特許第6456987号(P6456987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6456987成長促進のためのビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株及びこれを含む成長促進用機能性食品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6456987
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】成長促進のためのビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株及びこれを含む成長促進用機能性食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20190110BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20190110BHJP
【FI】
   A23L33/135
   !C12N1/20 AZNA
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-576073(P2016-576073)
(86)(22)【出願日】2015年7月13日
(65)【公表番号】特表2017-520257(P2017-520257A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】KR2015007226
(87)【国際公開番号】WO2016186244
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2016年12月28日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0071123
(32)【優先日】2015年5月21日
(33)【優先権主張国】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC12201BP
(73)【特許権者】
【識別番号】517002731
【氏名又は名称】セル バイオテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ミョン チュン
【審査官】 田中 耕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−521071(JP,A)
【文献】 J S Lee, et al., Toxicol Res., 2013, 29(2), pp99-106
【文献】 J Y Kang, et al., Korean Journal of Microbiology, 2013, 49(3), pp275-281
【文献】 Zubair Aslam, et al., International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 2005, 55, pp747-751
【文献】 K H Kim, et al., The Journal of Microbiology, 2008, 46(4), pp390-395
【文献】 田中隆一郎、栄養学雑誌、1997年、55(4)、167−177頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00−C12N 15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長促進のための韓国生命工学研究院遺伝子銀行(Korean Collection for Type Culture; KCTC)に受託番号KCTC 12201BPとして国際寄託されたビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)ビフィズス菌株を含む成長促進用機能性食品組成物
【請求項2】
前記ビフィズス菌は、母乳オリゴ糖を分解する遺伝子を有しており、前記遺伝子は、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、エンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、シアリダーゼ、及びα−フコシダーゼをコード化する遺伝子を含むことを特徴とする請求項1に記載の成長促進用機能性食品組成物
【請求項3】
前記ビフィズス菌は、ニコチン酸(B3)、及び葉酸(B9)の生合成遺伝子を含むことを特徴とする請求項1に記載の成長促進用機能性食品組成物
【請求項4】
前記食品組成物は、ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(受託番号:KCTC 12201BP)菌株の生菌または乾燥菌を10乃至1012cfu/g含むことを特徴とする請求項に記載の成長促進用機能性食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成長促進のためのビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)菌株及びこれを含む成長促進用機能性食品組成物に関するものであって、より詳しくは、母乳の消化を助けて、ビタミンを合成し、新生児、乳幼児及び成長期の子供の成長を促進することができるビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株及びこれを含む成長促進用機能性食品組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の成長は、殆ど成長板が開いている思春期までの時期に生じる。成長を医学的に定義すると、成熟に伴われる大きさの変化であるといえ、特に、小児の成長というのは、身長の増加だけでなく、身体の各器官の大きさと機能の増大を包括的に含む概念である。
【0003】
一般に、人の成長は遺伝的影響が最も大きく影響を及ぼすと認識されているが、実際には遺伝的な影響は23%程度しか該当せず、残りの77%は、後天的な影響により決定される。最近、持続的な経済成長や食習慣の西欧化、栄養状態の改善等により、小児及び青少年の成長発育が大きく増加する傾向にある。また、外見や長身を好む社会的雰囲気が高まるにつれて、成長に対する関心が増大している。
【0004】
これまで知られている成長を促進するための方法としては、成長ホルモン製剤の投与療法がある。しかし、成長ホルモンの使用時、費用負担が大きいだけでなく、注射部位の掻痒感、発作、脂肪萎縮や高血圧、耐糖能(glucose intolerance)、膵炎、全身アレルギー反応、成長ホルモン抗体の陽性、がん発生及び男性の女性化乳房等の症状のような副作用があり得る。従って、成長に根本的に役立つ安全で効果的な食品素材に対する開発が切実に必要なのが実情である。
【0005】
韓国特許第0887377号(乳児及び青少年のための健康補助食品)、韓国特許第10530211号(学習能力を向上させる健康機能食品組成物及びその製造方法)、韓国特許第0561286号(乾燥酵母、天然物抽出粉末及び栄養成分混合粉末を含有し、成長の発育に役立つ健康機能性組成物)等がこのような成長促進用食品を提案しているが、これらは成長促進の効果が足りないという限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、成長促進の効能に優れたプロバイオティクスを発掘するために鋭意研究した結果、ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)菌株の成長促進製品としての適用可能性を実験的に確認し、本発明を完成した。本発明の目的は、新生児、 乳幼児、小児及び成長期の子供の成長促進用に好適なビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)菌株を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、母乳オリゴ糖の消化を助けて、ビタミンの合成を促進し、有害細菌の増殖を抑制することによって、乳幼児、子供及び青少年の成長を促進することができる機能性食品組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するための本発明の一つの様態は、成長促進のための韓国生命工学研究院遺伝子銀行(Korean Collection for Type Culture; KCTC)に受託番号KCTC 12201BPとして国際寄託されたビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)ビフィズス菌に関するものである。
【0009】
本発明の他の様態は、本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)の菌株を含む乳幼児、子供及び青少年の成長を促進することができる機能性食品組成物を提供することである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)の菌株は、産業的規模で大量生産できず、人の酵素によって消化されない母乳オリゴ糖(Human Milk Oligosaccharide)を消化させて供給し、ビタミンの生合成を促進し、腸内の有害細菌の増殖を抑制し、免疫系を調節して、成長促進の効能に優れる。
【0011】
本発明の成長促進用機能性食品組成物は、新生児及び乳幼児、子供並びに青少年の体内代謝を均衡的に活性化させ、免疫系を調節し、成長発育に役立つだけでなく、頭脳発達も促進することができる。また、本発明の成長促進用機能性食品組成物は、成長不振、発育不振、体力低下、低体重を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1a】本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)KCTC 12201BPの菌株の16S rRNA配列である。
図1b】本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3に関する種の16S rRNA配列の相同性及び系統発生的関係(phylogenetic relationship)を比較図示したものである。
図1c】本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3に関する種の16S rRNA配列の相同性及び系統発生的関係(phylogenetic relationship)を比較図示したものである。
図2】本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株のゲノムDNAのRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)の分析結果である。
図3】本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)KCTC 12201BP菌株のゲノムDNAのPFGE(Pulsed Field Gel Electrophoresis)の分析結果である。
図4】本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)KCTC 12201BP菌株の溶血性活性(hemolytic activity)の分析結果である。
図5】本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株及び関連のビフィドバクテリウムの菌株の系統発生のツリーを図示したものである。
図6】本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株の母乳オリゴ糖の代謝に関する遺伝子の数を示した図面である。
図7】本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株のマウスの生長に及ぼす成長促進効果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0014】
本発明の一つの様態は、成長促進の効能に優れた韓国生命工学研究院遺伝子銀行(Korean Collection for Type Culture; KCTC)に受託番号KCTC 12201BPとして国際寄託されたビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)のビフィズス菌である。
【0015】
本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株は、人の酵素によっては分解せず、構造が非常に多様で複雑であり、産業的に大量生産が難しい母乳オリゴ糖(HMO)を分解し、そのような菌株を摂取する乳児や小児に母乳オリゴ糖を供給することによって成長を促進させることができる。
【0016】
人の母乳は、有益な機能を有する200種以上の多様なオリゴ糖を含むことが知られている。母乳オリゴ糖(Human Milk Oligosaccharide)は、有益な腸内の微生物叢の増殖及び繁殖を促進し、有害細菌の増殖を阻害して、細胞反応の調節因子として機能し、免疫系を調節し、新生児及び乳児の頭脳成長発達の必須成分として頭脳活動のエネルギーを供給することによって、新生児及び乳児の頭脳発達に寄与することが知られている。
【0017】
前記母乳オリゴ糖は、上部胃腸官及び小腸での酵素の消化に抵抗性があるため、結腸まで損傷することなく到達し、そこで結腸の発酵に対する基質として機能する。人の母乳は、病原性微生物の増殖を阻止する好ましい腸内細菌叢の増殖を促進するいくつかの因子を含むと考えられている。母乳オリゴ糖が有益菌の数を増加させ、潜在的に病原性である細菌の数を減少させることができる方法は、細胞表面の受容体に対する競争、必須栄養素に対する競争、抗菌剤の生成、及び排泄物のpHを下げて、潜在的に病原性である細菌を抑制することができる短鎖脂肪酸(SCFA)のような抑制性化合物の生成を通じて起こる。母乳オリゴ糖は発酵し、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸のようなSCFAを生成する。このようなSCFAは熱量に寄与し、腸上皮に対する主要エネルギー源として機能し、結腸内のナトリウム及び水の吸収を促進し、小腸の消化及び吸収を強化させるものと考えられる。また、SCFAは、胃腸の発達及び免疫機能を調節することによって、全般的な胃腸健康に寄与する。
【0018】
母乳オリゴ糖(HMO)は多様な構造のオリゴ糖で構成されるが、主に5つの単糖類:D−グルコース(Glc)、D−ガラクトース(Gal)、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、L−フコース(Fuc)とサリチル酸(Sia;N−アセチルノイラミン酸[Neu5Ac])で構成されている。
【0019】
本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株のゲノムは、母乳オリゴ糖(HMO)の消化酵素をコード化する様々な種類の遺伝子を含む。本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株のゲノムは、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、シアリダーゼ、α−フコシダーゼをコード化する遺伝子を含む。
【0020】
本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株は、デアセチラーゼ、グリコシド加水分解酵素、ファミリー1、β−グリコシダーゼβ−1,3−エキソグルカナーゼ、熱安定性β−グリコシダーゼB、D−アルロース−6−フォスフェイト3−エピメラーゼ、シアリダーゼA、UDP−N−アセチルグルコサミンデホスホリラーゼ、1,6−α−グリコシダーゼ、ヌクレオシド−二リン酸−糖類エピメラーゼ、及びアミロ−α−1,6−グリコシダーゼをコード化する遺伝子を含む。
【0021】
また、本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株のゲノムは、ビタミン、特に、ビタミンB群を合成する遺伝子を有する。本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株のゲノムには、2種類のビタミンを合成することができる遺伝子が存在する。コリスミ酸から葉酸(B9)を合成し、L−アスパラギン酸塩からニコチン酸(B3)を合成することができる。
【0022】
図7に図示されたように、本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株は、バクテリオシンの生合成のための遺伝子を有する。
【0023】
本発明の他の様態によると、本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株は、プロバイオティクスビフィズス菌として用いられたリ、多様な乳製品及びその他発酵製品に用いられることもある。
【0024】
本発明のまた別の様態は、本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株を含む成長促進用機能性食品組成物に関するものである。母乳オリゴ糖(HMO)は、現在としては大量生産や商業的利用ができず、殆どの調整乳または調整食には欠乏している。母乳オリゴ糖(HMO)は乳幼児の必須栄養源であるが、人の酵素によっては消化されず、消化されない場合、糞便に排泄される。本発明の成長促進用機能性食品組成物は、母乳オリゴ糖を消化させて供給することによって、新生児及び乳幼児の頭脳発達及び成長発育を促進することができる。前記食品組成物は、食品、健康機能食品(nutraceutical)、補充剤(supplement)、生菌剤または共生剤(symbiotic)である。本明細書で「生菌剤」という用語は、好適な量で供給される場合、宿主生物の健康に有益な生きている微生物を意味する。本明細書で、「共生剤」という用語は、プレバイオティク (prebiotic)及び生菌剤の混合物を含有する食品を意味する。
【0025】
本発明の組成物は、実施例によってビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株以外にラクトバチルス・サリバリウス (Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ブレビス (Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johonsonii)、ラクトバチルス・ケフィア(Lactobacillus kefir)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・プソイドロングム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・テルモフィルム(Bifidobacterium themophilum)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)で構成される群から選択される1種以上のプロバイオティク乳酸菌またはビフィズス菌をさらに含み得る。
【0026】
本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株は、ビフィズス菌の培養に通常用いられる培地を使用し、通常用いられる条件下で培養することによって、増殖して回収できる。培養後に得られる培養物をそのまま用いてもよく、さらに、必要に応じて遠心分離等による粗精製及び/またはろ過等による固液分離や滅菌操作を行ってもよい。好ましくは、遠心分離を行い、ビフィズス菌の菌体のみを回収する。また、本発明で使用するビフィズス菌は、湿潤菌体であってもよく、または乾燥菌体であってもよい。例えば、凍結乾燥により生菌剤の形で製造して用いられ得る。
【0027】
本発明の組成物は、ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株以外に通常の担体または賦形剤をさらに含み得、これ以外にもバインダー、分解剤、コーティング剤、潤滑剤等のような通常用いられる多様な添加剤と剤形化して調製されることができる。
【0028】
本発明の組成物は、前記ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株と適切な担体、賦形剤、補助有効成分等との混合によって粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセルまたは液状の形で剤形化され得る。また、本発明の菌株は、公知の方法を使用し、胃腸を通過した後、大腸に到達し、活性成分であるビフィズス菌が迅速に腸内に放出されるように腸溶被覆され製品化されることができる。
【0029】
本発明で使用可能な賦形剤は、スクロース、ラクトース、マンニトール、グルコース等のような砂糖及びコンスターチ、バレイショデンプン、米デンプン、部分的にプレゼラチン化したデンプン等の澱粉を含む。バインダーは、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グアーガム、アカシア、アガー等の多糖類、トラガカント、ゼラチン、グルテン等の天然−発生の巨大分子物質、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体及びポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びビニルアセテート樹脂等の高分子を含む。
【0030】
分解剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体及びカルボキシメチルナトリウムデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、コンスターチ、バレイショデンプン、米デンプン及び部分的にプレゼラチン化したデンプン等の澱粉を使用し得る。
【0031】
本発明で使用可能な潤滑剤の例は、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、コロイドシリカ、ヒドロシリコンジオキシド、多様な種類のワックス及びヒドロゲネイティッドオイル等を含む。
【0032】
コーティング剤としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、エチルアクリレート−メタクリル酸共重合体、エチルアクリレート−メチルメタクリレート−クロロトリメチルアンモニウムエチルメタクリレート共重合体、エチルセルロース等の水不溶性重合体、メタクリル酸−エチルアクリレート共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩等の張性重合体及びメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の水溶性重合体を含むが、必ずこれらに制限されるわけではない。
【0033】
本発明の成長促進用組成物で、有効成分である前記ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株の含量は、体重、年齢や性別等を考慮して適切に決定されることができる。一例として、本発明の組成物は、組成物の総重量に対して、有効成分としてビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株を栄養的に有効な濃度で含むが、好ましくは10乃至1012cfu/gの含量で含むか、同等の数の生菌を有する培養物を含む。一般に、成人の場合、1×10以上の生菌、好ましくは1×10乃至1×1012の生菌が必要に応じて一回または数回にわたって分けて投与され得る。
【0034】
また別の様態で、本発明の成長促進用機能性食品組成物は、ビフィドバクテリウム・ロンガムインファンティスBT1(Bifidobacterium longum bv. infantis BT1)(KCTC 11859BP)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥムBF3(KCTC 12199BP)、及びビフィドバクテリウム・ロンガムBG7(KCTC 12200BP)で構成される群から選択される一つ以上の他のプレバイオティク (prebiotic)をさらに含み得る。このような組成物は、各々のビフィズス菌を同一の割合で含み得る。
【0035】
以下で、本発明を実施例によって詳しく説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するものであるだけで、本発明の内容が下記実施例によって限定されるわけではない。
【実施例】
【0036】
<実施例1>ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)菌株の分離及び同定
1−1.菌株の選抜
ヒトの糞便1gを滅菌嫌気水に連続希釈(serial dilution)した後、各希釈液1mlをMan−Rogosa−Sharpe(MRS. BD. USA)固体培地に注ぎ、嫌気条件で3日間培養した。生成されたコロニーをMRSにBCP(Bromocresol purple、 0.17g/L)が添加された乳酸菌選択培地(BL固体培地)に移した後、同じ条件で3日間培養した。BCP指示薬は乳酸菌が乳酸を形成して周辺のpHが低くなると、紫色から黄色に変化する。コロニーの周辺の色が黄色に変化したコロニーを選択した後、生化学的、分子生物学的同定を行い、その後、菌株の機能性及び安定性が最も優れる菌株1種を最終選抜した。
【0037】
1−2.選抜された菌株の同定
1)APIキットを用いた生化学的同定
選抜された菌株の糖利用性を調べるために、API 50 CHL Carbohydrate Test Kit(bioMerieux Co., France)を用いた。10 mlのMRS(Man−Rogosa−Sharpe) 液体培地で37℃で17時間培養した後、1mlの培養液を回収してCHL溶液で2回洗浄した。続いて、遠心分離(MICRO−17、Hanil、KR)によって菌体を集めて9mlのCHL溶液に再懸濁させた。150μlの菌株懸濁液をAPI 50 CHLキットの各ウェルに入れた後、オートクレーブしたパラフィン油をウェル内の菌株懸濁液上に分注した。37℃で3日間培養した後、各々の糖利用性を比較した。49種の炭素源に対して微生物増殖による色の変化可否を観察して各炭素源の利用可否を観察し、最終同定の結果は、同定用プログラムAPI webを利用して解釈し、その結果を下記表1及び表2に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
2)16s rDNA遺伝子塩基配列の決定を通じた同定
分離した菌株からゲノムDNAを抽出し、16s rRNA塩基配列を分析した。糞便から分離した菌株の純粋培養液1mlでAccuprepゲノム抽出キット(Bioneer、Korea)を用いてゲノムDNAを抽出した。抽出したDNAを鋳型として16s rRNA領域をプライマーF(5’−AAGGAGGTGATCCAGCC−3’)とプライマーR(5’−AAGGAGGTGATCCAGCC−3’)を用いてPCR(MyCycler、BIO−RAD、USA)を行った。
【0041】
PCR産物は、pGEM−Teasyベクター(Promega、USA)に連結し、E.coli 菌株DH5αに形質転換させた後、LB/x−gal/ampplateに塗抹し、37℃で一晩培養した。スクリーニングを通じて形質転換体から挿入体を含む組み換えプラスミドを分離した後、DNA塩基配列の分析を行った。DNA塩基配列の分析は、DNA star programのCluster V methodを用いてビフィドバクテリウム・ブレーベT (ATCC 15700)と相同性を比較した。分離した菌株の16s rRNA塩基配列は、図1に図示されたように、ビフィドバクテリウム・ブレーベ T (ATCC 15700)と99.3%の相同性を示した。
【0042】
3)RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)によるDNA指紋分析
RAPD分析は、糞便から分離した菌株からゲノムDNAを抽出し、分離したDNAを鋳型として(GTG)(5’−GTGGTGGTGGTGGTG −3’) プライマーを用いて、PCR−RAPD (MyCycler、BIO−RAD、USA)を行った。最終の産物であるPCR産物は、EtBr (ethidium bromide)に染色した後、G:BOX (SYNGENE、UK)で観察した。RAPDの結果から分離した菌株は、図2に図示されたように、ビフィドバクテリウム・ブレーベT (ATCC 15700)と異なるバンドパターンを示していることが確認できた。従って、上記結果から、糞便から分離した菌株は、ビフィドバクテリウム・ブレーベT (ATCC 15700)と異なる新規な菌株であることを確認した。図2におけるレーン1は、ビフィドバクテリウム・ブレーベT(ATCC 15700)の結果であり、レーン2は、ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(KCTC 12201BP)の結果を示す。
【0043】
4)PFGE(Pulsed Field Gel Electrophoresis)によるDNA指紋分析
MRS brothで純粋培養したビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3とビフィドバクテリウム・ブレーベT(ATCC 15700)のO.D.を測定した後、2%Low Melting Agaroseを用いて、最終にO.D600=4に合わせてプラグ(plug)を作製した。作製されたプラグを1mlリゾチーム緩衝液(2mg/ml Lysozyme (Sigma)、0.05% N−lauorylsarcosine (Sigma))に入れて、4 mg/ml Lysostaphin(sigma) 10μlを加えた後、37℃で一晩反応させた。プラグを慎重に取り外してNDS緩衝液(1ml 1M Tris−HCl(pH=8.0)、10 ml100% SDS、89 ml0.5M EDTA(pH=8.5)4mlに入れて、50℃で一晩反応させた。以降、軽く振とうしながら、50mM EDTA(pH 8.5) 10mlでプラグを6回洗浄した後、処理しようとする酵素緩衝液400μlにプラグを慎重に移し、常温で30分放置する。プラグを新たな酵素緩衝液400μlに移した後、制限酵素(20U)を入れて、37℃で一晩反応させた。このとき、制限酵素はNotIを使用した。電気泳動はCHEFシステム(BIO−RAD、USA)を用いて、0.5X TBEで5.3cm/V、1s〜15sパルスタイム、20時間実施した。
【0044】
電気泳動が完了した後、EtBr溶液で染色した後、G:BOX (SYNGENE、 UK)でバンドパターンを観察した。NotIを用いたPFGEの結果、糞便から分離したビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3は、ビフィドバクテリウム・ブレーベT(ATCC 15700)と相違するバンドパターンを示す新たな菌株であることを確認した。 図3におけるレーン1は、ビフィドバクテリウム・ブレーベT(ATCC 15700)の結果であり、レーン2は、ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(KCTC 12201BP)の結果を示す。
【0045】
5)その他菌学的特性
本発明によるビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3の特性は次の通りである。
【0046】
【表3】
【0047】
以上の結果に基づき、前記菌株を“ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(Bifidobacterium breve CBT BR3)”菌株と名付けて、2012年5月7日付で韓国の特許菌株寄託機関である微生物資源センター(KCTC)に寄託し、受託番号KCTC 12201BPの付与を受けた。
【0048】
1−3.機能性及び安定性
1)抗生剤の耐性実験
分離したビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(KCTC 12201BP)の安全性を検証するために、抗生剤の耐性を分析した。抗生剤の耐性実験は、European Food Safety Authority (EFSA)で推薦するmicro−dilution方法を用いて行い、実験に用いられた抗生剤は10種であって、アンピシリン(AMP)、バンコマイシン(VAN)、ゲンタマイシン(GEN)、カナマイシン(KAN)、ストレプトマイシン(STM)、エリトロマイシン(ERM)、シナシッド(Q/D)、クリンダマイシン(CLM)、テトラサイクリン(TET)及びクロラムフェニコール(CP)である。
【0049】
クリンダマイシンを除いた抗生剤に対しては、ISO−sensitest broth 10%とMRS broth 90%とを混合したbrothに256、128、64、32、16、8、4、2、1、0.5μg/mlの濃度で添加し、クリンダマイシンは ラクトバチルスグループのEFSAブレークポイント値が0.25μg/ml以下であるため、抗生剤の濃度は16、8、4、2、1、0.5、0.25、0.125、0.0625、0.03125μg/mlの濃度で添加して使用した。また、シナシッドはBioMeriux社のE−テストストリップを用いて行った。
【0050】
マイクロプレートを37℃下の嫌気性条件下で48時間インキュベーションし、続いてMICを可視的な成長が観察されない最低の抗生剤濃度で測定した。
【0051】
(Bifidobacterium breve CBT BR3)が各々の抗生剤に対して耐性があるか否かを確認し、下記表4に示した。
【0052】
【表4】
【0053】
分離したビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3は、実験に用いられた全ての抗生剤に対する耐性がEFSA抗生剤の耐性基準よりも低く示されたため、EFSAの抗生剤に対する安定性の基準に好適なものと確認された。ビフィドバクテリアは、シトクロム−媒介の薬物輸送システムの欠如でカナマイシンのようなアミニグリコシドに対して耐性があることが報告されているため、EFSAはビフィドバクテリウムに対する薬剤のMIC値を要求しない。
【0054】
2)腸定着性実験
ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3の腸定着性の測定は、ビフィドバクテリウム・ブレーベT (ATCC 15700)を対照群として人の大腸上皮細胞に由来するHT−29細胞株で実施した。HT−29細胞株に各菌株を1時間処理した後、グラム染色と生菌の数を測定することによって、菌株の腸定着能を比較し、下記表5に示した。
【0055】
【表5】
【0056】
腸定着性の測定結果、ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株は、ビフィドバクテリウム・ブレーベT(ATCC 15700)菌株よりも優れた腸定着性を示す菌株であることを確認した。このような結果は、本発明の前記菌株が腸上皮細胞に付着し、腸内環境を改善することができるということを示す。
【0057】
3)溶血性テスト
溶血性テスト(Hemolysis test)は、ビフィズス菌が人体内で溶血性毒性がないことを確認するためのものであって、赤血球の破壊または分解する現象である溶血性可否を検査した。Baumgartner等の方法によって、試験菌株を5%馬血液が補充されたMRS培地で成長させ、嫌気性の条件下で37℃で48時間インキュベーションした。菌体の周りに透明環の生成可否で溶血性を判断した。本発明の菌株の溶血性可否を検査した結果、図4を通じて確認されるように、ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株は、馬の血液に対して溶血性がないため、人体に無害であることが確認された。
【0058】
4)急性毒性実験
本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株に対する安全性を検証するために、実験動物を対象に急性毒性実験を実施した。6週齢の雌雄Sprague−Dawley (SD)系マウスに本発明の凍結乾燥された菌株を1.0×1011cfu/kgで経口投与した。対照群には0.85%塩水を胃内に投与した。全ての実験動物に対する臨床症状は、試料投与の1日から剖検日まで1日1回ずつ14日間観察した。観察結果は、下記表5に示した。
【0059】
ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株を投与した後、全ての対照群及び投与群で死亡率を観察できず、また、特異的な臨床症状を示す個体を見つけることができなかった。さらに、投与後14日間、餌と水の摂取量、及び体温を観察した結果、投与群と対照群との間に統計学的に有意的な差を見つけることができなかった。
【0060】
【表6】
【0061】
<実施例2>ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株の遺伝子分析
ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(KCTC 12201BP)菌株のゲノムシーケンシングは、PacBio RS II System (DNA Link、Republic of Korea)を用いて行った。ゲノムに対して、10 kbのライブラリーを作り、C2−P4 chemistryを有するSMRTcellのうち一つを用いて、ゲノムシーケンシングを実施した。ゲノムシーケンシングによって337,655,282 bpの長い配列が収得された。SMRTpipe HGAPによりDe novo組立を実施し、SMRTpipe AHAによってスキャフォールディングとギャップフィリングを行った。構造遺伝子の予測は、Glimmer3とし、遺伝子annotationはPfam、Uniref100、KEGG、COG及びGenBank NRデータベースに対してBLASTPによって得た結果を用いて、AutoFACT (Koski et al. 2005)によって行った。Transfer RNA及びリボソームRNAは、各々tRNAscan−SE (Lowe and Eddy 1997) 及びRNAmmer (Lagesen et al. 2007)を用いて行った。Clusters of Orthologous Groups (COGs) categoryによる遺伝子の機能的分類は、e−value cutoffを1e−2未満としてRPS−BLASTを用いて行った(Mavromatis et al. 2009)。
【0062】
ゲノム上の特殊な遺伝子の存在は、収集されたデータセットに対して配列相同性≧50%のパラメータでBLASTPを用いて行った。ゲノムの代謝経路の分析は、KEGG automatic annotation serverを用いて行った(Moriya et al. 2007)。二次代謝産物の生合成遺伝子の分析は、antiSMASH version 3.0.0 (Blin et al. 2013; Blin et al. 2014)((http://antismash.secondarymetabolites.org/))を用いて行った。
【0063】
2−1.HMO(Human Milk Oligosaccharide) 代謝関連の遺伝子
本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株のゲノムの遺伝子コンテンツ分析の結果、母乳オリゴ糖代謝に関する遺伝子中、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、エンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、シアリダーゼ、α−フコシダーゼをコード化する遺伝子を含むことが確認された。これによって、本発明の菌株が人の酵素によって消化されない母乳オリゴ糖を消化させて供給することができるということが分かる。
【0064】
【表7】
【0065】
2−2.ビタミン生合成遺伝子
遺伝子分析の結果、本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株は、ビタミン、特にビタミンB群の生合成のための全ての遺伝子を有することが確認された。本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株のゲノムには、2種類のビタミンを合成することができる遺伝子が存在する。コリスミ酸から葉酸(B2)を合成し、L−アスパラギン酸塩からニコチン酸(B3)を合成する遺伝子を有することが確認された。
【0066】
【表8】
【0067】
本発明に関する菌株のビタミン生合成遺伝子を比較すると、下記表の通りである。
【0068】
【表9】
【0069】
2−3.病原性遺伝子の不在
PAIs (Pathogenicity islands) 及びREIs(Antimicrobial resistance islands)に対する分析は、PAIデータベース(Yoon et al. 2007; Yoon et al. 2015)のPAI finderを用いて行った。分析の結果、本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株のゲノムには、PAI (Pathogenicity islands) 及びPAI−類似領域は存在しないことが確認された。
【0070】
実施例3.ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株の成長促進効果
以下の実施例で、本発明の菌株の特性と成長促進用効能を立証する。全ての実施例の実験結果は、平均(mean)±標準偏差(SD)で表し、実験結果の統計処理は、GraphPad PrismTM 6.0を用いて、実験群間の平均の差は、one−way ANOVAで有意性を確認した後、Tukey’s multiple range testを用いて事後検証した。.
【0071】
3−1.本発明の菌株の培養物及びそれを含む組成物の製造
ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株(KCTC 12201BP)をBLブロス(BD Diagnostics、Sparks、MD)で24時間37℃で培養し、リン酸塩バッファー溶液(PBS、10mMリン酸ナトリウム、130mM塩化ナトリウム、pH7.4)に1011CFU/mlで希釈して超音波処理した後、上澄み液を遠心分離し、0.45μmポアサイズのフィルタでろ過し、凍結乾燥した後、−20℃に生体内実験前まで保管した。
【0072】
3−2.肥満動物のモデル及びサンプリング
動物実験は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)のAnimal use and Care Protocolを遵守して行った。実験動物は、Saeronbio Inc.(Uiwang、Korea)で雄のSD実験用マウス6週齢を(グループ当たり10匹、雌5匹、雄5匹)購入し、24時間の適応期間を有した後、17日間の飼育が行われ、飼育環境は24±2℃、湿度55±15%でlight cycleが12時間維持された。基礎食餌のために17日間麦成分の飼料(barley feed、A04、UAR、Vilemoisson−sur−Orge、France)を摂取するようにし、飲用水は自由に摂取したり、ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3(10CFU/head/day)を飲用水に混ぜて摂取するようにした。
【0073】
3−3.本発明の菌株の成長発育促進の効果
本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株の成長促進の効能を観察するために、麦成分の飼料を17日間食べさせて基礎食餌を誘導し、実験を始めた後17日まで毎日体重と摂取した飲用水及び飼料の量を測定した。体重の増加は、実験日の体重から実験開始日の体重を引いて計算した。飲用水と飼料は、ケージ別に測定した後、匹当たり計算して17日までの総量を計算した。体重増加の効率は、総摂取した飼料の量から増加した体重を割って計算した。
【0074】
ビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3を飲用水に混ぜて食べさせたグループ(CBT BR3)の場合、一般の飲用水を正常的に食べさせたグループ(NC)に比べ、12日から有意性のあるように体重が増加することを観察した(12day; p<0.05、13 to 17 days; p<0.01)(図7(A))。しかし、17日間摂取した総飼料の摂取量(FI)と飲用水の量(WI)は、二つのグループ間で特別な差を示さなかった(図7(B))。本発明の菌株の投与が飼料摂取に影響を与えず、体重(WG)の増加が飼料摂取量(FI)の差に起因していないことが確認できる。このように摂取した飼料の量に対する体重増加の効率(FI/WG)は、正常グループに対してビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3を摂取したグループで有意味な結果が示され、本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベCBT BR3菌株の投与により成長が促進されることが確認された。
【0075】
以上で、本発明についてその好ましい実施例を中心に見た。本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から外れない範囲内で多様に変形または変更された形で具現できるということを理解できるであろう。従って、本発明の真の保護範囲は、前述の実施例ではなく、以下の特許請求範囲及びそれと均等な範囲に解釈されなければならない。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]