横方向Aに沿って広がる、広がった領域45を画定し得る。側面31c及び31dのうちの1つの広がった領域45は、反対側の側面の広がった領域45に対して更に又は等量(
図11H、11I、及び24A〜25H参照)横方向に延在し得る。更に、側面31c及び31dのうちの1つの広がった領域45は、反対側の側面の広がった領域45に対して同じ形状(
図11H、11I、及び24A〜25H参照)又は異なる形状を画定し得る。
図11A及び17A〜Hに図示される実施形態に従って、第2の側面39dの広がった領域45は、第1の側面39cの広がった領域よりも更に横方向に延在する。したがって、前端39aの一部は、横方向に沿って後端39bに対してオフセットであることを理解されたい。前端39a及び後端39bのいずれか又は両方は、別途記載のない限り、全ての実施形態において、所望により湾曲している(例えば、図示されるように凸状、又は所望により凹状)か、又は直線的であってもよい。
図11B、11C、18A〜18H、及び19A〜19Hに図示される実施形態に従って、第2の側面39dは広がった領域45を含み、第1の側面39cは、前端39aから後端39bまで直線状である。ここで
図11D〜11G及び20A〜23Hを参照すると、第1及び第2の側面39c及び39dの両方が、前端39aから後端39bまで直線状かつ互いに対して平行に延在し得る。後端39bは、所望により湾曲しているか、又は直線的であってもよい。スリーブ31の長さは、長手方向Lに沿って前端39aから後端39bまで所望される任意の寸法であってもよい。同様に、スリーブ31の幅は、横方向Aに沿って第1の側面39cから第2の側面39dまで所望される任意の寸法であってもよい。
図11J及び26A〜Hを参照すると、側面39c及び39dのうちの一方の広がった領域45は、側面39c及び39dのうちの他方に向かって内向きに横方向に延在し得、側面39のうちの他方の広がった領域45は、外向きに横方向に延在し得る。例えば、図示されるように、第1の側面39cの近位端43aは、後端39bから前端39aに向かう方向に沿って第2の側面に向かって内向きに横方向に延在し得る。第2の側面39dの近位端43aは、後端39bから前端39aに向かう方向に沿って第1の側面39cから離れて外向きに横方向に延在し得る。更に、広がった領域45は、広がった領域43と前端39aとの間に延在するある長さの近位部43aが、広がった領域45に隣接して配設される側面39dなどのそれぞれの側面の隣接する領域に対して平行に延在するように、前端39aから後端39bに向かう方向に沿って前端39aから離間する位置まで延在し得る。
【0094】
上記のように、活性生体適合性インプラントカバー25は、シースを画定し得る所望される任意の大きさ又は形状のスリーブ31などのスリーブとして構成され得るか、又は、インプラントカバー25は、所望により別の方法で構成され得る。例えば、インプラントカバー25は、骨プレート12の1つ又は2つ以上の表面の少なくとも一部に重なり合うように構成されるフィルム10の1つ又は2つ以上のストリップとして構成されてもよい。ストリップは、ストリップの外側周辺部が、骨プレート12の外側周辺部と実質的に整列されるか、若しくはそれに対して平行になるように、上記のように成形されるか、又は、骨プレート12より大きいか、若しくは骨プレート12より小さい大きさであってもよい。したがって、ストリップは、スリーブ31に対して、所望される任意の大きさ及び形状、例えば
図11A〜11J及び
図17A〜26Hに図示される形状、又は所望される任意の代替的な形状を画定し得る。ストリップの大きさは更に、
図11A〜11J及び
図17A〜26Hに図示されるスリーブ31の大きさよりも大きいか、又は
図11A〜11J及び
図17A〜26Hに図示されるスリーブ31の大きさよりも小さくてもよい。したがって、ストリップのうちの1つ又は2つ以上が、骨プレート12の骨対向面の一部から最大で全部、骨対向面の反対側の骨プレート12の外表面の一部から最大で全部、又はその両方に沿って、配置されてもよい。ストリップは、骨プレート12に向いている内表面と、骨プレート12から離れる方向に向いている外表面とを画定し得る。ストリップの内表面は、第1の表面10a又は第2の表面10bによって画定され得る。反対に、ストリップの外表面は、第1の表面10a又は第2の表面10bによって画定され得る。
【0095】
一実施形態では、ストリップは、ストリップが骨プレート12の骨対向面及び外表面の少なくとも一部に重なり合うように、骨プレート12の周囲に、例えば骨プレート12を中心とする回転の少なくとも2分の1巻き付くような大きさであってもよい。ストリップは、ストリップが所望の通り骨プレート12の骨対向面及び外表面の一方又は両方の十分な面積に重なり合うまで、所望される回数の全回転分、骨プレート12の周囲に巻き付けられてもよい。ストリップは、例えば、ストリップの所望の大きさ及び形状を画定するために、成形されたままのフィルム10から材料を取り外すことによって、又は成形型の空洞を輪郭に沿って成形することによって、所望の通り寸法決定されることができる。
【0096】
本明細書に記載されるように、フィルム10(単数又は複数)の少なくとも一部が、結合部などの密閉部16を画定するための結合方法によって互いに結合してもよい。ある特定の実施形態では、結合部は、フィルムの第1の領域を、例えば横断方向Tに沿ってフィルムの第1の領域と重なり合うフィルムの第2の領域に結合する、継目、糊、縫合糸、止め金、ピン、ワイヤ、スクリュー、熱、紫外光、又はそれらの組み合わせなどの結合部構成要素によって画定され得る。したがって、同じフィルムの2つの領域又は2つの別個のフィルムが結合してスリーブ31を形成することができる。例えば、第1及び第2のフィルム10は、第1のフィルム10によって画定され得るフィルムの第1の領域が、第2のフィルム10によって画定され得るフィルムの第2の領域に重なり合うように、互いに隣接して位置付けられ得る。フィルムの第1及び第2の領域は、所望により横断方向Tなどの任意の方向に沿って重なり合ってもよい。フィルムの重なり合う第1及び第2の領域は、結合部構成要素のうちの1つで互いに結合してもよい。あるいは、単一のフィルム10は、密閉部16を少なくとも部分的に画定するようにフィルム10を折り畳むこと、及び自由端が重なり合うように単一のフィルムを輪郭に沿って成形することによって、スリーブへと形成されることができる。したがって、単一のフィルム10の自由端は、フィルムの第1及び第2の重なり合う領域を画定することができる。フィルムの重なり合う第1及び第2の領域は、互いにモノリシックであり同じフィルム10によって画定されるか、又は異なるフィルム10によって画定されるかを問わず、密閉部16を少なくとも部分的に画定するように、フィルムの第1及び第2の重なり合う領域の一方又は両方に、上記の結合部構成要素のうちのいずれかを適用することによって、互いに結合してもよい。例えば、互いに対向するフィルムの重なり合う第1及び第2の領域の一方又は両方の表面に沿って糊を適用してもよく、これらの表面を互いに及び/又は糊に面するようにしてもよい。別の実施形態では、結合部は、第1及び第2の重なり合う領域が軟化(又は溶融)し、互いに一体化し始めるまで、フィルムの該領域に熱及び/又は圧力を適用し、その後その部分を再凝固させることによって、画定され得る。更に、複数フィルムのスリーブ及びストリップが、例えば横断方向Tに沿って互いに直接隣接する2つの別個のフィルムを結合することによって調製され得る。
【0097】
スリーブ31に加えて、フィルム10が、いくつかの実施形態では、ヘルニア治療用メッシュ、接着バリア、軟組織増強、濾過膜、薬物送達膜、移植骨収容(例えば、例えば脊椎固定手技又は長骨の区域性欠損移植において移植骨を適所に維持するため)、又は包帯などの創傷ケア製品などの他の医療用途に使用され得る。
【0098】
本ポリマーフィルムは、微生物感染を受けやすいいかなる手術部位においても使用され得る。そのような方法は、任意のポリマーフィルムの実施形態及び/又は本明細書に開示される実施形態の組み合わせと共に使用され得る。典型的には、本方法は、微生物阻害を必要とする手術部位を同定することと、活性剤を含むポリマーフィルムと該手術部位を接触させることと、を含む。本方法はまた、微生物阻害を必要とする手術部位又は医療用インプラント上のゾーン(阻害ゾーン)を同定することと、ポリマーフィルムと医療用インプラントを接触させることと、手術部位に医療用インプラントを埋め込むことと、を含み得る。ある特定の実施形態では、本ポリマーフィルムは、バクテリアコロニー形成が起こりやすい材料からなる医療用インプラント、例えば、金属を含むインプラントと共に使用される。
【0099】
本ポリマーフィルムは、大腿骨、腓骨、及び脛骨に関連する骨折などの、四肢、特に下肢における骨折部位に埋め込まれる、金属骨プレートと共に使用され得る。埋め込み後、手術部位におけるバクテリア成長を監視して、治療の有効性を決定することができる。
【0100】
インプラントは、本明細書に記載される任意の様式で本フィルムと接触してもよい。例えば、本フィルムは、医療用インプラントの表面上への、又はそれを覆う配置のために構成されるインプラントカバーの形態であってもよい。スリーブの場合、本ポリマーフィルムは、インプラントの少なくとも一部の上に被せられる。本明細書に記載されるように、スリーブは、少なくとも1つの開放端を、ある特定の実施形態では2つの開放端を含み得る。あるいは、本ポリマーフィルムは、縫合糸、スクリュー、又は他の種類の締結具などの接着若しくは固定デバイスによってインプラントに接着又は付着してもよい。典型的には、医師が、問題の骨折を治療するために適切な輪郭を有するインプラント、例えば骨プレートなどを選択する。経皮的手技の場合、かつインプラント固定の前に、軟組織内の空洞を調製して、インプラント挿入中のポリマーフィルムへの応力を低減することができる。
【0101】
ポリマーフィルム及びインプラントを接触させることは、典型的には、外科医が、大きさ及び形状、並びに対象患者に対する薬物要件に基づいて、ポリマーフィルムを接触する医療用インプラントと一致させることができるように、手術時又はそれに近いとき、即ち、手術中に行われる。インプラントがスリーブの形態である場合、スリーブは、それを開き、骨プレートなどのインプラントをプレートの解剖学的部分がスリーブ内に静置されるまで挿入することによって、適用され得る。スリーブは、インプラント全体又はインプラントの一部を被覆し得る。例えば、スリーブは、所望によりインプラントに適合するように切り込まれ、かつ/又は折り畳まれてもよい。手術部位における医療用インプラントの器具類の取り付け又はスクリュー/締結具の挿入の前に、本ポリマーフィルムは、最終的なインプラント固定の間に使用されるインプラント内の孔を通して穿孔され得る。これは、妨害なくポリマーフィルムを通るスクリュー/締結具の経路を提供する。次にインプラントは標準的な外科的手技を使用して付着されることができる。
【0102】
ポリマーフィルムの合計薬物投与量は、インプラントの大きさ並びに外科的要求の関数である。一実施形態では、本ポリマーフィルムは、表面積1平方センチメートル当たり約0.6mgのゲンタマイシン硫酸塩を含有する。送達される薬物の合計投与量は、ポリマーフィルム及びそれが接触するように設計されるインプラントの大きさに依存する。ある特定の実施形態では、外科医が、特定の患者の手術部位に必要とされる抗生物質の量を決定する。次に本ポリマーフィルムが送達の要求を満たすように操作され得る。例えば、患者が単一のポリマーフィルム内で利用可能なものよりも多くの抗生物質を必要とする場合、複数のポリマーフィルムが使用され得、かつ/又はより長いないしはさも大きいフィルムが選択され得る。ポリマーフィルムがスリーブの形態である限り、インプラントが複数のスリーブに適合されてもよい。患者がより少ない抗生物質を必要とする場合、本ポリマーフィルムは、例えば、切断又は切り込むことによって縮小され得る。本明細書に示されるように、外科医は、本ポリマーフィルムの切断又は切り込み込みが全体的な薬物負荷を低減させ得るが、抗菌処置の有効性を低減させないように、本ポリマーフィルムがインプラントの全表面積と接触していなくともインプラント上のバクテリアコロニー形成を防止する適切な阻害ゾーンを決定することができる。
【0103】
一実施形態では、埋め込みの1時間以内に、本フィルム内の薬物含有量の20%の初期放出がある。これには、約7〜10日間にわたる残りの薬物含有量の持続放出が続く。本ポリマーフィルム自体は加水分解によって完全に分解され、埋め込みの60〜90日以内に身体に吸収される。
【0104】
ゲンタマイシンの場合、ゲンタマイシン関連腎毒性は治療の持続時間に関連し、治療が停止した後数ヶ月間は完全な機能的回復が起こらない場合があるが、典型的には一過性である。腎毒性は血漿ゲンタマイシンレベルにも関連し、トラフレベルは2.0μg/mlを超えないことが推奨される。本ポリマーフィルムから放出されるピーク血漿ゲンタマイシンレベルは、0.1μg/mlの範囲内を含み、ヒツジ研究においてこのレベルを大きく下回ることが見出されている。ゲンタマイシンの局所投与は、全身性抗生物質治療と比較して特に有利であり得る。一実施形態によると、ゲンタマイシンの局所送達は、全身性抗生物質治療の比較可能な標準治療量よりも高い濃度の抗生物質を手術部位において提供し、したがって、当該部位におけるバクテリア成長を排除するより高い潜在性を可能にする。別の実施形態によると、ゲンタマイシンの局所送達は、全身性抗生物質治療の比較可能な標準治療量よりも低い血漿濃度を提供し、したがって、全身性抗生物質治療に起因する潜在的な有害作用、例えば腎毒性を潜在的に低減させる。したがって、局所送達は、全身性治療よりも少ない合計量でより高い濃度の抗生物質を送達する機会を提供する。
【0105】
一実施形態では、手術部位における微生物感染を阻害する方法は、手術時又はそれに近いときに本開示のポリマーフィルムと医療用インプラントを接触させることであって、本フィルムが、10マイクロメートル以下の粒径を有する薬物構成成分を含む、接触させることと、医療用インプラントを手術部位に埋め込むことと、を含む。本明細書に記載されるように、バクテリアに対して、本ポリマーフィルムは、コロニー形成単位の5〜7のlog減少を生じさせることができる。
【0106】
本方法のより具体的な実施形態では、本ポリマーフィルムは、スリーブの形態であり、かつグリコリド、トリメチレンカーボネート、ラクチド、及びカプロラクトンのコポリマーを含む生体再吸収性フィルムを含み、活性剤はゲンタマイシン硫酸塩であり、手術部位は脛骨などの下肢の骨折部位である。
【実施例】
【0107】
(実施例1)
フィルム調製:約70%のグリコール酸、17%のカプロラクトン、5%の乳酸、及び8%のトリメチレンカーボネートのコポリマー(US Surgical,North Haven,CT)からフィルムを生成した。このコポリマーを、20重量%の濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させ、20cm×20cmのガラスプレート上に薄いフィルムとして流延するか、又は5%若しくは10%のゲンタマイシン硫酸塩と混合した後に流延するかのいずれかを行った。流延フィルムを最低12時間にわたって60℃の空気中で乾燥させて溶媒を除去し、次にガラスプレートから取り外し、更なる試験のために真空下で保管した。完成したフィルムは0.06±0.01mmの厚さを有した。
【0108】
引張試験:流延フィルムから切断された10mm×80mmのストリップを、ASTM D882によって、乾燥状態及び室温で、20mm/秒においてInstron試験スタンド(モデル3342)上で、破損するまで張力をかけて試験した。t=0で試験されたフィルムの初期降伏応力を
図12に示し、降伏点におけるフィルムの伸長を
図13に示す。フィルムへのゲンタマイシン硫酸塩の組み込みは、引張強度及び弾性の僅かな減少をもたらす。
【0109】
薬物放出試験:流延フィルム(5%&10%のゲンタマイシン)から切断された直径19mmのディスク試料を、37℃のPBSに入れた。溶液中のゲンタマイシンの濃度を、蛍光偏光イムノアッセイ技術(TDxFLx,Abbott Laboratories)を使用して、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、1日、2日、4日、7日時点で、最大12週まで週1回測定した。結果を
図14に示す。
【0110】
インビトロ分解:流延フィルム(単味、5%のゲンタマイシン、10%のゲンタマイシン)から切断された直径19mmのディスク試料を、37℃で1日、4日、7日にわたって、最大10週まで週1回秤量し、リン酸緩衝食塩水溶液(PBS)を含むバイアルに入れた。新鮮なPBSを週1回交換し、pHを監視した。試験時において、試料を溶液から取り出し、フリーズドライし、秤量した。希釈溶液粘度によって各試料の固有粘度も測定した(Cannon−Ubbelhodeセミミクロ粘度計、HFIP中、25℃において)。
図15に示されるように、組み込まれたゲンタマイシンのレベルにかかわらず、全ポリマーフィルムのインビトロ分解が同様の速度で進行した。固有粘度によって測定されるポリマーの分子量は、
図16に示されるように、インビトロでの初めの7日以内で急激に低下し、その後、より低速で低下した。
【0111】
(実施例2)
例示的な一実施形態では、ヒツジへの埋め込みによってインプラントを試験した。インプラントは、外科的に挿入し骨に取り付ける直前に金属プレート上に慎重に被せた、管状の薄い(0.05〜0.08mm)透明なポリマースリーブを備える、金属プレートであった。スリーブは、プレートの両端で開口していたが、緊密な適合度を有し、全長にわたって完全に金属プレートを被覆した。スリーブは、合成コポリエステル(グリコリド、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ラクチド)からなり、全体にわたって等しく離間配置された直径1.5mmの開口孔を有した。1つの群のスリーブは、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル)を1%の濃度で含有し、1つの群のスリーブは、ゲンタマイシンを10%の濃度で含有し、1つの群のスリーブは、トリクロサン(1%)及びゲンタマイシン(10%)両方の組み合わせを含有した。ゲンタマイシン及びトリクロサンの濃度は、各化合物の治療濃度域を決定するためのインビトロ試験に基づいて選択した。
【0112】
疎水性のトリクロサンは、10〜20μmの小さな粒子として懸濁されたままであった親水性のゲンタマイシンとは対照的に、ポリマー内に完全に溶解された。インビトロ試験は、乏しい水溶性が原因で、トリクロサンが、最小の初期バースト放出を伴い、これらのフィルムから3週間にわたって緩徐にしか放出されないことを示している。
【0113】
スリーブの表面に曝露される、より水溶性のゲンタマイシンの約50%が、挿入後24時間以内に隣接する組織へと放出された。ポリマーの真中に封入される残りのゲンタマイシンは、より緩徐に溶解し、埋め込み後2〜3週間にわたって放出された。ポリマーを、手術後60日以内に加水分解によって分解するように設計した。
【0114】
抗菌剤の有無にかかわらず、該スリーブは、生体適合性であり、軟組織及び骨の治癒への最小の作用を有し、かつ金属性インプラントに対して腐食性であることが証明された。実験の更なる詳細は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Vet Surg.2012 Jan 12.Biodegradable Sleeves for Metal Implants to Prevent Implant−Associated Infection:An Experimental In Vivo Study in Sheep.von Plocki SC,Armbruster D,Klein K,Kampf K,Zlinszky K,Hilbe M,Kronen P,Gruskin E,von Rechenberg B.に見出すことができる。
【0115】
(実施例3)
例示的な一実施形態では、フィルム10を以下の方法によって製造する。
【0116】
ゲンタマイシン含水量の決定:
ゲンタマイシン硫酸塩粉末の含水量を、乾燥損失法によって測定する。約0.5グラムのゲンタマイシンをガラス瓶内で秤量し、次に3時間110℃に真空下で加熱し、2回目の秤量を行う。重量損失を含水量として記録し、これを使用して水分パーセントを算出する。
【0117】
溶液混合:
14.69グラムのゲンタマイシン硫酸塩粉末を秤量し、上記のように算出された含水量パーセントを補正する。これを、櫂型混合機を使用して、1L容器内で400gのDMSO溶媒に混合する。ゲンタマイシンが均一に分散するまで、混合物を30分間撹拌する。グリコール酸、カプロラクトン、乳酸、及びトリメチレンカーボネートモノマーを含有する100gのコポリマーを懸濁液に添加し、混合容器を65℃に加熱する。ポリマーが溶液中に完全に溶解するまで混合を2時間続け、次に溶液温度を55℃に低下させる。
【0118】
フィルム流延&溶媒乾燥:
高密度ポリエチレン製の流延成形型及び延伸ブレードを使用して、ポリマー溶液から薄い穿孔フィルムを流延する。流延成形型及び延伸ブレードを、アルカリ洗剤溶液を使用して予め洗浄し、自動CNC流延器具内に投入する。15mlのポリマー溶液をポリプロピレンシリンジ内に引き込み、これを流延器具内に投入する。流延器具が流延成形型上に溶液を自動的に分注し、成形型の表面全体をブレードで延伸する。ポリマー溶液で充填された成形型を、85℃の溶媒乾燥オーブンに約90分間入れ、フィルムを乾燥させる。成形型を乾燥オーブンから取り出し、2分以内にフィルムを成形型から剥離する。
【0119】
スリーブ封着:
特別な形状の型を備えるインパルス熱封着プレスを使用して、流延フィルムをスリーブの形状に封着及び切断する。2つの流延フィルムをプレス内に配置し、プレスを0.6MPa(80psi)の圧力で冷却し、4秒間200℃に加熱する。過剰のフィルム材料からスリーブを取り除き、適切な長さに切断する。封着されたスリーブを50℃の真空下で乾燥させ、水分バリア梱包内に密封して生体再吸収性ポリマーの分解を防止することができる。
【0120】
(実施例4)
インビトロ研究を行い、一般的なバクテリア性病原体による金属インプラントのコロニー形成を防止するゲンタマイシン含有再吸収性ポリマーフィルムの有効性を評価した。寒天を使用してステンレス鋼及びチタン骨折固定プレートによる軟組織の被覆を模倣するコロニー形成アッセイは、本フィルムが、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌、及びエンテロバクタークロアカによる金属性インプラントのバクテリアコロニー形成を防止するに当たって有効であることを示している。これらのデータは、フィルムを有しない金属性インプラント(対照)と比較して、バクテリア計数の少なくとも5〜6のlog減少を表す。
【0121】
最小殺菌時間(time to kill)アッセイでは、ステンレス鋼プレートにバクテリアを播種した。次に、ゲンタマイシン硫酸塩含有フィルムをプレート上に配置し、残存しているバクテリアの数を異なる時点で測定した。標的のバクテリアの最小殺菌時間データを以下に示す。ゲンタマイシンフィルムは、両方とも典型的にゲンタマイシン抵抗性である黄色ブドウ球菌の多剤耐性株及び嫌気性菌プロピオニバクテリウムアクネスを除く、全てのグラム陽性菌(青色で示される:黄色ブドウ球菌(MSSA)、黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(MDR)、及び表皮ブドウ球菌)、並びにグラム陰性菌(緑色で示される:緑膿菌、エンテロバクタークロアカ、及びアシネトバクターバウマンニ)標的バクテリアによる「コロニー形成単位」(CFU)として測定されるバクテリアコロニー形成の5〜7のlog減少を生じさせるのに有効であった。
図27は、インビトロでのステンレス鋼のコロニー形成を防止するゲンタマイシン硫酸塩含有フィルムの有効性を図示する(ISO 22916による様々なバクテリア)。
【0122】
(実施例5)
目的は、ゲンタマイシンフィルムの阻害ゾーンを測定することであった。4つの異なる種のバクテリアを用いて試験を行った。
【0123】
試料
ゲンタマイシンフィルムの6mmパンチ(0.1%、0.5%、1.0%、5.0%、及び13%のゲンタマイシン硫酸塩、無水)(13%のゲンタマイシンのフィルムは、他のゲンタマイシンフィルムとは別々に試験し、データを別々に収集し生成した)
【0124】
対照
30μlのdPBS中120μgのゲンタマイシンを有するブランクフィルタディスク;30μlのdPBS中のブランクフィルタディスク
【0125】
バクテリア
黄色ブドウ球菌ATCC 25923、表皮ブドウ球菌ATCC 12228、緑膿菌ATCC 10145、エンテロバクタークロアカATCC 29941
【0126】
材料&計器
ガラス培養管(VWR番号:89001−480);ブランクディスク、直径6.35mm(VWR番号:90002−114);6mm使い捨て生検パンチ(VWR番号:21909−144);Mueller Hinton寒天皿(VWR番号:100219−188);0.5 McFarland濁度標準(VWR番号:29447−318);dPBS(VWR番号:12001−664);綿棒;インキュベーター;温度計;バクテリアフード
【0127】
実験方法
−36℃で一晩インキュベートした寒天皿からのコロニーをdPBSに加える。
−dPBSを用いて0.5McFarland標準の当量に濁度を調節する。
−濁度調節の15分以内に、無菌綿棒をdPBSに浸漬する。この管の中で綿棒を旋回させ、綿棒を取り除くとき液体の上で管の側面に押し付ける。
−プレートの中央を下に1回画線することによってMueller−Hinton寒天プレートを播種する。次に綿棒でプレート全体に画線し、各回約60°、2回回転させる。プレート全体を画線した後、綿棒でプレートの縁の周囲を画線する。
−フィルタディスク/パンチを皿上に配置する。
−皿の播種の15分以内に36℃のインキュベーターに入れる。
−16〜18時間インキュベートする。
−ノギスを使用してミリメートル単位でZOIを測定する(ZOIはディスクの中心点を通って測定される直線距離として測定された)。
図28は、最低有効濃度及び測定されたZOIを図示する。
【0128】
【表4】
【0129】
【表5】
【0130】
(実施例6)
バクテリアコロニー形成を防止するゲンタマイシン硫酸塩含有ポリマーフィルムの有効性を評価するために、スリーブ又はプレート全体を被覆するには短すぎたスリーブの形態のゲンタマイシン硫酸塩含有ポリマーフィルムでステンレス鋼の骨折固定プレートを被覆した(即ち、プレートの半分(長さ11cmのプレートの5.5cm)のみが被覆された)。これらのプレートにバクテリアを播種し、軟組織の被覆を模倣する3次元寒天アッセイで抗菌活性を評価した。4つの一般的な病原体(緑膿菌、黄色ブドウ球菌、エンテロバクタークロアカ、及び表皮ブドウ球菌)が評価され、ゲンタマイシン硫酸塩含有ポリマーフィルム(13重量%のゲンタマイシン)が、ポリマーフィルムによって被覆されていないプレートの表面でさえ、鋼プレートのコロニー形成を有効に防止した(対照に対してCFUの5〜6のlog減少)。
図29は、様々なバクテリアについて測定された阻害ゾーンを図示する。
【0131】
上に示され、かつ記載された例示的な実施形態に対して、その広義の発明の概念から逸脱することなく変更がなされ得ることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本開示は、示されかつ記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨及び範囲内の変更を網羅するよう意図されることが理解される。例えば、例示的な実施形態の特定の特徴は、特許請求される発明の一部である場合もそうでない場合もあり、開示される実施形態の特徴は組み合わされてもよい。本明細書に別途明確に記載されない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、1つの要素に限定されるものではなく、むしろ「少なくとも1つ」を意味するものとして読まれるべきである。
【0132】
本発明の図及び説明のうちの少なくともいくつかは、本開示の明確な理解に関連する要素に注目するために簡略化されているが、明確にすることを目的として、当業者が理解する他の要素を排除することが、本発明の一部を構成してもよいことを理解されたい。しかしながら、そのような要素は当該技術分野で周知であり、かつそれらは本発明のより良い理解を必ずしも容易にするわけではないため、そのような要素の説明は本明細書において提供されない。
【0133】
更に、本明細書に明記されている工程の特定の順序に依拠しないことの範囲内において、工程の特定の順序は請求項に対する制限と解釈されるべきでない。更に、全ての実施形態の方法工程は、別途記載のない限り本明細書に記載される任意の他の実施形態の方法工程に組み込まれ得、全ての実施形態の構造的特徴は、別途記載のない限り全ての他の実施形態に組み込まれ得ることを理解されたい。本発明の方法を対象とした請求項は、書かれた順序における工程の実行に限定されるべきでない、また当業者は工程が変わり得るものであってかつ本発明の精神及び範囲内に依然留まり得ることを容易に認識できる。
【0134】
〔実施の態様〕
(1) 可撓体であって、
第1の表面及び反対側の第2の表面を有するフィルムであって、前記フィルムが、前記第1の表面から前記第2の表面まで延在する複数の開口と、前記複数の開口のそれぞれが複数の隆起縁のうちの1つによって包囲されるように前記第1の表面から突出する前記複数の隆起縁と、を有する、フィルムを備え、
前記フィルムが、複数の層を備え、
前記複数の層のうちの少なくとも1つが、薬物を含有する薬物含有層を含み、
前記複数の層のうちの少なくとも1つが、接着剤層を含む、可撓体。
(2) 前記接着剤層が、前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの1つを画定する、実施態様1に記載の可撓体。
(3) 前記複数の層のうちの少なくとも1つが、前記薬物の速度放出(rate release)を制御するように構成された速度制御層を含む、実施態様1又は2に記載の可撓体。
(4) 前記フィルムが、生分解性ポリマーを含む、実施態様1〜3のいずれかに記載の可撓体。
(5) 前記薬物が、前記ポリマー中で少なくとも部分的に不溶性である、実施態様4に記載の可撓体。
【0135】
(6) 前記フィルムが、1つ又は2つ以上の生体適合性粒子を更に含む、実施態様1〜5のいずれかに記載の可撓体。
(7) 前記粒子が、カルシウム含有塩粒子を含む、実施態様6に記載の可撓体。
(8) 前記フィルムが、前記開口を有する第1の領域及び前記開口を欠く第2の領域を画定する、実施態様1〜7のいずれかに記載の可撓体。
(9) 多層フィルムを形成する方法であって、
第1のポリマー溶液を、成形型の底部から延在する複数の突出部を有する前記成形型に入れる工程と、
前記ポリマー溶液を前記複数の突出部のそれぞれの周囲に付勢する工程と、
1つ又は2つ以上の追加のポリマー溶液を前記成形型に入れる工程と、
前記ポリマー溶液を凝固させる工程と、を含み、
複数の開口を有する多層フィルムが形成される、方法。
(10) 1つ又は2つ以上の追加のポリマー溶液を前記成形型に入れる前記工程は、前記ポリマー溶液を付勢することが前記第1のポリマー溶液及び前記1つ又は2つ以上のポリマー溶液を付勢することを含むように、付勢する前記工程の前に起こる、実施態様9に記載の方法。
【0136】
(11) 前記ポリマー溶液を凝固させる前記工程が、1つ又は2つ以上の追加のポリマー溶液を前記成形型に入れる前記工程の前及び後の両方で起こる、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記第1のポリマー溶液又は前記1つ又は2つ以上の追加のポリマー溶液のうちの少なくとも1つが、薬物を含む、実施態様9〜11のいずれかに記載の方法。
(13) 前記第1のポリマー溶液又は前記1つ又は2つ以上の追加のポリマー溶液のうちの少なくとも1つが、凝固したときに接着剤層を構成する、実施態様9〜12のいずれかに記載の方法。
(14) 前記第1のポリマー溶液又は前記1つ又は2つ以上の追加のポリマー溶液のうちの少なくとも1つが、凝固したときに薬物放出のための速度制御層を構成する、実施態様9〜13のいずれかに記載の方法。
(15) フィルムの貯蔵、梱包、及び/又は出荷のためのフィルム貯蔵システムであって、
実施態様1〜8のいずれかに記載の可撓体と、
前記接着剤層上に配置された取り外し可能な非接着性裏打ち材と、を備える、フィルム貯蔵システム。
【0137】
(16) フィルムの貯蔵、梱包、及び/又は出荷のためのフィルム貯蔵システムであって、
実施態様1〜8のいずれかに記載の可撓体と、
前記フィルムを収集するように構成された収集器であって、前記フィルムが前記収集器から分離可能である、収集器と、を備える、フィルム貯蔵システム。
(17) 整形外科処置のためのシステムであって、
整形外科用医療デバイスと、
実施態様1〜8のいずれかに記載の可撓体及びフィルム固定要素を含むフィルム固定システムと、を備える、システム。
(18) 前記整形外科用医療デバイスが、骨固定孔を有する骨プレートである、実施態様17に記載の整形外科処置のためのシステム。
(19) 前記骨固定孔と整列するように構成されたねじ付きシャフトを有する骨を更に備える、実施態様18に記載の整形外科処置のためのシステム。
(20) 前記骨スクリューの前記ねじ付きシャフトの直径は、前記スクリューシャフトが1つより多い開口を含む前記骨固定孔と整列された前記フィルムの領域を通して駆動されるように構成されるように、少なくとも2つの隣接する開口の断面寸法、及び前記少なくとも2つの隣接する開口間の間隙の両方よりも大きい、実施態様19に記載の整形外科処置のためのシステム。