【課題を解決するための手段】
【0015】
前述および他の目的の1つ以上は、添付の特許請求の範囲の独立請求項において規定されるような主題によって解決される。
【0016】
本発明の1つの態様によれば、ポリマー組成物の連続製造のための方法が提供され、この方法は:
(a)フィラーを提供する工程;
(b)ポリマー材料を提供する工程;
(c)工程(a)のフィラーおよび工程(b)のポリマー材料を含むポリマー組成物を、押出機を使用することによって形成する工程を含み;
この方法が、このフィラーのポリマー材料への組み込みを含み、ここでフィラーの組み込みの間、このポリマー材料は、少なくとも部分的に溶融した状態であり、且つこのフィラーはスラリーとして組み込まれることを特徴とする。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物の提供に関する。
【0018】
さらに別の態様によれば、本発明は、ポリマー組成物を含むポリマー製品に関する。
【0019】
さらに別の態様によれば、本発明は、ポリマー製品の製造におけるポリマー組成物の使用に関し、ここでこのポリマー製品は、好ましくは、ロールストック、バッグ、パウチ、ラベル、ラップ、リッディング、収縮スリーブおよび延伸フィルムを含む工業用途および消費者用途のための可撓性パッケージング;プラスチックボトル、カップおよび容器を含む工業用途および消費者用途のための剛性パッケージング;パイプおよび導管、クラッディングおよびプロファイル、絶縁、シールおよびガスケット、ジオテキスタイルを含む建築および建設材料;温室材料、マルチフィルム、トンネル、サイレージ、ベールラップ、ボックスおよびクレートを含む農業および園芸材料;内部部品、例えば機器およびドアパネル、コンソール、ピラーおよびシート;外部部品、例えばバンパーフェイシア、フェンダー、テールゲート、ならびにボンネット下での用途(エアダクト、吸気マニフォールド、ラジエーターおよび冷却ホースを含む。)を含む輸送および自動車用途;CDプレーヤー、DVDシステム、パソコンおよびTV受像機、ノート型パソコン、タブレット、スマートフォン、調理器具、冷蔵庫および冷凍庫、洗濯機、食洗器、ツールおよびオフィス機器を含む電気および電子用途;使い捨てキャップ、ガウン、マスク、手術着およびシューカバー、ドレープ、ラップおよびパック、スポンジ、包帯およびワイプ、ベッドリネン、汚染制御ガウン、実験ガウン、実験室用コート、アイソレーションガウン、診断医療機器および医療デバイスを含む医療および健康用途;吸収衛生製品(AHP)、乳児用おむつ、婦人衛生製品および成人失禁用製品、拭き取り用品、スキンケア製品、脱毛ストリップを含むパーソナルケア製品;木材複合物、装飾箔、フロアカバー、フローリング、台所用品、クリーナー、ペットケア、芝生および庭園物品を含む家庭用および家具用製品;おもちゃの家、組立キット、おもちゃの車、スポーツおよびフィットネスデバイス、靴、衣類およびスポーツウェア、安全設備(ヘルメット、ニーパッド)、スポーツ設備およびスーツケースを含む玩具、スポーツおよびレジャー物品の1つ以上から選択される。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、押出機内においてスラリーを、少なくとも部分的に溶融状態であるポリマー材料に組み込むことによるポリマー組成物の製造のための、スラリーの形態にあるフィラーの使用に関する。
【0021】
本発明の方法の有利な実施形態は、対応する従属項において規定される。
【0022】
本発明の方法の1つの実施形態によれば、フィラースラリーは、このフィラースラリーの総重量に基づいて、10から90重量%、好ましくは15から88.5重量%、より好ましくは20から78重量%の範囲の固形分含有量を有する。
【0023】
本発明の方法の別の実施形態によれば、ポリマー組成物のフィラー含有量は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0.5から90重量%、好ましくは5から85重量%、より好ましくは10から80重量%、最も好ましくは20から75重量%の範囲である。
【0024】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、炭酸カルシウム含有鉱物、チョーク、石灰岩、大理石、ドロマイト、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレイ、雲母、二酸化チタンまたはこれらの混合物からなる群から選択され、ここでこのフィラーは、好ましくは炭酸カルシウム含有鉱物である。
【0025】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、粉砕炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、またはこれらの混合物である。
【0026】
本発明の方法の別の好ましい実施形態によれば、沈降炭酸カルシウム(PCC)は、ポリマー材料への組み込みの前に粉砕される。
【0027】
本発明の方法のさらに別の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、コーティングされたフィラー、未コーティングフィラー、または両方の混合物を含み、ここでこのフィラーは、好ましくは未コーティングフィラーを含み、より好ましくは未コーティング炭酸カルシウム含有鉱物フィラーを含む。
【0028】
本発明の方法の1つの実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、0.001から50μm、好ましくは0.05から10μm、より好ましくは0.07から5μm、最も好ましくは0.1から2.5μmの範囲の重量中位粒径d
50を有する。
【0029】
本発明の方法の別の実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、0.25から50μm、好ましくは0.35から30μm、より好ましくは0.4から15μmの範囲の粒子トップカットd
98を有する。
【0030】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料は、熱可塑性樹脂を含み、ここで熱可塑性樹脂は、好ましくはポリオレフィンを含む。
【0031】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、ポリオレフィンは、ポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、ポリプロピレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、ポリブチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、またはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
本発明の方法の別の好ましい実施形態によれば、押出機は、ツインスクリュー押出機であり、ここでスクリューは、好ましくは共回転または逆回転スクリュー、より好ましくは共回転スクリューである。
【0033】
本発明の1つの実施形態によれば、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下の水含有量を有する。
【0034】
本発明の1つの実施形態によれば、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物は、ポリマー製品の製造において使用され、ここでこのポリマー製品は、好ましくはポリオレフィン物品、例えば織布繊維、不織布繊維、プロファイル、ケーブル、フィルムまたは成形製品を含む。
【0035】
スラリーの形態のフィラーの使用の1つの実施形態によれば、スラリーは、このスラリーの総重量に基づいて、10から90重量%、好ましくは15から88.5重量%、より好ましくは20から78重量%の範囲の固形分含有量を有する。
【0036】
この使用の別の実施形態によれば、ポリマー組成物のフィラー含有量は、このポリマー組成物の総重量に基づいて0.5から90重量%、好ましくは5から85重量%、より好ましくは10から80重量%、最も好ましくは20から75重量%の範囲である。
【0037】
この使用のさらに別の実施形態によれば、フィラーは、炭酸カルシウム含有鉱物、チョーク、石灰岩、大理石、ドロマイト、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレイ、雲母、二酸化チタンまたはこれらの混合物からなる群から選択され、ここでこのフィラーは、好ましくは炭酸カルシウム含有鉱物である。
【0038】
この使用のさらに別の実施形態によれば、フィラーは、粉砕炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、またはこれらの混合物である。
【0039】
この使用の1つの実施形態によれば、沈降炭酸カルシウム(PCC)は、ポリマー材料への組み込みの前に粉砕される。
【0040】
この使用の別の実施形態によれば、フィラーは、コーティングされたフィラー、未コーティングフィラー、または両方の混合物を含み、ここでこのフィラーは、好ましくは未コーティングフィラーを含み、より好ましくは未コーティング炭酸カルシウム含有鉱物フィラーを含む。
【0041】
この使用の別の実施形態によれば、フィラーは、0.001から50μm、好ましくは0.05から10μm、より好ましくは0.07から5μm、最も好ましくは0.1から2.5μmの範囲の重量中位粒径d
50を有する。
【0042】
この使用のさらに別の実施形態によれば、フィラーは、0.25から50μm、好ましくは0.35から30μm、より好ましくは0.4から15μmの範囲の粒子トップカットd
98を有する。
【0043】
この使用の別の実施形態によれば、ポリマー材料は、熱可塑性樹脂を含み、ここで熱可塑性樹脂は、好ましくはポリオレフィンを含む。
【0044】
この使用の一部の実施形態によれば、ポリオレフィンは、ポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、ポリプロピレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、ポリブチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、またはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
この使用の別の実施形態によれば、押出機は、ツインスクリュー押出機であり、ここでスクリューは、好ましくは共回転または逆回転スクリュー、より好ましくは共回転スクリューである。
【0046】
本発明の趣旨上、以下の用語は以下の意味を有することが理解されるべきである:
用語「ポリマー組成物」は、少なくとも1つの添加剤(例えば少なくとも1つのフィラー)およびポリマー製品の製造に使用され得る少なくとも1つのポリマー材料を含む複合材料を指す。フィラー含有量が相対的に高い(例えばポリマー組成物の総重量に基づいて35から90重量%)ポリマー組成物は、「ポリマーマスターバッチ」とも称され、より高いフィラー含有量を達成するために加工処理中に未充填または低充填ポリマーに添加されてもよい。それでもなお、フィラー含有量が相対的に低い(例えばポリマー組成物の総重量に基づいて0.5から45重量%)ポリマー組成物はまた、「ポリマー化合物」とも称され、ポリマー製品の製造に直接的に使用されてもよい。従って、本明細書で使用される場合に、用語「ポリマー組成物」は、ポリマーマスターバッチおよびポリマー化合物の両方を含む。
【0047】
本発明の意味において、用語「フィラー」は、例えばより高価な材料の消費を低減するため、または得られた製品の材料または機械的特性を改善するために材料、例えばポリマー、エラストマー、塗料、または接着剤に添加されてもよい物質を指す。当業者は、それぞれの分野において使用される典型的な鉱物フィラーについて熟知している。
【0048】
本明細書で使用される場合に、用語「鉱物」は、秩序だった原子構造を有する自然発生の固体材料を包含する。
【0049】
本発明の意味において、用語「スラリー」は、少なくとも1つの不溶性固体および少なくとも1つの液体、例えば水を含む懸濁液を指す。この懸濁液は、場合によりさらなる添加剤を含んでいてもよい。スラリーは、通常は、多量の固体を含有し、より粘稠であり、一般に、形成される液体よりも高い密度を有する。一般用語「分散液」は特に、特定のタイプの分散液として「懸濁液」をカバーすることが当該技術分野において認められている。
【0050】
本願において使用されるような「ポリマー材料」は、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、異相コポリマーおよびランダム異相コポリマー、ならびにポリマーブレンド、変更またはこれらの混合物を含む。本明細書に使用される場合、用語ポリマー材料は、同様に、リサイクルされたポリマー材料を含んでいてもよい。ポリマー材料中のリサイクルポリマーの含有量は、0.01から100重量%の範囲であってもよい。
【0051】
本願によれば「押出機」は、1つ以上のポリマーと、1つ以上の添加剤、例えば鉱物フィラーとのコンパウンドに好適であるいずれかのデバイスであってもよい。
【0052】
本発明の意味において「粉砕炭酸カルシウム」(GCC)は、天然源から得られた炭酸カルシウム、例えば石灰岩、大理石、カルサイトまたはチョークであり、湿式および/または乾式処理、例えば粉砕、スクリーニングおよび/または分別、例えばサイクロンまたは分類機によるものを通して加工処理される。
【0053】
本発明の意味において「沈降炭酸カルシウム(PCC)」は、一般に、水性環境での二酸化炭素および水酸化カルシウム(消石灰)の反応の後の沈降、または水中のカルシウム源およびカーボネート源の沈降によって得られる合成された材料である。加えて、沈降炭酸カルシウムはまた、カルシウムおよびカーボネート塩、塩化カルシウムおよび炭酸ナトリウムの、例えば水性環境中への導入生成物であることができる。PCCはバテライト、カルサイトまたはアラゴナイトであってもよい。PCCは、例えばEP2447213A1、EP2524898A1、EP2371766A1、または未公開欧州特許出願番号12164041.1に記載されている。
【0054】
本発明の意味において「改質炭酸カルシウム」(MCC)は、内部構造の改質を伴う天然粉砕または沈降炭酸カルシウムまたはこれらの表面反応生成物、例えばUS6,666,953、EP2264109A1およびEP2264108A1に記載されるような表面反応した炭酸カルシウムを特徴とし得る。
【0055】
本発明の意味において用語「コーティングされた」は、好ましくはこの鉱物フィラーの表面を疎水化するために、例えば脂肪酸、界面活性剤、シロキサン、ポリマー、またはこれらの混合物での鉱物フィラーのいずれかのコーティングを指す。結果としては、用語「未コーティング」は、こうした疎水性表面層の不存在を指す。
【0056】
本文書全体を通して、フィラー材料の「粒径」は、この粒径分布によって記載される。値d
xは、粒子のx重量%がd
x未満の直径を有する直径を表す。これは、d
20値は、すべての粒子の20重量%がこの粒径よりも小さい粒径であり、d
98値は、すべての粒子の98重量%がこの粒径よりも小さい粒径であることを意味する。d
98値はまた、「トップカット」と指定される。故にd
50値は、重量中位粒径であり、即ちすべての粒子の50重量%が、この粒径よりも大きいまたは小さい。本発明の趣旨上、粒径は、特に断らない限り、重量中位粒径d
50として特定される。重量中位粒径d
50値またはトップカット粒径d
98値を決定するために、Micromeritics,USA社からのSedigraph 5100または5120デバイスが使用できる。
【0057】
不定冠詞または定冠詞、例えば「a」、「an」または「the」が単数名詞を指すときに使用される場合に、これは、具体的な記述がない限り、この名詞の複数形を含む。
【0058】
用語「含む」は本説明および特許請求の範囲に使用される場合に、これは他の要素を排除しない。本発明の趣旨上、用語「からなる」は、用語「含む」の好ましい実施形態であると考慮される。この後、群が少なくとも特定数の実施形態を含むように規定される場合に、これはまた、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群を開示することも理解されるべきである。
【0059】
「得ることができる」または「規定できる」および「得られる」または「規定される」という用語は、交換可能に使用される。例えばこれは、文脈上明確に示されない限り、用語「得られる」が、例えばある実施形態が例えば用語「得られる」に続く一連の工程によって得られなければならないことを示すことは意味しないが、こうした限定的な理解は、好ましい実施形態として用語「得られる」または「規定される」によって常に含まれることを意味する。
【0060】
本発明によれば、ポリマー組成物の連続製造のための方法が:
(a)フィラーを提供する工程;
(b)ポリマー材料を提供する工程;
(c)工程(a)のフィラーおよび工程(b)のポリマー材料を含むポリマー組成物を、押出機を使用することによって形成する工程を含み;
この方法が、このフィラーのポリマー材料への組み込みを含み、ここでフィラーの組み込みの間、このポリマー材料は、少なくとも部分的に溶融した状態であり、且つこのフィラーはスラリーとして組み込まれることを特徴とする。
【0061】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の方法の工程(a)で提供されるフィラーは、スラリーとして、即ち固体フィラーおよび液体、通常は水の混合物として組み込まれてもよいことを見出した。この趣旨上、フィラースラリーは、好適には、押出機の注入ゾーンに直接注入される。押出機の注入ゾーンにおいて、工程(b)において提供されるポリマーは少なくとも部分的に溶融状態であり、注入されたフィラースラリーとポリマー溶融物との十分な混合を可能にする。混合後、いずれかの液体(例えば水)は、本発明の方法に従って1つ以上の大気圧または真空ベントを通して蒸発させることができる。本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物は、優れた材料特性、例えばポリマーマトリックス中のフィラーの非常に良好な分散を有し、水を含まなくてよいまたは本質的に含まなくてもよい。
【0062】
以下には、ポリマー組成物の連続製造のための本発明の方法の好ましい実施形態が、より詳細に記載される。
【0063】
これらの技術的詳細および実施形態はまた、ポリマー組成物に、ポリマー組成物を含むポリマー製品に、ポリマー組成物の使用におよびこうしたポリマー組成物の製造のための方法におけるスラリー形態のフィラーの使用に適用することが理解されるべきである。
【0064】
工程(a)の特徴付け:
ポリマー組成物の連続製造のための本発明の方法の工程(a)によれば、フィラーが提供される。
【0065】
本発明の意味において、フィラーは、例えばより高価な材料の消費を低減するため、または得られた製品の材料または機械的特性を改善するために材料、例えば紙、ポリマー、ゴム、塗料、または接着剤に添加されてもよい。当業者は、それぞれの分野において使用される典型的なフィラーについて熟知している。
【0066】
工程(a)で提供されるフィラーは、当該技術分野において既知であり、本発明のフィラーとして使用されるのに好適であるいずれかの材料であってもよい。
【0067】
本発明の方法の1つの実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、炭酸カルシウム含有鉱物、チョーク、石灰岩、大理石、ドロマイト、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレイ、雲母、二酸化チタン、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ベイデライト、グリマー、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、ソーコナイト、バーミキュライト、レディカイト、マガダイト(megadite)、ケニアイト、ステベンサイト、ボルコンスコアイト、長石カオリナイト、マグネサイト、白雲母、ハンタイトまたはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0068】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、炭酸カルシウム含有鉱物、チョーク、石灰岩、大理石、ドロマイト、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレイ、雲母、二酸化チタンまたはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0069】
本発明の方法の別の実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、鉱物フィラー、例えば秩序付けされた原子構造を有する自然発生源の固体材料であってもよい。
【0070】
本発明の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、炭酸カルシウム含有鉱物フィラーである。
【0071】
本発明の方法の特に好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、粉砕炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、またはこれらの混合物である。
【0072】
本発明の意味において粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、天然源から得られた炭酸カルシウムであり、これは、例えば粉砕、スクリーニングおよび/または分別(湿式および/または乾式による。)、例えばサイクロンまたは分類機によるものを通して加工処理されてもよい。好ましくは天然炭酸カルシウム源は、チョーク、石灰岩、大理石、ドロマイト、またはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0073】
天然または粉砕炭酸カルシウムは、3つのタイプの結晶多形体:カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトとして存在することが知られている。 最も一般的な結晶多形体であるカルサイトは、最も安定な結晶形態の炭酸カルシウムであると考えられる。アラゴナイトはあまり一般的ではなく、個別またはクラスター化針状斜方晶構造を有する。バテライトは、最もまれな炭酸カルシウム多形体であり、一般に不安定である。
【0074】
用語GCCは、同様に、超微細GCCまたはナノGCCとも称されるナノメートル範囲の粒径を有するGCCを含む。
【0075】
本発明の意味において沈降炭酸カルシウム(PCC)は、一般に、水性環境での二酸化炭素および水酸化カルシウム(消石灰)の反応の後の沈降、または水中のカルシウム源およびカーボネート源の沈降によって得られる合成された材料である。加えて、沈降炭酸カルシウムはまた、カルシウムおよびカーボネート塩、塩化カルシウムおよび炭酸ナトリウムの、例えば水性環境中への導入生成物であることができる。
【0076】
沈降炭酸カルシウム(PCC)合成は、最も一般的には合成沈降反応によって生じ、この反応は、二酸化炭素と水酸化カルシウム溶液とを接触させる工程を含み、この水酸化カルシウムは、ほとんどの場合、生石灰とも称される酸化カルシウムの水性懸濁液の形態で提供され、この懸濁液は石灰乳としても一般に知られる。反応条件に依存して、このPCCは、安定および不安定多形体の両方を含む種々の形態で現れ得る。実際、PCCは、多くの場合、熱力学的に不安定な炭酸カルシウム材料を表す。本発明の文脈において言及される場合、PCCは、水中の微粉化酸化カルシウム粒子から誘導される場合に石灰スラリーまたは石灰乳として一般に当該技術分野において称される水酸化カルシウムのスラリーの炭
酸塩化によって好ましくは得られる合成炭酸カルシウム生成物を意味するように理解される。好ましい合成炭酸カルシウムは、アラゴナイト、バテライトまたはカルサイトの鉱物学的結晶形態またはこれらの混合物を含む沈降炭酸カルシウムである。
【0077】
用語PCCは、同様に、超微細PCCまたはナノPCCとも称されるナノメートル範囲の粒径を有するPCCを含む。
【0078】
沈降炭酸カルシウム(PCC)は、当該技術分野において既知のいずれかの方法によるポリマー材料への組み込みの前に粉砕されてもよい。好ましくは、沈降炭酸カルシウム(PCC)は、例えば乾式および/または湿式粉砕による、ポリマー材料への組み込みの前に粉砕されてもよい。
【0079】
本発明の意味において改質炭酸カルシウム(MCC)は、内部構造の変更を伴い天然粉砕または沈降炭酸カルシウムまたは表面反応生成物、即ち表面反応した炭酸カルシウムを特徴とし得る。
【0080】
本発明に従うフィラーは、0.001μmから100μmの範囲の重量中位粒径d
50を有していてもよい。
【0081】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、0.001から50μm、好ましくは0.005から20μmの範囲の重量中位粒径d
50を有する。
【0082】
本発明の方法の別の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、0.01から10μm、好ましくは0.07から5μm、より好ましくは0.1から2.5μmの範囲の重量中位粒径d
50を有する。
【0083】
さらにナノPCCは、多量のこうしたナノフィラーの組み込み時に通常生じる問題に直面することなく、先行技術の方法において得ることができるポリマー組成物の相対的に不十分な機械的特性に直面することもなく、相対的に高いフィラーロードであっても本発明の方法においてフィラーとして使用できることを見出した。
【0084】
一般に、ナノPCCが工程(a)で提供されるフィラーとして使用される場合、これは約0.001から約0.07μmの範囲の重量中位粒径d
50を有するPCCを指す一方で、超微細PCCは、約0.07から約1μmの範囲の重量中位粒径d
50を有するPCCを指す。好ましい実施形態によれば、本発明の方法の工程(a)で提供されるフィラーは、好ましくは0.001から0.07μm、より好ましくは0.002から0.06μm、最も好ましくは0.005から0.05μmの範囲の重量中位粒径d
50を有するナノPCCである。
【0085】
本発明に従うフィラーが、0.5μmから200μmの範囲の粒子トップカットd
98を有していてもよい。
【0086】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、0.25から50μm、好ましくは0.35から30μm、より好ましくは0.4から15μmの範囲の粒子トップカットd
98を有する。
【0087】
本発明の方法の別の実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、表面処理またはコーティングされたフィラー、未コーティングフィラー、または両方の混合物を含む。
【0088】
本発明の特定実施形態において、フィラーは、表面処理またはコーティングされた鉱物フィラーである。例えば、鉱物フィラーが炭酸カルシウム含有鉱物フィラーである場合、これは、例えば1つ以上の脂肪酸、界面活性剤、シロキサン、ポリマーまたはこれらの混合物による当該技術分野において既知のいずれかの表面処理またはコーティングを含む粉砕(GCC)、沈降(PCC)または改質炭酸カルシウム(MCC)を指してもよい。故に炭酸カルシウム含有鉱物フィラーは、水不溶性カルシウム塩を形成できるアニオンで表面処理またはコーティングされてもよく、ここでアニオンは、以下の1つ以上を含んでいてもよい:ホスフェートを含むアニオン、例えばPO
43−およびHPO
42−、オキサレートアニオン(C
2O
42−)、CO
32−の形態のカーボネートを含むアニオン、ホスホネートアニオン、スクシネートアニオンまたはフッ化物アニオンを含んでいてもよい。炭酸カルシウム含有鉱物フィラーの表面処理またはコーティングはさらに、炭酸カルシウム含有フィラーの表面を、一置換無水コハク酸および場合により一置換コハク酸と接触させて、処理層が形成されるようにする工程、この一置換無水コハク酸および場合により一置換コハク酸および/またはこれらの塩反応生成物を含む工程を含んでいてもよい。
【0089】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、未コーティングフィラーを含み、より好ましくは未コーティング炭酸カルシウム含有鉱物フィラーを含む。
【0090】
本発明の方法のさらに別の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、未コーティング粉砕炭酸カルシウム(GCC)、未コーティング沈降炭酸カルシウム(PCC)、未コーティング改質炭酸カルシウム(MCC)、またはこれらの混合物を含む。
【0091】
本発明の方法のさらに別の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、粉砕炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、またはこれらの混合物である。
【0092】
本発明の方法のさらに別の好ましい実施形態によれば、工程(a)で提供されるフィラーは、未コーティング粉砕炭酸カルシウム(GCC)、未コーティング沈降炭酸カルシウム(PCC)、未コーティング改質炭酸カルシウム(MCC)、またはこれらの混合物である。
【0093】
本発明の工程(a)で提供されるフィラーは、場合により、当業者に周知の1つ以上の添加剤を含んでいてもよい。
【0094】
工程(b)の特徴付け:
ポリマー組成物の連続製造のための本発明の方法の工程(b)によれば、ポリマー材料が提供される。
【0095】
本願において使用されるようなポリマー材料は、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、異相コポリマーおよびランダム異相コポリマー、ならびにポリマーブレンド、変更またはこれらの混合物を含む。本明細書に使用される場合、用語ポリマー材料は、同様に、リサイクルされたポリマー材料を含んでいてもよい。ポリマー材料中のリサイクルポリマーの含有量は、0.01から100重量%の範囲であってもよい。
【0096】
工程(b)で提供されるポリマー材料は、ニートまたはバージンポリマー材料であってもよく、または既にフィラーを含んでいてもよく、このフィラーは、ポリマー組成物の形成前の工程(a)について上記で規定されたような実施形態から選択される。しかし、いずれかの他の好適なフィラー材料が使用されてもよい。
【0097】
1つの実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料に存在する鉱物フィラー材料は、工程(a)で提供される鉱物フィラー鉱物材料と同一である。
【0098】
別の実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料に存在するフィラーは、工程(a)で提供される鉱物フィラー材料と異なる。
【0099】
本発明の工程(b)で提供されるポリマー材料は、場合により、当業者に周知の1つ以上の添加剤を含んでいてもよい。
【0100】
こうした添加剤は、これらに限定されないが、UV吸収剤、光安定剤、加工処理安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、核形成剤、金属不活性化剤、衝撃調整剤、可塑剤、潤滑剤、レオロジー調整剤、加工処理助剤、顔料、染料、光学的光沢剤、抗菌剤、静電気防止剤、スリップ剤、粘着防止剤、カップリング剤、分散剤、相溶化剤、酸素スカベンジャー、酸スカベンジャー、マーカー、防曇剤、表面改質剤、難燃剤、吹込み剤、煙抑制剤、強化剤、例えばガラス繊維、炭素繊維および/またはガラスバブル、またはこれら添加剤の混合物を含む。
【0101】
好ましくは、添加剤は、長鎖カルボン酸の塩に基づく酸スカベンジャーのクラス、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛および乳酸カルシウムから選択され、またはハイドロタルサイトであってもよく、フェノール系酸化防止剤、ベンゾフラノン、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオシネルギストおよびホスファイト/ホスホナイトに基づく安定剤のクラスから、ヒンダードアミン(HALS)に基づく光安定剤のクラスから、金属不活性化剤のクラスから、分散剤のクラスから、カップリング剤、または相溶剤、またはこれらの添加剤のいずれかの混合物から選択される。
【0102】
好適なフェノール系酸化防止剤は、例えば:オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(propanonate)、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパノエート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミドである。
【0103】
好適なホスファイト/ホスホナイトは、例えば:トリス−(2,4−ジ−tertブチル−フェニル)ホスファイト、3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジ−ホスファスピロ[5.5]ウンデセン、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトである。
【0104】
好適な立体障害アミンは、例えば:1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸の縮合生成物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの線状または環状縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−ジアミンおよび4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの線状または環状縮合生成物、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デセンおよびエピクロロヒドリンの反応生成物である。
【0105】
好適な分散剤は、例えば:ポリアクリレート、例えば長い側鎖を有するコポリマーおよびポリアクリレートブロックコポリマー;アルキルアミド、例えばN,N’−1,2−エタンジイルビスオクタデカンアミド;ソルビタンエステル、例えばモノステアリルソルビタンエステル;チタネートおよびジルコネート;反応性コポリマー、例えばポリプロピレン−アクリル酸コポリマー;ポリプロピレン−無水マレイン酸コポリマー;ポリエチレン−グリシジル−メタクリレートコポリマー;ポリスチロール−無水マレイン酸−ポリシロキサン交互コポリマー、例えばジメチルシランジオール−エチレンオキシドコポリマー;ポリフェニルシロキサンコポリマー;両親媒性コポリマー、例えばポリエチレン−ポリエチレンオキシドブロックコポリマー;ならびにデンドリマー、例えばヒドロキシ含有デンドリマーである。
【0106】
好適な金属不活性化剤は、例えばN,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンであってもよい。別の実施形態によれば、金属不活性化剤は、以下の構造の1つ以上から選択することができる:
【0107】
【化1】
【0108】
本発明の方法の1つの実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料は、熱可塑性樹脂を含み、ここで熱可塑性樹脂は、好ましくはポリオレフィンを含む。
【0109】
本発明に好適なこうした熱可塑性樹脂は、これらに限定されないが、以下を含んでいてもよい:
a)オレフィンおよびジオレフィンからのポリマー、例えばポリエチレン(LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、MDPE、HDPE、UHMWPE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシクロオクテン、同様にランダムまたはブロックコポリマー、例えばエチレン/ブタ−1−エンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、エチレン−メチルペンテンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、ポリプロピレン−ポリエチレン(EP)、EPM、EPDM、エチレン−ビニルアセテート(EVA)およびエチレン−アクリル酸エステルコポリマー
b)ポリスチレン、ポリメチルスチレン、スチレン−ブタジエンコポリマー(SB)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)およびこの水素化ポリマー(SEBS)、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−アクリルニトリル(ABS)、スチレン−アクリルニトリル−アクリレート(ASA)、スチレン−無水マレイン酸およびグラフト化ポリマー、例えばスチレン−グラフト化ブタジエン、無水マレイン酸−グラフト化SBS、またはメチルメタクリレート、スチレン−ブタジエンおよびABSからのグラフト化ポリマー(MABS)
c)ハロゲン含有ポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、またはポリテトラフルオロエチレン
d)不飽和エステルからのポリマー、例えばポリアクリレート、またはポリメタクリレート、例えばポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブチルアクリレート、
e)不飽和アルコールから誘導されるポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、またはポリビニルブチラール(PVB)
f)ポリアセタール、例えばポリオキシメチレンおよびこれらのコポリマー
g)ポリフェニレンオキシド、ならびにこれらのポリスチレンまたはポリアミドブレンド
h)ポリウレタン(PU)、特に線状ポリウレタン(TPU)
i)ポリアミド(PA)、例えばPA−6、PA−6.6、PA−6.10、PA−4.6、PA−4.10、PA−6.12、PA−12.12、PA−11、PA−12ならびに部分的に芳香族のポリアミド(例えばポリフタルアミド)
j)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンスルフィド
k)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフチレート、
l)ポリカーボネート
m)セルロース誘導体、例えばセルロースニトレート、セルロースアセテート、またはセルロースプロピオネート
n)再生可能なバイオマス供給源、例えば植物油脂、コーンスターチ、エンドウスターチ、または微生物叢、脂肪族バイオポリエステルから誘導される部分的または完全なバイオ系ポリマー、例えばポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、またはポリエステル、例えばポリ乳酸(PLA)、
o)上記ポリマーの少なくとも1つを含むブレンド、混合物、合金および組み合わせ。
【0110】
1つの実施形態によれば、ポリオレフィンは、ポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、ポリプロピレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、ポリブチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、またはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0111】
本発明の方法の別の実施形態によれば、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、またはこれらの混合物を含む。
【0112】
本発明の方法の別の好ましい実施形態によれば、工程(c)で提供されるポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、またはこれらの混合物からなる群から選択され、ここでこのポリマー材料は好ましくはポリエチレンである。
【0113】
特に好ましい実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)および/または線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。
【0114】
別の特に好ましい実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)および/または線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。
【0115】
さらに別の特に好ましい実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマーは、0.910から0.940g/cm
3の範囲の密度を有するLDPE、0.915から0.925g/cm
3の範囲の密度を有するLLDPE、0.880から0.915g/cm
3の範囲の密度を有するVLDPEまたはこれらの混合物である。
【0116】
工程(c)の特徴付け:
本発明の方法の工程(c)によれば、ポリマー組成物は、押出機の使用によって形成され、ここでこのポリマー組成物は、工程(a)で提供されるフィラーおよび工程(b)で提供されるポリマー材料を含む。
【0117】
本発明の工程(c)に従う押出機は、当業者に既知のいずれかの押出機であってもよい。
【0118】
1つの実施形態によれば、押出機は、スクリュー押出機であり、ここでスクリュー押出機は、好ましくは単一スクリュー押出機、ツインスクリュー押出機、またはマルチスクリュー押出機である。
【0119】
好ましい実施形態によれば、押出機は、ツインスクリュー押出機であり、ここでスクリューは、好ましくは共回転または逆回転スクリュー、より好ましくは共回転スクリューである。
【0120】
こうした(ツインスクリュー)押出機は、通常、モジュールシステムとして設計される。故に押出方法は、押出機の異なる加工処理ゾーンによって反映される一連の個々の工程に分割できる。これらのゾーンは、例えば供給ゾーン、溶融/可塑化ゾーン、フィラーのための供給ゾーン、一般的なサイド供給ゾーン、分散ゾーン、均質化ゾーン、脱気ゾーン、例えば1つ以上の大気または真空ベントを備えたゾーンおよび放出ゾーンを含んでもよい。
【0121】
特に断らない限り、本明細書で使用される場合に用語「注入ゾーン」は、ポリマー材料が少なくとも部分的に溶融状態または完全に溶融状態で存在する押出機内におけるいずれかのゾーンを指す。特に、用語「注入ゾーン」は、溶融/可塑化ゾーン、フィラーのための供給ゾーン、一般的なサイド供給ゾーン、分散ゾーンおよび均質化ゾーンを包含する。
【0122】
通常、こうした(ツインスクリュー)押出機の加工処理ゾーンは(この全体配置は「スクリューシリンダー」とも称される。)、モジュール様式で加工処理ゾーンを設置するために使用されてもよい異なるバレルからなってもよい。これらのバレルは、以下の明確な加工処理デマンドを満たすための特定設計を有していてもよい:
・供給バレル:供給バレルは、固体構成成分(例えばポリマー材料、粉末または添加剤)を押出機に供給するための上流側の開口部を有する。供給開口部は、バレルの上流または下流に配置でき、またはバレルの中心に配置されてもよい。
・閉鎖および通常バレル
・上方側にスクリュー開口部を有するバレル:これらのバレルは、圧力または温度センサを取り付けることができるスクリュー開口部を有する。こうしたセンサに関して、ポリマー溶融物の加工処理パラメータ、例えば圧力または温度は、加工処理の間にモニターできる。こうしたスクリュー開口部はまた、液体またはスラリーを押出機に注入するために、ノズルを取り付けるために使用できる。
・サイドフィーダーのための開口部を有するバレル:こうしたバレルは、一方の側に通常1つの開口部を有し、サイド供給デバイスの取り付けを可能にする。加えて、このバレルは、上部側の脱気開口部を有していてもよい。こうした開口部は、サイドフィーダーを通して例えば粉末または繊維を供給しながら、この方法に導入されている場合がある空気の脱気のために使用できる。またはもしくは追加として、こうしたサイドフィーダーおよびサイドフィーダーバレルはまた、サイド供給のために使用することなく脱気工程のために使用できる。この点において、用語脱気は、ガス状態でのいずれかの物質を除去することを指し得る。
・上方側に脱気開口部を有するバレル:これらのバレルは、ガス状態である、空気、湿分または一般に水、揮発性グレーズまたはいずれかの他の材料の除去のために使用される。こうした脱気ゾーンの異なる設計が使用されてもよいことが当業者に明らかである。この脱気工程は、故に、大気ベンドまたは真空ベントを用いることによって行われることができる。真空脱気のために、別個の真空ポンプは、真空ベントに栓をする必要がある。
・放出バレル:これらのバレルは、押出機から主要ポリマー生成物を放出でき、この主要生成物を後続加工処理工程に供給できる開口部を有する。例えば、この後続工程は、標準顆粒化ラインの使用または水中の顆粒化デバイスの使用による加工処理をさらに含んでいてもよい。
【0123】
スクリュー構成は、異なるスクリュー要素を含んでいてもよく、以下の異なるタイプに分類できる:
・搬送要素:こうした要素は、固体または少なくとも部分的に溶融したポリマー材料を、加工処理ゾーンから別のゾーンに搬送する機能を有し、放出ゾーンから主要生成物を搬送するのに最終的に役立つ。搬送速度または圧力構築に応じて、こうした要素は異なる形状およびドリフトを有する。特定の加工処理ゾーンにおける滞留時間を増大させるために、一部の逆搬送要素も存在する。
・混合要素:こうした要素は、ポリマー材料を溶融するために、ならびにポリマー材料のいずれかのさらなる材料、例えばフィラーまたは添加剤との分配混合および分散混合のために使用される。当業者には、現在利用可能である多くの異なる混合要素が存在することが既知である。例えば、ブロック混錬要素および歯状混合要素が、この趣旨上使用されてもよい。
【0124】
押出方法の典型的な特徴は、L/D比である。L/D比は、スクリュー長さとスクリュー直径との間の比を記載する。L/D比は、通常40から50、好ましくは42から46の範囲である。しかし、一部の場合に、この値は低くてもよく、例えば35から40の範囲であってもよく、他の場合には50から60のさらに高い値が必要とされ得る。
【0125】
本発明の工程(c)によれば、フィラーは、ポリマー材料に組み込まれ、ここでこのポリマー材料は、このフィラーの組み込みの間、少なくとも部分的に溶融状態である。
【0126】
本発明の方法の特定の実施形態において、フィラーは、ポリマー材料に組み込まれる一方で、このポリマー材料は、このフィラーの組み込みの間、完全に溶融状態である。
【0127】
本発明の好ましい実施形態によれば、このフィラーは、押出機の注入ゾーンに直接注入されてもよい。
【0128】
本発明の方法は、このフィラーのこのポリマー材料への組み込みを含むことを特徴とし、ここでこのポリマー材料は、フィラーの組み込みの間、少なくとも部分的に溶融状態であり、このフィラーはスラリーとして組み込まれる。
【0129】
本発明の趣旨上、用語スラリーは、このフィラーおよび少なくとも1つの液体を含むいずれかの懸濁液を指し、ここでこのフィラーは、少なくとも1つの液体に少なくとも部分的に不溶性である。スラリーは、通常は、多量の固体を含有し、より粘稠であり、一般に、形成される液体よりも高い密度を有する。
【0130】
本発明の1つの実施形態によれば、スラリーの少なくとも1つの液体が方法の間に除去される。こうした液体は、これらに限定されないが、例えば非プロトン性溶媒(例えば水、アルコールなど)またはプロトン性溶媒(例えばエーテル、ケトン、エステル、ラクトンなど)またはいずれかの好適な混合物を含んでいてもよい。
【0131】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、スラリーは、水性スラリーであり、即ち方法の間に除去され得る少なくとも1つの液体は水、例えば水道水または脱イオン水である。
【0132】
本発明に従うスラリーはさらに、当該技術分野において既知であり、またはこのスラリーの特徴を改善してもよいいずれかの添加剤を含んでいてもよい。例えば、スラリーの粘度を低減するのに好適な分散剤および/またはいずれかの他の添加剤が存在し得る。
【0133】
1つの実施形態によれば、フィラースラリーは、このフィラースラリーの総重量に基づいて、10から90重量%、好ましくは15から88.5重量%、より好ましくは20から78重量%の範囲の固形分含有量を有する。
【0134】
本発明の別の実施形態によれば、フィラースラリーは、このフィラースラリーの総重量に基づいて、15から85重量%、好ましくは20から80重量%、より好ましくは25から75重量%の範囲の固形分含有量を有する。
【0135】
本発明の特定の実施形態において、フィラースラリーは、フィラーのポリマー材料への特に均質な組み込みを可能にする粘度を有する。
【0136】
本発明の趣旨上、用語粘度は、剪断粘度としても知られる動的粘度を指す。動的粘度は、流体と単位距離離れて維持される場合に、一方の水平面を他方に対して単位速度で移動させるのに必要とされる単位面積あたりの接線力として規定される。この規定によれば、2つのプレート間に配置され、1つのプレートが1Paの剪断応力で横にそらす1Pa・sの粘度を有する流体は、結果として1秒間でプレート間の層の厚さに等しい距離を移動する(The Rheology Handbook,Thomas G.Mezger,Vincentz Verlag 2002,page 21)。動的粘度は、同軸シリンダー測定システム、例えば測定温度制御セルTEZ150P−Cおよび100l/分の一定回転速度での同軸シリンダーCC27測定システムを備えたPaar PhysicaからのPhysica MCR300レオメーターを用いて測定されてもよい。
【0137】
ブルックフィールド粘度は、20℃±2℃において100rpmにてブルックフィールド粘度計によって測定される粘度として規定され、mPa・sで特定される。
【0138】
本発明の1つの実施形態によれば、押出機の注入ゾーンに注入されるフィラースラリーは、20から2000mPa・s、より好ましくは100から1500mPa・s、最も好ましくは200から1000mPa・sの範囲の20℃で測定されるブルックフィールド粘度を有する。
【0139】
本発明の方法は、このフィラーのこのポリマー材料への組み込みを含むことを特徴とし、ここでこのポリマー材料は、フィラーの組み込みの間、少なくとも部分的に溶融状態であり、このフィラーは、押出機の注入ゾーンに直接注入され得るスラリーとして組み込まれる。
【0140】
特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、このフィラーのこのポリマー材料への組み込みを含み、ここでこのポリマー材料は、フィラーの組み込みの間、完全に溶融状態であり、このフィラーは、押出機の注入ゾーンに直接注入されるスラリーとして組み込まれる。
【0141】
本発明の別の特に好ましい実施形態によれば、押出機の使用によるポリマー組成物の連続製造のための方法が提供され、このポリマー組成物は、工程(a)で提供されるフィラーおよび工程(b)で提供されるポリマー材料を含み、フィラーの組み込みの間、このポリマー材料が完全に溶融状態であり、ここでこのフィラーはスラリーとして組み込まれ、このフィラースラリーはフィラーおよび少なくとも1つの液体を含み、このフィラースラリーは押出機の注入ゾーンに直接注入されてもよいことを特徴とする。
【0142】
本発明のさらに別の特に好ましい実施形態によれば、押出機の使用によりポリマー組成物の連続製造のための方法が提供され、このポリマー組成物は、工程(a)で提供され、炭酸カルシウム含有鉱物フィラーであるフィラーおよび工程(b)で提供され、ポリオレフィンであるポリマー材料を含み、フィラーの組み込みの間、このポリマー材料が完全に溶融状態であり、ここでこのフィラーはスラリーとして組み込まれ、このフィラースラリーはフィラーおよび水を含み、このフィラースラリーは押出機の注入ゾーンに直接注入されてもよいことを特徴とする。
【0143】
本発明の特定の実施形態において、フィラースラリーは、注入ゾーンの1つ以上(例えば2または3)の異なる位置に注入されてもよい。1つ以上の異なる位置は、製造フローに沿っておよび/または横方向に配置されてもよい。
【0144】
好ましい実施形態によれば、1つ以上の大気または排気ベントが、フィラースラリーの注入点から下流に位置する。
【0145】
本発明の1つの実施形態によれば、この押出機の注入ゾーン内の圧力は、ポリマーとフィラースラリーとを十分混合可能にするために、フィラースラリーの少なくとも1つの液体が、注入直後に蒸発するのを防止する程度に高い。好適には、押出機の注入ゾーン内の圧力は、押出機の加工処理温度にて少なくとも1つの液体の蒸気圧を超え、ここでフィラースラリーの少なくとも1つの液体の蒸発のための対応する大気圧ベントまたは真空ベントは、好ましくはフィラースラリーの1つ以上の注入点から下流に位置してもよい。
【0146】
好ましくはフィラースラリーは、ノズルの使用により押出機の注入ゾーンに直接注入され、ここでこの注入圧力は、この注入ノズル中の少なくとも1つの液体の蒸発を防止する程度に高い。好適には、ノズルの注入圧力は、押出機の加工処理温度にて少なくとも1つの液体の蒸気圧を超える。例えば、フィラースラリーの少なくとも1つの液体が水である場合、押出機の注入ゾーン内の圧力およびノズル中の注入圧力は、押出機の加工処理温度での水の蒸気圧を超える。この趣旨上、フィラースラリーの十分高い圧力および処理量を提供するいずれかのポンプが使用できる。好適には、膜ポンプ、1つ以上のチャンバーを備えたピストンポンプ、ギアポンプ、ラジアルフローポンプまたはホースポンプが使用される。
【0147】
本発明の別の実施形態によれば、押出機の注入ゾーン内の圧力およびノゾル中の注入圧力は、1から50bar、より好ましくは5から40bar、最も好ましくは10から30barの範囲である。本発明のさらに別の実施形態によれば、注入ゾーン内の圧力は、200bar以下、好ましくは150bar以下、最も好ましくは100bar以下である。好適には、押出機の注入ゾーン内の圧力は、ノズル中の注入圧力未満である。
【0148】
さらに別の実施形態によれば、本発明の方法は、フィラーのポリマー材料への組み込みを含み、フィラーの組み込みの間、ポリマー材料は少なくとも部分的に溶融状態または完全に溶融状態であり、ポリマー材料の温度は、少なくとも部分的に溶融状態または完全に溶融状態である。
【0149】
一般に少なくとも部分的に溶融状態のポリマー材料へのフィラーの組み込みは、非晶質ポリマーが使用される場合はガラス転移温度を超えて50から150℃である温度で行われる。他の場合に、温度は、ポリマー材料が少なくとも部分的に結晶性ポリマーである場合、融点を超えて10から50℃である。
【0150】
本発明の好ましい実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料は、少なくとも部分的に結晶性のポリマー材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、またはこれらの混合物であり、少なくとも部分的に結晶性のポリマー材料は、フィラーの組み込みの間、少なくとも部分的に溶融状態または完全に溶融状態であり、少なくとも部分的に溶融状態または完全に溶融状態であるポリマー材料の温度は、120℃から280℃の範囲、好ましくは150から250℃の範囲である。
【0151】
さらに別の実施形態によれば、本発明の方法は、フィラーのポリマー材料への組み込みを含み、フィラーの組み込みの間、ポリマー材料は少なくとも部分的に溶融状態または完全に溶融状態であり、少なくとも部分的に溶融状態または完全に溶融状態であるポリマー材料の温度は、20から250℃の範囲、好ましくは30から200℃の範囲、より好ましくは40から150℃の範囲、最も好ましくは50から130℃の範囲である。
【0152】
本発明の特定の好ましい実施形態において、少なくとも部分的に溶融状態または完全に溶融状態であるこのポリマー材料の温度は、50から300℃の範囲、好ましくは100から250℃の範囲、より好ましくは150から200℃の範囲である。
【0153】
スラリーの少なくとも1つの液体は、本発明の方法の工程(c)の間に除去されてもよい。好ましくは、フィラースラリーの少なくとも1つの液体は、押出機の注入ゾーンのフィラースラリーを直接注入した後および十分な混合の後に気化させる。
【0154】
好ましい実施形態において、フィラースラリーの少なくとも1つの液体は、1つ以上(例えば2または3)の大気または真空ベントを通して気化させる。しかし、少量の少なくとも1つの液体は、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物に残ってもよい。1つ以上の大気または真空ベントに加えてまたはこの代わりに、供給デバイスを使用して、押出機の注入ゾーンに注入した後にフィラースラリーの少なくとも1つの液体を気化させてもよい。
【0155】
本発明の方法の工程(c)によれば、ポリマー組成物は、押出機の使用によって形成され、ここでこのポリマー組成物は、工程(a)で提供されるフィラーおよび工程(b)で提供されるポリマー材料を含む。必要に応じて、当業者に既知のいずれかの添加剤が、工程(a)で提供されるフィラーおよび/または工程(b)で提供されるポリマー材料に既に存在してもよい。
【0156】
しかし、当該技術分野において既知のさらなる添加剤は、工程(c)で添加されてもよい。こうした添加剤は、工程(c)の間のいずれかの時間で、および押出機のいずれかの部分で添加されてもよい。これらに限定されないが、これらの添加剤は、例えば工程(a)および(b)の詳細な説明において特定されたいずれかの添加剤の1つ以上から選択され得る。
【0157】
ポリマー組成物の連続製造のための本発明の方法は、以下の幾つかの利点を有する:
本発明によれば、ポリマー組成物の製造のための方法が提供され、これは連続様式において操作されてもよい。
【0158】
本発明の方法は、このフィラーのこのポリマー材料への組み込みを含むことを特徴とし、ここでこのポリマー材料は、フィラーの組み込みの間、少なくとも部分的に溶融状態であり、このフィラーは、押出機の注入ゾーンに直接注入され得るスラリーとして組み込まれる。フィラースラリーは、フィラーおよび方法の工程(c)の間に除去され得る少なくとも1つの液体を含む。好ましくは、フィラースラリーの少なくとも1つの液体は、押出機の注入ゾーンのフィラースラリーを直接注入した後および十分な混合の後に気化させる。故に本発明に従うポリマー組成物の連続製造のための方法は、注入された後のフィラースラリーの少なくとも1つの液体を除去するために、追加のコストのかかる加熱工程を必要としない。
【0159】
本発明の方法に従うフィラーは、スラリーとして組み込まれ、これは押出機の注入ゾーンに直接注入されてもよく、フィラーのより正確で均一な投与を可能にする。この趣旨上、例えばダブルピストン膜ポンプを、押出機の注入ゾーンにフィラースラリーを注入するために使用してもよい。
【0160】
ポリマー組成物:
本発明によれば、押出機の使用によりポリマー組成物の連続製造のための方法が提供され、このポリマー組成物は、工程(a)のフィラーおよび工程(b)のポリマー材料を含む。
【0161】
本発明の方法の工程(c)によれば、スラリーの少なくとも1つの液体は、本発明の方法の工程(c)の間に除去されてもよい。しかし、少量の少なくとも1つの液体は、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物に残ってもよい。
【0162】
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの液体は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.2重量%以下の量でポリマー組成物に存在してもよい。
【0163】
水が少なくとも1つの液体として使用される場合、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である総水含有量を有する。
【0164】
上述されるような、フィラースラリーの少なくとも1つの液体は、水であってもよく、この水は工程(c)の間に除去されてもよい。しかし、少量の水はポリマー組成物に残っていてもよく、これは総水含有量または総残留湿分とも称される。故に、本発明の方法に従うポリマー組成物の総水含有量または総残留湿分は、一方でフィラースラリーの少なくとも1つの液体の残渣からのものが含まれ、他方では工程(b)で提供されるポリマー材料に既に存在する残留水からのものが含まれ、この両方は工程(c)の間に完全には除去されていない。
【0165】
場合により、ポリマー組成物の湿分含有量は、当該技術分野において既知のいずれかの方法によってさらに低減されてもよい。この趣旨上、例えば熱空気乾燥器が使用されてもよい。
【0166】
本発明に従うポリマー組成物の総水含有量または総残留湿分は、AquatracPLUS equipment(Brabender Messtechnik GmbH & Co.KG,Duisburg,Germany)の使用により決定される。
【0167】
本発明の特定の実施形態において、フィラースラリーの少なくとも1つの液体(例えば水)は、本発明の方法の工程(c)の間に完全に除去される。
【0168】
本発明に従うポリマー組成物のフィラーは、広範囲に存在してもよい。従って、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物は、ポリマー化合物またはポリマーマスターバッチであってもよい。1つの実施形態によれば、ポリマー組成物はポリマー化合物である。本発明の別の実施形態によれば、ポリマー組成物はポリマーマスターバッチである。
【0169】
ポリマー組成物が化合物としてまたはマスターバッチとして使用されてもよい事実とは独立して、ポリマー組成物のフィラー含有量は、このポリマー組成物の総重量に基づいて0.5から90重量%、好ましくは5から85重量%、より好ましくは10から80重量%、最も好ましくは20から75重量%の範囲であってもよい。
【0170】
故に本発明の1つの実施形態によれば、ポリマー組成物のフィラー含有量は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0.5から45重量%、好ましくは1から42重量%、より好ましくは2から40重量%、最も好ましくは5から35重量%の範囲であってもよい。こうした低フィラー含有量を有するポリマー組成物は、本明細書において「ポリマー化合物」と称され、好ましくは最終生成物を直接製造するために使用される。必要により、フィラー含有量は、最終生成物に加工処理される前に追加のポリマー材料とコンパウンドさせることによってさらに低下されてもよい。
【0171】
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー組成物のフィラー含有量は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、35から90重量%、好ましくは42を超えて90重量%まで、より好ましくは65から90重量%、最も好ましくは70から85重量%の範囲であってもよい。こうした高フィラー含有量を有するポリマー組成物は、本明細書において「ポリマーマスターバッチ」と称され、好ましくは応じて使用され、即ちマスターバッチのフィラー含有量は、最終製品の加工処理の前に追加のポリマー材料とコンパウンドさせることによってさらに低下させる。しかし、本発明に従うポリマーマスターバッチはまた、最終製品を直接製造するために使用されてもよい。
【0172】
本発明の方法によって、ポリマー組成物が提供される。このポリマー組成物は、規定の形状、例えばペレット、球体、パール、ビーズ、プリル、フレーク、チップまたはスラグ、または非規定形状、例えばクランブルを有する材料として得られてもよい。または、ポリマー組成物は、規定および非規定形状材料の両方の混合物であってもよい。
【0173】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物の使用により幾つかの利点を提供することを見出した:
例えば、本発明に従うポリマー組成物の連続製造のための方法は、より均質な材料の提供が可能である。
【0174】
さらに、ポリマー組成物の連続製造のための本発明の方法は、製造の間に得られたポリマー溶融物のフィルタ圧力値の低下を導き、従来の方法に比べて、高い分散度を確実にする。
【0175】
ポリマー製品の製造において本発明に従うポリマー組成物の使用はさらに、このポリマー製品、例えば顆粒、パイプ、技術プロファイル、壁パネル、天井パネル、クラッディングパネル、ワイヤまたはケーブル絶縁、フィルム(例えばインフレートフィルム)、シート、繊維または不織布の改善された材料または機械的特性をもたらす。このポリマー製品のこうした改善された材料または機械的特性は、例えば灰分、降伏応力、降伏伸び、破断応力、破断力、破断伸び、引張弾性率、引裂き伝搬抵抗、ならびに落槍重量を指す。
【0176】
本発明の別の実施形態によれば、本発明の方法によって得られることができるポリマー組成物を含むポリマー製品が提供される。
【0177】
別の実施形態によれば、本発明の方法に従って得ることができるポリマー組成物は、ポリマー製品の製造に使用されてもよい。
【0178】
しかし、本発明に従うポリマー組成物は、別のポリマー材料との混合物で使用されるように制限されない。故に、本発明の特定の実施形態において、ポリマー組成物(例えば顆粒などの形態)は、ポリマー製品の製造に直接使用されてもよく、即ち追加のポリマー材料は使用されないまたは混合されない。
【0179】
好ましい実施形態によれば、本発明のポリマー組成物は、ポリマー製品の製造に使用されてもよく、ここでポリマー組成物は、例えば押出の前に、少なくとも別のポリマー材料に添加される。
【0180】
さらに別の実施形態によれば、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物は、ポリマー製品の製造において使用されてもよく、ここでこのポリマー製品は、好ましくはポリオレフィン物品、例えば織布繊維、不織布繊維、プロファイル、ケーブル、フィルムまたは成形製品を含む。
【0181】
本発明に従うポリマー組成物を含む製品は、当業者に既知のいずれかの方法によって製造されてもよい。
【0182】
当該技術分野において、ポリマー製品の製造のための多くの方法は既知である。これらの方法としては、これらに限定されないが、溶融加工処理技術、例えばプロファイル押出(パイプ、シートおよび中空シート用)、ケーブル押出、フィルム押出(キャストフィルムおよびインフレートフィルム用)、成形(例えば射出成形、ロト成形、吹込み成形および熱形成)、繊維紡糸(例えば溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸および構造繊維)、共混錬および引抜が挙げられる。最終物品は、単層または多層構造を与えてもよい。
【0183】
本発明の1つの実施形態によれば、本発明の方法によって得ることができるポリマー組成物は、有利なことには、プラスチック用途のための種々の形状の物品の調製のために使用できる。例としては、ロールストック、バッグ、パウチ、ラベル、ラップ、リッディング、収縮スリーブおよび延伸フィルムを含む工業用途および消費者用途のための可撓性パッケージング;プラスチックボトル、カップおよび容器を含む工業用途および消費者用途のための剛性パッケージング;パイプおよび導管、クラッディングおよびプロファイル、絶縁、シールおよびガスケット、ジオテキスタイルを含む建築および建設材料;温室材料、マルチフィルム、トンネル、サイレージ、ベールラップ、ボックスおよびクレートを含む農業および園芸材料;内部部品、例えば機器およびドアパネル、コンソール、ピラーおよびシート;外部部品、例えばバンパーフェイシア、フェンダー、テールゲート、ならびにボンネット下での用途(エアダクト、吸気マニフォールド、ラジエーターおよび冷却ホースを含む。)を含む輸送および自動車用途;CDプレーヤー、DVDシステム、パソコンおよびTV受像機、ノート型パソコン、タブレット、スマートフォン、調理器具、冷蔵庫および冷凍庫、洗濯機、食洗器、ツールおよびオフィス機器を含む電気および電子用途;使い捨てキャップ、ガウン、マスク、手術着およびシューカバー、ドレープ、ラップおよびパック、スポンジ、包帯およびワイプ、ベッドリネン、汚染制御ガウン、実験ガウン、実験室用コート、アイソレーションガウン、診断医療機器および医療デバイスを含む医療および健康用途;吸収衛生製品(AHP)、乳児用おむつ、婦人衛生製品および成人失禁用製品、拭き取り用品、スキンケア製品、脱毛ストリップを含むパーソナルケア製品;木材複合物、装飾箔、フロアカバー、フローリング、台所用品、クリーナー、ペットケア、芝生および庭園物品を含む家庭用および家具用製品;おもちゃの家、組立キット、おもちゃの車、スポーツおよびフィットネスデバイス、靴、衣類およびスポーツウェア、安全設備(ヘルメット、ニーパッド)、スポーツ設備およびスーツケースを含む玩具、スポーツおよびレジャー物品が挙げられる。
【0184】
本発明の範囲および趣旨は、本発明の実施形態を例示することを意図した以下の実施例に基づいてさらに深く理解され得る。しかし、これらは、いかなる様式においても、どんなものであっても特許請求の範囲を制限するように解釈されるべきではない。