特許第6457178号(P6457178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457178
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】工作機械制御システム
(51)【国際特許分類】
   B23B 11/00 20060101AFI20190110BHJP
   B23D 5/02 20060101ALI20190110BHJP
   B23Q 1/48 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   B23B11/00
   B23D5/02
   B23Q1/48 F
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-261017(P2013-261017)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-121782(P2014-121782A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2014年10月31日
【審判番号】不服2017-6102(P2017-6102/J1)
【審判請求日】2017年4月27日
(31)【優先権主張番号】201210554041.6
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513172652
【氏名又は名称】富鼎電子科技(嘉善)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】楊 明陸
(72)【発明者】
【氏名】張 天恩
(72)【発明者】
【氏名】張 衛川
(72)【発明者】
【氏名】賈 見士
(72)【発明者】
【氏名】彭 楊茂
(72)【発明者】
【氏名】瞿 健
(72)【発明者】
【氏名】陳 封華
(72)【発明者】
【氏名】徐 振光
(72)【発明者】
【氏名】隋 景双
(72)【発明者】
【氏名】莊 大慶
(72)【発明者】
【氏名】李 傑
(72)【発明者】
【氏名】劉 誼
(72)【発明者】
【氏名】▲ウィ▼ 建民
【合議体】
【審判長】 西村 泰英
【審判官】 篠原 将之
【審判官】 平岩 正一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−246594(JP,A)
【文献】 特開2007−210096(JP,A)
【文献】 特開昭62−259735(JP,A)
【文献】 特開昭50−26176(JP,A)
【文献】 特開平10−43906(JP,A)
【文献】 特開2004−130468(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0313718(US,A1)
【文献】 特開平11−309602(JP,A)
【文献】 特開2014−121781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 11/00
B23D 5/02
B23Q 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力モジュール、制御モジュール、バイト、及び作業台を備え、前記入力モジュールが前記制御モジュールと電気的に接続される工作機械制御システムにおいて、
前記工作機械制御システムは、更に前記入力モジュールと電気的に接続された送り駆動装置と、第一スライド部材と、第二スライド部材と、ミリングカッター送り装置と、前記ミリングカッター送り装置と電気的に接続されたミリングカッターと、を備え、前記バイトは前記送り駆動装置と電気的に接続され、前記第一スライド部材は前記送り駆動装置及び前記ミリングカッター送り装置を第一方向に沿って移動させ、前記第二スライド部材は前記送り駆動装置及び前記ミリングカッター送り装置を前記第一方向と垂直な第二方向に沿って移動させ、
前記送り駆動装置は、前記バイトが所定の距離にわたって所定の頻度で高速往復運動するように、前記バイトを駆動して、前記第一方向と前記第二方向とに垂直な第三方向に沿って連続的に往復移動させ、前記作業台によるワークの回転に整合してワークに対して連続的に旋削を行い、
前記工作機械制御システムは、前記バイトが前記第三方向に沿って往復運動する距離を、前記バイトが前記第一方向或いは前記第二方向に沿う移動によって変化するように制御して、三次元曲面を有するワークを加工し、
前記ミリングカッター送り装置は前記ミリングカッターを駆動して前記第三方向に沿って移動し、且つ前記第三方向と平行な第一軸の回りを回転し、
前記制御モジュールは、交換制御素子を備え、前記交換制御素子は、前記送り駆動装置及び前記ミリングカッター送り装置と電気的に接続されて、前記送り駆動装置と前記ミリングカッター送り装置との切り換え及び駆動を制御することを特徴とする工作機械制御システム。
【請求項2】
前記ミリングカッター送り装置は、リニア移動素子及び回転素子を備え、前記リニア移動素子は、前記ミリングカッターを駆動して前記第三方向に沿って移動させ、前記回転素子は、前記ミリングカッターを駆動して前記第一軸の回りを回転させることを特徴とする請求項1に記載の工作機械制御システム。
【請求項3】
前記制御モジュールは、位置制御素子、及び回転制御素子を備え、前記位置制御素子は、前記第一スライド部材と前記第二スライド部材とに電気的に接続されて、前記送り駆動装置及び前記ミリングカッター送り装置を移動させ、前記回転制御素子は、前記作業台と電気的に接続され、且つ前記作業台の回転を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の工作機械制御システム。
【請求項4】
前記回転制御素子は、前記作業台を制御して、前記第三方向と平行な第二軸の回りを回転することを特徴とする請求項3に記載の工作機械制御システム。
【請求項5】
前記回転制御素子は、前記作業台を制御して、前記第二方向と平行な第三軸の回りを回転することを特徴とする請求項4に記載の工作機械制御システム。
【請求項6】
前記工作機械制御システムは、前記入力モジュールによって制御データを入力し、前記制御モジュールは、前記制御データによって、前記送り駆動装置及び前記ミリングカッター送り装置が前記第一方向及び前記第二方向に沿って移動する移動範囲及び移動速度と、前記作業台の回転速度と、前記バイトの回転速度と、前記バイトが前記第三方向に沿って高速往復運動する頻度及び距離と、を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の工作機械制御システム。
【請求項7】
前記作業台の回転速度は100回/分〜900回/分であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の工作機械制御システム。
【請求項8】
前記制御モジュールは前記送り駆動装置を制御して、前記送り駆動装置が前記バイトを前記第一方向或いは前記第二方向に沿って移動させると同時に、前記送り駆動装置は前記バイトを前記第三方向に沿って往復運動させることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の工作機械制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削工具を制御するシステムに関し、特に旋削及び切削による加工に利用される工作機械制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、機械加工、製造分野等でよく利用される重要な装置である。一般的に、一種類の工作機械は、1つの工程で加工するように構成されている。しかし、工程の制約及び加工精度の要求に応えるために、一種類の工作機械では他の加工要求を満たすことは難しい。例えば、電子装置の金属製のハウジング(例えば、タブレットパソコン、携帯電話等のハウジング)は、上部及び該上部の縁から垂直に延伸する側壁を備える。前記ハウジングの上部の上面は非回転面であり、その上部の面積は側壁の面積よりも比較的大きい。従来のミリングはハウジングの上部を連続して加工することができず、上面に亀裂等が発生するためハウジングの平滑度が低い。従って、引き続き一連の表面処理を行って、上面の平滑度を高めなければならないためハウジングの加工効率は低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、ワーク加工の効率を向上できる工作機械制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明に係る工作機械制御システムは、入力モジュール、制御モジュール、バイト、及び作業台を備える。前記入力モジュールは前記制御モジュールと電気的に接続され、前記工作機械制御システムは、更に前記入力モジュールと電気的に接続され送り駆動装置と、第一スライド部材と、第二スライド部材と、ミリングカッター送り装置と、前記ミリングカッター送り装置と電気的に接続されたミリングカッターと、を備え、前記バイトは前記送り駆動装置と電気的に接続され、前記第一スライド部材は前記送り駆動装置及び前記ミリングカッター送り装置を第一方向に沿って移動させ、前記第二スライド部材は前記送り駆動装置及び前記ミリングカッター送り装置を前記第一方向と垂直な第二方向に沿って移動させ、前記送り駆動装置は前記バイトを駆動して前記第一方向と前記第二方向とに垂直な第三方向に沿って往復移動させ、前記ミリングカッター送り装置は前記ミリングカッターを駆動して前記第三方向に沿って移動し、且つ前記第三方向と平行な第一軸の回りを回転させる。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る工作機械制御システムは、旋削加工及び切削加工ができるので、一種類の工作機械で旋削加工及び切削加工ができるため、ワーク加工の効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係る工作機械の斜視図である。
図2】本発明に係る工作機械制御システムを表した図である。
図3】本発明に係る待加工のワークの斜視図である。
図4図3に示した待加工のワークのIV−IV線に沿った断面図である。
図5図2に示した工作機械制御システムのバイトの加工跡を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面に基づいて、本発明に係る工作機械制御システムについて詳細に説明する。図1及び図2を参照すると、本発明に係る工作機械制御システム100は、工作機械200を採用して、旋削及びミリングによる加工を行う。工作機械200は、入力モジュール10と、入力モジュール10と電気的に接続された制御モジュール20と、台座11と、作業台90と、第一スライド部材13と、第二スライド部材14と、送り駆動装置15と、及びミリングカッター送り装置17と、を備える。第一スライド部材13は、台座11上に設置される。作業台90は、回転可能に第一スライド部材13の下方に設置される。第二スライド部材14は、スライド可能に第一スライド部材13に設置され、バイト(図示せず)は、送り駆動装置15に設置され、ミリングカッター(図示せず)は、ミリングカッター送り装置17に設置される。ワーク300(図3を参照)は、作業台90に定位される。制御モジュール20は、それぞれ第一スライド部材13と、第二スライド部材14と、送り駆動装置15と、ミリングカッター送り装置17と、作業台90と、に電気的に接続される。第一スライド部材13は、第二スライド部材14を駆動させて、送り駆動装置15及びミリングカッター送り装置17をX軸の方向(第一方向)に沿ってスライドさせ、第二スライド部材14は送り駆動装置15及びミリングカッター送り装置17をY軸の方向(第二方向)に沿ってスライドさせる。送り駆動装置15は、バイトをZ軸の方向(第三方向)に沿って往復運動させる。ミリングカッター送り装置17は、ミリングカッターをZ軸方向に移動させ、且つγ軸(第三方向と平行な方向)の回りを回転させる。作業台90は、ワーク300を連動してα軸(第二方向と平行な方向)及びβ軸(第三方向と平行な方向)の回りを回転させる。
【0008】
図3及び図4を参照すると、工作機械200によって加工されたワーク300は、タブレットパソコン、携帯電話等の金属製のハウジングであり、中空の矩形状を呈する。ワーク300は、上部301と、該上部301の縁から垂直に延伸する側壁303と、該側壁303の上部301と離れている端部の縁に形成された面取り部305と、を備える。上部301の面積は側壁303の面積よりも比較的大きい。本実施形態において、上部301の上面は非円形面の三次元曲面である。側壁303の上部301と離れている部分は平面状を呈し、且つ4つの側面3031を備える。各隣接する2つの側面3031は、角3033によって接続されている。ワーク300は、上部301、該上部301と接続された側壁303、側壁303の上部301から離れている端部の縁に形成された面取り部305を備える。本実施形態において、ワーク300は、上部301、側壁303、面取り部305の順で加工を行う。
【0009】
本実施形態において、工作機械制御システム100は、ワーク300を加工し、且つ入力モジュール10、制御モジュール20、送り駆動装置30、ミリングカッター送り装置40、第一スライド部材50、第二スライド部材60、バイト70、ミリングカッター80、及び作業台90を備える。
【0010】
入力モジュール10は、制御モジュール20と電気的に接続され、各加工の過程における送り駆動装置30或いはミリングカッター送り装置40がX軸、Y軸の方向に沿って移動する移動範囲、移動速度、バイト70の高速往復運動の頻度及び距離、ミリングカッター80のγ軸の回りを回転する回転速度、及び作業台90の回転速度等の制御データを入力する。
【0011】
制御モジュール20は、送り駆動装置30、ミリングカッター送り装置40、第一スライド部材50、第二スライド部材60、バイト70、ミリングカッター80、及び作業台90と電気的に接続され、且つ送り駆動装置30、ミリングカッター送り装置40、第一スライド部材50、第二スライド部材60、バイト70、ミリングカッター80、及び作業台90をそれぞれ制御する。制御モジュール20は、位置制御素子21、交換制御素子23、及び回転制御素子25を備える。位置制御素子21は、第一スライド部材50及び第二スライド部材60と電気的に接続して、送り駆動装置30とミリングカッター送り装置40とをX軸或いはY軸の方向に沿って移動させる。交換制御素子23は、送り駆動装置30及びミリングカッター送り装置40と電気的に接続して、送り駆動装置30とミリングカッター送り装置40との切り換え及び駆動を制御する。回転制御素子25は、作業台90と電気的に接続され、作業台90の回転を制御する。本実施形態において、作業台90の回転速度の範囲は100回/分〜900回/分である。バイト70は、送り駆動装置30のバイトホルダ(図示せず)に固定される。ミリングカッター80は、ミリングカッター送り装置40に回転可能に設置される。
【0012】
送り駆動装置30は、バイト70を駆動して、Z軸方向に沿って高速で往復運動させる。バイト70のZ軸方向に沿う高速往復運動の頻度は、500回/分〜3200回/分である。
【0013】
ミリングカッター送り装置40は、リニア移動素子41及び回転素子43を備える。リニア移動素子41は、ミリングカッター80を駆動してZ軸方向に沿って移動させ、回転素子43は、ミリングカッター80を駆動してγ軸の回りを回転させる。
【0014】
本実施形態において、先ず、ワーク300の上部301、側壁303、及び面取り部305を加工するための模擬加工の制御データを取得する。次に、上部301、側壁303、及び面取り部305の制御データを入力する。この際、バイト70及びミリングカッター80のX軸、Y軸の方向に沿って移動する移動範囲及び移動速度、作業台90の回転速度、バイト70がZ軸に沿って高速往復運動する頻度及び振幅、ミリングカッター80の回転速度の順で設定する。工作機械制御システム100がワーク300の上部301を加工した際、上部301の平滑度の平均値は0.2ミリメートル〜1.0ミリメートルである。
【0015】
図3及び図4に示すように、ワーク300の上部301、側壁303、及び面取り部305を例に挙げて、工作機械制御システム100がワーク300を加工する過程を詳しく説明する。
【0016】
ワーク300の上部301に対する制御データを入力する。入力モジュール10は送り駆動装置30のX軸、Y軸の方向に沿って移動する移動範囲を設定し、移動速度をV1と設定し、バイト70の加工時間をT1と設定する。ワーク300の加工過程において、送り駆動装置30のY軸に沿って移動する初期位置をA(つまり、ワーク300の上部301の縁の一点)と設定し、送り駆動装置30がY軸に沿って移動する最終位置をO(つまり、上部301の中心点)と設定する。次いで、バイト70がZ軸方向に沿って行う高速往復運動の頻度F、距離H、作業台90の回転速度をR1と設定する。この際、距離Hは送り駆動装置30がY軸に沿って移動することに伴い短くなる。本実施形態において、作業台90は、α軸の回りを回転し、その回転速度は600回/分であり、バイト70は、Z軸に沿って高速往復運動し、その頻度は2500回/分である。
【0017】
次いで、ワーク300の側壁303の制御データを入力する。入力モジュール10は、ミリングカッター送り装置40のX軸、Y軸の方向に沿って移動する移動範囲を設定し、ミリングカッター送り装置40がミリングカッター80を連動してX軸或いはY軸方向に沿って移動する移動速度をV2と設定し、側壁303の加工に係る総加工時間をT2と設定し、ミリングカッター80の回転速度をR2と設定し、ミリングカッター80の予定加工経路を設定する。ワーク300の加工が終わるまで、ミリングカッター80は、ワーク300の側壁303の周辺に沿って移動しながら、加工を行う。
【0018】
ミリングカッター送り装置40がワーク300の面取り部305を加工する過程においてX軸、Y軸の方向に沿って移動する移動範囲を設定し、ミリングカッター送り装置40がミリングカッター80を連動してX軸/Y軸の方向に沿って移動する移動速度をV3と設定し、面取り部305の加工に係る総加工時間をT3と設定し、ミリングカッター80の回転速度をR3と設定し、且つミリングカッター80の予定加工経路を設定する。ワーク300の加工が終わるまで、ミリングカッター80は、ワーク300の面取り部305の周辺に沿って移動を繰り返しながら加工を行う。
【0019】
交換制御素子23は、位置制御素子21及び送り駆動装置30に信号を送信する。位置制御素子21は、第一スライド部材50を制御し、第一スライド部材50は送り駆動装置30を駆動させて、Y軸に沿って移動させる。送り駆動装置30は、X軸に沿って移動し、且つワーク300の上方に位置する。この際、バイト70はワーク300の上方に位置し、且つワーク300の上部301と接触する。位置制御素子21は、第二スライド部材60が送り駆動装置30を駆動してY軸方向に、且つ移動速度V1に基づいてスライドすることを制御する。制御モジュール20は、作業台90がワーク300を回転速度R1に基づいてα軸の回りを回転することを制御する。また、制御モジュール20は、送り駆動装置30がバイト70をZ軸に沿って、頻度Fに基づいて高速で往復運動させるように制御する。高速で往復運動した距離Hは送り駆動装置30のX軸に沿う移動によって短くなる。
【0020】
図5に示したように、バイト70がワーク300の上部301に対して旋削加工を行う過程において、バイト70の平面運動軌跡400は概ね螺旋状を呈し、バイト70は、ワーク300の上部301の縁の一点Aから平面運動軌跡400に沿って上部301の中心点Oに達し、ワーク300の上部301を加工する。本実施形態において、加工したワーク300の上部301の平滑度の平均値は0.5ミリメートルである。
【0021】
バイト70が既定の加工時間T1加工した後、交換制御素子23は位置制御素子21及びミリングカッター送り装置40に信号を送信し、位置制御素子21は送り駆動装置30を制御してワーク300から離す。また、位置制御素子21はミリングカッター送り装置40を制御してX軸或いはY軸に沿って移動させて、ワーク300の側部に到達させ、且つミリングカッター送り装置40がミリングカッター80を駆動してワーク300の側壁303に対するミリング加工を行う。
【0022】
ミリングカッター80は、ワーク300の側壁303を加工する過程において、先ず、リニア移動素子41がミリングカッター80を駆動してZ軸方向の下方に移動させてワーク300の側壁303のある所定の位置に到達させる。第一スライド部材50及び第二スライド部材60はミリングカッター送り装置40を駆動して所定経路に沿って、ワーク300に対してX軸或いはY軸方向に沿って速度V2で移動し、且つミリングカッター送り装置40はミリングカッター80のワーク300に対する送り量を制御する。次に、ミリングカッター80が角3033に達すると、第一スライド部材50及び第二スライド部材60はミリングカッター送り装置40を駆動し、ミリングカッター送り装置40はミリングカッター80を連動して位置を調整し、且つ前に移動する。同時に、ミリングカッター送り装置40の回転素子43はミリングカッター80を駆動してγ軸の回りを回転速度R2で一定の角度回転して、ミリングカッター80は角3033の表面を加工する。ミリングカッター80が側壁303のもう1つの側面3031に達すると、制御モジュール20は回転素子43に信号を送信し、回転素子43はミリングカッター80の回転を停止し、ミリングカッター80は移動速度V2で移動して側面3031を加工する。最後に、上述の加工方法によって、制御モジュール20の制御下でミリングカッター80がワーク300の側壁303の加工を行う。本実施形態において、作業台90は動かない。加工する過程において、回転制御素子25は、作業台90に対して信号を送信して、作業台90をα軸の回りを一定の回転速度で回転させ、且つミリングカッター送り装置40がミリングカッター80を連動して行うミリング加工と組み合わせる。本実施形態において、加工したワーク300の上部301の平滑度の平均値は0.25ミリメートル〜0.3ミリメートルである。
【0023】
ミリングカッター80が既定の加工時間T2加工すると、位置制御素子21は第一スライド部材50及び第二スライド部材60に信号を送信して、ミリングカッター送り装置40及びミリングカッター80を駆動させてワーク300から離し、ミリングカッター80の作動を停止させる。次に、回転制御素子25が作業台90に信号を送信し、作業台90はα軸の回りを回転し、ワーク300は一定の角度回転し、ワーク300の上部301と離れている面取り部305はミリングカッター80と対向する。第一スライド部材50及び第二スライド部材60はミリングカッター80を駆動して、ワーク300の面取り部305の所定位置と接触させ、所定経路を移動速度V3に基づいて移動させる。同時に、ミリングカッター送り装置40はミリングカッター80を駆動して回転速度R3に基づいて回転させ、ミリングカッター80はワーク300に対する送り量を制御して、面取り部305を面取りする。ミリングカッター80が角3033に達すると、回転素子43はミリングカッター80を駆動してγ軸の回りを回転速度R3で一定の角度回転して、角3033の表面を加工させる。次いで、制御モジュール20は回転素子43に信号を送信し、回転素子43はミリングカッター80の回転を停止させる。回転制御素子25は作業台90に信号を送信し、作業台90はワーク300を連動してα軸及びβ軸の回りを回転して角度を調整し、ワーク300のもう1つの面取り部305はミリングカッター80と対向し、第一スライド部材50及び第二スライド部材60はミリングカッター80の移動と組み合わさって、連続して面取り加工を行う。
【0024】
工作機械制御システム100は、旋削加工とミリング加工とのどちらを先に行っても良い。つまり、実際の必要性に応じて順番を設定することができる。
【0025】
作業台90は多軸の作業台であり、回転制御素子25の制御によって多軸移動を行い、ミリングカッター送り装置40は作業台90の多軸移動と組み合わせられて所定経路に沿ってワーク300に対してミリング加工を行う。
【0026】
工作機械制御システム100は、バイト70のZ軸方向に沿う高速の往復運動の頻度F及び時間によって変化する距離Hを制御して、異なる形状の三次元曲面を加工できる。
【0027】
工作機械制御システム100は、Y軸のデータを固定値に設定することができる。ワーク300を加工する際、バイト70はX軸に沿って移動すると同時に、Z軸方向に高速往復運動を行う。
【0028】
本発明の工作機械制御システム100は、旋削及び切削加工によって1回で平滑度が高いワーク300の上部301、側壁303、面取り部305を加工する。送り駆動装置30は、バイト70を連動してX軸或いはY軸に沿って移動すると同時に、バイト70を連動してZ軸方向に沿って高速で往復運動させる。バイト70は螺旋状の移動軌跡に沿って移動して、且つワーク300に対して連続して旋削加工を行う。これにより、平滑度が高いワーク300の上部301を加工することができる。また、ミリングカッター送り装置40はミリングカッター80を連動して、所定経路に沿って移動させながら、ワーク300の側壁303に対して移動し、高速でワーク300の面取り部305に対する面取り加工を行う。ワーク300の面取り部305に対して面取りする際、作業台90の回転と組み合わせられて、ミリングカッター送り装置40はミリングカッター80を連動して所定経路に沿って移動して、面取り部305の面取り加工を行う。
【符号の説明】
【0029】
100 工作機械制御システム
200 工作機械
400 平面運動軌跡
300 ワーク
301 上部
303 側壁
3031 側面
3033 角
305 面取り部
10 入力モジュール
11 台座
13、50 第一スライド部材
14、60 第二スライド部材
15、30 送り駆動装置
17、40 ミリングカッター送り装置
20 制御モジュール
21 位置制御素子
23 交換制御素子
25 回転制御素子
41 リニア移動素子
43 回転素子
70 バイト
80 ミリングカッター
90 作業台
A 初期位置
O 最終位置
図1
図2
図3
図4
図5