(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるエポキシ樹脂バインダーは、任意の適切な方法によって生成されてもよい。エポキシ樹脂バインダーは、1種または複数のエポキシ樹脂を含み得る。このような「エポキシ樹脂」には、グリシドールのような少なくとも1個のエポキシ官能基を含む化合物と、ビスフェノールAのような少なくとも2個のヒドロキシル基を含む環状共反応物、適切には芳香族共反応物との組合せから誘導される(ホモ)ポリマーおよびコポリマーが含まれ得る。本明細書で使用される場合、用語「エポキシ」および「エポキシド」は、互換的に使用される。少なくとも1個のエポキシ官能基を含む適切な化合物の例には、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数が含まれる:グリシドール;エピクロロヒドリン;グリシドールアミンまたはこれらの混合物。適切な環状共反応物、適切には芳香族共反応物の例には、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数が含まれる:ビスフェノールA;ビスフェノールF;フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックのようなノボラック樹脂またはこれらの混合物。
【0013】
エポキシ樹脂バインダーは、市販のエポキシ樹脂材料を含み得る。ある特定の実施形態では、エポキシ樹脂バインダーは、ビスフェノールジグリシジルエーテルエポキシド樹脂、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよび/またはビスフェノールFジグリシジルエーテルエポキシド樹脂を含み得る。別の実施形態では、エポキシド樹脂バインダーは、エポキシフェノールノボラックおよび/またはエポキシクレゾールノボラック樹脂を含み得る。さらなる実施形態では、エポキシ樹脂バインダーは、次のものの1つまたは複数を含み得る:ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシド樹脂;ビスフェノールFジグリシジルエーテルエポキシド樹脂;エポキシフェノールノボラック樹脂;エポキシクレゾールノボラック樹脂またはこれらの混合物。本発明による適切なエポキシ樹脂バインダーには、次のものの1つまたは複数が含まれ得る:Eponex 1510;Eponex 1513(水素化ビスフェノールA−エピクロロヒドリンエポキシ樹脂)、Shell Chemicalから市販;Santolink LSE−120、Monsantoから市販;Epodil 757(シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル)、Pacific Anchorから市販;Araldite XUGY358およびPY327、Ciba Geigyから市販;Araldite GY 2600、GY 281およびEPN 1138、Huntsmanから市販;Epikote 828、Silmidから市販、および、Epikote 862、EVRobertsから市販;Epirez、Rhone−Poulencから市販;Arofiint 393および607、Reicholdから市販、および、ERL4221、Union Carbideから市販。他の適切な非芳香族エポキシ樹脂には、EP 4080E(脂環式エポキシ樹脂)、Adekaから市販;DER 732、736、330および331、Dow Chemical Companyから市販;が含まれ得る。
【0014】
適切には、エポキシ樹脂バインダーは、ビスフェノールジグリシジルエーテルエポキシド樹脂を含む。
【0015】
エポキシ樹脂バインダーは、任意の適切な重量平均分子量(Mw)を有していてもよい。ある特定の実施形態では、エポキシ樹脂バインダーは、約100から8000ダルトン(Da=g/mol)、適切には約100から1000Da、またはさらには約150から500DaのMwを有し得る。
【0016】
エポキシ樹脂バインダーは、任意の適切な数平均分子量(Mn)を有していてもよい。ある特定の実施形態では、エポキシ樹脂は、約100から5000ダルトン(Da=g/mol)、適切には約100から1000Da、またはさらには約150から500DaのMnを有し得る。
【0017】
重量平均分子量は、任意の適切な方法によって測定されてもよい。重量平均分子量を測定する技法は、当業者に周知である。本明細書に与えられているMwの値および範囲は、ASTM D6579-11(「Standard Practice for Molecular Weight Averages and Molecular Weight Distribution of Hydrocarbon, Rosin and Terpene Resins by Size Exclusion Chromatography」。UV検出器:254nm、溶媒:安定化されていないTHF、保持時間マーカー:トルエン、試料濃度:2mg/ml)に従って、ポリスチレン標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって決定されている。
【0018】
当業者は、重量平均分子量を測定するために用いられる方法が、数平均分子量を測定するためにも使用され得ることを理解する。
【0019】
エポキシ樹脂バインダーは、任意の適切なガラス転移温度(Tg)を有していてもよい。ある特定の実施形態では、エポキシ樹脂バインダーは、約−50から80℃、適切には約−40から40℃、またはさらには約−30から20℃のTgを有し得る。
【0020】
エポキシ樹脂バインダーのTgは、任意の適切な方法によって測定されてもよい。Tgを測定する方法は、当業者には周知である。適切には、Tgは、ASTM D6604-00(2013年)(「Standard Practice for Glass Transition Temperatures of Hydrocarbon Resins by Differential Scanning Calorimetry」。熱流束示差走査熱量測定(DSC)、試料パン:アルミニウム、基準:ブランク、較正:インジウムおよび水銀、試料の重さ:10mg、加熱速度:20℃/分)に従って測定される。
【0021】
エポキシ樹脂バインダーは、任意の適切なヒドロキシル価を有していてもよい。ある特定の実施形態では、エポキシ樹脂バインダーは、150mgKOH/gまで、適切には175mgKOH/gまで、またはさらには200mgKOH/gまでのヒドロキシル価を有し得る。
【0022】
エポキシ樹脂バインダーは、任意の適切なエポキシ当量を有していてもよい。ある特定の実施形態では、エポキシ樹脂バインダーは、約100から3000g/mol、適切には約100から1000g/mol、またはさらには約100から250g/molのエポキシ当量を有し得る。
【0023】
エポキシ樹脂バインダーは、膨張性コーティング組成物に、任意の適切な量で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約1から60wt%、例えば、約5から50wt%、またはさらには約10から30wt%のエポキシ樹脂バインダーを含み得る。適切には、膨張性コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約15から20wt%のエポキシ樹脂バインダーを含み得る。エポキシ樹脂バインダーが、エポキシ樹脂バインダー材料の混合物を含む実施形態では、上記の量は、膨張性コーティング組成物に存在する全てのこのような化合物の全量を指す。
【0024】
本発明の膨張性コーティング組成物は、エポキシ反応性希釈剤を含む。適切には、エポキシ反応性希釈剤は、組成物の粘度を下げるために使用できる。適切なエポキシ反応性希釈剤は、任意の適切な方法によって生成されてもよい。このようなエポキシ反応性希釈剤は、ジグリシジルエーテルのような、少なくとも1個の脂肪族エポキシド官能基を含む化合物と、脂肪族アルコールまたはポリオールとの反応から形成され得る。少なくとも1個のエポキシド官能基を含む適切な化合物の例には、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数が含まれる:モノグリシジルエーテル;ジグリシジルエーテル;トリグリシジルエーテルおよびこれらの混合物。適切なアルコールおよびポリオールの例には、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数が含まれる:ヘキサンジオール;ブタンジオール;グリセロール;トリメチロールプロパン;トリメチロールエタン;ペンタエリトリトール;ネオペンチルグリコールおよびこれらの混合物。
【0025】
ある特定の実施形態では、エポキシ反応性希釈剤は、脂肪族アルコールのジグリシジルエーテルを含む。適切には、エポキシ反応性希釈剤は、ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、および/または、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルを含む。
【0026】
エポキシ反応性希釈剤は、市販のエポキシ反応性材料を含み得る。本発明による適切な市販のエポキシ反応性材料には、次のものの1つまたは複数が含まれ得る:Araldite CY 179、Huntsmanにより市販;Araldite DY−A(脂肪族単官能性エポキシ反応性希釈剤、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル)、DY−D(脂肪族二官能性エポキシ反応性希釈剤、1,4 ブタンジオールジグリシジルエーテル)、DY−H(脂肪族二官能性エポキシ反応性希釈剤、1,6 ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)、DY−T(脂肪族三官能性エポキシ反応性希釈剤、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル)、Huntsmanから市販および、Epodil 749(脂肪族二官能性エポキシ反応性希釈剤、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)、Air Productsから市販。
【0027】
適切には、エポキシ樹脂希釈剤は、Araldite DY−Dおよび/またはAraldite DY−Hおよび/またはEpodil 749を含む。
【0028】
エポキシ反応性希釈剤は、本発明の膨張性コーティング組成物に、任意の適切な量で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約1から30wt%、例えば約2から20wt%、またはさらには約3から15wt%のエポキシ反応性希釈剤を含み得る。適切には、膨張性コーティング組成物は、コーティング組成物の全固形分重量に対して、約5から10wt%のエポキシ反応性希釈剤を含み得る。
【0029】
ある特定の実施形態では、エポキシ樹脂バインダー:エポキシ反応性希釈剤の重量比は、0.05:1から4:1、例えば1:1から3:1、例えば2:1から3:1の範囲にあり得る。
【0030】
本発明による硬化剤は、エポキシ樹脂バインダーを硬化するのに適する、ポリアミド、ポリエーテルアミンおよびアミン多官能性モノマーの組合せを含む。
【0031】
適切なポリアミドは、任意の適切な方法によって生成されてもよい。このようなポリアミドには、ポリアミンとジカルボン酸の組合せから誘導される(ホモ)ポリマーまたはコポリマーが含まれ得る。適切なポリアミンの例には、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数が含まれる:ヘキサメチレンジアミン;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;イソホロンジアミンまたはこれらの混合物。適切なジカルボン酸(または無水物もしくはエステル誘導体)の例には、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数が含まれる:アジピン酸;デカン二酸またはこれらの混合物。ジカルボン酸はまた、ジカルボン酸の環状無水物の形態でも使用でき、例には、無水マレイン酸;スルホン酸無水物;無水フタル酸またはこれらの混合物が含まれる。ジカルボン酸はまた、マロン酸ジエチル;マロン酸ジメチルまたはこれらの混合物のような、ジエステル材料の形態でも使用できる。
【0032】
適切には、ジカルボン酸は、二量化脂肪酸の形態にある。適切な二量化脂肪酸の例には、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数が含まれる:ステアリン酸の二量体;パルミチン酸の二量体;ラウリン酸の二量体またはこれらの組合せ/混合物。
【0033】
ある特定の実施形態では、ポリアミドは、ポリアミドイミダゾリンであり得る。適切なポリアミドイミダゾリンは、任意の適切な方法によって形成されてもよい。例えば、このようなポリアミドイミダゾリンには、ポリアミンとジカルボン酸の組合せから誘導される(ホモ)ポリマーまたはコポリマーが含まれ得る。適切なポリアミンには、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数が含まれる:エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミンまたはこれらの混合物。適切なジカルボン酸の例には、これらに限らないが、二量化脂肪酸;アジピン酸およびこれらの組合せが含まれる。
【0034】
硬化剤のポリアミドは、市販のポリアミド材料を含み得る。ある特定の実施形態では、適切な市販のポリアミド材料には、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数が含まれ得る:Versamid 115、125、140および150、BASFから市販;Aradur 115および125、Huntsmanから市販;Aradur 140(ポリアミドイミダゾリン)、Huntsmanから市販;Aradur 955、9130、9140および3376、Huntsmanから市販。
【0035】
適切には、ポリアミド材料はポリアミドイミダゾリンを含む。適切には、ポリアミド材料は、Versamid 125、Versamid 140、Versamid 150および/またはAradur 140を含む。最も適切には、Versamid 140および/またはAradur 140。
【0036】
ポリアミドは、任意の適切な重量平均分子量(Mw)を有していてもよい。ある特定の実施形態では、硬化剤のポリアミドは、約100から5000ダルトン(Da=g/mol)、適切には約100から2000Da、またはさらには約100から1000DaのMwを有し得る。
【0037】
ポリアミドは、任意の適切な数平均分子量(Mn)を有していてもよい。ある特定の実施形態では、ポリアミドは、約100から3000ダルトン(Da=g/mol)、適切には約100から2000Da、またはさらには約100から1000DaのMnを有し得る。
【0038】
重量平均分子量は、任意の適切な方法によって測定されてもよい。重量平均分子量を測定する技法は、当業者に周知である。本明細書で与えられているMwの値および範囲は、ASTM D6579-11(「Standard Practice for Molecular Weight Averages and Molecular Weight Distribution of Hydrocarbon, Rosin and Terpene Resins by Size Exclusion Chromatography」。UV検出器:254nm、溶媒:安定化されていないTHF、保持時間マーカー:トルエン、試料濃度:2mg/ml)に従って、ポリスチレン標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって決定されている。
【0039】
当業者は、重量平均分子量を測定するために使用される方法が、数平均分子量を測定するためにも使用され得ることを理解する。
【0040】
ポリアミドは、任意の適切なガラス転移温度(Tg)を有していてもよい。ある特定の実施形態では、ポリアミドは、約−50から50℃、適切には約−30から30℃、またはさらには約−20から20℃のTgを有し得る。
【0041】
本発明による硬化剤のポリアミドのTgは、任意の適切な方法によって測定されてもよい。Tgを測定する方法は、当業者には周知である。適切には、Tgは、ASTM D6604-00(2013年)(「Standard Practice for Glass Transition Temperatures of Hydrocarbon Resins by Differential Scanning Calorimetry」。熱流束示差走査熱量測定(DSC)、試料パン:アルミニウム、基準:ブランク、較正:インジウムおよび水銀、試料の重さ:10mg、加熱速度:20℃/分)に従って測定される。
【0042】
本発明の硬化剤は、エポキシ樹脂バインダーを硬化するのに適する任意の適切なポリエーテルアミンを含んでいてもよい。適切なポリエーテルアミンは、任意の適切な方法によって生成されてもよい。適切には、ポリエーテルアミンは、これらに限らないが、次のものの1つまたは複数を含む、エポキシド官能基を含む適切な化合物:ポリプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)またはこれらの混合物、に基づくポリエーテル骨格を含む。適切には、ポリエーテル骨格は、ポリプロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコールから選択される。ポリエーテル骨格の末端ヒドロキシル基は、適切には、対応するポリエーテルアミンを形成するために、アミノ化される。
【0043】
硬化剤のポリエーテルアミンは、市販のポリエーテルアミン材料を含み得る。ある特定の実施形態では、市販のポリエーテルアミン材料には、これらに限らないが、次のものが含まれる:Jeffamine D−230、D−400、D−2000およびT−403、Huntsmanから市販。
【0044】
適切には、ポリエーテルアミンは、Jeffamine D−230を含む。
【0045】
ポリエーテルアミンは、任意の適切な重量平均分子量(Mw)を有していてもよい。ある特定の実施形態では、硬化剤のポリエーテルアミンは、約200から7000ダルトン(Da=g/mol)、適切には約200から2500Da、またはさらには約200から500DaのMwを有し得る。
【0046】
ポリエーテルアミンは、任意の適切な数平均分子量(Mn)を有していてもよい。ある特定の実施形態では、ポリエーテルアミンは、約200から5000ダルトン(Da=g/mol)、適切には200から2500Da、またはさらには約200から500DaのMnを有し得る。
【0047】
重量平均分子量は、任意の適切な方法によって測定されてもよい。重量平均分子量を測定する技法は、当業者に周知である。本明細書で与えられているMwの値および範囲は、ASTM D6579-11(「Standard Practice for Molecular Weight Averages and Molecular Weight Distribution of Hydrocarbon, Rosin and Terpene Resins by Size Exclusion Chromatography」。UV検出器:254nm、溶媒:安定化されていないTHF、保持時間マーカー:トルエン、試料濃度:2mg/ml)に従って、ポリスチレン標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって決定されている。
【0048】
当業者は、重量平均分子量を測定するために使用される方法が、数平均分子量を測定するためにも使用され得ることを理解する。
【0049】
ポリエーテルアミンは、任意の適切なガラス転移温度(Tg)を有していてもよい。ある特定の実施形態では、ポリエーテルアミンは、約−50から50℃、適切には約−40から30℃、またはさらには約−40から20℃のTgを有し得る。
【0050】
本発明による硬化剤のポリエーテルアミンのTgは、任意の適切な方法によって測定されてもよい。Tgを測定する方法は、当業者には周知である。適切には、Tgは、ASTM D6604-00(2013年)(「Standard Practice for Glass Transition Temperatures of Hydrocarbon Resins by Differential Scanning Calorimetry」。熱流束示差走査熱量測定(DSC)、試料パン:アルミニウム、基準:ブランク、較正:インジウムおよび水銀、試料の重さ:10mg、加熱速度:20℃/分)に従って測定される。
【0051】
コーティング組成物の硬化剤は、任意の適切なアミン多官能性モノマーを含んでいてもよい。適切には、アミン多官能性モノマーはポリアミンを含む。多官能性モノマーの適切な例には、イソホロンジアミン;メタキシレンジアミン;ジエチレントリアミン(DETA);トリエチレンテトラミン(TETA);テトラエチレンペンタミン(TEPA)およびこれらの組合せのようなポリアミンが含まれる。
【0052】
ポリアミドは、コーティング組成物に、任意の適切な量で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約1から15wt%、例えば、約2から10wt%、またはさらには約3から10wt%のポリアミドを含み得る。適切には、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約3から8wt%のポリアミドを含み得る。
【0053】
ポリエーテルアミンは、コーティング組成物に、任意の適切な量で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約0.1から10wt%、例えば約0.25から8wt%、またはさらには約0.5から4wt%のポリエーテルアミンを含み得る。適切には、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約1から3wt%のポリエーテルアミンを含み得る。
【0054】
アミン多官能性モノマーは、コーティング組成物に、任意の適切な量で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約0.1から10wt%、例えば約0.25から5wt%、またはさらには約0.5から4wt%のアミン多官能性モノマーを含み得る。適切には、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約1から3wt%のアミン多官能性モノマーを含み得る。
【0055】
本発明による硬化剤は、ポリアミド:ポリエーテルアミン:アミン多官能性モノマーの任意の適切な重量比から構成されてもよい。ある特定の実施形態では、ポリアミド:ポリエーテルアミン:アミン多官能性モノマーの重量比は、約40〜80:5〜50:1〜50、例えば40〜70:15〜35:15〜35、例えば60〜70:15〜25:15〜25の範囲にあり得る。
【0056】
適切には、膨張性コーティング組成物は、炭素ドナーをさらに含み得る。適切な炭素ドナーは、当業者に周知である。一実施形態によれば、このような炭素ドナーは、リン酸供給源との接触でリン酸エステルを形成するのに有効な、1種または複数の多価アルコール(ポリオール)、例えばペンタエリトリトールまたはその誘導体の形態であり得る。適切な炭素ドナーの例は、有機ポリヒドロキシル化合物、例えば、ペンタエリトリトール;ジペンタエリトリトール;トリペンタエリトリトール;セルロース;デンプンおよび糖から選択され得る。適切には、炭素ドナーはペンタエリトリトールである。炭素ドナーは、コーティング組成物に、任意の適切な量で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約0から20wt%、例えば5から15wt%、適切には約8から12wt%の炭素ドナーを含み得る。
【0057】
本発明によるコーティング組成物は、酸触媒をさらに含み、ここで、酸触媒は、熱分解でリン酸を、好ましくはポリリン酸を形成するのに有効である。適切な触媒は、当業者に周知である。このような酸触媒は、適切には、火災で見出されるもののような、例えば200℃を超える極端な熱さに曝されると熱分解する。このような条件下で形成されるリン酸は、次いで、炭素ドナーと反応するのに利用でき、適切には、このような温度での、炭素ドナーとの接触で、リン酸エステルを形成することが認識される。一実施形態では、適切な酸触媒には、ポリヒドロキシル化合物のリン酸エステル(部分リン酸エステル)ならびに/またはアンモニウムおよび/もしくはアミンホスフェートのようなアミノホスフェートが含まれ得る。特に適切なホスフェートは、アンモニウムホスフェートおよび/またはメラミンホスフェートのようなアミノホスフェートであり、適切にはアンモニウムポリホスフェートである。しかし、当業者は、膨張性コーティングの技術分野で使用される、多様な窒素含有酸性リン化合物を知っている。ある特定の実施形態では、ホウ酸亜鉛および/または五ホウ酸アンモニウムのような無機化合物が酸触媒としての役割を果たし得る。酸触媒は、コーティング組成物に、任意の適切な量で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約10から50wt%、適切には約20から35wt%、例えば25から35wt%の酸触媒を含み得る。
【0058】
膨張性コーティング組成物は、発泡性膨張材料(expandable intumescent material)(発泡剤(blowing agent))をさらに含み得る。発泡剤は、通常、不活性ガスの放出によって炭を形成するのに有効である。適切な発泡剤は、当業者に周知である。適切な発泡剤は、好ましくは、200℃を超える温度で、例えば250から390℃の範囲で分解して、不活性ガスを発生する。市販の発泡剤の適切な例には、これらに限定されないが、メラミン;メラミンの塩および誘導体;尿素;ジシアンジアミド;グアニジンまたはこれらの混合物のような窒素含有化合物が含まれる。適切には、発泡剤はメラミンを含む。発泡剤は、コーティング組成物に、任意の適切な量で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約3から20wt%、適切には約4から17wt%、例えば約5から15wt%の発泡剤を含み得る。
【0059】
ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、炭の強化に適する繊維材料をさらに含み得る。このような繊維材料には、有機物、ガラスまたは鉱物が含まれ得る。繊維材料は、コーティング組成物に、任意の適切な量で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約0.5から10wt%、適切には約1から8wt%の繊維材料を含み得る。繊維材料は、コーティング組成物に、任意の適切な長さを示し、存在してもよい。ある特定の実施形態では、繊維材料は、1000ミクロンまでの長さを有する。
【0060】
本発明による膨張性コーティング組成物は、添加剤または添加剤の組合せをさらに含み得る。適切な添加剤は、当業者に周知である。適切な添加剤の例には、これらに限らないが、次のものが含まれる:可塑剤;顔料;消泡剤;チキソトロピー剤;殺生物剤;芳香剤;フィラー;接着剤;さらなる膨張性および火災ストップ剤;バッファー;分散剤;界面活性剤;脱気剤(deaerator);表面コントロール添加剤;疎水性剤(hydrophobing agent);湿潤添加剤;レオロジー剤;クレーター生成防止添加剤(anti-cratering additive);放射線硬化添加剤;腐食防止剤;pH調節剤;落書き防止添加剤(anti-graffiti additive)またはこれらの組合せ。
【0061】
適切なレオロジー調整剤(レオロジー剤)は、当業者に周知である。レオロジー調整剤の適切な例には、これらに限らないが、次のものが含まれる:フュームドシリカ;ベントナイトクレー;ヒマシ油およびそれらの誘導体;微細化アミドワックスまたはこれらの組合せ。ある特定の実施形態では、レオロジー調整剤は、存在する場合、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して少なくとも0.01wt%の量で、コーティング組成物に使用され得る。
【0062】
適切な顔料は、当業者に周知である。適切な顔料は、例えば、二酸化チタンおよび/またはカーボンブラックであり得る。顔料は、存在する場合、コーティング組成物に、任意の適切な量で使用されてもよい。ある特定の実施形態では、顔料は、存在する場合、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約90wt%まで、例えば約50wt%まで、またはさらには約15wt%までの量で、コーティング組成物に使用され得る。一部の実施形態では、顔料は、3から20wt%、例えば5から15wt%の間の量で存在し得る。
【0063】
可塑剤が、可撓性を増すために、コーティング組成物に、任意選択で添加されてもよい。適切な可塑剤は、当業者に周知である。適切な可塑剤には、これらに限らないが、次のものが含まれる:ベンジルアルコールおよびノニルフェノールのような芳香族アルコール;イソプロピル化トリアリールリン酸エステルのようなリン酸エステルまたはこれらの組合せ。可塑剤は、存在する場合、膨張性コーティング組成物の全固形分重量に対して、約1から10wt%の量で存在し得る。
【0064】
適切には、コーティング組成物は、30から70wt%の間、例えば、40から60wt%、例えば、45から55wt%の間の顔料体積濃度を含み得る。「顔料体積濃度」は、コーティング組成物全体における固体含有物の体積を指す。この値は、膨張性コーティング組成物に存在する、エポキシ樹脂バインダー、エポキシ反応性希釈剤、硬化剤、任意の可塑剤、および任意のヒマシ油誘導体またはアミドワックスを除いている。
【0065】
驚くべきことに、および有利なことに、本発明の膨張性コーティング組成物は、さらなる溶媒を必要とせずとも、なお塗布し易さの助けとなる比較的低い粘度を有し、雰囲気温度での塗布の間、ラインヒーターを必要としないことが見出された。
【0066】
適切には、本発明のコーティング組成物は、さらなる溶媒を含有しない。ある特定の実施形態では、コーティング組成物の固形分含有量は、コーティング組成物の全重量に対して、少なくとも85wt%、例えば90wt%まで、またはさらには95wt%までである。一実施形態では、コーティング組成物の固形分含有量は、99wt%を超え、例えば100wt%までであり得る。
【0067】
本発明による膨張性コーティング組成物は、適切にはASTM D2196-10に従って測定して、20℃および1.5s
−1の剪断速度で、20,000から140,000mPa/sの間の粘度を有する。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、20℃および1.5s
−1の剪断速度で、約25,000から125,000mPa/s、適切には、約30,000から110,000mPa/s、例えば、約35,000から95,000mPa/sの粘度を有し得る。適切には、膨張性コーティング組成物は、20℃および1.5s
−1の剪断速度で、約40,000から80,000mPa/sの粘度を有し得る。
【0068】
粘度は、膨張性コーティング組成物の成分の最初の混合から5分以内に、例えば2分以内、またはさらには1.5分以内に測定される。適切には、粘度は、膨張性コーティング組成物の成分の最初の混合から1分以内に測定される。
【0069】
粘度を測定するための方法は、当業者に周知である。適切には、粘度は、ASTM D2196-10(「Standard Test Methods for Rheological Properties of Non-Newtonian Materials by Rotational (Brookfield type) Viscometer」)に従って、6rpmおよび1.5s
−1の剪断速度で、ブルックフィールドRVスピンドルs7を使用して測定される。
【0070】
適切には、本発明による膨張性コーティング組成物は、300℃またはそれ未満、適切には250℃またはそれ未満、またはさらには200℃またはそれ未満の温度で膨張する。
【0071】
適切には、膨張性コーティング組成物は、EN1363−1(ISO834)火災試験に従って加熱されたとき、20分未満で、その元の厚さの少なくとも10倍(1000%)、好ましくは少なくとも20倍(2000%)に膨れる。この試験の10分後の炉内の温度は、およそ678℃であり、30分後には、それはおよそ842℃である。
【0072】
本明細書で使用される場合、特に断らなければ、単数形は複数形を含み、また複数形は、単数形を含む。例えば、単数形の使用、すなわち「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「1つまたは複数の(one or more)」を含む。さらに、本明細書で使用される場合、特に断らなければ、「または」の使用は、「および/または」がある特定の事例で明示的に使用されることがあるとしても、「および/または」を意味する。
【0073】
膨張性コーティング組成物は、任意の適切な基材に塗布されてもよい。適切な基材の例には、これらに限らないが、梁のような鋼および/またはコンクリートの建設ユニット;中空の梁;多孔質の(cellular)梁;柱および中空の柱が含まれる。本発明の膨張性コーティング組成物は、様々な基材に、特に鋼および/またはコンクリート基材に、適切には鋼基材に、塗布され得るということに特に利点がある。
【0074】
本発明によるコーティング組成物は、基材に、任意の適切な方法によって塗布されてもよい。前記コーティング組成物を塗布する方法は、当業者に周知である。適切な塗布方法には、これらに限らないが、次のものが含まれる:スプレーコーティング、ロールコーティング、ディッピング、キャスティングおよび/またはペインティング。適切には、表面の全体または一部が覆われ得る。
【0075】
ある特定の実施形態では、膨張性組成物は、雰囲気温度で、電気式または空気式のシングルまたはツインフィードエアレス塗布システムを用いて塗布され得る。適切には、塗布ノズルでの圧力は、少なくとも20MPaである。別の実施形態では、コーティング組成物は、周囲温度が15℃またはそれ未満のとき、ラインヒーターを有する改変エアレスシステムを用いて塗布される。ラインヒーターは、コーティング組成物が60℃までの温度に加熱されることを可能にする。
【0076】
コーティング組成物は、基材に、単層として、または多層システムの一部として塗布され得る。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、プライマーの上塗りとして、またはプライマー層自体として塗布され得る。コーティング組成物は、上塗り層を形成し得る。コーティング組成物は、基材に、一度または複数回、塗布され得る。
【0077】
膨張性コーティング組成物は、基材に、任意の適切な乾燥膜厚に塗布されてもよい。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、約10μm(ミクロン)から5cm、適切には約100μmから4cm、例えば、約120μmから3cm、またはさらには約140μmから2.5cmの乾燥膜厚に塗布され得る。ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、約150μmから2cm、適切には約200μmから1.5cmの乾燥膜厚に塗布され得る。
【0078】
ある特定の実施形態では、コーティング組成物は、第1の成分の組成物および第2の成分の組成物を有する2成分系組成物の形態にある。これらの第1および第2の成分の組成物は、適切には、基材への塗布の前に、互いに接触させられる。一実施形態では、第1の成分の組成物は、エポキシ樹脂バインダーを含み、第2の成分の組成物は、硬化剤を含む。別の実施形態では、第1の成分の組成物は、エポキシ樹脂バインダーおよび/またはエポキシ反応性希釈剤を含み、第2の成分の組成物は硬化剤を含む。第1および第2の成分の組成物はどちらも、それぞれの組成物の成分内での反応性を最小限度にするように通常は選択される、さらなる成分を含む。繊維材料は、第1または第2の成分の組成物のいずれかに添加され得る。
【0079】
ある特定の実施形態では、本発明の膨張性コーティング組成物は、熱硬化プロセスによって硬化され得る。適切には、コーティング組成物は、約5から60℃、例えば約20から25℃の温度で硬化され得る。適切には、コーティング組成物は、約10から30時間で熱硬化される。
【0080】
本発明の第2の態様によれば、物品の少なくとも一部に膨張性コーティング組成物がコーティングされた、コーティングされた物品であって、膨張性コーティング組成物が、
エポキシ樹脂バインダー、
エポキシ反応性希釈剤、
硬化剤、および
酸触媒
を含み、
硬化剤が、ポリアミド、ポリエーテルアミンおよびアミン多官能性モノマーの混合物から構成され、酸触媒が、熱分解でリン酸を形成するのに有効であり、コーティング組成物が、20℃および1.5s
−1の剪断速度で、20,000から140,000mPa/sの間の粘度を有する、物品が提供される。
【0081】
本発明の第3の態様によれば、基材の少なくとも一部に膨張性コーティング組成物がコーティングされた、鋼またはコンクリート基材であって、膨張性コーティング組成物が、
エポキシ樹脂バインダー、
エポキシ反応性希釈剤、
硬化剤、および
酸触媒
を含み、
硬化剤が、ポリアミド、ポリエーテルアミンおよびアミン多官能性モノマーの混合物から構成され、酸触媒が、熱分解でリン酸を形成するのに有効であり、コーティング組成物が、20℃および1.5s
−1の剪断速度で、20,000から140,000mPa/sの間の粘度を有する、鋼またはコンクリート基材が提供される。
【0082】
本発明のさらなる態様によれば、基材に膨張性コーティング組成物を塗布することを含む、基材の受動的防火を増強する方法であって、膨張性コーティング組成物が、
エポキシ樹脂バインダー、
エポキシ反応性希釈剤、
硬化剤、および
酸触媒
を含み、
硬化剤が、ポリアミド、ポリエーテルアミンおよびアミン多官能性モノマーの混合物から構成され、酸触媒が、熱分解でリン酸を形成するのに有効であり、コーティング組成物が、20℃および1.5s
−1の剪断速度で、20,000から140,000mPa/sの間の粘度を有する、方法が提供される。
【0083】
本明細書に含まれる特徴の全ては、上の態様のいずれかと、任意の組合せで組み合わされ得る。
【0084】
本発明のより良い理解のために、および本発明の実施形態がどのように実際に行われ得るかを示すために、例として、以下の実験データに対する参照が、以下になされる。
【実施例】
【0085】
コーティング組成物
コーティング組成物1および2ならびに比較コーティング組成物1を、2成分系組成物から調製した。どちらの成分の組成物も、ディスパーマット(dispermat)型高速溶解機を使用して生成した。固体材料を、低速で撹拌しながら、液体材料に導入し、次に、45℃で高速で、すり砕かれた顔料の粉末度(fineness)が120μm(ミクロン)未満になるまで、すり砕いた。すり砕きによる粉末度は、へグマン(Hegmann)型グラインドメーターを使用して測定した。塗布の前に、2成分系組成物を、均質になるまで混合した。
【0086】
コーティング組成物1および2ならびに比較コーティング組成物1を、表1の配合に従って調製した。全ての量は、重量部(pbw)で与えられている。
【表1】
【0087】
コーティング組成物の特性を以下の方法により試験した。結果は表2に示される。
【0088】
試験基材の準備:コーティングを、8mmの乾燥膜厚で、150×75×3mmの鋼パネルに塗布し、雰囲気条件で1週間、40℃でさらに1週間硬化させた。試料を15cmの距離からプロパントーチで3分間焼いた。
【0089】
コーティング組成物を、炭の密度、炭のクラック生成、炭の収縮および炭の接着性について試験した。コーティング組成物の粘度、ゲル化時間および膨張係数もまた、下の手順に従って測定した。
【0090】
粘度:粘度を、ASTM D2196-10に従って、6rpmおよび1.5s
−1の剪断速度で、ブルックフィールドRVスピンドルs7を使用して評価した。粘度を、20℃で、成分の最初の混合から1分以内に測定した。
【0091】
ゲル化時間:ゲル化時間は、初期粘度が100%増加するのに要する時間を表す。ゲル化時間を、ASTM D2196-10に従って、6rpmおよび1.5s
−1の剪断速度で、ブルックフィールドRVスピンドルs7を使用して評価した。
【0092】
膨張係数:コーティング組成物の膨張係数を次の式を用いて計算した。
トーチ試験後の炭の高さ/最初の乾燥膜厚
【0093】
炭の密度:炭の密度を、炭全体にわたるエアポケットの量と大きさに従い、1から5の格付けを用いて(5が最高である)評価した。
【0094】
炭のクラック生成:炭のクラック生成を、コーティングの表面に見られるクラック生成の量と程度に従い、1から5の格付けを用いて(5が最高である)評価した。
【0095】
炭の収縮:炭の収縮を、水平面でパネル端部からの炭の収縮のレベルに従い、1から5の格付けを用いて(5が最高である)評価した。
【0096】
炭の接着性:コーティング組成物の炭の接着性を、パネルからの剥がれのレベルに従い1から5の格付けを用いて(5が最高である)評価した。
【0097】
結果が、下で表2に示される。
【表2】
【0098】
結果は、本発明による膨張性組成物が、当技術分野において公知のコーティングより、低い粘度、速い乾燥を可能にする短いゲル化時間、ならびに向上した炭の膨張係数および物理的特性を有することを実証する。
【0099】
本出願に関する本明細書と同時にまたはそれに先立って提出され、また本明細書と共に公衆閲覧に付される全ての資料および文書が特筆されているが、このような全ての資料および文書の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
本明細書(添付された任意の請求項、要約および図を含む)において開示された特徴の全て、および/またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップの全ては、このような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが互いに矛盾する組合せを除いて、あらゆる組合せで組み合わせることができる。
【0101】
本明細書(添付された任意の請求項、要約および図を含む)において開示された特徴の各々は、明示的に別段の指示がない限り、同じ、等価な、または類似の目的に適う代わりとなる特徴によって置き換えられ得る。こうして、明示的に別段の指示がない限り、開示されている各特徴は、等価なまたは類似の特徴の包括的系列の1つの例にすぎない。
【0102】
本発明は、上記の実施形態(複数可)の詳細には限定されない。本発明は、明細書(添付された任意の請求項、要約および図を含む)において開示された特徴の任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組合せ、または、そのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組合せに及ぶ。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項目1)
エポキシ樹脂バインダー、
エポキシ反応性希釈剤
硬化剤、および
酸触媒
を含む膨張性コーティング組成物であって、
前記硬化剤が、ポリアミド、ポリエーテルアミンおよびアミン多官能性モノマーの混合物から構成され、前記酸触媒が、熱分解でリン酸を形成するのに有効であり、前記コーティング組成物が、20℃および1.5s−1の剪断速度で、20,000から140,000mPa/sの間の粘度を有する、膨張性コーティング組成物。
(項目2)
前記エポキシ樹脂バインダーが、ビスフェノールジグリシジルエーテルエポキシド樹脂を含む、上記項目1に記載の膨張性コーティング組成物。
(項目3)
前記エポキシ反応性希釈剤が、脂肪族アルコールのジグリシジルエーテルを含む、上記項目1または2に記載の膨張性コーティング組成物。
(項目4)
前記硬化剤の前記ポリアミドがポリアミドイミダゾリンを含む、上記項目1から3のいずれかに記載の膨張性コーティング組成物。
(項目5)
前記硬化剤の前記ポリエーテルアミンが、ポリプロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコールから選択されるポリエーテル骨格を含む、前記項目のいずれかに記載の膨張性コーティング組成物。
(項目6)
前記硬化剤の前記アミン多官能性モノマーがポリアミンを含む、前記項目のいずれかに記載の膨張性コーティング組成物。
(項目7)
前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の全固形分重量に対して1から60wt%の前記エポキシ樹脂バインダーを含む、前記項目のいずれかに記載の膨張性コーティング組成物。
(項目8)
前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の全固形分重量に対して1から30wt%の前記エポキシ反応性希釈剤を含む、前記項目のいずれかに記載の膨張性コーティング組成物。
(項目9)
前記コーティング組成物が、前記組成物の全固形分重量に対して1から15wt%のポリアミドを含む、前記項目のいずれかに記載の膨張性コーティング組成物。
(項目10)
前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の全固形分重量に対して0.1から10wt%のポリエーテルアミンを含む、前記項目のいずれかに記載の膨張性コーティング組成物。
(項目11)
前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の全固形分重量に対して約0.1から10wt%のアミン多官能性モノマーを含む、前記項目のいずれかに記載の膨張性コーティング組成物。
(項目12)
前記コーティング組成物が、2成分系組成物から形成され、第1の成分の組成物が前記エポキシ樹脂バインダーを含み、第2の成分の組成物が前記硬化剤を含む、前記項目のいずれかに記載の膨張性コーティング組成物。
(項目13)
基材の少なくとも一部に膨張性コーティング組成物がコーティングされた、コーティングされた基材であって、前記膨張性コーティング組成物が、
エポキシ樹脂バインダー、
エポキシ反応性希釈剤、
硬化剤、および
酸触媒
を含み、
前記硬化剤が、ポリアミド、ポリエーテルアミンおよびアミン多官能性モノマーの混合物から構成され、前記酸触媒が、熱分解でリン酸を形成するのに有効であり、前記コーティング組成物が、20℃および1.5s−1の剪断速度で、20,000から140,000mPa/sの間の粘度を有する、コーティングされた基材。
(項目14)
基材の少なくとも一部に膨張性コーティング組成物がコーティングされた、鋼またはコンクリート基材であって、前記膨張性コーティング組成物が、
エポキシ樹脂バインダー、
エポキシ反応性希釈剤、
硬化剤、および
酸触媒
を含み、
前記硬化剤が、ポリアミド、ポリエーテルアミンおよびアミン多官能性モノマーの混合物から構成され、前記酸触媒が、熱分解でリン酸を形成するのに有効であり、前記コーティング組成物が、20℃および1.5s−1の剪断速度で、20,000から140,000mPa/sの間の粘度を有する、鋼またはコンクリート基材。
(項目15)
基材に膨張性コーティング組成物を塗布することを含む、基材の受動的防火を増強する方法であって、前記膨張性コーティング組成物が、
エポキシ樹脂バインダー、
エポキシ反応性希釈剤、
硬化剤、および
酸触媒
を含み、
前記硬化剤が、ポリアミド、ポリエーテルアミンおよびアミン多官能性モノマーの混合物から構成され、前記酸触媒が、熱分解でリン酸を形成するのに有効であり、前記コーティング組成物が、20℃および1.5s−1の剪断速度で、20,000から140,000mPa/sの間の粘度を有する、方法。