特許第6457218号(P6457218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457218
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20190110BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20190110BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20190110BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   H02J7/00 B
   H02J7/00 S
   H02J7/00 302C
   H02J7/02 H
   H02J7/10 B
   H02J7/10 H
   H02J7/34 B
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-173621(P2014-173621)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-48998(P2016-48998A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 勲
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−264780(JP,A)
【文献】 特開2002−325364(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0103876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 7/10
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセル電池を収容する電池モジュールと、
前記電池モジュールに収容された各セル電池をモニターするモニターユニットと、
前記電池モジュールの充放電制御を行う充放電装置と、
前記モニターユニットのモニター結果に基づいて充放電を制限するか否かを判定し、判定結果に応じて前記充放電装置を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、過充電保護として、前記モニターユニットのモニター結果に含まれるセル電圧が、充電上限電圧未満に設定された第1セル過充電電圧を超えると、前記電池モジュールへの充電電流を抑制させる処理と、セル電圧が相対的に高いセル電池を強制放電させてセル電圧を揃える処理とを並行して実施させ、
前記セル電圧が、前記第1セル過充電電圧を超え、充電上限電圧に対応する第2セル過充電電圧を超えていない場合に、前記充放電装置に充電電流の抑制を指示するとともに、前記モニターユニットに前記セル電圧が相対的に高いセル電池を強制放電させる処理を指示し、
前記セル電圧が、前記第2セル過充電電圧を超え、前記第2セル過充電電圧よりも高い値に設定された第3過充電電圧を超えていない場合に、前記充放電装置に充電停止を実行させ、
前記セル電圧が、前記第3過充電電圧を超えた場合に、前記電池モジュールと前記充放電装置との間のリレーをオフにし、その後、前記充放電装置との通信停止を行うことを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
複数のセル電池を収容する電池モジュールと、
前記電池モジュールに収容された各セル電池をモニターするモニターユニットと、
前記電池モジュールの充放電制御を行う充放電装置と、
前記モニターユニットのモニター結果に基づいて充放電を制限するか否かを判定し、判定結果に応じて前記充放電装置を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、過放電保護として、前記モニターユニットのモニター結果に含まれるセル電圧が、予め設定した第1セル過放電電圧を下回り、前記第1セル過放電電圧より低い値に設定された第2セル過放電電圧を超えている場合に、前記充放電装置に放電停止を指示し、その後、予め設定した第1セル過放電解除電圧を超えると、前記充放電装置に放電停止の解除を指示し、
前記セル電圧が、前記第2セル過放電電圧を下回り、前記第2セル過放電電圧より低い値に設定された第3セル過放電電圧を超えている場合に、前記充放電装置に放電停止を指示するとともに、当該コントローラの消費電力を低減するスリープモードに移行し、
前記セル電圧が、前記第3セル過放電電圧を下回ると、前記電池モジュールと充放電装置との間のリレーをオフにし、前記充放電装置との通信停止を行って前記電池モジュールの充放電を停止させることを特徴とする蓄電システム。
【請求項3】
複数のセル電池を収容する電池モジュールと、
前記電池モジュールに収容された各セル電池をモニターするモニターユニットと、
前記電池モジュールの充放電制御を行う充放電装置と、
前記モニターユニットのモニター結果に基づいて充放電を制限するか否かを判定し、判定結果に応じて前記充放電装置を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、過電流保護として、前記電池モジュールのシステム電流を検出し、充電側のシステム電流が、充電停止の閾値に設定された第1過電流電流値を超え、且つ、充電・放電側のシステム電流のいずれも、リレーオフの閾値に設定された第3過電流電流値を超えていない場合に、前記充放電装置に充電停止を指示し、
放電側のシステム電流が、放電停止の閾値に設定された第2過電流電流値を超え、且つ、充電・放電側のシステム電流のいずれも前記第3過電流電流値を超えていない場合に、前記充放電装置に放電停止を指示し、
前記充電・放電側のシステム電流のいずれかが前記第3過電流電流値を超えた場合に、前記電池モジュールと前記充放電装置との間のリレーをオフにすることを特徴とする蓄電システム。
【請求項4】
前記電池モジュールの充放電が停止した後、前記セル電圧が前記第3過充電電圧を超えた場合、手動スイッチが操作されると、前記コントローラが充放電停止の解除を前記充放電装置に指示することを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記電池モジュールの充放電が停止した後、前記セル電圧が前記第3セル過放電電圧より低い値に設定された第4セル過放電電圧を下回った場合、手動スイッチが操作されると、前記コントローラが充放電停止の解除を前記充放電装置に指示することを特徴とする請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記電池モジュールの充放電が停止した後、前記充電・放電側のシステム電流が前記第3過電流電流値を超えた場合、手動スイッチが操作されると、前記コントローラが充放電停止の解除を前記充放電装置に指示することを特徴とする請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記セル電圧が、前記第3セル過放電電圧を下回り、前記第3セル過放電電圧より低い値に設定された第4セル過放電電圧を下回っていない場合に、前記コントローラは前記電池モジュールへの一定時間充電を可能とすることを特徴とする請求項2に記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセル電池を収容する電池モジュールを備える蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池などの二次電池は、一般にセル電池や単電池などと称され、セル電池の端子間電圧及び容量は比較的小さいため、複数個のセル電池を直列接続及び/又は並列接続し、所望の電圧や容量となるよう電池モジュールを構成し、比較的大容量の蓄電装置を構成することがある。
この種の電池モジュールは、リチウムイオン電池のセル電圧などを検出して電池の状態を判定する機能を備えたモニターユニットを備えており(例えば、特許文献1、2参照)、このモニターユニットはモジュールモニターユニット(MMU)、セルモニタユニット(CMU)又はセル管理ユニット(CMU)などと称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−271267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽光発電などの発電装置の普及に伴い、家庭エネルギー管理システム(Home Energy Management System:HEMS)などのエネルギー管理システムが注目されている。この種のシステムに上記蓄電装置を適用する場合、リチウムイオン電池の充放電を管理してリチウムイオン電池を過充電などから保護するコントローラを設ける必要がある。このコントローラは、例えば、バッテリーマネジメントシステム(BMU)と称されている。
【0005】
しかし、コントローラとモニターユニットとの双方で判定処理を行うと、マイコンチップを多数必要とするため、暗電流が多くなってしまう。コントローラやモニターユニットは電池モジュールの電力で作動するため、暗電流が多くなると過放電による電池寿命の低下を招く要因となる。また、コントローラとモニターユニットとの総消費電流も多くなるため、充放電効率の向上に不利である。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、暗電流の低減と総消費電流の低減とを図ることが可能な蓄電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、複数のセル電池を収容する電池モジュールと、前記電池モジュールに収容された各セル電池をモニターするモニターユニットと、前記電池モジュールの充放電制御を行う充放電装置と、前記モニターユニットのモニター結果に基づいて充放電を制限するか否かを判定し、判定結果に応じて前記充放電装置を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、過充電保護として、前記モニターユニットのモニター結果に含まれるセル電圧が、充電上限電圧未満に設定された第1セル過充電電圧を超えると、前記電池モジュールへの充電電流を抑制させる処理と、セル電圧が相対的に高いセル電池を強制放電させてセル電圧を揃える処理とを並行して実施させ、前記セル電圧が、前記第1セル過充電電圧を超え、充電上限電圧に対応する第2セル過充電電圧を超えていない場合に、前記充放電装置に充電電流の抑制を指示するとともに、前記モニターユニットに前記セル電圧が相対的に高いセル電池を強制放電させる処理を指示し、前記セル電圧が、前記第2セル過充電電圧を超え、前記第2セル過充電電圧よりも高い値に設定された第3過充電電圧を超えていない場合に、前記充放電装置に充電停止を実行させ、
前記セル電圧が、前記第3過充電電圧を超えた場合に、前記電池モジュールと前記充放電装置との間のリレーをオフにし、その後、前記充放電装置との通信停止を行うことを特徴とする蓄電システムを提供する。
【0009】
また、複数のセル電池を収容する電池モジュールと、前記電池モジュールに収容された各セル電池をモニターするモニターユニットと、前記電池モジュールの充放電制御を行う充放電装置と、前記モニターユニットのモニター結果に基づいて充放電を制限するか否かを判定し、判定結果に応じて前記充放電装置を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、過放電保護として、前記モニターユニットのモニター結果に含まれるセル電圧が、予め設定した第1セル過放電電圧を下回り、前記第1セル過放電電圧より低い値に設定された第2セル過放電電圧を超えている場合に、前記充放電装置に放電停止を指示し、その後、予め設定した第1セル過放電解除電圧を超えると、前記充放電装置に放電停止の解除を指示し、前記セル電圧が、前記第2セル過放電電圧を下回り、前記第2セル過放電電圧より低い値に設定された第3セル過放電電圧を超えている場合に、前記充放電装置に放電停止を指示するとともに、当該コントローラの消費電力を低減するスリープモードに移行し、前記セル電圧が、前記第3セル過放電電圧を下回ると、前記電池モジュールと充放電装置との間のリレーをオフにし、前記充放電装置との通信停止を行って前記電池モジュールの充放電を停止させることを特徴とする蓄電システムを提供する
【0010】
また、複数のセル電池を収容する電池モジュールと、前記電池モジュールに収容された各セル電池をモニターするモニターユニットと、前記電池モジュールの充放電制御を行う充放電装置と、前記モニターユニットのモニター結果に基づいて充放電を制限するか否かを判定し、判定結果に応じて前記充放電装置を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、過電流保護として、前記電池モジュールのシステム電流を検出し、充電側のシステム電流が、充電停止の閾値に設定された第1過電流電流値を超え、且つ、充電・放電側のシステム電流のいずれも、リレーオフの閾値に設定された第3過電流電流値を超えていない場合に、前記充放電装置に充電停止を指示し、放電側のシステム電流が、放電停止の閾値に設定された第2過電流電流値を超え、且つ、充電・放電側のシステム電流のいずれも前記第3過電流電流値を超えていない場合に、前記充放電装置に放電停止を指示し、前記充電・放電側のシステム電流のいずれかが前記第3過電流電流値を超えた場合に、前記電池モジュールと前記充放電装置との間のリレーをオフにすることを特徴とする蓄電システムを提供する
【0011】
上記構成において、前記電池モジュールの充放電が停止した後、前記セル電圧が前記第3過充電電圧を超えた場合、手動スイッチが操作されると、前記コントローラが充放電停止の解除を前記充放電装置に指示するようにしても良い。
【0012】
また、上記構成において、前記電池モジュールの充放電が停止した後、前記セル電圧が前記第3セル過放電電圧より低い値に設定された第4セル過放電電圧を下回った場合、手動スイッチが操作されると、前記コントローラが充放電停止の解除を前記充放電装置に指示するようにしても良い。
【0013】
また、上記構成において、前記電池モジュールの充放電が停止した後、前記充電・放電側のシステム電流が前記第3過電流電流値を超えた場合、手動スイッチが操作されると、前記コントローラが充放電停止の解除を前記充放電装置に指示するようにしても良い。
【0014】
また、上記構成において、前記セル電圧が、前記第3セル過放電電圧を下回り、前記第3セル過放電電圧より低い値に設定された第4セル過放電電圧を下回っていない場合に、前記コントローラは前記電池モジュールへの一定時間充電を可能とするようにしても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、暗電流の低減と総消費電流の低減とを図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る蓄電システムを示すブロック図である。
図2】過充電保護を示すフローチャートである。
図3】過放電保護を示すフローチャートである。
図4】過電流保護を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る蓄電システムを示すブロック図である。
この蓄電システム10は、発電装置としての太陽光発電システム(以下、PVシステムと言う)11と、PVシステム11からの電力が供給される充放電装置12と、電力を蓄える電池モジュール23(セル電池)を有する蓄電部24、コントローラ22、及びリレーBOX25などを有する蓄電装置13とを備えている。この蓄電システム10は、例えば、家庭エネルギー管理システム(HEMS)などのエネルギー管理システムに適用される。また、PVシステム11に限らず、燃料電池、風力発電装置などの公知の発電装置を広く適用可能である。
【0018】
充放電装置12は、不図示の分電盤を介して電力系統(商用電源)に接続され、PVシステム11と蓄電装置13と電力系統との間の接続を切り替えるスイッチ群、及び、これらの間でエネルギーを授受させるための双方向DC/DCコンバータとAC/DCインバータとを備えている。この構成により、充放電装置12は、PVシステム11からの直流電力を蓄電部24に供給し充電させる機能、電力系統からの交流電力を直流電力に変換して蓄電部24に供給し充電させる機能、蓄電部24及び/又はPVシステム11からの直流電力を交流電力に変換して電力系統に供給する機能などを備えている。
すなわち、充放電装置12は、PVシステム11と蓄電部24と電力系統との間の電力変換装置や、蓄電部24を充電又は放電(以下、充放電)させる装置として機能する。
【0019】
この充放電装置12は、通信回線21を介して蓄電装置13に設けられたコントローラ(Battery Management Unit:BMUとも言う)22と通信可能に接続される。また、充放電装置12は、コントローラ22からの制御指令により、PVシステム11と蓄電部24と電力系統との間の接続を切り替えたり、蓄電部24の充電電流や放電電流などを制御したりすることができる。また、充放電装置12は、コントローラ22からの制御指令により蓄電部24とPVシステム11との接続を遮断することによって、蓄電部24の充放電を停止させることができる。
【0020】
また、この充放電装置12は、コントローラ22からの通信状態を監視し、コントローラ22との通信が停止すると(所定期間以上の通信停止を検出すると)、上記の各接続を遮断することによって、蓄電装置13の充放電を強制的に停止させる処理(充放電の強制停止処理)を自動的に実行するように構成されている。これにより、コントローラ22側に不具合があったときに充放電を止めることができる。
【0021】
次に、蓄電装置13について説明する。
蓄電装置13は、複数(本構成では4個)の電池モジュール23からなる蓄電部24と、蓄電部24の保護制御などを行うコントローラ22と、蓄電部24と充放電装置12との間の電気配線間に設けられるリレーBOX25と、これらを収容する不図示の筐体に設けられた開閉ドアの開閉を検出するドア開閉センサー26とを備えている。
【0022】
ドア開閉センサー26によりドアが開いたことが検出された場合、コントローラ22によって、リレーBOX25内のパワーリレー25A、25Bがオフに切り替えられる。これによって、ユーザーなどが開いたドアから内部にアクセスする場合に、蓄電部24の充放電を停止させることができる。なお、ドアが開いたことが検出された場合に、コントローラ22が充放電装置12に充放電の停止を指示し、充放電装置12による充放電を停止させるようにしても良い。また、コントローラ22を介さずに、ドアが開いたことが検出されると、リレーBOX25内のパワーリレー25A、25Bが自立的にオフに切り替わるように自動切り替え機能を設けるようにしても良い。
【0023】
電池モジュール23は、リチウムイオン二次電池からなるセル電池を複数個(本構成では8個)直列接続したものである。また、各電池モジュール23には、モニターユニット(図中、MMU)23Aがそれぞれ設けられる。モニターユニット23Aは、当該モニターユニット23Aが設けられた電池モジュール23内の各セル電池について、セル情報(セル電圧V1やセル温度T1)をモニター(検出)する検出ユニットとして機能する装置である。また、モニターユニット23Aは、通信回線27を介してコントローラ22と通信可能に接続され、モニター結果(セル電圧V1や温度T1)をコントローラ22に出力する。
【0024】
より具体的には、このモニターユニット23Aは、各セル電圧V1を検出する機能、セル電池の温度(セル温度T1)を検出する機能、電池モジュール23内の保護IC(不図示)の温度をモニターする機能、後述するセル電池の充電バランス放電を行う機能、コントローラ22との通信機能を備えている。
ここで、バランス放電とは、電池モジュール23内のあるセル電圧V1が他のセル電圧V1に比して高いセル電池を強制放電させてセル電圧を揃えることである。
【0025】
コントローラ22は、大別すると、蓄電部24(電池モジュール23)の保護機能(後述する過充電保護、過放電保護、過電流保護など)、及び、充放電装置12やモニターユニット23Aと通信する機能を具備している。また、コントローラ22は、蓄電装置13を遠隔監視するための外部通信ポート30を備え、この外部通信ポート30に接続された外部機器と通信し、遠隔監視のための各種処理を実行する機能を備えていても良い。
このコントローラ22は、蓄電部24の保護機能を実現するための構成として、システム電流を検出する電流モニター、及び、リレーBOX25内のパワーリレー25A、25Bを制御するリレーコントロールを備えている。なお、リレーBOX25にはプリチャージ回路25Cも設けられている。
【0026】
また、コントローラ22には、メインスイッチ31や解除スイッチ32が接続されている。これらスイッチ31、32は、蓄電システム10の各種作業を行う作業員が操作する手動スイッチであり、メインスイッチ31は、蓄電装置13のメイン電源をオンオフするためのスイッチである。また、解除スイッチ32は、コントローラ22の通信停止状態や充放電装置12の充放電停止状態を手動で解除するためのスイッチである。
【0027】
この蓄電システム10は、PVシステム11を備えるため、気象条件に応じて発電電力が変動し、夜間は発電されない。従って、日中の発電電力が、電力系統に接続される負荷の総消費電力を上回ると、余剰電力が蓄電装置13の蓄電部24に充電される。また、蓄電部24に蓄積された電力は、発電電力が得られない夜間等に電力系統に供給される。このような充放電制御は、充放電装置12とコントローラ22が協働して行っても良い。また、蓄電部24の充放電を、ユーザーの操作等により任意の時間に実施するようにしても良い。なお、電力系統から蓄電部24に充電する場合は、比較的電力料金が安い夜間電力を利用すれば良い。
【0028】
この蓄電システム10では、蓄電部24の保護として、過充電保護、過放電保護、過電流保護などを行う。
図2は過充電保護を示すフローチャートである。なお、前提として、モニターユニット23Aは、常時、セル電池に関するセル情報(セル電圧V1及びセル温度T1など)を検出し、検出結果(モニタ-結果)をコントローラ22に通知している。このため、コントローラ22では、セル情報(セル電圧V1及びセル温度T1)をリアルタイムに把握できるように構成されている。
【0029】
まず、コントローラ22は、セル電圧V1と、予め設定された第1セル過充電電圧VA1、第2セル過充電電圧VA2、及び第3セル過充電電圧VA3のそれぞれとを比較する(ステップS1A、ステップS21A、ステップS31A)。
ここで、第1セル過充電電圧VA1は、セル電池が充電上限電圧未満であることを判定する閾値に設定され、例えば、充電上限電圧3.6Vのときは3.5Vに設定される。なお、この第1セル過充電電圧VA1を超えた状態の判定精度を高めるため、VA1以上の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS1AでYesと判定することが好ましい。
【0030】
また、第2セル過充電電圧VA2は、第1セル過充電電圧VA1よりも高い電圧に設定される値である。この第2セル過充電電圧VA2は、セル電池が充電上限電圧の状態であることを判定する閾値に設定され、例えば、充電上限電圧3.6Vのときは3.6Vに設定される。なお、この第2セル過充電電圧VA2を超えた状態の判定精度を高めるため、VA2以上の状態が一定時間(例えば、5秒以上)連続した場合にステップS21AでYesと判定することが好ましい。
また、第3セル過充電電圧VA3は、第2セル過充電電圧VA2よりも高い電圧に設定される値である。この第3セル過充電電圧VA3は、セル電圧V1が充電上限電圧よりも高い状態であることを判定する閾値に設定され、例えば、充電上限電圧3.6Vのときは3.7Vに設定される。なお、この第3セル過充電電圧VA3を超えた状態の判定精度を高めるため、VA3以上の状態が一定時間(例えば、5秒以上)連続した場合にステップS31AでYesと判定することが好ましい。
【0031】
コントローラ22は、ステップS1A、S21A、S31Aの比較結果を得ると、予め定められた優先順位に従って実行する処理を決定する。具体的には、セル電圧V1が、第1〜第3セル過充電電圧VA1〜VA3のうち最も低い電圧に設定された第1セル過充電電圧VA1を超えているが、2番目に設定された第2セル過充電電圧VA2を超えていない場合は、図2に示すステップS2A及びS11Aの処理に移行する。
一方、セル電圧V1が、第2セル過充電電圧VA2を超えているが、最も高い電圧に設定された第3セル過充電電圧VA3を超えていない場合は、図2に示すステップS22Aの処理に移行し、第3セル過充電電圧VA3を超えている場合は、図2に示すステップS32Aの処理に移行する。
【0032】
なお、上記何れかのステップで過充電と判断された場合、コントローラ22は充放電装置12に対し過充電による異常検出の通知を行う。その後、後述する充電電流抑制、充電停止などにより過充電が解除されると、コントローラ22は充放電装置12に対する異常検出の通知が解除される。但し、ステップS1A以外での異常検出、例えばステップS21Aにおいて過充電と判断されると、ステップS1Aにおいても当然に過充電であり、ステップS21Aの過充電が解除されても、ステップS1Aの異常検出の通知は解除されておらず、ステップS1Aにおいて過充電が解除されると、コントローラ22は充放電装置12に対する異常検出の通知を解除する。
【0033】
ステップS2Aでは、コントローラ22は、充放電装置12に対し、充電電流の抑制を指示し、より具体的には、充電電流抑制値を充放電装置12に送信する。充放電装置12は、受信した充電電流抑制値に基づいて充電電流を抑制する(ステップS3A)。
このとき、コントローラ22は、常に電流確認をしており、後述する過電流保護の処理(図4)を行う。この過電流保護の処理では、まずコントローラ22が過電流か否かを判定しており、過電流ではなかった場合(ステップS4A;OK)、ステップS5Aの処理に移行する。ステップS5Aでは、コントローラ22は、セル電圧V1が、第1セル過充電解除電圧VA1Kを下回ったか否かを判定する。
【0034】
第1セル過充電解除電圧VA1Kは、第1セル過充電電圧VA1よりも低い電圧に設定され、例えば3.45Vに設定される。なお、第1セル過充電解除電圧VA1Kを下回ったことの判定精度を高めるため、VA1K以下の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS5AでYesと判定することが好ましい。
ステップ3Aの充電電流抑制からステップS5Aを実行するまでの間の放電により、セル電圧V1が第1セル過充電解除電圧VA1Kを下回ると(ステップS5A;Yes)、コントローラ22は、充放電装置12に対し、充電電流の抑制解除を指示する(ステップS6A)。この場合、充放電装置12は、コントローラ22からの指示に基づいて充電電流の抑制を解除する(ステップS7A)。
つまり、第1セル過充電電圧VA1(=3.5V)以上で充電電流を抑制し、第1セル過充電解除電圧VA1K(=3.45V)以下で充電電流の抑制を解除する。このように、第1セル過充電電圧VA1と、第1セル過充電解除電圧VA1Kとに0.05Vの差をつけているため、セル電圧V1の微少変動で、充電電流の抑制と抑制解除とが頻繁に繰り返されてしまう誤動作(いわゆるチャタリング現象)を回避できる。このとき、コントローラ22は、常に電流確認(図4に示す過電流保護の処理)を行い、過電流ではない場合に(ステップS8A;OK)、ステップS1Aの処理に移行する。
【0035】
一方、上記ステップS4A、S8Aにおいて、過電流と判定した場合(ステップS4A又はS8A;NG)、コントローラ22は過電流から保護するための処理(ステップS9A又は10A)を実行する。このステップS9E、10Eの具体的内容は、図4に示す充電停止の指示(ステップS2E)、放電停止の指示(ステップS12E)、充放電停止の指示(ステップS23E)などである。
【0036】
コントローラ22は、ステップS1Aの処理と同時にステップS11Aの処理を行う。ステップS11Aでは、セル電圧V1が予め設定された充電バランス電圧を超えたか否かを判定する。次いで、コントローラ22は、セル電圧V1が予め設定された充電バランス電圧を超えた場合、モニターユニット23A(MMU)に対し、充電バランス放電を指示する(ステップS12A)。
モニターユニット23Aは、受信した指示に基づいて、セル電池の充電バランスに対応する放電を行う。つまり、モニターユニット23Aのモニター(検出)結果に基づいて、セル電圧V1が高いセル電池を強制的に放電させる(ステップS13A)。このため、例えば、充放電装置12によりPVシステム11から蓄電部24へ電力供給されている場合、つまり、充電中の場合、電池モジュール23の中で相対的に電圧が低いセル電池が充電され、相対的に電圧が高いセル電池は放電されることになる。
【0037】
コントローラ22は、予め定めた一定電圧であるセル充電バランス解除電圧(例えば3.45V)に至るまで(ステップS14;No)、ステップS12Aの処理を繰り返し実行し、セル充電バランス解除電圧に至ると、モニターユニット23Aに対し、充電バランス放電の停止を指示し(ステップS15A)、コントローラ22からの指示に基づいて放電を停止させる(ステップS16A)。
上記のステップS1A〜S16Aの処理によれば、充電上限電圧に至る前に、充電電流の抑制と、セル電圧のバランスを揃える強制放電とを並行して実施するので、過充電を回避しつつ各セル電池をバランスよく充電することが可能になる。このため、各セル電池の電圧のばらつきは最大でも0.15V(充電上限電圧3.6−セル充電バランス解除電圧3.45V)に抑えられる。また、放電については何ら規制されずに行うことができ、蓄電部24に蓄えられた電力を利用することができる。
【0038】
ステップS22Aでは、コントローラ22は、充放電装置12に対し、充電停止を指示し、より具体的には、充電電流0Aを指示する指令値を充放電装置12に送信する。充放電装置12は、コントローラ22からの指示に基づいて充電電流を0Aにすることにより充電を停止させる(ステップS23A)。
コントローラ22は、常に電流確認(図4に示す過電流保護の処理)をしており、過電流ではない場合に(ステップS24A;OK)、ステップS25Aの処理に移行する。ステップS25Aでは、コントローラ22は、セル電圧V1が第2セル過充電解除電圧VA2Kを下回ったか否かを判定する。
第2セル過充電解除電圧VA2Kは、第2セル過充電電圧VA2よりも低い電圧に設定され、例えば3.4Vに設定される。なお、第2セル過充電解除電圧VA2Kを下回ったことの判定精度を高めるため、VA2K以下の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS25AでYesと判定することが好ましい。
【0039】
第2セル過充電解除電圧VA2K未満の場合(ステップS25A;Yes)、コントローラ22は、充放電装置12に対し、充電停止の解除を指示する(ステップS26A)。充放電装置12は、コントローラ22からの指示に基づいて充電停止を解除し(ステップS27A)、コントローラ22は、常に電流確認(図4に示す過電流保護の処理)をしており、過電流ではない場合に(ステップS28A;OK)、ステップS1Aの処理に移行する。
一方、上記ステップS24A、S28Aにおいて、過電流と判定した場合(ステップS24A又はS28A;NG)、コントローラ22は過電流から保護するための処理(ステップS29A又は30A)を実行する。このステップS29A、30Aの具体的内容は、図4に示す充電停止の指示(ステップS2E)、放電停止の指示(ステップS12E)、充放電停止の指示(ステップS23E)などである。
上記のステップS21A〜S28Aによりセル電圧V1が充電上限電圧の場合は充電を停止し、過充電を回避することができる。この場合、放電については何ら規制されずに行うことができるので、蓄電部24に蓄えられた電力の利用が妨げられることがない。
【0040】
セル電圧V1が第3セル過充電電圧VA3を超えている場合(ステップS31A;Yes)、電池異常か他の箇所の異常が疑われる。このため、コントローラ22は、まず、パワーリレー25A、25Bをオフにした後(ステップS32A)、充放電装置12に対し、充放電停止を指示し、より具体的には、充放電電流0Aを指示する指令値を充放電装置12に送信し(ステップS33A)、充放電装置12に充放電を停止させる(ステップS34A)。その後、コントローラ22は、充放電装置12との通信を停止する(ステップS35A)。充放電装置12は、コントローラ22との通信停止により、蓄電部24の充放電を強制的に停止させる処理を行う。つまり、パワーリレー25A、25Bをオフにしても、充放電装置12は充放電制御を行おうとするが、上記ステップS33A〜S35Aの処理により充放電装置12の充放電制御を停止させることができる。
【0041】
この場合、コントローラ22は、解除スイッチ32が操作されない限り作動しない状態(自動解除しない状態)に移行する。解除スイッチ32は、ユーザーが操作しないスイッチであり、作業員が操作するスイッチである。このため、作業員が各部を点検し、問題がないことを確認した後に解除スイッチ32が操作される。解除スイッチ32が操作されると(ステップS36A)、コントローラ22は、充放電装置12に対し、充放電停止の解除を指示することにより、充放電装置12の充放電停止を解除させるとともに(ステップS37A)、パワーリレー25A、25Bをオンに切り替え(ステップS38A)、ステップS1Aの処理に移行する。
上記のステップS31A〜S38Aにより電池異常や他の部分の異常が疑われる場合に充放電を停止させ、蓄電装置13を保護することができ、また、作業員により容易に復帰させることができる。
【0042】
図3は過放電保護を示すフローチャートである。
まず、コントローラ22は、セル電圧V1と、予め設定された第1セル過放電電圧VB1、第2セル過放電電圧VB2、及び第3セル過放電電圧VB3のそれぞれとを比較する(ステップS1B、ステップS21B、ステップS31B)。
ここで、第1セル過放電電圧VB1は、過放電の段階を3つの段階に分けたときの初期段階(第1段階)に相当するか否かを判定する閾値に設定され、例えば、セル電池の下限電圧が2.0Vのときは初期段階の閾値は3.0Vに設定される。なお、この第1セル過放電電圧VB1を下回った状態の判定精度を高めるため、VB1以下の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS1BでYesと判定することが好ましい。
【0043】
また、第2セル過放電電圧VB2は、第1セル過放電電圧VB1よりも低い電圧に設定される値である。この第2セル過放電電圧VB2は、過放電の段階を3つの段階に分けたときの中間段階(第2段階)に相当するか否かを判定する閾値に設定され、例えば、セル電池の下限電圧が2.0Vのときは中間段階の閾値は2.7Vに設定される。なお、この第2セル過放電電圧VB2を下回ったことの判定精度を高めるため、VB2以下の状態が一定時間(例えば、10秒以上)連続した場合にステップS21BでYesと判定することが好ましい。
また、第3セル過放電電圧VB3は、第2セル過放電電圧VB2よりも低い電圧に設定される値である。この第3セル過放電電圧VB3は、過放電の段階を3つの段階に分けたときの最終段階(第3段階)に相当するか否かを判定する閾値に設定され、例えば、セル電池の下限電圧が2.0Vのときは最終段階の閾値は2.5Vに設定される。なお、この第3セル過放電電圧VB3を下回ったことの判定精度を高めるため、VB3以下の状態が一定時間(例えば、10秒以上)連続した場合にステップS31BでYesと判定することが好ましい。
【0044】
なお、上記何れかのステップで過放電と判断された場合、コントローラ22は充放電装置12に対し過放電による異常検出の通知を行う。その後、後述する放電停止などにより過放電が解除されると、コントローラ22は充放電装置12に対する異常検出の通知が解除される。但し、ステップS1B以外での異常検出、例えばステップS21Bにおいて過放電と判断されると、ステップS1Bにおいても当然に過放電であり、ステップS21Bの過充電が解除されても、ステップS1Bの異常検出の通知は解除されておらず、ステップS1Bにおいて過放電が解除されると、コントローラ22は充放電装置12に対する異常検出の通知を解除する。
【0045】
コントローラ22は、ステップS1B、S21B、S31Bの比較結果を得ると、予め定められた優先順位に従って実行する処理を決定する。具体的には、セル電圧V1が、第1〜第3セル過放電電圧VB1〜VB3のうち最も高い電圧に設定された第1セル過放電電圧VB1を下回っているが、2番目に設定された第2セル過放電電圧VB2を超えている場合は、図3に示すステップS2Bの処理に移行する。一方、セル電圧V1が、第2セル過放電電圧VB2を下回っているが、最も低い電圧に設定された第3セル過放電電圧VB3を超えている場合は、図3に示すステップS22Bの処理に移行し、第3セル過放電電圧VB3を下回っている場合は、図3に示すステップS32Bの処理に移行する。
【0046】
ステップS2Bでは、コントローラ22は、充放電装置12に対し、放電停止を指示し、より具体的には、放電電流0Aを指示する指令値を充放電装置12に送信する。充放電装置12は、コントローラ22からの指示に基づいて放電電流を0Aにすることにより放電を停止させる(ステップS3B)。
コントローラ22は、常に電流確認(図4に示す過電流保護の処理)をしており、過電流ではない場合に(ステップS4B;OK)、ステップS5Bの処理に移行する。ステップS5Bでは、コントローラ22は、セル電圧V1が第1セル過放電解除電圧VB1Kを超えたか否かを判定する。
【0047】
第1セル過放電解除電圧VB1Kは、第1セル過放電電圧VB1よりも高い電圧に設定され、例えば3.1Vに設定される。また、第1セル過放電解除電圧VB1Kを超えたことの判定精度を高めるため、VB1K以上の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS5BでYesと判定することが好ましい。
ステップ3Bの放電停止からステップS5Bを実行するまでの間の充電により、セル電圧V1が第1セル過放電解除電圧VB1Kを超えると(ステップS5B;Yes)、コントローラ22は、充放電装置12に対し、放電停止の解除を指示する(ステップS6B)。充放電装置12は、コントローラ22からの指示に基づいて放電停止を解除し(ステップS7B)、コントローラ22は、常に電流確認(図4に示す過電流保護の処理)をしており、過電流ではない場合に(ステップS8B;OK)、ステップS1Bの処理に移行する。
【0048】
一方、ステップS4B又はS8BにおいてNGの場合、コントローラ22は過電流保護(図4に示す充電停止の指示(ステップS2E)、放電停止の指示(ステップS12E)、充放電停止の指示(ステップS23E)など)を実施する(ステップS9B、S10B)。
上記のステップS1B〜S8Bの処理によれば、セル電圧V1が第1セル過放電電圧VB1と第2セル過放電電圧VB2との間にあると、放電を停止するので、過放電を抑えることができる。なお、放電のみ停止するので、充放電装置12によりPVシステム11からの直流電力が蓄電部24に供給されている場合には充電を行うことができる。
【0049】
ステップS22Bでは、コントローラ22は、充放電装置12に対し、放電停止を指示し、より具体的には、放電電流0Aを指示する指令値を充放電装置12に送信する。充放電装置12は、コントローラ22からの指示に基づいて放電電流を0Aにすることにより放電を停止させる(ステップS23B)。続いて、コントローラ22は、通常の動作モードからスリープモードに移行する(ステップS24B)。このスリープモードは、通常の動作モードよりも、コントローラ22側のセル電圧V1等の検出間隔を長くして当該コントローラ22の消費電力を低減する動作モードであり、例えば、本コントローラ22の動作クロック数を下げる方法などが採用される。
つまり、セル電圧V1が第2セル過放電電圧VB2と第3セル過放電電圧VB3との間にあると、放電停止に加え、スリープモードに移行してコントローラ22の消費電力を抑える。これにより、電力の消耗を抑え、過放電を効率良く抑えることができる。なお、スリープモードにするとセル電圧V1等の常時監視ができなる。他の場合にスリープモードにしないのは、常時監視を継続することと、過充電などの弊害を防止するためである。
【0050】
次いで、コントローラ22は、ステップ23Bの放電停止からステップS25Bを実行するまでの間の充電により、セル電圧V1が第2セル過放電解除電圧VB2Kを超えると(ステップS25B;Yes)、充放電装置12に対し、放電停止の解除を指示し(ステップS26B)、充放電装置12が放電停止を解除する(ステップS27B)。また、コントローラ22は、スリープモードを解除して通常の動作モードに移行し(ステップS28B)、ステップS1Bの処理に移行する。
ここで、第2セル過放電解除電圧VB2Kは、第2セル過放電電圧VB2よりも高い電圧に設定され、例えば3.1Vに設定される。なお、第2セル過放電解除電圧VB2Kを超えたことの判定精度を高めるため、VB2K以上の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS25BでYesと判定することが好ましい。
このように放電停止とスリープモードへの移行の後、セル電圧V1が上昇すると、放電停止とスリープモードを解除するので、充放電を通常通り、つまり、充放電装置12の充放電制御に従って行うことができる。
【0051】
セル電圧V1が第3セル過放電電圧VB3を下回る場合(ステップS31B;Yes)、電池異常か他の箇所の異常が疑われる。このため、コントローラ22は、パワーリレー25A、25Bをオフにし(ステップS32B)、シャットダウンを行い(ステップS33B)、充放電装置12との通信を停止することにより(ステップS34B)、充放電装置12に充放電を停止させる(ステップS35B)。
また、コントローラ22は、ユーザーによりメインスイッチ31がオフからオンに操作されると(ステップS36B)、充放電装置12に対し、充放電停止の解除を指示することにより、充放電装置12の充放電停止を解除させる(ステップS37B)。その後、コントローラ22は、セル電圧V1が予め設定した第4セル過放電電圧VB4を下回っているか否かを判定する(ステップS38B)。
【0052】
第4セル過放電電圧VB4は、第3セル過放電電圧VB3よりも低い電圧に設定され、例えば2.0Vに設定される。この第4セル過放電電圧VB4を下回った状態の判定精度を高めるため、VB4以下の状態が一定時間(例えば、10秒以上)連続した場合にステップS38BでYesと判定することが好ましい。
セル電圧V1が第4セル過放電電圧VB4を下回っていない場合(ステップS38B;No)、コントローラ22は、パワーリレー25A、25Bをオンに切り替え(ステップS39B)、例えば、60秒間だけ充電を受け入れるように異常検出通知を解除した後(ステップ40B:異常検出通知解除)、ステップS1Bの処理に移行する。このため、充放電装置12によりPVシステム11からの直流電力が蓄電部24に供給されている場合には充電を行い、セル電圧V1を高めることができる。
【0053】
一方、セル電圧V1が第4セル過放電電圧VB4を下回っている場合(ステップS38B;Yes)、コントローラ22は、パワーリレー25A、25Bをオフに維持し(ステップS41B)、シャットダウンを行い(ステップS42B)、充放電装置12との通信を停止することにより(ステップS43B)、充放電装置12に充放電を停止させる(ステップS44B)。
この場合、コントローラ22は、解除スイッチ32が操作されない限り作動しない状態(自動解除しない状態)にする。これにより、作業員により各種のチェックなどが行われることになる。その後、解除スイッチ32が操作されると(ステップS45B)、コントローラ22は、充放電装置12に充放電停止の解除を指示して充放電装置12の充放電停止を解除させ(ステップS46B)、パワーリレー25A、25Bをオンに切り替え(ステップS47B)、ステップS1Bの処理に移行する。
【0054】
このように、セル電圧V1が第4セル過放電電圧VB4を下回ると、パワーリレー25A、25Bをオフにし、解除スイッチ32が操作されるまで充放電を停止するので、過放電が解消されない場合は充放電を停止して蓄電部24を使用不能にすることができる。また、作業員が解除スイッチ32を操作することにより容易に復帰させることができる。
【0055】
図4は過電流保護を示すフローチャートである。
まず、コントローラ22は、充電のシステム電流と、予め設定された第1過電流電流値IA1、第2過電流電流値IA2、及び第3過電流電流値IA3のそれぞれとを比較する(ステップS1E、ステップS21E、ステップS31E)。以下、説明の便宜上、システム電流に符号ISを付して示し、図4にもシステム電流を符号ISで示している。
第1過電流電流値IA1は、充電電流が過電流か否かを判定する閾値に設定され、例えば、「充電電流指令値+5%」に相当する値に設定される。なお、この第1過電流電流値IA1を超えたことの判定精度を高めるため、IA1以上の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS1EでYesと判定することが好ましい。
【0056】
また、第2過電流電流値IA2は、放電電流が過電流か否かを判定する閾値に設定され、例えば、「放電電流指令値+5%」に相当する値に設定される。なお、この第2過電流電流値IA2を超えたことの判定精度を高めるため、IA2以上の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS11EでYesと判定することが好ましい。
また、第3過電流電流値IA3は、充放電電流が過電流か否かを判定する閾値に設定され、例えば、充放電電流の上限閾値(例えば75A)に設定される。なお、この第3過電流電流値IA3を超えたことの判定精度を高めるため、IA3以上の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS21EでYesと判定することが好ましい。
【0057】
なお、上記何れかのステップで過電流と判断された場合、コントローラ22は充放電装置12に対し過電流による異常検出の通知を行う。その後、後述する充電停止、放電停止などにより過電流が解除されると、コントローラ22は充放電装置12に対する異常検出の通知が解除される。但し、ステップS1E以外での異常検出、例えばステップS21Eにおいて過電流と判断されると、ステップS1Eにおいても当然に過電流であり、ステップS21Eの過電流が解除されても、ステップS1Eの異常検出の通知は解除されておらず、ステップS1Eにおいて過電流が解除されると、コントローラ22は充放電装置12に対する異常検出の通知を解除する。
【0058】
コントローラ22は、ステップS1E、S11E、S21Eの比較結果を得ると、予め定められた優先順位に従って実行する処理を決定する。具体的には、優先順位が高いものから順に、ステップS21EがYes、ステップS11EがYes、ステップS1EがYesとされる。
より具体的には、コントローラ22は、ステップS1EだけがYes(残りのステップS11E及びS21EがNo)の場合、図4に示すステップS2Eの処理に移行し、少なくともステップS21EがYes、ステップS21EがNoの場合、図4に示すステップS12Eの処理に移行する。また、少なくともステップS21EがYesの場合、図4に示すステップS22Eの処理に移行する。
【0059】
ステップS2Eでは、コントローラ22は、充放電装置12に対し、充電停止を指示する。充放電装置12は、このコントローラ22の指示に基づいて充電を停止する(ステップS3E)。その後、コントローラ22は、電流確認として、システム電流ISに基づいて充電が停止されたか否かを確認し(ステップS4E)、確認OKの場合に第1過電流解除電流IA1Kを下回ったか否かを判定する(ステップS5E)。
第1過電流解除電流IA1Kは、第1過電流電流値IA1よりも低い電流値に設定され、例えば、充電電流指令値と一致する値に設定される。なお、第1過電流解除電流IA1Kを下回ったことの判定精度を高めるため、IA1K以下の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS5EでYesと判定することが好ましい。
【0060】
第1過電流解除電流IA1Kを下回ると(ステップS5E;Yes)、コントローラ22は、充放電装置12に対し、充電停止の解除を指示し(ステップS6E)、充放電装置12による充電停止を解除させる(ステップS7E)。そして、コントローラ22は、システム電流ISに基づいて充電停止が解除されたことを確認すると(ステップS8E;OK)、ステップS1Eの処理に移行する。
一方、ステップS4E又はS8EにおいてNGの場合、コントローラ22はパワーリレー25A、25Bをオフに切り替える(ステップS9E、S10E)。
上記のステップS1E〜S8Eの処理によれば、充電のシステム電流ISが第1過電流電流値IA1を超えると、充電を停止し、充放電装置12による蓄電部24から電力系統への電力供給、つまり、放電は可能にする。
【0061】
ステップS11Eでは、コントローラ22は、充放電装置12に対し、放電停止を指示する。充放電装置12は、このコントローラ22の指示に基づいて放電を停止する(ステップS3E)。その後、コントローラ22は、電流確認として、放電のシステム電流ISに基づいて放電が停止されたか否かを確認し(ステップS14E)、確認OKの場合に第2過電流解除電流IA2Kを下回ったか否かを判定する(ステップS5E)。
第2過電流解除電流IA2Kは、第2過電流電流値IA2よりも低い電流値に設定され、例えば、放電電流指令値と一致する値に設定される。なお、第2過電流解除電流IA2Kを下回ったことの判定精度を高めるため、IA2K以下の状態が一定時間(例えば、1秒以上)連続した場合にステップS15EでYesと判定することが好ましい。
【0062】
第2過電流解除電流IA2Kを下回ると(ステップS15E;Yes)、コントローラ22は、充放電装置12に対し、放電停止の解除を指示し(ステップS16E)、充放電装置12による充電停止を解除させる(ステップS17E)。そして、コントローラ22は、システム電流ISに基づいて放電停止が解除されたことを確認すると(ステップS18E;OK)、ステップS1Eの処理に移行する。
一方、ステップS14E又はS18EにおいてNGの場合、コントローラ22はパワーリレー25A、25Bをオフに切り替える(ステップS19E、S20E)。
上記のステップS11E〜S18Eの処理によれば、放電のシステム電流ISが第2過電流電流値IA2を超えると、放電を停止し、充電は許容する。このため、充放電装置12の充電制御に応じて充電を行うことができる。
【0063】
ステップS22Eでは、コントローラ22は、パワーリレー25A、25Bをオフにする。次いで、コントローラ22は、充放電装置12に充放電停止を指示し(ステップS23E)、充放電装置12による充放電を停止させる(ステップS24E)。その後、コントローラ22は、解除スイッチ32が操作されない限り作動しない状態(自動解除しない状態)に移行する。そして、作業員により解除スイッチ32が操作されると(ステップS25E)、コントローラ22は、充放電装置12に充放電停止の解除を指示することにより、充放電装置12の充放電停止を解除させ(ステップS26E)、パワーリレー25A、25Bをオンに切り替え(ステップS27E)、ステップS1Eの処理に移行する。
このように、システム電流ISが第3過電流電流値IA3を超えると、充放電を停止させ、蓄電部24を保護することができる。また、作業員により容易に復帰させることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態によれば、複数のセル電池を収容する電池モジュール23と、電池モジュール23に収容された各セル電池をモニターするモニターユニット23Aと、電池モジュール23の充放電制御を行う充放電装置12と、モニターユニット23Aのモニター結果に基づいて充放電を制限するか否かを判定し、判定結果に応じて充放電装置12を制御するコントローラ22とを備えるので、コントローラとモニターユニットとの双方で判定処理を行う従来構成と比べて、必要なマイコンチップ数を減らすことができる。従って、暗電流の低減と総消費電流の低減とを図ることができる。このため、暗電流の低減により過放電を抑制して電池寿命を向上させ易くなるとともに、総消費電流の低減により充放電効率を向上させ易くなり、高性能な蓄電システムを提供することが可能になる。
【0065】
また、コントローラ22は、過充電保護(図2参照)として、モニターユニット23Aのモニター結果に含まれるセル電圧V1が、充電上限電圧未満に設定された第1セル過充電電圧VA1を超えると、電池モジュール23への充電電流を抑制させる処理と、セル電圧V1が相対的に高いセル電池を強制放電させてセル電圧V1を揃える処理(バランス放電)とを並行して実施させるので、過充電を回避しつつ各セル電池をバランスよく充電することができる。
【0066】
さらに、コントローラ22は、セル電圧V1が第1セル過充電電圧VA1を超え、充電上限電圧に対応する第2セル過充電電圧VA2を超えていない場合に、充放電装置12に充電電流の抑制を指示するとともに(ステップS2A)、モニターユニット23Aにセル電圧V1が相対的に高いセル電池を強制放電させる処理(バランス放電)を指示するので(ステップS12A)、充放電装置12とモニターユニット23Aを利用して、充電電流の抑制と、バランス放電とを容易に並行して実施させることができる。
しかも、コントローラ22は、セル電圧V1が、第2セル過充電電圧VA2を超え、第2セル過充電電圧VA2よりも高い値に設定された第3セル過充電電圧VA3を超えていない場合に、充放電装置12に充電停止を実行させるので(ステップS22A)、過充電を抑えるとともに、放電を許容することができる。このため、充放電装置12の放電制御に応じて放電を行うことができる。
【0067】
また、コントローラ22は、セル電圧V1が第3過充電電圧VA3を超えた場合に、電池モジュール23と充放電装置12との間のパワーリレー25A、25Bをオフにし(ステップS32A)、その後、充放電装置12との通信停止を行うので(ステップS35A)、リレーオフによる充放電の停止だけでは停止されない充放電装置12による充放電制御も停止することができる。
【0068】
また、コントローラ22は、過放電保護として(図3参照)、モニターユニット23Aのモニター結果に含まれるセル電圧V1が、予め設定した第1セル過放電電圧VB1を下回り、第1セル過放電電圧VB1より低い値に設定された第2セル過放電電圧VB2を超えている場合に、充放電装置12に放電停止を指示するので(ステップS22B)、過放電を抑えつつ充電を許容することができる。また、放電停止後に、セル電圧V1が予め設定した第1セル過放電解除電圧VB1Kを超えると、充放電装置12に放電停止の解除を指示するので(ステップS6B)、充放電を許容することができる。このため、充放電装置12の充電制御に応じて充電を行うとともに、充放電装置12の放電制御に応じて放電を行うことができる。
【0069】
さらに、コントローラ22は、セル電圧V1が、第2セル過放電電圧VB2を下回り、第2セル過放電電圧VB2より低い値に設定された第3セル過放電電圧VB3を超えている場合に、充放電装置12に放電停止を指示するとともに(ステップS22B)、当該コントローラ22の消費電力を低減するスリープモードに移行するので(ステップS24B)、放電停止に加えて更にコントローラ22の消費電力を低減することができる。従って、電力の消耗を抑え、過放電を効率良く抑えることができる。
また、コントローラ22は、セル電圧V1と第3セル過放電電圧VB3より低い値に設定された第4セル過放電電圧VB4との比較によりセル電圧V1が第3セル過放電電圧VB3を下回ったことを検出すると、電池モジュール23と充放電装置12との間のパワーリレー25A、25Bをオフにし、充放電装置12との通信停止を行って電池モジュール23の充放電を停止させるので(ステップS34B、S35B)、充放電装置12の充放電制御も停止でき、適切に充放電を停止できる。
【0070】
また、コントローラ22は、過電流保護として(図4参照)、電池モジュール23のシステム電流ISを検出し、充電側のシステム電流ISが、充電停止の閾値に設定された第1過電流電流値IA1を超え、放電側のシステム電流ISが、放電停止の閾値に設定された第2過電流電流値IA2を超えておらず、且つ、充電・放電側のシステム電流ISのいずれも、リレーオフの閾値に設定された第3過電流電流値IA3を超えていない場合に、充放電装置12に充電停止を指示するので(ステップS2E)、充電側のシステム電流ISの過電流を回避しつつ、放電を許容することができる。このため、充放電装置12の放電制御に応じて放電を行うことができる。
【0071】
また、コントローラ22は、放電側のシステム電流ISが、第2過電流電流値IA2を超え、且つ、充電・放電側のシステム電流ISのいずれも第3過電流電流値IA3を超えていない場合に、充放電装置12に放電停止を指示するので(ステップS12E)、放電側のシステム電流ISの過電流を回避しつつ、充電を許容することができる。このため、充放電装置12の充電制御に応じて充電を行う。
また、充電・放電側のシステム電流ISのいずれかが第3過電流電流値IA3を超えた場合に、電池モジュール23と充放電装置12との間のパワーリレー25A、25Bをオフにするので(ステップS22E)、充電側及び放電側の過電流を避け、電池モジュール23を保護することができる。
【0072】
また、本実施形態では、セル電圧V1が、第3過充電電圧VA3を超えた場合(ステップS32A;Yes)、第3セル過放電電圧VB3より低い値に設定された第4セル過放電電圧VB4を下回った場合(ステップS38B;Yes)、充電・放電側のシステム電流が第3セル過電流電流値IA3を超えた場合(ステップS21E;Yes)の少なくとも一の条件を満たす場合に、コントローラ22は、充放電装置12による充放電を停止させる。そして、コントローラ22が手動スイッチである解除スイッチ32の操作を検出すると、充放電装置12に充放電停止の解除を指示し、充放電装置12の充放電停止を解除させる。これにより、蓄電部24(電池モジュール23)を適切に保護するとともに適切に復帰させることができる。
【0073】
また、セル電圧V1が、第3セル過放電電圧VB3を下回り、第4セル過放電電圧VB4を下回っていない場合に(ステップS38B;No)、コントローラ22はパワーリレー25A、25Bをオンに切り替えて蓄電部24(電池モジュール23)への一定時間充電を可能にするので、充電を受け入れてセル電圧V1を高めることができる。
【0074】
なお、蓄電部24(電池モジュール23)の保護機能として、過充電保護、過放電保護、及び過電流保護について詳述したが、蓄電部24(電池モジュール23)の保護機能として、高温保護、及び低温保護も行っている。この高温保護、及び低温保護についての詳細フローは省略するが、他の保護(過充電保護、過放電保護、及び過電流保護)の場合と同様に、モニターユニット23Aは保護に関する判定処理は行わず、コントローラ22が充放電を制限するか否かを判定し、判定結果に応じて充放電を制限する処理を行う。
より具体的には、コントローラ22が、モニターユニット23Aのモニター結果に含まれる温度T1に基づいて充放電を制限するか否かを判定し、この判定結果に応じて充放電装置12を制御したり、パワーリレー25A、25Bなどをオフにしたりすることで、蓄電部24を高温や低温から保護する。これにより、高温保護、及び低温保護に関しても、コントローラ22とモニターユニット23Aに必要なマイコンチップ数を低減でき、暗電流の低減と総消費電流の低減とに有利となる。
【0075】
以上、本発明を実施するための形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、セル電圧V1やセル温度T1の閾値は適宜に変更が可能である。また、モニターユニット23Aがセル電池に関するセル情報として、セル電圧V1及びセル温度T1を検出し、これらに基づいて蓄電部24の保護を図る場合を説明したが、セル電圧V1及びセル温度T1のいずれか一方を検出して保護を図るようにしても良いし、それ以外の情報(例えばセル電流)を検出して保護を図るようにしても良い。
また、上記実施形態では、セル電池がリチウムイオン二次電池の場合を例に説明したが、これに限らず、それ以外の二次電池を適用しても良い。また、セル電池の接続方法は直列接続又は並列接続のいずれを適用しても良い。
【符号の説明】
【0076】
10 蓄電システム
11 PVシステム(発電装置)
12 充放電装置
13 蓄電装置
22 コントローラ(BMU)
23 電池モジュール
23A モニターユニット(MMU)
25 リレーBOX
25A、25B パワーリレー
図1
図2
図3
図4