特許第6456977号(P6456977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6456977コンピュータ支援型画像ベースの改良体内砕石術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456977
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】コンピュータ支援型画像ベースの改良体内砕石術
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/26 20060101AFI20190110BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20190110BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20190110BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20190110BHJP
   A61B 1/307 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   A61B18/26
   A61B17/22 510
   A61B1/00 621
   A61B1/045 618
   A61B1/307
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-565236(P2016-565236)
(86)(22)【出願日】2015年4月20日
(65)【公表番号】特表2017-522058(P2017-522058A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】US2015026572
(87)【国際公開番号】WO2015175151
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2018年2月7日
(31)【優先権主張番号】14/274,726
(32)【優先日】2014年5月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512303149
【氏名又は名称】ジャイラス・エーシーエムアイ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アディ・ナッヴェー
(72)【発明者】
【氏名】シャイ・フィンクマン
【審査官】 大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4984575(US,A)
【文献】 特開2007−014768(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0016114(US,A1)
【文献】 米国特許第4986259(US,A)
【文献】 特開平06−105851(JP,A)
【文献】 特開平08−033643(JP,A)
【文献】 特開平02−161937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/26
A61B 1/00
A61B 1/045
A61B 1/307
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石(24)に破壊エネルギーを送達するように構成されたデバイス(13)と、
前記石から画像データを取得するように動作する検出器(18)と、
前記破壊エネルギーを生成するための1つまたは複数の生成パラメータを含む生成プログラム(42)と、
前記検出器(18)から前記画像データを受け取るビデオプロセッサユニット(32)であって、前記デバイス(13)の作動に応答して前記石(24)の以前の位置に対する前記石(24)の変位を判定するために前記画像データを分析するように動作し、前記変位が変位しきい値を超過すると警告を発するようにプログラミングされるビデオプロセッサユニット(32)と、
前記ビデオプロセッサユニット(32)におよび前記生成プログラム(42)にリンクされたコントローラであって、前記石の前記変位に応答して前記生成プログラム(42)の前記1つまたは複数の生成パラメータを変更するように動作するコントローラと
を備える、医用装置。
【請求項2】
前記ビデオプロセッサユニット(32)は、前記石の移動速度を算出するように、および前記移動速度が速度しきい値を超過する場合に運動警告を発するようにプログラミングされる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ビデオプロセッサユニット(32)は、前記石の破片の個数に変化が生じたことを判定するように動作する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記デバイス(13)は、内視鏡(12)を備え、前記破壊エネルギーは、レーザビーム(62)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記破壊エネルギーは、音響エネルギーを含む、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体からの結石除去に関する。より詳細には、本発明は、尿路結石の体内粉砕に関する。
【背景技術】
【0002】
現行では、尿結石の砕石術は、体外衝撃波砕石術によりまたは内視鏡術により実施され得る。後者のアプローチは、体内砕石術として知られる。体内砕石術は、軟性尿管鏡術もしくは硬性尿管鏡術または経皮的腎結石摘出術によって実施され得る。体内砕石術は、典型的にはレーザエネルギーを利用して達成される。しかし、超弾動式砕石術、超音波結石穿孔術、および電気水圧砕石術などの他の技術が、尿路器械類によって適用される。
【0003】
現行の体内砕石術用の器械は、複数の欠点を有する。
【0004】
すなわち、結果の制御が不十分である。試行錯誤により、泌尿器科専門医は、出力設定を手動的に調節し、器械を作動させ、直面するケースについて所望の結果が結果的に得られたかどうかを判断しなければならない。このプロセスは、通常は反復され、それにより処置が長引く。さらに、泌尿器科専門医による変更が可能なパラメータが限定される。さらに、器械設定と治療されることとなる結石に対する効果との間に、明確な関係性がしばしば存在しない。
【0005】
逆流として知られる内視鏡から離れる方向への石の移動は、一般的には望ましくない砕石術の効果である。逆流により、器械のさらなる調節および再位置決めの必要性が生じ、それにより処置が長引き、そのコストが増大する。さらに、尿管鏡術の場合には、尿管を上昇する石の移動により、結果として石が腎盂に進入し、これは処置を完了させるために別の器械の使用を必要とし得るため、コストが増大し、場合によっては死亡率が上昇する。
【0006】
石の破砕は、砕石術の望ましい効果である。しかし、従来の技術および器械は、石の破片のサイズに関する制御が限定的かつ非効率的である。典型的には、様々なサイズの破片が、石の本体から分離する。概して、2mm超の大きさの石破片が、抽出またはさらなる破砕のいずれかにより処理されなければならない。より小さな破片が望ましい。なぜならば、それらは定位置に残ってもよいからである。現行では、内視鏡術の場合には、泌尿器科専門医は、画像中で既知の直径を有するレーザファイバと石を比較することにより石のサイズを推定することができるにすぎない。かかる推定は、不正確となる場合がある。
【0007】
出力設定を増大させることにはトレードオフが存在し、増大させることによってより高い破砕が結果として得られるが、石の移動度がより高まる。さらに、出力増加は、より大きな破片をもたらす傾向がある。したがって、泌尿器科専門医は、妥協しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,659,646号
【特許文献2】米国特許第5,697,885号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開示される実施形態によれば、上記の望ましくない効果を伴わずに所望の結石粉砕を達成するために、体内砕石デバイスの出力パラメータを制御するための方法およびシステムが提供される。
【0010】
本発明の実施形態によれば、石に破壊エネルギーを送達するように構成された医用装置が提供される。この装置は、石から画像データを取得するように動作する検出器と、破壊エネルギーを生成するための1つまたは複数の生成パラメータにしたがって動作する生成プログラムと、検出器から画像データを受け取るビデオプロセッサユニットとを備え、ビデオプロセッサユニットは、デバイスが作動した後に石の以前の位置に対する石の変位を判定するために画像データを分析するように動作する。この装置は、ビデオプロセッサユニットにおよび生成プログラムにリンクされたコントローラを備え、このコントローラは、石の変位に応答して生成プログラムの1つまたは複数の生成パラメータを変更するように動作する。
【0011】
装置の一態様によれば、ビデオプロセッサユニットは、変位が変位しきい値を超過した場合に警告を発するようにプログラミングされる。
【0012】
装置のさらなる一態様によれば、ビデオプロセッサユニットは、石の移動速度を算出するように、および移動速度が速度しきい値を超過する場合に運動警告を発するようにプログラミングされる。
【0013】
装置のさらに別の態様によれば、ビデオプロセッサユニットは、石の破片の個数に変化が生じたことを判定するように動作する。
【0014】
装置のさらなる一態様によれば、デバイスは、内視鏡を備え、破壊エネルギーは、レーザビームを含む。
【0015】
装置の別の態様によれば、破壊エネルギーは、音響エネルギーを含む。
【0016】
本発明の実施形態によれば、被検者の体内の石の第1の位置を判定し、石に向かって破壊エネルギーを送り、その後第2の位置への石の移動が発生したことを判定することによって実施される方法がさらに提供される。この方法は、第2の位置と第1の位置との間の差異に応答してエネルギーについての新規のパラメータを確立し、新規のパラメータを利用して破壊エネルギーの送出を繰り返すことによってさらに実施される。
【0017】
この方法の一態様によれば、破壊エネルギーを送ることは、内視鏡を使用して実施され、破壊エネルギーは、レーザビームである。
【0018】
方法のさらに別の態様によれば、破壊エネルギーを送ることは、体外砕石器を使用して送達され、破壊エネルギーは、音響エネルギーである。
【0019】
方法のさらなる一態様によれば、第1の位置を判定し石の移動が発生したこと判定することは、石を光学撮像することを含む。
【0020】
本発明のより良好な理解のために、例として本発明の詳細な説明を参照とし、これは、以下の図面と組み合わせて読まれたい。同様の要素は、同様の参照数字を付与される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態によるシステムの概略絵画図である。
図2】本発明の代替的な実施形態による、図1に示すシステムと共に使用するのに適した体内砕石技術を示す合成図である。
図3】本発明の一実施形態による、図1に示す内視鏡の遠位端部を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態による、内視鏡を通して見た場合の結石を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による、内視鏡を通して見た場合の結石を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による、結石の光学画像の概略図である。
図7】本発明の一実施形態による、砕石エネルギー印加後に得られた図6に示す結石の光学画像の概略図である。
図8】本発明の一実施形態による結石の細部の治療前概略図である。
図9】本発明の一実施形態による結石の細部の治療後概略図である。
図10】本発明の一実施形態による、体内砕石術の一方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明では、本発明の様々な原理の十分な理解を促すために、多数の具体的詳細が示される。しかし、全てのこれらの詳細は、本発明を実施するために必ずしも常に必要とされるわけではない点が当業者には明らかになろう。この例では、周知の回路、制御論理、ならびに従来のアルゴリズムおよびプロセスのためのコンピュータプログラム命令の詳細は、一般的概念を不必要に曖昧にするのを避けるために詳細には示されていない。
【0023】
続いて図面を見ると、初めに図1を参照とする。この図は、本発明の一実施形態によるシステム10の概略絵画図である。従来の内視鏡12が、体内粉砕術に適合化される。例えば、内視鏡12は、腎盂に経皮進入するための尿管鏡または腎臓鏡であることが可能である。内視鏡12は、レーザ砕石術、電気水圧砕石術、空気砕石術、超音波砕石術、およびそれらの組合せを含む、当技術で知られる任意の形態の体内砕石術のために用意され得る。砕石モジュール13により生成されるエネルギーが、内視鏡12の作業チャネル15を通して投影され、この作業チャネル15は、ソース14から結石24に光を伝送するための光ファイバおよび光学レンズ(図示せず)を備えた光学プローブを備え得る。内視鏡12は、画像取得ユニット18に反射光を戻すために、遠位端部16にレンズ系および半導体撮像アレイ(以下に記載)を備え得る。ソース14は、1つまたは複数の波長で光を発し得る。
【0024】
画像取得ユニット18は、米国特許第8,659,646号に記載のデバイスとして実現され得る。この米国特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
次に図2を参照すると、この図は、本発明の実施形態による、システム10(図1)と共に使用するのに適した体内砕石技術を示す複合概略図である。本処置のための内視鏡としての腎臓鏡20が、腎盂44内に位置する結石24を治療するために腎臓22に経皮的に進入する。腎臓鏡20は、中空チャネル(図示せず)を有し、これを通して光ファイバ46が、結石24の近傍に挿入および配置され得る。代替的には、尿管鏡48が、結石24へのアプローチのために尿路を通して逆方向に通され得る。腎臓鏡20および尿管鏡48は、上記の様々な体内砕石技術を組み込むことが可能である。
【0026】
図1に戻ると、画像取得ユニット18は、プロセッサ32に画像データを供給する。典型的には、プロセッサ32は、汎用コンピュータプロセッサまたは埋込みコンピュータプロセッサを備え、これは、メモリ19内に設けられ、本明細書において以降に記載される機能を実行するのに適したソフトウェアでプログラミングされる。したがって、プロセッサ32は、複数の別個の機能ブロックを備えるものとして示されるが、これらのブロックは、必ずしも別個の物理的実体である必要はなく、むしろプロセッサにアクセス可能なメモリに格納された種々のコンピューティングタスクまたはデータオブジェクトに相当する。これらのタスクは、単一のプロセッサまたは複数のプロセッサで実行されるソフトウェアにおいて実行され得る。ソフトウェアは、ディスケット、またはハードドライブ、またはCD-ROMなどのコンピュータシステムと共に使用するための様々な既知の固定媒体の中の任意のものにおいて具現化されてもよい。コードは、かかる媒体上で配布されてもよく、またはネットワークを介して別のコンピュータシステム(図示せず)のメモリもしくはストレージからプロセッサ32に配布されてもよい。代替的にまたは追加的に、プロセッサ32は、デジタル信号プロセッサまたはハードワイヤード論理を備えてもよい。
【0027】
プロセッサ32は、以下でさらに詳細に説明されるように、画像処理ルーチン34を実行するように、および分析プログラム36を使用して結石の特徴を判定するようにプログラミングされる。生成プログラムの作動により蓄積された現在の結石の経時変化特徴のデータベース38が、格納され、統計モデルが、本明細書に記載されるパラメータを考慮しつつ準備され得る。これらの特徴を利用して、プロセッサ32は、最適な出力パラメータを算出し、砕石モジュール13のコントローラ40に制御信号を送出し、コントローラ40は、1つまたは複数のエネルギー生成パラメータに応答して生成プログラム42の出力設定を調節する。モニタ50は、治療されることとなる結石の画像52を表示し得る。
【0028】
【表1】
【0029】
Table 1(表1)は、出力設定に影響を与え得るパラメータを示す例示の表である。
【0030】
Table 1(表1)の第1の3つのパラメータは、オペレータまたはプロセッサ32により制御可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ32は、内視鏡12をロボット操作し、先端部と結石との間の距離に影響を及ぼし得る。最後のパラメータである石の組成は、既知であってもよく、推定されてもよく、または完全に未知であってもよい。これは、制御不能であることは明白だが、破片サイズに大きな影響を有し得る。例えば、システインまたは尿酸が、シュウ酸カルシウム石とは別様にレーザパルスに反応することが予期され得る。
【0031】
生成プログラム42は、利用される上記タイプの体内砕石術にしたがって、結石24に印加されることとなる破壊エネルギーを生成する。したがって、破壊エネルギーは、レーザビームを含み得る。いずれの場合でも、エネルギーは、砕石モジュール13により伝送され、遠位端部16の先に位置する結石に送られる。結石の一連の画像が、画像取得ユニット18により取得され、これは、エネルギー印加の前後に取得された画像を含む。
【0032】
次に図3を参照すると、この図は、本発明の一実施形態による内視鏡12(図1)の遠位端部16を示す概略図である。遠位端部16は、結石24の近傍に位置するものと仮定される。照明器54が、画像取得ユニット18(図1)の制御下で典型的には白色光である可視光を照射し得る。照明器54により照明される物体からの戻り光は、半導体撮像アレイ58上へとレンズ系56により合焦される。これは、画像取得ユニット18によりやはり制御され、照明された物体の画像のキャプチャを可能にする。図3の例では、プローブ57が、作業チャネル60を辿り、光ファイバ46(図1)を通しておよび遠位端部64から延在する経路62に沿って砕石モジュール13内の生成プログラム42により生成されるレーザビームを伝送することが可能となるように構成される。レーザビームは、結石24を破壊または破断するのに十分なエネルギーを伝搬する。
【0033】
レーザ手術
典型的なレーザの出力パラメータは、繰り返し周波数(秒あたりのレーザパルス数)、パルスあたりのエネルギー、およびパルス幅である。
【0034】
次に、図4および図5を参照すると、これらの図は、本発明の一実施形態による内視鏡の遠位端部に位置する半導体撮像アレイ58(図3)により取得された画像として見た場合の腎盂44内の結石24を示す図である。結石24は、図4および図5においてそれぞれ砕石エネルギー印加前と砕石エネルギー印加の最中または後とが示され、その輪郭ライン66が示される。図5では、結石24は、腎盂44内へとより深く移動されている。その元々の輪郭ライン66は、破線として図示される。破片68は、残っており、輪郭ライン66を越えて変位されている。石にレーザを照射する最中に、システムは、画像中の石を検出および追跡し、分析プログラム36(図1)を利用して例えば逆行運動および破砕などの石の運動を継続的に測定する。図5の例では、矢印が、結石24の移動を示す。かかる移動は、結石24に印加される出力が過剰である場合に引き起こされ得る。後のエネルギー印加において、出力は、逆行運動を伴うことなく結石が破砕する可能性を高めるように低下させるべきである。パルスあたりのエネルギーがより低く、パルス幅がより長いことにより、結果として石の逆流が減少することが知られている。また、パルスあたりのエネルギーがより低く、パルス幅がより長いことにより、結果として破片がより小さくなるおよびその逆となることも知られている。石および破片のサイズ測定は、レーザファイバの既知のサイズ、または例えば作業チャネルを通して投影された例えば砕石デバイスの光ファイバもしくは安全ガイドワイヤを通る照準ビームスポットに基づき得る。
【0035】
レーザ砕石術の最中に、ファイバ先端部は、石の表面と接触状態で、または石の典型的には1mm以内などの近傍に一般的に配置される。画像内の先端部のサイズと画像内の石破片のサイズとの間の関係を先端部の絶対サイズに基づき算出することによって、破片68のサイズが算出され得る。
【0036】
また、石のサイズの計算は、レーザ照準ビームの検出にも基づき得る。レーザ砕石術の最中に、赤色または緑色を有する照準ビームが、ヒトの目には不可視であるアブレーションレーザビームと共に経路62に沿ってファイバを通り伝送される。可視ビームは、標的の位置を示唆する。石の表面に現れるビーム直径が、使用されるファイバの既知のサイズによって判定される。石および破片のサイズは、ビーム直径を参照として算出され得る。200μm、270μm、または365μmのファイバ直径が適切である。これらの値はクリティカルなものではない。
【0037】
次に、図6を参照すると、この図は、本発明の一実施形態による、典型的にはモニタ50(図1)上でオペレータに提示される結石70の光学画像の概略図である。上述のような体内砕石術による破壊エネルギーの印加により、結石70が破片へと分解されることが、以下の議論から理解されよう。
【0038】
次に図7を参照すると、この図は、本発明の一実施形態によるエネルギー印加後に得られた結石70の光学画像の概略図である。結石70が破片へと分裂したことが明らかである。破片の外部表面は、輪郭ライン72、74、76により示される。輪郭ライン72、74、76は、プロセッサにより生成され、破片の移動を追跡するために使用された。追跡は、周知の画像分析方法により実施され得る。1つの適切な技術が、米国特許第5,697,885号に開示されており、この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
画像は、部分的にのみ示される。治療前に、結石70は完全に視覚化されていたが、ここでは破片74が変位されており、視野内に完全には存在しない。図7に示す破片は、明瞭に示すために図6の結石70の元の質量に比べて比較的大きく図示されるが、これは常に該当するわけではない。実際に、破片は、典型的にはこの例に示されるものよりもはるかにより小さい。
【0040】
また、石破片の移動が、例えば輪郭ライン66(図4)などの石の輪郭ラインの検出と連続フレーム中における輪郭の位置の変化の検出とのための当技術で知られているアルゴリズムを利用して追跡され得る。次に図8および図9を参照すると、これらの図は、図6および図7と同様の結石70の詳細な治療前概略図および治療後概略図である。これらのファイバは、結石70の運動追跡のための色の使用を示す。結石70の個々の領域の網掛けパターンは、結石画像上における個々の破片の領域を示す。運動追跡の1つの方法は、石の色および/または破片の色をその周囲と差別化することを利用するものである。例えば、図8の領域78は、図9の破砕した結石ではもはや元の完全状態にはない。むしろ、領域78の部分が、個別の破片としてより小さな領域80、82、84で示されている。単体でのまたはエッジ検出アルゴリズムとの組合せにおける色対比の検出は、各フレーム内の石の位置の変化を判定するのに十分な情報をもたらす。
【0041】
1つの動作モードでは、システムは、規定のアルゴリズムにしたがって出力パラメータ、パルス幅、またはそれらの両方を徐々に増加させる一方で、実際のパフォーマンスを継続的に追跡する。例えば、出力パラメータの1つの変更順序は、2つの連続照射における、エネルギーの10%増加、およびその後のパルス幅の10%の増加である。追加的にまたは代替的に、オペレータは、約1mmの距離を超過するとレーザ技術により効率が急激に低下することを認識しつつ、内視鏡と結石との間の距離を変更させ得る。システムが、ある特定の逆流量を検出すると、システムは、出力パラメータを安定化または低下させることによって応答する。
【0042】
連続フレームにおける出力パラメータは、自動的に、オペレータによる確認により、またはオペレータによる確認を伴わずに、および任意には石がモデルの予測にしたがって反応することを立証するために上述のモデルを参照として設定され得る。
【0043】
非レーザ体内砕石術
上述の技術は、必要な変更を加えて、バスケット砕石デバイスまたは超音波プローブなどの上記の他のタイプの体内砕石術に適用することが可能である。例えば、石および破片のサイズが、レーザの照準ビームを使用して判定することができない一方で、それらのサイズは、砕石器プローブの既知のサイズまたは画像認識プログラムによる画像処理を利用して推定され得る。石破片の検出により、砕石モジュールは、石に対して印加される破壊エネルギーを変更することが可能となる。内視鏡から結石までの距離を変更することは、超弾動技術においてレーザを用いる場合よりも高い影響をもたらす場合があり、オペレータによりある程度まで制御され得る。
【0044】
動作
次に図10を参照すると、この図は、本発明の一実施形態による体内砕石術の一方法の流れ図である。処置は、初めのステップ86にて開始される。被検者が、内視鏡を挿管される。これは、典型的には、上述のような尿管鏡または腎臓鏡であり、結石と接触状態にまたは結石の近傍に配置される。内視鏡は、上記のような光学撮像能力およびエネルギー送達システムを備える。次に、ステップ88で、結石の初期光学画像が取得される。
【0045】
次に、ステップ90で、画像が、その輪郭ラインおよび/または結石の色領域を確立するために分析される。体内砕石デバイスの出力パラメータが、初期値に設定され、この初期値は、初期光学画像から得られる情報に応じて変化し得る。
【0046】
次に、ステップ92で、砕石デバイスが作動される。破壊エネルギーが、内視鏡を通して伝送され、結石に印加される。
【0047】
次に、ステップ94で、ステップ92の完了後に結石の第2の光学画像が取得される。
【0048】
次に、ステップ96で、第2の光学画像が、残っている結石のサイズ、破片の個数、ならびに結石および破片のステップ92の実施前の位置からの移動を確定するために分析される。
【0049】
次に、判定ステップ98で、結石およびその破片の移動量が、例えば1mmなど所定の範囲内であるかどうかが判定される。この判定が「いいえ」である場合には、次いで制御はステップ100に進む。砕石デバイスの出力パラメータが調節される。次いで、制御はステップ92に戻って、新たな出力パラメータを使用して砕石デバイスの作動を繰り返す。
【0050】
判定ステップ98における判定が「はい」である場合には、次いで制御は、判定ステップ102に進み、砕石処置が完了したか否かが判定される。判定が「いいえ」である場合には、次いで制御はステップ92に戻って、砕石デバイスの作動を繰り返す。
【0051】
判定ステップ98における判定が「はい」である場合には、次いで制御は、最終ステップ104に進み、処置が完了する。
【0052】
本発明は、特に本明細書において示され上述したものに限定されない点が当業者には理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、前述の記載を読むことにより当業者に想起される、本明細書で上述した様々な特徴の組合せおよび下位組合せの両方と、先行技術にはないそれらの変更および修正とを含む。
【符号の説明】
【0053】
10 システム
12 内視鏡
13 砕石モジュール
14 ソース
15 作業チャネル
16 遠位端部
18 画像取得ユニット
19 メモリ
20 腎臓鏡
22 腎臓
24 結石
32 プロセッサ
34 画像処理ルーチン
36 分析プログラム
38 データベース
40 コントローラ
42 生成プログラム
44 腎盂
46 光ファイバ
48 尿管鏡
50 モニタ
52 画像
54 照明器
56 レンズ系
57 プローブ
58 半導体撮像アレイ
60 作業チャネル
62 経路
64 遠位端部
66 輪郭ライン
68 破片
70 結石
72 輪郭ライン
74 輪郭ライン
76 輪郭ライン
78 領域
80 領域
82 領域
84 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10