(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャラクタ画像生成部は、前記キャラクタが書道の筆で文字を書く動作を表示する動作表現画像と、当該動作に伴う筆跡により前記判断結果を表現する結果表示画像を生成する、請求項1に記載の知的財産システム。
前記要件充足性判断部は、前記判断対象の発明が新規性を充足すると判断した場合には、更に、前記通信部において受け付けられた発明の特徴量と、前記文献検索部において検索された文献に記載の発明の特徴量とを、進歩性を充足する発明のクラスタと進歩性を充足しない発明のクラスタとに分類して自己組織化マップにマッピングすることにより、前記受け付けられた発明が進歩性を有するか否かを判断する、請求項1から3のいずれか一項に記載の知的財産システム。
前記要件充足性判断部において分類された進歩性を充足する発明のクラスタと進歩性を充足しない発明のクラスタとの境界領域にマッピングされた発明の構成要件に基づき当該発明の構成要件の変更案を案出する変更案案出部をさらに備える、請求項4記載の知的財産システム。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
(知的財産システムの構成)
図1は、本実施形態における知的財産システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、知的財産システム1は、サーバ装置100と、ユーザ端末200と、ネットワーク300と、技術文献データベース400と、実製品データベース500と、代理人端末600と、を有する。なお、代理人端末600は、特許庁または裁判所の端末700と接続可能である。
【0029】
サーバ装置100は、ネットワーク300を介してユーザ端末200と接続し、ユーザ端末200に対して知的財産システム1のサービスを提供するための装置である。サーバ装置100は、コンピュータ(例えば、デスクトップPC、ラップトップPC、タブレットPCなど)である。サーバ装置100は、ネットワーク300を介して、代理人端末600とも接続する。
【0030】
サーバ装置100は、知的財産の一例である発明に関する情報Qをユーザ端末200から受け付ける機能(通信機能1a)を有する。サーバ装置100は、ユーザ端末200のユーザとキャラクタとが発明に関する事柄について情報交換可能な画面を表示するための表示データDを生成する機能(表示データ生成機能1b)を有する。サーバ装置100は、表示データ生成機能1bにより生成された表示データDを通信機能1aによりユーザ端末200に送信する機能(処理機能1c)を有する。サーバ装置100は、通信機能1aにより受け付けた発明に関する情報Qに基づいて、当該発明に関する情報Qに含まれる判断対象が所定の実体的要件を充足するか否か判断する機能(要件充足性判断機能1d)を有する。サーバ装置100は、要件充足性判断機能1dによる判断結果によって様相が異なるキャラクタの画像を生成する機能(キャラクタ画像生成機能1e)を有する。表示データDは、要件充足性判断機能1dによる判断結果をユーザに報知するための表示データである。表示データDには、キャラクタ画像生成機能1eにより生成されたキャラクタの画像を表示するためのデータが含まれる。
【0031】
ここで、「発明に関する事柄」には、例えば、発明の内容、検索キーワード、構成要件、先行技術文献、新規性の判断結果、進歩性の判断結果、等が含まれる。「情報交換」には、入力欄へのテキスト情報の入力に対し、検索結果や進歩性の判断結果など処理結果を返す応答形式での情報のやりとりが含まれる。更に、「情報交換」には、チャットルーム等による対話形式での情報のやりとりが含まれる。
【0032】
サーバ装置100は、ユーザ端末200から受信した情報を、代理人端末600に転送可能である。例えば、サーバ装置100は、ネットワーク300を介して、ユーザ端末200から発明に関する情報Qを受信し、その情報を代理人端末600に転送可能である。また、サーバ装置100は、代理人端末600から受信した情報を、ユーザ端末200に転送可能である。また、サーバ装置100は、表示データDを代理人端末600に送信可能である。
【0033】
また、サーバ装置100は、ネットワーク300を介して、技術文献データベース400にアクセス可能である。サーバ装置100は、技術文献データベース400にアクセスし、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに基づいて、その発明の先行技術文献を検索する機能(文献検索機能1f)を有する。また、サーバ装置100は、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qを、当該情報Qの表現に用いられている言語とは異なる言語に翻訳する機能を有する。この機能は、文献検索機能1fに含まれる機能である。サーバ装置100は、当該異なる言語に翻訳した後の情報Qに基づいて、先行技術文献を検索可能である。サーバ装置100は、文献検索機能1fによる検索によりヒットした文献に関する情報を含む表示データD1を生成可能である。サーバ装置100は、表示データD1をユーザ端末200に送信可能である。サーバ装置100は、表示データD1を代理人端末600にも送信可能である。表示データD1は、表示データDの一例である。
【0034】
また、サーバ装置100は、通信機能1aにより受け付けたテキストデータ及び文書ファイルに含まれる判断対象を認識する機能を有する。この機能は、要件充足性判断機能1dに含まれる機能である。
【0035】
また、サーバ装置100は、判断対象が発明である場合に、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる発明の内容と文献検索機能1fによる検索によりヒットした文献の内容とに基づいて、当該判断対象の発明が新規性を有するか否かを判断する機能(新規性判断機能1g)を有する。新規性判断機能1gは、要件充足性判断機能1dに含まれる機能である。サーバ装置100は、新規性判断機能1gによる判断結果をユーザ端末200のユーザに報知するための表示データD2を生成可能である。サーバ装置100は、表示データD2をユーザ端末200に送信可能である。サーバ装置100は、表示データD2を代理人端末600にも送信可能である。表示データD2は、表示データDの一例である。
【0036】
また、サーバ装置100は、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明の内容と文献検索機能1fによる検索によりヒットした文献の内容とに基づいて、その発明が進歩性を有するか否かを判断する機能(進歩性判断機能1h)を有する。進歩性判断機能1hは、要件充足性判断機能1dに含まれる機能である。また、サーバ装置100は、当該判断対象の発明と文献検索機能1fによる検索によりヒットした文献に記載の発明とを、自己組織化マップによりクラスタリングし、そのクラスタリングの結果に基づいて、当該判断対象の発明が進歩性を有するか否か判断する機能を有する。この機能は、進歩性判断機能1hに含まれる機能である。サーバ装置100は、進歩性判断機能1hによる判断結果をユーザ端末200のユーザに報知するための表示データD3を生成可能である。サーバ装置100は、表示データD3ユーザ端末200に送信可能である。サーバ装置100は、表示データD3を代理人端末600にも送信可能である。表示データD3は、表示データDの一例である。
【0037】
また、サーバ装置100は、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明が新規性及び進歩性を有するか否かの判断結果に基づいて、その発明に対する拒絶理由を想定する機能(拒絶理由想定機能1i)を有する。サーバ装置100は、拒絶理由想定機能1iにより想定した拒絶理由をユーザ端末200のユーザに報知するための表示データD4を生成可能である。サーバ装置100は表示データD4をユーザ端末200に送信可能である。サーバ装置100は、表示データD4を、代理人端末600にも送信可能である。表示データD4は、表示データDの一例である。
【0038】
また、サーバ装置100は、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明の内容と、拒絶理由想定機能1iにより想定した拒絶理由とに基づいて、その発明の構成要件の変更案を案出する機能(変更案案出機能1j)を有する。サーバ装置100は、変更案案出機能1jにより、例えば、判断対象とされた発明が進歩性を有するか否かを左右する構成要件を探索し、当該探索の結果に基づいて、その発明の構成要件の変更案を案出可能である。サーバ装置100は、変更案案出機能1jにより案出した変更案をユーザ端末200のユーザに報知するための表示データD5を生成可能である。サーバ装置100は表示データD5をユーザ端末200に送信可能である。サーバ装置100は、表示データD5を代理人端末600にも送信可能である。表示データD5は、表示データDの一例である。
【0039】
また、サーバ装置100は、ネットワーク300を介して、実製品データベース500にアクセス可能である。サーバ装置100は、実製品データベース500にアクセスし、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに基づいて、その発明を使用した実製品の情報を検索する機能(実製品検索機能1k)を有する。サーバ装置100は、実製品検索機能1kによる検索によりヒットした実製品の情報を含む表示データD6を生成可能である。サーバ装置100は、表示データD6をユーザ端末200に送信可能である。サーバ装置100は、表示データD6を代理人端末600にも送信可能である。表示データD6は、表示データDの一例である。
【0040】
また、サーバ装置100は、キャラクタ画像生成機能1eにより、キャラクタの行動を表現する動作表現画像と、そのキャラクタの行動に因る複数種類の結果を表現する結果表現画像と、を生成可能である。当該結果表現画像は、要件充足性判断機能1dによる判断結果に応じて生成される画像である。サーバ装置100は、当該動作表現画像と当該結果表現画像とを含む表示データD7を生成可能である。サーバ装置100は表示データD7をユーザ端末200に送信可能である。サーバ装置100は、表示データD7を代理人端末600にも送信可能である。表示データD7は、表示データDの一例である。
【0041】
また、サーバ装置100は、文献検索機能1fによる検索によりヒットした文献に対するキャラクタの行動を表現する動作表現画像を生成可能である。サーバ装置100は、当該動作表現画像を含む表示データD8を生成可能である。サーバ装置100は、表示データD8をユーザ端末200に送信可能である。サーバ装置100は、表示データD8を代理人端末600にも送信可能である。表示データD8は、表示データDの一例である。
【0042】
また、サーバ装置100は、文献検索機能1fによる検索によりヒットした文献のうち、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明とその内容が最も類似する一つの文献を特定する機能(文献特定機能1l)を有する。サーバ装置100は、文献特定機能1lにより特定された文献に関する情報を含む表示データD9を生成可能である。サーバ装置100は、表示データD9をユーザ端末200に送信可能である。サーバ装置100は、表示データD9を代理人端末600にも送信可能である。表示データD9は、表示データDの一例である。
【0043】
また、サーバ装置100は、文献検索機能1fにより、テキスト検索と特許分類検索とを使用して先行技術文献の検索を実行可能である。
【0044】
また、サーバ装置100は、ユーザ端末200から受け付けた要求に応じて、知的財産システム1が提供し得る種々のサービスを提供可能である。サーバ装置100は、例えば、ユーザ端末200から発明相談サービス(“IP侍”)の利用の要求を受け付け、発明相談機能を実行可能である。発明相談機能は、ユーザ端末200に発明相談のための画面を表示させ、その画面内でユーザとキャラクタとが発明に関する事柄について気楽に情報交換することを可能にする機能である。
【0045】
また、サーバ装置100は、ネットワーク300を介してユーザ端末200および代理人端末600と接続できれば、どのような場所にあってもよい。また、
図1の例では、知的財産システム1が有するサーバ装置100は1台であるが、サーバ装置100は2台以上であってもよい。
【0046】
ユーザ端末200は、ネットワーク300を介してサーバ装置100と接続し、サーバ装置100に対して、発明に関する情報Qを送信する装置である。ユーザ端末200は、コンピュータ(例えば、デスクトップPC、ラップトップPC、タブレットPCなど)やスマートフォン、携帯電話(例えば、フィーチャーフォン)、PDA(personal digital assistant)、ウェアラブル端末などである。なお、本実施形態において、ユーザ端末200は、これらに限定されない。
【0047】
ユーザ端末200は、ユーザから受け付けた種々の情報を、サーバ装置100に送信する。ユーザ端末200は、例えば、ユーザから受け付けた発明に関する情報Qを、サーバ装置100に送信する。発明に関する情報Qの例として、ユーザがユーザ端末200に入力した発明に関する説明文、特許請求の範囲、明細書、等を挙げることができる。なお、ユーザ端末200がサーバ装置100に送信する情報は、発明に関する情報に限られず、どのような情報であってもよい。
【0048】
ネットワーク300は、サーバ装置100とユーザ端末200、サーバ装置100と代理人端末600を接続し、互いにデータの送受信を行うことが可能な接続経路を提供する。
【0049】
ネットワーク300は、有線ネットワークや無線ネットワークであり、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(virtual private network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(local area network:LAN)、広域ネットワーク(widearea network:WAN)、インターネット、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、LTE(long term evolution)CDMA(code division multiple access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信などである。なお、本実施形態において、ネットワーク300は、これらに限定されない。
【0050】
技術文献データベース400は、技術文献の検索・蓄積が容易にできるように整理された情報の集合体である。技術文献データベース400に蓄積される情報には、各国の特許行政機関により頒布された刊行物(例えば、特許公開公報、特許掲載公報など)、企業により頒布された刊行物(例えば、技報など)、各種学会で頒布された刊行物(例えば、講演資料、予稿集など)、各種ウエブページ、等の情報が含まれる。技術文献データベース400は、知的財産システム1のために新たに構築されたものであってもよい。技術文献データベース400は、技術文献情報を検索可能な既存のデータベースであってもよい。この種の既存のデータベースの例として、特許情報データベースを挙げることができる。特許情報データベースの例として、Japan Platform for Patent Information(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)、Espacenet(https://worldwide.espacenet.com/)、USPTO Full-Text and Image Database(http://appft.uspto.gov/netahtml/PTO/search-bool.html)、PATENTSCOPE(World Intellectual Property Organization)(https://patentscope.wipo.int/search/en/search.jsf)、Google Patents(https://patents.google.com/)、Derwent Innovation Index(http://ip-science.thomsonreuters.jp/products/dwpi/support/ManualCode/)、等を挙げることができる。なお、本実施形態において、技術文献データベース400は、これらに限定されない。例えば、WWW(World Wide Web)により実現されるすべての公開・閲覧システムまたはその一部を技術文献データベース400としてもよい。
【0051】
実製品データベース500は、各種発明を使用した実製品の検索・蓄積が容易にできるように整理された情報の集合体である。実製品データベース500に蓄積される情報には、例えば、発明を構成する要素(発明特定事項)毎の実現手段(例えば、製品、部品、プログラム、等)の説明文(テキスト情報)や画像情報が含まれる。実製品データベース500に蓄積される情報には、例えば、各種発明を使用した製品を製造・販売等している企業や団体に関する情報(例えば、会社のホームページ、インターネット広告、テレビ広告、等)が含まれる。実製品データベース500として、例えば、WWW(World Wide Web)により実現されるすべての公開・閲覧システムまたはその一部を利用することができる。なお、本実施形態において、実製品データベース500は、これらに限定されない。
【0052】
代理人端末600は、ネットワーク300を介してサーバ装置100と接続し、ユーザ端末200のユーザが送信した情報及び表示データDを、サーバ装置100から受信する装置である。代理人端末600は、例えば、コンピュータ(例えば、デスクトップPC、ラップトップPC、タブレットPCなど)やスマートフォン、携帯電話(例えば、フィーチャーフォン)、PDA(personal digital assistant)、ウェアラブル端末などである。なお、本実施形態において、代理人端末600は、これらに限定されない。
【0053】
また、代理人端末600は、サーバ装置100から受信した手続きに関する情報に基づいて作成された、外国の特許庁や裁判所に提出するための書類を、該外国の特許庁や裁判所に提出する機能を備えていてもよい。なお、外国の特許事務所や法律事務所において、サーバ装置100から手続きに関する情報を受信する代理人端末600と、外国の特許庁や裁判所に所定の書類を提出するための装置とは、別々の装置であってもよい。
【0054】
上記のように構成された本実施形態の知的財産システム1は、ユーザ端末200から送信された発明に関する情報Qを受け付けることにより、ユーザ端末200に表示される画面内で、ユーザとキャラクタとが当該発明に関する事柄について情報交換することを可能にする。当該画面には、キャラクタの画像が表示される。当該キャラクタの画像は、当該発明が所定の要件を充足するか否かによって様相が異なる。
【0055】
したがって、本実施形態の知的財産システム1によれば、ユーザは、ユーザ端末200に表示される画面内でのキャラクタとの情報交換により自分の発明(アイデア)についての理解を深めることができる。そして、画面に表示されるキャラクタの画像を見ることにより、自分の発明が所定の実体的要件を充足するか否かを認識ことができる。自分の発明が所定の実体的要件を充足することを認識したユーザは、当該発明が特許される可能性が高いという安心感を得たうえで、出願手続き等に進むことができる。一方、自分の発明が所定の実体的要件を充足しないことを認識したユーザは、所定の実体的要件を充足するように、当該発明の発明特定事項を変更したり追加したりすることにより、特許により保護され得る発明を創出し得る。
【0056】
このように、本実施形態の知的財産システム1によれば、発明の創出を支援し得る。また、本実施形態の知的財産システム1によれば、ユーザは、ユーザ端末200に表示される画面内でキャラクタと情報交換するという平易な行為により、自分の発明が所定の実体的要件を充足するか否かを認識し、当該発明についての理解を深め得るので、発明の創出に気軽に取り組むことができる。また、本実施形態の知的財産システム1によれば、当該画面に表示されるキャラクタの様相によって、ユーザの発明が所定の実体的要件を充足するか否かの判断結果が表現されるので、ユーザは、当該判断結果を直感的に理解し、より気軽に発明の創出に取り組むことができる。
【0057】
(サーバ装置の構成)
図2は、サーバ装置100の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ装置100は、通信部110と、制御部120と、格納部130、表示部140と、入力受付部150と、を備える。
【0058】
通信部110は、ネットワーク300を介して所定の情報の送受信を行う。通信部110の通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信部110は、ユーザ端末200と接続して、発明に関する情報Qの送受信を行う。また、通信部110は、代理人端末600と接続して、発明に関する情報Qの送受信を行う。通信部110は、制御部120からの指示に従って、所定の情報の送受信を行う。また、通信部110は、ユーザ端末200や代理人端末600から受信した所定の情報を、制御部120や格納部130に伝達する。
【0059】
制御部120は、プログラムに含まれたコードまたは命令によって実現する機能を実行し、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(application-specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)である。なお、本発明において、制御部120は、これらに限定されない。
【0060】
図2に示すように、制御部120は、処理部121、表示データ生成部122、要件充足性判断部124、キャラクタ画像生成部125、文献検索部123、拒絶理由想定部126、変更案案出部127、実製品検索部128及び格納処理部129を有する。
【0061】
処理部121は、ユーザ端末200または代理人端末600から受信した所定の情報に応じて、所定の処理を実行する。処理部121は、例えば、ユーザ端末200から発明に関する情報Qを受信した場合に、当該発明に関する情報Qを表示部140に表示するための表示データの生成を、表示データ生成部122に指示する。また、処理部121は、例えば、ユーザ端末200から発明に関する情報Qを受信した場合に、格納処理部129に対して、その受信した発明に関する情報Qを格納部130に記憶する旨を指示する。さらに、処理部121は、例えば、ユーザ端末200から発明きに関する情報を受信した場合に、通信部110を介して、その受信した発明に関する情報Qを代理人端末600に転送するための処理を実行する。
【0062】
また、処理部121は、ユーザ端末200から受け付けた要求に応じて、該要求に対応するサービスを提供するための処理を実行する。処理部121は、例えば、発明相談サービスの利用の要求を受け付けた場合に、発明相談機能を実行するための処理を行う。処理部121は、例えば、ユーザ端末200から発明相談サービスの利用の要求を受け付けた場合に、ユーザ端末200のユーザとキャラクタとが発明に関する事柄について情報交換可能な画面を表示するための表示データDの生成を、表示データ生成部122に指示する。
【0063】
なお、処理部121は、発明相談機能の実行中に、ユーザ端末200から受け付けた文書を表示するための表示データの生成を、表示データ生成部122に指示する。当該文書の例として、特許請求の範囲及び明細書を挙げることができる。処理部121は、発明相談機能の実行中に、ユーザがユーザ端末200を利用して入力した種々のテキスト情報を表示するための表示データの生成を、表示データ生成部122に指示する。また、処理部121は、入力受付部150から受け付けたテキスト情報を表示するための表示データの生成を、表示データ生成部122に指示する。入力受付部150から受け付けるテキスト情報は、例えば、ユーザ端末200から受け付けたテキスト情報に対して、サーバ装置100の管理者等が応答するためのテキスト情報である。なお、処理部121は、ユーザ端末200から受け付けたテキスト情報に対して、自動で応答してもよい。
【0064】
また、処理部121は、代理人端末600から受け付けたテキスト情報を表示するための表示データの生成を、表示データ生成部122に指示する。また、処理部121は、例えば、代理人端末600からテキスト情報を受信した場合に、格納処理部129に対して、当該テキスト情報を格納部130に記憶する旨を指示する。代理人端末600から受け付けるテキスト情報には、例えば、ユーザ端末200から受け付けたテキスト情報に対して、代理人が代理人端末600を介して応答したテキスト情報が含まれる。
【0065】
処理部121は、表示データ生成部122が生成した表示データを、通信部110を介して、ユーザ端末200および/または代理人端末600に送信する。そのため、ユーザ端末200および/または代理人端末600は、表示データ生成部122によって生成された種々の表示データに基づく画像を表示することが可能となる。
【0066】
なお、処理部121は、上記の例に限られず、知的財産システム1に含まれる種々のサービスを提供するための処理を実行可能である。
【0067】
表示データ生成部122は、処理部121からの指示に応じて表示データを生成する。表示データ生成部122は、生成した表示データを、通信部110を介して、ユーザ端末200及び/又は代理人端末600に対して送信する。また、表示データ生成部122は、表示データに基づく画像を表示部140に表示させる。
【0068】
表示データ生成部122は、ユーザとキャラクタとが発明に関する事柄について情報交換可能な画面を表示するための表示データDを生成する。例えば、ユーザ端末200又は代理人端末600から受信したテキスト情報と共にキャラクタの画像を画面に表示するための表示データを生成する。当該画面の例として、ユーザ端末200のユーザが自由に発明内容を記入するための簡易記入画面、ユーザがキーワードを記入し、さらに発明の構成要件毎に文章を記入するための詳細記入画面、サーバ装置100が解析中に表示される変遷状態画面、構成要件毎の新規性・進歩性判断のための充足率及び進歩性があるか否かの判断の結果を示す結果表示画面、等を挙げることができる。
【0069】
表示データ生成部122は、要件充足性判断部124による判断結果をユーザに報知するための表示データD(D2,D3)を生成する。当該表示データDは、キャラクタ画像生成部125により生成されたキャラクタの画像を表示するためのデータを含む表示データである。
【0070】
また、表示データ生成部122は、文献検索部123による検索によりヒットした文献に関する情報を含む表示データD1を生成可能である。また、表示データ生成部122は、拒絶理由想定部126が想定した拒絶理由をユーザに報知するための表示データD4を生成可能である。また、表示データ生成部122は、変更案案出部127が案出した変更案に関する情報を含む表示データD5を生成可能である。また、表示データ生成部122は、実製品検索部128による検索によりヒットした実製品の情報を含む表示データD6を生成可能である。また、表示データ生成部122は、キャラクタ画像生成部125により生成された各種の表現画像を含む表示データD7,D8を生成可能である。また、文献特定部123aにより特定された一つの文献に関する情報を含む表示データD9を生成可能である。
【0071】
文献検索部123は、通信部110及びネットワーク300を介して、技術文献データベース400にアクセス可能である。文献検索部123は、技術文献データベース400にアクセスし、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに基づいて、その情報Qに関連する文献を検索する。当該文献には、当該発明に対する先行技術文献が含まれる。
【0072】
文献検索部123は、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qを、その情報Qの表現に用いられている言語とは異なる言語に翻訳する機能を更に有する。文献検索部123は、当該異なる言語に翻訳した後の情報Qに基づいて、その情報Qに関連する文献を検索可能である。文献検索部123は、例えば、深層学習による自然言語処理による翻訳機能を有する。
【0073】
文献検索部123は、テキスト検索と特許分類検索とを組み合わせることにより行う概念検索により先行技術文献の検索を実行可能である。文献検索部123は、例えば、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明について概念検索を実施し、技術文献データベース400に格納されている技術文献情報(特許情報)から、当該発明に類似する技術分野に属する特許情報を抽出し、その特許情報に使われているFタームを検索し決定可能である。文献検索部123は、当該発明のFタームが決定されたら、当該発明によく使用されているワードおよび当該ワード間の距離を分析可能である。文献検索部123は、当該分析の結果及びFタームに基づいて当該発明に類似する特許情報を抽出可能である。概念検索では分析対象となる発明に使用されているワードを抜き取って検索を行うため、類似する特許情報の抽出に関し信頼性がやや欠けるが、上記のように概念検索をテキスト検索と特許分類検索とを使用して実施することにより、類似する特許情報の抽出の信頼性が向上する。なお、特許分類検索には、Fタームに限らず、IPCやFIを使用することも可能である。
【0074】
文献検索部123は、米国特許検索や欧州特許検索を行う場合にも、当該発明によく使用されているワードおよび当該ワード間の距離を分析し、当該分析の結果に近い特許情報を技術文献データベース400に格納されている特許情報から抽出可能である。この場合、UPC(米国特許分類)やCPC(共同特許分類)が使用される。概念検索をテキスト検索とUPC又はCPCによる検索とを組み合わせて行うことにより、類似する特許情報の抽出の信頼性が向上する。
【0075】
文献特定部123aは、文献検索部123による検索によりヒットした文献のうち、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明とその内容が最も類似する一つの文献を特定する。文献特定部123aは、例えば、文献検索部123による検索により複数の文献がヒットした場合、それら複数の文献に対し、所定の基準でスコアリングを実施し、その結果最も高スコアとなった一つの文献を特定する。スコアリングの結果、複数の文献が同スコアになった場合、別の所定の基準でスコアリングを実施し、一つの文献を特定する。判断対象の発明とその内容が最も類似する一つの文献を特定することにより、当該文献の情報をユーザ端末200のユーザに提供することが可能となる。ユーザ端末200のユーザは、自分の発明(判断対象)とその内容が最も類似する一つの文献の情報が提供されることにより、自分の発明に先行する類似の発明等について理解する上で最も有益な情報を得ることができる。
【0076】
要件充足性判断部124は、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明の内容と文献検索部123による検索によりヒットした文献の内容とに基づいて、当該発明が新規性を有するか否かを判断(新規性の判断)する。新規性の判断は、判断対象の発明の構成要件と検索によりヒットした文献に記載の発明の構成要件との一致度を計算することによりなされる。当該一致度が所定の値以上であれば、新規性を充足しないと判断され、当該一致度が所定の値未満であれば、新規性を充足すると判断される。
【0077】
要件充足性判断部124は、例えば、新規性判断を行うための学習済みネットワークモデルを有し、当該学習済みネットワークモデルを用いた演算により新規性判断を行うことが可能である。要件充足性判断部124は、例えば、当該学習済みネットワークモデルを用いた新規性判断の結果に基づいて学習を行い、当該学習済みネットワークモデルのパラメータを更新可能である。ここで、学習済みネットワークモデルの例として、審査官により過去になされた新規性に関する審査の情報(新規性の判断対象と先行技術文献及び認定結果との関係)を学習したモデルを挙げることができる。また、新規性判断のための学習済みネットワークモデルは、教師あり学習によるものでも、教師なし学習によるものでもよい。
【0078】
また、要件充足性判断部124は、新規性判断の結果、新規性を有すると判断した場合、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明の内容と文献検索部123による検索によりヒットした文献の内容とに基づいて、当該発明が進歩性を有するか否かを判断する。
【0079】
要件充足性判断部124は、判断対象の発明と検索によりヒットした文献に記載の発明とを、自己組織化マップによりクラスタリングし、そのクラスタリングの結果に基づいて、判断対象の発明が進歩性を有するか否か判断可能する。すなわち、要件充足性判断部124は、教師なし機械学習により、判断対象の発明の特徴量及び先行技術文献に記載の発明の特徴量を抽出し、それらを含む特徴量空間(n次元座標、n>2)から、所定の条件で所定の座標(2次元座標)上にマッピングすることにより、進歩性を充足する発明のクラスタと進歩性を充足しない発明のクラスタとに分類する。判断対象の発明が前者に属していれば、判断対象の発明は進歩性を充足すると判断され、後者に属していれば、判断対象の発明は進歩性を充足しないと判断される。
【0080】
また、要件充足性判断部124は、例えば、進歩性判断を行うための学習済みネットワークモデルを有し、当該学習済みネットワークモデルを用いた演算により進歩性判断を行うことが可能である。要件充足性判断部124は、例えば、当該学習済みネットワークモデルを用いた進歩性判断の結果に基づいて学習を行い、当該学習済みネットワークモデルのパラメータを更新可能である。ここで、学習済みネットワークモデルの例として、審査官により過去になされた進歩性に関する審査の情報(進歩性の判断対象と先行技術文献及び認定結果との関係)を学習したモデルを挙げることができる。また、進歩性判断のための学習済みネットワークモデルは、教師あり学習によるものでも、教師なし学習によるものでもよい。
【0081】
キャラクタ画像生成部125は、キャラクタの行動を表現する動作表現画像と、当該キャラクタの行動に因る複数種類の結果を表現する結果表現画像と、を生成可能である。キャラクタ画像生成部125は、要件充足性判断部124による判断結果に応じて当該結果表現画像を生成する。キャラクタ画像生成部125は、例えば、格納部130に保存されている動作表現画像の画像データを読み出すことにより、動作表現画像を生成可能である。キャラクタ画像生成部125は、例えば、格納部130に保存されている複数種類の結果表現画像の画像データの中から、要件充足性判断部124による判断結果に応じた結果表現画像の画像データを選択して読み出すことにより、結果表現画像を生成可能である。
【0082】
動作表現画像の例として、袴姿のキャラクタが書道の筆で文字を書く動作を表現した画像を挙げることができる。結果表現画像の例として、毛筆の文字を表現した画像を挙げることができる。当該毛筆の文字の例として、「〇」及び「×」を挙げることができる。「〇」及び「×」は、それぞれ要件充足性判断部124による判断結果に対応させることができる。すなわち、新規性判断の結果の場合、「〇」は新規性を充足することを意味し、「×」は新規性を充足しないことを意味する。また、進歩性判断の結果の場合、「〇」は進歩性を充足することを意味し、「×」は進歩性を充足しないことを意味する。
【0083】
キャラクタ画像生成部125により生成された動作表現画像及び結果表現画像を含む表示データD7がユーザ端末200に送信されることにより、ユーザ端末200に、例えば、袴姿のキャラクタが書道の筆で文字を書く動作(動作表現画像)が表示されるとともに、当該動作に伴う筆跡により、「〇」又は「×」の文字を表現した画像(結果表現画像)が表示される。新規性判断の段階では、ユーザ端末200のユーザは、「〇」及び「×」のどちらの筆跡が出現するかによって、自分の発明(判断対象の発明)が新規性を充足するか否かを知ることができる。進歩性判断の段階では、ユーザ端末200のユーザは、「〇」及び「×」のどちらの筆跡が出現するかによって、自分の発明(判断対象の発明)が新規性を充足するか否かを知ることができる。いずれの段階においても、ユーザ端末200のユーザに対し、「〇」又は「×」の筆跡が出現するまでの間、「〇」が出現することへの期待感を持たせることができる。
【0084】
また、キャラクタ画像生成部125は、文献検索部123による検索によりヒットした文献に対するキャラクタの行動を表現する動作表現画像を生成可能である。キャラクタ画像生成部125は、例えば、格納部130に保存されている動作表現画像の画像データを読み出すことにより、動作表現画像を生成可能である。動作表現画像の例として、侍のキャラクタが先行技術文献を次々と切っていく動作を表現した画像を挙げることができる。侍が先行技術文献を切ることは、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる発明と当該先行技術文献に記載の発明とが類似しない或いは類似度が小さいことを意味する。
【0085】
キャラクタ画像生成部125により生成された動作表現画像を含む表示データD8がユーザ端末200に送信されることにより、ユーザ端末200に、例えば、侍のキャラクタが先行技術文献を次々と切っていく動作(動作表現画像)が表示される。侍が先行技術文献を次々と切っていく動作が表示されている間、ユーザ端末200のユーザに対し、自分の発明(判断対象の発明)の新規性を否定する先行技術文献が現れないことへの期待感を持たせることができる。
【0086】
拒絶理由想定部126は、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる発明が新規性及び進歩性を有するか否かの判断結果に基づいて、当該発明に対する少なくとも1の拒絶理由を想定する。拒絶理由想定部126は、例えば、拒絶理由の想定を行うための学習済みネットワークモデルを有し、当該学習済みネットワークモデルを用いた演算により拒絶理由の想定を行うことが可能である。拒絶理由想定部126は、例えば、当該学習済みネットワークモデルを用いた拒絶理由の想定結果に基づいて学習を行い、当該学習済みネットワークモデルのパラメータを更新可能である。
【0087】
変更案案出部127は、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明の内容と拒絶理由想定部126が想定した拒絶理由とに基づいて、当該発明の構成要件の変更案を案出する。変更案案出部127は、判断対象の発明が進歩性を有するか否かを左右する構成要件を探索し、当該探索の結果に基づいて、判断対象の発明の構成要件の変更案を案出可能である。例えば、変更案案出部127は、進歩性を充足する発明のクラスタと進歩性を充足しない発明のクラスタとの境界領域にマッピングされた発明の構成要件に着目し、進歩性の充足を左右することになる構成要件を探索することにより、変更案を案出可能である。これにより、例えば、進歩性を充足する発明のクラスタの縁すなわち、進歩性を充足するぎりぎりの領域に位置する発明の構成要件を変更案として案出可能である。当該変更案は、判断対象の発明が進歩性を充足するための必要最小限の変更案である。当該必要最小限の変更案が提案されることにより、ユーザは、適切な補正等を行って、自分の発明を最大限広い権利範囲で権利化することができる。
【0088】
実製品検索部128は、通信部110及びネットワーク300を介して、実製品データベース500にアクセス可能である。実製品検索部128は、実製品データベース500にアクセスし、ユーザ端末200から受信した発明に関する情報Qに基づいて、当該発明を使用した実製品の情報を検索する。
【0089】
格納処理部129は、処理部121からの指示に基づいて、ユーザ端末200または代理人端末600から受信した情報を、格納部130に記憶する。格納処理部129は、処理部121からの指示に基づいて、ユーザ端末200または代理人端末600から受信した情報を、格納部130に記憶する。
【0090】
格納処理部129は、例えば、ユーザ端末200ごとに、該ユーザ端末200から受信した情報を、格納部130に記憶する。格納処理部129は、例えば、複数のユーザ端末200の各々から受信した情報を、格納部130の異なる領域にそれぞれ記憶する。格納処理部129は、一のユーザ端末200から受信した情報を、他のユーザ端末200がアクセスできない態様で、該一のユーザ端末200から受信した情報を、格納部130に記憶する。
【0091】
格納部130は、サーバ装置1が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。また、格納部130は、格納処理部129からの指示に基づいて、ユーザ端末200から受信した情報を記憶する。なお、格納部130は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。ただし、本発明の第1の実施形態において、格納部130は、これらに限定されない。
【0092】
表示部140は、フレームバッファに書き込まれた表示データに従って、所定の画面表示を表示する。表示部140は、例えば、モニタ(液晶ディスプレイやOELD(organic electroluminescence display))、ヘッドマウントディスプレイ(HDM:Head Mounted Display)など、画像やテキスト情報等を表示可能な装置により実現される。なお、本発明の実施形態において、表示部140は、これらに限定されない。
【0093】
入力受付部150は、サーバ装置1に対する各種操作を受け付ける。入力受付部150は、例えば、サーバ装置1の管理者からの入力を受け付けて、当該入力に関する情報を制御部120に伝達する。入力受付部150は、例えば、タッチパネルやキーボード等に代表されるハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(動画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)などである。ただし、本発明の実施形態において、入力受付部150は、これらに限定されない。
【0094】
(ユーザ端末および代理人端末の構成)
図3は、ユーザ端末200の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、ユーザ端末200は、端末通信部210と、端末制御部220と、記憶部230と、端末表示部240と、操作受付部250と、を有する。代理人端末600は、ユーザ端末200と同様の構成である。以下では、ユーザ端末200を例にしてその構成例を説明し、代理人端末600の構成は、ユーザ端末200と同様であるため、詳細な説明は省略される。
【0095】
端末通信部210は、ネットワーク300を介して所定の情報の送受信を行う。端末通信部210の通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。端末通信部210は、サーバ装置100と接続して、所定の情報の送受信を行う。
【0096】
端末制御部220は、プログラムに含まれたコードまたは命令によって実現する機能を実行し、例えば、中央処理装置やマイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGAである。なお、本発明において、端末制御部220は、これらに限定されない。
【0097】
図3に示すように、端末制御部220は、送信処理部221、表示処理部222および記憶処理部223を含む。
【0098】
送信処理部221は、操作受付部250から受け付けた種々の要求やデータを、端末通信部210を介して、サーバ装置100に送信する。送信処理部221は、例えば、操作受付部250から受け付けたテキスト情報を、サーバ装置100に送信する。また、送信処理部221は、操作受付部250から受け付けた文書ファイルを、サーバ装置100に送信する。
【0099】
表示処理部222は、サーバ装置100から受信した表示データに基づく画像を、端末表示部240に表示するための処理を行う。表示処理部222は、例えば、サーバ装置100から受信した表示データDに基づく画像を端末表示部240に表示するための処理を行う。表示処理部222は、表示データDをフレームバッファに書き込むことにより、表示データDに基づく画像を端末表示部240に表示させる。
【0100】
記憶処理部223は、サーバ装置100から受け付けた各種情報を、記憶部230に記憶する処理を行う。
【0101】
記憶部230は、ユーザ端末200が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。また、記憶部230は、記憶処理部223からの指示に基づいて、サーバ装置100から受信した情報を記憶する。なお、記憶部230は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。ただし、本実施形態において、記憶部230は、これらに限定されない。
【0102】
端末表示部240は、フレームバッファに書き込まれた表示データに基づいて、画像を表示する。端末表示部240は、例えば、モニタ(液晶ディスプレイやOELD)、ヘッドマウントディスプレイ(HDM)など、画像やテキスト情報等を表示可能な装置により実現される。なお、本実施形態において、端末表示部240は、これらに限定されない。
【0103】
操作受付部250は、ユーザ端末200に対する各種操作を受け付ける。操作受付部250は、例えば、ユーザからの入力を受け付けて、当該入力に関する情報を送信処理部221に伝達する。操作受付部250は、例えば、タッチパネルやキーボード等に代表されるハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(動画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)などである。ただし、本実施形態において、操作受付部250は、これらに限定されない。
【0104】
(画面表示)
図4乃至
図7は、サーバ装置100の表示データ生成部122が生成した表示データDに基づいて、ユーザ端末200の端末表示部240に表示される画面表示の例を示す模式図である。
【0105】
図4は、知的財産システム1のサービスを提供するためのWebページにおける簡易記入画面800を示している。
図4に示すように、簡易記入画面800には、ユーザ端末200のユーザが自由に発明内容を記入するための自由記入欄801と、無表情のキャラクタ(以下、「IP侍」と称す)Cとが表示される。ユーザは、ユーザ端末200を操作することにより、自分の発明の内容を自由に自由記入欄801に自由に記入することができる。
図4の例では、「VR空間で希望の商品を購入する前に模倣品かどうかを人工知能で判別する発明ってどう?」という、友達に問いかけるような口調での質問Q1が自由入力欄810に記入されている。自由記入欄801に記入された内容は、発明に関する情報Qとしてサーバ装置100に送信される。
【0106】
図5は、知的財産システム1のサービスを提供するためのWebページにおける詳細記入画面820を示している。
図5に示すように、詳細記入画面820には、キーワードを記入するためのキーワード入力欄821と、発明の構成要件毎に単語、名詞句、文、等を記入するための要件入力欄822、823と、無表情のIP侍Cとが表示される。ユーザは、ユーザ端末200を操作することにより、自分の発明内容の技術分野などを示すキーワードをキーワード入力欄821に記入し、さらに自分の発明の構成要件を、構成要件毎に要件入力欄822、823に記入することができる。なお、
図5の例では、要件入力欄822、823が2つだけ表示されているが、図示しない入力欄追加ボタンをクリックすることにより、必要に応じて追加表示させることができる。
【0107】
図5の例では、キーワード入力欄821に、「人工知能 機械学習」という、キーワードが記入されている。また、要件入力欄822、823には、それぞれ、「希望の商品」、「模倣品」と記入されている。要件入力欄822、823にそれぞれ入力された項目同士はAND検索される。また、キーワード入力欄821に複数のキーワードが記入された場合、それらのキーワードがAND検索される。この例では、「人工知能」と「機械学習」とがAND検索されることにより、「人工知能」というキーワードから脳科学分野等の誤った検索結果が導かれてしまうのを防ぐことができる。キーワード入力欄821及び要件入力欄822、823に記入された内容は、発明に関する情報Qとしてサーバ装置100に送信される。
【0108】
ユーザ端末200のユーザが、簡易記入画面800及び詳細記入画面820の一方又は両方に所定の事項を記入した後、図示しない「NEXT」ボタン等をクリックすると、
図6に示す画面が表示される。
【0109】
図6は、知的財産システム1のサービスを提供するためのWebページにおける変遷状態画面830を示している。変遷状態画面830は、ユーザ端末200から受け付けた発明に関する情報Qについての解析処理をサーバ装置100が実行中であることを示す画面である。
【0110】
図6に示すように、変遷状態画面830には、IP侍Cの発話内容を示す吹き出し831と、解析処理の実行状況を示す実行状況表示欄832と、眠っている表情のIP侍Cとが表示される。
図6の例では、吹き出し831に、「解析中でござる。」という、古風な語り口での発話内容A1が記載されている。実行状況表示欄832には、カテゴリー取得処理(「FIND CATEGORY」)、検索関連処理(「SEARCH RELATED」)及び進歩性判断処理(「JUDGE YOUR PATENT」)という処理項目と、項目毎の実行状況が示されている。
図6の例では、カテゴリー取得処理のみ完了(「DONE」)し、残りの処理は実行中である。
【0111】
図7は、知的財産システム1のサービスを提供するためのWebページにおける結果表示画面840を示している。結果表示画面840は、変遷状態画面830に続いて表示される画面である。すなわち、結果表示画面840は、ユーザ端末200から受け付けた発明に関する情報Qについての解析処理が完了した後に表示される。
図7には、サーバ装置100による解析処理の結果、ユーザ端末200から受け付けた発明に関する情報Qに含まれる判断対象の発明が進歩性を充足すると判断された場合に表示される結果表示画面840の表示例が示されている。
【0112】
図7に示すように、結果表示画面840には、IP侍Cの発話内容を示す吹き出し841と、解析処理の実行結果を示す結果表示欄842と、旗Fを持った笑顔のIP侍Cが表示される。この例では、吹き出し841に、「でかしたでござる! 進歩性ありでござるよ。」という、古風な語り口での発話内容A2が記載されている。また、旗Fには、中央に大きく「S」の文字が描かれ、「S」の文字の上方に小さく「PATENTABILITY RANK」と描かれている。
【0113】
結果表示欄842には、知的財産システム1の文献検索機能1fによる検索によりヒットした先行技術文献T1、T2、T3が列挙され、解析対象となったユーザの発明と各先行技術文献T1、T2、T3に記載の発明との類似度が、構成要件e1、e2、e3毎に、「S」、「A」、「B」及び「C」という記号で表現されている。ここで、「S」、「A」、「B」及び「C」は、それぞれ、「全く記載なし」、「非類似」、「少し類似」及び「同一」を意味する。この例では、ユーザの発明の構成要件e1、e2、e3のうちの一つの構成要件e3については、先行技術文献T2に記載ものと同一であるという結果が得られているが、残りの二つの構成要件e1、e2については、何れの先行技術文献T1、T2、T3にも記載されていないことから、進歩性を充足するという判断がなされている。
【0114】
結果表示画面840の表示内容は、知的財産システム1の文献検索機能1fによる検索結果及び要件充足性判断機能1d(新規性判断機能1g及び進歩性判断機能1h)による判断結果に基づいて生成されたものである。大きく「S」の文字が描かれた旗Fを持った笑顔のIP侍Cが表示されるため、ユーザは、吹き出し841内の発話内容A2を見るまでもなく、その発話内容が肯定的なものであることを直感し得る。
【0115】
このように、本実施形態の知的財産システム1によれば、ユーザは、簡易記入画面800、詳細記入画面820、変遷状態画面830及び結果表示画面840でのIP侍Cとの情報交換により自分の発明(アイデア)についての理解を深めることができる。そして、これらの画面800乃至840に表示されるIP侍Cの画像を見ることにより、自分の発明が進歩性を充足するか否かを直感的に認識ことができる。自分の発明が進歩性を充足することを認識したユーザは、その発明が特許される可能性が高いという安心感を得たうえで、出願手続き等に進むことができる。一方、自分の発明が進歩性を充足しないことを認識したユーザは、進歩性を充足するように、当該発明の発明特定事項を変更したり追加したりすることにより、特許により保護され得る発明を創出し得る。
【0116】
なお、上記画面800乃至840においてなされた質問と回答のやりとりの内容は、日時と共に格納部130に記録される。当該記録された内容は、ユーザ端末200及び代理人端末600上でも閲覧可能である。
【0117】
図8は、本実施形態における知的財産システム1の動作例を示すシーケンス図である。
【0118】
図8に示すように、ユーザ端末200の操作受付部250は、ユーザからの操作を受け付ける(S101)。操作受付部250は、例えば、ユーザからキーボードやマイクを介して、発明に関する情報Qを受け付ける。
【0119】
送信処理部221は、ユーザから受け付けた発明に関する情報Qを、サーバ装置100に送信する(S102)。発明に関する情報Qは、例えば、所定の形式の文書ファイルや、テキスト情報等である。
【0120】
サーバ装置100の通信部110は、発明に関する情報Qをユーザ端末200から受け付ける(S103)。
【0121】
要件充足性判断部124は、ユーザ端末200から受け付けた発明に関する情報Qに基づいて、当該発明に関する情報Qに含まれる発明(判断対象)が所定の実体的要件を充足するか否か判断する(S104)。
【0122】
キャラクタ画像生成部125は、要件充足性判断部124による判断結果によって様相が異なるIP侍Cの画像を生成する(S105)。
【0123】
表示データ生成部122は、ユーザ端末200のユーザとIP侍Cとが発明に関する事柄について情報交換可能な画面800乃至840を表示するための表示データDを生成する(S106)。表示データDは、要件充足性判断部124よる判断結果をユーザに報知するための表示データである。表示データDには、キャラクタ画像生成部125により生成されたIP侍Cの画像を表示するためのデータが含まれる。
【0124】
処理部121は、表示データ生成部122により生成された表示データDを通信部110を介してユーザ端末200及びおよび代理人端末600に送信する(S107、S108)。
【0125】
ユーザ端末200及び代理人端末600は、受信した表示データDに基づいて、画面800乃至840を表示する(S109、S110)。
【0126】
このように、本実施形態の知的財産システム1は、上記一連のステップS101乃至S110により、ユーザ端末200に表される画面800乃至840内で、ユーザとIP侍Cとが発明に関する事柄について情報交換をし、その過程で、ユーザに発明に関する種々の情報を提供しつつ、ユーザに自分の発明に対する理解を深めさせ、ユーザから発明を引き出すことが可能な発明創出サービスである“IP侍”の機能を実現し得る。
【0127】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、
図7の結果表示画面840等において、検索により見つかった先行技術文献の情報をユーザに知らせる際、当該先行技術文献に記載の発明とユーザの発明との類似度によって表情の異なるIP侍Cを表示させるようにしてもよい。両発明間の類似度によってIP侍Cの表情を異ならせることにより、ユーザは、当該先行技術文献の内容を確認しなくとも、IP侍Cの表情を視るだけで両発明間の類似度を認識できるようになる。
【0128】
また、例えば、
図7の結果表示画面840等において、先行技術文献の情報の代わりに、実製品の情報を表示するようにしてもよい。実製品の情報として、当該実製品の画像や当該実製品の説明が掲載されているウエブページのURL(Uniform Resource Locator)を挙げることができる。当該実製品の情報として、URLが表示されることにより、ユーザは、必要に応じて当該URLのページを表示させて、当該実製品についての情報を得ることができる。
【0129】
また、例えば、
図7の結果表示画面840等において、進歩性を充足しない旨の結果を表示する場合、先行技術文献の情報の代わりに、又は先行技術文献の情報と共に、ユーザの発明に想定される拒絶理由を表示するようにしてもよい。拒絶理由が表示されることにより、ユーザは、発明特定事項を追加する等の対処を容易できるようになる。
【0130】
また、例えば、
図7の結果表示画面840等において、進歩性を充足しない旨の結果を表示する場合、先行技術文献の情報や想定される拒絶理由と共に、発明の内容の変更案を表示するようにしてもよい。変更案が表示されることにより、ユーザは、発明特定事項を追加する等の対処をより容易できるようになる。
【0131】
また、例えば、
図7の結果表示画面840等において、進歩性を充足しない旨の結果を表示する場合、IP侍Cの発話内容等として、進歩性を充足するぎりぎりの領域に位置する発明の構成要件を変更案として表示することが好ましい。ユーザの発明が進歩性を充足するための必要最小限の変更案を提案することにより、ユーザに適切な補正等を促し、最大限広い権利範囲で権利化しうる発明の創出を支援できる。
【0132】
また、例えば、
図4の簡易記入画面800等において、ユーザの示したアイデアの完成度があまりにも低い場合などには、サーバ装置100が人工知能機能により自動的に又は代理人が代理人端末600を操作して、ユーザからより高いレベルのアイデア(発明)を引き出すための誘導メッセージを、IP侍Cの発話として表示するようにしてもよい。これにより、発明の創出を支援することができる。
【0133】
また、上記実施形態では、知的財産システム1により発明の創出を支援する場合を例にとり説明したが、その他の知的財産すなわち、考案、意匠、商標、等の創出を支援する場合にも、知的財産システム1は有用である。なお、知的財産が考案の場合の判断対象は、実用新案登録を受けようとする考案である。知的財産が意匠の場合の判断対象は、意匠登録を受けようとする意匠である。知的財産が商標の場合の判断対象は、意匠登録を受けようとする意匠である。
【解決手段】 ユーザ端末は、ユーザから受け付けた発明に関する情報を、サーバ装置に送信する。サーバ装置は、発明に関する情報をユーザ端末から受け付ける。サーバ装置は、受け付けた情報に基づいて、当該発明が所定の実体的要件を充足するか否か判断する。サーバ装置は、当該判断の結果によって様相が異なるキャラクタの画像を生成する。サーバ装置は、ユーザとキャラクタとが発明に関する事柄について情報交換可能な画面を表示するための表示データを生成する。表示データは、当該判断結果をユーザに報知するための表示データである。表示データには、キャラクタの画像を表示するためのデータが含まれる。