(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の駆動装置において、直動軸の回転位置を検出するには、リニアエンコーダとは別に、回転モータの回転軸あるいは直動軸に対してロータリエンコーダを設ける必要がある。例えば、回転モータの回転軸に回転位置検出用のスケールを設ける一方、キャリッジ等に回転位置検出用のセンサを設けることになる。すなわち、直動軸の回転位置および直線位置を検出するには、リニアエンコーダとロータリエンコーダとを独立して構成し、互いに別の部材の移動を検出する必要がある。このため、リニアエンコーダおよびロータリエンコーダを設けるために大きなスペースを必要とする等の問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、リニアエンコーダおよびロータリエンコーダが共通の部材の移動を検出することによって、被駆動部材の回転位置および直線位置を検出することのできる位置検出装置、駆動装置、および位置検出用スケール部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る位置検出装置は、回転位置検出用の第1スケール、および該第1スケールに対向する回転位置検出用の第1センサを備えたロータリエンコーダと、直線位置検出用の第2スケール、および該第2スケールに対向する直線位置検出用の第2センサを備えたリニアエンコーダと、を有し、前記第1スケールおよび前記第2スケールは、軸線周りの回転移動および軸線方向の直線移動が行われるスケール部材の周面に
おいて前記軸線方向で異なる領域に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る駆動装置は、被駆動部材を軸線周りに回転移動させる回転駆動装置と、前記被駆動部材を前記軸線方向に直線移動させる直線駆動装置と、前記被駆動部材の回転移動および直線移動を検出する位置検出装置と、を有し、前記位置検出装置は、回転位置検出用の第1スケール、および該第1スケールに対向する回転位置検出用の第1センサを備えたロータリエンコーダと、直線位置検出用の第2スケール、および該第1スケールに対向する直線位置検出用の第2センサを備えたリニアエンコーダと、を備え、前記
第1スケールおよび前記第2スケールは、前記被駆動部材と一体に移動するスケール部材の周面に
おいて前記軸線方向で異なる領域に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、共通のスケール部材の周面に回転位置検出用の第1スケール、および直線位置検出用の第2スケールを設けたため、スケール部材の移動を検出すれば、被駆動部材の回転位置および直線位置を検出することができる。従って、位置検出装置の構成を簡素化することができるので、位置検出装置を設けるためのスペースを縮小することができる等の利点がある。
また、第1スケールおよび第2スケールがスケール部材の周面において
前記軸線方向で異なる領域に設けられているため、例えば、ロータリエンコーダおよびリニアエンコーダにおいて、同一の検出方式を採用した場合でも、相互の干渉が発生しにくい。
【0010】
本発明において、前記第1スケールでは、前記軸線方向に延在するパターンが前記軸線周りに複数配列され、前記第2スケールでは、前記軸線周りに延在するパターンが前記軸線方向に複数配列されていることが好ましい。かかる構成によれば、スケール部材が軸線方向に直線移動したときでも、第1スケールと第1センサとが対向し、スケール部材が軸線周りに回転移動したときでも、第2スケールと第2センサとが対向する。従って、広い範囲にわたって、スケール部材の軸線周りの回転位置よび軸線方向の直線位置を検出することができる。
【0013】
本発明において、前記ロータリエンコーダと前記リニアエンコーダとでは、異なる種類の物理量を検出する構成を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記ロータリエンコーダと前記リニアエンコーダとでは、同一種類の物理量を検出する構成を採用することができる。
【0015】
本発明において、前記ロータリエンコーダおよび前記リニアエンコーダのうち、少なくとも一方は、磁気式エンコーダであることが好ましい。
【0016】
この場合、前記磁気式エンコーダでは、前記周面にコーティングされた磁性層に対する着磁によりスケール用の磁気パターンが形成されている構成を採用することができる。
【0017】
本発明において、前記ロータリエンコーダおよび前記リニアエンコーダのうち、少なくとも一方は、反射型の光学式エンコーダであることが好ましい。
【0018】
この場合、前記光学式エンコーダでは、前記周面に形成された反射層によりスケール用の反射パターンが形成されている構成を採用することができる。
【0019】
本発明において、前記スケール部材は筒状部材を備え、前記筒状部材の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールが形成されている構成を採用することができる。この場合、前記筒状部材は、第1筒状部材と、該第1筒状部材が内側に嵌められた第2筒状部材
と、を備え、前記第1筒状部材の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールの一方が形成され、前記第2筒状部材の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールの他方が形成されていることが好ましい。
【0020】
本発明において、前記スケール部材は、前記軸線方向に延在する軸部と、前記軸部に嵌められた筒状部材と、を備え、前記軸部の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールの一方が形成され、前記筒状部材の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールの他方が形成されている構成を採用することができる。
【0021】
本発明において、前記スケール部材は、前記軸線方向に延在する軸部を備え、当該軸部の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールが形成されている構成を採用してもよい。
【0022】
本発明に係る位置検出用スケール部材は、周面に回転位置検出用の第1スケール、および直線位置検出用の第2スケールが設けられ、
前記第1スケールおよび前記第2スケールは、前記周面において軸線方向で異なる領域に設けられていることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る位置検出用スケール部材は、筒状部材を有し、前記筒状部材の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールが形成されている構成を採用することができる。この場合、前記筒状部材は、第1筒状部材と、該第1筒状部材が内側に嵌められた第2筒状部材と、を備え、前記第1筒状部材の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールの一方が形成され、前記第2筒状部材の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールの他方が形成されていることが好ましい。
【0024】
本発明に係る位置検出用スケール部材は、軸部と、該軸部に嵌められた筒状部材と、を備え、前記軸部の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールの一方が形成され、前記筒状部材の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールの他方が形成されている構成を採用してもよい。
【0025】
本発明に係る位置検出用スケール部材は、軸部を備え、当該軸部の周面に前記第1スケールおよび前記第2スケールが形成されている構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、共通のスケール部材の周面に回転位置検出用の第1スケール、および直線位置検出用の第2スケールを設けたため、スケール部材の移動を検出すれば、被駆動部材の回転位置および直線位置を検出することができる。従って、位置検出装置の構成を簡素化することができるので、位置検出装置を設けるためのスペースを縮小することができる等の利点が
ある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
[
参考例]
(駆動装置100の構成)
図1は、本発明の
参考例に係る位置検出装置10を備えた駆動装置100の説明図である。
図1に示す駆動装置100は、被駆動部材2を軸線L周りに回転移動させる回転駆動装置110と、被駆動部材2を軸線L方向に直線移動させる直線駆動装置120と、被駆動部材2の回転移動および直線移動を検出する位置検出装置10とを有している。
【0030】
回転駆動装置110は、軸線L方向に延在する第1回転軸112を備えた回転駆動用の第1モータ111を有しており、第1回転軸112の先端部に被駆動部材2が連結されている。被駆動部材2は、各種部材を保持するヘッドや、各種部材が載置されるテーブル等である。
【0031】
直線駆動装置120は固定体130に支持されており、直線駆動装置120のキャリッジ121に回転駆動装置110が搭載されている。より具体的には、直線駆動装置120は、軸線Lと平行に延在する第2回転軸123を備えた直線駆動用の第2モータ122と、第2回転軸123に形成された螺旋溝に係合するナット部124を備えたキャリッジ121とを有しており、キャリッジ121には第1モータ111が保持されている。
【0032】
従って、直線駆動装置120において、第2モータ122の第2回転軸123が回転すると、キャリッジ121が第2回転軸123に沿って直線移動するため、回転駆動装置110全体が軸線L方向に移動する。このため、被駆動部材2が軸線L方向に直線移動する。その際、キャリッジ121の軸線L方向の可動範囲は、矢印L1で示す範囲であり、被駆動部材2の軸線L方向の可動範囲は、矢印L2で示す範囲である。なお、固定体130には、リニアガイド131が設けられており、リニアガイド131は、第2回転軸123に対するキャリッジ121の供回りを防止するとともに、キャリッジ121を軸線Lに沿う方向に案内する。
【0033】
また、回転駆動装置110において、第1モータ111の第1回転軸112が軸線L周りに回転すると、被駆動部材2が軸線L周りに回転移動する。
【0034】
かかる駆動の際、位置検出装置10は、被駆動部材2の軸線L周りの回転移動および被駆動部材2の軸線L方向の直線移動を検出し、その結果に基づいて、被駆動部材2の軸線L周りの回転位置および被駆動部材2の軸線L方向の直線位置を検出する。位置検出装置10は、被駆動部材2の回転位置を検出するロータリエンコーダ20と、被駆動部材2の直線位置を検出するリニアエンコーダ30とを有している。回転駆動装置110は、ロータリエンコーダ20での検出に基づいて被駆動部材2の軸線L周りの角度位置を調整し、直線駆動装置120は、リニアエンコーダ30での検出結果に基づいて被駆動部材2の軸線L方向の直線位置を調整する。
【0035】
かかる位置検出装置10(ロータリエンコーダ20およびリニアエンコーダ30)を構成するにあたって、本形態では、回転駆動装置110に用いた第1モータ111の第1回転軸112において後端側(被駆動部材2とは反対側)に延在している部分がスケール部材1(位置検出用スケール部材)として構成されている。
【0036】
(位置検出装置10の詳細構成)
図2は、本発明の
参考例に係る位置検出装置10の説明図であり、
図2(a)、(b)、(c)は、スケール部材1とセンサとの位置関係を示す説明図、スケール部材1の分解斜視図、およびスケール部材1をさらに細かく分解したときの分解斜視図である。
【0037】
図2(a)に示すように、スケール部材1は、全体として軸線L方向に延在する丸棒状であり、かかる丸棒状のスケール部材1の周面1a(外周面)には、回転位置検出用の第1スケール21と、直線位置検出用の第2スケール31とが形成されている。第1スケー
ル21には、
図1に示す固定体130に保持された回転位置検出用の第1センサ22が対向しており、第1スケール21と第1センサ22とによってロータリエンコーダ20が構成されている。また、第2スケール31には、
図1に示す固定体130に保持された直線位置検出用の第2センサ32が対向しており、第2スケール31と第2センサ32とによってリニアエンコーダ30が構成されている。
【0038】
ここで、ロータリエンコーダ20とリニアエンコーダ30とでは、異なる種類の物理量を検出する構成、または同一種類の物理量を検出する構成を採用することができる。本形態では、ロータリエンコーダ20とリニアエンコーダ30とでは、異なる種類の物理量を検出する構成が採用されている。例えば、ロータリエンコーダ20は、反射型の光学式エンコーダであり、リニアエンコーダ30は、磁気式エンコーダである。従って、ロータリエンコーダ20において、第1スケール21は、スケール用の反射パターン1rからなり、第1センサ22は光センサからなる。かかる第1センサ22(光センサ)は、スケール部材1の周面1aに向けて光を出射する発光部と、第1スケール21(反射パターン1r)で反射した光を受光部とを備えている。一方、リニアエンコーダ30において、第2スケール31は、スケール用の磁気パターン1mからなり、第2センサ32は、磁気抵抗素子やホール素子等の磁気センサからなる。
【0039】
本形態では、第1スケール21と第2スケール31とは、スケール部材1の周面1aのうち、同一領域において径方向に積層されている。このため、第1センサ22と第2センサ32とは近接しており、
図1に示す固定体130に保持された共通の基板40に設けられている。
【0040】
より具体的には、
図2(b)に示すように、スケール部材1は、第1モータ111の第1回転軸112において後端側(被駆動部材2とは反対側)に延在している丸棒状の軸部11と、軸部11が嵌った円筒状の筒状部材12とを備えており、筒状部材12の周面12aに第1スケール21および第2スケール31が積層されている。本形態において、筒状部材12は、内側の円筒状の第1筒状部材13と、第1筒状部材13が内側に嵌められた外側の円筒状の第2筒状部材14とを備えている。
【0041】
第1筒状部材13の周面13a(外周面)には、軸線L周りに環状に延在するパターンが軸線L方向に複数配列された第2スケール31が形成されており、第2スケール31が形成されている軸線L方向の範囲(
図1の矢印L3で示す範囲)は、
図1に示すキャリッジ121の可動範囲L1や被駆動部材2の可動範囲L2より長く設定されている。ここで、第2スケール31は、磁気パターン1mであり、軸線L周りに延在するS極と軸線L周りに延在するN極とが軸線L方向において交互に配列されている。かかる第2スケール31は、例えば、第1筒状部材13として用いた磁性材料からなる筒状部材に対する着磁によって構成することができる。この場合、軸部11を磁性材料とすれば、軸部11を第2スケール31に対するヨークとして利用することができる。また、第2スケール31は、第1筒状部材13の周面13aに磁性層をコーティングした後、磁性層に対する着磁により構成してもよい。この場合、第1筒状部材13を磁性材料とすれば、第1筒状部材13を第2スケール31に対するヨークとして利用することができる。
【0042】
第2筒状部材14の周面14aには、軸線L方向に延在するパターンが軸線L周りに複数配列された第1スケール21が形成されており、第1スケール21が形成されている軸線L方向の範囲(
図1矢印L3で示す範囲)は、
図1に示すキャリッジ121の可動範囲L1や被駆動部材2の可動範囲L2より長く設定されている。ここで、第1スケール21は、反射パターン1rであり、軸線L方向に延在する反射パターン1rが軸線L方向に複数配列されている。かかる第1スケール21は、例えば、第2筒状部材14の周面14aにアルミニウム、銀、それらの合金等の反射性金属層を配置することにより実現すること
ができる。例えば、第1スケール21が形成されたフィルムを第2筒状部材14の周面14aに貼付することができる。
【0043】
従って、第1筒状部材13を第2筒状部材14の内側に嵌めて固定すれば、周面(同一領域において径方向)で第1スケール21と第2スケール31とが積層された筒状部材12が構成され、かかる筒状部材12を軸部11に嵌めれば、スケール部材1を構成することができる。ここで、第2筒状部材14の径方向内側(下層側)には磁気パターン1mからなる第2スケール31が設けられているため、第2筒状部材14は、非磁性材料からなり、第1スケール21は非磁性の金属材料からなる。
【0044】
このように構成した位置検出装置10では、回転駆動装置110において、第1モータ111の第1回転軸112が軸線L周りに回転すると、被駆動部材2とともにスケール部材1が軸線L周りに回転移動するので、ロータリエンコーダ20において、第1センサ22は、第1スケール21の移動に伴う反射量の変化を検出することができる。従って、ロータリエンコーダ20は、被駆動部材2およびスケール部材1の回転移動量および回転位置を検出することができる。また、直線駆動装置120において、キャリッジ121を直線移動させると、回転駆動装置110、被駆動部材2およびスケール部材1が軸線L方向に直線移動するので、リニアエンコーダ30において、第2センサ32は、第2スケール31の移動に伴う磁界の変化を検出することができる。従って、リニアエンコーダ30は、被駆動部材2およびスケール部材1の軸線L方向の直線移動量および直線位置を検出することができる。なお、スケール部材1に第1スケール21および第2スケール31の他に原点位置を示すスケールを設けておけば、被駆動部材2およびスケール部材1の絶対角度位置を検出することができるとともに、被駆動部材2およびスケール部材1の軸線L方向の絶対位置を検出することができる。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、共通のスケール部材1の周面1aに回転位置検出用の第1スケール21、および直線位置検出用の第2スケール31を設けたため、スケール部材1の移動を検出すれば、被駆動部材2の軸線L周りの回転位置、および軸線L方向の直線位置を検出することができる。従って、位置検出装置10の構成を簡素化することができるので、位置検出装置10を設けるためのスペースを縮小することができる等の利点がある。また、共通の移動部材(スケール部材1)の移動を検出するので、回転位置検出用の第1センサ22、および直線位置検出用の第2センサ32を固定体130側に設けることができる。従って、第1センサ22および第2センサ32からの信号の出力等が容易である。
【0046】
また、回転位置検出用の第1スケール21は、軸線L周りの周方向で離間する複数個所で軸線L方向にストライプ状に延在し、直線位置検出用の第2スケール31は、軸線L方向で離間する個所で軸線L周りの周方向に環状に延在している。このため、スケール部材1が軸線L方向に直線移動したときでも、第1スケール21と第1センサ22とが対向し、スケール部材1が軸線L周りに回転移動したときでも、第2スケール31と第2センサ32とが対向する。従って、広い範囲にわたって、スケール部材1の軸線L周りの回転位置、および軸線L方向の直線位置を検出することができる。
【0047】
また、第1スケール21と第2スケール31とは、スケール部材1の周面1aで同一領域において径方向に積層されているため、スケール部材1の軸線L方向の寸法を短縮することができる。
【0048】
[
参考例の変形例1]
上記
参考例の形態では、筒状部材12が第1筒状部材13および第2筒状部材14の二重になっていたが、筒状部材12が一重であってもよい。この場合、軸部11の周面11aに第1スケール21および第2スケール31の一方を形成し、筒状部材12の周面12aに第1スケール21および第2スケール31の他方を形成する。例えば、軸部11の周面11aに磁気パターン1mからなる第2スケール31を形成し、筒状部材12の周面12aに反射パターン1rからなる第1スケール21を形成する。
【0049】
[
参考例の変形例2]
上記
参考例では、筒状部材12が第1筒状部材13および第2筒状部材14の二重になっていたが、一重の筒状部材12の周面12aに第1スケール21および第2スケール31を形成してもよい。この場合、筒状部材12の周面12aに第1スケール21および第2スケール31の一方を形成した後、その上層(径方向外側)に第1スケール21および第2スケール31の他方を積層する。例えば、筒状部材12の周面12aに磁気パターン1mからなる第2スケール31を形成した後、その上層に反射パターン1rからなる第1スケール21を積層する。
【0050】
[
参考例の変形例3]
上記
参考例では、軸部11に筒状部材12が嵌っていたが、筒状部材12を用いずに、軸部11の周面11aに第1スケール21および第2スケール31を形成してもよい。こ
の場合、軸部11の周面11aに第1スケール21および第2スケール31の一方を形成した後、その上層(径方向外側)に第1スケール21および第2スケール31の他方を積層する。例えば、軸部11の周面11aに磁気パターン1mからなる第2スケール31を形成した後、その上層に反射パターン1rからなる第1スケール21を積層する。
【0051】
[
参考例の変形例4]
上記
参考例では、下層側に磁気パターン1mからなる第2スケール31が形成され、上層側に反射パターン1rからなる第1スケール21が形成されていたが、下層側に磁気パターン1mからなる第1スケール21が形成され、上層側に反射パターン1rからなる第2スケール31が形成されている構成を採用してもよい。すなわち、第1スケール21を磁気パターン1mにより形成し、第2スケール31を反射パターン1rにより形成してもよい。
【0052】
[
実施の形態]
図3は、本発明の
実施の形態に係る位置検出装置10を備えた駆動装置100の説明図である。
図4は、本発明の
実施の形態に係る位置検出装置10の説明図であり、
図4(a)、(b)は、スケール部材1とセンサとの位置関係を示す説明図、およびスケール部材1の分解斜視図である。なお、本形態の基本的な構成は、
参考例と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0053】
図3に示す駆動装置100も、
参考例と同様、被駆動部材2を軸線L周りに回転移動させる回転駆動装置110と、被駆動部材2を軸線L方向に直線移動させる直線駆動装置120と、被駆動部材2の回転移動および直線移動を検出する位置検出装置10とを有しており、回転駆動用の第1モータ111の第1回転軸112の先端部には被駆動部材2が連結されている。
【0054】
参考例と同様、位置検出装置10は、被駆動部材2の回転位置を検出するロータリエンコーダ20と、被駆動部材2の直線位置を検出するリニアエンコーダ30とを有している。かかる位置検出装置10を構成するにあたって、本形態では、回転駆動装置110に用いた第1モータ111の第1回転軸112において後端側(被駆動部材2とは反対側)に
延在している部分がスケール部材1として構成されている。
【0055】
図4(a)に示すように、スケール部材1は、全体として軸線L方向に延在する丸棒状であり、かかる丸棒状のスケール部材1の周面1aには、回転位置検出用の第1スケール21と、直線位置検出用の第2スケール31とが形成されている。第1スケール21には、
図3に示す固定体130に保持された回転位置検出用の第1センサ22が対向しており、第1スケール21と第1センサ22とによってロータリエンコーダ20が構成されている。また、第2スケール31には、
図3に示す固定体130に保持された直線位置検出用の第2センサ32が対向しており、第2スケール31と第2センサ32とによってリニアエンコーダ30が構成されている。
【0056】
ここで、ロータリエンコーダ20とリニアエンコーダ30とでは、異なる種類の物理量を検出する構成、または同一種類の物理量を検出する構成を採用することができる。本形態では、ロータリエンコーダ20とリニアエンコーダ30とでは、同一種類の物理量を検出する構成が採用されている。例えば、ロータリエンコーダ20およびリニアエンコーダ30はいずれも、磁気式エンコーダである。従って、ロータリエンコーダ20において、第1スケール21は、スケール用の磁気パターン1mからなり、第1センサ22は磁気抵抗素子やホール素子等の磁気センサからなる。また、リニアエンコーダ30において、第2スケール31は、スケール用の磁気パターン1mからなり、第2センサ32は、磁気抵抗素子やホール素子等の磁気センサからなる。
【0057】
本形態では、第1スケール21と第2スケール31とは、スケール部材1の周面1aのうち、軸線L方向で異なる領域1c、1dに形成されている。このため、第1センサ22と第2センサ32とは軸線L方向で離間する位置に配置された基板41、42に各々設けられている。なお、基板41、42は、軸線L方向で繋がった1枚の基板であってもよい。
【0058】
図4(b)に示すように、スケール部材1は、第1モータ111の第1回転軸112において後端側(被駆動部材2とは反対側)に延在している丸棒状の軸部11と、軸部11が嵌った円筒状の筒状部材15とを備えており、筒状部材15の周面15aによって、スケール部材1の周面1aが構成されている。
【0059】
筒状部材15の周面15aのうち、被駆動部材2が位置する側の領域15c(スケール部材1の領域1c)には、軸線L方向に延在するパターンが軸線L周りに複数配列された第1スケール21が形成されており、第1スケール21が形成されている軸線L方向の範囲(
図3の矢印L31で示す範囲)は、
図1に示すキャリッジ121の可動範囲L1や被駆動部材2の可動範囲L2より長く設定されている。ここで、第1スケール21は、磁気パターン1mであり、軸線L方向に延在するS極と軸線L方向に延在するN極とが軸線L周りに交互に配列されている。
【0060】
筒状部材15の周面15aのうち、領域15cに対して被駆動部材2が位置する側と反対側の領域15d(スケール部材1の領域1d)には、軸線L周りに環状に延在するパターンが軸線L方向で複数配列された第2スケール31が形成されており、第2スケール31が形成されている軸線L方向の範囲(
図3の矢印L32で示す範囲)は、
図1に示すキャリッジ121の可動範囲L1や被駆動部材2の可動範囲L2より長く設定されている。ここで、第2スケール31は、磁気パターン1mであり、軸線L周りに延在するS極と軸線L周りに延在するN極とが軸線L方向で交互に配列されている。
【0061】
かかる構成の第1スケール21および第2スケール31は、例えば、筒状部材15として用いた磁性材料からなる筒状部材に対する着磁によって実現することができる。この場合、軸部11を磁性材料とすれば、軸部11を第2スケール31に対するヨークとして利用することができる。また、筒状部材15の周面に磁性層をコーティングした後、磁性層
に対する着磁により第1スケール21および第2スケール31を構成してもよい。この場合、筒状部材15を磁性材料とすれば、筒状部材15を第2スケール31に対するヨークとして利用することができる。
【0062】
このように構成した位置検出装置10では、
参考例と同様、回転駆動装置110において、第1モータ111の第1回転軸112が軸線L周りに回転すると、被駆動部材2とともにスケール部材1が軸線L周りに回転移動するので、ロータリエンコーダ20において、第1センサ22は、第1スケール21の移動に伴う磁界の変化を検出することができる。また、直線駆動装置120において、キャリッジ121を直線移動させると、回転駆動装置110、被駆動部材2およびスケール部材1が軸線L方向に直線移動するので、リニアエンコーダ30において、第2センサ32は、第2スケール31の移動に伴う磁界の変化を検出することができる。
【0063】
このように、本形態でも、
参考例と同様、共通のスケール部材1の周面1aに回転位置検出用の第1スケール21、および直線位置検出用の第2スケール31を設けたため、スケール部材1の移動を検出すれば、被駆動部材2の軸線L周りの回転位置、および軸線L方向の直線位置を検出することができる。従って、位置検出装置10の構成を簡素化することができるので、位置検出装置10を設けるためのスペースを縮小することができる等の利点がある。また、共通の移動部材(スケール部材1)の移動を検出するので、回転位置検出用の第1センサ22、および直線位置検出用の第2センサ32を固定体130側に設けることができる。従って、第1センサ22および第2センサ32からの信号の出力等が容易である。
【0064】
また、回転位置検出用の第1スケール21は、軸線L周りの周方向で離間する複数個所で軸線L方向にストライプ状に延在し、直線位置検出用の第2スケール31は、軸線L方向で離間する個所で軸線L周りの周方向に環状に延在している。このため、スケール部材1が軸線L方向に直線移動したときでも、第1スケール21と第1センサ22とが対向し、スケール部材1が軸線L周りに回転移動したときでも、第2スケール31と第2センサ32とが対向する。従って、広い範囲にわたって、スケール部材1の軸線L周りの回転位置、および軸線L方向の直線位置を検出することができる。
【0065】
また、第1スケール21と第2スケール31とが軸線L方向で異なる領域に設けられているため、ロータリエンコーダ20とリニアエンコーダ30とでは相互の干渉が発生しにくい。従って、上記実施の形態で説明したように、ロータリエンコーダ20とリニアエンコーダ30とが同一種類の物理量を検出する構成にすることが容易である。すなわち、第1スケール21および第2スケール31の構成を簡素化したままで、ロータリエンコーダ20およびリニアエンコーダ30の双方を磁気式エンコーダとすることができる。
【0066】
[
実施の形態の変形例1]
図5は、本発明の
実施の形態に係る別の位置検出装置10の説明図であり、
図5(a)、(b)は、スケール部材1とセンサとの位置関係を示す説明図、およびスケール部材1の分解斜視図である。
【0067】
上記
実施の形態では、筒状部材15の周面15aのうち、被駆動部材2が位置する側の領域15c(スケール部材1の領域1c)に回転位置検出用の第1スケール21を形成し、領域15cに対して被駆動部材2が位置する側と反対側の領域15d(スケール部材1の領域1d)には、直線位置検出用の第2スケール31を形成した。但し、
図5に示すよ
うに、被駆動部材2が位置する側の領域15c(スケール部材1の領域1c)に直線位置検出用の第2スケール31を形成し、領域15cに対して被駆動部材2が位置する側と反対側の領域15d(スケール部材1の領域1d)には、回転位置検出用の第1スケール
21を形成してもよい。
【0068】
[
実施の形態の変形例2]
上記
実施の形態では、筒状部材15に第1スケール21および第2スケール31を形成したが、筒状部材15を短くして軸部11の一部を筒状部材15から露出させ、軸部11において筒状部材15から露出した周面11aに第1スケール21および第2スケール31の一方を形成し、筒状部材15の周面15aに第1スケール21および第2スケール31の他方を形成してもよい。
【0069】
[
実施の形態の変形例3]
上記
実施の形態では、軸部11に筒状部材15が嵌っていたが、筒状部材15を用いずに、軸部11の周面11aにおいて軸線L方向で離間する領域に第1スケール21および第2スケール31を形成してもよい。
【0070】
[
実施の形態の変形例4]
上記
実施の形態では、ロータリエンコーダ20とリニアエンコーダ30とが同一種類の物理量を検出する構成として、ロータリエンコーダ20およびリニアエンコーダ30の双方を磁気式エンコーダとした構成を例示したが、ロータリエンコーダ20およびリニアエンコーダ30の双方を光学式エンコーダとした構成を採用してもよい。この場合、第1スケール21および第2スケール31を反射パターン1rにより形成する。
【0071】
また、上記
実施の形態では、ロータリエンコーダ20とリニアエンコーダ30とが同一種類の物理量を検出する構成を採用したが、ロータリエンコーダ20およびリニアエンコーダ30の一方が磁気式エンコーダであって、他方が光学式エンコーダである構成を採用してもよい。
【0072】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、直線駆動装置120として送りねじ機構を用いたが、リニアモータを用いてもよい。また、上記実施の形態では、回転駆動装置110の第1モータ111の第1回転軸112に被駆動部材2を連結したが、第1回転軸112と被駆動部材2とが歯車やプーリ等の伝達機構を介して接続された駆動装置100の位置検出装置10に本発明を適用してもよい。また、上記実施の形態では、被駆動部材2と一体に移動可能なスケール部材1として第1回転軸112に連結されているスケール部材を例示したが、被駆動部材2と一体に移動可能であれば、第1回転軸112と被駆動部材2との間に構成された歯車やプーリ等にスケール部材1が連結されている構成を採用してもよい。